2013年8月31日土曜日

クライング・フィスト



ベルリンファイルの敵役で知ったリュ・スンボム。
面構え、存在感が超好きで、過去作をチェックしていく一環で。
クライング・フィスト=泣拳というタイトルにもあるように
拳が泣いていた!号泣メーン!でした。

W主人公の1人がリュ・スンボム。
20歳そこそこの若者で、社会からはみだ出したアウトロー。
喧嘩やカツアゲしまくりで、親にも迷惑をかける。
そんな中で越えてはならない一線を越えちゃって
刑務所に入れられてしまうんですね。
そこでも半端じゃない暴れっぷりで
その傍若無人ぶりからボクシング部に入る。
(食堂でカマすシーンは最恐)
もう1人の主人公は国際大会で過去に銀メダルを取った元ボクサー。
過去の栄光はあと影も無く、借金してるし、仕事もない。
息子と奥さんにも見捨てられて、街で殴られ屋を始める。
この2人のエピソードを交互に描きながら
最後、大会の決勝で相対して戦うところまでの映画です。
これまでのボクシング映画と違うのは
両方の「負けられない理由」を見せつけられてるところ。
熱心な格闘技ファンの感じる気持ちを疑似体験させてくれる。
リュ・スンボムは父と祖母への親孝行。
元ボクサーはボクシングを通じて取り戻す尊厳。
スキルを持った「持たざるもの」
vs
過去の栄光をかなぐり捨てて尊厳を取り戻す男

こんなんオモシロいに決まってるやないか〜い!
漢は是非!

2013年8月29日木曜日

ガッチャマン



 劇場予告見たときに、ざわざわするけど
もしかしたら、オモシロいかもしれない可能性を
僅かながら感じていた本作。
タマフルの課題作品にもなったし
信頼する当たり屋であるair太郎兄さんもキメた!
との報を聞き、劇場で見ました。
結果、やっぱり…おもしろくなかった…
というか中途半端だなぁと思いました。
あんまり批判したくないんですが、思うことを書いておきます。

予告編の段階から露骨にノーラン版バットマン以降の
アメコミ感がビンビンだったんですね。
つまり「なぜ戦うのか?」というお題目に
主人公らが苦悩しながらも悪に立ち向かう物語。
善悪は一概に語りきれませんよと。
そのテーマ扱うのはいいんですけど
ダサめのCGとロジックのないセリフ説明では
やっぱり説得力がなかったです。。

エヴァを意識したのか、してないのか分からない
文字での状況説明が行われて、タイトルが出てくる。
てっきり予告編で使われてたスーパーマンオマージュの
あのマークがでると思いきや、変なフォントのタイトルが…
ここでだいぶ疲弊したんですが
そのあとの一連のアクションが、この映画で一番オモシロい。
街の中に敵の車輪爆弾が突如登場して
東京の街を破壊しながら、ガッチャマン達の本部を襲う。
パシフィック・リムをすでに見た人にとっては
「はぁ?」ぐらいなクオリティなんだけどw
敵とのバトルを通じて、それぞれの特性やキャラが分かる。
しかも、アクションはかっこ良かったです。
とくにガッチャマン達の移動の仕方が
スパイダーマンみたいなのが良かった。

あ、もしかしてオモシロいかも?と一瞬期待したオレが悪かった。
ここから右肩下がりでした。
まず、剛力彩芽と松坂桃李の恋バナシークエンス。
昔のヒーローものにあるレッドとピンクのそれな訳ですが
ここの音楽も芝居も物語全体から浮きまくり。
オマージュなのか、なんなのか分からないけど
この設定が最後まで解せなかった。
基本的には、松坂、綾野剛、初音映莉子という幼なじみ3人の話
初音映莉子が松坂をかばって死んだと思っていたら
裏切って敵になっている設定。
とくに松坂と綾野が対照的に描かれていて
松坂:命令>仲間
綾野:命令<仲間 って感じ。
この価値観を巡って、それぞれ葛藤する。
それに輪をかけて、この3人が三角関係でもある。
彼女は松坂や綾野を見て、
「あなたたちは縛られててかわいそう。」という。
それはまるで、ブラック企業で一緒に働いていた同僚が
思い切ってやめて、転職してうまくいってる。みたいな話に見える。
そういう意味ではおもしろいのかなw

こういったアクションものってツッコミどころ探したら
絶対矛盾が出てくるけど、
良い映画はそれを上回る何かがスクリーンで展開される。
この映画はその設定のモロさが全部露骨に見えてくるから
終盤全く乗れなかったです。
色んなネタがあって、それ自体はオモシロいのに
それを利用したオモシロさがなかったなー

松坂も命令<仲間という価値観の逆転があるけど
なんのきっかけもないし…
「千人の命を救うために、1人の命は犠牲にしない!」
って言って、剛力とか周りも賛同してるっぽいのに
綾野と松坂だけボスと戦ってて、残り3人は飛行機で待ってるって。。
松坂のリーダーとしての素質大丈夫なん?って思いました。

冒頭の短編アニメにはスチャとかしまおさん関わってるし
本編の衣装は伊賀大介さんで
好きな人が携わってるから、悪く言いたくなかったけど
やっぱり免疫ないオレには相当キツかった。
剛力彩芽好きは見ればいいんじゃないすかー?(白目

2013年8月27日火曜日

O B O N

14日
大阪へ移動。お盆なので東京駅混んでた。
<道中の本>


高校時代の友人と再会。
近年のオレの本への高まり具合に伴い
帰省するたび、かなりの打率で会っている。
2人で茶屋町のマルゼンジュンク堂へ。
東京でも色んな本屋行っていますが
それをふまえてもmost favoriteな本屋です。
お互いのオススメ本を買うのが恒例。

<私が購入した本>


<私がオススメした本>



その後、茶屋町あたりで飲酒。
本の話からあまちゃんの話までスイングしまくり。
自分達の好きなものなり、感じていることを
言葉で論理立てて、説明して約3時間ジャムってた。
彼の読書レビューはとてもオモシロいので
是非読んでみてください→ここを押せ
途中、別のところで飲んでた同級生と合流し
そこでも終始あまちゃんの話。
友人の言っていたGMT=ももくろ説が一番アツかった。
帰りに凹凸屋へ顔出すと、イヅル兄さんと遭遇。
風立ちぬの話をしていた気がする。(記憶おぼろげ。。)
最後はShelterで撃沈。

15日
昼間は墓参り。
子どもの頃は嫌いだったけど
嫌いじゃなくなっている自分をみる。
オトナの階段のぼる〜
そのあと、家族4人でカレー。


オレがセブンイレブンのことをセブンと言っただけで
「東京かぶれが!」と3人から集中砲火。
「大阪ではセブイレじゃ!」と。

夜はrakawa兄さん、セージ兄さん、リョータ兄さんで
映画のことをひたすら語る会。
サマーヌードの山Pを意識したレイバンのサングラスが眩しい。
全員共通で見ていたワールド・ウォーZの話がオモシロかった。
あんだけキャッキャできるということは楽しい映画なんだと再認識。
途中rakawa兄さんとなぜかパーティー論なって、ほぼ喧嘩w
(ジャンゴ論ですぐに仲直りした)
そこへ今をときめくseiho君が急遽やってきた。
最近の音楽話などしつつ、elekingとは全く異なるアプローチで
seiho君の昔話を聞く。真夏のabstract sex.
最後はStrechでジン飲んで帰宅。(rakawaさんは勝手に帰った…)
帰路で自転車で横転し、ケガした。胸の骨にたぶんヒビが入ってる。

16日
昨日の事故でイヤホンが断線。
起きてソッコーヨドバシへ。UEのイヤホンにしました。
母と合流し、おばあちゃんの家へ。
最近おじいちゃんが亡くなったばかりで
心配していたが元気そうだった。
3人で三宮の「うを勢」へ。
ここの寿司はCP良いし、「おどり」っていうネタが超おいしい。
最後はコーヒー飲んでさくっと帰宅。

17日
高校の同級生の結婚式。
高校の友人として呼ばれた男4人。
仕事のから同級生の近況など
ずっとお酒を飲みながら、終始四方山話。
友人の会社の先輩で、死ぬほど仕事している人が言った
「時代がオレを追い抜こうとしてくるんや〜」
というセリフは心に留めておこう。いや、要らない。
2次会の景品大会でアウェイ約100人の中、
「似てると言われた芸能人」を言わされ
スベリ倒したので、心に傷を負いました。
図書券と引き換えに。

18日
父親に駅まで送ってもらい、昼に東京へ帰還。
東京へ戻る度に感じる異邦感に浸る。

これが私のお盆です。

2013年8月18日日曜日

ペーパーボーイ 真夏の引力



お盆前の仕事終わりに飛び込みで見ました。
ザック・エフロンが出てることと
「Precious」と同じ監督ぐらいの前情報のみで見に行ったら
とんでもなく面白いというか今年見た中で一番ビックリしました。

ザックは大学を中退したteenで、親父と兄が新聞記者。
(Paper boyは新聞少年という意味)
ある死刑囚の冤罪疑惑を兄と黒人の記者、
死刑囚と文通していた40歳ババァで暴いていく。
その40歳ババァに対するザックの恋心。
この2本柱で話は進んでいく。
この40歳ババァをニコール・キッドマンが怪演してるんです。
もはや怪演というレベル超えている…マジで今年最大級のビガップ!
ニコール・キッドマン以外の俳優も全員最高。

1969年のテキサス南部という舞台設定もあるけど
映画全体からにじみ出る不穏な空気は
俳優の力が一番大きく影響していると思います。
撮影方法も相当変わっていました。
変なところにフォーカスするとかジャンプカットの多用とか。
とりあえず、なにもかもがCrazyかつtoo much。
正直挙げたらキリないんですけど
死刑囚との面会シーンにおける
対面オーラルセックスからのチンポジ調整。
クラゲに刺されて、おしっこかけるシーンとか。是非見て欲しいです。
どのシーンもオブラートにできるのに、むちゃくちゃダイレクト。
これは映画にできる面白さだと思います。
さらにいえば、「Precious」にも通じる黒人差別への姿勢。
「Precious」はテーマ自体がそれでしたが、本作ではポイント演出。
これもまたヤダ味と切なさで込み上げるものがありました。
ザックが一番若いのに観客から見ると一番まともに見える。
(年増のババァにゾッコンだとしてもw)
周りの大人の狂気に巻き込まれてしまう。
「狂気」と書いたけど、その狂気はその人の一側面でしかない。
ってことが、それぞれの人物像を通じてよくわかる。
あと音楽が終始最高。
60年代が舞台ということもあり、good soulからDiscoまで。
とくにエンディングに使われてたfour topsの曲が一番最高でした。
ラストシーンも頭にこびりついて離れないくらい強烈。
ザックが水泳部でよかったよ…って死ぬほど思いました。
園子温監督映画好きなら、是非!

2013年8月14日水曜日

パシフィック・リム


 

ギレルモ・デルトロの怪獣映画!ということで、超楽しみにしていた作品。
想像をはるかに上回り、超最高でした。
ざっくりストーリーを説明すると
海淵が異世界と通じていて、そこから怪獣がじゃんじゃん出てくる。
それをイエガーで倒して地球守ろうぜ!という話。
子どもの頃、映画館でゴジラやガメラを見たときの興奮、感動を堪能しました。
大きいロボットと大きい怪獣がスクリーンいっぱいに暴れ回る。
しかも、IMAXで見たので迫力がハンパじゃなかったです。
IMAXで見ると、映像の情報量が多過ぎて
話をきっちりフォローできなかったりすることありますが
本作は非常にシンプルなので、そんなことなかったです。
劇中で怪獣のことを「monster」ではなく「kaiju」と呼んでいることからも
監督の東映怪獣映画へのリスペクトを感じる。
ロボットはエヴァを想起させる仕組みで、イエガーと呼ばれる。
2人1組で乗って、お互いの脳をシンクロさせてイエガーを動かす。
そのため、バディ映画の側面もあわせ持っている。
もう冒頭5分のイエガーのセッティングとか見てるだけで心躍る。
主人公の兄弟が乗っていて、いきなり負けちゃって兄を失ってしまう。
この弟と菊池凛子がバディ組むんですが
菊池もトラウマを持っていて、最初はうまくいかない。
そこから香港の戦いで劣勢になって、
ジプシーデンジャーが反撃するんですが、このシーンが一番好きでした。
夜の香港の街中をぶっ壊しながら、ロボットと怪獣が暴れまくる。
物理的に怪獣を倒すだけじゃなくて
2人の学者が怪獣撲滅の術を探るところもおもしろい。
ここもバディ感ビンビンでアガるし、ロジックも納得できる作り。
芦田まなちゃんが出てるのも話題ですが
怪獣映画に出てくる小さい女の子感があって良かったです。
最後の戦いでは、ロボット達がボロボロになりながらも
知恵をふりしぼって、戦う姿がかっこいい。
エンディングで、劇中で色のついているイエガーが
ブラックメタルで登場しながらのクレジットは超アガリマシタ。
言葉にすると野暮になる映画なので、とりあえず見て欲しい!

2013年8月11日日曜日

アイアン・フィスト



サントラは購入済み。(KanyeのWhite dressが超名曲)
日本で公開されんのかなーと思ってたら、無事に公開ということで。
イーライ・ロス、タランティーノが製作に携わっていますが
監督はWu-tang Clanの総帥RZA!
このクルーはカンフーに影響を受けてる人が多いんですが
中でもRZAのカンフー好きは有名。
そして、本作は彼の趣味を露骨に反映した娯楽映画でした。
映画での出来が良いとは決して言えないけど
ジャンルムービーとしては最高。
劇場出たあとも終始ニヤニヤしてた。
冒頭からモロに中国カンフーっぽい作りで超楽しい。
RZAは監督兼主演で、鍛冶屋の職人を演じてます。
彼の住む街を金塊輸送で通ることになり
そこでのイザコザがメインストーリー。
ラッセル・クロウ、RZA、リック・ユーン。
この3人のそれぞれの因果関係を通じて
話は進んでいくんですが、終始アホ感が…w
特に前半のラッセル・クロウは下衆の極み!何回も笑いました。
RZAは下手うって、両手きられる。
そこから鉄の腕、アイアン・フィストを装着する。
この腕を動かすギミックが中国の寺で修行して身につけた「気」
黒人の彼が僧侶の恰好してるのがシュールでファニーなんすよね。
これやりたかったんやろな〜みたいな。
リック・ユーンのほうは親の仇討ち。
武器が装着型で、ダサかっこよかった!
この3人それぞれに対して、敵がいる訳なんですが
なかでもRZAの敵である金剛がおもしろかった。
このキャラだけ、アメコミに出てきそうな特徴を持ってて
Mash up感あって面白かったですね。
RZAの止めを刺す訳ですが
それが北斗神拳+ドラゴンボール的な技。
しかも、その直前に少しタメを作って
これまでの金剛との因縁をわざわざ思い出す。
思わず笑ってしまいました。
くの一とか双龍のくだりもギミックの一個一個が笑えるし
アクションもかっこいい。
毒吹き矢のキャラは必要なかった気がしたけど。
全体的に血多めで、首チョンパもあるし
画的にアガル楽しい映画でした。

ワールド・ウォーZ



半年前くらいから予告編ずっと見てて、おもしろそうやなーと。
しかも、Zがzombieの略と知り、一層期待が高まって見ました。
正直、期待してたよりはアレな出来でしたが
場面によってはアガるポイントがありました。

世界中に原因不明のウイルスが蔓延して
その感染者がゾンビになって、人に襲いかかってくる。
ブラピは元国連の優秀な調査員だったこともあり
このウイルスの原因を突き止める役割を担う。
予告編で何回もやっていた
バイクがサイドミラーをぶっ壊すところから
いざ事件になるまでめちゃくちゃ短い。
前フリが無いから、いきなり襲われた主人公に感情移入しやすい作り。
ゾンビという存在の理不尽性。
車で逃げて、ビルの屋上から逃げるシーンが
映画内で一番ハラハラしたかな〜
ここで、ブラピが感染したかも?!
って確認するシーンがあるんですが、そこがFRESH。
世界全体で感染が広がっているんですが
映画の舞台は韓国→イスラエル→ウェールズと移り変わる。
その中でもイスラエルのシーンが圧巻。
ゾンビたちの持つ、ある習性が引き金となり
壁に人柱をつくり、ゾンビが来襲する。
全体を通じて、ゾンビの人海戦術がこの映画のハイライト。
物理的に超楽しかったです。
VFX含めた色んな技術が発展した現在だから見れるゾンビたち。
イスラエルからウェールズへの移動
およびウェールズでの話が…話のつくりが雑で残念。
ご都合主義な部分が気になりました。
移動シーンでは機内でゾンビが発生して
手榴弾を投げて、エスケープするんですが、当然飛行機は事故る。
この事故のスケールが無駄にデカ過ぎて
どうみても助かるレベルじゃないw
ウェールズでは、WHOでワクチンというか
ゾンビに対する術をブラピが思いつくんですけど、ロジックが雑。
設定はおもしろいんだけどなぁ。
ランダムに取ったものを接種して、うまくいった!って…
しかも、そのリスクが描かれないのも。。
ここはバイオハザード感ビンビン。
(自販機のジュースのシーンは笑った)
あと、家族描写が必要だったのかのも疑問。
有事のときは、選ばれものしか助からないという現実は
かなり厳しめにまで設定してた点では意味あったのかな。
最後の最後も、終わってないというナレーションと
終わった感ある家族の再会で対比される。
だからカタルシスあるようで、ないような中途半端。
ゾンビ映像としては最高。

2013年8月10日土曜日

許されざるもの



特大クラシックですが、未見でしたので。
渡辺謙主演、李相日監督でリメイクされるのも話題ですね。
ダーティハーリーから繋がるクリント・イーストウッドの
暴力へのスタンスがよく分かる映画で、最高におもしろかった!
伝説の殺し屋であるクリント・イーストウッドは
奥さんのおかげで更正し、農民として細々生きていた。
そこへ賞金稼ぎの話がきて、11年ぶりに銃を持ち
悪党を成敗しにいく話。西部劇です。
なんというか、安易な二元論で善悪を決められますか?
という話なんです。
この映画では、小さな街が舞台となっていて
保安官が過度な締め付けを行っている。
(銃を持ち込むんじゃねぇ!という)
表向きに見れば、間違っていない考えなんだけど
過度な正義が悪に成りうる。
クリント・イーストウッドは最初よぼよぼのロートル。
馬に乗るのもままならない。
一旦、保安官にボコられて、死にかけてからのぉ〜
クリント・イーストウッド無敵化。
ターゲットのことを躊躇なく撃つし、ノリノリ。
でも、仲間のモーガン・フリーマンは
暴力に嫌気がさしちゃってるし
甥っ子は人殺したことないから怯えてるし。
暴力の連鎖が産む怖さと、暴力に初めて触れる怖さ。
この両方を2人のキャラで描いていると思います。
モーガン・フリーマンが殺されてしまって
イーストウッドが酒を飲むシーンはマジで怖い。
これまで亡くなった奥さんのことを
どこか感じさせていたのに
このシーンで、殺し屋としてのアクセル全開。
そこからの仇討ちは最高でした。

まだまだ見れてないイーストウッド作品見ていきたいっすね。

2013年8月9日金曜日

モンスターズ・ユニバーシティ



しっかりと予習で前作を見た後で。
断然、今作の方が好きでした。
サリーとマイクがモンスターズ・インクに
入社するまでの大学でのストーリー
勉強ができるけど、実力は無いマイクと
勉強はできないけど、実力は抜群なサリー。
この"ungifted"と"gifted"な対比の作りが良いバランス。
マイクはモンスターズ・インクで働くことを夢見て
大学で勉強する意気込み十分。誰よりもやる気に満ちあふれている。
でも、本質的に全く怖い存在ではない(見た目や声など)
一方で、サリーは有名な怖がらせ屋の2世として
その溢れる才能にあぐらをかいて、勉強する気なし。
この2人が紆余曲折しながら
モンスターズ・インクで描かれるような
名バディとなる過程が楽しめます。
基本的にはルーザーもので、怖がらせ学部を
除籍されてしまったサリーとマイクが
ダメダメグループを率いて、怖がらせ大会で優勝を狙う物語。
いわゆる下克上Steelo.
最初、2人は上述した通り、水と油のごとく合わない。
しかも周りのメンバーも、のんびりしてて勝てる気配ゼロ。
そこから、それぞれの個性を生かしながら
チームが一つになっていくのが愛おしい。
特に良かったのは、モンスターズ・インクに忍びこんで
働いている現場を皆で見学するシーン。
皆違って、皆良い!ってこと。
そこから大会の決勝へと物語は進んでいき、一旦大団円を迎える。
でも、そこで終わる訳ではなく、過度な優しさが悲劇を招く。
その結果、マイクが自分の実力を試すために人間界へと単独で潜入し
自分に才能、実力がないことに直面するんですね。超切ない。
しかし、そこへサリーが助けにいき、
それぞれが1人では発揮できない力、つまりバディ力を見せつけてくれる。
怖がらせ方のギミック含めて、ガン上がりでした。
結局は大学を退学させられる訳ですが、このバディ力で
モンスターズ・インクで怖がらせ屋として働けるようになると。
前日譚な訳ですが、予習なしで全然大丈夫。
(前作見てるとニヤリとする場面あるけど)
やっぱり、ピクさーはいつ見てもHigh Quality!!

2013年8月6日火曜日

モンスターズ・インク



続編の劇場公開に合わせて、見てみました。
ディズニー映画は見たいのいっぱいあるのに
レンタルビデオ屋いくと、つい忘れちゃう。

当然のごとく、おもしろかったです。
オトナになってから見るピクサー作品は
色んなことが見えてきて、子どものころに感じるオモシロさとは
また異なる味わいあって、最高っす。

見るまでずっと「Monster's Ink」と思ってたんですが
「Monsters, Inc.」 なんですね。
舞台がモンスターの会社で、その事業内容が
悲鳴を基にしたエネルギー開発。
要するに、モンスターたちが怖がらせる→子どもが悲鳴をアゲる
→それを回収し、発電 ということです。
この一連の流れをかわいく、スタイリッシュに
冒頭の10分で紹介してくれるところからアガる。
この世界では子どもが危険なものな訳ですが
その子どもに対する接し方が徐々に変わってくるのがオモシロい。
愛情の萌芽の過程。この辺に共感してる時点で
結構おっさんになったなぁと思ったりしましたw
あとブルーレイで見たこともあるんですが、絵が綺麗&かわいい!
とくにドアの倉庫のシーンは家で見ても圧巻でした。
サリー(青色のもふもふ)とマイク(緑の一つ目)の
 バディムービーとしても1級品。
紆余曲折しつつ、最後のあのマイクの気遣いよ…

ブルーレイの特典で、監督含めた製作陣の対談があるんですが
完成まで5年かかってる話とか、キャラデザインの過程、
2001年公開なので、911の影響などが語られてました。
とくにキャラデザインの過程がおもしろかったし
5年間ダメだしされ続ける(!)話にはビックリしました。

見て損することは一切ないピクサー、恐るべし。

2013年8月4日日曜日

かぞくのくに



キネマ旬報昨年度1位の作品。
おもしろいというか、とても哀しい話でした…
在日コリアンの家族の話で、父親が朝鮮総連の偉いさんで
その息子が25年ぶりに北朝鮮から
病気の治療のため、日本に戻ってきた話。
はっきり言ってしまえば、これだけなんですが
物語が進むにつれ、息子だけなぜ北朝鮮に連れていかれたか?
および北朝鮮と日本の関係性が分かっていくので、興味が持続する。
最近はレイシスト問題等で、色々目にしたり、耳にしたりしますが
はっきり言って、詳しいことは何も知りません。
どういう経緯で日本にいるとか。
本作で描かれるのは、在日コリアンにとって
北朝鮮が理想郷とされた時代が産んだ悲劇とも言うべき状況。
圧倒的にどうしようもない現実を前にしたとき
人間はひれ伏すしかないということが辛い。
この帰ってきた息子の引き受け具合たるや。。。
終始達観してる彼ですが
1シーンだけ感情が露になるシーンがあって、それが圧巻。
あとで、彼が北朝鮮に渡ったときの気持ちが分かることで辛さ倍増。
大人の都合で事を運ぶと、どういう結果になるか。がよく分かる映画。
そして、日本にいる在日コリアンの気持ちを代弁するのが安藤サクラ。
この日本に住んでて、北朝鮮のほうがいいってなるのは無いよなー
と頭の中では分かっていたけど、それを具現化したようなもの。
すぐに問題を単純化しちゃうけど、そんな簡単な話じゃないと
改めて気づかされた。(遅いのかもしれないけど…)
日本で生きてると、この環境が当然のように思えるけど
息子が北朝鮮へ帰る前日に放つ言葉。
これは誰にとっても、今考えるべきことだと思いました。
考えることを放棄しちゃダメだぜ。
最後のキャリーに象徴される希望は少し救われたけど。

まー見てみて、色々考えてくださいよ。

2013年8月3日土曜日

華麗なるギャツビー



映画の日だけど見たいの無くて、見逃していた本作を。
公開してすぐに、サントラは買って楽しんだ訳ですが
本作はギャグ的な目線で見ても、真面目に見ても楽しめました。
舞台は1920年代のNY。世界恐慌直前でイケイケドンドンな時代。
NYに引っ越してきたトビーマグワイア。
その横に住んでるのが、ディカプリオ扮する謎の大富豪ギャツビー
対岸に住んでいるキャリー・マリガンとディカプリオの恋物語がメイン。
マリガンとディカプリオは昔、結婚を約束した仲だったのに
彼女は別の男と結婚してるし、その旦那は不倫してるし。
基本的にはメロドラマだけど、ときに虚無みたい感じ。
語り口としては、トビーマグアワイアが療養所で
カウンセリングを受けながらの回想の形。
そのカウンセリングの一環として、執筆することで回想が進んでいく。

まず、なにが凄いてギャツビー邸でのパーティーシーン。
いわゆる「祭りで〜い!」のテンションなので
映画館で見ると、無意味にアガる!
しかも、1920年代なのに、BGMはバキバキの四つ打ち。
画も全体的にIMAX仕様。
2Dで見ても、画からもバカっぽさが伝わってくる。
でも、単純に豪華絢爛な側面を見せるだけじゃなくて
街の電気の源である石炭鉱も絡んでくるのでアンビバレント。
ギャツビーの絶妙な成金野郎感は最高でした。
ディカプリオはジャンゴのときとは違ったアホっぽさ。
どこか憂いがあるんですけど、それがなんとも…
この映画はなんといってもトビーマグワイア!
彼の巻き込まれ具合は、ハングオーバーのスチュ級。
それを一番象徴しているのが、ラスト手前でのホテルのシーンでした。
逢い引きを繰り返していたディカプリオとマリガン。
マリガンがついに旦那に離婚の意思を伝えようとする。
旦那とディカプリオの舌戦が繰り広げられます。
(ここでのディカプリオの啖呵は必見)
散々ドロ沼な展開があったのち、トビーマグワイアが思い出したように一言。
「今日誕生日だったわ…」
えー!今それ言うの!?そして、不憫すぎる!かわいそう!
でも、劇場で思わず笑っちゃいました。
最後は哀しい結末が待っていましたが、このトーンは好きでした。

半笑いで見るのが吉!