2013年10月30日水曜日

蝋人形の館


お盆の映画飲み会の際に話題に出ていた作品。
freshでおもしろかったんですが、
飲み会に4人おって2人見てるって、
どういうことやねんw とも思いました。

若い男女がアメフトの試合見に行く前日にキャンプしてて、
その近くの街を訪れると、すべてが蝋でできた街だった。
しかも、その街には人間を蝋人形にしてしまうクレイジーが住んでて…
という話。13日の金曜日形式とでもいいますか、
アメリカホラー映画の王道です。
何が違うかといえば、ただ殺されるだけじゃなくて、
蝋人形にさせられるところ。
この蝋っていうのがとても恐い…
(感覚的なことで、口ではうまく説明できないのですが)
しかも、クレイジーの出自や設定は本当に恐い。
とくに最初にHOUSE OF WAXを訪れたときに
鏡ごしに映るシーンが恐かった。
あと、この映画は女優陣が要注目。
なんとパリス・ヒルトンが出てます!
しかも、演技もイイ感じ。
キャラと本人が似てるからかもしれませんが…
テントで服脱ぐシーンは最高に笑った。
もう1人は「24」のキムを演じてたエリシャ・カスバード。
こちらは主人公なんですが、一番体張ってました。
B級ホラーは中身説明しちゃうと、見る意味なくなるので、
詳しくは説明しませんが、秋の夜長にオススメです。

2013年10月28日月曜日

アフターショック




映画秘宝のシッチェス映画特集を読んだときに
イーライ・ロスの名前を見つけて、レビュー読んだら
めちゃくちゃオモシロそうだったので見ました。
宇多丸師匠も猛プッシュしていたし、
ムービーウォッチメンの対象になったこと、
東京では1週間限定で上映回数1日1回という
超限られた条件だったこともあり、満員でした。
ホステルと同様の構造で、すげーオモシロいんだけど、
厳しめの作りだったので、見る人を選ぶかもしれません。
アフターショックの意味は「余震」なんですが、
地震そのものよりも地震のあとに
引き起こされる状況のほうがもっとキツいことがよく分かる。
地震がこれまでの価値観を
変えてしまうことを知っている我々日本人は見るべき作品だと思います。
と同時に、3.11のときに「日本人は秩序があって、素晴らしい」みたいな
海外メディアの論評について、当時は違和感あったけど、
この作品見ると、日本でよかった〜と思いました。
(フィクションということは承知の上で)

舞台はチリで、そこへ旅行にきたアメリカ人が主人公。
この主人公を演じるのが製作を担当したイーライ・ロス。
現地の友人2人とチリで調子こいて
クラブで知り合った女性3人と遊んでいたところに、
地震が発生し、Distopia物語が始まっていく。
彼らのいるクラブ内で地震が発生するんだけど、
阿鼻叫喚の地獄。そこら中で死にまくり。
やっとこそクラブから抜け出したら、
津波の警報サイレンが鳴り響く。
さらには、近くの刑務所が崩壊し、囚人が街中に放たれてしまう。
このように二重苦、三重苦が延々続いていくし、
メインキャストが男3人女3人なんですが、
色んなパターンでバンバン死んでいく。
ホステルにも通ずるところとして、
少しでも調子こいたやつは絶対死ぬというね。
このボンクラマインド全開なところは最高。
しかも、ちょっとした役の人が死ぬのも
因果応報という描き方する徹底っぷり。
地震前後の関係性の変化という点では
姉妹の関係性が一番分かりやすかったかな?
お金の無意味さもまざまざと描いていますが…
といってもやっぱり消防士がね…

イーラス・ロスなので切り株描写もしっかり見せてくれる。
僕は冒頭の手がぶっとんでからの下りは最高だったな〜
Like サッカーボール。
劇場全体が「ハッ!」となったのは清掃のおばちゃんね。
唐突かつ一瞬。
1人死んだところから、誰が死ぬのか推理するおもしろさもあります。
正直見終わったあと気分良くはならないけど、
この感覚久しぶりやわーと爽快に見れました。

2013年10月27日日曜日

プレミアム・ラッシュ



TSUTAYA限定レンタルシリーズ。
キックアスから始まり、色々出ていますが、
たまに良作に遭遇することがある。それが本作でした。
主役はメッセンジャーで、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット。
NYの街中を自転車で所狭しと走り回る。
ある日、中国人留学生からある荷物の配達を任されたところから
トラブルに巻き込まれて、それを解決するという話。
めちゃくちゃ自転車好きな訳でもないんだけど、
大阪にいたときの移動はほとんど自転車だったから、アガりました。
とくに彼がパッと見でどこにも抜け道を探せないときに、
道を探しあてるシーンね。
あれ自転車に乗ってるやつは全員やってるw
彼はピスト(ブレーキなし、固定ギア)を乗ってますが、
他のメッセンジャーはブレーキついてたり、ギアチェンついてたり。
過去にロースクールに在籍したけど、
スーツ着て仕事することが嫌で、メッセンジャーを選んだ。
ブレーキなしの人生をenjoyしてるのがよく伝わってくる。
映画自体は約2時間ぐらいなんですが、8割は自転車チェイシング。
車vs自転車、自転車vs自転車など、
色々な見せ方をしてくれるから、飽きないし、すげー楽しい!
自転車の無法運転が問題になってるし、
その辺気になる人は見ない方がいいけど、
ピストなり、マウンテンバイクなりを乗ってる人には超オススメ!

2013年10月26日土曜日

キラースナイパー



映画好きのパイセン方が軒並み好評価だったので
見てました。ぶっとんでて最高でした。

保険金を巡る殺人事件の話。
ある家族がいて、実父、継母、娘と
実母、息子で別れて生活していて、
息子が家を追い出されてしまう。
息子はヤクの売人やってるんですが、
ヘマやらかして多額の借金を背負ったところから、
実母の保険金に目をつけて殺人計画を企てるんですね。
それを実父に相談して実行することになるんですが、
自分たちで殺す勇気ないから、殺し屋に依頼する。
それがキラージョー。彼は警官。
(法を取り締まるやつが法を犯す瞬間がこの世で一番怖い)
前金でしか仕事しないんだけど、 娘を担保として
殺人を依頼してしまう。この担保ってのが超怖い。
いきなり家に居候しはじめて、12歳の娘を手込めにする。。。
この殺し屋をマシュー・マコノヒーがやってて、
今年見たペーパーボーイでもキチガイM野郎を演じてて
この人の猟奇性はいつ見ても怖いし、おもしろい。
前半は少しこの変態プレイが退屈かもしれませんが
後半のドライブのかかりかたやラストの衝撃は
最近観たサスペンスものだと群を抜いて良かったです。
ヒャッハー!と言いたくなる映画。

キッズ・リターン 再会の時



仕事終わりにテアトル新宿でさくっと見ました。
予告編を見たときにマジで大丈夫かよ…と思ったけど、
やっぱり予想通りというか物足りない内容でした。
北野武の「キッズ・リターン」という映画があるんですが、
本作はそれの続編という位置づけ。
その原作がめちゃくちゃ好きなだけに、
続編出るって聞いたときはかなり違和感がありました。
なぜなら原作は青春時代に何者でもないやつが
何者になれるかもしれない希望を抱かせる形で終わる訳です。
その後を描くだなんて…野暮だなぁと。

良かったところから書くとボクシングシーン。
シンジはプロのボクシング選手になってるから原作よりも多い。
シンジ役は平岡祐太氏ですが、体の作り込みも凄いし、
ボクシングも基本的には違和感なく見れました。
正直これくらいしか良いところがなかった。
特にヤクザのシークエンスは好きになれなかったです。
ものすごい地味なんですよ。
暴対法に縛られたヤクザが描かれる訳なんですが、
フィクションで片身の狭い、ケチくさい、
ヤクザは見たくないなぁと思いました。
(出所前後の状況が変わっているという話なんだろうけど)
そもそも論で、マサル役が三浦貴大っていうのが
キャスティングミスだと思うんすよ。
三浦貴大は凄い良い俳優なんですけど、
背が低かったり、ダサかったり、
マサルの持つ暴力性がなく、優しすぎる。
大人になったという解釈もあるんだろうけど。。
他の周りのキャストは良かった。
杉本哲太のすごみ方とか池内博之の嫌な感じとか。
ベンガル&小倉久寛は最&高。
中尾明慶のステレオタイプなヤクザも最初はつまんねぇな〜
と思っていたけど、最後の最後での抑制効いた感じがよかった。
ラストが本当な〜もう説明しませんが、
ツッコミどころ多かったっす…
シンジもマサルもそんなことしねぇよ!
まず北野武監督の「キッズリターン」を見てない人は、
そちらを是非見ましょう。

2013年10月22日火曜日

ジョゼと虎と魚たち



池袋パルコ屋上で映画を見るという企画の一環で。
ジョゼ虎問題っていうのが個人的にありまして…
初めて見たとき、最後の妻夫木君の選択がどうしても、
どうしても納得できなかったんですなぁ。
あれから歳を重ね、数年ぶりに見た訳ですが、
違う見え方がする部分もあって、やっぱ映画はオモシロい。
そして、年齢や見る場所によって、全く印象が変わることを
ひしひしと体験しました。

まず、場所という観点ですが、これ大阪が舞台なんですよ。
すっかり忘れてて、冒頭の麻雀シーンでそういえば!
と気付いた訳です。
大阪出身で、あの映画を東京で見ると
急に自分が異邦人であることを痛感するというか。
あーここにおったけど、今はTOKYOなんやと。
東京住んで1年半くらいですが、
あそこまで大阪を意識したことはなかったかも。
劇中で語られる不自然な関西弁も伴って、
なにかとてもむずがゆい気持ちになりました。

年齢という観点でいうと、
当時は妻夫木君と同じ大学生だったから、
自分のことのように考えてました。
(お前の大学生活、そんな楽しいもんちゃうかったやろ?!
という声が聞こえますが、無視します。)
そして社会人となった今、もはや神の視点というか
完全に客観の視点で見てました。
そうすると、妻夫木君の男としての性質が見えてきて、
最後の選択も分かるというか。彼、泣いてたし。
そらそうやろ〜と昔よりも断然共感していました。
そして、上野樹里ね。
昔見たときは、なんでコイツこんな腹立つねん…
と上手く咀嚼できてなかったんですが、
今回見て分かった気がします。
記号的なもの(たとえば福祉とか)にすがったり、
仕事も恋愛も全部人のせいにするところとかが嫌で、
このキャラクターは現実社会でオレが嫌いになる
すべての要素を兼ね備えているなーと思いました。
だから、当時は見終わったあと、
まるでジョゼの施設の同級生(車を貸してくれるヤンキーね)の如く
「しばくぞボケ!」と怒り狂ったのです。
今回はもう大人になってしまい、一つの甘酸映画として
見ていたので、かなり楽しんだ。
くるりの「ハイウェイ」をリピートする毎日です。

2013年10月20日日曜日

花よりもなほ



そして、父になる」が傑作だなぁと日々思いつつ、
是枝ワークスで見てないの見よう!と。
あとエッセイ(歩くような速さで )も
かなりオモシロくて、1人で祭り状態。
本作も偏見で、これまでは時代劇かー興味ないなー
とスルーしてました。
奇跡」のときも同様に偏見で避けてましたが…
めちゃくちゃオモシロいやないかーい!
ええ加減にしーや、ホンマ!(©小藪さん)
時代劇なのは見た目だけで本作も言わずもがな家族の話。

主人公は岡田君演じる武士。
と言っても下級武士だし、時代は江戸の中盤で、
争いごともほとんどなかったとき。
しかも岡田君は武士だけど、剣道下手クソ。
親父の仇討ちするために長屋に居候している。
その長屋には武士はほとんどいなくて、主に農民。
映画で武士が登場するときはチャンバラや
パワーゲームがメインになると思います。
でも本作はへたれ武士。そんなシチュエーションはない。
(なんなら百姓にボコられたりする)
むしろ、そのアイデンティティに苦しむ姿が描かれる。
世間の目と自己認識の差。
武士としては仇討ちしないといけないと分かっているけど
剣の腕もないし、非暴力的。
だから、寺子屋をやったりしている。
こういった状況から周囲の武士以外の人間と付き合いながら、
徐々に自分なりの生き方を模索する。
とくに父との関係性や向かいの家の子どもとの関係性の描き方は
「そして父になる」と近いものもあります。
父から託されたものは本当に仇討ちだけだったのか?
そうじゃないと気づくシーンはマジで最高でした。
一応形だけでは仇討ちするんだけど、そこの多幸感よ。。
物語が世界を救うんだよ!

最近は半沢直樹を筆頭に「やられたらやり返す」考え方が
跋扈する世の中ですが、そんな人こそ本作を見てほしい。
是枝監督のエッセイの言葉を引用すれば、こんな風。
「自分のコミュニケーション能力を棚に上げて、
相手を理解のない馬鹿だと思う。
他者への想像力の欠如したそのような下品な態度」
これは是枝監督のブッシュ評ですが、
最近の僕が感じる気持ち悪さとドンピシャで
こんなこともシンクロしながら、非常に楽しく見れました。

トランス



ダニーボイル監督最新作。トレインスポッティング以来。
スラムドッグ$ミリオネアしかり、
28日後とか127時間とか見たいのたくさんあるんですが
後回しになっていましてね…
取り急ぎ、最新作見てみよう!と思い立ち新宿にて。
オリンピックの開会式の演出も手がける巨匠。
それにも関わらず、本作はなかなかに攻めた作品でした。

主人公はオークション会場で働く男。
そこに絵画を盗むため強盗がやってくる。
彼はその強盗に頭をぶん殴られて、記憶の一部を失う。
そもそも彼は強盗の一味で内部協力者。
盗んだ絵画の在処を知っている唯一の人物。
強盗団はやっきになって、その記憶を取り戻そうとする。
その方法が催眠療法なんですね。
ケーパーものなので、冒頭は強盗シーンから始まるんですが
タイトル出るまでのスムーズさは大好き。
アヴァンタイトルも含めて、かっけー!
このあとが普通のケーパーものと違って、ぶっとんだ映画の始まり。
催眠という設定があり、現実と催眠状態を頻繁に行き来します。
だから、観客はかなり能動的に見ていないと
そこの区別がつかなくなるので、興味はずっと持続します。
さらに、画の撮り方というか色使いも特徴的でオモシロい。
好きだったのは屋上で赤いネオンに当てられるところ。
あとiPadを演出に利用しているのもオモシロかったです。
記憶を取り戻す作業は催眠療法士が担当するんですが
女性なんですね。そしてファムファタール。
もともとは絵を巡る話だったのに、
いつのまにか男と女の駆け引きの話になっている…
(このくだりも絵を取り戻すためのことなんだけど)
そっからさらに人の「記憶」の話にまで及んでいきます。
覚えててもいいことないけど、
それを消してしまうことが呼ぶ悲劇とでもいいましょうか。
前半では記憶を失ったファニーなやつって感じで
描写されてるんですが、後半から終盤にかけては狂気。
しかも、それが彼の潜在的な部分でもあるというね。
怖いで、人間。
前述したとおり、現実と催眠を行き来するんですが
物語が進むにあたって、それが加速していき、
見ている観客もトランス状態へ。
そして最後の最後にすべてが明らかになる。
確かにオモシロいんだけど、複雑にしすぎて
終盤で全部回収した感が否めない…
まぁでも大したことではないです。
劇場で見てドキドキするのがオススメ。

2013年10月17日木曜日

ウォーム・ボディーズ



したまちコメディ映画祭で監督が来て、
先行上映してましたが、
地獄でなぜ悪いと同日だったため見逃していた作品。
予告見たときはあざといな〜と思ってましたが、
完全な偏見で、楽しく見れました。
そもそもなぜ見ようと思ったかといえば、
50/50」と同じ監督の作品だったからです。
50/50は難病ものでありながら、
世界を肯定する作品だったことに非常に好感を持ちました。
そして、今作もゾンビが世界を救う!という
ゾンビの存在を肯定的に描いたオモシロい作品です。
ヘビーなゾンビ好きの人からすれば「はぁ?」
と思うかもしれませんが、甘酸eyeで見れば
悶絶シーンのつるべ打ち!
特に本作は音楽がとても素晴らしいのです。
主人公はゾンビで、人間に恋をする。
言葉で伝える事が出来ないから、
レコードで音楽をかけることで気持ちを伝える like DJ.
話しかける事もそうですが
ゾンビのさらに先のガイコツという設定もあります。
この映画ではガイコツになってしまうと
意思もなくなり、化け物になってしまう。
この受け皿を用意することで
ゾンビがその狭間の存在として機能する訳です。
本作では境目にいるゾンビを通じて「愛」を語る。
ゾンビ⇒人間へも愛がきっかけ。
とくにオッサン達が心を取り戻すシーンはナイス。
身分違いの恋なので、ロミオとジュリエット形式。
主人公のゾンビを人間界に馴染ませるための
化粧するシーンで爆笑しました。ここも音楽がポイント。
この映画におけるゾンビは
自分の世界に閉じこもっている人間のメタファーであり
「テメエら外の世界見ろよ!」という気持ちが
映画からビシバシ伝わってきた。
最後の落とし込み方に少しざわっとしましたが
女子におすすめのゾンビ映画です。

2013年10月6日日曜日

卒業




特大クラシックを少しずつ見進める作業の一環。
おもしろかったです。
アメリカンニューシネマの
普通の学園卒業ものかと思いきや
思ってたより設定がアバンギャルド。
主人公は若き日のダスティン・ホフマン。
大学卒業したてで、スポーツ万能、成績優秀。
でも、なんか足りないという鬱屈を抱えている。
と言いながら、高校の同級生の母親と情事を重ねる訳ですが
ここがえぇ!ってビックリしました。
しかも、かなり序盤な上に前半のメインとなる。
ホテルで母親と会うシーンはかなりファニーでオモシロい。
受付でのやり取りが特におもしろい。
そこに高校の同級生が地元に帰ってくる。
情事を重ねた母親からは絶対会うなと言われるものの
彼の両親もしきりに押してくるから
しょうがなしにデートするんですが
このシーンも好きです。タクシードライバーの
ファーストデートシーンに似ています。
(トラビスは良かれと思って連れて行きますが
本作では嫌がらせで連れて行くという違いはあるものの。)
好きになるまいと思っていたけど気が合い、好きになってしまう。
そこからが地獄で、彼女には情事がバレるは
その父親からはぶっ込まれるし。
それでも彼女のことをあきらめられない結果
あのラストを迎える。
バスに乗り込んでから、もっと喜んでもいいのにと思ったけど
あれは今後の人生への不安の現れなんでしょう。
見て損なし!

2013年10月5日土曜日

シェイム



見ようと思ってて、レンタル屋で見かけないから
DVD化されてないかと思いきや
18禁映画エリアに置かれていました。

何とも言えない甘美というか、切ない味わい。
男の性(サガ)がひしひと伝わってくる作品でした。
主人公はマイケル・ファスべンダーで独身貴族。
仕事もバリバリで、高級マンションに住み
人生を謳歌しているように見える。
では、人と何が異なるかといえば、SEX依存症。
SEX依存症というより、色情魔といったほうが正しいかな。
終始SEXのことを考えている。いや実行している。
冒頭10分ほど、ほとんど台詞なしで、状況説明される。
そこでは、いきなりファスべンダーが全裸で出てきたり
電車内で気にいった女のこと追いかけ回したり。
彼には妹がいて、歌手をしている。
妹は兄のことを慕っているけれど、
兄は妹のことを毛嫌いしている。
ほぼ全編、SEXに狂っているファスベンダーが見れます。
こういった性のことって1人で完結している部分もあるし
他人と話をシェアする人は少ないと思うんですね。
そういったことも本作のテーマの一つ。
彼は基本的にむっつりスケベ。
まずいとは頭で分かっているけど、体は正直。
妹に彼がエロに全力注いでいるのがばれちゃって
激怒して、エロ本からパソコンまで全部捨てたり。
なんとかまともに恋愛しようとするんだけど
どうしてもできなくて、良い女とのSEXを選んじゃうとか。
ワンカットで撮ってるシーンがめちゃくちゃ多いのも特徴。
ちょっと飽きるくらいやけどw
ラスト手前で結構絶望するんですが
最後の最後は救いのある終わり方でした。
男性向けの映画です。

仁義なき戦い 代理戦争



引き続き3作目。
チャララ〜のアレンジが冒頭で変わってたのがアガリました。
こっちのverのほうが好きです。
そんなことはさておき、
本作は前作の広島死闘篇の反動かも分かりませんが
ドンパチは少なくて、ヤクザ同士のパワーゲーム。
だから、作りとしては1作目に近い。
けれど、規模が大きくなっていて
福岡や大阪のヤクザまで巻き込んだストーリーです。
代理戦争の説明が冒頭にあるんですが
公開当時は米ソ冷戦真っ最中で
世界各地で、その「代理戦争」が行われている。
っていう説明があって、広島のヤクザでも
「代理戦争の様相を呈するのであった〜」でタイトルどーん!
 か、か、関係ねぇ〜笑
と思いながらも、やっぱり裏切ったり、裏切られたり。
その権力闘争は見てて飽きません。あと大阪弁が出てくるとアガる。
驚いたのは渡瀬恒彦とか梅宮辰夫が
別の役で再登場していること。
現在のシリーズ物では別の役を同じ俳優でやるのは
考えられないからビックリしました。
この作品は代理戦争の口火が切られるところで終わるので
頂上決戦を早く見ないと!

2013年10月2日水曜日

クロニクル



都心限定2週間上映と聞いて、映画の日に。
宇多丸師匠、町山さん、映画秘宝など
軒並み好評価だったので、期待して見ました。
むちゃくちゃオモシロかったです。
「プロジェクト X」のSF版といった印象。
勿論、手持ちカメラを使っているという手法的なこともそうですが
ガキの持つルサンチマンから産まれるインフレショーンの
行き着く先は?といったお題目が似ています。
その結果は異なるけれど…

アメリカの高校生3人が主役で、ある日超能力を手にする話。
これだけ聞くと、ありきたりな話のように思えるけど
撮り方、話の進め方が上手いので、とてもオモシロい。

この3人は非常に対照的で、NERD,Jocks,普通のやつ。
NERDがカメラを購入して、日常を常に撮影する生活を始める。
観客は彼の撮影した映像を映画として見させられる。
あることをきっかけに超能力を身につけてしまう訳ですが
それが手持ちカメラで見せられるので、とてもリアルに見える。
しかも、その超能力のリアリティがほどよい感じ。
なおかつ、劇中の彼らの台詞にもありましたが
まるで筋トレのように徐々に能力の活用を覚えていく。
そのトレーニング兼パワーの披露をかねた前半は
アホなことばっかりやってるので、笑っちゃいました。
スカートめくりとかぬいぐるみを動かして子どもをビビらせるとか
駐車場の車を別のところに移動しちゃうとか。
空を飛べるようにもなるんですが、その発想もFRESHで
なるほどな〜と感心していました。
本来であれば、接点のない3人が超能力を通じて
仲睦まじく、遊んでいる姿は微笑ましいし。
そして、NERDは学校の出し物大会(?)で超能力を披露し
これまで虐げられてきたのが嘘のように
ヒーローとなり、パーティーでちやほやされる。
この辺がまさにプロジェクトXっぽい。
先に述べたとおり、ここでNERDが失態やらかしちゃって
ルサンチマンを抱えて終わる。
ここから孤独を深めていく。
もともと学校にほとんど友達もいないし
父親は飲んだくれ、母親は病気という苦しい状況で
生きてきた彼は間違った使い方で超能力を駆使し始める。
そして極限まで追い込まれた結果、暴走しちゃう。
ここも見せ場で、
ラストまでは色んなギミックでオモシロかったんですが
ラストは街中で超能力ドンパチ!パシフィック・リムばりです。
しかも、その映像を街中にあるカメラのショットを
繋げた形で見せてくれる。相当FRESHでした。
この演出だけに限らず、本作は映画の「視点」というものを
認識せざるを得ない作りで、それを超能力使って
1人称→3人称に切り替えたりするのも上手いなーと思いました。
しかも、それが主人公の心情を表すのにも一役買っている。
最後は切ない結末でしたが、前半のアホな感じとの対比で
良かったと思います。

監督は「AKIRA」に影響受けて、本作を作ったらしいですが
「AKIRA」を読んだことも見たこともないので
これを機に読んでみます。

リムみたいなお金かけまくってできる映像もおもしろいけど
少しアイデアを出して、FRESHに見せる映画も最高です。