2014年12月6日土曜日

かいじゅうたちのいるところ



スパイク・ジョーンズ監督のfilmographyを追う一環で。
今年公開のherきっかけで好きになった監督なんですが、
本作はその前作ということもあり、
近年の彼の画作りのハンパなさが十分伝わってきますし、
お話も有名な絵本が原作で、ルックは子ども向けのようで、
実は大人が一番グッとくる作りになっていました。
主人公のマックスが家族と喧嘩して、
家出して船で旅に出て辿り着いたのは怪獣のいる島。
そこで彼は自らを王と名乗り、
怪獣たちと共同生活を始めるものの…というお話。
子どもって自分が一番大切にされたい願望が、
めちゃくちゃ高い訳です。
家族から雑に扱われたマックスが
怪獣たちに王として尊重されることで自尊心を満たす。
最初は彼を媒介として、トラブル続きだった怪獣世界にも、
平穏が訪れるかと思いきや、彼はただの子どもでしかなく、
再び怪獣間での仲違いが始まってしまう。
この仲違いが起こるのがキャロルという怪獣が原因。
彼は自分の考えが正しいという性格で、人の意見に耳を貸さない。
マックスはそんな彼の姿を見て疑問を抱き、
悲しい気持ちになる一方で、自分が家族に対して取った行動が
キャロルと大差がないことに気付く。
つまり、キャロルが鏡となってイニシエーションへの扉となる。
このような話を美しい映像と、
不細工ながらもcuteな怪獣たちとの関係性で描き出す。
それに加えて特筆すべきなのはアクションです。
ファンタジックな優しい世界でも、
大きな怪獣たちがたまに見せる怪獣の側面が、
物語のアクセントになっています。
特に泥団子合戦のシーンは戦争映画さながら。
ラストはもっと感傷的な別れにしてもよいところを、
敢えてwetにしすぎない締め方も好感を持ちました。
ブルーレイについているメイキングも最高の仕上がり。
原作の絵本を買おうと思います。

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