2015年10月31日土曜日

ピッチ・パーフェクト2



時間が合わず見るのが遅くなりましたが、
1作目を見たので当然2作目もということで見てきました。
この1つ前に見たマジック・マイクXXL
似たような話だなーと思いつつ、
本作は1作目に比べると物足りなかった印象です。
個別に好きなシーンはあるし、
またアイツらにスクリーンで会えるという喜びはありました。
ただ、そこに依存し過ぎというか、
キャラクターと前作での遺産の食いつぶしで、
肝心のストーリーがイマイチな感じでした。
主人公は前作同様、アナ・ケンドリック演じるベッカ。
前作から3年が経過しており、
ベラーズのメンバーは今年で卒業という設定。
その間に大学選手権3連覇を果たし、
リンカーンセンターで大統領を前にパフォーマンスするんですが、
そこでファットエイミーの粗相により、
ベラーズ解散の危機に陥りつつ、
何とか参加できるようになった世界大会で
宿敵ドイツとの戦いに挑むというお話です。
UNIVERSALのロゴが登場するときの音楽が
アカペラというニクい演出は前作同様で
テンションは高まります。
そこから前述した大統領を前にした
パフォーマンスが始まっていくんですが、
そこでの粗相の下品っぷりが最高で、
アメリカっぽいな〜と楽しかったし、
オバマのインサートされた顔に笑いました。
この事件をきっかけに新人オーディションに
参加できなくなるんですが、これがもったいないと思いました。
前作ではベッカがオーディションを受ける場面は
色んなギミックがあって楽しかったし、
本作の場合、ベッカが審査する側に回る訳で、
立場の違いを使ってオモシロいことできるのでは!?と。
オーディションはなくなるものの、
元ベラーズの母を持つエミリーが入部することになります。
彼女の存在がもたらしたもの、物作りと編集の関係性だと思います。
ベッカはアカペラで使う曲の構成や、
マッシュアップ、DJといった部分に特化しているのに対して、
エミリーは曲を作る才能がある。
ベッカが音楽スタジオにインターンで直面する壁と、
この2人の対比によって生まれる、
物作りと編集のアンサンブルがラストに炸裂するんだから、
それだけでも見る価値はあると思います。
(スヌープのクリスマスソングのくだりも最高!)
あとはくだらないシーンがてんこ盛りなんですが、
結束力高めるための合宿シーンが一番好きでしたね。
僕は一体何を見ているんだろうという。笑
とは言えキャンプファイヤーのくだりでは、
前作の象徴的なWhen I'm Goneを皆で歌うシーンで
グッときちゃいました。
しかし、どれもキャラクターありき、
前作で上手くいったことの焼き直しのように見えて、
フレッシュさに欠けるように思いました。
本作の魅力は各キャラクターありきなのは分かっているのですが、
その前に見たマジック・マイクXXLは
逃げずに挑んでいただけに余計に思ってしまいました。
Riff Offという歌のバトルはこのシリーズの
最大の見せ場で本作でも健在。
4チームでバトって最後は90's HIPHOP Jamで最高最高!
と思っていたら、唐突な形で終わってしまう。
見てたときは「テメェ出しゃばんじゃねーよ!」と
心底思っていましたが、今考えると僕のような
過去の音楽にすがりついてる人達に
冷や水をぶっかける意味があったのかもしれませんね(遠い目
メインはドイツとバトルする世界大会なんですが、
ドイツのキャラクターのステレオタイプっぷりは
清々しいし、大人数での統率が取れた
ハーモニーとダンスはとてもかっこ良かったです。
(マジックマイクに引き続き、ここでもAll I Do Is Win使い!!)
それに対するベアーズは
人種のるつぼ構成+女子ONLYで歌い上げる
BeyonceのRun The World(Girls)からの
オリジナルソングからのOB集結!というカオスな展開。笑
エンドロールのThe Voice展開も含めて、
アメリカ最高〜!と高らかに叫ぶ流れに、
現実との乖離を感じたりました。
サントラが映画のダイジェストになっていて、
素晴らしい仕上がりなので興味ある方は聞いてみてから
見に行くというのもいいかもしれません→リンク

2015年10月24日土曜日

マジック・マイクXXL



1作目をDVDで見て超楽しくて、
エンドロールのクレジットに
スティーブン・ソダバーグの名を見て
ビックリしたこと思い出しつつ、2作目を見てきました。
(本作はソダーバーグ監督ではないですが…)
男のストリッパー経つの話で、
USのHIPHOP、R&Bがかかりまくりで超楽しいし、
基本ウェーイ!なアメリカのコメディなんだけど、
たまにハッとするシーンもあってナイスなバランスの作品でした。
チャニング・テイタム主演のコメディといえば、
21ジャンプストリートがありますが、
本作とまとめて見ると色々楽しくなる気がします。
主人公はテイタム演じるマイク。
彼は前作の最後に家具職人になるという夢を叶え、
恋人もゲットして幸せを迎えていたんですが、
いずれも上手くいかず鳴かず飛ばず。
そんな中、前作でマコノヒーが演じていた
ダラスの訃報を聞きつけ仲間と久々に会い、
そこからマイアミのストリップ大会に仲間と
参加することになるものの…というお話。
いきなりマイクが海岸で物思いに耽るショットで
映画が始まって、この時点で良い映画な気配がするというか、
コメディ映画の始まり方じゃねー!
とツッコミたくなるし好きだわ〜と思いました。
ダラスの死は嘘で中国に渡ったという設定なんですが、
マコノヒーがいないのは片手落ちだなーと、
この時点では皆が思ったはずです。
しかし、本作ではその不在を逆に利用し、
過去との決別、自分の表現したいことを
ストレートに表現するというテーマで
物語を進めていくのは良かったなと思います。
本作はとにかく1つ1つのくだらないシーンが
本当にくだらないのが最高で、
劇場の皆が笑いまくりで素晴らしい雰囲気で
鑑賞できたことも良かったです。
マイクが仲間と再会したあと
自宅の作業場でSpotifyから
GenuwineのPonyが流れてきて踊りだすんですが、
マスクかぶってるとか、ヤスリをリズムに合わせるとか、
前フリからのー本気ダンス!
あとは皆でMollyキメてからの
コンビニでの誘惑ダンスシーンなんて爆笑必至!
Backstreet boysのI Want It That Wayで、
あんなにブチ上がるのは最初で最後かもしれません。。
(皆が外で盛り上がってるのが特に最高最高!)
またHIOPHOP好きに上がる展開と言えば、
Childish Gambinoことドナルド・グローバーが
出演している点でしょう!
女の子のパーソナルな情報に基づいた
ラップのフリースタイルや歌で女の子を
メロメロにしちゃうという展開はオモシロいし、
終盤までチーム内で一定の役割を果たす重要な役目です。
(車内でのネット時代の音楽の話は 
Bacause the Internetにかかってるのでしょうか?)
テイタムは主人公なので必然的に踊るシーンが多いんですが、
このダンススキルは何なんだ!というぐらいに
キレキレの踊りを披露していて、
男の僕から見ても純粋にショーとして楽しかったです。
ストリッパーというと恥ずかしいもの、下品なもの
として見られる方も多いかと思いますが、
男性エンターテイナーという字幕が示すように
本人たちは当然誇りを持っているし、
1つの表現として確立していることが
本作を見ればよく分かると思っています。
どんな曲を使うか、演出にするのか、
というクリエイティブ性のあるショーの準備段階を
描いていることからもビシビシ伝わってきます。
日本のヒップホップが置かれてる立場も
似たような状況だよなーとか考えさせられましたね。
ラストのダンス大会はとにかく見て欲しくて、
集大成としてこれ以上のものはない!
そして過去と決別し、ただ演じるのではなく、
自分の表現を獲得していくという意味でも
感慨深いし単純にアガりまくりでした!
そしてDJ KhaledのAll I Do Is Win
高らかに鳴り響き大団円を迎えてタイトルどーん!100点!
皆で笑いながら見るべき映画なので
是非劇場で見て欲しいです!

2015年10月22日木曜日

ジョン・ウィック



キアヌ・リーヴスが殺し屋?!
という予告編で興奮しましたので見てきました。
「ナメてた相手が実は殺し屋でした」シリーズ直系の
めっちゃ楽しい映画で満足しました。
キアヌ出演の作品で見たことあるのは、
マトリックスシリーズぐらいなんですが、
他のも見てみようと思うくらい良かったし、
本作は彼の10年代の代表作になるんじゃないでしょうか。
タイトルのジョン・ウィックはキアヌが演じる殺し屋。
彼はすでに足を洗い奥さんと2人で
幸せに暮らしていたものの、
奥さんが病気で亡くなってしまいます。
自分が亡くなった後のジョンのことを心配した
奥さんは犬を形見としてジョンに残します。
彼は犬を奥さんとの唯一無二の繋がりとして、
可愛がって育てようとするんですが、
ガソスタで絡まれたチンピラから車を強盗され、
その犬までも殺されてしまいます。
失意のどん底から彼は殺し屋として、
犬の復讐を果たそうとする話です。
始まって30分くらい、
彼が殺し屋として覚醒するまでがめちゃ好きでした。
セリフが少ない中、スタイリッシュなショットの
つるべ打ちで彼が陥った状況をスマートに描いていきます。
イコライザーに近いものがあって、
日々の生活を淡々と丁寧に描いていくことで、
この人がどういった人か、
人物の厚みを増していくのが良かったと思います。
とくに時計の描写が素晴らしく、
彼は23時ごろに寝て6時に起きるという習慣なんですが、
この日常が乱される瞬間こそが、
取り返しのつかない事態の発火点であるというね〜
(スヌーズのアラームを止めるのもオモシロかった)
また現在と奥さんと過ごした過去との色彩の変化も
現在のソリッドさが際立って素晴らしかったです。
普段は平穏なんだけど、怒らせたらヤバいってことを
車のドリフトしまくりで表現するのはオモシロいし、
それが後半のフリにもなってて良かったと思います。
犬を殺されて復讐という点が
飲み込みにくいかなと思う方がいるかもしれませんが、
犬を可愛く見せた後に無惨に蹴り殺すという
鬼畜演出ゆえに犬好きじゃない僕でも乗れたので、
心配いらないと思います!(真顔
本作の敵はロシアンマフィアで、
そのボスの息子が犬殺しの主犯な訳ですが、
彼を守ろうとジョンも命を狙われます。
このマフィア世界の描写もオモシロくて、
まずロシア系っていうのは鉄板でアガるし、
ロシア語に英語のテロップが着くんですが、
そのフォント使いもかっこ良かったです。
他にも「掟」の存在やそれを破ったものへの仕打ち、
「ディナー」という名の清掃、
闇社会でのみ通用するコインなどギミックが楽しかったです。
もちろんアクションも素晴らしく、
監督はマトリックス等で
スタントを担当していた人なので迫力満点!
ガンアクションからカンフーでのステゴロ、
どれを見ていても飽きないし興奮しましたね。
何よりもジョンが丁寧に頭をブチ抜いて殺すという、
丁寧な殺しっぷりに感銘を受けました。
ただ殺し屋とマフィアで敵を増やしたがゆえに
物語が散漫になった印象もあります。
ウィレム・デフォーの演じる殺し屋は
ジョンとの友情関係も含め好きだったんですが、
女の殺し屋のくだりがビミョーでした。。。
また、息子殺しも少しあっさりし過ぎかなー
その前にゲームしてた友達が殺されるシーンは
衝撃込みで好きだったんですが…
ただ終盤に向けて新たな復讐の火種を仕掛けてくるので、
ラストは楽しんでみることができると思います。
アクションが凄まじく、とくに車を馬みたいに乗りこなし、
皆殺しにしていくシーンはかっこ良かった!
大ラスで結局犬かい!という全力のツッコミをしたくなる、
ラストも憎めなくて好きです。
犬の死をキッカケに、
たくさんの人が残酷に死んでいく楽しい映画でした!

2015年10月20日火曜日

バクマン。


大根仁監督最新作。
当時ジャンプで読んでたバクマンの映画化!
ということで見てきました。
モテキ、恋の渦と大根監督の映画は
好きな作品が多いんですが、
これまでの作品とは打って変わって
ド直球青春映画になっていて最高最高でした!
原作の必要な部分をきっちり抽出して、
映画でこそ表現できるオモシロさに溢れまくり。
ビッグバジェットの邦画は残念なものが多い中、
大根監督の存在は一つの回答、救いなのではないか?
と思ったりしました。
(岸辺の旅の興行成績が悪いことは全く納得できないけど…)
主人公は佐藤健演じる真城と神木隆之介演じる高木。
2人は同じ高校の2年生なんだけど、
真城が作画、高木が原作という形で
ジャンプへの連載を勝ち取ろうというお話。
冒頭、2人が漫画を編集部に持ち込む場面から始まるんですが、
ここでジャンプの歴史をざっとおさらいしてくれます。
僕自身、小学生の頃から大学生ぐらいまで
ずっと読んでいたので分かったつもりでいました。
しかし、この冒頭のVFXを活用した、
超かっこいい歴史紐解きシーンを見て、
改めて見ると映像込みですげーな!と思った次第です。
また真城のオジさんが漫画家で
過労によって亡くなったことが示唆され、
彼は漫画家になることを躊躇している。
そこをtake overさせるのが小松菜奈演じるミホ。
大根監督といえば女子を可愛く撮る
天才だと思っていますが本作でもその力が炸裂!
小松菜奈って超絶可愛いというより、
微妙なバランスで成立してる感じだと思うんですが、
原作にもあったフワフワ感をドンズバで
表現しているなぁと見ていました。
ここまでの流れをテンポ良く紹介しつつ、
ジャンプに掲載されることがいかにステータスで、
漫画家になることは難しいというハードルと
長く続けることのハードルが観客に共有され、
2人のまんが道がスタートしていきます。
本作の素晴らしいところは漫画の作り方、作られ方を
丁寧に描いている点だと思います。
原作は漫画家の漫画というメタ構造なので、
当たり前の話なんですが、
ネーム作成から連載に至るまでの
道のりの険しさと長さがあるゆえに
物語にカタルシスが生まれますし、
ものづくりのワクワク感もビシバシ伝わってくる。
主人公2人がよれた服着てる感じや、
ずっとインクで手が汚れてるとか、
細かい演出によって物語の説得力が増してると思います。
(もちろん衣装は伊賀大介!)
また音楽も全編にわたってめちゃ好みで、
エンドクレジットを見ると主題歌を含め、
全編サカナクションが担当していました。
特に好きだったのはGペンのカリカリ音から、
音楽がインサートしていくシーンで興奮しまくりでした。
主人公たちのライバルとして立ちはだかるのは、
染谷将太演じる新妻エイジ。
同じ高校生作家として、人気投票でシノギを削り、
これが後半のメイン部分となるんですが、
演出が素晴らしいなーと思いました。
順位争いという見た目として地味になりそうな展開を
ダイナミックなVFXでバトル化して見せてくれます。
努力・友情・勝利というツッコミ社会では
冷たく笑われてしまいそうなテーマを
登場人物たちに語らせながら、
やっぱり普遍的にカッコ良いことなんじゃない?!
という提示には心底納得しましたし、
自分にも言い聞かせたい所存です。でもやるんだよ!
役者陣はもうどれも言うことなくて、
佐藤健の口尖らせる顔とか振り切っていて好きだし、
山田孝之×リリー・フランキーの
凶悪編集部は男臭くて最高だし、
皆川猿時、新井浩文、桐谷健太の漫画家トリオは
笑いどころをぴったりと抑えていました。
これみよがしにフリがあったけれども、
あのラストはどうしたって号泣メーンに決まってるやろ!!!
こんな作品が日本の映画としてアベレージで見れれば、
本当に幸せなことだと思います。

2015年10月17日土曜日

ファンタスティック・フォー



MARVELがファンタスティック・フォーをリブート、
しかも監督がクロニクルのジョシュ・トランク!
ということで見てきました。
ネットで評判が悪いのを散見していましたが、
確かにコレは…という仕上がりでした。
前半のクロニクル的な展開はオモシロかったんですが、
なにしろ後半が大惨事だったので…
バジェットも違うし、原作ありき、続き物なので、
安易に比べられませんが、
クロニクルのほうが圧倒的にオモシロいです。
前のファンタスティック・フォーを見ていないので、
そっちも早く見てみようと思った次第です。
主人公はセッションで一躍有名となった、
マイルズ・テラー演じるリードという青年。
彼は子どもの頃からテレポーテーションマシンを
開発し続けていて、それに目を付けた財団にスカウトされ、
そこで他の若き天才たちと共にマシンを完成させる。
最初の搭乗者として、開発者の若者が乗り込み、
異次元の世界を訪れそこで浴びたパワーによって、
特殊能力を身につけるものの…という話。
MARVELのロゴがいきなり登場するという、
一連のシリーズでは珍しいタイプ。
前半はリードの子どもの頃から、
マシンが完成するまでを描いていきます。
ジョシュ・トランクが撮ったということもあり、
能力を得るまでの時間が相当長い方だと思います。
タイプの異なる若き匠たちが
徐々に仲良くなり同じ目的に向かっていく姿は
青春映画らしくて楽しかったです。
(勉強から始めるあたりは理系的にアガる!)
個人的にはマイルズ・テラーと
マイケル・B・ジョーダンの2人が好きなので、
彼らの共演が見れただけでも嬉しい。
マイルズはナードな役はめっちゃハマってて、
図書館のシーンはなかなかの甘酸具合。
マイケルは直情型の男子を体現してて良かったです。
一番好きなシーンはマイルズが
マイケルのグータッチを手で包んでしまうところ。
包むんかい!とツッコミたくなる最高さ。
調子こいて悲劇に遭うところは
モロにクロニクルな訳ですが、
そもそも見所の少ない本作の中でも
一番スリリングだったように思います。
また、能力を身につける→モルモット化
→能力の掌握という流れもオモシロかったです。
ここまで述べてきたように細部というか、
物語を構成する各パーツはオモシロいんですが、
話全体および後半は結構残念な仕上がりで…
話全体の点でいえば、地球外のエネルギーを得るために、
テレポーテーション技術を得ようとするんだけど、
このエネルギーがあまりにもボンヤリし過ぎていて…
マクガフィンとは言い切れないレベルで、
物語に関与しているんだから、もう少し説明が欲しかったです。
後半はマジかよ…というレベルのしょぼさでビックリ。
外国映画で演技が気になるってことは
あんまり経験ないんですが、
マイルズの演技もなかなかにキツかったです。
(セッションが彼の実力だと信じたい)
IMDBでチェックしてたら、
もとは140分近くの作品を想定していたけど、
100分まで圧縮してしまったことや、
アクションを3つカットしたことが明らかになっていて、
後半の肩すかし具合に、めちゃめちゃ納得しました。
ラストにタイトルどや展開があるんですが、
手前で萎えまくりなので響かずに終わりました。
(エンドロールでEL-Pの名前見てアガったけど→リンク)
続くのか、続くとすれば誰がケツを拭くのか、
その辺も楽しみですが断然アントマンをオススメします!

2015年10月14日水曜日

岸辺の旅



カンヌを受賞したことで一気に話題となった
黒沢清監督最新作ということで見てきました。
以前に見たリアル 首長竜の日は全く乗り切れなかったんですが、
本作はとても心に残る好きな作品でした。
幽霊とのロードムービーものという、
かなり特殊な設定なんだけど、素直に受け止められたし、
たゆたう存在として幽霊を扱う点は
ストーリー的にもルック的にもオモシロい点が多かったです。
ネタバレ全開で書きましたので、
これから見る方はそっとウィンドウを閉じてください。

主人公は深津絵里演じる瑞希。
彼女はピアノの先生で浅野忠信演じる優介の奥さん。
優介は3年前に失踪し行方不明だったけど、
突如瑞希の前に現れ自らが死んだことを告げる。
そこから3年間で彼がお世話になった人々のもとを
訪れるという旅行が始まり…というお話。
好きだった人が亡くなって幽霊として現れる、
という設定の映画はたくさんあるかと思いますが、
黒沢タッチというべきか、
極めて自然に現実社会に溶け込む設定なのがオモシロかったです。
優介は実体としてそこに存在するし、他人にも認識されている。
けれど、ふとしたタイミングで消えていなくなることもある。
そこには切なさと愛しさと心強さが横たわっている訳です。
この辺りを光の使い方やカットの割り方、
何気ないショットの積み重ねで
見ている側に伝わってくるのは本当に素晴らしかったなぁ。
原作はまだ読んでいないので、何とも言えないですが、
この題材で他の監督が撮ったら、
ダサくて甘〜いお涙頂戴ものになってもおかしくないと思います。
僕自身は幽霊を信じている訳ではないですが、
そこは大きな問題ではなく、
あくまで幽霊は「不安定な存在」として扱われてる点が
素直に物語に乗れた理由かなーと感じました。
私たちが普段生活する中で当たり前に存在する、
人、ものは尊い存在であることを
映画を見ている間ヒシヒシ感じていました。
本作では瑞希と優介がベッドメイキングするシーンが
非常に多いんですが、それは寝て起きたときに
優介がそこにいるかどうかは分からない
不安定さの演出としてさりげないけどナイスなところだと思います。
睡眠は死の従兄弟と言ってのけたNasを想起しました。
また居なくなるときにはカットを割って、
ふっと消えてしまうところも好きだったなー
(下手すればVFX使ってフェードアウトなんて、
ダサい演出も考えられる訳ですから…)
小松政夫の徘徊老人シークエンスでは、
元々ホラー出自の監督なのもあって、ホラーな展開があり
磨りガラスにズームしていく演出は怖かったし、
花を使ったシークエンスは胸が詰まりました。
大衆食堂のシークエンスでは、
ピアノと食堂の奥さんの妹のシーンが素晴らし過ぎた!
光を使った演出は然り、絶妙なバランスでの幽霊表現を
日本で黒沢清以外に誰ができようか!というレベル。
また銭湯帰りに瑞希が言うセリフはキュン死!
僕が考えていた本作の要素をズバッと言われました。
久々に深津絵里をスクリーンで見ましたが、
幽霊を相手する生者という難しい役を
可愛げと切なさ込みで演じていて、
めちゃめちゃ素晴らしい役者だよな〜と改めて。
本作を見た誰もが忘れることのできない、
蒼井優とのバトルは着火から大炎上までの流れ含め、
日本を代表する2人にしかできない殺し合いで
ヒリヒリしまくりでしたね。
また繊細な瑞希のカウンターとしての
浅野忠信の演技も素晴らしくて、
ガサツなようで、ときに芯を食うスタンスも最高最高!
ラストの農村でのシークエンスは
幽霊であることのケリの付け方も心動かされるものだったし、
浅野忠信のセリフは自分に言われているようでハッとしました。
まだまだ語り足りない部分は山盛りですが、
本当に素晴らしい映画なので劇場で見て欲しいです!

2015年10月6日火曜日

ハンナだけど、生きていく!



フランシス・ハのグレタ・ガーウィグ主演で、
ドリンキング・バディーズ
ジョー・スワンバーグが監督ということで見てきました。
アメリカのインディ映画のジャンルの1つである、
マンブルコアど真ん中の作品なので、
インディー感バリバリでしたが、
それだけに終わらず見所があったと思います。
モロにドリンキング・バディーズの
プロトタイプといってもいいと思います。
主人公はグレタ演じるハンナ。
彼女は脚本家を目指している女の子で、
彼氏もいるんだけど、その彼氏が仕事を辞めてしまう。
そんな彼氏に愛想をつかし、
職場の同僚と恋に落ちていくもの…という話。
映画が始まってすぐに裸の男女2人が
風呂場でふざけてる様子をホームビデオか!
っていうレベルの映像で展開していく。
本作は2007年に作られた作品なんですが、
2010年代にかけて高品質カメラが
お値打ち価格で手に入るようになる直前の作品。
(フランシス・ハはその恩恵の作品ですよね)
ハンナを中心に物語は展開し、
周りの男子が彼女に翻弄されるという意味で、
ドリンキングのプロトタイプかなと思います。
劇中で合計3人の男と関係を持つわけですが、
最初の彼氏の何かイケていない感が好きだったな〜
TELしながら近づいてくるところは、
間とショットの角度が絶妙で最高!
その後の2人は会社の同僚で
いつも3人で仲良くしていたところを、
ハンナがそのバランスを崩してしまいます。
職場の同僚である2人の男がとても魅力的で、
働いてんのか…?っていうくらい、
常にふざけ合っていて、それを見てるだけで楽しい。
(マッチョのフリするシーンは爆笑した)
けれど、ハンナが1人の男性と一線を超えたことで、
3人の関係がギクシャクしていき、
パワーバランスが変わっていく中での
各自の態度の変容ぶりも大きな見所だと思います。
また本作の大きなテーマとして
僕が感じたのは以下の2点でした。

①男女間の友情(not love)が成立するのか?
②他者依存型の人生でいいのだろうか?

①については華麗に「そんなもんあるかい!」
とでも聞こえてきそうな勢い。
ハンナが友情を超えた愛情を示すことで、
男たちはメロメロになっていく。
②については①と関連してるんですが、
彼女は物理的にも心理的にも
空隙があることに耐えることができず、
自分のことを大切にしてくれ、構ってくれる
男へとコロコロと変えていく。
いずれのケースも主体性を持っているのは
ハンナである点がオモシロかったです。
積極的他者依存とでもいうべきかな?
確かに人といると安心したり、楽しかったりするけど、
他人といる自分に軸足を置いてる状態では
ダメだと思うんですよね〜
とくに3人目の家で向かい合って座ったハンナに
ワイドからのズームで彼女の顔がアップになるシーンは
象徴的だなーと思いました。
ハンナに対して少し辛口になってしまいましたが、
お風呂でのトランペットは心がホッコリしました。
DVDでもいいから、
アメリカのインディー映画を色々見てみたいなと思います。

2015年10月3日土曜日

心に龍をちりばめて


なんとなく小説読みたいときに
古本屋で見つけたら買うぐらいの温度で、
白石一文のことが好きです。
はっきり言ってしまえば、どれも似たような話です。
The 日本のサラリーマンが会社のレールにしっかり乗って、
すべてを手に入れたかのように見えるけれど、
その価値観に疑いを持ち、主体的に行動を取り…というもの。
(その主体的な行動は不倫を筆頭にほとんどが恋愛絡み)
じゃあ何で読むねんという話になりますが、
構造は似ていてもディテールの妙があり、
なおかつハッとするパンチラインがあるのが好きなんですね。
取材力なのか本人の経験なのかは分かりませんが、
どの話もリアリティを持っていることが多く、
気付いたらいつも物語にのめり込んでいます。
(僕がサラリーマンだからということもあると思いますが…)
本作は女性が主人公なんですが、起こっていることはいつも通り。
そんな中で本作で一番好きな部分は、
女性に対する偏見や社会的な立場の弱さに対するカウンターです。
美人である主人公が婚約相手の両親にブチ切れるくだりは、
おそらく読んだ人誰もが忘れることはないと思います。
この人も多作家なのでボチボチ読み進めたい次第です。

迷宮


教団を読んで以来、
中村文則はハードでもチェックしようと思いつつも、
まずは文庫からということで読んでみました。
ジキルとハイドな二重人格にまつわる話で、
とてもオモシロかったです。
何しろ本作で描かれる迷宮入りした事件の、
折鶴事件の魅力に尽きるなーと思う次第です。
中村文則の好きな点として、
人の本質やその内面のエグり方が好きな部分なんですが、
本作はこれまでとは異なり、
事件とその末路にオモシロさがありました。
そう言う意味では推理小説好きな人は、
本作から入ると読みやすいかもしれません。
文庫版の本人のあとがきが素晴らしいので、
もし読まれるなら文庫本がオススメです。

アントマン



新しいMARVELシリーズで、
なおかつ脚本がエドガー・ライトということで見てきました。
予告編を何度かみていたときから、
アントマンという設定は相当オモシロそーと思っていましたが、
その想像を遥か2超えた仕上がりで大満足!
MCUシリーズではGOG、アイアンマン1作目を
見たときぐらいにテンションブチ上がり。
ダークな雰囲気のアメコミ映画が多い中で、
本作は過去作のどれよりもコメディ色が強くて好きでした。
それはMARVELのロゴがスクリーンに登場するときの
音楽からビシバシ伝わってくる。
なおネタバレ全開なので、これから見る人はそっと閉じてね!

主人公はポール・ラッドが演じるスコットで、
彼は凄腕の電気技師かつ泥棒のムショ帰りの男です。
一方、様々なものを極小化できる技術を
兵器として悪用しようとするダレンに対して、
開発者のピム博士はスコットにアントマンの役割を担わせて、
悪の組織に立ち向かうというお話。
ピム博士の若かりし頃から映画は始まり、
スコットが出所する場面へ。
彼を迎えにくるのは家族ではなく、
ムショ仲間のマイケル・ペーニャ!
彼の本作でのトバし具合は、
エンド・オブ・ウォッチ以来で最高だったな〜
噂話をスコットに伝えるくだりが最初と最後であるんですが、
演出込みで大好きなシーンです。
ページャはこそ泥チームを組んでいるんですが、
なんとその中にラッパーのTIPが!
(T.Iから最近改名したばかりですね)
序盤の段階で好きな要素がてんこ盛り過ぎて、
顔がニヤニヤしまくりだったんですが、
ここから更に好きなものが
どんどん上乗せされていくんだからたまんないぜ!
タイトルにもあるようにアリみたいに小さくなるんですが、
小型化のギミックを使った話、演出が
逐一気が利いてるんですなぁ。
VFXがもたらす恩恵にひたすら感謝感謝してました。
日常空間がドラマチックな舞台となり、
クローズで見れば迫力のアクション。
でも引きで見れば単なる日常でしかないから、
そのギャップに笑えるんですよね。
アントマンは1人で戦う訳ではなく、兵隊アリを連れていて
最初はウジャウジャしてて全身痒い!と思ってましたが、
それぞれの特徴を生かしてアントマンとミッションを
こなしていく姿を見ていると
愛らしくなってくるんだから不思議なものです。
また主人公が仕事がなくて、それでも家族のことは愛していて、
というオレたちのOnce Again型なストーリーも好きだし、
彼が一生懸命練習する姿もギャグ込みで素晴らしかったと思います。
さらに極小化のリスクとして、あまりに小さくなると、
亜原子粒子になって量子の世界へ引きずり込まれる設定は
理系的に上がらざるを得ません。
ピム博士の奥さんのフリが効いて、
ラストの展開はグッとくるものになってました。
また劇中でアベンジャーズとの絡みが
ガッツリあるというのも見所だと思います。
ファルコンとのバトルになるんですが、
エンドロールの展開も含めると、
シビル・ウォーでキャプテンアメリカ側になりそうですね。
何よりもブチ上がり、笑ったのが終盤の敵ボスとのバトル。
ヘリを皮切りにスコットの娘の部屋まで。
ヘリでのスマホ演出はもっとベタなディスコとかだと
良かったなーとは思いました。
娘の部屋でのバトルは予告でも使われていますが、
さらに激しい内容でプラレールが地獄絵図と化す。
中でも爆笑したのがトーマスの巨大化のくだり。
シュールというか不気味というか、
それがしつこく何度も出てくるから、その度に笑ってました。
とにかくこんな多幸感ある映画は久々だったので、
小さいから…とか言って敬遠してる人はもったいない!
スクリーンでアントマンが暴れまくる姿を見て欲しいです!

2015年10月2日金曜日

白いメリーさん


超久々に読んでみた中島らも作品。
過去に「今夜、すべてのバーで」を読んだんですが、
活動があまりに多岐に渡るので、
どこから手をつけていいものやらと思いつつ、
古本屋で出会って買ってみました。
短編集で9つの小説が収録されています。
1つ目の短編では、
殺し合いが許される商店街の行事が題材となっており、
ぶっ飛び具合が最高!
一方で他の作品はホラーSFな要素が強くて、
彼のそういった側面を知れた意味でも楽しかったです。
一番好きだったのはラブ・イン・エレベーターという話。
男女2人が半永久的にエレベーターに閉じ込められ、
愛を育むんですが、男側が最後に気づく恋愛の本質の部分に、
ひねくれ者の僕は深く頷きまくりました。
最後に脳の王国という話のパンチラインで
締めさせていただきたいと思います。

誰だって、人に自分の心の中なんて
覗かれたくありませんからね。
心と心が隔てられてるってのは、
人間にとっては最後の救いでもありますからね

白いしるし


西加奈子作品。
「通天閣」を人に借りて読んだのが初めてで
その後「きいろいゾウ」を読んでからというもの、
すっかり彼女への興味がなくなり、
ここ数年は全く読んでいませんでした。
しかし!直木賞を受賞したサラバ!を読んで
それはそれは感激、感動しまして…
西加奈子さんマジでごめんなさい!
そして偏見ダメ絶対!という気持ちを強くした次第です。
(サラバ!の感想はまた改めて…)
前置きが長くなりましたが、
ちょっとずつでも読んでいこうと思って、
人に借りて読んでみました。
恋に溺れ身も心もボロボロになる
30代女子のお話なので好きなタイプの話ではないんですが、
登場人物の間島という男の魅力が凄まじい。。
女子視点で男のカッコよさが
こんなにビシバシ伝わってくる人物描写を
読んだことがなかったので新鮮でした。
あと表現と批評の関係に関する考察も好きな部分で、
主人公の夏目のセリフを引用するとこんな風。

自分のエゴにおいて、私はこの作品を好き、
私はこの作品を嫌い、て。
エゴなんて微塵もないふり、
これは一般的な意見なのだ、という顔をして、
作品を批評する人より、全然立派やと思うんです。

主人公の夏目の言葉から引用ですが、
「良かった/悪かった」よりも「好き/嫌い」
ということは映画、音楽、本などと接したときに
大事にしている気持ちなので、とても共感しました。
多作家なので他の作品も読んでいこうと思います。