2014年12月29日月曜日

2014 Movie Ranking


  1. 6才のボクが、大人になるまで
  2. ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー
  3. スノーピアサー
  4. フランシス・ハ
  5. 0.5ミリ
  6. ブルージャスミン
  7. トム・アット・ザ・ファーム
  8. ジャージーボーイズ
  9. her / 世界にひとつだけの彼女
  10. インターステラー
  11. そこのみにて光輝く
  12. ゴーン・ガール
  13. ダラス・バイヤーズ・クラブ
  14. 天才スピヴェット
  15. LEGO®ムービー
  16. ほとりの朔子
  17. プールサイド・デイズ
  18. 複製された男
  19. 紙の月
  20. 猿の惑星:新世紀(ライジング)
  21. テレクラキャノンボール2013
  22. 物語る私たち
  23. ザ・イースト
  24. ドン・ジョン
  25. フューリー
  26. 泣く男
  27. 思い出のマーニー
  28. アバウト・タイム 愛おしい時間について
  29. ビフォア・ミッドナイト
  30. アデル、ブルーは熱い色
  31. 百円の恋
  32. WOOD JOB ~神去なあなあ日常~
  33. イコライザー
  34. アメリカン・ハッスル
  35. 私の男
  36. インサイド・ルーウィン・デイビス 名もなき男の歌
  37. ぼくたちの家族
  38. アクト・オブ・キリング
  39. ラッシュ/プライドと友情
  40. ウルフ・オブ・ウォールストリート
  41. 早熟のアイオワ
  42. 滝を見にいく
  43. ホドロフスキーのDUNE
  44. あまりにも単純化し過ぎた彼女の美
  45. ニンフォマニアック vol.2
  46. ニンフォマニアック vol.1
  47. マップ・トゥ・ザ・スターズ
  48. ローン・サバイバー
  49. ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!
  50. イントゥ・ザ・ストーム
  51. 嗤う分身
  52. MUD ーマッドー
  53. NO
  54. 野のなななのか
  55. それでも夜は明ける
  56. プリズナーズ
  57. ベイマックス
  58. マダム・イン・ニューヨーク
  59. ある優しき殺人者の記録
  60. 自由が丘で
  61. Nas/タイム・イズ・イルマティック
  62. イフ・アイ・ステイ 愛の還る場所
  63. 毛皮のヴィーナス
  64. テロ、ライブ
  65. るろうに剣心 京都大火編
  66. るろうに剣心 伝説の最期編
  67. 大統領の執事の涙
  68. キャプテン・アメリカ / ウインター・ソルジャー
  69. アナと雪の女王
  70. 愛の渦
  71. LIFE!
  72. グランド・ブタペスト・ホテル
  73. 新しき世界
  74. All You Need Is Kill
  75. 怪しい彼女
  76. TOKYO TRIBE
  77. ショート・ターム
  78. 300 帝国の進撃
  79. アメイジング・スパイダーマン2
  80. チョコレートドーナツ
  81. ドラッグ・ウォー 毒戦
  82. 寄生獣
  83. おとなの恋には嘘がある
  84. フルートベール駅で
  85. エクスペンダブルズ3
  86. 収容病棟
  87. フライト・ゲーム
  88. ザ・レイド GOKUDO
  89. サボタージュ
  90. レッド・ファミリー
  91. キック・アス / ジャスティス・フォーエバー
  92. 大脱出
  93. GODZILLA ゴジラ
  94. エヴァの告白
  95. ある過去の行方
  96. 銀の匙 Silver Spoon
  97. マルティニークからの祈り
  98. ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅
  99. エスケープ・フロム・トゥモロー
  100. FRANK
  101. とらわれて夏
  102. ケープタウン
  103. ザ・ゲスト
  104. サード・パーソン
  105. 渇き。
  106. LUCY ルーシー
  107. なんちゃって家族
  108. 誰よりも狙われた男
  109. MONSTERZ モンスターズ
  110. 欲動
  111. ソウルガールズ
  112. 舞妓はレディ
  113. デビルズ・ノット
  114. ホットロード
  115. ノア 約束の舟
  116. まほろ駅前狂騒曲
  117. 日々ロック
  118. オールド・ボーイ
  119. バンクーバーの朝日
  120. リベンジ・マッチ
  121. トランセンデンス
  122. マチェーテ・キルズ
  123. オンリー・ゴッド
  124. ローマ環状線、めぐりゆく人生たち
  125. クローズ EXPLODE
  126. KILLERS/キラーズ
  127. NY心霊捜査官
  128. STAND BY ME ドラえもん
  129. HO 欲望の爪痕
  130. 海月姫
今年見た映画のランキングをつけてみました。
昨年は82本でしたが、今年は全部で130本。
見たくなる映画が数珠繋ぎ的に増えていき、
このような結果になりました。
3日に1本を凌ぐペースで見ていることになりますが、
見逃したなーと思う作品も数知れず。
途中で感想を書くのやめたくなりましたが、
書かないと忘れてしまうこともあり、
ノートに書きなぐり、タイピングするという、
作業を繰り返していました。
DVDやストリーミングで気軽に映画を見れて、
情報がサクサク取れる時代に映画館まで行き、
2時間近く時間を割くのは非効率的に見えるかもしれません。
でも大きなスクリーンでしか味わえない、
感動やダメージがそこにはあります。
基本的に見た人向けに書いているので、
見終わった後に読んでいただくのが良いかと思います。
ランキングは相対的な話ですので、あまり参考になりませんが、
映画見たいけど何見よかなと悩んだ方には、
今年のベスト40は胸を張ってオススメいたします。
皆様がこの中から好きな映画に巡り合うことを願ってやみません。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

2014年12月28日日曜日

鬼龍院花子の生涯



五社英雄監督の作品を見ようと思い、本作から始めました。
今年の始めに東映作品をいっぱい見よう!と決意したものの、
ほとんど見れていません。早く見なきゃと思っている間に、
鈴木則文監督、菅原文太も亡くなってしまいました。
若い人にとって、古い映画見るのは面倒ですよね。
僕もそんな人間でしたが、
2014年の今でも語り継がれているものは
やはり映画として圧倒的な強度があります。
そして、本作もそんな作品の一つでした。
ヤクザ一家の養女である夏目雅子演じる松恵の視点で、
高知の鬼龍院 家の栄枯盛衰を見守る話。
この映画全体からほとばしる妖艶さ、エネルギーは、
映画でしか体験し得ないものだと思います。
(有名な「なめたらいかんぜよ!」は松恵のセリフ)
とくに主演の夏目雅子、仲代達矢の演技は
鬼気迫るものがあり目が釘付けでした。
吉原炎上や極道の妻の1作目も早く見たい!

2014 Book Ranking


  1. HHhH
  2. 街の人生
  3. 人間は料理をする
  4. 映画術
  5. 熱狂なきファシズム
  6. 短夜明かし
  7. 南島小説二題
  8. マイ・リトル・世田谷
  9. だから日本はズレている
  10. 一瞬の光
友人と毎年、その年に読んだ本を語り尽くす飲み会をしています。
僕のベスト10は上記の通りです。今年は70冊読んでました。
(画像の右側は友人のベスト10です→リンク
途中からここに感想を書くのをやめてしまったのは、
一つ大きな反省点だし、結局メモを取っとかないと、
読書体験が記憶に残らないこともよく分かりました。
増えていく蔵書をどうするかという悩みを抱えつつ、
来年も狂ったように本を読んでいこうと思います。

海月姫



能年玲奈主演映画ということで、
あまちゃん聖地巡礼を共にこなした友人と鑑賞。
予告編を一度だけ見ていて、「これは…」と思い、
事故物件であるだろうことは承知の上で、
見なきゃ分からないこともあろう!
という強いメンタルで挑みました。
これまで様々な映画を見てきましたが、
すべての価値観がひっくり返るような、
映画体験とでもいうべきでしょうか。
映画のその先にある風景を見せてくれました。
面白いとか面白くないとか、
そういった次元の議論ができないレベルの劇薬映画。
たくさんの大人が関わり、良かれと思って、
こんな作品を作ることができる日本は平和で素晴らしい。
原作は漫画なんですが、
話だけではなく画面作りさえも漫画っぽく見せようとする姿勢に、
ある種の狂気さえも感じます。
物語としての破綻具合はぶっちぎりで今年NO.1
ただ主演の能年パワーでブチ切れそうな自分を
かろうじて抑えることができました。
主人公は月海という女の子で、彼女はクラゲ好きのオタク。
和人形オタク、三国志オタク、ジジ専、鉄道オタクと共に、
アパートで共同生活を営んでいる。(すべて女性)
そんな中で菅田将暉演じる女装好きの蔵之介と出会う。
そして、アパートが再開発のために取り壊されそうになり、
何とかそれを阻止しようと奮闘するものの…という話。
前半は物語全体の世界観や登場人物の紹介に終始徹底。
バラエティ的というべきか、キャプションガンガンやし、
ステレオタイプなオタク描写が続いて、
始まって10分くらいで、かなり疲弊しまくした。
年末映画ということで、俳優陣がかなり豪華で、
主演の能年、菅田コンビをはじめとして、
長谷川博巳、池脇千鶴、篠原ともえ、片瀬那奈、
速水もこみち、平泉成などなど。
(同じメンツで、もっとまともな映画が見たいと心底思う)
実力派の彼らを使って、セリフでの過剰な説明をさせながら、
異常なまでにダサいシーンの連続を見せつけてくれます。
渇きのクラブシーンみたいに超過剰にぶち込んで、
おもちゃ箱みたいにしてくれたら、
観客側に楽しめる要素があるんだけど、
そこまでのレベルでもないし。。。
前半の世界観の提示でリアリティラインを下げているんですが、
それと話の整合性が取れないのは別の話な訳で。
アパートの住人の話がメインにあるんですが、
再開発にまつわる話がクソおもんなくて本当に辛い。
住人たちで協力してドレス作りしてみたいな流れも、
せっかくそれぞれ特徴あるキャラなのに、
あんまりうまく生かしきれていないのももったいない。
(映画製作者にベイマックスを煎じて吐くまで飲ませたい)
良かった点といえば、能年玲奈。これに尽きる。
彼女の無垢性があったから成立してる場面が、
むちゃくちゃ多くて、ゆえに怒りの気持ちも柔らぎました。
見終わった後に横の席の人が、
「全盛期の広末レベル」という名言を放っていました。
あとは速水もこみちが脇役で出てるんですが最高でしたねー
外し具合が絶妙というか、2枚目の役しか見たことなかったけど、
これからコメディで見たいと思わされました。
散々文句を垂れてまいりましたが、
こんな映画は日本でしか産まれ得ないという意味では、
非常に貴重な経験をさせてもらいました。
願わくば、本作のような映画が駆逐されるような、
そんな世の中を心待ちにしています。

2014年12月26日金曜日

バンクーバーの朝日



石井裕也監督最新作ということで見てきました。
今年はぼくたちの家族に続き、2作目とハイペース。
しかも両方ともビッグバジェットで、舟を編む以降、
名実ともに人気監督となっています。
本作はフジテレビ55周年ということで、
スター俳優だらけ、しかも超巨大オープンセットでの撮影と、
相当お金がかかっている映画です。
肝心の中身はというと、
これまで見た同監督の作品では残念な方かな…
他の監督やったら、
もっとヒドいことになっていたのは明らかなので、
上記条件の中で最大限の結果かと思います。
ポイントポイントで、グッとくるシーンや好きなシーンはあります。
でも全体で見ると、うーん…って感じ。
舞台は1930~1940年代のカナダ、バンクーバー。
当時ブラジル移民のように、バンクーバーへ移民した日本人がいて、
その2世たちで構成される野球チームAsahiは、
カナダの野球リーグに参戦している。
体格差から全く勝てず、万年最下位の中、
なんとか勝とうとする姿を日々の生活を交えつつ描いていきます。
当時は差別がガンガンあるし、
日本人はカナダ人の半分の給料で勤勉に働くことから、
カナダ人の仕事を奪う、嫌われた存在。
この移民のことは、本作が無ければ知りえなかったと思います。
その点では初めから興味深く見ることができます。
見所としては、何よりも出ている俳優の豪華さ。
妻夫木君、池松壮亮、勝地涼、
カツンの亀梨君、上地雄輔、をメインとして、
脇には佐藤浩市、高田充希、宮崎あおい、貫地谷しほりなどなど。
もう挙げたらキリがないくらい今ホットな俳優ばかり。
(石井組というべきか、過去作に出てた人が脇固めてる感じ)
この豪華さは大きな魅力でありながら、
物語に散漫さをもたらすという諸刃の剣になってました。
注目すべきは野球チームなんだけど、
その存在がボヤケるといえばいいのか。
さらに舞台がバンクーバーなので、外国人が大量に出てくるんですが、
およそ俳優とは言い難いレベルの演技クオリティ。
カナダ人が書割扱いならまだしも、物語のキーにもなってくるので、
その演技格差を見ると余計に残念な気持ちになりました。
前述したとおり数々の俳優が出ており、
皆素晴らしいんですが、好きだったのが亀梨君と上地雄輔。
「どうせ野球のリアリティー担保要員でしょ~」
と思ってたんですが、そんな自分をぶち殺したいくらい好きでした。
亀梨君は母親が病気してる系男子なんだけど、
抑制していてWETになり過ぎない塩梅がよし。
上地雄輔は多くを語らず、表情や間で見せていく。
予告編でも流れていましたが、カナダ人に勝つ方法として、
編み出されたのがバント、盗塁の足でかせぐ野球。
この方法を妻夫木君が実践するシーンは面白かった!
でも、このバントで勝てるようになった!連戦連勝や!
っていうところはロジックがあまりに不足していて、
大して野球に詳しくありませんが、素直に飲みこみ辛い。
(最後の最後で一応説明つくようにはなっている)
差別する/されるの話も、
この時代に本当にあのニュアンスだったのかなーという疑問は残る。
実話が原作なので、なんとも言えないんだけど、
差別のエグみをもっと描いて欲しかったなーと思います。
あとは成し遂げたとき、つまり野球の試合に勝ったときの演出が、
かなり抑制されていて好きでした。
石井裕也監督でよかったのはこの点で、
他の監督なら、勝つことをクライマックスにして、
音楽や撮り方の工夫で盛り上げていくだろうけど、
ワビサビが効いてて素晴らしかったです。
あとテーマ的には最近の日本に蔓延する
「日本、日本人は実は素晴らしい!」系な中でも、
バランス取れてる方だは思います。
エンドロールが結構げんなりする作りで、
ご本人登場からのラストのテロップまで。
んなこと分かってるよ!と大声で言いたくなりました。
石井裕也監督の作品を見るなら他の作品がオススメです。

2014年12月23日火曜日

マップ・トゥ・ザ・スターズ



初めてのデヴィッド・クローネンバーグ監督作品。
ザ・フライとかイースタン・プロミスとか、
見なきゃいけない作品を放置したまま、
とりあえず最新作から見てみようということで。
どうかしてる作品が多い噂は聞いていましたが、
マジでかなりぶっ飛んでいました!
こんなに基地外の人しか出てこない映画は見たことない!
(感覚的に近かったのはペーパーボーイ)
しかも、パッと見は何の変哲もないんだけど、
物語が進んでいけばいくほど、Crazy!!としか
言いようがない静かに狂った人間たちの群像劇。
御年71歳の切れ味はとても思えない…
お話としてはハリウッドのセレブのゴシップネタになりそうな、
スキャンダラスな事態が矢継ぎ早に明らかになるというもの。
大きく分けて2つのストーリーがあって、
ジュリアン・ムーア演じるハヴァナという有名女優がいて、
自身の母親も有名女優だった。
その母の出演作品をリメイクすることになり、
どうしても自分が母が演じた役を演じたいと画策する。
もう一つのストーリーはハリウッドの子役と
その家族をメインに描いたストーリー。
子役はヤク中で、その自由奔放な生活を制限し、
映画出演をなんとか勝ちとろうとする。
この2つのストーリーを繋ぐのがアガサという、
大きな火傷を負った女性。
知り合いのツテで、ハヴァナの秘書を務めることになった
彼女が実は…という展開。
とにかく本作はジュリアン・ムーアの演技に尽きる。
今年はドン・ジョンやフライトゲームで見ていましたが、
本作の振り切れ具合は凄まじい!
狂っている意地悪なババアを見事に演じていました。
自分が演じたい役に異様に固執し、
それを逃した時のシャウト。
監督と仲良い俳優とゴマすり3Pに興じたり、
アガサの恋人と略奪SEXしたり、もうむちゃくちゃ。
とくに笑ったのが、演じる予定だった女優さんの息子が、
事故で亡くなってしまい、自分が代役に決定する。
このときに亡くなった子どもを讃えるように、
息子の名前を入れて歌いながら小躍りするっていう。
残酷極まりないけど、笑えてくるんですなー
2世のカルマということなんだろうけど、
それで片付かない狂気がそこには存在する。
設定や話の中身も狂っているんだけど、
スクリーン上で起きていることが強烈過ぎる。
それが日常の延長で、「えっ、普通ですけど?」
みたいな描かれ方するからたまんない。
もう一つの子役の家族のストーリーも強烈。
マコーレ・カルキンとか、
こんな感じやったんかなーと思わせる傲慢っぷり。
小さい頃からチヤホヤされているから、
完全に王様状態でプライド高いしワガママ。
自分の作品で脇役の子どもが少し活躍しただけで、
ブチ切れたりねーあとはウンコを売る話や、
冗談で犬を殺してしまうシーンが最高。
しかも、親父のセラピスト役がジョン・キューザック!
今回は相対的にまともな役なんだけど、
ハヴァナのセラピーシーンは狂気。
そして、アガサがまともなのかと思いきや、
火傷の理由が明らかになり、狂っていることがよく分かる。
しかも、終盤には家族にまつわる、
追加の狂気設定を放り込んできて、
「うわぁ…」と声に出てしまいましたね。。
狂っている映画を見たい方には大推薦!

百円の恋



安藤サクラ主演ということで見ました。
最近見た0.5ミリも素晴らしかったのですが、
本作も例によって最高でございました!
0.5ミリは姉の桃子監督も言っていましたが、
これまで見たことなかった女性的な側面を、
フォーカスしていましたが、
本作は彼女の持つ男性的な魅力を引き出しつつ、
女だから恋もするじゃん!っていうね。
ややベタだなーと思うシーンもありましたが、
それを吹き飛ばす安藤サクラの女優魂にサムアップ!!
安藤サクラ演じる一子はパラサイトシングルで、
働きもせず、実家でダラダラしている。
両親と妹とその子どもで暮らしているんだけど、
あまりに何もしない一子に妹がブチ切れて、
一子は家を出ていき、バイトを始める。
そんな中で出会ったボクサーに恋におちて …という話。
もう冒頭からかまされて、一子のビジュアルが強烈!
「堕落を人間で表現した場合、こうなります」みたいな。
それにブチ切れた妹とのキャットファイトも過激で、
心を鷲掴みにされてしまいました。
一人暮らし、バイトを始め、新しい生活がスタート。
そんな中で出会う新井浩文演じるボクサー、
a.k.a バナナマンと出会う。(別名の由来は見て確認してね)
バナナマンが元から気になってた中で、
デートに誘われて即OK。
(デート用にヒョウ柄のブラジャーを着用する衝撃)
その後、バナナマンの試合をバイトの先輩と一子で見に行き、
ひょんなことですれ違いが起こり、バナナマンは帰るし、
一子は先輩にレイプされてしまう。
そんなボロボロの中で彼女はボクシングを始めるし、
バナナマンとの誤解も解け、2人の同棲も始まる。
前半はファニーなシーンが多い中で、
一番笑ったのが一子をバナナマンが看病するところ。
介抱するために料理を作るんですけど、
それが500gのステーキという ね。
しかも、それを一子が必死で食べるシーンは
まさに喜劇の本質だなーと感じました。
しかし、バナナマンとの同棲も続かなくて捨てられてしまう。
そこからボクシングに真剣に取り組み始める。
この後半からが本作最大の見所で、
何か夢中になるものを見つけることの素晴らしさ、尊さが
スクリーン上で溢れんばかりに描かれていく。
夢中な人が放つ魅力、生気がビシバシ伝わってくるのが
めちゃ好きでしたねー
ボクシングへの真剣さが常軌を逸していて、
スタントなしで、安藤サクラがボクシングが上達していくし、
物理的にもみるみる痩せていく
一心不乱に練習した結果、プロテストに合格し試合に挑む。
ここまでの流れだと負け犬映画的には、
勝ってもおかしくないけど、そんな甘くない世界を提示していく。
この試合のシーンが想像を遥かに超える激しさで、
安藤サクラ以外にこれをできる女優が日本にいるのかい?!
ということを目頭を熱くしながら見ていました。
負けっぱなしの人生の中で差す一瞬の光。
たとえ負けたって何度だって輝けるOnce Againの精神。
日本のロッキーと呼んでもいい傑作!

自由が丘で



加瀬亮主演ということで見てきました。
本作は韓国映画でホン・サンス監督がメガホンを取っています。
時間にして約1時間ぐらいしかないんですが、
不思議な感覚に陥る映画でした。
多幸感に満ちているし、加瀬亮演じるモリが
肌身離さず持っている時間という本に象徴されるように、
人生におけるタイミングにまつわる示唆に富んでいます。
モリは韓国で語学学校の教師として、
2年前に働いていたという過去を持つ。
彼はそのときの同僚の女性のことが忘れられず、
韓国を訪れ、再開しようとするものの行方が分からない。
泊まっているドミトリーで出会う人々や、
近くのカフェ「自由が丘8丁目」で出会う人々との
人間関係を描いた作品です。
話自体はミニマルで、場所もカフェとドミトリーのみ。
よくある手法として、冒頭にラストシーンを持ってきて、
これは何?とフックを持たせることで、
物語を進めるというのがあるかと思います。
本作はその手法を劇中で繰り返し用いています。
いきなり「なにそれ?いつのまに?」なシーンを提示し、
急にそのちょっと過去のシーンを入れて説明する。
これが今までに見たことがなくてフレッシュ。
あと、どういう効果を生んでいるのか分からないけど、
カットを割らずに画面上の人物に、
アップで寄るシーンが多いのもフレッシュ。
(加瀬亮の解釈は→リンク
韓国が舞台なので、韓国語で意思疎通を図るかと思いきや、
会話は基本英語のみで進んでいきます。これもフレッシュ。
お互いにとって第二言語を使うことで、
英語の非native感もあいまって、
関係性がフラットになるのが良いなーと思いました。
変におもねることもないし、感情表現がストレート。
(モリ自身の性格もあると思いますが)
特にドミトリーのおばあさんとの会話は、
今の時代を象徴するような話。
ヘイトスピーチしかり、人種で大きく括って、
物事を語るナンセンスさ。
これだけ色んな情報を得ることができて、
世界との関係がフラットになっているのに、
矮小化した議論は死ぬほどくだらない訳。
この辺のことを日常の延長で描いているのが素晴らしい!
さらに 「When do you feel happy?」に対する、
加瀬亮のヤダ味のない回答が好きだったなぁ。
上記のインタビューにもありますが、
ホン監督はその日に台本書くというスタイルらしく、
その影響もあるのか、映画がおそろしく「自然」なんですね。
さらに加瀬亮という俳優が持つ、
ナチュラルさが全体を包んでいるとでもいいましょうか。
とても中原昌也の新刊の帯コメントと同一人物とは思えない。
(今、読んでいますが衝撃作ですので、そちらも是非!)
話が逸れましたが、映画の大きな要素を占めるのが恋愛。
好きな人に会いにきたのになかなか会えない中で、
カフェの店員の女性といい感じになっていく。
これが人生のタイミングの話で、
そのときのベストに人間は寄りかかっていくよね〜と。
加瀬亮ファンは必見の映画だと思います!

毛皮のヴィーナス



ロマン・ポランスキー監督最新作。
2年前に見たおとなのけんかが相当好きで、
DVDを購入し繰り返し見ています。
(本当は過去作見なきゃなんですが…)
おとなのけんかも登場人物4人の密室会話劇だった訳ですが、
本作もそれと地続きで、さらにミニマル化が進み、
登場人物は2人だけで、場所も劇場のみ。
間延びする瞬間もあるものの、極めて演劇的な作りで、
演技論にまで足を踏み入れるような作品で、
見ながら考えさせられまくりでした。
舞台はパリの小劇場。
そこで脚色家のトマがオーディションをしてたんだけど、
どうにも目当てな人が見つからない。
あきらめて帰ろうとしたところで、
年増のイタめなおばさん女優ワンダがやってきて、
オーディションを始めて…という話。
前半はおそろしくテンポが早い会話で、
2人の小気味いい丁々発止のやり取りが描かれます。
トマは約束あるから早く帰りたいのに、
ワンダがめちゃしつこくて、
何を言っても、こちらの意図が通じない感じが絶妙で、
良い意味で相当イライラさせられました。
懇願というより「オーディションやるっしょ?」みたいな。
あまりにしつこいから、トマも
「3ページだけやで」と言い、渋々始めてみたら、
ワンダはトマが追い求めていた演技を披露する。
演劇の題目がマゾッホという作家の毛皮のヴィーナス。
マゾヒズムの語源となった作品で、
ざっくり説明すると、男性が女性に対して、
支配を要求するような内容。
そもそもこの2人の関係は、
女優を使う側/女優として使われる側な訳ですが、
演劇中のSとMの支配関係が現実世界にも反映され、
徐々に関係性が逆転していくのがオモシロい!
SMプレイと演劇を内混ぜにするという発想が素晴らしい。
オーディションという形なので、
初めのうちは演劇上の役に入っているときと、
入っていないときが明確なんだけど、
Sadistとしてワンダが主導権を握るところから、
演技と現実の境界が曖昧となります。
見ている観客の脳は、溶けていくかのような感覚に陥る。
ずーっと2人で喋って舞台稽古しているだけなので、
退屈といえば退屈なシーンもあります。
でも、なんとなく見てたらシームレスに役割が変わっていく。
この辺は巨匠ならではなのかなーと。
終盤は性別さえも超越していきます。
しかも、今まで知性の欠片もなかったワンダに、
おだてられるがままに調子乗ってしまった結果、
取り返しがつかない事態に陥ってしまいます。
悲しい男のサガとでも言うべきでしょうか。
「演技だよね?演技だよね?」と言っても、
時すでに遅しで、悪夢のようなラストを迎える。
早急にポランスキー監督の過去作を見たいと思います。

2014年12月21日日曜日

ベイマックス



年末にかけて話題作が続々と公開される中で、
ディズニー最新作を鑑賞しました。
根強い人気のディズニーということで、
いっぱいの客席で見れたのが楽しかった!
予告は少年とロボットの感動の物語な構成でしたが、
全然異なっていて、もろにヒーローアクションアドベンチャー
内容をミスリードしてまで、泣きの要素を放り込もうとする、
その根性は尊敬の領域ですね(白目
内容としてはオモシロいんだけど、
なんかもの足りない感じ…というのが正直なところ。
(これならシュガーラッシュの方が好きです。)
ただサンフランソウキョウという日本を想定した
架空都市が舞台で、主人公は日系日本人で、
ものづくりの素晴らしさを描いた作品なので、
興味深く見ることができました。
主人公はヒロという中学生。
大学でエンジニアを専攻する兄を持ち、
自身もロボファイトで金を荒稼ぎする天才エンジニア少年。
ロボファイターなら楽に金持ちになれるじゃ〜ん
というヒロを兄が説得し、
入学試験用にマイクロボットをヒロが開発する。
このマイクロボットにまつわる陰謀に対して、
兄の作ったケアロボットのベイマックスと、
その仲間達と悪と戦う!というお話です。
ロボファイトのシーンから始まるんですが、
どうしたってリアルスティールを思い出しちゃう。
そして明らかにヘボそうなヒロのロボットが
KUFUで相手を負かすのは痛快。
悪の道に染まりそうなヒロを、
兄が自分の大学に連れていき自身の研究室を見せる。
ここがかなり好きなシーンで、
井の中の蛙が大海に飛び出す瞬間というか。
兄が「ほらこんなに凄いんやで!どや!」
みたいなことは言わないで、単純に紹介するだけ。
ものづくりの醍醐味が炸裂しているんですなー
その先を決めるのは本人というのがグッとくる。いい兄!
しかも研究室の友人たちのそれぞれの発明が、
後のバトル展開にも活きてくるのもスーナイ。
(Chemical的にハニーの武器がアガる!!)
ヒロが開発したマイクロボットは小さな粒で、
それを神経センサーで制御し、
その粒を如何様にでもコントロールできる。
はっきり言って、この道具の無敵具合が過ぎて、
物語のバランスが崩してしまっているというか。
敵の手に渡ってしまうんだけど、
これやったらすぐに殺したり、捕まえたりできるやろ!
と思ってしまったんですよねー
本作の見所は主人公の相棒ベイマックスです。
あのバルーンライクな質感、
ひょこひょこした動きとオフビートな応答。
cuteでfunnyだなぁとしみじみ。
(特に皆でベイマックスの体で暖めるシーンが好き)
このケアロボットをバトルロボにカスタマイズして、
兄の仇討ちとして悪との戦いに挑む。
5人の力で敵を追い込むことに成功し、
敵の正体を知ったヒロは殺そうと短絡的になる。
それを何とか残りのメンバーで止めて、
ヒロ自身も兄がベイマックスを作った目的、
つまり人を助けるという本来の目的を省みる。
ここまでの流れはいいんだけど、
結果的に完全に武器としてベイマックスを扱い、
敵を倒しに行くっていうのがなー
ただ、この辺のことは見終わった後に考えたことで、
見ている間は童心に帰り、
「いけー!」と心の中で叫んでいました。
だって子どもの頃から慣れ親しんだ、
ヒーロー戦隊もの(5人+ロボ)編成なんだもの。
しかもアクションはどれも迫力満点で最高。
あとはグーパンチを巡った一連の演出はコメディ的にも、
物語の構成考えても見事だなーと思わされました。
エンドロール後の展開をみて、
あいつ誰やと調べた時にすべてが「あーっ!」ってなる瞬間、
すべてが合点いきました。
ディズニーがエンタメの王に君臨してるだぜ!
とでも言わんばかり。
子どもと見るのが楽しい映画だと思います。

2014年12月20日土曜日

寄生獣



前作のドラえもんで、山崎貴監督作品を初めて見て、
永遠のゼロも見ようかなと思った矢先の本作。
いい評判聞いてなかったので、期待してなかったんですが、
そんなに悪くない…いやイイじゃん!!って感じでした。
(原作を読んでないのが功を奏したのかも)
確かに説明過多な部分も多いですが、
クリーチャーの造形や容赦無く人が死んでいく流れは、
非常に好感を持ちました。
出演している俳優陣も素晴らしくて、
絶妙なキャスティングだなーと感じました。
偏見ダメ絶対!の思いを強くした次第です。。。

主人公の新一は平凡な高校生。
ある日右手に寄生獣が宿り、彼と共に生活することになる。
新一は亜種で、他の寄生獣は脳を乗っ取り、
人間になりすまし、人間を捕食。
人間との共生を目指すもの、好戦的なものなど、
色んな寄生獣と新一の戦いを描いた物語です。
冒頭、世界各地の危機的状況の映像が流れながら、
予告編で何回も見たモノローグが流れます。
この時点では「ダサいなー、嫌だなー」と思ってました。
海からやってきた寄生獣が、色んな人間の脳をhacking。
ある夫が朝食の際に、妻の頭をカプリ!タイトルどーん!
ここで悪くない…いやイイ!好きだ!と。
まず主人公に染谷将太を持ってきたのが
僕自身が好きな俳優ということもあるんですが、
成功の要因かなーと思います。
オーバーアクトと思われる部分も、
彼だからこそ成立したような気がします。
新一に宿るのがミギーという寄生獣で、
声を担当しているのが阿部サダ夫。
このミギーはキモカワイイんですが、
それに加えて人間のことを一動物として、
客観的に見て講釈を垂れるのが好きでした。
この2人のバディものとも言えると思いますが、
関係性が徐々に変化するのがオモシロい。
人→獣、獣→人。
それに合わせた染谷くんの髪型や服装の変化、
ミギーの睡眠の演出はナイス。
ステディの橋本愛との極上甘酸買物シーンからの、
犬が轢き殺されシーンも好きだったなー
深津絵里演じる教師が、人間と共生を目指す寄生獣役。
このキャラの説明過多っぷりは正直目に余りました。
テーマの部分をセリフでガンガン語ってしまう。
ただ話が複雑なので、navigator的な機能だったのかなと。
(水族館で見せる威嚇シーンは最高)
寄生獣なんですが、人間になりすまし、
人間を食べるので、ルックはカニバリズムさながら。
その観点でいうと中華料理屋のシーンは攻めてましたね!
あと本作はなんといっても東出昌大無双が見所。
桐島、ごちそうさん、クローズEXPLODEと、
朴訥な演技に定評があるかと思うんですが、
決して演技が上手い人というわけではない。
それを逆手にとった絶妙なキャスティング。
終盤、えげつない暴れっぷりを見せるんですが、
最高最高でした。(橋本愛の友達の殺され方よ…)
そもそも新一の母親が敵のAという寄生獣に
乗っ取られるという悲劇をベースなのも、
こんなメジャー映画でよくやれたなーと思います。
ラストの河川敷のバトルは大したアレでもなかったけど、
戦いが終わったあとに「涙が出ないんだよ!」と、
新一がシャウトするのは、いわゆる泣き映画を作ってきた監督なりの、
メタ的なギャグとして受け止めました。
本作は続編があるので、
ラストに次作への種まきが行わるんですが、
ここは本当に蛇足だなーと感じました。
次作の冒頭で十分事足りる内容をダラダラ見せてくるんだもん。
病院訪れたところで「一匹残らず殺す!」のところで
終わってしまえば良かったじゃん!
次作はスケールアップによる綻びが目立ちそうだけど、
楽しみに待ちたいと思います。

2014年12月15日月曜日

ショート・ターム



メジャー作品が矢継ぎ早に公開されている中で、
見逃していましたが、やっと見れました。
予告編を何回か見ていて、
「あっ!クロエやん!」と思ったのです。
クロエとはブリー・ラーソンという女優で、
あの「24」でジャックの周りで唯一生き残った、
優秀なCTU捜査官を演じています。
(大学廃人時代に全シリーズを見ました)

2016/2/14
まことに申し訳ございません!
ブリー・ラーソンは24のクロエを演じていません。
私の間違いです。
クロエ役はメアリー・リン・ライスカブです。

いやーとても面白かったです。
こういうことがあるから、
未知な映画を見ることをやめれない病にかかっています。
「人を受け入れたり、人に受け入れられることで、
人は幸福を感じる」というテーマが好きでした。
舞台はアメリカですが、日本の最近の社会情勢等も、
考えさせられたりもしました。

題名のショートタームは養護施設のことで、
孤児や虐待された子どもを引き受ける場所。
そこで働くグレイスという女性が主人公です。
彼女とその彼氏や、子どもとの関係を中心に描いていきます。
冒頭が最高にキマってて、
施設の職員同士で過去に在籍した子どもの話をしてる。
しつこいくらい長〜く紹介してからの〜
パンイチの少年が奇声を発しながら脱走!
ハンパな世界じゃないんで。という宣言にも思える、
このシーンで心を掴まれます。
何人か子どもは登場するんですが、
メインとなるのはマーカスという男の子と、
ジェイデンという女の子。
マーカスは黒人でHIPHOPが好きで、
自らリリックを書いたりもしている。
(ペットの金魚の名前がNasなのはアガった!)
非常に内省的で、言葉に敏感。
新入職員が「恵まれない子どもたちのために…」
と何気なく言ったところで、
「てめぇ、なめてんのか?!」
とキレるのは正義感があってカッコイイ。
特に好きだったのはラップをするシーンですね。
自らの反省を怒りに満ちた、
わりと禍々しい感じのラップを、
職員のシンプルなパーカッションに合わせて披露するんだけど、
本当に素晴らしくて、泣いてしまいましたよ!
ラップの初期衝動が真空パックされていて、
今年と言わず、歴代見た映画内のラップでトップクラスに好き。
もう1人のジェイデンという女の子は、
施設への新参者で、父親はいるものの、
父親と過ごすのは週末だけという関係性。
新入りということもあり、排他的で誰とも仲良くならない。
グレイスに対しては徐々に心を許し始める。
そのグレイス自身も親からの虐待を受けた過去が分かり、
本人含め、観客も2人を重ね合わせて見るようになっていきます。
さらにグレイスは同僚の彼氏の子供を妊娠しているんだけど、
その命と向き合うことを放棄し、
中絶しようとしていることが前半で描かれるので、
それも合わさり、複雑な気持ちになりましたねー
はじめは子どもを対象だった作品が、
大人の話へシフトしていき、なんなら大人の方がややこしい。
子どもの場合は外部環境(施設で保護する等)で
なんとかベクトルを変えれるけど、
大人になると内的要因で乗り越えないといけない。
結局それをできるのが大人ということも言えるけど、
それよりも子どもの頃に他人に受け入れてもらった体験が、
何よりも大切だなということがよく分かります。
その経験があるから、人にどれだけ心を開いても良いか、
さじ加減を学習していくことができる。
(逆にできない人は社会から弾かれてしまう。)
ジェイデンとグレイスが2人で車をどつき回すシーンは、
上記内容を捉えた素晴らしく、かっこいいシーンだと思います。
円環構造となるラストも素晴らしくて、
スローモーションでエモさも増していました。
エンディング曲はマーカスを演じた、
Keith Stanfiledのポップなラップで大団円。
非常にオススメの作品でございます。

2014年12月13日土曜日

ゴーン・ガール



大阪出張の隙間の時間で鑑賞してきました。

デビッド・フィンチャー監督の最新作だし、
予告編のFreshさも伴い、期待して見ました。
僕はフィンチャーの後期の傑作として、
彼のfilmogtaphyの中で語り継がれるだろうと思います。
つまり、そのぐらい素晴らしかったということです。
奥さんが謎の失踪をするというサスペンスとして、
抜群にオモシロいのは当然なんですが、
それを通じて夫婦関係がどういった形で成立するのか?
という示唆が含まれている点が興味深い。
今年最大級のネタバレ厳禁映画なので、
これから見ようと思う人は、
そっとウィンドウを閉じてください。

主人公はベン・アフレック演じるニックと、

ロザムンド・パイク演じるエイミーの夫婦。
ある日ニックが散歩から戻ったら、エイミーがいない。
家には争った形跡があり、警察を呼んで家宅捜査。
さらにエイミーを探せキャンペーンを
エイミーの両親を中心に展開し、彼女の行方を追う。
捜査を進めていくと、ニックが容疑者として浮上し…という話。
前半はごく普通のサスペンスとして展開していく。
(世界仰天ニュースとかに出てきそう)
もっと取り乱してもいいはずなのに、
やけに冷静だったり、笑顔さえ見せたりする。
奥さんを失った悲劇の主人公として振る舞うんだけど、
限りなくニックがクロだろなと思わされる流れ。
とくに浮気が発覚してからは、
ニュースキャスターと同じような気持ちになり、
こいつ最低だなと思い、
彼が犯人である可能性が頂点に達してから、
衝撃のドンデン返し!
エイミーがすべて仕組んだ罠で、
彼を妻殺しの犯人に仕立て上げて、
死刑にしてやろうという魂胆だった!
うわー!怖い!怖すぎる!と思ったと同時に、
これまでのニックへの疑いが解消する訳で、
「あれはあれなのか…」とか「ごめん…ニック」とか
思ってしまうんですよねー
前半の価値観がすべて逆転してしまい、
別の冤罪サスペンスが始まっていくのが痛快。
物事を一面的に見ているのはダメだなーとも思いました。
(あまりにエイミーの計画がパーフェクト過ぎた、
という点もありますが…)
後半は逃亡中のエイミーの様子と、
ニックが何とか自分の無罪を証明しようとする様子が、
交互に描かれていきます。
パーフェクトだと思われたエイミーの計画も、
ひょんなことで瓦解していくんですが、
彼女がそこからリカバーしていく姿が逞しくもあり、
もう本当に怖いシーンの連続。
人の親切心につけ込み、一旦身を落ち着けてから、
人の死を利用して自らをescapeさせる。
はじめの作戦に比べ、アラが目立つのは確かなんだけど、
失踪中の妻という自らの立場を利用するというね。
もはやアッパレというしかない。
結局エイミーはニックのもとへ戻ってくる。
(ここでのニックのセリフが最高!!)
何とかエイミーから逃れたいとニックは思っていたけど、
事態はそんな単純なものではなく、
今回の件を踏まえると、ニックが勝手な行動を取ったときに、
次はどういった報復が待っているか分からない訳です。
彼女が彼の退路を立つために、
クサビを一つ一つ打つのがまた怖い。
この辺で夫婦とはなんだろう?と考えさせられる。
それぞれがありたい姿、あってほしい姿に対して、
不断の努力を行い、関係性をkeep on しなきゃいけない。
どちらか片方がそれをやめたときに、
その裏切られた側が報復し、暴力的に支配する。
なんて怖い話だよ!結婚怖いよ!
他人なんて何を考えているか分からないよね〜というオチ。
とにかく見て欲しい作品でございます!

2014年12月10日水曜日

欲動



先日新宿武蔵野館に見に行ったら、満席でフラれたので、
シネマート六本木まで足を伸ばして見てきました。
なぜ見に行こうかと思ったかといえば、
監督が杉野希妃だったからです。
彼女がプロデューサーを務めたほとりの朔子が、
とても好きでオモシロかったので、
本人が監督したら、どんな感じかなーと期待していました。
なんですが、結論からいうと思ってたよりあんまり…
って感じでした。女優として出演もしていて、
それは素晴らしいんですが、監督としては物足りないなーと。
テーマ自体は興味深くて、性→生→死の自然の摂理の中で、
この流れは動物の本能=欲動であるというテーマ。
老いを実感し始めている最近の自分の気持ちや、
先輩、知人の子供を見たり、触れ合ったりする中で、
僕が感じたことが描かれていると感じました。
お話としては、病気の旦那とその奥さんが、
バリ在住の旦那の妹に会うためバリへ行くものの…という 内容。
冒頭ビックリするのが、鳴り響くバリの伝統音楽ケチャ。
結構長い尺で流れ続けて、
「いったい何が始まるんだ…」と思わせるツカミはナイス。
バリ紹介映画でもあり、合間にケチャを含め、
バリの伝統芸能や美しい風景が挟まれて、
確かにバリに行きたくなるし、魅力的だと思います。
でも、その一つ一つのシーンが長いんですよね…
描こうとしてることは好きなんだけど、
この演出で映画全体のテンポが悪くなって、
見ているとめっちゃダレてくるんですよねー
難病ものにカテゴライズすることもできる本作ですが、
よくある邦画の命を雑に扱う骨抜きクソ映画とは一線を画す。
それは会話を含めた人間同士の距離感や生々しさが、
物語へと引き込む力を持っていると思います。
特に生々しさの点ですが、前述したとおり、
SEXして、子供が生まれて、死んでいくことは動物の基本原理。
しかし、人間には理性というものがあって、
他の動物と異なり、SEXをsaveする側面を持つが、
それがどうにもならない欲動もあると。
同時に理性が働き過ぎた結果、
人をモノのように扱う側面もあったり…
この辺のことを主演の斎藤工、三津谷葉子の2人で、
セクシーを全面に押し出しながら描いていきます。
2人ともセクシーを超えたエロス全開で素晴らしかった!
工の方は死に向かっているので、
行動原理が理解しやすい存在です。
一方の三津谷葉子は行動原理が見えにくい。
それが欲動なんです!って言われたら、そうですか…となるけど、
インドネシア人のジゴロとのエピソードは退屈でした。。
劇中のセリフはポイントポイントで好きなものがあって、
「だから日本人の男って嫌なのよね〜」とか
「いなくなることは自然なことなんだよ」とか。
圧巻なのは妹の出産に立ち会ってからの〜
超濃厚なSEXシーン!脱ぎっぷりは当然のことながら、
スクリーンから匂い立ってきそうな勢い。
子ども生まれた!旦那は死ぬかも!SEXするしかない!
この欲動はストレートで清々しかったです。
斎藤工ファンは必見の映画だと思います。

2014年12月7日日曜日

ニシノユキヒコの恋と冒険



某先輩からの勧めで見てみました。
監督は「人のセックスを笑うな」の井口奈己。
最近、西島英俊が結婚したり、向井理が結婚て
世の女性が皆ショックを受けた!みたいな ことを、
よく見たり、聞いたりしました。
そのときは全然気持ちが理解できなかったんですが、
本作を見て少し気持ちを理解できたような。。
主演は竹野内豊で、彼がプレイボーイのユキヒコを演じる。
そんな彼が亡くなってしまい、
過去の恋愛遍歴を阿川佐和子(!)が語っていくというお話。
もう竹野内豊ファンは悶絶必須で、
彼の色気が映画から溢れています。
あーこういう人がモテるのよね〜と思わせる。
なんというか、あざとさが見えなくて、
ナチュラルに女性が求めることを満たすとでも言いましょうか。
ほぼ全編にわたってロングショットが多くて、
視覚的に男女の距離感を描くことで、
ある種のドライさ、客観性が担保され、
ユキヒコのfaceだけはない魅力が表現されていました。
こんな風にモテたらなーと遠い目で鑑賞を終えました。

フューリー



久々のブラピ主演映画。
監督がデヴィッド・エアーということで、
楽しみにしていた作品。
結果、重厚な戦争映画で大変満足いたしました。
あんまり戦争映画って進んでは見ないけれど、
見たら見たでヤラれちゃうのよねー
あと「HHHh」というナチス小説を読んでいたところなので、
それも加わってオモシロさ倍増!
お話は第二次大戦終戦直前、
FURYという戦車に集まった男たちを中心に、
連合軍vsナチスドイツを描いた作品になります。
ナチスは完全悪として特に詳細は描かれず、
FURYに乗り込む男たちのドラマをメインに描いています。
肝となるのは準主役のローガン・ラーマンが演じるノーマン。
彼は入隊ホヤホヤの二等兵で、
タイピストとしての訓練を受けたにも関わらず、
FURYの乗組員として配属されてしまう。
「人なんて殺せませんよ!」と言っていた彼が、
戦闘を重ねていくうちに一人前の兵士となっていく。
戦争映画でよく見る話ですが、
オモシロいと同時に恐いなーと思いました。
彼のはじめのナヨナヨっぷりとの落差が効果的。
あと言葉が通じなくても心が通じるシーンは
唐突さがありながらも甘酸としてナイス。
(ローガン・ラーマンといえば、
ウォール・フラワーは最高なので見てない人は是非!)
ローガンだけではなく、俳優陣が豪華。
主演のブラピは貫禄ぷりたつで、
顔に刻まれた年輪ともういうべき顔面力。
覚悟を顔で語る姿がかっこよかったです。
ただ死に姿を見せないというのは男らしくない!
と思いました。あんだけゴア描写攻めてるんだから、
製作総指揮を担った自らが最も残酷に殺されたって、
良かったのでは?と思いました。
エアー作品おなじみのマイケル・ペーニャや、
ニンフォマニアックで鮮烈な印象を残した、
シャイア・ラブーフも好演。
一番好きだったのはウォーキング・デッドでおなじみ、
ジョン・バーンサルですね。感じ悪い男を演じさせたら、
右に出るものはいないんじゃないでしょうか。
(特に目玉焼きを舐める、食卓での悪態っぷりは最高!)
デビッド・エアー監督の近作で見られた、
POV手法や手持ちカメラを使ったショットは少なめ。
基本はオーソドックスな撮り方なんだけど、
中盤の戦車バトルシーンがマジ超最高!
弱き者が強き者をKUFU精神に基づきブッ倒す!
単純に戦車の姿を写すのではなくて、
戦車内の5人の動きを、カットを細かく割って描くことで、
異常なまでの躍動感とも言うべきシーンに仕上がっています。
俯瞰ショットから、ブラピがギリギリまで引き付けるところは、
めちゃくちゃハラハラしました。
ラストはFURY vs 300人のナチス兵の壮絶な殺し合い
総力戦なのは当然なんですが、前述の戦車バトルが良すぎて、
少し物足りなかったかなー
全編にわたってキリスト教について語られるんですが、
日本人にとっては馴染みがないので、分からない部分も多いけれど、
調べたらもっと楽しめそうな作りになっています。
とにかく戦車映画のマスターピースとして、
後世に語り継がれること間違いなしなので、是非劇場で!