2013年3月13日水曜日

この空の花 長岡花火物語



たまたまTwitterで流れてきた池袋の新文芸座のスケジュールを見ると
本作が上映予定となっていたので、初名画座。
もっとスクリーン小さいのかなーとか思ってたけど
しっかりした映画館で、席も広いし良かったっす。
それよりもなによりも、この作品…衝撃的な映画体験でした。
2012年の作品なんですけど
これは去年のうちに見てたら1位にしてたやも。
昔、園監督の「愛のむき出し」を劇場で見たとき以来の感覚。
映画にしか出せない何か。映画館で見た人だけが分かる。
大林宣彦監督の作品ですが、過去に見たことあるのは
「その日のまえに」だけです。これもちょっとおかしな映画だったんですけど
本作はもうCrazyを2周して、やっと正常みたいなw
どう言えばいいのか分からない…
ストーリーの基本構造は単純で
熊本の女性記者が元カレのいる長岡へ旅行へ行き
長岡の人々と触れ合いながら
長岡のこと、戦争、地震のことを学ぶ姿を描いたもの。
なにがクレイジーかというと映画全体の構造。
HIPHOP的に言えば
いくつかのストーリーがフィルターかけられて
チョップされたり、フリップされたり。
でも、最後は1個の曲として成立してる奇跡。
映画全体から伝わってくるメッセージは極めてダイレクト。
だから、普通に長岡の花火にクローズして
このストーリーだと説教臭くなる。
でも、本作はその難しいハードルを超えてきて
人の心に超ダイレクトに刺さる。
とくに感銘を受けたのは、これからの時代を生きる子どもに対して
どういったスタンスで接するか。
色んな意味でダサい大人の姿を見せないってこと。
他人の痛みを「知らない」やつはクソだ。
と最近思っている事が映画の中で提示されていて
本当に感銘しました。(クソとは言ってないけどw)
大林監督なりの3.11への回答でもあるんですが
それを第二次世界大戦と結びつけて
ときには中越地震にも結びつけて「まだ戦争には間に合いますか」と。
この言葉がすべてを象徴している。まだ間に合うんだよ!
この意味は映画見て考えてほしいっす。

あと秀逸だなーと思ったのは、猛烈に長岡が素敵に見えること。
スクリーンいっぱいに広がる信濃川や田園風景。街並み。
映画に出てくる人がスクリーンを見ながら紹介してくれるという
フィクションとは思えない配慮のおかげでもある。
(戦争について知らなかったことも同様のロジックで
色んなことをこの映画から学びました)
死ぬまでには、あの花火を必ず見たい。

ノンフィクションでもいいんじゃないかなーとか
見ながら少し思った瞬間もあったし、実際モデルになった人が
ふらっと出てきたりするシーンもあるんですね。
でも!この映画がフィクションであることの必然性を持つのがラスト。
このタイトルで、あれはホントヤラれました。。。
ホントの花火はワビサビきいた形でしか出てこないっていうね。

まだDVD出てなくて、全国色々回ってるみたいなので
映画館で見る機会があれば、万難を排して行ってほしいです。
くも悪くも、これまでに味わった事のないものを体験できるので。
ウルトラオススメ!

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