2016年3月17日木曜日

クロッシング



アントワン・フークア監督作品ということで見ました。
不滅のクラシック、トレーニング・デイをはじめ、
ザ・シューター、イコライザーなど
個人的にハズレなしの監督です。
主人公の3人が直接関係する訳ではないんですが、
3人の警官のストーリーを通じて、
警官が持たなければならない倫理と現実の境目を
浮き彫りにしていく作品でかなり好みでした。
警官は市民に信頼され模範となる
存在であるべきという前提を元に
各自が事情を抱え、善と悪の境目を漂う
心理描写がオモシロくて、警官もあくまで人間であり、
善→悪、悪→善、その狭間を3人のキャラクターで
描き分けていきます。それを体現するのが豪華役者陣。
主人公の3人を演じるのは
リチャード・ギア、イーサン・ホーク、ドン・チードル
僕が好きだったのはイーサン・ホークの話です。
彼は子だくさんの家庭を支える大黒柱で、
奥さんが自宅のカビで喘息を悪化していることから
引っ越したいんだけど家の頭金が足りません。
そこで悪人をぶっ殺したり、
ガサ入れした現場から金を盗もうとしたりする。
正論で見ればダメに決まっているんですが、
彼の家族の様子や果敢な仕事っぷりを見ていると、
誰が彼のことを否定できようか、
否!できぬ!と思ってしまいました。
(こういった人がサブプライム・ローンの餌食になったのかも…)
ドン・チードルの話は潜入捜査官ものとして、
よくある展開なんだけどボスが
ウェズリー・スナイプスで超アガる!
また、本作はブルックリンの黒人の方たちの状況に
大きくフォーカスした作品なので、
テーマが如実に現れているように感じました。
リチャード・ギアの話はタクシー・ドライバーと似ていて、
やる気のなかった警官が自らを奮い立たせ、
正義に身を捧げるという展開は燃えると思います。
(エンディングのリチャード・ギアの顔よ!)
邦題のクロッシングから想起する主役の目立った競演はありませんが、
ここでのcrossingは「一線を越える」という意味だと考えれば、
物語の本質を突いたナイス邦題といえるでしょう。
警官社会派ものとして、
トレーニング・デイと同じくらい好きな作品になりました。

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