2018年4月23日月曜日

2018年4月 第3週

4月16日
行きの電車で「テロ」読了。

テロ
テロ
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フェルディナント・フォン・シーラッハ
東京創元社
売り上げランキング: 63,333

表紙だけ見たら職務質問されそうな、
鬼ストレートなタイトルな訳だけど超おもしろかった。
ドイツで起こった飛行機ハイジャックを
阻止するために空軍がその飛行機を撃墜し、
200名弱を殺害する事件が起こった。
その犯人を裁く裁判を描いた作品。
飛行機を撃墜していなければ7万人が死んでいたわけで、
200名弱の命と7万人の命を天秤にかけて、
さぁいったいどっちが大切なんでしょうか?
そもそも命を天秤にかけてよいのでしょうか?
頭で考えてもどっちが正解なのか分からない
議論が延々と展開されて、それが無類にオモシロかった。
ほぼ演劇のト書きで、それが新鮮というか
基本セリフベースなので
海外文学だけどスルッと読めるのも良い。
しかもダブルエンディングが用意されていて、
それは裁判所が判決を述べるところなので、
理論武装された判決の理由が展開される。
どっちも正論にしか見えないので、
読者はめちゃくちゃ考えさせられる。
本編はここで終了しているのだけど、
著者の演説が最後に付いていて、
彼がどちらのスタンスなのか分かる構成になっていた。
法治主義国家のプライドってあるよな、
それ捨てたら終わりだよなと思った。
これもまた今刺さる内容だった。
PUNPEEの「Sofa King Friday」を聞く。
Rihanna「Pon De Replay」の
マッシュアップを聞いてDJ始めたての頃、
ブート12インチのマッシュアップよく買ってたなー
とおセンチな気持ちに浸った。



粋な夜電波はフリースタイル。
冒頭のシンセの曲が超かっこよいなーと思ったら、
Photayの2014年のEPの曲だった。



去年のアルバムが大好きだったので
過去作も聞いてみよーと思う。

4月17日
Kali Uchis聞きながら出勤。



先行シングルのBooty御大とTylerを迎えた曲も
もちろん最高なのだけどアルバムトータルで好き。
今年も色んなグッドミュージックと出会えて感謝。
お昼は渋谷の権八で同僚とランチ。
今回で2回目の転職流浪人として、
思うことをいろいろと伝えておく。
最終決断は自分がするわけなので、
自分の市場価値を確認するために
活動することはプラスにしかならないと思うし、
井の中の蛙でこき使われるなら、
より良い条件のところで働いた方がいいというのが、
これまでの仕事人生で思ったこと。
他にもオモシロい話を聞かせてもらったけど、
彼とはそこまで親しくなかったので、
もっと始めから仲良くなれれば良かったなぁと思った。
定時ダッシュで帰宅、
ハンバーグ定食を作って食べながら
「シチズンフォー」をNETFLIXで鑑賞。



公開当時イメージフォーラムのみで見逃してしまったことを
思い出して見てみたらオモシロ過ぎた。
今はFBの個人情報流出が目下話題になっているけど、
それより遥かにエグいことを
国家ぐるみでやってたことを思い出して、
公聴会でザッカバーグがボコられているのは
少しかわいそうかなという気持ちにはなった。
(本作で暴露される情報搾取とFB問題は
別の切り口なのだけど)
本作はスノーデンがアメリカが世界中で
行っている情報搾取について暴露する過程に
密着したドキュメンタリーでとにかくスリリング。
通常の場合、情報提供者は隠されているのが
報道の原則として一般的なのだけど、
彼は自分が矢面に立つことを厭わない。
目立ちたがり屋と思われるかもしれないが、
告発によって追われる立場になることを考えれば、
彼の行動動機は純粋な正義なのかもしれない。
SNSを含むインターネットで
何も発信していない人の方が少ない社会は、
権力側にとって都合のよい社会なのだなと
頭では分かっていることを
まざまざと見せつけられた。
話の中身以外で好きだったのはショットの構成。
スノデーンに密着しているときは
ホテルの室内で狭苦しい画面なのだけど、
各国の監視システムとなっている建物を
ロングショットで非常に美しく撮っている。
建物が物静かにどーんと佇んでいる様と
スノーデン含めたジャーナリストの
わちゃわちゃ感の対比が素晴らしかった。
権力vsジャーナリズムという観点でいえば、
今の安倍政権とジャーナリズムの戦いと
照らし合わせて見ると楽しいかもしれない。
いかに幼稚なのか分かるから。

4月18日
朝から打ち合わせ。
この打ち合わせも残り数回で、
解放されると思うと心も晴れやか。
けど結果4時間も拘束されて死ぬかと思った。
午後休みでそのまま直帰。
映画でも見に行こうかと思ったけど
体がまったく動かず家で
ポッドキャストを聞きながらひたすら家事。
夜に最近無料版にうっかり入っている、
アマゾンプライムビデオを物色して、
ジャド・アパトー監督の
「エイミー、エイミー、エイミー!」を鑑賞。



NETFLIXのドラマ「ラブ」も最高にオモシロかったけど、
映画というフォーマットに収まっている方が、
すっきりしていて良いこともあるなと思った。
(こぼれ落ちるものもあるのだろうけど)
NYで働く女性の恋愛観を巡る話で、
いわゆるb*tchと呼ばれる類の人なのかもしれない。
けれどそこにも理由はあって、
残りの人生を誰と生きていくのか、
考える話になっていくところが良かった。
とにかくビル・ヘイダーが出てるだけで最高最高。
今回はいつもより真面目な役だったけど、
レブロンとの絡みがオモシロかった。
(レブロンがそこそこ重要な役なのも笑える)
そしてブリー・ラーソンはいつまでも美しい。

4月19日
早起きしてイメージフォーラムで「港町」鑑賞。


想田和弘監督、観察映画第7弾。
牡蠣工場」も無類にオモシロかったんだけど、
今回も最高にオモシロかったー!
生活、仕事、社会、人生、
こういった言葉のプリミティブな部分が
スクリーンに浮かび上がってくる稀有な映画だった。
高齢化社会が先行して進む日本の地方都市において、
どういった人がどのように生活しているのか、
それが観察映画の視点で切り取られ、
その先にどういったものがあるのか、
観客1人1人が考えさせられる。
今回は監督初のモノトーンになっており、
色を削ぎ落とすことによって
情報量が落ちた分、読み手が深読みできるレンジが
さらに深くなっている印象を受けた。
観察映画においてはテーマを決めずに
カメラをひたすら回して、
そこから立ち上がってくるテーマを
映画にまとめるという手法。
こういった手法だからこその、
いわゆる神シーンが毎回楽しみの1つなんだけど、
今回は「Dog Hunter」を着た
お墓参りのおばちゃんと終盤のおばあちゃんの独白。
前者は超笑ったけど、
後者はこの作品のトーンを別の次元に持っていく、
独白するおばあちゃんはイメージビジュアルに
使われているくらいメインで登場する。
彼女は前半、街の事情通として
想田監督にあれこれ世話を焼く、
良い意味でも悪い意味でも
お節介おばさんとして登場する。
その彼女から放たれる壮絶なダークサイドの話を聞くと、
人は様々なものを抱えて生きているという
当たり前のことに胸を打たれた。
また、彼女がある友人の男性を待つシークエンスは
「ここにいないものを待っている」
という伏線で効きまくり。
何気ない日常のつなぎ合わせで意味が立ち上がるのは
観察映画の醍醐味なんだと思った。
アフター6ジャンクションのカルチャートークに、
想田監督がゲスト出演していて、
それが本作の理解にかなり役立つ内容なので、
見た人は聞くことをおすすめ。
また6月に次の作品も公開されるので、そちらも楽しみ。
そのまま会社に出勤。
引き継ぎを繰り返してそそくさと退社。
夜遅くにテレビ朝日のセクハラに関する会見を見て、
ここまで事態が進んでフェーズが1個進んだ気がする。
セクハラのほうよりテレビ朝日のパワハラに
論点をずらすことが増えていくのだろうなと思って
暗澹たる気持ちになったので寝た。

4月20日
休み。なんとなくYoutube開いたら、
オモシロそうな企画があって一気見。



ニートTOKYOで引きの強過ぎるインタビューを
次々と披露していた孫GONGの魅力200%出てた。
バンドとのセッションが相性良い。
引越しの見積もりで業者が来宅。
知らないおじさんと自宅で対峙するのは
家電の修理とか含めて全く慣れない。
(向こうも同じこと思ってるだろうけど)
自覚しているけど荷物がとても多く、
単身の一番小さいトラックでは乗らないと言われた。
ものを捨てて身軽になりたい気持ちは強いけど、
その一歩踏み出す勇気があれば、
こんな状態にはなっていない。
ダンボールを受け取ったので、
とりあえずダンボールに詰めていく。
ポッドキャストたまりまくりなので捗る。
前からぼんやり考えていたのだけど、
12インチはよほど思い入れのないもの以外は売ろう!
と決心して仕分けしながら整理した。
今の家の退去手続きで不動産屋へ。
思ったよりあっさりした手続きだった。
いかにもローカルな不動産という感じで、
奥で働いている人たちが映画に出てきそうな。
(フィクションと現実を混同しすぎ)
移動中の耳のお供はJ.Coleの新譜。



サウンド的には前のアルバムとかの方が好きだけど、
歌詞がオモシロいので1つ1つ読んでいる。
「Photograph」という曲がオモシロくて、
SNSを通じた恋の話なんだけど、
Young Hastleの「無意識 Feat. GG UJIHARA」と
トピックがほとんど同じ。



くだらねーと思えるけど、
共感できるポイントが多いラッパーが売れるのかもしれない。
ツッコミではなくボケのスタンス。
結果、Young Hastleは本当に最高のラッパー。
そのまま新宿へ移動し蕎麦食って
K'S Cinemaで「大和(カリフォルニア)」鑑賞。



本日が最終日だったので駆け込みで見たんだけど、
日本でラップをやることと基地問題を絡めた、
日本とアメリカの境目を描いた映画でオモシロかった。
はっきり言って前半は見るに耐えないシーンが
いくつか散見されたのだけど、
後半にかけてグイグイ尻上がりに好きになり、
ラストシーンで泣いてしまった…
撮影が黒沢組常連の芦澤明子ということもあり、
惚れ惚れするシーンがいくつもあった。
(監督の宮崎大佑も黒沢組らしく納得)
2人の女の子が初めて打ち解けて
大和市を放浪するシーン、
その2人が雑魚寝しているシーン、
お母さんとホームステイの女の子の橋でのシーンなど。
これらはスクリーンで見てこそ響くものばかりだった。
黒沢組ということもあり長回しが
もっとあってもよいかなと思ったけど、
そこは線引きしてるのかな。
そして、本作ではラップにフォーカスしているところが
僕にとってはビビッドに思えた。
前述した見るに耐えないシーンと言ったのは、
サイファーのシーン。
キツいな…と思いながら見ていたのだけど、
最後まで見るとあえてそういう演出にしていたことは理解できた。
ただエクスキューズなしに見るとキツい。
神奈川県の大和市が舞台ということもあり、
神奈川のラッパーが登場する。
リル諭吉が映画全体の音楽を手がけていて、
さらに漫喫の店員役で出てたり。
NORIKIYOは憧れの先輩として冬樹、
ライブパフォーマンスも披露。
劇中の挿入歌としてアルバム「Exit」から
「IN DA HOOD」「DO MY THING」が流れていた。
これがカーステというか
原付から乱暴に流れる演出も最高だったなぁ。
映像に挿入されるのと全然味わいが違う。
アメリカのモノマネと揶揄される、
日本のラップとは何なのか?という問いに
向かっていく姿勢がオモシロくて、
それが主人公の女の子が
自分の言葉を獲得するというテーマと繋がる。
とても好きなところだった。それが結実するのがラスト。
ラストシーンまでのつたなさや痛々しさが
すべてフリとなっていて、ラップというより
ポエトリーリーディングに近いのだけど、
そのソウルフルな叫びに心を打たれた。
上映終了後の舞台挨拶では
質疑応答があってそれも興味深かった。
(皆、好きになるシーンは同じなんだと思った。)
監督が説明していた、
フリースタイルラップと音源のラップの違いの説明が、
もっと広まって欲しいくらいに分かりやすかった。
どういうことかといえば、
フリースタイルはスピードスケート、
音源のラップはフィギュアスケートという例え。
同じスケートではあるものの、
フィジカルな速度を追求するスピードスケートと
芸術性を追求するフィギュアスケートは異なるという話。
あーそういうことなんだよなと溜飲を下げた。
次の映画もすぐに池袋で公開されるみたいで、
そちらもどんな作品なのか楽しみ。

4月21日
早めに起きて「宮本から君へ」第3話を鑑賞。
今週も圧巻の仕上がりで泣いた。
ドラマというより映画だ、完全に。
脚本の妙というよりショットの力強さ、
役者の演技で全部持っていかれる。
今週は宮本の泥臭さが全力で発揮されていて、
冬の海で体張りまくっていた。
その迫力が画面全体から伝わってくる。
(これもカメラは芦澤明子!)
「普通のやつにフラれたらダメだろ!」
というセリフがあまりにもかっこ良すぎた。
原作を再解釈して全部ホームラン級に
成功しているのが最高最高!来週も楽しみ。
今日もひたすら荷造り。
図書館で予約していた本が取り寄せられているのか、
電話でしか確認できなかったので
電話してみたら無事に届いていたので取りに行く。
今日は気温も天気も最高で
図書館のある公園は家族連れで大賑わい。
「いい時間」が流れていた。
ただ耳元はNYのブーンバッブ、Smoke DZAの新譜。



見た目がナードなのでこういうヒップホップ聞いていると
思われてないだろなといつも背徳感を楽しんだりしている。
自意識過剰。ちなみに会社で
「サカナクション聞いてそー」と言われたことは忘れない。
GW思ったより暇になりそうなので
多めに本借りて途中スーパー寄って帰宅。
本搾りの缶チューハイ飲みながら
「最高の離婚」を垂れ流して再見。
昔、見たときよりも年を取ったこともあり、
刺さり方が尋常じゃない。
つまりはマスターピースなのだなぁと。
「結局あなたは一人が好きなだけなのよ!」という
尾野真千子のセリフの切れ味、
喉元に突きつけられた気がした。

4月22日
外は快晴。荷詰めしたり、ダラダラしたり。
借りパクしていた漫画、売るレコードを
宅配業者に引き渡す。
普段、宅配便使うことないので、
こんな値段するのかと驚いた。
(よくわかってないからボラれたのかな)
「捨てがたき人々」をNETFLIXで鑑賞。



以前に友人から薦められていたことを思い出して見た。
どこをどう見ても「クズ」しか出てこなくて、
久々に見たこの感じの映画。
クズが出てくる映画の場合、
「はい、この人たちダメな人なんです」
という大げさな演出は引いちゃう。
けど本作は一歩引いている視点で好感を持った。
とにかく大森南朋のsavage具合がとにかく最高。
最初は彼が特異的に見えるのだけど、
徐々に人間みな野蛮な部分を持っているのである、
というフォーカスのずらし方をするので、
他人事だと思っていても飲み込まれちゃう。
舞台が五島列島で街が美しい一方で、
そこに広がる日本の村社会のエグみの対比が
なんとも言えない気持ちになった。
Kindleで原作上下で600円くらいだったので、
読んでみよかなーと思いながら就寝。

2018年4月16日月曜日

2018年4月 第2週

4月9日
いきなり後ろから「これ落としましたよ」
と有無を言わさず紙を渡された。
リパークの駐車券だった。
この駐車券に毒がつけられていたら、
もしこれが爆弾だったらなんて、
しょーもない夢想をしながら出社。
仕事を粛々とこなし、帰りの電車で
「黒沢清の全貌」読了。


世界最恐の映画監督 黒沢清の全貌

文藝春秋
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ここ数年の作品を中心に文學界が
監督自身のインタビューやレビューをまとめたムック本。
いきなり冒頭でインタビューは適当なこと、
作品の思い出しか語れないんだよな、
という宣言をかましていて黒沢清っぽいなーと。
言葉の上ではとても謙虚だけど、
映画自体から異常な熱量が伝わってくる。
このギャップがかっこいいといつも思う。
いろんなインタビュワーが登場する中で、
蓮實重彦があまりに圧巻すぎた。
映画1本への読み込み具合が、
そこいらのレビュワーなんてレベルじゃない。
こういう人を本当に評論家と呼ぶのだろう。
当たり前なのだけど、1つ1つのシーンに
監督の込めた意図があるわけで、
それはセリフ、照明、衣装など
すべてを含めたトータル芸術のコントロールであり、
そこに対して自覚を持てているかで、
素晴らしい映画監督かどうかが決まるのかもしれない。
(コントやドラマの延長で映画撮るのではなく)
僕が本格的に過去作をフォローし始めたのは、
「クリーピー」以降だったけど、
その前に見た岸辺の旅が相当好きだったわ、
と読みながら思い出したし、もう1回見たくなった。
何か1本おすすめは?と聞かれれば、
トウキョウソナタを薦めたい。
監督のフィルモグラフィーでは特殊な作品だけど、
最初のとっつきとしては良いかもと思う。
(黒沢性をところん味わいたいなら「CURE」かな?)

4月10日
朝、準備しながらPUNPEEのラジオ「Sofa king」と
MURO & MACKA-CHINのラジオ「King Of Diggin'」を
立て続けに聞きながら朝の準備。
PUNPEEの方は30分だと物足りない感があった。
いつもより作り込みが少ない分、
ラフな感じでいろいろトークが聞けるのはオモシロかった。
MUROのほうは圧巻というか、
基本ミックスがメインなんだけど、
1曲ごとの説得力が強いし、
サンプリグソース多めだったこともあり楽しかった。
午前中は適当に仕事をこなし、
午後は休み取ってTOHOシネマズ新宿で
「ウィンストン・チャーチル」鑑賞。



原題はTHE DARKEST HOURで、
ダンケルクの戦いを中心に、
ナチスの勢いグイグイの頃の
チャーチルの言動を描いている作品。
日本の戦争映画でいえば、
「日本のいちばん長い日」に近くて、
具体的な戦闘場面を描かずに、
そのとき国のトップがどういう判断していたのか、
権力闘争の部分にフォーカスを当てている。
なかでも本作はチャーチルの
言葉の力がいかに強かったのか?
しつこく徹底的に描いていく。
それは彼の発する言葉を書き留めるタイピストに
大きくフォーカスすることでなし得ている。
明らかに滑舌の悪い彼が必死に
自分の思い、考えを言葉に落としていくところや、
政治家たちが言葉を大切にしている場面の描写、
どれもが今の時代に欠けているように感じるものばかり。
言葉が説得力を持って観客に迫ってくるのは、
チャーチルを演じたゲイリー・オールドマンの演技力。
これに尽きると思う。
僕たちが知っているゲイリー・オールドマンの
片鱗はほとんど見受けられないんだけど、
あの目力と顔へのクロースアップショットの
コンビネーションは映画館で目撃すべき案件。
ちなみに一番好きだったシーンは、
終盤に国王とチャーチルがチャーチルの家で話すシーン。
ベッドにたたずむチャーチルを引きで撮っていて、
唯一油断している瞬間だと思うのだけど、
その汚い部屋で国王と腹割って話すのが印象的だった。
帰宅するとAlffo Recordsで発注した
Tom Mischの2LPが届いていた。
改めて針を落として聞いてみると、
やっぱりええわぁと感動した。
ストリーミングで音楽聞くのが主体だけど、
アナログで持っておきたい音楽はあって、
それを研ぎ澄まして買っていく。

4月11日
Cardi Bの新譜を聞きながら打ち合わせ先に向かう。



特大ヒットした「Bodak Yellow」に
寄せたアルバムかと思いきや、
とてもバランスの良い内容で、
Chance The Rapper, SZAが参加した2曲が好き。
とくに「I do」の"I do what I like"が刺さった。
粋な夜電波は市川愛のアルバム特集。
1曲目からガッチリ心掴まれてしまった。
ライナーノーツ風のレコーディング解説もオモシロかった。
個人的にはラッパーのICIが好きなので、
ICIとしてアルバム作って欲しい。
今週リリースなので楽しみ。

4月12日
有給休暇でゆったり起床。
起きてから不動産屋に片っ端から電話して、
内見の予定を取り付ける。
引越しは面倒なのだけど間取り見ているのは楽しい。
途中まで見ていた「ロクサーヌ・ロクサーヌ」を見終える。



正直、ロクサーヌ・シャンテという
このラッパーのことは知らなくて、
何故彼女をこのタイミングで取り上げているのか、
見る前はよくわからなかったけど、
自立する女性というテーマはいかにも現代的なもの。
NYのクイーンズのプロジェクトを舞台に
ラップをすること、女性として生きることの
狭間でストラグルしている姿がかっこよくもあり、
一方で痛々しさもあって心が痛む。
あくまで彼女を中心に描いてて、
さりげなく有名なラッパー、プロデューサーが
登場する演出もニクい。
マーリー・マール、ビズ・マーキー、そしてナズ。
ナズに至っては彼が火を吹く前の話。
彼女がクイーンズの真のクイーンでありながら、
1人の女性でもあったのであるという話は、
今の時代にぴったりなものだし、
ファレルがこの作品のプロデューサーとして、
関わっていることも納得できる。
NETFLIXのヒップホップ映画、ドキュメンタリーの
充実度は他の追随を許さないので、
好きな人は絶対入会した方が得だと思う。
そのあと、友人と六本木で飲む。
とくに店を決めていなくて、
なんとなく串カツ食べるという話になり、
セレンディピティを信じて目の前にあった串カツ屋へ。
なんてことない普通の串カツだったけど、
店員の女の子がかわいかったことで、
セレンディピティ信じてよかった。
彼がアメリカ在住なので、アメリカに行けるのか?
という旅行プランを真剣に考えたら、
金額、日程的に全然行けるなーとなったので、
本当に行ってしまおうかと考え中。
2件目でBrewdogのIPAを飲めて満足し帰宅。

4月13日
午前休み。NETFLIXでJAY-Zのインタビューを見た。



とても興味深くてラッパーというより、
ビリオネアとしての風格が強かった。
もちらんラッパーとしての話も多く、
歌詞を書かないスタイル、ラップの作り方、
どうやって自分のキャラをクリエイトするのか?
声が特徴的なのか、リズムなのか、
(声ならスヌープ、リズムならエミネムといったように)
知らない話も多く、カニエが昔から変わらないこと、
彼がJAZ-Oのレコーディングでロンドンに
帯同していたときに一斉摘発があり、
もしそのとき捕まっていたら今はないことなど。
また彼が手がけたカリーフ・ブラウダーの
ドキュメンタリーも見たくなった。
結構ヒリヒリしたのはnワードを巡るやりとり。
司会の白人男性がnワードは
不快だ云々の話をしていたときに、
JAY-Zが「言うなよ」って言ったときの目が印象的だった。
そのあと7inch Treeで5lackと16FLIPの
ビートメイキングを見る。




5lackがドラムを組み、16FLIPが上ネタを組む構成で、
お互いを信用している様から歴戦の盟友感が漂っていた。
2人の対談もオモシロかった。
そのあと出社し21時前まで残業。
帰ってきたらやっとライブラリの全ての曲が
iCloudと同期されてローカルの
すべてのデータがどこでも聞けるようになった。
教えてもらって助かったー革命!
映画見ながら物件を色々確認して就寝。

4月14日
昨日途中まで見た「ハッピーアニバーサリー」を見終える。



けん怠期のカップルを描く甘酸系映画でおもしろかった。
けん怠期のカップルもので思い出すのは
セレステ&ジェシー」な訳だけど、
それとは異なる甘い終わり方が心地よかった。
(見てる途中は思い当たりすぎて苦しかった)
「育った環境が違うから好き嫌いは否めない」とは
本当によく言ったもので、そこのすり合わせできるか、
あとはタイミングの話なのだなと感じた。
そのタイミングのメタファーとして、
自宅の駐車場のシャッターを使った演出が
とても素晴らしかったと思う。
早すぎてもダメだし、遅すぎてもダメ。
忘れんなよ思いやりって話。
さらに「宮本から君へ」を見る。
このドラマのクオリティ、本当にハンパなき。
映画レベルの布陣で、
一営業マンの日常を描いているところがとても贅沢だし、
原作にある熱量をクールに解釈しているところも好き。
(暑苦しさが足りないと怒る人もいるかもだけど、
今の時代の宮本の姿はこれが正解な気がしている)
役者のたたずまい、そこから生まれるアンサンブル、
ショットのここしかない感含めて最高最高。
これを楽しみに毎週生きれるよ。
午後は物件内見。とても良い物件だったけど、
明日も見に行くので色々考えることにする。
そのまま新宿に立ち寄ってピカデリーで、
「さよなら、僕のマンハッタン」を鑑賞。



マーク・ウェブ最新作ということで楽しみしていた。
とても歪なのだけど、都市と思春期を上手く絡めて、
葛藤と愛憎を描いていてめちゃおもしろかった。
ニヒル要素が500日のサマーよりも強いので、
個人的にはマーク・ウェブ最高沸点かもしれない。
原題のThe Only Living Boy in New Yorkは
サイモン&ガーファンクルの曲から取られたもので、
さらに登場人物の1人であるジョアンナは
ボブディランからの引用。
2つの歌を発想の起点にして物語を立ち上げるというのが
センスよすぎるし、かっこよいなーと。
あとで歌詞を読み、そこでまた映画のことを思い出して、
二度美味しい後効きシットだった。
自分が何者でもないモラトリアム期の話で、
前半の中身だけ取って出すとボンボンの暇つぶしって感じで、
大して中身がないように見えるけど、
NYの街並みと作品内に詰め込まれた
パンチラインの数々でまったく退屈しなかった。
このパンチラインメーカーが
ジェフ・ブリッジス演じる作家なんだけど、
彼が本当に素晴らしくて大好きなキャラになった。
メンター的ポジションからの終盤のある展開まで、
これは泣いてしまうで。。。
こないだ見たワンダーストラックも本作も
アマゾンスタジオ製作の作品で、
両作品ともクオリティめちゃ高いので、
NETFLIX、アマゾンの仁義なきコンテンツ戦争は
ユーザーにとって歓迎すべきことだと思う。
とりあえずNY行ってロケ地巡りして〜
帰ってからふるさと納税のうなぎをいただく。
今年初めてふるさと納税を活用したけど、
やってみると簡単で美味しいものを食べれるので、
トライして本当によかった。
久々に食べたうなぎは死ぬほど美味しく、
満足感とともに知らぬ間に寝ていた。

4月15日
早めの起床。まず選挙に行くところから朝を始める。
補欠選挙と区長選挙。
選挙行くのは人間として最低限の義務だ。
行かねーやつはただの肉だ。と言っておく。
そのまま今日も物件内覧へ。
場所柄は少しアレだけど物件内容いわゆる5億点出た。
東京は街のカラーがそれぞれ異なるので、
どこに住んでいるのか、という話になった場合、
その街の全体像でその人の背景を
読み取る文化があるようにいつも思う。
どこでもある話だろうけど東京は特に。
そんな他人の目線より日々の生活のリアリティを重視しつつ
午後にも色々見たけど結局5億点の物件で決めた。
帰り道にiPhoneのアプリで見たら、
12km近く歩いたことを知り驚愕。そら疲れるわ。
つまみ的なものを作り適当に食べて比較的早めに寝た。

2018年4月10日火曜日

2018年4月 第1週

4月1日
朝早く起きてファミリーセールへ。
最終日でシケシケだったけど麻のコートだけ買った。
いつもどおり同ビル内の美味しいカレーを食べて
適当にお台場散歩。
お台場は街も空も広いから結構落ち着く。
帰宅するとオーディオインターフェースが届いていて、
設定するものの悪戦苦闘。。。
最終フリーソフト入れて解決したけど、
普通に詐欺レベルだと思うよ!モニター周り!
と怒りながら音楽再生したら、
想像以上に良い音が鳴って感動して帳消し。
デジタル音源はHDMI接続でTV経由で鳴らしていたのだけど、
インターフェース経由の音が全く段違いで驚いた。
技術は進歩していることを痛感したし、
もっと早く買い換えておけばよかった。

4月2日
新年度スタート。新たな気持ちでと思いつつも、
昨年度からの残渣の仕事がまだまだあり、
全然フレッシュな気持ちになることもなく仕事。
引き継ぎ云々が本当に面倒。
憂鬱な仕事を吹き飛ばすのは音楽!
ということでmixcloud聞き漁る。この2つが好きだった。



Ronny Jordanというギタリストを追悼したミックス。
名前をぼんやり聞いたことがあったけど、
曲を聞いて「あー知ってる」と思う曲がいくつかあった。
HIPHOP的なブレイクビーツとギターの
心地よいサウンドの最適解のような音なので、
春の今の感じとちょうどあって最高に気持ちいい。



こちらはLalah Hathawy がインタビューでゲスト出演。
全然ノーチェックだったんだけど、
去年リリースの「Honestly」っていう曲が超好き。
帰りの電車ではWeekndの新譜を聞く。
デビュー当時のアンビエント直系の頃は
かなりフォローしていたんだけど、
最近はあまりチェックできてないしピンときていない。
そして今回のEPもピンときていない。
ちなみに最近のお気に入りはWoogie。



韓国のh1ghr musicからリリースされていて、
韓国のR&Bのかっこよさにシビレまくりだし、
映画のようなPVもめちゃかっこいい。



先輩からお願いされたCCDをリッピング。
Windowsだと弾かれるらしいけど、
MacはCCD関係なく余裕で読み込んだ。
日本ではPCを作っているメーカーと
音楽を供給するメーカーが同じだから、
今でもアウトにしているのだろうか。
リッピングする行為はもはや前時代的かもしれないが、
俺たちパイレーツは決してやめない。

4月3日
東京ポッド許可局「TVBros論」
タコツボ化していく社会とそれに対する需要の話で、
とてもオモシロかった。
最近アップされた「シェイプ・オブ・ウォーター」の
菊地成孔の論評とも近い話で、
要するに広く浅く抑えているよりも
1つの専門性(オタク性)が評価される社会になっていると。
色んなものを雑多に食べている立場なので、
本当に好きなものを追求したいよなと思う。
まー簡単にやめられない訳だけど。
帰りの電車で横田創「埋葬」読了。


埋葬 (想像力の文学)
埋葬 (想像力の文学)
posted with amazlet at 18.04.04
横田 創
早川書房
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「落としもの」めちゃ好きだったので過去作を読んでみた。
少年犯罪に巻き込まれた家族の話で、
最後まで読むとミステリなんだけど
半ば哲学のような問答と現実が入り混じっていて、
読んでいる途中の感覚はふわーっとしている。
自分と他人の感覚の違い、
そもそも何が自分と他人を区別しているのか、
とくに好きだったのはPAのシーン。
学生のころ、深夜バスの休憩で降りたときの
PAの雰囲気を思い出したし、
ここに登場する姉妹の描写がかっこよかった。
著作が少ないのだけど過去の作品は全部読みたい。
帰ってから粋な夜電波を聞きながらポキを作る。
マグロとアボガドを混ぜるだけで、
こんなに美味いのかよと毎回驚く。
夜電波はフリースタイルの通常運転。
Little Simzやっぱいいなーと改めて思った。
そのあと、アフター6ジャンクションをラジオクラウドで聞く。
タマフル終了と共にどうなるのか未知だった訳だけど
サタデーナイトラボが毎日あるような感じで、
全部追いきれない気がする。
久禮 亮太のスリップ特集が超オモシロかったので
本を読んでみようと思う。
毎日ゴリゴリIDPOSデータ触っている身からすると
身につまされるような話だった。
明日の朝、少し寝坊できるのでAbleton Live勉強。
録音できるようになった。
ただOSアップロードでPCの動作がカクカクする。
メモリ増強すればいいんだ!と思いついて、
色々ググりながら方法を模索したら簡単にできると判明。
そして、最初に買ったMacbookのメモリを
足せばいいやとふと思いついてMacbookバラして
メモリを取り出していざ付けようと思ったら
規格が合わなかった。
深夜1時にiMacが床にゴロンと置かれていて、
その姿があまりにも切なくてシュールだった。

4月4日
朝から打ち合わせ。
汗ばむぐらいの陽気で働く気が失せる。
戻って仕事しながらNTSの韓国&日本の
ヒップホップミックスを聞いた。


「It G Ma」は当然入っていたんだけど、
こういう視点なのかーとフレッシュだった。
さらにLeftoのWWFMミックスも聞いた。


まだ途中までなんだけど、
1曲目のKamaal Williams(Henry Wu)の曲が超かっこよい
Yussef Kamaalのアルバムも好きだったので、
今度出るアルバムもどんな感じなのか楽しみ。
ちなみにChildren Of Zeusとのセッションが
とにかく最高最高!view数少なすぎ!



帰路で最寄り駅に着くと駅前のサイゼリヤから
中学生が20人くらい出てきた。
何かの打ち上げなのだろうか。
春休みのお楽しみ会なのだろうか。
女子と男子がお互いを牽制しあっている様が微笑ましく
彼らにとって、このサイゼリヤの夜は刺激的なのだろう。
その高揚感に当てられて春を感じた。

4月5日
アフター6ジャンクションとSssion22の
デイリーで更新されるラジオをラジオクラウドで
朝にマックスで消化する。超忙しい。
今日も朝から打ち合わせ。
あまりに話が長過ぎて途中記憶が飛んでる。
戻ってからも打ち合わせの連続で疲弊。
さらに退職することで諸々面倒なことが起こり、
あーこの感じか、とまた思い出す。手のひらくるーん。
帰りに道玄坂でどっかで見たことあるなと思ったら
大阪のときの先輩だった。偶然会うの東京っぽい。
帰ってからは油淋鶏を作りながら、
アルコ&ピースのラジオを聞く。
最近聞き始めたのだけど、
お笑い芸人のラジオッ!て感じでオモシロい。
とくに今週はボイパのコーナーで、
笑い過ぎて死ぬかと思った。笑うの大事。
1日の終わりにこの曲でぶち上がって寝た。



4月6日
金曜日は新譜の日。
シカゴの新しい才能Sabaを聞きながら出社。


かっこいい音楽さえあれば、
あとは何でもよくなる、と菊地成孔がラジオで
よく言っているけど、いつもその通りだなと思う。
意地汚い大人の側面を今日も見た。
そう来るなら、こちらもそれ相応の態度を取る。
そこそこ遅い時間まで残業して新宿へ。
「ペンタゴン・ペーパーズ」を新宿ピカデリーで鑑賞。



森友問題との親和性があまりにも高くて、
権力は自分勝手にふるまうのに対して、
ストッパーになるのはメディアであり、
ひいてはそのメディアを指示する国民なのである。
という至極まっとうな話でオモシロかった。
メディアが権力の不誠実さを追い詰めていくところが
もちろん最もオモシロい部分なんだけど、
新聞という紙媒体への愛の溢れ方が特にアガった。
(活版印刷で新聞を印刷することの大変さよ!)
あとトム ・ハンクスとメリル・ストリープが
レストランで会うシーンにおいて、
皆が紙の新聞を読んでいる光景が異様に見えてしまう。
そのくらい皆がスマホを見ている光景が
当たり前になって久しいのだなとも思った。
海外ドラマ好きにとっては、
ブレイキング・バッド、ベターコールソウルで、
悪徳弁護士を演じたボブ・オデンカークが
大活躍しているのが最高最高だった。
公衆電話のくだりとか
「ソウルグッドマンまんまやん!」
と思ってニコニコしてしまった。
アメリカだと政治スキャンダルを題材にした
作品は結構多いんだけど日本は少ない。
森友の件がここからどこまでリーチするか
分からないけど、いつか骨太な監督に映画化して欲しい。
中目黒solfaにLeftoがDJで出演してたり、
渋谷ではINNITが開催されていたけど、
あまりに疲労困憊だったので帰宅。
アマゾンで発注していたMacのメモリが
届いていたので早速装着。これで12GB。
めちゃくちゃサクサクになったので嬉しい。
満足感とともに就寝。

4月7日
10時ごろに目がさめる。
メルカリで1品ずつ売ろうかと思ったけど、
面倒過ぎてこのままだと一生売れないと思い、
売ろうと思っていた本をざっとかき集めて
ブックオフで売った。
そのまま近くの超絶人気パン屋でパンを買い、
地元のロースターでコーヒー豆を買ったりした。
道中のBGMはTom Misch「Geography」
最高に気持ちよすぎる春にばっちりなグッドミュージック。



7inch Treeを見ながら優雅にブランチ。
ISSGUIとKOJOEの掛け合いラップかっこよかった。



続けてTVerで「宮本から君へ」を見る。
初回からめちゃくちゃ最高。
ディストラクション・ベイビーズ」の
真利子哲也が監督・脚本担当。
昔、原作を友人に借りて読んでいるのだけど、
数年前で記憶にないので新鮮に見れている。
1話のような合コンの設定はなかった気がする。
タバコのセクシーさは真利子監督の手腕。
ドラマ終わってから再読したい。
少なくとも原作はサラリーマンの人には全員オススメ。
飲み会前に新宿ピカデリーで「ワンダーストラック」鑑賞。



トッド・ヘインズ監督最新作で、
前作の「キャロル」が好きだったので楽しみにしていた。
センス・オブ・ワンダーの塊で童心に帰ることができるし、
トッド・ヘインズの造形の素晴らしさよ!
さらに分断していた2つの物語が、
思いもよらない形でエンディングに向かっていく、
構成の巧みさも見事で1本の映画で2度美味しい感覚がある。
1つは1977年の物語で、ある少年が主人公。
母を亡くしたのち、ある事故をきっかけに耳が聞こえなくなる。
彼がミネソタからNYまで姿を見たことがない
父親を探しに行くという話。
1977年NYという舞台設定がたまらなくて、
街中、歩いている人が恐ろしいほどかっこいい。
80'sリバイバルもまだまだあるけど、
70’s後期のかっこよさを再認識した。
作り込みが物語を強靭にしていた。
もう一方の物語は50年前の1927年。
こちらも耳の聞こえない女の子が主人公で、
父親との生活に嫌気がさし母親、兄貴を探し、
NYを訪れるという話。
モノクロのサイレント映画のような作りになっていて、
耳の聞こえない設定と呼応している。
どちらの物語も音楽が素晴らしく、
前者は作品全体を通底する
デビッド・ボウイ「Space Oddity」を筆頭に
当時のファンキーなサウンドで統一しているのに対して、
後者はクラシック系の音楽で
サイレント映画をぐいぐい前に進めていく。
様々な要素が対照的に配置されているものが
混じり合う映画的カタルシスは映画館で体感すべし。
飲み会まで時間があったので、
歌舞伎町の手前にあるドトールで
コーヒー飲んで時間つぶしてたら、
真横でマルチの勉強会やってて、
iPhoneいじるふりしながら聞き耳を立てる。
情報商材系のマルチのようで、
先輩が後輩に売り方を教える講座を開いていた。
先輩からの「とりあえずLINE40人な」
という弩級のパンチライン。
この後輩は学生のようで、
「お金よりも大切なものは無いのかい?」
とジジイみたいに問いかけたくなる。。
粋な夜電波ではよく聞くマルチの話が、
実際に存在するのだなぁと興味深かった。
そのあとは大学の後輩たちと飲み会。
一番年上というパターンはほとんどないので、
自分がいかにおじさん化しているか、痛いほど思い知る。
(とくにiPhoneへの音楽の同期)
1件目でサムギョプサルを美味しくいただき、
2件目はいつものようにSpincoasterへ。
その日入っていた店員さんがヘッズだったのか、
こちらで日本のラップの話をしていたら、
欲しいツボを押してくれるような選曲で最高だった。
他にも皆のおすすめの曲を知れたりしてよかった。
終電でマジギリギリの帰宅。

4月8日
比較的早めに起床して神宮球場へ。
連れ添いで野球を見に行く。
球場の中をうろついていたら、
まさかの伊賀大介と遭遇!
メルマ旬報でよく野球見に来てるの知ってたけど、
まさか本人に会うとは思わず興奮。
声かけようかなと思うものの、
チキンになってしまい声かけれず。。
「出会いに照れるな」精神を発揮すればよかったと後悔。
野球にそこまで興味なくても
球場で野球を見るという行為は楽しい。
老いも若きも1球の行方に一喜一憂している姿を
見るのが好きだ。(お酒を飲みながら)
東京近郊でいえばハマスタがベストで、
あそこのオリジナルクラフトビールはマジで最高最高。
16時ぐらいに終わったので、
江古田にあるパン屋で早めの晩御飯。
美味しいパン、ワインと焼き野菜で満足。
そのまま家に帰ってアメトーークとか
Tverで孤独のグルメを適当に見て寝た。