2014年12月4日木曜日

あまりにも単純化し過ぎた彼女の美



Twitterのタイムライン上で一時バズってたのを見て、
TAMA映画祭にて鑑賞いたしました。
JAY-Zが出資していて、劇中音楽をFlying Lotusが担当。
USのブラックミュージック好きな方は気になる内容ですよね。
タイトルに「単純化」という言葉がありますが、
話自体はtoo complicated!!って感じでした。
映画の構造も複雑だし、そこで語られる話も、
哲学的で抽象的な内容が多いです。
fictionとnon fictionの狭間で揺れ動く、
かなり変な映画であるものの、見終わったあと、
とんでもないもの見たかも…という余韻を楽しめます。
もともとは2006年に作られた短編がベースになっていて、
そのタイトルが「How would you feel?」
それを肉付けしたのが本作。
夜遅くまで仕事でくたびれて帰ると、
女の子との部屋デートをキャンセルされ、
翌日は寝坊してしまう流れが繰り返され、
途中で急に止まってこの映画の構造が説明される。
いわゆる肉付けというよりも本作内で短編が上映されて、
それを見る主人公 、というメタ構造になっています。
主人公は監督であるテレンス・ナンス自身が演じています。
彼はブルックリンに住む青年で、
普段仕事をしながら映画を作っているという、
もろに彼自身という設定。
主人公はほとんど喋らないし、
ほぼ全編ナレーションで話は進みます。
待ち合わせの女の子とは友達以上恋人未満の関係。
これを哲学的に解釈していく。
情報量が超膨大で、一度見ただけでは、
とても消化できないんだけど、
基本的には孤独とか愛とか、他者との関係性に関する、
監督の論考が延々繰り広げられる世界。
はじめは2人の関係だけだったんですが、
元カノらしき人も出てくるし、
アニメーションやストップモーションの映像も多用しまくり。
哲学的な内容をアニメーションで描くという点では、
ウェイキング・ライフやゴンドリー監督の最新作で、
こないだ見た背の高い男は幸せ?にも似ていましたね。
かなり内省的な内容で、監督の頭の中身を覗いている感覚。
普通の人も似たようなことを考える瞬間はあると思うけど、
その一瞬の思考をとらえて映像化するスキルは凄まじい。
全編に渡って流れるFlying Lotusの音楽も、
ある種ペシミスティックな世界観をうまく補強していました。
(音的には前作のUntil The Quiet Comeに近かったかな?)
終盤には前述した彼女が撮った映像やインタビューも放り込まれて、
もはや何の何なのか、よく分からないケイオス状態。
このケイオスを詳細に理解できればより楽しめるだろうし、
こんな体験は映画でしかできないと思います。
公開予定未定とのことですが、機会あれば是非見て欲しいと思います。

*上映後に山崎まどかさんと長谷川町蔵さんのトークショーがあって、
アメリカンインディー映画の状況の勉強になりました。
とにかくブルックリンがあっつい!

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