2017年5月30日火曜日

ディストラクション・ベイビーズ



去年の怒涛の邦画傑作ラッシュの中で
見逃していた本作をやっとレンタルして見ました。
2016見逃し系をフォローした中で、
もっとも劇場で見たいと思った作品でした。
日本の映画だから…っていう言い訳は
本作以降には通用しない、ぐらいのインパクト。
人間を含めて、動物ならば必ず持っている、
純度の高いイノセントな暴力性が
映画の中で可視化されていて、
思春期に見たらモロに影響されちゃうのでは?
と危惧してしまう。否定しているではなく、
そのぐらいのパワー、感染力があるということ。
本作は物語の進め方が上手くて
オモシロいタイプの映画ではないと思います。
むしろ下手に見せている気さえしました。
つまり、物語の不完全さが暴力の理不尽を
さらに加速させる1つの装置として機能している。
ということなのではないと。
(歪みまくったギターの劇伴も象徴的)
日本の若手有望株がこぞって、
本作に出ていることはとても喜ばしいことであり、
なかでも柳楽優弥の演技、アクションはぶっちぎり。
前述した暴力の空気をセリフではなく、
たたずまい、アクションで映画を支配している。
人を殴ったときの音って映画では増幅されるのが
当たり前だと思います。
しかし、本作では一切脚色せずに「ぺしっ」という
僕達が現実の世界で聞いている、
人を殴ったときの音が聞こえてくる。
音は小さいし迫力はないのに、
こっちの方が痛く感じる。
生半可な「リアル」ではない訳で、
作り手の覚悟を音処理に見ました。
今年はこのレベルの邦画に出会えるのでしょうか!?

0 件のコメント: