2013年2月27日水曜日

The Driver



昨年、ドライヴを見て最高〜ひゅ〜と思ってて
その作品に大きく影響を与えた1978年の作品。
もう、、、最高すぎた!!
1978年にして、このスタイリッシュさよ…
しかも、そこかしこにドライヴが採用しているギミックあるから
ドライヴ→本作、本作→ドライヴでも2倍楽しめると思います。
しかも同じような要素でも、全然味わいが違う。
それぞれに良さがあります。

大まかなストーリーとしては
抜群の運転テクニックで強盗を逃がす主人公ドライバー。
ここもドライヴ同様、名前はない。というか本作は皆、名前なし。
彼がある事件をきっかけに警察に目を付けられて
警察が捕まえるか、彼が逃げ切るか。
とにもかくにも冒頭のカーチェイスシーンはマジで圧巻。
BGM一切なし。
車のモーター音、タイアとアスファルトの擦れる音、
サイレン音のみで繰り広げられるキビしさ。
この段階で、「うわーとんでもないもの見てる…」感。
そこからオトリ捜査が始まるけど、そこの下りも完膚無きまでに
Driverが叩きのめす。とくに「テメェ、丸腰だなんて馬鹿だな」
からのぉ〜どーん!が最高でした。
何言ってるか分からないと思いますが、要は見てくださいってことですw
最後のカーチェイスシーンは最初と同様
BGMなしの激しいものなんですけど
ラストのカーチェイスには緩急があるんです。
ガァー、そーっと、からのぉ〜最後どーん!
それも彼が得意とする最初のシーンでもやってた
彼にしかできない勝ち方で勝つんですね〜

しかも映画全体が超タイト。
時間も90分ないくらいだし、物語全体に全く無駄がない。
女の人も出てくるけど、ホントにドライな感じ。色恋とかゼロ。
(逆に言えば話が質素で、単純と思う人もいるかも)
この手の映画で重要な夜の美しさもチリバツ。
でも、オレは超好きでした!全男子必見。

2013年2月24日日曜日

ラースと、その彼女



リリーフランキーとみうらじゅんがラブド−ルを持っていて
最近色んなメディアで取り上げられてますが
そんなときに、たまたまツタヤで見かけてレンタルしました。
結果、すげー良かった!

主演は「ブルーバレンタイン」「ドライヴ」で
おなじみのライアン・ゴズリング。
彼は非常に内気な役で、近所に住む兄夫婦とも距離を置くぐらい。
そんな彼がある日突然彼女を紹介するとなって
いざ紹介されたら、それがラブドール a.k.a ダッチワイフ
という非常にぶっ飛んだ設定ではあります。
このラブドールを巡って、物語は進むんですけど
あくまでドールは一つの象徴でしかない。
ラブドールがあたかも生きているように扱う
つまり、自分とは異なる人間ってことを究極にデフォルメしたもの。
そこでの人間関係が話のメインテーマなんですね。
最初は兄夫婦もビックリして、治そうと病院連れて行くんですけど
まったく治る気配がない。医者がカウンセリングを続けていくなかで
原因が母親の死であったり、それに伴う女性への恐怖心が原因だと判明はする。
けれど、原因が分かっても本人が変わらないと何も解決しない。
すべての決定権は彼自身しか持たないんですね。
つまり、決別する/しないは彼次第。
舞台設定はアメリカの片田舎で、街中の噂になるんだけど
多くの人が彼の人間性を認めてるがゆえに、
ラブドールの存在を寛大に受け止めるんですねー
この部分が正直そんなことあるかな?と疑問に思う。
けれど、ただ受け入れるだけじゃなくて
ホントの一人間として受け入れる。
ボクの人形だからボクの思い通り!って思ってた
ライアン・ゴズリングは苦しんで、ラブドールと喧嘩したりする。
その喧嘩すること自体も彼のさじ加減。
通過儀礼が可視化されていると言えると思います。だから面白い。
結局最後は哀しい、かつ希望が見える終わり方するんですね。
彼はある選択をするんだけど、それが微妙な塩梅でねぇ〜

最近見たDVDだと一番良かったっす。

2013年2月18日月曜日

キリング・フィールズ



マン氏の娘さん、アミ・カナーン・マンが監督で
クロエ・グリース・モレッツ出てるというのを知って見ました。
マン氏は製作に携わっていることもあり
悪くはなかったけど、、、うん…って感じでしたw

テキサスが舞台で、少女をターゲットにした連続殺人事件が起こる。
キリング・フィールズと呼ばれる携帯電話も通じないような湿地帯で
死体が見つかったり、犯人がそこにいると思われるような展開で話が進んでいく。
サスペンスなんですけど、マン氏の作品で感じられるような
ハラハラ感とか夜の街の美しさがなかったし、物足りなかったのは事実。
キリング・フィールズを生かした事件性が少なくて
この謎に包まれたエリアを上手く使えば
もっと良い映画になったような気がしてしょうがなかったっす。
おおまかに分けて2つの事件が平行して進むんですけど
その2つの事件が似たような中身なので
最後に実はアイツらがぁ〜みたいなことになっても
結局そこかい!というツッコミしかできない。
動機も見えにくいし、最後もなんかねぇ。
全体的に温度が低いなーという印象。
他の監督やったら全然ありと思うんですけど
やっぱりね、お父さんと比べちゃうと。。。

じゃあ、良かったところはというと…
クロエ・モリッツ!やさぐれカワイイ。
前に見たHickの設定も家庭環境が悪いものでしたが
なんか不幸感まとっていると、イイ!
あと女刑事の元夫への徹底的嫌悪感からの〜
最後の微々たる歩み寄りw
この設定やと、どこか組んでもおかしくないけど
その徹底っぷりはお見それしました。

クロエ好きにはオヌヌメ。

2013年2月17日日曜日

夢の中へ



園子温監督シリーズ。
フィルモグラフィーを追いかけるのが、僕のライフワーク。
好きでした。
タイトルにもあるように、井上陽水の「夢の中へ」を
園監督が映画化したようなもの。

探しものは何ですか?
見つけにくいものですか?
カバンの中も つくえの中も
探したけれど見つからないのに

まだまだ探す気ですか?
それより僕と踊りませんか?
夢の中へ 夢の中へ
行ってみたいと思いませんか?


主人公が微妙に売れている役者で
鳴かず飛ばずな日常を生きている様が描かれる。
夢と現在がクロスオーバーしながら、一体どっちが現実?!
というのがオモシロい。この手法は以降の作品でも使われてるんですが
この作品は「インセプション」の発想そのものなんです。夢の多層構造。
「インセプション」はその構造をふんだんに生かした映画でしたが
本作は特別生かされてる訳ではありません。
でも、FRESHでしたねー
そもそも映画って夢を見ている感覚が近いし
食い合わせよいと思います。その分、夢オチという罠もあるけど
そこで終わらせないところで、監督の力量が問われるかなーと。

自分が一体どこに向かっているか分からない。
ってことは現実社会でもあるかと思いますが
先行きの不透明さをダイレクトに感じられる作品。
そんな簡単に「探しもの」は見つからないし
夢の中に行っても見つからない。
それ必死こいて探すのが人生じゃね?!

2013年2月14日木曜日

ムーライズ・キングダム



予告の段階でキッチュな臭いがしまくっていたし
ウェス・アンダーソン監督の「イカとクジラ」「ダージリン急行」系
だったので、大阪行く前日にさくっと。
オモシロかった。とにかくかわいかった。
映画全体に通ずる色使いのvividさ、クレジットのフォント
どれをとってもカワイイ。
お洒落なcafeとかで垂れ流しにする映像としては最高なんじゃないすか。
そのぐらい徹底された世界観。これに加えてシュールな笑い。
本作にはブルース・ウィルスも出てて、今年のハードワークっぷりには
ただただ驚いています。しかも、ダイ・ハードで
ある種筋肉バカのレッテル貼られてますが、
彼の引き出しの多さは凄まじいなーと改めて確認した次第でございます。

舞台は1964年で、ある島での子ども同士の駆け落ちがメインストーリー
駆け落ちする男子がボーイスカウトのキャンプから。というのが
個人的にはキマした。なぜなら、私はスカウトだったからです。
ストーリー自体に特段スカウトが影響する訳じゃないけど
ツールとして使われると、なんかあの頃楽しんでいたかも?
と過去をレミニスしました。(22歳くらいまでやってたけどw)
正直、ストーリーにはほとんど起伏が無いし、
のぺーっとしているので退屈といえば退屈。
瞬間に生まれるシュールな笑いにある程度乗れないと結構キツい。
よく言えば、子どもの持っている正直な感情
悪く言えば、 視野の狭い感情が持つオモシロさを堪能できるかなと。
映画内では、子どものほうがスマートで
大人のほうが実は愚鈍で、これは現実社会でもよくあること。
子どもの正論に対して、大人が正面きって回答できなかったり。
この辺は鈴木先生にも通じる部分でした。
映画に対して、何らかのカタルシスを求めている人には
オススメできないけど、映画全体からにじみ出る何かを体感できる
カワイイ映画としてはオススメっす。
あとエンドロールがHIPHOPっぽくて良かったです。

2013年2月8日金曜日

コンテイジョン


町山氏が上杉隆氏を批判するときに、例として出してた映画。
ウイルスパニック映画。
監督はスティーブン・ソダーバーグ。
(オーシャンズ11~13で有名)
普通のウイルスパニック映画でした。
面白かったです。むしろ勉強になったという言い方が正しいかも。

原因不明のウイルスが世界に広まる話。
この状況で、色んな立場からの視点で物語は進行する。
過去作のトラフィック、オーシャンズシリーズも
似たような形式だったから、この形が好きなんでしょうかね。
今回のような現実的な話の場合、多面的な要素があるので
fitしてるなーと思いました。
助ける側、助けられる側が持つ
それぞれの苦悩であったり、問題であったり。
同じことに対処してるのにも関わらず
ちょっとした理解不足で、齟齬が生じる。
しかも、これは死に至るウイルスの話だから。
齟齬ありました 〜
これじゃ終わらない。その結果は死のみ。
この映画はウイルスによって引き起こされる
絶望的な側面だけじゃなくて救われるような場面があることが
良かったと思うポイントです。
マット・デイモンの娘の最後とか相当好きでした。甘酸。
あと香港で拉致された女性の話も。

絶望的な側面は、ジュード・ロウ演じるフリー記者の言動ですね。
いつの時代も「見えないこと」に不安を感じる人はいるし
そこにつけ込む人間もいる。宗教とほとんど一緒。
異常な事態が巻き起こったときに、そのハードルが下がってるだけ。

3.11以降、見えない放射能と共生する日本社会に生きる上で
この映画は見といて損がないと思います。
まじめに怖がれ!

2013年2月6日水曜日

メランコリア



ラース・フォン・トリアー監督の最新作。
実はアンチクライストもすでに見たんですが
ここにレビューし忘れている。。
(宗教色が強過ぎて、なんもいえねぇ。。)
あとマイメンpeko君のレコメンもあり、ブルーレイで見ました。
ものすごい変な映画でした。良い意味で。
新しい形のディザスタームービー。

主人公は女性で、その結婚式から物語ははじまる。
彼女は鬱病を抱えていて、結婚式なのに乗り気じゃなくなってしまう。
結婚式は姉夫婦の豪邸で開かれていて
そこで繰り広げられる人間模様と
メランコリアという惑星が衝突する話。
これ読んだだけじゃなんのことか全く分からない。笑

冒頭アンチクライスト同様、美しい映像のつるべ打ちで
しかも、この映像はこれから起こることを示している。
だから、結末は分かってしまっている。
そこに至るまでを楽しむ映画なんですが
その過程がラース節全開。
そもそも結婚式とラース映画の特徴である
手持ちぶれぶれカメラの相性がよい。
冒頭の徹底した静止映像とのギャップもよいです。
主人公の彼女の気分に、周りが翻弄される様子が
まー最悪なんですよ。この最悪さを楽しめるか?で
好き嫌いが分かれると思います。
ここまでが半分くらいあって、惑星メランコリアの話はほとんど出てこない。
んで、残り半分でメランコリアが
地球に衝突する/しないで混乱する様子が描かれる。
普通混乱を描くなら
たくさんの人間が出てきて阿鼻叫喚というのがお約束。
でも、この映画では1家族+主人公という非常にミニマムな状況設定。
人数絞って、姉妹にフォーカスすることで対照的な作りとなり
真の絶望に直面したときに、人間がとる態度を
分かりやすく提示してくれたと思います。
どういうことかというと
平時の社会では、鬱病である彼女は扱いにくい存在。
けれど、これまでの価値観やコントロール不能な状況に陥ったときに
鬱病の人をハジく正常な人間はどれほど弱いか。ってことです。
状況一つで、人間性は大きく変わると言える。
と色々興味深く見たんですが、この終末思想には同意できなかったなぁ。
プロセスは好きでした。

2013年2月3日日曜日

ラブ&ドラッグ



博士のラジオで聞いて。アン・ハサウェイ主演。
「レイチェルの結婚」が人生BEST10入りしてるけど
この作品はどうかなーとあんま期待してなかったのが正直なところ。
でも、意外に良かった!
なにが良かったって、アン・ハサウェイのおっぱい見れるねんで!
もうぼろーん!やで!


気を取り直して、ストーリーを。
製薬会社のMRとパーキンソン病を抱えるアン・ハサウェイのラブストーリー。
MRはヤリチンなんだけど、なにかが満たされない生活を送っている。
そんな中で、アン・ハサウェイと知り合う。
最初は体だけの関係なんだけど、徐々に恋に落ちる。
でも、彼女はパーキンソン病を抱えていて
そのことが原因であんまり深入りしないようにしている。
こういった状況の中で、お互いがどう向かい合うかっていうね。
パーキンソン病は時限爆弾みたいなもので
徐々に体の自由が効かなくなってくる病気。
現在でも根本的な治療法は見つかっていない。
前半はかなりライトな作りなんだけど
後半にかけて、結構重いというか、この事実を考えさせられるんですよね。
彼が何とか病気を治そうと色んな病院に連れて行くんですけど
それは彼女のためじゃなくて、自分自身のためじゃん!
って突っ込まれるシーンがグサっとキマシタ。
あと刹那に生きる切なさ。
「今」は2度と来なくてよくて、その瞬間ごとに生きる。
毎日何事もなく生活してる中で
自分にできることと残り時間が限られたときに
果たして、この生き方でいいのか?と考えたりしました。
(今の生活に満足してない訳じゃないけど)
全体的にはコメディタッチなんで、サクっとどうぞ。

テッド



町山さんが字幕監修したことで好き者方面に注目され
吹き替えで有吉 氏、また主人公がかわいいテディベアということで
マス方面に注目され、結果大ヒット中の本作。
映画の日に見たということもあり、最終回にすれば結構人が入ってた。
瞬間的にオモシロいシーンはたくさんあったけど
映画全体で見るとウーンって感じでした。
ブライズメイズのときと似たような感触。
子どものときにクリスマスプレゼントとしてもらった
テディベア(TED)が感情を持つ話。この映画のオモシロいところは
TEDも人間と同じように歳をとるということ。
見た目はかわいいのに、中身は酒、女、weedが好きなおっさん。
このギャップで相当笑える上に、下世話さがハンパないw
一番笑ったのは、スーパーのレジで シャンプーを使うところ。
くだらなさ過ぎて、声上げて笑いました。
そのTEDの所有者がマーク・ウォールバーグ。
彼が25年近くTEDと一緒に過ごしたがゆえに
TED依存から抜け出せなくて、彼女とうまくいかない
っていうのが話のスジ。
彼女は何度も彼にチャンスを与えて、真面目に働いて
TEDと遊ぶのやめなよ!って言うけど
性懲りも無くツルみ続ける。
その結果、彼女との関係に問題が出るけど
TED込みでHappy Ending!なオチ。
見終わって感じたのは
マーク・ウォールバーグって結局ダメなままやん!
ということです。
取捨選択せずに、なんとかうまくいくベストの形を見つけた
とも言えるけど、拍子抜け。。
雷のところで動じなかったところで成長したと考えることもできるけど
それだけじゃ、ちょっと甘いかなー
あと各方面で話題になってる字幕問題ですが、僕はアリ派です。
したり顔で原作の良さ消してると言ってるのを散見しましたが
日本の客が分かる可能性の低いUSカルチャーの濃いところなんだし、
字幕で分かりやすくなってて良かったです。
もう1個言えば、
「この映画見て笑えないだなんて。日本人はコレだから云々」
という論調もアホだと思います。
おもしろくないもんはおもしろくないんだから、それでいいんです。

ラストのオチを変えてくれれば、結構好きな作品でした。