2013年3月30日土曜日

キツツキと雨


沖田監督マラソンの一環。

面白かったです。
3作見たことで、この人の作品からにじみ出る
少しのビター感と全世界肯定感は、非常に心地よいものだと感じました。

主役は役所広司と小栗旬。
役所広司は田舎で林業に従事する普通のおじさん。
そこへ映画監督の小栗旬が撮影でやってきて
不思議な友情が生まれる過程を描いていく。

なにが良かったかといえば、映画の持つ魅力、そのパワーを可視化したところ。
映画にそんな興味なかったオジさんが撮影に巻き込まれていくことで
本職が手につかないくらい映画に夢中になる。
一方で、小栗旬も若い映画監督が抱える特有の悩みを持ってるけど
役所広司の初期衝動を目の当たりにすることで
映画に対して前向きに取り組めるようになる。

年齢も職業も全然違う2人が映画を通じて
友情とまでは言い切れないけど、良い関係を築く。
ここで押し付けがましくないのが
沖田監督の好きなところなんですよねー

あと劇中で撮影されている映画がゾンビ映画なのもおもしろい。
日本の田舎町とゾンビという食い合わせの悪さ。
でも、そこで生まれるアンバランスなファニーさ。
街中がゾンビ化するところは思わず笑ったし
ラストシーンの謎めいたカタルシス。笑

いやぁ、映画って本当にいいものですよね。って言っちゃう作品。

2013年3月24日日曜日

続荒野の用心棒


原題はDJANGO。
つまり、今公開中のジャンゴの元ネタとも言える。
イーストウッドの「荒野の用心棒」の続編ではなくて
イタリア製西部劇。いわゆるマカロニ・ウエスタン。
この作品以降、ジャンゴ関連の西部劇が乱発されるぐらい
影響受けた作品は数知れず。

冒頭のクレジットとかメインテーマとかは
QT版とそのまんま一緒。QT版見た後だと趣深かったです。
1匹オオカミのジャンゴが人をぶち殺しまくる映画なんですが
特徴的なのは棺桶を引きずっていること。
この中にはサブマシンガンが入っている。
それでもうバッタバッタ、人をアリを殺すかのごとくブチコロス。
これがもう カ・イ・カ・ン
正直、これなんで?みたいな突っ込みしたくなる場面も
多々あるのは否めないけど、一瞬の快感があるから吹き飛んでしまう。
猫の手も借りたくなる最後のシーンがツボでした。
うわーどうすんねん!えー!みたいな。

正直、マカロニ・ウエスタンの底なし沼具合が怖くて
これ以上深入りするべきか悩んでいる最近。

キャビン


公開前から方々で話題になっていたので、ついに。
池袋のアノ映画館は見にくいからホント嫌だと再認識。
そんなことはさておき、死霊のはらわたを予習で見る準備を整え
劇場に乗り込んだんですが、見てなくても良かったというか
そんなことより色んなことがぶっ飛んでました。
もう何から話せばよいやら…って感じですw

男女5人組で山小屋行って、呪文唱えて悲劇が始まるという設定は
もろに死霊のはらわたとほとんど一緒。
だけど、この映画がそんじょそこらのホラー映画と異なるのは
メタ視線をそのまま映画の中で見せるという荒技を使っている点です。
ある種マトリックスに近いとも言えるかな。
ホラー映画のような状況を作り出し、それをwatchしてる人がいる。
ホラーとされる部分の作りはありきたりだけど
ゴールがどこなのか見てる間には皆目見当もつかないから
興味が持続して、飽きずには見れました。
終始メタ視線が挟み込まれるから、全然怖くなくて
ホラーというか最早コメディだと思います。
彼らの目的が終盤で明らかになってくるけど
それもまさかの展開で笑ってしまいましたw
見方によっては、これまでのホラー映画内で殺されてきた人達への
追悼映画でもあると言えるとも思います。
あと、ホラー苦手で好きじゃない人は本作を最初に見てから
ホラー見ると俯瞰目線を体得できるので、それも良いかな。
エポックメイキングではあるので、見て損はなし。

2013年3月23日土曜日

南極料理人



横道世之介を見た帰りに借りました。
近所の映画館の横にはツタヤが隣接しているという
映画好きはたまらん作りなんですが
沖田監督作品全部見てみようということで。

2作連続で見た事で、沖田監督の味わい深さがよく分かりました。
結果、この作品も好きでした。

南極の基地でいえば昭和基地が有名ですが
さらに極寒の基地での料理人のお話。
下界とは隔離された中で男たちの生活が描かれる。
淡々とした生活の中で見られる男たちのじゃれ合い。
この部活感!多幸感!がホントいい。
あと料理ですよねー出てくる料理は特別なものではないけど
超おいしそうに見える。さらにその料理を巡って
人に料理を作ってもらうことの尊さを
ギトギトの唐揚げを通じて語るっていうw
美味しいとか美味しくないとかじゃないよと。
作ってもらうことのありがたみ噛み締めろよと。
(全然関係ないけど、
きたろうのラーメンのくだりも好きでしたw)
基本的に映画全体からは多幸感びんびんなんだけど
ちょろっとビターさを挟み込むって作風なんですね。
押しつけがましくないから、ボクはこの世界観好きなんだけど
嫌いな人は嫌いかも。オススメ。

横道世之介



レイトショーにて。
公開初日はTLでちょろっと話題になってるの見かけたけど
それ以降はあんまり評判聞かず…
今日も最終日ということもあいまって、空いてました。
予告見た段階では、ポップすぎるなーとか勝手に思ったけど
かなーり好きでした。
約2時間半あって退屈しそうなものの、全然飽きない。
映画自体のテンポ等も悪くないですが
なんといってもキャラクターの魅力。 コレにつきる。

長崎から出てきた大学生の横道世之介の物語。
彼と彼の周りの大学生活が約80%で、残り20%が彼を懐古する大人の話。
舞台が1987年から1988年という、まさにボクの生まれた年代。
冒頭で街の風景をセリフ無しで見せて
時代を観客に分からせるのは上手いなぁと。
(年代を特定できたのは、赤ちゃんの出生記録から)
物語全体の80年代感を構築したのはホントにスゴいと思います。
 彼の大学生活の描写が「桐島」的なリアリティを感じる場面がある一方で
結構ぶっとんだ設定もある。この2つのバランス感覚が好きでした。
この映画では横道の葛藤がほとんど描かれないのがウィークポイントかなー?
(難民のところぐらい?あそこも葛藤とは言いがたい)
だから成長物語としては機能してないように思えました。
でも、キャラクターの生きてる感をひしひしと感じたし
大学1,2年レベルで登る大人の階段のリアルさ。
つまり、そんなに大きく成長しないんだと。
あと甘酸シーンのつるべ打ちも特筆すべき点。
吉高由里子のMudererぶり。
まーここまでの話だと単純な青春ドラマでつまんなくなりそうなんだけど
ところどころで引き締めるのが横道を懐古する大人の話。
最初は単なる思い出の一部と語る当時の友人達が出てくるんだけど
途中である結末が挟まれたところで、物語全体のトーンに陰が差す。
それ以降、同じタッチで横道の大学生活が描かれても
その結末が頭の中で走り続けているから、味わいがビターに。
つまり、横道が超いいやつって描写に飽きた人でも
興味が持続できるような作りになっていると思います。
あとエンディングね。写真からの〜それをplay backしながら
余貴美子のナレーションは相当キマした。
今年見た中で多幸感っていう点では1番だし
見た人同士で色々語れる素敵な映画。

2013年3月17日日曜日

死霊のはらわた


在公開中のCABINの最低限の予習として。
CABINにはかなりの数のホラー映画オマージュが
組み込まれている中で、本作は最初の設定がモロ使い。

男女5人組がある山小屋を訪れて
ひょんなことから死霊を蘇らせる怨霊を呼び寄せてしまう話。
監督は今や巨匠のサム・ライミ。
初期スパイダーマン3部作が有名ですが
この作品が初監督作品で、売れるきっかけとなった作品でもある。
約40年前の作品とは思えないくらい、FRESHに楽しめました。
1個1個はこれまで見てきたホラー鉄板要素の積み重ねって感じですが
ちゃんと怖いです。血も存分に出るし。
あとカメラワークがかなりトリッキーでした。
手持ちグラグラで臨場感を出すとこは出して
固定で安定感出してからのぉ〜な使い方も効果的に怖い。
謎のカット割りとかも普通のホラーにない感じ。
主人公が彼女にプレゼント渡すところとか。
全然関係ない幽霊とかゾンビが襲ってくる訳じゃなくて
自分の身内が化け物になって、襲いかかってくるのも
嫌な感じでした(良い意味で)
最初は「殺してしまったら、本人も死んでしまう…」
っていう葛藤あるんですけど、そんなこと気にしてたら
自分が死んでまう!
ここ乗り越える描写もうちょい欲しかったかな…
さぁ、CABINを見に行こう。

私が、生きる肌


ポツポツ良い評判を聞き、拝見。
おもしろかった。この狂気さよ。。。

全然知らなかったけど、スペイン映画なんですよ、コレ。
んでアントニオ・バンデラスが主役なんですけど
今まで見てたバンデラスは何だったのかっていうくらい
シリアスな感じがハマってた。
今まで見た映画から勝手に大味役者って思ってました。

ある医者が女の人を軟禁してるところから話は始まります。
んで、この女の人が何故軟禁されてるかを
さかのぼる形で話が進んでいくんですけど
ネタばれしちゃうとオモシロさ1/100ぐらいになるので
あんまり書けないのよね…
いってしまえば
「96時間」のリーアムニーソンがMad Doctorで
ブチ殺すという方法よりもクレイジーな方法で復讐するって感じかな…
でも、安易な復讐ではなくて
そこに愛が介在するのが本作のオモシロいというか怖いところ。
もっとも憎いものをもっとも愛するものに変えてしまう。
愛と憎しみが表裏一体であることを物理的な形で表現するっていうね。
このillnessは是非見て体験して欲しいです。

2013年3月13日水曜日

この空の花 長岡花火物語



たまたまTwitterで流れてきた池袋の新文芸座のスケジュールを見ると
本作が上映予定となっていたので、初名画座。
もっとスクリーン小さいのかなーとか思ってたけど
しっかりした映画館で、席も広いし良かったっす。
それよりもなによりも、この作品…衝撃的な映画体験でした。
2012年の作品なんですけど
これは去年のうちに見てたら1位にしてたやも。
昔、園監督の「愛のむき出し」を劇場で見たとき以来の感覚。
映画にしか出せない何か。映画館で見た人だけが分かる。
大林宣彦監督の作品ですが、過去に見たことあるのは
「その日のまえに」だけです。これもちょっとおかしな映画だったんですけど
本作はもうCrazyを2周して、やっと正常みたいなw
どう言えばいいのか分からない…
ストーリーの基本構造は単純で
熊本の女性記者が元カレのいる長岡へ旅行へ行き
長岡の人々と触れ合いながら
長岡のこと、戦争、地震のことを学ぶ姿を描いたもの。
なにがクレイジーかというと映画全体の構造。
HIPHOP的に言えば
いくつかのストーリーがフィルターかけられて
チョップされたり、フリップされたり。
でも、最後は1個の曲として成立してる奇跡。
映画全体から伝わってくるメッセージは極めてダイレクト。
だから、普通に長岡の花火にクローズして
このストーリーだと説教臭くなる。
でも、本作はその難しいハードルを超えてきて
人の心に超ダイレクトに刺さる。
とくに感銘を受けたのは、これからの時代を生きる子どもに対して
どういったスタンスで接するか。
色んな意味でダサい大人の姿を見せないってこと。
他人の痛みを「知らない」やつはクソだ。
と最近思っている事が映画の中で提示されていて
本当に感銘しました。(クソとは言ってないけどw)
大林監督なりの3.11への回答でもあるんですが
それを第二次世界大戦と結びつけて
ときには中越地震にも結びつけて「まだ戦争には間に合いますか」と。
この言葉がすべてを象徴している。まだ間に合うんだよ!
この意味は映画見て考えてほしいっす。

あと秀逸だなーと思ったのは、猛烈に長岡が素敵に見えること。
スクリーンいっぱいに広がる信濃川や田園風景。街並み。
映画に出てくる人がスクリーンを見ながら紹介してくれるという
フィクションとは思えない配慮のおかげでもある。
(戦争について知らなかったことも同様のロジックで
色んなことをこの映画から学びました)
死ぬまでには、あの花火を必ず見たい。

ノンフィクションでもいいんじゃないかなーとか
見ながら少し思った瞬間もあったし、実際モデルになった人が
ふらっと出てきたりするシーンもあるんですね。
でも!この映画がフィクションであることの必然性を持つのがラスト。
このタイトルで、あれはホントヤラれました。。。
ホントの花火はワビサビきいた形でしか出てこないっていうね。

まだDVD出てなくて、全国色々回ってるみたいなので
映画館で見る機会があれば、万難を排して行ってほしいです。
くも悪くも、これまでに味わった事のないものを体験できるので。
ウルトラオススメ!

2013年3月10日日曜日

ライフ・アクアティック


ムーンライズ・キングダム見て、あんまりやなーと思っていたところに
某先輩からオススメということで見ました。
ウェス・アンダーソン監督作品。
そして、気付いたことは、このおもちゃ箱のような感覚が
そこまで好きじゃないってことでしたw
というか本作とムーンライズ・キングダムは物凄く似てる印象。
取り上げてるテーマとかじゃなくて、映画としてのルック。
かわうぃ〜ファンシ〜みたいな。ここでもう乗れなくなってしまった。。
年齢かな…ダージリン急行はこんな印象じゃなかったんだけど。
主人公はドキュメンタリーを撮ってる映画監督で
昔は売れてたけど、今はダメっていう人。
その監督がジャガーシャークという生き物を追いかけて
ドキュメンタリーを撮る中で生まれる人間模様。
終始ぬるいんですねー多分好きな人はこのぬるさがいいんでしょうね。
ムーンライズキングダムは子どもの話で、しかも子どもの方が利口で
大人がバカに見えるような作りだったので、楽しめたけど
本作は出てくる大人が幼稚。そのカウンターとなるものがないから
締まらず、だらーっとしてる感じが何とも。
変に銃撃戦とか入ってて、そこも中途半端な感じだし。
良かった点は音楽でした。いい感じのギターポップとか
わりとミニマルな打ち込みの感じとか。
シーンごとにフィットしてるし、単純にサントラ欲しくなりました。
見るタイミングで全然評価変わるような気がする映画。

ジャンゴ 繋がれざる者



クエンティン・タランティーノ最新作ということで。
劇場で見たのはグラインドハウス2本立て以来。
ちょっと長かったけど、カタルシスという点では間違いなく今年1番。
映画全体の暴力性もさることながら、持たざるものが知恵をつけ
surviveする感じが、もうたまらん!
舞台はアメリカ南部、黒人の人達が奴隷として売買されていた時代。
ドイツ人の賞金稼ぎシュルツ(クリストフ・ヴァルツ最高!)が
ジャンゴという奴隷を自由にするところから物語はスタート。
シュルツは賞金稼ぎとして金を稼ぐため
ジャンゴは嫁を取り戻すため、悪い白人たちをぶち殺しまくる。
その嫁はディカプリオ扮するプラント主が買ってて
そこで彼女をget backするのメインとなります。
高橋ヨシキ氏、宇多丸師匠の解説でもありましたが
史実をねじ曲げて、せめて映画の中だけでは「Revenge」させる
というイングロリアス・バスターズで得た発想が今回も使われています。
まーなんか言葉で説明するのが野暮とでも言いましょうか。
映画館で 「ひゃっはー!」って言いたくなる映画って
なかなかないけど、本作はそれです。
(去年はアタック・ザ・ブロックでした)
正直1回目の銃撃戦であがりまくって、そこからまだ続くんか…
とか思ってたら、そのあとの展開が最高に好きでした。
シュルツに乗せられた方法で、まんまと白人を出し抜いて
屋敷に戻り、一人残らず全員ぶち殺す。
ぶち殺す相手である白人達の悪行をこまめに挟んでいることで
最後のドーン!が圧倒的なカタルシスを生む。
この体験は是非とも映画館でして欲しいです!


2013年3月9日土曜日

アニマル・キングダム


DVDの予告編で、殺人一家にまつわるストーリーって見たときから
気になってて、やっと見ました。
ややネタバレで書かせていただきますので
これから見る方は読まないでね。

暴力的かと思いきや、物語として深みある感じでした。
親戚一家が強盗一家で、母親を亡くし身寄りが無くなった高校生が
そこへ放り込まれる話。その一家はもう無茶苦茶。
アニマル・キングダムというタイトルにもあるように
ライオンみたいな奴らばっかり。
そこへ内気なシマウマがいきなり入って、弱肉強食の世界で
どうやり過ごすかという話。
最初は軽い気持ちで接しているけど、ある事に協力したことをきっかけに
逃れられない状況にどんどん追い込まれていくんですね。
報復に次ぐ報復が繰り返されていく中
高校生の証言に有罪/無罪になるかが決まる状況になって
その高校生の彼女は口止めで殺されてしまっているから
当然、親戚一家が有罪になるような証言するかと思いきや
無罪になるような証言をするんですね。
その時点で、うわー救いないなぁと思ってたけど
最後の最後でシマウマがライオンになるんですね。
カタルシスを感じる一方で、
結局ライオンとして決着をつけるっていうのが怖くなった。
この高校生もライオンであることに気づいてなかっただけで
自分の大切なものが奪われたときには
親戚一家と何ら変わりない。この部分にグッときました。。。
世の中、きれいごとでは片付かないっていうね。
タランティーノもオススメしているので是非。

2013年3月8日金曜日

依頼人



哀しき獣ですっかりファンになったハ・ジョンウ主演。
法廷サスペンスで、ハ・ジョンウが弁護士役。
弁護するのは、奥さんを殺害した容疑で捕まった被疑者
死体もなけりゃ、凶器もない。果たしてどうなる?
といったまーどこかで聞いたことがあるような設定。
しかも一連の韓国サスペンスに存在するヒリヒリさが無いどころか
音楽や俳優の演技がコミカルな場面多め。
別にそんな嫌いではないけど、韓国映画で見なくても、、、
なんか肩すかしくらったな〜とか思ってたら
後半からのエンジンのかかり方が半端ない。
もう韓国映画なんなん。そんなに本数見てないけど
ハズレに遭遇したことないで。
タイトルにもあるように依頼人っていうのは被疑者のことなんですけど
彼の法廷での独白シーンの迫力は凄まじかった…
しかも、この独白シーンのが迫力があとで大きな意味を持ってくる。
法廷ものでボクが特に好きなのは推定無罪の話なんですが
今回もそのケースでした。
情況証拠だけで何とか捕まえようとする検事の安っぽい正義感。
前半からホントに最後の方まで
「この正義感、クサいでしょ〜」っていう描き方されて
ボクもそこ完全に同意なので「そうそう」って思って見てました。
けど、法廷の最終弁論でハ・ジョンウが見せる一つのギミックと
ある証言から物語が急転直下の展開に。
このギミックが実に映画的で超アガるんですよねー
ラスト10〜20分は、ボクが韓国映画に求める要素が
ふんだんに盛り込まれてました。
映画全体として考えると物足りないと思うところあるけど
後半にかけての追い込みがハンパではないので
法廷好きの方は是非。

2013年3月4日月曜日

ゼロ・ダーク・サーティー


前作のハートロッカー見てからにしようと思っていましたが
時間が無く、先に本作を見ることにしまして、見ました。
ある程度覚悟していたけれど、やっぱりヘビーでした。
このヘビーさを毎回自分の中で咀嚼するのに時間かかるし
辛いから、あんまり戦争映画を見ないんですよね。
臭いものに蓋するのは簡単だけど、
やっぱ見ないと分かんないこと多いなーと改めて感じた次第です。
9.11以降、ビン・ラディンを標的として始まった
アフガン侵攻にまつわる話。
その中でも特に、彼を徹底的に追いかけていた女性について
フォーカスしています。
皆様ご存知の通り、ビン・ラディンはすでに死亡しています。
そのことを前提にどういったプロセスで、そこまでたどり着くのか?
というのが大まかな流れです。
当時、アフガン侵攻のニュース、
加えてそれに対する報復テロのニュースを見てたけど
それは他人事でした。痛みなんて全く感じることはありませんでした。
この映画はアクション(暴力)シーンは最後までほとんどないから
他の戦争映画とは違う印象でした。
物理的ではなく、精神的な痛みがキツい。
戦争の持つ本質的な痛みの強度が半端ない。
彼女はもともと超ストイックにもかかわらず
ある事をきっかけに、更にアクセルがかかっていく。
でもいったい何を追い求めてるんかなーとか考えつつ
報復による報復が劇中でずっと繰り返される。
最終的には目的が果たされて、兵士たちはやや喜んだ表情を露にするけど
彼女はどこか物足りない感じ。
そして見ていたボクも物足りなく感じたんですね。
本来なら10年近くかけて探してた宿敵を見つけて殺したのだから
カタルシスを感じてもおかしくないはず。
それが決定的になるのがエンディングの涙ですよね。
この映画でカタルシスを感じないようにしてるのも
直接的ではないにせよ、報復による報復で解決することなんて無いことが
よくわかる映画だったと思います。
だから、戦争は嫌だと強く思いました。
見ないことで蓋をするのもよいですが
映画を見ないと、一生考えもしないことを
考えるきっかけになるという意味で
やっぱり映画が好きです。
そんなこと思ったMovie On Sunday.

2013年3月3日日曜日

エンド・オブ・ザ・ワールド


高橋芳朗さんのTweetを見て。
「40歳の童貞男」のスティーブ・カレル×キーラ・ナイトレイ。
小惑星が地球に衝突することが分かり、残された時間をどう過ごすかの話です。
もっと突き詰めて言えば、最後を誰と過ごすか?
が大きなテーマだと言えると思います。
主人公(ドッジ)は地球滅亡を契機に奥さんに逃げられる。
失望している中で世界はパニックなっていく。
皆は、もう世界が終わりだから何でもあり!
そんな中で終末思想になじめず、なんとか日常を生きようとする。
奥さんのことも気になるし、昔の恋人のことも気になる。
そして、近所に住むキーラ・ナイトレイと
暴動から逃げることで、映画が実質的に始まります。
まーキーラ・ナイトレイがカワイイし、微妙なメンヘラ具合が絶妙。
物語の前半はかなりコメディタッチ。
全編コメディタッチかなーと思いきや、後半は結構重め。
普段生活している中で、おそらく何かを優先もしくは大切だと考えて
選択してると思うんですね。
けれど、普段は考えてない死のファクターが入ってくると
その順序はガラリと変わる。
つまり、自分の時間をある程度逆算して生きてる。
エンディングはこの辺の話です。
色々どうかなー?と思うこともありましたが
自分で確認してください。
あと本作の何が良かったといえば、音楽が大きくフォーカスされていること。
しかも、それがレコードなんですねー
キーラがレコードコレクターで逃げるときもレコードを手放さない。
特に好きだったのは、キーラがレコードへの愛着を語ったあと
ドッジが彼女の部屋でレコードを見つめるシーンが最高でした。
単純なLoveじゃなくて、Likeを包含するLoveを体感できる良い映画。
見た方は以下の高橋芳朗さんの解説もご参照くだせい。

2013年3月2日土曜日

世界にひとつのプレイブック



TOHOシネマONLYのチケットの有効期限に合わせて有楽町で。
シャンテは初めてだったけど、古き良き映画館って感じで良かったけど
いかんせん狭すぎ。。。もう行かないかも…

肝心の映画はというと、ツッコミたい箇所もありつつ
映画らしい映画!という要素と狂った部分を合わせ持つ素晴らしい映画でした。
主人公は精神病院から条件付きで出た男性(Pat)と
夫を亡くして、精神を病んだ女性をめぐる物語。

Patは奥さんの不倫を目撃しちゃって、不倫相手をボコボコにしたことで
躁鬱病が発覚。奥さんへの接近禁止の命令が出る。
しかも、不倫されてた事実が分かるきっかけがこの曲っていう。



昔から凄い好きな曲なので、かかった瞬間イエーイ!とか思ってたら
壮絶な展開になったので、びっくりしたし
2回目に幻聴で聞こえてくるシーンは「やめてー!」ってなったw
しかも、家で歌詞調べてたら思ってたより切ない歌詞でした。。
(上のYoutubeで見れます)
男性目線の曲ですけど
この映画におけるジェニファー・ローレンスの気持ちを
代弁してるような内容なので、映画見た人はチェックしてみてください。
味わいがまた変わると思います。

Patは前の奥さんに未練タラタラで幼い大人。
ジェニファー・ローレンスはintelligent hoe って感じ。
最初は奥さんに手紙を渡してもらうのと引き換えに
この女性とダンスレッスンを始める。
すると、これまで奥さんの読んでた本や家族との付き合い
日々のランニングでも収まらなかった精神の乱調が収まってくる。
この理由が ダンス→ ジェニファー・ローレンス になるのが面白い。
かといって、Patだけが人として欠けているという訳ではなく
お互いが認め合って、最後のダンス大会で結実するんですね。
ホントあのダンスシーンは最高でした。
何事も上手だから良いという訳ではなく、その人から滲み出る何か。
しかも、この手のことだと結果出なくたって良いやんとかなるけど
そこはしっかり結果を残す。一瞬鬼畜エンディングか思いきや
落ち着くことに、落ち着いて良かった。
色んな要素がてんこ盛りなので、
見終わったあと、見た人同士で話したくなる映画でした。