2013年7月24日水曜日

風立ちぬ



この夏、最大の話題作といっても過言ではないでしょう。
公開した土日はどこも劇場は激込みだったので、平日レイトショーで。
最初に映画館で30秒予告見たときは
「ふーん」ぐらいやったんですけど、TOHO系の映画館でやっていた
4分間予告があまりにも素晴らし過ぎた!(上の動画参考)
ゆえに期待値あがりまくってました。
単純に「話としてオモシロいとかオモシロくない」
という二元論で語れない映画だと思いました。
ハヤオ、なんかすげぇ。という印象です。

堀越二郎という飛行機の設計士の半自伝的映画。
彼が設計士として活躍した第2次世界大戦ごろが舞台です。
飛行機の話と奥さんとの悲恋的エピソードで構成されてます。
前述したとおり、話はとても地味です。
淡々としていて、物語の起伏がなかなか感じられない。
それに加えて、主人公の堀越二郎の声をエヴァの監督である
庵野氏が担当している訳ですが、これが違和感ありまくりw
しかも主人公は超マイペース。
こういった要素から主人公にも感情移入しにくい。
オレはジブリストでもなんでもないけど
こんなに地味な作品はジブリで見たこと無いです。
あれだけ数々のクラシックを作り倒してきたハヤオ。
しかも、題材はオモシロくなりそうな要素がふんだんに含まれている。
その彼が、齢72にして本作を作ったということを
逆説的に考えてみる必要があると思います。

物語が退屈な分、観客側はなにか別な要素をスクリーンに求める。
そのときに強く印象に残るのは日本の風景。 
言い換えるならば、ハヤオの日本という「土地」への愛情です。
初めてジブリ映画を劇場で見るからなのか分かりませんが
美しくて、はっ!とするシーンが とても多かったんです。
日本にはこんだけ美しい自然があったんだと言わんばかりに。
だから、今回は画で徹底的に語りたかったじゃないかなと。
その画を圧倒的な強度でやりきるスタジオジブリの凄みを楽しめる。

ストーリーがつまんないとか地味と言ってきたけど
飛行機作りのところは結構好きでした。
ギミック的な部分もそうだし
「ものづくり」が 抱えるアンビバレントな側面ですよね。
技術者としては「いいものを作りたい」という気持ちしかない。
たとえ、それが兵器として利用されることが分かっていたとしても
より素晴らしい飛行機を作ることへの情熱を抑えることができなかった。
多分ここもイライラする人はするんだろうけど
オレはあるシーンでグッときてしまいました。
菜穂子のお話はあんまり…
甘酸eyeで見るとかなりキテました。

色々と書いてきましたが、見終わったあと
人によって全然見方ちゃうやろなーとか考えてたら
こんなものを劇場入口でいただいていた。



なんか凄いもん見たな感とジワジワくるスルメ感。
劇場で見て、このザワザワ楽しむのをオススメ!
(デートと子連れは全くオススメできません。)

【追記】8月4日に友人の付き添いで、2回目を見ました

2013年7月22日月曜日

台風クラブ



昨年の名作、「桐島、部活やめるってよ」や
「おおかみこどもの雨と雪」にも影響を与えたという本作。
ずっと見ようと思っていましたが、やっと見ました。
1985年公開なんですが、このアバンギャルド…
自主規制もクソもなかった時代なんだろうなと思いました。
とんでもないものを見てしまったぜ。

主人公は中学生。
冒頭から汚い夜のプールでの事件から始まる。
夜のプールって綺麗なイメージがなんとなくあるんですが
緑色で汚いんですね。起こる事件も含めて、この時点で不穏。
ここで主要な登場人物がほとんど出てくる。
台風がやってくるまでは基本的には
淡々と人物紹介をふまえた中学生ライフが描かれる。
淡々というのは内容のことで、その撮り方が普通じゃない。
やたらと引きの固定ショットが多いし
その手前に障害物があって、それ越しのショットとか。
まぁ内容も三浦友和の彼女のおばさんのくだりとかも
クレイジーなんだけどねw
そして、タイトルにもあるように「台風」がやってくる。
ここからが本映画のアヴァンギャルド全開。
私は80年代後半を自分の目で見た訳ではないので
何とも言えないですが、ここまで突っ込んでるのは
やっぱすげえなと単純に思いました。しかも、面白い。

大きく分けて、3つで構成される訳ですが
① レイプ未遂
② 工藤由貴の家出
③ 学校での乱痴気

①は前半で少し前ふりあったんですが
「ただいま、おかえり」のフレーズが
こんなに怖く聞こえることあるんかよ!って。
詳しくは自分の目で見てほしいっす。
②はこの中で一番ソフトかも。
彼女が家出を決心するシーンが秀逸。哀しいシーンです。
③が最もクレイジーです。
you tubeで少し探せば該当シーンが出てくるので
興味ある人は見てみれば良いよ。
わらべの「もしも明日が」の使い方が…
これからは絶対作れないシーンです。

どれも親、もっと言えば母性を求める子どもの話だと思えました。
色んな子どもが出てくるし、彼らの家も映画内で映るけど
親の姿は一切映らないし。

終始すげーな!と思いながら楽しんで見ていたけど
最後が「あぁ…」というエンディング。
その後、物理的な光に満ちあふれてるんだけどさ。。
個人的には三上君に感情移入してたからショックでした。

桐島好きな人は見てみればいいと思います。
(上のyoutubeはフル尺でアップロードされてます。)

2013年7月21日日曜日

ベルリンファイル



ハ・ジョンウが主演ということで見に行きました。
超スリリングでかっこよかったし、おもしろかったです。
ハ・ジョンウのアウトローものはそれだけで楽しい。
正直、ストーリーが結構複雑で全体像を把握できるのは
中盤から後半になった頃でした。
なので、これから見る人は少し予習しておいてもいいかも。
(上の予告編で十分です)
ハ・ジョンウがベルリンで活動する北朝鮮の工作員で
彼が様々な形で追い込まれていくという話です。
冒頭からバキバキの音楽とPVっぽい演出でガン上がり。
とくに魚を水で解凍して、その腹から鎮痛剤取り出すところとか
フレッシュというか、CRAZY過ぎて最高。
この冒頭にいたるまでに何が起こったかという形でが始まる訳ですが
色んな人物が出てくるわ、矢継ぎ早のアクションがあるわで結構混乱する。
でも、このストーリーに付いていこうとする興味と
ハンパじゃないアクションのおかげで興味は持続します。
今回のアクションは去年みた「ザ・レイド」級に凄まじい。
映画秘宝の監督インタビューを読んだところ
北朝鮮の武術を取り入れてるらしい。
あと、倒され方にもこだわったと書いていました。
確かに、倒れるときに突起物や岩に叩き付けられるのが多かったし
全体的に痛さがビシビシ伝わってくる。
マンションでの落下シーンは「ピタゴラスイッチか!」という
ツッコミがピッタリやと思いますw
あんまりネタばれしたくないので詳しく説明しませんが
ハ・ジョンウは追われる立場になる訳です。
しかも奥さんが人質に取られると。
それを韓国人の刑事と救出するのがラストシーン。
ここでの、あるギミックで攻守逆転するところは最高!
でも、その後のガス爆発のところで
急にCGになって物語のリアリティ感が欠如しちゃう…
ここはホントにもったいないと思いました。
そっからの白兵戦は地味といえば地味なんだけど
70~80年代のアクション映画を彷彿とさせるので、楽しめました。
そっからのオチがso coool !!
憎しみの連鎖にしか生きれない男の性、しかと見届けました。
これは劇場で見たほうがいいで!

2013年7月20日土曜日

プロジェクト X



NHKの番組ではなく、「ハングオーバー」シリーズの監督である
トッド・フィリップスが製作に携わっている作品。
日本では劇場公開されず、DVDスルーですが
おもしろかったです。いや、楽しかったというべきかな。
高校生版ハングオーバー的な。

イケてない高校生3人組のうちの1人の誕生日パーティーが舞台。
その様子を仲間の1人が撮影していたという
フェイク・ドキュメンタリー設定。
アメリカのパーティーって映画でよく見ますけど
そこに来る人であったり、パーティーの規模が1つのステータス。
主人公のボンクラたちは日々学校で冷遇されている訳ですが
この誕生日パーティーで、ひっくり返してやろうと目論む。
まーなにが面白いって、パーティーのインフレーション性!
最終的に取り返しのつかないところまで行きつく訳ですが
この映画がDJ的。(映画にもDJは出てきますが)
盛り上がりどころと落としどころをがイイ感じに設定されてる。
とくに警官が来るところは、一巻の終わりか?!と思うけど
そこからのカタルシスがハンパじゃないw
手持ちカメラ感も込みで
自分もそのパーティーに参加してるかのように錯覚する。
前半の楽しい展開でぐっと引き込まれるから
後半の恐ろしい展開も我がことのように思えちゃう。
1個1個のシーンで面白いところ多いので
パーティー見てるだけなんだけど、飽きない作りなのもナイス。
最後の無理矢理なハッピーエンドは「えっー!」って思いましたw
映画のつくりとしては、突っ込みどころ多いけど
イケイケドンドンで楽しいので、是非。

2013年7月18日木曜日

アウトロー



某先輩曰く、「今年は不作の中、アウトローが良かった」
と聞きつけて、ブルーレイで。
劇場で予告編は何回も見てて
そのたびに天の邪鬼精神を発揮し、絶対おもんないやろなー
と思っていましたが、想像していたものとは異なり
良かった!やっぱ見ないと分かりませんな…
劇場で見といたら良かったと後悔しました。

リー・チャイルドというイギリスの作家が書いた小説を
映画化したものが本作。その主人公の名前がジャック・リーチャー。
(原題はJack Reacher)
ある無差別事件について、その犯人の弁護士とともに
リーチャーが捜査するという話。
なんといっても物語全体のトーンが想像と全く違った!
予告編では、いかにもトム・クルーズの商業映画感を
ビンビン感じてたんですが、実際のトーンはかなり低め。
最初に起こる事件は単純なんだけど
冒頭5分弱、台詞なしで淡々とカッコよく見せながら
事件を見せるというのはいいなぁと思いました。
リーチャーは謎に包まれた超無敵野郎。
その無敵さを表現しながら、事件の捜査が進んで行くといった感じ。
僕が一番好きだったのは、狙撃練習場のおっさんとのバディですね。
特に採石場での最初の銃撃シーンは最高でした。
音楽なしで緊張感もありつつ、おっさんのファニーさもあるし。
その後の急に殴り合うところも最初は「なんで?!」と思ったけど
「そうや!こいつのことは殴り殺すって言ってた!」と思い出したり。
公衆電話から犯人に電話かけるところも
アホっぽいけど、シリアス。って感じで楽しい。

最後のリーチャーの選択も、一方的な正義感というよりも
これまでのリーチャーの言動を考えると納得できたっす。

私のようにトム・クルーズ映画と半笑いで考えている方は
是非見てほしいと思います。オススメ!

2013年7月15日月曜日

キッズ・リターン



大橋裕之氏の「遠浅の部屋」という漫画を読んだことをきっかけに。



むちゃくちゃ好きでした。。。超シビレタ。
北野武監督作品の中でも一番好きかも。
2人の高校生が主役で、まだ何者でも無い瞬間
そして、何者かになることへ努力することの尊さが
映画内で克明に描かれているんですね。
北野武にしか撮れない青春映画。

2人の高校生が主役。(金子賢と安藤政信 )
2人とも高校から半分ドロップアウトしちゃってて
何する訳でもなく、てきとーに悪いことして、高校生活を送っている。
そんな中で、ふとしたことをきっかけに
2人はボクシングを習い始める。
でも、金子賢は自分の才能の無さに気付いてやめちゃう。
ここから2人は別々の道を歩み始める。
これがねー辛いというか痛いんですよ。ヒリヒリ。
安藤政信は能動的にボクシング始めた訳でもないのに
変に才能があったから、続けてる。
一方で金子賢はどうしようもないから893になっちゃうし。 

18、19のころって自分は一体何者であるか?
という禅問答をする時期だと思うんですね。
オレは高校ではバスケと勉強がすべてだったから
ほとんど思考停止で何となく大学に入って。
その大学で周りに全く馴染めなかった。
あのときの感覚が映像化されたような、そんな感じでした。
「自分はこういう人間だ」って思える人が強いんだろうけど
そうもなれない瞬間は皆が味わったことがあると思うんです。
そして、気付くと社会の歯車の一部と化している。
それが良いとか悪いとかではないけれど
この現実を受け止めきれるかどうか。
とくに最近はSNSがあるから、そこで瞬間風速を吹かすことができれば
誰もが何者かになれる可能性は昔よりも大きい訳ですよ。
その分、あきらめきれない部分も多くなってる。
だけど、そこであきらめていいのか?
妥協で生きてもいいのか?ってことを問うてくる映画なんです。
リーマン→タクシーの運ちゃんで働いてる子のエピソードと
上述した2人のエピソードの対比で、痛烈に伝わってくる。

でもさ、オレ達もう終わっちゃったのかな?
バカヤロー!まだ、始まっちゃいねえよ!

2013年7月14日日曜日

TOKYO!



恋愛睡眠のすすめの予告編で見かけて。
3本のオムニバス作品で
監督がミシェル・ゴンドリー、レオン・カラックス、ポン・ジュノ。
こんなとんでもないメンツの
東京を舞台にしたストーリーが見れるというね。
どの監督も自分色で東京を染めて描いていたので、おもしろかった。
それぞれについて、サッと書いておきます。

① インテリア・デザイン(ミシェル・ゴンドリー)
あるカップルが東京に上京してきて
彼女の家の友達の家に居候しながら、家を探す話。
これだけ聞いたら、なにがおもろいねんと思いますw
でも、ミシェル・ゴンドリーの描く東京という面白さで
楽しんでみれました。加瀬亮氏が若手映画監督の設定。
この映画もちょろっと見れるですが、そのシュール性たるや…
演出や彼自身のキャラ等があいまって、むずがゆくなりました。
一方で彼女は東京という街に翻弄される。
家もろくなのがないし、車は撤去されるし
友達からも陰口たたかれるし。
この辺は上京論として面白いと思います。
そこからまさかの展開でラストを迎えて、タイトルの意味がそこで分かる。
ミシェル・ゴンドリーのファンタジー感が好きな人はオススメ。

② メルド(レオン・カラックス)
東京の下水道に住んでる怪人が東京で大量殺戮を起こす話。
この作品は3作品中、一番起承転結がはっきりしてると思います。
この大量殺戮を繰り返した怪人は捕まるんですが
そこからのストーリーが興味深かったです。
死刑にするとか、しないとか。
メタファー云々あると思うんですけど…
3つの中では今イチな感じでした。

③ シェイキング東京(ポン・ジュノ)
この3作品で一番好きだし、一番ぶっとんでました。
香川照之氏が主演。
彼が10年間引きこもりしているという設定。
しかも、超几帳面で1weekの予定がfixしていると。
その予定の一つで、ピザを頼む日がある訳です。
そのピザの配達員が蒼井優。
10年間、人に会ってないけど、彼女に恋をし会いたくなって、外に出る。
タイトルに「シェイキング」とありますが
これは地震を意味していて、その地震が物語のターニングポイントを担う。
正直、物語としては結構地味に見えるんだけど
なんかすげー面白い。映画的な魅力に溢れてるというか。
そもそも蒼井優のこと全然好きじゃなかったのに
見終わったあと、so cuteな気持ち芽生えたし。

異邦人から見たTOKYOという街を楽しめるので
東京在住の地方出身者の人は楽しめると思うよ。

2013年7月13日土曜日

恋の渦


評判になっていたことは知りながら、やっと見れました。
単館でなおかつレイトショー、しかも東京のみという
非常に限られた上映環境。
こんなに面白いものはみんなに見てほしい!と思います。
もともとは三浦大輔氏の舞台なんですが
それを大根仁氏を監督に迎え、映画化。
大根仁氏はモテキ以来、劇場監督2作目なんですけど
モテキの10億倍面白い!恋愛ドラマやらせたら天才やで…
有名な俳優は誰一人出ていない。
でも、圧倒的なリアリティと部分的な極度のデフォルメにより
めちゃくちゃ笑える上に共感も呼ぶという
奇跡的なバランスを達成していると思います。
男女8人の色恋沙汰で、舞台は3つの部屋のみ。
密室+ 会話系という私の好みの設定。
男性陣はいわゆるオラオラ系、メンエグ的な。
女性陣はショップ店員という設定で、ギャル系。
その中の1組のカップルが彼氏・彼女のいない男女のために
カップルの部屋でコンパを開くことから、物語が始まる。
この冒頭の情報量がとてつもない。観察映画的というか。
1つの部屋の空間をカット割りながら、色んな角度で見せてくれるんだけど
まったくどこにもフォーカスしないし、そのフォーカスしているときにも
他の人の声で、なんにも聞こえない。
まさにその場にいるような臨場感を味わえる。
この映画で何よりも素晴らしいのは、役者の人たち。
配役の妙もあると思うけど、キャラ立ち具合が最高。
この8人全員が違うキャラで、人間の持つ嫌な部分をそれぞれrepしてる。
オレはこの映画に出てくる人とは真逆なNERDなので
基本的には俯瞰してゲラゲラ笑っているんだけど
瞬間瞬間で「うわー」って思えるのが面白いと思います。
見た感覚としては桐島に近いっす。
見終わった後に色んな人と話したくなるし。
桐島が描けなかった男女間のエロを伴った恋愛を徹底的に描いています。
(おぱーいは出てこなかったけど)
ラストは劇場全体が「ひーっ!」ってなってましたw
もっと色んなこと言いたいけど!
劇場で見た方が楽しいけど、DVDでもいいからさ!
映画好き嫌い関係なく、是非見てほしいです!

2013年7月9日火曜日

選挙2



前日に「Peace」を見て、最高と思っていたし
「ニッポンダンディ」の金曜日で
想田監督が観察映画を紹介してたし。
つまり、万全の状態で見ました。

前回の「選挙」という映画が
旧態然とした自民党Steeloのドブ板選挙を通して
日本の選挙制度、ひいては民主主義の現実をあぶり出すという超傑作でした。
で、過去の自分の感想を見返したら、映画の出来が良過ぎて
選挙制度に対する怒りに満ちあふれた感想になってましたw

今回も勿論最高でした。
前作に引き続き、選挙というシステム自体に考えさせられたなぁ。
この映画は2011年4月に行われた
川崎市議選の様子を描いたドキュメンタリー。
この市議選に山さんが出馬すると。
しかも、このときはドブ板の真逆で何もやらないという方法。
ポスターのはり直し、新聞公示、はがきのみ。
全くなにもしない山さんとその周辺
および他の候補者の選挙活動を交えて、物語が進んでいく。
3.11直後ということもあり、あの当時の何か異常な空気が
真空パックされてるという意味でも今見るべきだと思います。
過度な自粛から節電、放射能に対するマスクetc...
そして、山さん自身の脱原発のスタンスが最も象徴的だと思いました。
あの当時、ネット上では原子力専門家から
大した知識を持たないジャーナリストや素人まで
全員が何かを知った気でいた瞬間がまさにあった。
正直ファニーなシーンが多いから、そこまで気にならないけど
ここも重要なポイントだと個人的には思います。
約2時間半のなかで、面白いシーンは山ほどあるんだけど
やっぱり自民党の議員とのやり取りが
ハイライトであるのは間違いないでしょう。
上映終了後にトークショーがあって
そこでも想田監督が言っていましたが、このシーンを使うの迷っていたけど
引いたら負けだと。そこから憲法21条の話まで聞けて
そんなことが…と自分の無知具合と自民党の浅はかさに萎えました。
前作の「選挙」のことを良く思っていないってことを
引き出せたのも超痛快。
ドブ板選挙という手法で、これまでずっと当選という結果を出してきたんだから
ドヤ顔しとけばいいのにね!「これがオレたちのやりかた!」って。
あと、東京来てから感じてたんですが
最寄りの駅で辻立ちしてる人がものすごい多いんですね。
でも、出勤する人や帰ってきた人達に挨拶しかしないことが多くて。
なんでかなーと思ってたら、それをある候補者が説明してくれてました。
そのシーンもめっちゃおもろいんですけどw
映画見てると、山さんがなんでこんなに当選できる自信満々なのか
全く分からなかったけど、トークショーで無限のポジティブバイブス感じて
色々と腑に落ちました。笑
公開場所は限られてるけど、前作「選挙」でも見てから
選挙について考えて、参院選行けよ、バカヤロー!

10人の泥棒たち



結構、前から楽しみにしていたのに、2週間限定上映。
いわゆる「誰得」
六本木まで朝イチで見に行きましたよ。
おもしろかったけど、期待値上げすぎたかな…
オーシャンズ11の韓国版といっても差し支えないと思います。
といっても韓国映画ですので、複雑な人間関係もあります。
上映時間140分ぐらいあったけど、楽しめました。
前半がマカオのカジノ強盗、後半はその後の話。

冒頭で韓国チームの強盗法をサクッと紹介してくれるんですね。
ナイスオープニング。
タイトルにもあるように、10人の泥棒が出てくるんですけど
これが中国と韓国の合同チーム。
それぞれが思惑を持ちながら、マカオでの強盗に挑む。
ケーパーものとしての十分に楽しめました。
とくに日本人夫婦のふりしたチームの確信的なベタ感。
10人それぞれの魅力が凝縮されてるす。
この強盗がある結末を迎えた後、10人の強盗から
どんどん限られた人物にフォーカスしていく。
後だしで過去のエピソードがどんどん出てくるのは
後乗せサクサク感が否めない…
でも、人間関係がコロコロ入れ替わるし
アクションがハンパ無いので、あんまり気にならないとは思います。
冒頭の軽いジャブから終盤にかけて
スケールがどんどんデカくなってくるから、興奮しまくりなんですね。
あとチョン・ジヒョンのコメディエンヌぶりね…
最高やないかい…最高やないかい…(2回言っとく。
尾野真千子にセクシーさ増した感じ。
「猟奇的な彼女」とかも見るよ!

韓国のスター勢揃いだし、オーシャンズぽいっちゃぽい。
前半の祭り感ろ後半のギミックの組み合わせで楽しめると思います。
もう終わったから、DVDでみればいいんじゃね!

Peace



まだ「選挙」しか見れてない想田監督の作品。
近くのレンタル店で見つけて、やっと見れました。
想田監督の「観察映画」という手法については
下記の本に綺麗にまとまっていますので、読んでみてください。
現在、あらためて読み返し中。




本作は76分と短い作品ですが、心じわーっとなりました。
この作品は想田監督の奥さんの実家が舞台。
義父が飼ってる猫と義父・義母がしている
高齢者・障害者向けの有償タクシーの仕事を通じて知り合った人々の物語。

とにかく、橋本さんというお爺さんが格好良過ぎた。。
正直、街で老人を見かけると
「あーこいつらの年金払ってるんかー」とか思ってしまう
性根腐った人間ですけれども、この映画見ていろいろと考えさせられた。
この橋本さんはものすごい気使う人。
ヘルパーさんやデイサービス、病院の人に対して
「迷惑かけてすみません」とことあるごとに言うんです。
でも、周りの皆は「そんなことないですよ」と言う。
これが台詞だけであれば、偽善的に見える側面もあるんだけど
加藤さんが出てくるまでに、有償タクシーの運営のキビシさが描かれる。
だから説得力がまるで違う訳です。
しかも、当時民主党が政権交代を実現した衆院選後。
ラジオから鳩山代表の夢のような国会演説が語られる中で
全く相反する現実が横たわっていると。
これが偶然撮れちゃう観察映画のすごみ。
あと橋本さんが人と会うときに
スーツにネクタイという正装なのも、むちゃくちゃグッときた。
自分が死ぬ間際に、見た目を整えて人を迎える気持ちとか持てるのか…と。
同情とかじゃなくて、100%尊敬の念。

あと猫の話ですよね。お父さんの人柄の一貫性を見ました。
自分が大切にしたいと思ったものを大切にする。
そして泥棒猫が共生する瞬間がまさにpeace。

文句なしに面白い作品。

2013年7月6日土曜日

ハングオーバー!!! 最後の反省会



近所の映画館でレイトショー。
平日だけど、まぁまぁ人いたし、劇場全体でゲラゲラ見れました。
このシリーズはDVDでしか見た事がなく、初めて劇場にて拝見。
1と同じくらい好きでした。
2は1の焼き直しみたいで、2にありがちな状態でだったので…。
今回は思いきって、過去2作と物語の構成が抜本的に変わっていました。
つまり、ハングオーバーシリーズは最初に結果を提示して
そこからさかのぼるという作り。
けど、本作の構成は普通のロードムービー的なもの。
その中で「お約束」もやりつつという。
冒頭、Mr.チャウの脱獄から始まる。
その物々しさとは反対に、アランの買ったキリンの件が超最高!
こんだけビッグバジェットムービーになったにも関わらず
攻めの姿勢を失っていないの最高でしょ〜
実家ニートのアランを入院させようとしたところから
マフィアに拉致られて、チャウに取られた金塊取り戻さんかい!
っていうのが、大まかなストーリー。
酒の要素がまるっきり排除されてるから
過去2作に比べるとぶっ飛び感が少ないのは否めないけど
くだらなさは全然負けてない。
とくに換金ショップでのアメのところはクソ笑った。
1で訪れたラスベガスを再度訪れるのとか
そこでスチュが結婚しそうになったコールガールのところ行くのとか
シリーズの流れがあるのも、ファンにはうれしい。
まー色々とありますが、本作はアランのイニシエーション物語になっているのが
一番おもしろいと思ったところです。
これまで周りに迷惑かけまくったアランが
最後にチャウから金塊を受け取らず、決別を選択する。
アランは自覚している訳ではないけど
チャウが自分にとって鏡となっているんですね。
人のフリ見て、我がフリ直せ的な。
このエンディングにはグッときましたねー
KanyeのDark Fantasyかかって、かっけー!って上がり
終わりかと思いきや、最後の最後にお約束展開が!
そのサービス精神ありがたいけど、若干蛇足感が…
劇場で見て、ゲラゲラしながら楽しむべき!

2013年7月1日月曜日

インポッシブル



大阪のTOHOシネマで飛び込み。
スマトラ沖地震の話っていうぐらいしか前情報で知らなかったけど
めちゃくちゃ良かった。というか、日本人が今見るべき映画だと思います。
人間は都合のいい生き物で、自分に関係ないことはすぐ忘れちゃう。
地震、津波、原発題材のものって
3.11のこと思い出す瞬間があるから辛いっていう人もいるでしょう。
でも、そういったものに触れることで
今、生きてるこの日常がかけがいのないものだと感じられるから
辛くても見る意味あると思います。

この映画はタイに家族旅行で来ていた
ユアン・マクレガー×ナオミ・ワッツの家族が
スマトラ沖地震によって起こった津波に巻き込まれる話。
実話に基づいた話です。
この家族はクリスマスのバカンスでタイに来てて
冒頭は超幸せそうな家族旅行の様子が展開される。
そこに津波がやってきて、家族がバラバラに。
ここの津波シーンの破壊力が凄まじかった。。。
ヒア・アフターの津波シーンも相当やったけど
この作品は津波シーンの尺も長いし
単純に俯瞰ショットで撮るのではなく
波の中の映像とかも入れてるから迫力大。
映画中で最もフォーカスされているのが長男のルーカス。
冒頭から少し見えていた彼の利己性。
母の言葉を一旦信じて、他人を助ける行動をとる。
その行動が複数のエピソードで回収されるのが愛おしい。(ラスト含めて
極限状態に追い込まれたときに利己性と協調性のバランスをいかに取るか?
っていうのは3.11のときも個人的にかなり考えたこと。
それがもっとも象徴的なのが、携帯電話のエピソードだと思います。
映画のラストも変に感動させようとか、そんなことはなく
淡々と事実に基づいた終わり方なのも好印象。
すれ違いしまくりのシーンはちょっとやり過ぎやろと思ったけどもw

あんまり話題になってませんが、是非見て欲しい映画です。