2013年4月29日月曜日

The We and The I



ミシェル・ゴンドリー最新作。
2月くらいに予告編で見た段階で、これは間違いないやろなーとか
思ってたら、やっぱり最高でした。
ボクの中では彼の最高傑作です。
(ヒューマンネイチュア、恋愛睡眠のススメは未見)
 トーン的には「僕らのミライへ逆回転」に近かったです。
というのも舞台がブロンクスで、劇中でかかるのが
オールドスクールヒップホップ。さらに登場人物がアメリカの高校生。
そして、個人的に好きな設定である、限られた空間+会話劇。
好きになる要素しかない!
お話としましては、高校生が最終学期を終え
明日から夏休みっていう日の帰りのバスの車中。
そこで繰り広げられる高校生同士の様々な人間関係が描き出される。
そうです、あなたが今思い浮かべた「桐島、部活やめるってよ」の
US版とも言えるでしょう。(実際にそういう感じで売り出しているし)
アメリカのスクールカーストものって大量に作られていますが
(近年だとアメリカン・ティーンとか。超好きです)
この作品はそんな単純なものじゃなくて
相対的な人間関係を描いているのがポイントかなーと思います。
つまり、対人関係が一対一の関係で割り切れるものではなくて
その場の雰囲気に依存していることが、じっくり描かれています。
バスっていうのがミソで、最初はたくさん乗っていて
色んな人のストーリーが紹介されていくんですが
徐々に下車していく中で、この映画が誰の物語であるかが分かる
っていうのはおもしろいなーと思いました。
しかも、最初は高校生のしょーもないノリが延々ずーっと続く。
これがまぁオモシロいわ、くだらないわで
久々に劇場で大声だして、笑いました。(BIG-T最高!
特にフレッシュだなーと思ったのは携帯を使ったギミックの数々。
スマートフォンが普及した状況で高校生がどう活用しているかを
描いているのは初めて見ました。
携帯で撮ったであろう質の荒ーい映像が出てくるんですけど
そこにも必然性ができる、しかも、物語上で重要なファクターを占める。
後半にかけて、最初のバカなノリは生徒がどんどん下車することで無くなり
最後はかなりシリアスなモードになる。
「桐島」はかなり余白を設けた作りでしたが
本作はかなりダイレクトな形で本質をつきます。
要するに自分の確固たる理念とか考えが無く
他人を鏡として自分を認識してんじゃねえよ!っていうことだと思います。
あと同性愛者の話がカジュアルに入ってるのも
今のアメリカの空気を反映してるのかなーと思いますし
クレジット見てたら、名前と役名が一緒…
そうです、全員素人!もうビツクリしました。
それぞれの特徴を把握して、
適材適所で配役したミシェル・ゴンドリーの演出力。
もしくは各人の自力。いずれにせよ、恐るべし。

長々書いてしまいましたが、間違いなく今年ベスト3に入りました。
是非!

セデック・バレ



水道橋博士の番組で紹介されて、知って鑑賞。
ユーロスペースで見たんですけど
整理番号形式で結構後ろやなーとか思ってたら鬼混み。
最近観た映画の中で一番人が多かった。
全部で4時間半くらいある映画で
正直行くのを躊躇してたんですが、行って大正解。
めちゃくちゃオモシロかったです。
実際の事件をベースにしてる話で
日清戦争後、台湾が日本統治下になるにあたって
先住民vs日本軍という構図。
その先住民族のイニシエーションが首狩りだというね。
現代ではあまり想像つかないけど、冒頭で首を狩ることの意義が
ちゃんと説明されてるから、説得力ありました。
元々、何の不自由もなく暮らしていたのに
そこへ文明化という名の植民地化が行われる。
この映画を見ると、植民地化の実態
つまり、単純な制圧だけではなくて、言語、文化、生活様式が
すべて略奪されることの辛さがよく分かる。
侵略した側は変えたことで便利になったからいいじゃん。
っていうロジックだけど、先住民である彼らは必要としてなかったし
それによって失われた民族としての尊厳のほうが大切なんです。
こういった野蛮な侵略に対して
彼らなりの「野蛮」で対抗するのが最高でした。
首を狩ると聞くと単純に野蛮かと思う方いるかもしれませんが
この映画見て、どっちがヒトとして野蛮か考えてください。
とにもかくにもアクションがハンパねぇ!
いったいどうやって撮影してんねんというシーン多数。
前後半に別れているんですが
前半は侵略からの奪還で
後半は日本軍の攻撃にどうやって対抗したかが描かれる。
とくに後半の壮絶さは凄まじい。ベトナムでのゲリラ戦を彷彿とさせる。
基本的には飼いならされるぐらいだったら、死んだ方がマシ
→プライドを尊重するっていうのに感情移入できるんだけど
女の人や子どもにも適用するのが飲み込めなかったです…
あと死んでも祖先が虹の橋で待ってるから大丈夫みたいなのも
受け入れがたかった。しかも最後のシーンで
それが超ダイレクトに表現されてるのはファニーなんだけど
なんだかなぁって感じでした。
個人的には唯一日本軍側についた民族のリーダーのストーリーが好きでした。
pride or dieな価値観で主人公も葛藤していたけれど
1回裏切ってしまった彼にとっては
もっと辛いものになっていたのが、心に刺さりました。
彼はずっと生きること、仲間の命を優先していたけれど
最後にバトルするのは漢!って思いました。

日本人だけど、こんな事件があったことは全く知らなかったし
戦争の話だと日本人の被害者意識モロなものが多い中で
色々なことを考えさせられた良き映画でした。

サイコ


現在上映中の「ヒッチコック」に向けて。
19か20ぐらいのときに、少し映画にかぶれはじめたときに
見ようと思ったけど、結局見なかったことを思い出しながら鑑賞。
約50年前の映画とは到底思えない…めちゃくちゃおもしろかった。
ヒッチコックが発明した映画撮影の手法は大量にあって
映画の撮り方を学ぶなら、学校に行くんじゃなくて
ヒッチコックの映画見て勉強しろ!というくらい。
(今では当たり前となっている主観ショットでさえも
ヒッチコックが発明したっていうのは一番の衝撃でした)

サイコは彼の作品群の中では超低予算なもの。
公開したとき、当時としては異例な途中入場禁止。
映画のオチを口外しない。とか。
ストーリーとしては、やりきれない毎日を生きる女性が
ひょんなことから金を横領してしまい、逃走劇から事件に巻き込まれていく。
サスペンスなので、中身あんまり言いたくないですが…
とにかくミニマルなんだけど、サスペンスとして必要な要素を
すべて含んでいるとでも言いましょうか。
得体の知れない気持ち悪さを映画からひしひしと感じました。
有名なシャワーシーンもしっかり気持ち悪いし怖い。
ラストショットの得体の知れなさも秀逸でした。
ブルーレイをレンタルして見たんですけど
特典がめちゃくちゃ充実してて
メイキング、著名映画監督による「ヒッチコックのここが凄い!」もあるし。
ヒッチコック映画、もっと見たいなーと思わされたし
今、公開している「ヒッチコック」も楽しみ。
なめたらあかん、クラシック。

2013年4月25日木曜日

ハッシュパピー バスタブ島の少女



なんとなく有楽町で。
主演の女の子がアカデミー賞主演女優に
史上最年少ノミネートされたことで注目されてますね。
映画自体は後半が好きでした。
「泥臭くて、少しファンシーなライフ・オブ・パイ」っていう表現が
個人的には一番しっくりきています。

ハッシュパピーっていうのは女の子の名前で
海抜0mのようなとこりに父親と2人で暮らしている。
母親はいなくて自然に囲まれたところで
のびのびと生きている中で 、突然の豪雨で街が水浸しに。
と同時に父親が病気で、そういう過酷な状況で
彼女がどうやってサバイブするかって話。
正直、前半は間延びしている印象でした。
彼女の状況説明がまどろっこしいというか。
6歳の女の子がそんなこと言うかな?って内容が
ナレーションで語られたりするとね…
彼女が不幸な生い立ちであることは分かるけど。
少し退屈と感じ始めたところから、後半の面白さの伸びが!
特に強制退去させられて、避難所に押し込められるところから。
3.11以降、特に年配の人が危険な場所だとしても、自分の土地に戻りたい
っていう話をニュースやら新聞で見る度に、その感情があまり理解できなくて。
この映画を見れば、育った土地への愛情を感じることができるかと思います。
一番好きなシーンはパピーと子ども達がちょっとした旅に出るところ。
ショーパブみたいなところに流れ着くんだけど
そこで、父から聞いていた母親像にぴたりとハマる女性と出会って
父へ思い出の品として持って帰るのがワニの唐揚げw
それに加えて、子ども達がショーパブのお姉ちゃん達に
抱かれているシーンは哀しさと美しさが同居する
最高に映画的瞬間で超アガリました。
ラストも、ハッシュパピーが「死」を圧倒的な「生」の力で乗り越えてしまう。
それをファンシーに描いているのも良かった。
あと特筆すべきなのは、父親のバイブスの高さ!
不器用だけど勢いはハンパないw 何回も笑った。

Who's the men? I'm the men!!

2013年4月22日月曜日

アリス・クリードの失踪



ずーっと見ようと思いながら、見れてなくて、やっとチェック。
なんて「映画」的なサスペンスなんでしょう。最高でした。
映像にしか出せないハラハラ感。だから映画見るのはやめられない。

お話は超シンプル。
2人組の誘拐犯がお金持ちの女の子を誘拐して、身代金を要求する。
こんな話の映画は世の中に腐るほどあるわけですが
本作のなにが凄いて、舞台設定が超々ミニマル。

色んなものに、執拗なまでに何重も鍵かけてるんですけど
この映画を暗示しているといっても過言ではない!
2時間じゃくのうち、95%は室内。
人質を監禁している部屋で物語が進んでいく。男2人と女1人。
しかも、この登場人物の3人の関係性が
単純に誘拐した/されただけじゃないってのも…
見てほしいので、これ以上言いませんが。

普段あんまりサスペンス見ないんですけど
最近の潮流として派手な要素を散りばめた
too muchなものが多い印象。
そういう大きなバジェットかけた作品に対して
「こんだけでも面白い映画作れますけど?!」っていうね。
めちゃくちゃ限られている空間で、こんだけハラハラさせられるってことは
カットの割り方がうまいんだろなーとか思いました。
(どこがどう凄いとかはよくわかりません。)
誘拐自体のディテールの細かさも秀逸。準備段階から丁寧に描いていく。
そのディテールがあとで回収されていくのも爽快。

この密室芸が良過ぎたので、最後のオチのパンチが弱かったけど
とても面白い映画でした。サスペンス食傷気味なあなたへ。

2013年4月21日日曜日

舟を編む



今年は魅力的に感じる邦画に出会えてない中で、唯一期待していた作品。
「川の底からこんにちわ」の石井裕也監督。
「あぜみちのダンディ」「ハラがコレなんで」も見てないんですけど
今日をきっかけに後追いでチェックしたいすね。
そんなことは置いといて、かなり好きでした。
いかんせん「言葉」を取り扱う映画が大好物なボクにとっては
もうたまらん!って感じです。

松田龍平が辞書(舟)を作る(編む)話と、宮﨑あおいとの恋物語の2本柱。
ですが、後者は物語上、機能性はかなり低くて
前者の辞書作りの話がほとんど占める。
正直辞書なんて、大学のドイツ語の授業で母親のを使ったくらい。
それ以来、触れてもいません。
仕事で英語の意味が分からなかったり、専門的な知識で分からないことあれば
インターネットで調べちゃうし。
でも、最近「Wikipediaに書いているから」とか
「Yahoo知恵袋に書いているから」とかを論拠にしてる人みると
なんか違うよなぁと。(全然ボクもするんですけどw)
こんなこと思っていたタイミングだったので、余計に響きました。
映画の好き嫌い抜きで、見終わったあと
確実に辞書が欲しくなることは間違いないです。
日本語の持つ魅力に溢れた映画。
特に好感を持ったのは、紙の辞書の魅力をデジタルと対比しないで
描ききっているところだと思いました。
このテーマなら、アナログvsデジタルの二項対立にしちゃえば
簡単にアナログの魅力が浮かび上がってくると思うんです。
でも、映画内で辞書作成の行程、風景を示していくことで
紙の辞書が持つ純粋な魅力があぶり出されてくるんです。
辞書作るのって10年レベルの時間スケールだってことが映画で紹介されてて。
てっきり完成したカタルシスで終わるかと思いきや
ある出来事で、それが宙に浮いたような状態になるんです。
辞書作りって、完成したらそれで終わりって訳じゃないんですね。
改訂を重ね続けて、ブラッシュアップしていく。
だから、安易にカタルシスを感じさせなない
「まだ航海は始まったばかり」という気持ちを抱かせる。
この点はかなり好感を持ちました。

宮崎葵との恋物語は新明解国語辞典に載っている
「恋」の語釈を説明するためのストーリーやん!と思いました。
大したナニがあるわけではないですが、宮﨑あおいは5億点です。
あとキャスティングもバツグン。
オダギリジョー、小林薫はいわずもがな。
とくにおばちゃんライン。
石井監督のおばちゃんキャスティング好きです。

たぶん、この作品を嫌いな人も一定数いると思います。
物語全体が漂白されているように思えるから。
きれいごとが多くて、ホントの辞書作りは
もっと泥臭いものなんだろうけど、その描写が少なかったかも…
それに該当するのが学生バイト集めたシーンなんだろうけど
彼らの感じがなんか好きになれなかった。。。
そもそも辞書自体が舟と一緒で一ヶ所でも抜けがあると
舟が沈む=辞書として機能しないから
物語全体も整った方向になるのは致し方ないとも思います。

原作は本日買いましたので、読み終わったら追記するかも。
あと国語辞書も買おうと思います。日本語、おもしれー!

レザボアドッグス



実は見てなかったんです。。
もしかしたら、シッタカ顔しながら
話を合わせていたことがあったかも…
ここでお詫び申し上げます。

いわずもがなのタランティーノ作品。彼のデビュー作。
いやーこれがデビュー作とかもうスゲエよ!
最高じゃん!映画!
彼の一貫した会話劇スタイルはこの時点で
もう十分な完成度を持っていると思いました。
冒頭のマドンナの「Like a Virgin」の解釈
チップシステムへの異議とかで、すでにガン上がり。
本作はチームで強盗したあとの話で
そのメンバー間での一悶着を
彼らの強盗にいたるまでの背景を挟みながら描いていく。
強盗映画なのに、強盗シーンがないというねw
これがデビュー作だから、お金なかったからなのか
アクションは他の作品に比べると少ない。
だから、見た目は地味に見えるんだけど
その分、もう会話、会話、会話!水かけ論から意味のある話まで。
トリッキーな編集とともに最後まで駆け抜ける。
ラストシーンも味わいあったな〜
でも、WhiteがOrangeにあんだけ肩入れするのは
もうちょっと描写が必要かなーとか思ったけど。

これ見た後だと、去年見たSUSHI GIRLは凡作にしか見えないすね。。
公開されてから20年経ってるけど、色あせないマスターピース。

2013年4月20日土曜日

ウォッチメン


実は見てなかったシリーズ。
異質ヒーローものとして好きでした!
でも、ちょっと尺が長過ぎたかも…
監督は「300」とか「エンジェルウォーズ」のザック・スナイダー。
ボクの個人的な印象は
スローでグイーっとアクションを見せてくれる人。
ざっくりし過ぎかな…笑
本作は80年代の冷戦時が舞台。
アメリカとソ連の核戦争勃発直前の世界で
自警団ヒーローたちが続々と殺されていく。
そんな中で生き残ったヒーロー達が活躍するんですけど
物語のテーマにしている内容が好きでした。
少数の犠牲を伴うことで、大勢を救うこととは?
しかも、それが倫理的には間違っているとすれば?
よくアメリカで言われる
「原爆落としたから、第2次大戦が早く終結してよかった。」
みたいな論調へのモロなカウンター。
(Dr.マンハッタンの力の源が原子力というところも)
民主主義の基本的な考え方としては
多数の意見を尊重し、少数の意見はなかなか汲み取られないのが現実ですよね。
そこに抗うのが、ロールシャッハという人。
彼がとてもかっこ良くて好きでした。
彼が日記を書いてて、それがナレーションで語られるんですけど
冒頭のところとかタクシードライバーのトラビスっぽくて、超アガッた。
街のダニども死に失せろて的なね。

ヒーローもので、ここまで突っ込んだテーマっていうのが凄い。
原作をアマゾンでポチッたので、とても楽しみ。

2013年4月16日火曜日

ブロンソン



レフン監督作品。(ドライヴのね
周りの諸先輩方の評判は良かったけど、あんまり好きじゃなかったです。

実在するマイケル・ピーターソンという囚人を描いた映画。
何者かになりたい願望を持った彼が自己を表現する方法として
ただひたすら暴力をふるいつづける。
こっちとしては動機が見えないから、最初はただの超暴れん坊にしか見えない。
終盤にかけて、とくに一旦釈放されてから見える人間味が分かると
あーこの人には暴力しかないんだ!と共感を覚える。
大人になると、子どもの頃のように理不尽な暴力を見たり
経験したりすることが、ほとんどないから
そういう意味ではアガります。あぁ、嫌だ。ってw

ここまで読んでいただいて分かるように
ボクはあんまり意味の無い暴力があんまり好きではありません。
さらに、自分の自信あるものが否定された結果
最終的に暴力に逃げるのは正直いただけないけど
人間誰しも心の中に数%は持ってるやん。その要素。
それを大きくして映画で見せてくれたと思います。

映画のビジュアル的には最高なので、男子には見て欲しいです。

2013年4月11日木曜日

マイレージ、マイライフ



ジェイソン・ライトマン監督作品。
昨年公開のヤング・アダルト、JUNOに引き続き、鑑賞しました。
とてもオモシロかったです。最近DVDで見た中では一番アガりました。
これまで見たジェイソン・ライトマン作品の中で一番かも。

主演はジョージ・クルーニー。
彼の仕事はリストラ代行人。US中にある色んな会社のクビ切り稼業で
毎日出張三昧。そんな生活も彼が望んだもので
飛行機に乗ると貯まっていくマイルが彼の生き甲斐。
出張生活で彼が見いだした人生の方程式。
それが極力モノを持たないということ。そこには人間関係も含まれる。
「断捨離」を究極に極めた男。
そんな彼が仕事のイロハを分かっていない新米女性社員と
仕事をともにすることを中心に物語は進んでいく。
同時並行で、ある女性との恋模様も描かれる。
って感じのストーリー。

ジョージ・クルーニーが男から見ても死ぬほどカッコいい。
というか、冒頭で語られる彼の人生のスタンス(とくに結婚観)に
死ぬほど共感してしまった。超自由。
だから、オモシロいと思えたのかもしれません。
新米社員とのチグハグコンビっぷりはバディムービーとして秀逸。
リーマンショック以降のアメリカ社会に取り巻く問題も
うまく取り込んでいると思います。
個人的にはもう一つのメインストーリーである恋模様が切な過ぎて。
ずっと、友達関係、恋愛関係も能動的に希薄にしてきた彼が
本当に好きになったのに、あの結末を迎えるのは特にキツい。
最新作のヤング・アダルトとも通じる辛さ。
しかも、妹の旦那が直前で結婚式に対して
グズるのを説得するシーンのあとだから余計にね。
「一番楽しかったときを思い返してみろ。
   その記憶は決して1人ではないはず」ってセリフは
もう独り身へのラストワードでしょw

この2つのストーリーが前半から中盤までは
楽しそうな感じなのに、終盤にかけて両方とも
悲劇的な結末を迎える鬼畜演出は最悪でした。(褒め言葉)
しかも、特典映像でカットされた素材が入ってて
そっちはもっとキツい内容でした。
この映画には色んな要素が含まれてるんだけど
ジョージ・クルーニーの旅行かばんの中身のように
整理されていて、ホント言うこと無し。

あなたのバックパックには何を詰め込みますか。
ってことを考える良き映画。是非に。

2013年4月9日火曜日

クラウド アトラス



定時上がりで華麗にキメました。丸の内ピカデリー3。
初めて行ったんですけど
スクリーンがとんでもなく大きくてビックリしました。
劇場も大きいので、広々見れました。
上映3時間という最近見た作品ではかなりの大作。
ウォシャウスキー姉弟はマトリックス3部作品が一番有名だけど
Vフォーヴェンデッタも見ていたことを思い出しました。
本作はもう圧倒的!な映画でした。
こんな体験できるのは映画館で映画を見ないと、絶対に無いですね。
劇場出たあと、銀座の街中で
「この世界も連続した運命の中の一瞬でしかない」と思うと
猛烈な虚無感に襲われましたw

物語の構造としては、6つの物語があって
それぞれ時代、場所も異なる上にシャッフルして話は進んでいく。
正直一回見ただけだと、物語の全体像を把握するのと
個々の話についていくので精一杯でした。。。
まだ見ていない方はある程度の情報(時代とか)を入れとくと吉。
ざっくばらんに言うと、輪廻転生の話なんだけど
それだけじゃないのがオモシロかった要因です。
〜の生まれ変わりとか死後の世界の話は全く好きじゃないんだけど
この映画を見ると、圧倒されちゃって
「もしかしたら〜」と考えさせられちゃう。
1849年、1936年、1973年、2012年、2144年、スゲー未来
の6時代なんだけど、2012年の話が一番牧歌的。
全時代を相対的に見る神の視点を観客に体感させてくれる中で
今はそれほど不幸ではないのか?!と感じました。
お話の中身で一番好きだったのは未来かな〜
やっぱ ウォシャウスキー姉弟の描く未来は
超魅力的であると同時に超絶望的なところも見せてくれるのが好きです。
ほぼ100年後の世界なんだけど、妙にあり得そうなリアリティライン。
特に2144年とスゲー未来でのペ・ドゥナの存在の扱い方は
興味深かったなー宗教の構造を揺るがしちゃうような。
どの時代も欲望とそれに伴う争いの話。
そして、どの時代にも己の欲望のみでいきてるやつはいるし
「これだ!」というドンピシャな解決策はないんですね。
それでも残っている1%の可能性にかけようぜ!というね。

これは映画館で見た方がいいやーつ。オススメ。

2013年4月7日日曜日

天才マックスの世界


ウェス・アンダーソン監督作品。
これまで見てきた彼の作品の中では、結構好きなほうでした。
彼の作品を5本ぐらい見て感じたことは
映画の冒頭で、その設定に共感できるか/できないかで、
好き嫌いが大きく線引きされてしまうこと。
映画自体にカタルシスが生まれるような作りをしていないし
なおかつファンタジックな要素も多いから、好き嫌いがハッキリ分かれる。
(日本でいうと沖田監督の作品とかは近いものがある)
あと、音楽の使い方だけは毎回最高!

本作はマックスという高校生の物語。
勉強はまるでダメだけど、課外活動にはtoo muchなほど全力。
そんな生活の中で、同じ構内の小学校の先生に恋をする。
その女性をオッサンと取り合うっていう話。
学校もので普遍的な部分多いから、この設定にはすっと入れました。
マックスは彼女をひきつけるために、持ち前の行動力で
ラテン語の廃止阻止のために奔走したり、水族館作ろうとしたり。
でも15歳のマックスは、その年齢ゆえに相手にされない。
マックスはボンクラ感満載だから最高なんだけど
人への伝え方が下手クソ過ぎて、ダメなんだよな〜って何回も思うのが楽しい。
最後の最後のシーンがドラマティック。


ウェス・アンダーソン監督の作品群の中では上位のほう。

2013年4月6日土曜日

シュガー・ラッシュ



予告編見た段階で、子ども向けだなーとか感じながらも
ホフディランの小宮山さんが激押ししてたので拝見。
結果、、、何たる傑作よ!
見た目は完全に子ども向けなんだけど、内容はモロに大人向け。
いわゆるOnce Ageinもの。
Looserが色んなことを経験して成長するという
世界のボンクラ野郎に向けた映画なのです!

主人公はラルフという、あるゲームの悪役。
彼はゲームの中で色んなものを壊す役割を担ってて
それ故に皆から嫌われてる。友人もいない。
そんな彼が皆から認めてもらうために
ヒーローのメダルをゲットしようっていうのが物語の始まり。

先に映画のLookの話を。
冒頭で、色んなゲームの悪キャラ達(ザンギエフ、クッパ、ベガとか)が
US映画でよく出てくるセラピー調で
それぞれ悪役としての苦悩を語るシーンから、すでにオモシロい。
トイ・ストーリー的な要素があって、ゲームセンターが閉まってからが
彼らゲームキャラクターの活動時間。
ゲーム中で動いているのは「労働」という捉え方がフレッシュ。
さらに各ゲームが繋がっている電源タップが
それぞれのゲームに繋がるstationになってるのもフレッシュ。
というように、映画中の色んなギミックがとにかくアガる!アガる!
(8bitからpixarよろしく滑らかになるところとか)
音楽の使い方もSkrillexのバキバキのEDMとかRihanna、
Cool and the gangまで。幅広く適材適所で使われている。
中でもAKB48の曲がすげーいいし、Popな世界観との相性が絶妙。 



劇中でサビだけかかって、なんかAKBっぽいなーとか思ってたら
エンディングでかかって、やっぱり!ってなりました。
色々調べたら、この映画向けの書き下ろしな上に
日本版だけじゃなくて、本チャンで使われているという衝撃の事実。
 洋画、邦画問わず日本の曲がエンディングの場合
なんの脈絡もなくて、どんな良い映画みても最悪の気持ちで
劇場をあとにすることってあると思うんです。 
(曲自体のクオリティとは関係なく)
単純にAKBだからクソだっていう論調を見かけたので
それはお門違いのバカな意見だと言っておきましょう。
この曲のPVが蜷川実花だと知ったときの切なさも言っておきましょう。

話に戻ると、もう1人主人公がいて
それがシュガー・ラッシュというゲームのキャラクターであるヴァネロペ。
ラルフとヴァネロペがひょんなことからタッグを組み
レースで勝つことを目標として、ともに行動する。
ここからはバディムービーになって、2人が協力して
何とかレースに勝つために様々な工夫をするんです。
孤独という共通点を持ち 、それを支え合う。
狂えるほどに愛おしく思えてくるんですよねー
しかも、ヴァネロペは子どもでラルフは大人なんですが
ヴァネロペとの友情を通じて、おっさんのラルフが
色々なことに気づき、成長するというね。
コチトラおっさんは号泣するしかないわけ!
ヒーローになれなくたって、誰かのために一瞬輝ければいいわけ!
皆がそれぞれの役割を担っていて、それで世界は成立しているし
そこでどんだけヤレルかってこと!

ここまで述べてきた通り、映画としてのLOOKは抜群
ストーリーも最高という、今年屈指の出来の映画でした。
2Dで見たので、3Dでもう一回見に行きます。
見た目で敬遠してる人も是非見て欲しい作品です!

2013年4月3日水曜日

"unprincipled"



雑多な感じですが、BGMにどうぞ。