2015年1月31日土曜日

ネイバーズ



1週間限定で公開ということで豊洲まで見に行きました。
豊洲のユナイテッドシネマは4DXを導入していて、
いつか体験したいなと思いつつ通常鑑賞。
久々にアメリカンコメディのしっかりとしたバカなやつを見て、
とても楽しかったです。(褒め言葉)
アメリカのコメディが劇場で上映されることなく、
基本DVDスルーという状況に加えて、
そのDVDもクソみたいなタイトル付けられて
どれが何なのか分かりにくくなっています。
そんな中で大きなスクリーンでゲラゲラ見ると、
やっぱり楽しいな〜と思いました。
原題はBad neighborsで、
セス・ローゲンとローズ・バーンの2人が夫婦。
(名作寝取られ男のラブバカンスの監督です)
彼らが郊外に新居を購入して、
子どももいて幸せな結婚生活を営もうとしたところ、
隣にフラタニティと呼ばれる大学の男子サークルが引っ越してきます。
夫婦ははじめ友好的にしようとするものの、
毎晩ハウスパーティーを繰り広げる学生たちと
敵対するようになり…というお話。
タイトルが出ることもなく夫婦のセックスシーンを
赤ちゃんが見守るというギャグから始まり、
最高じゃん!と心からサムアップ!
前日に見たアニーでもローズ・バーンは出てて、
確かにキレイな人やなーと思っていたら、
本作ではトバしまくりで更に好きになりました。
引っ越してくるフラタニティのリーダ役を
ザック・エフロン、若頭をデイブ・フランコ、
クリストファー・ミンツ=プラッセなんだから、
コメディ好きな人にとってはたまらないメンツ。
(スティーブ・カレルやアンディ・サムバーグも
キャメオ出演していました)
夫婦は学生たちと友好的な関係を構築しようとして、
大人を気取り優しく注意するんだけど、
収まらないことに腹を立てて警察を呼んだことで関係が悪化。
血で血を洗うneighbor's warの火蓋が切られる。
前半は学生側が優勢で夫婦が色々対策を取るんだけど、
すべて裏目になって学生側にいいようにやられてしまう。
後半にかけては大人の意地を見せて、
徐々に形成を逆転しようとしていきます。
だけど、セス・ローゲンに配管を壊されて、
ハウスパーティーの継続が難しくなった学生たちが取る行動が、
自分のtimpoを型取りしてdildoを販売するっていう…
一応考えさせられるテーマもあって、
ザック・エフロンとデイブ・フランコの関係。
デイブは現実を見ていて、
ザックはパーティという虚構に逃げてるという対比。
それを踏まえてのラストのパーティーのくだりは、
少しグッときましたね。(そのあとのアバクロは最高)
アホなことがスクリーン上で展開されるのを
ただただ笑いながら見るのが楽しい作品でした。

2015年1月27日火曜日

ANNIE/アニー



去年の秋頃から何回予告編を見たか分からないぐらい、

大プッシュされている作品。
レミゼやアナ雪とミュージカルヒットが続いているので、
その流れに乗りたいというところでしょうか。
自ら行動すれば明日が輝く!
という至極真っ当なメッセージをコメディ要素の高い演出と、
素晴らしいミュージカルで見せてくれるんだから
当然のことながら楽しい映画体験でした。
元々は舞台作品で80年代に映画化されています。
世界恐慌直後という元の設定を現代にupdateし、
プロデューサーに名を連ねるのがウィル・スミスとJAY-Z.
JAY-Zがなぜこの映画の携わっているかといえば、
80年版の音楽をサンプリングした「Hard knock life
という曲を作ったことに起因します。 
ウィルは娘をアニー役で出演させようとしていたけど、
年取りすぎてダメになったみたい。
監督はウィル・グラックという人で、
ステイ・フレンズや小悪魔はなぜモテる?と同じ人。
この2作はいずれも最高最高なので、
コメディ好きの人は要チェック。
お話としては親に捨てられた「里子」のアニーは、
キャメロン・ディアス演じるおばさんの家に
4人の子供と劣悪な環境で共同生活をしています。
そんな生活でもいつか親と再会できることを夢見て、
日々精一杯生きている訳です。
ジェイミー・フォックス演じる、
市長選に立候補している実業家との2人での共同生活が
ひょんなことから始まるものの…という話。
冒頭アニーの授業での発表から始まるんですが、
のっけから最高のミュージカルシーンでアガる!
教室を世界に見立ててフットスタンプと
ハンドクラップでニィーディール政策を語るなんて!
ミュージカルっていきなりセリフが歌になるので、
そこに違和感を感じることが多く、
自ら進んではあまり見ないんですが、
本作はスムーズに日常に音楽が導入されていて良い!
Hard Knock Lifeの元ネタが流れながらの
部屋掃除シーンもまさにそれ。
日常に溢れる音から音楽が徐々に見えてくる、
この感覚がオモシロいんですよねー
アニー役はクヮヴェンジャネ・ウォレス。
ハッシュパピーの主役で有名となった子役。
彼女の嫌味のなさというか、
純真無垢っぷりが本当に素晴らしいなーと思いました。
この役を黒人の女の子がやっていることも、
「2015年のアメリカ」という時代を感じる設定ですよね。
僕が好きだったのは引っ越して、
自分のベッドが手に入ったのに
仮想二段ベットを作って床に寝るところでキュン死。
一方でアニーをイビるおばさん役として
登場するのがキャメロン・ディアス
彼女が相当トバしまくっていて好きだったな〜
子どもを複数住まわせて、
その扶養補助で生活する落ちぶれた歌手役を
彼女が演じているのに隔世の感。
変に若作りせずに自らの年齢を客観的に把握して、
役を選んでいるんだなーと思いました。
(好きだったのは1人ベロベロになりながら、
ツイスターゲームをしているシーン)
C+C music factoryの元メンバーという設定なのに、
歌が下手くそというオチも笑えました。
実業家をジェイミー・フォックスが演じていて、
歌が素晴らしいなあと感心していたら、
そもそもこの人歌手やん!って思い出したり。
極度の潔癖で子どもや汚そうな人と
少しでも触れ合ったら除菌するっていうのは
キレイキレイが大切とされる社会の風潮への
カウンターなのかな?と勘ぐったりしました。
ミュージカルシーンで一番好きだったのは、
アニーが感謝の気持ちをホールで
オーケストラをバックに歌うところ。
冒頭とラストを繋ぐ大事なシーンな訳ですが、
おじさんに純粋な気持ちで感謝する小さい女の子、
それだけで、おじさんの僕は泣きました。
小ネタでいうと劇中で映画を見にいくんですが、
そのcreditがフィル・ロード&クリス・ミラー!
(LEGOとか21ジャンプストリートの監督コンビ)
おそらくトワイライトのパロディなんだろうけど、
Youtubeにfake予告編がアップされていました。
(リアーナが怪物役で出てきてサムアップ!)



アニーの両親が見つかってからは切なくて、
実の両親が見つかったことは本当に喜ばしいことで、
そこへ戻ることは自然なんだけど、
やっぱり寂しいっていうのを
ジェイミー・フォックスの顔で分からせる。
終盤のアニー捜査についてはツッコミたくなる部分が
いっぱいあるのは事実だけど、
見た目が派手になったからいいんじゃね?と思います。
結局のところ、アニー自身が成長するのではなく、
彼女の人生を肯定する力に
周りが影響を受けて心を開き、寛容になるという点が
本作の見どころだと思います。
なので、「こんなんただの施しやん」っていう
安易なツッコミは成立しないでしょう。
思ったほどミュージカル感はないので、
ミュージカルが苦手な人にもオススメいたします。

2015年1月26日月曜日

貴様いつまで女子でいるつもりだ問題



発売されたときから気になっていて、
買うのを躊躇していたんですが、
昨年末の東京ポッド許可局のイベントで
著者であるジェーン・スーさんを見て、
「これは買うしかねー!」と思い、
友人と本屋を訪れたときに勢いで買いました。
もとはブログに書かれていたエピソードと、
書き下ろしで構成されているので、
試し読みしたい方はどうぞ→リンク
「こじらせ女子」という言葉で
安易にまとめられることを拒否するかの如く、
圧倒的な理論武装で自らの自意識や、
他人の言動を分析しているのがめちゃくちゃ面白い!
僕の青年期に多大なる影響を与えた
ブラスト公論レベルで自意識を突き詰めていると思います。
何も考えないで生きることは楽だし、憧れもあるんだけど、
色々考えてしまう人間と化した今では、
他人の考えていることを聞いたり、
読んだりすることが楽しいなーと思っています。
タイトルエピソードで笑いながらもフンフンと頷き、
終盤にかけてはエモさ高めのエピソードが盛り込まれ、
コラム集の中に起伏があるのに驚きました。
とくに好きだったエピソードは、
「とあるゲームの攻略法」という話。
戯言抜きの女性の仕事論で、
この国で女性が働くこととは?というお題に対する、
ファイナルアンサーかの如く。
今いる年寄りたちがいなくなったときに、
共生できる社会ができていればいいなーと思います。
女性の方は勿論のこと、
女性の考え方を知るという意味で男性にもオススメです!

2015年1月24日土曜日

メイド・イン・アメリカ



ヒューマントラストシネマ渋谷で実施してる
未公開映画特集で公開最終日に滑り込みで見ました。
2012年9月にフィラデルフィアで行われた
「メイド・イン・アメリカ」というフェスのドキュメンタリー
(フェスの主催者がJAY-Zなので彼の成り上がりを中心に)
しかも監督がロン・ハワードという豪華っぷり。
出演している色んなアーティストのライブ映像と
彼らへのインタビューがとにかく楽しいし、
「JAY-Zハンパねー」という畏敬の念が高まりました。
さらにアーティストだけではなく、
地元フィラデルフィアに住む人やフェスの裏方への
インタビューも入っているので、
いわゆるアメリカンドリーム!って感じでした。
正直「夢は叶う!」みたいなバカ正直なところを見ると、
果たしてそれは…と穿った見方をしちゃう。
けれど、圧倒的な説得力でねじ伏せるJAY-Zという
生きるアメリカンドリームがドヤ顔で
語られるとグゥの音も出ません。
ジャンル関係なく、様々なアーティストが出演していて、
Janelle Monae, D'Angelo, Passion Pit, Mike Snow,
Pearl Jam, RUN-DMC, Skrillex, Jill Scott,
ODD FUTURE, THE HIVES,Rita Oraなどなど
当たり前なんですが、どのアーティストも超かっこいい!
一個一個述べてるとキリないんですが、
Janelle Monaeはギミックが楽しいし、
D'Angeloはバイブス高めだし、
RUN-DMCは当然Walk This Way!!
ただRUN-DMCに関しては2人のMCへのインタビューが
ライブよりもおもしろくて、とにかくめっちゃ喋る!
DMCは躁状態かな?と思うくらい。
インタビューだとTHE HIVESが興味深くて、
「スウェーデンだとスウェディッシュポップとメタルの
どっちかが好きな人ばかりで両方はありえない」
前述したとおり、色んな音楽を聞けることが大きな魅力。
特定のジャンルをひたすら聞くのもいいと思うんですが、
様々な音楽を聞いて偏見なしで楽しむ姿勢は
忘れないで大切にしたいなと改めて思いました。
盛り上がりという点ではODD FUTUREが一番!
あと冒頭にメンバーが楽屋でジル・スコットを
無邪気に探すシーンがあって微笑ましかったです。
さらにSkrillexがロン・ハワードにDJを教えるという
激萌えのポイントもありました。
彼のDJ論もなるほどなーって感じでした。
ここまで色々紹介してきましたが、
本作はなんといってもJAY-Zという漢の凄み。
もはやただのラッパーではなく、
実業家としての活躍もめざましい訳ですが、
インタビューはその側面を大きくフォーカス。
半生を語りながら、成功を目指し、
夢を追うことの大切さを懇々と語る姿が印象的。
各アーティトのライブを楽しそうに見つめていて、
それもよかったなー小さく首振る感じね。
最後に自らの圧倒的なライブを見せつけるんだから、
もはや何も言えねーよ!と思いました。
その対比とも言えるのが市井の人々の話。
皆が日々の生活でストラグルしてる訳ですが、
それと共に各アーティストの成功エピソードを語られてもなー
言ってることは至極正論なんだけど、
どこまで現実味があるんだろうと懐疑的に思ってしまう、
天邪鬼な気持ちが…まー些細なことです。
エンドロールでJAY-Zが子どもとじゃれ合うシーンが、
最高最高なシーンでめっちゃ笑いました。
映画館では見れないですが、DVD等で見れる機会があれば是非!

2015年1月18日日曜日

紙の月


紙の月

映画を先に見たので原作も読んでおきました。
かなり映画が好きだったので、
どうなんかなーと不安ながら読み始めたら、
どんどん引き込まれてソッコーで読了。
映画では宮沢りえ演じる主人公の
梨 花にフォーカスすることで、
あの緊張感を生み出した訳ですが、
本の中では複数の語り口を登場させて、
「お金」とは一体なんだろう?ということが
描かれていて考察がより深いと感じました。
メインはお金を山ほど使った先の話だけど、
反対にお金がない場合の話も本には書かれています。
それもまた辛くてねぇ…
よく結婚するときに金銭感覚どうこう
っていう話あるじゃないですか?
これまでは今イチピンと来てなかったんですが、
本作を読んで骨の髄まで沁みました。
終盤にかけてはパンチラインのつるべ打ちで、
巻末には映画化を手がけた吉田大八監督の解説!
お金のこと真剣に考えたくなる作品でした。

薄氷の殺人


何回か予告編見てて中国映画見てないなーと思いつつ、
ベルリン国際映画祭で金熊賞、男優賞の2冠達成ということで
期待に胸を膨らませながら見てきました。
基本はサスペンスなんですが、
一筋縄ではいかない不思議な映画という印象。
撮り方、色味、シリアスタッチな中にあるユーモア、
一体これはなんだ?!という気持ちになります。
ジョニー・トーのタッチとまでは言いませんが、
それに近いものがあるのは間違いありません。
お話としては中国にある複数の石炭工場から、
遺体の一部が発見されるという殺人事件が発生。
警察が捜査するものの犯人は見つからないまま、
5年経過したのちに別の連続殺人事件が発生。
その捜査線上に浮かんでくるのが、
5年前の殺人事件の被害者の奥さん。
主人公の刑事がなんとか奥さんと関係性を
構築しようとするものの…という話。
(刑事の顔が真鍋大度さんに激似)
冒頭のショットで土が映されるんですが、
てっきり地面かと思いきや、実はトラックの荷台上の土。
そこにあるバラバラになった腕が
石炭工場の中を巡っていくところを追いかけるシーンで
物語が始まっていきます。
この時点で一筋縄ではいかない感じビンビン。
疑わしい奴を捕まえるシーンの唐突な暴力は最高で、
普通ならカット割って臨場感出そうとするんだけど、
引きのワンカットっていう容赦ないところが好きでした。
結局奥さんがほとんど疑われることなく、
捜査が終わりを迎え、5年後に舞台が移るんですが、
そのシームレスな演出が超素晴らしい!
刑事とその同僚がトンネルを走っているんだけど、
画面内の光量が徐々に変化し、グッと車の視点に変わる。
そこからトンネルを抜けると右側に
停止したバイクの横に倒れている男性が。
車の視点のまま、一度通り過ぎるんだけど、
Uターンして戻ってきたら、
倒れているのは主人公の刑事っていうねー
文字で説明してもほとんど伝わっていない気がしますが、
このシーン見るだけでも本作を見る価値あり!
と言いたくなるくらい大好きでした。
そもそも映画全体のルックがかなり特徴的です。
淡い感じの色合いもそうだし、
ワンカットの長回しが多かったり。
映画全体において映像の起伏があるといえばいいのか、
ダイナミズムを感じました。
後半は疑惑の奥さんと刑事のあいだで、
恋愛なのか、捜査なのか分からない、
ギリギリの関係が描かれていきます。
この奥さんのファムファタールっぷりがたまらない。
寄る辺ないんだけど、何か腹にイチモツある感じ。
あと単純にめっちゃ綺麗なので最高です。
刑事は奥さんの働くクリーニング店に通いつめて、
あの手この手で関係性を構築しようと努力するんだけど、
なかなか心を開いてくれない。
そんな中でスケートに2人で行くシーンがあって、
ここが甘酸ポイントでしたねー
奥さんを追いかけてリンク出ちゃうのが好きでした。
あと2人で映画館行くんですが、赤青タイプの3Dメガネかけて
映画見てるシーンは微笑ましいです。
徐々に一連の事件の真相が明らかになるんですが、
それ自体に面白さも新鮮味も特にありません。
けれど、前述したとおりスクリーン上で展開される
面白い、愛おしいことが山ほどあるので、
そっちに心を鷲掴みにされてしまいます。
終盤の観覧車でのやり取りは、
引きのショットとは一転してクローズで撮り、
2人の密接な関係性を描き出しています。
あと刑事がユーロビートで踊り倒すとか、
ラストの花火のくだりは全部は見せないものの、
切なさを感じてたら唐突な幕切れが訪れる、
キレのいいエンディングも素晴らしかったです。
映像ありきなので是非映画館で見てください。

2015年1月17日土曜日

神は死んだのか



一度予告編を見てオモシロそーと思っていたものの、
スルーていたところ友人に誘われたので見てきました。
予告編を見た限りは有神論vs無神論という、
答えの出ない「神」の存在を巡る話だと思っていました。
しかし蓋を開けてみれば、
ただのキリスト教のプロバガンダ映画やないか!
って感じでとても残念な映画でした…
宗教を信仰すること自体を否定する訳ではありません。
ただ信仰と人類の起源、進化論を含めた神の存在は
全く別の問題だと個人的に考えています。
しかも、本作は単純にキリスト教が素晴らしい!
というものではなく、神を信じない人や
キリスト教以外を信仰する人はだいたい不幸です。
みたいな論調だから余計に腹が立つ。
先日のフランスのテロ事件も
表現の自由は守られてしかるべきなんだけど、
テロリストがイスラム教徒ということによって、
宗教問題にすり替わっていたりする訳です。
安易な二元論や絶対的なものがない今の世の中で、
多数派のキリスト教徒を絶対正義として描く気持ち悪さ。
見終わったあとの倦怠感と怒りは、
忘れられない体験となりました。

主人公は大学に入ったばかりの青年。
哲学専攻で授業を取ったところ、
ある教授が授業の前に「God is deadと書け」
と強制してきます。
敬虔なクリスチャンである主人公は
無神論者の教授と正面から対立。
そこで教授から「神の存在を証明してみろや」
彼はそのプレゼンを授業で実施することになり…という話。
前半は教授に立ち向かう青年という構図が楽しい。
「おいおいホーキングの論文も読んでへんのかよー」
っていうイジリ方が理系としてはアガるポイント。
あと仲の良い彼女に反対されるにも関わらず、
「僕は証明したいんや!」と譲らず、
結果的に別れるくだりが好きでした。
この青年の話がメインストーリーであって、
その他に複数のエピソードが展開されます。
突然ガンを宣告される女性記者、
親がイスラムなんだけど自身はキリスト教信者である
隠れキリシタンの女性、
レンタカーを巡って神について語る牧師2人、
教授の奥さんでキリスト教信者の奥さんなど。
あれ?と思い始めるのが、2回目の授業。
教授の科学的論法を逆手に取り、
言いくるめる姿はオモシロいんだけど、
ここで言及されているのは進化論の話で、
あぁ…神が創造主という論理が受け入れられない
と色々考えていたら、どんどんプロバガンダな展開へ。
本当嫌だなーと思ったのは、隠れキリシタンのくだり。
確かに信仰の自由は保証されてしかるべきだけど、
スカーフの件や親にバレたときのいざこざとか、
バイアスがかかっているんですよねー
このキリスト教を信じてないと
辛い目にあいますよ系エピソードの最たる例が、
無神論 者の教授が迎える末路。
百歩譲ってその末路を許したとしても、
その後の展開は完全に恫喝の領域ですよね。
「お前信じるんか?あぁん?!」っていう。
最後はミッション系バンドのライブで、
God's not dead!! He's surely alive!! と皆で大団円。
ある種の大ボケとしてメタで見ればオモシロいんだけど、
僕はジーザス・キャンプという映画をオススメします。
そして、7年前に読んだリチャード・ドーキンスの
「神は妄想である」をこれから再読しようと思います!

2015年1月15日木曜日

Talking about Japanese HIPHOP in 2014

愛憎入り乱れながら、
ずっと聞いている日本のHIPHOPについて、
大学の後輩とダラダラしゃべりましたので、
興味ある方は読んでみてください。

2014 日本語ラップ年間ベスト•音楽駄話 前編「ベストの話」

2014 日本語ラップ年間ベスト•音楽駄話 後編「その他の話」

愛される資格


愛される資格

樋口毅宏氏の最新作。
前作が短編集だったので久々の長編ですね。
「さらば雑司が谷」という不滅のクラシックを
読んでからというもの、内容に関わらず、
ハードカバーで買うようにしております。
本作は久々にライド性高いのきたな〜って感じで、
読んでて超楽しかったです。
主人公は三十代のサラリーマンで、
彼がいびられている上司の奥さんを不倫で寝盗る!
という社畜的にアガる展開でした。
しかも主人公は「何者かになる」ことに対して、
希望を捨てきれない描写があったり、
主人公の上司がおっさんの超最低部分を抽出したかのような、
人物像なのも好きでしたねー
そんなやつの奥さんを寝盗るんだもの、
最高に決まってるじゃないですか!
(しかもSEX描写がめっちゃエロい)
とはいってもステレオタイプな
勧善懲悪ものというわけではなく、
後半にかけて怒涛の展開が待っていて、
ゴーンガールを彷彿とさせます。
また、樋口さんの特徴であるサブカルチャーを
サンプリングして小説の肝に据えるという手法も健在で、
楽しく読み進めることができました。
(学者ばりに引用元を巻末に載せる律儀さも健在)
会社の上司がウザい!という方にオススメです!

2015年1月12日月曜日

マッチポイント



ウディ・アレン監督作品。
彼のフィルモグラフィーがあまりに壮大すぎて、
一体どこから見ようかと悩んでいるときに、
ケトルでウディ・アレン特集が組まれていて即買い。
しかし、積ん読雑誌グループへ…
なかなか見る気にならない中、重い腰を上げて見ました。
見る前はそこまで気が乗らなかったけど、
見たらめっちゃオモシロいですやん!って感じ。
タイトルはテニスの用語。
冒頭で ネットにかかったボールを映しながら
「運」について言及される。
主人公は元テニスプレイヤーで、
コーチをしているところで出会った客の妹と結婚。
仕事も奥さんのお父さんの会社に入り、
めきめきと頭角を現し、
順風満帆な生活を送っているんだけど、
浮気をしちゃうんですねー
アンストッパブルな人間の欲望。
(相手はスカーレット・ヨハンソンだからしょうがないぜ!)
奥さんは決して悪い人ではないんだけど、
子ども作りのくだりは辛いなーと思います。
(mechanicalというセリフが印象的)
ウディ・アレンは人の機微を拾うのが上手いというか、
中盤ぐらいまではただの不倫物語なんだけど、
ダラダラ見れちゃうし、日常生活の些細な出来事、
夫婦間のすれ違いをツブサに描いていく。
結局、奥さんと浮気相手の両方に良い顔した結果、
彼が取るまさかの最悪の行動。
あぁそんなことしちゃうんだ…と思ってたら、
二転三転していく終盤は目が離せません。
なんかファンシーな感じで包まれていくんだけど、
ある種の現実を突きつけてくるし、
逆に罪悪感を抱えながら一生を生きていく、
主人公の顔アップエンディングが最高でしたね。
今年中にフィルモグラフィーの半分くらい、
見れれば良いなーと思います。

ディズニープリンセスと幸せの法則



ディズニープリンセスと幸せの法則

アナ雪旋風が吹き荒れたのは昨年のことでしたが、
アナ雪の素晴らしさをはじめとして、
白雪姫から始まるディズニープリンセスの変遷について、
体系的に解説した本です。
著者は荻上チキという人で、
現在TBSでSession22という番組の
パーソナリティーを務めている方です。
去年の秋ぐらいから聞き始めたんですが、
政治、経済、音楽、映画など様々なフレッシュな話題を
分析していくという、とても楽しい番組。
そもそもアナ雪を半笑いで「ありのままでしょ?」と
半笑いで言う人が好きじゃないし、
あの曲を自己肯定の象徴として捉えている、
日本での流行り方も腹立つんですよね。
確かに自己を肯定する歌ではあるんだけど、
劇中で伴っているペーソスが
無いことになっていることに対して違和感を覚えていました。
そんな中で本書を読むと、非常に丁寧に解説されていて
溜飲が下がりました。
本書ではディズニーコードなるものを設定し、
ディズニー作品中でのプリンセスの立ち位置を
平易な文章で丁寧に説明してくれます。
クラシックな作品を読み解くことで、
その時代の女性の生き方や価値観が抽出されていく。
アラジンくらいしかまともに見たことなかった僕にとっては、
目から鱗の話ばかりで楽しかったです。
ディズニーアニメが低迷期に入った頃に
現れたシュレックの解説もなるほどなぁと。
完全にディズニーを意識した上で、
カウンター描写が山ほど入っているのを知り、
見てみたい気持ちが高まりました。
本著内でも書かれていますが、
先鋭的に切り込んだ価値観を提示するわけではなく、
「浸透した価値観の確認」として作品を提示する。
それがディズニーが果たしている役割だと。
ディズニーバイブス高まっている中で、
色んな作品を楽しんでいきたいなと思います。

トラック野郎 御意見無用



去年から東映をはじめとした過去の日本映画を
見進めることを誓い、今年1発目はこれだ!
と思い見てみました。
去年に鈴木則文監督、菅原文太の2人が
亡くなってしまいました。
つまり、いつ見るの?今でしょ!ということです。
画面のルックは当然古いんですが、
2014年に見ると逆にフレッシュに見えました。
アクションでの手持ちワンカットは
ガチャガチャしてて最高だなぁと思いました。
本作には喜怒哀楽が全部乗せで入っています。
トラック運転手という仕事柄もあり、
ロードムービーとも言えると思いますし、
男の生き様見たわーという良い余韻が残るんです。
とくにお金についてフォーカスしていて、
冒頭のシーンが印象に残っています。
このシリーズは文太×キンキンのバディものな訳ですが、
同じトラック運転手でもそれぞれのスタンスが異なる。
キンキンは7人の子どもを持ち、
日々の生活を切り詰めて生きている一方、
文太はトルコ風呂で派手に遊んでいる。
はじめは文太の生活の方が楽しそうに見えるんだけど、
様々なストーリーを通じて、
「お金がすべてではないんじゃないの?」
という ことが描かれていきます。
個人的には文太とキンキンが海辺で、
いちゃつくシーンが最高でしたねーアホだ!
あと9本あるんで、月一くらいで見ていきたいです。

塔の上のラプンツェル



引き続きディズニーバイブス高めなので鑑賞。
ディズニーアニメーション50作目ということで
ハンパない気合の入り様で、とても楽しかったです。
ディズニーのお家芸であるプリンセス物語に、
ピクサー以降の3Dアニメーションの最高到達点が
合わさった結果、素晴らしい映画となっています。
髪の毛の表現、圧巻の灯篭シーンなど、
スクリーン上で提示される世界の豊かさは
物語の出来を飛び越えて心に刺さりました。
アナ雪がディズニーが提示するプリセンス像の
最新アップデート版な訳ですが、
本作も幽閉された世界から飛び出し、
自らの生き方を模索し、夢を叶えるという点では同じです。
おとぎ話として超普遍な話を、
ここまで楽しませてくれるディズニー作品恐るべし。
あとディズニーのメイキングはめちゃくちゃ面白いので、
DVDで見る際には必見です!

トイ・ストーリー3



最近ディズニープリンセスと幸せの法則という本を読んで、
ディズニーバイブスが高まっている中で、
見落としている作品を見ようと思い鑑賞。
1作目は僕の映画原体験とも言うべき作品で、
子どものころから大好きでした。
そこから同じピクサーのバグズライフも好きになり、
映画館へも見に行き、親にねだって、
VHSを買ってもらったりしてました。
しかし、年を重ねるごとに天の邪鬼気質が高まり、
ディズニー作品を見なくなってしまいました。
近年はそういった気持ちもなくなり、
ある種フラットに接することができるようになったので、
映画館で公開されれば必ず見ています。
この抜け落ちた10年を少しずつ埋めていきたい所存です。
前置きが長くなりましたが、本作はマジで最高最高だよ!
冒頭で「オレの知っているアイツらだ!」という、
童心に帰ってアガるよね〜っていう。
しかも子どもの成長を絡めて、おもちゃと子どもの関係における、
「始まり」と「終わり」をこんな描き方するだなんて…
心はすっかりおじさんなのでラストは号泣メーン!でした。
1、2はあくまでアンディのおもちゃとして、
彼らが活躍するという物語だったのに対して、
そのアイデンティティが揺らぐ姿と
捨てられた熊のぬいぐるみのルサンチマンがたまんない。
脱獄ものとして抜群の面白さがあるし、
幼稚園をユートピアのように描いたあとに、
子どもたちにめちゃくちゃ雑に扱われるのとか、
丁寧なフリからのボケって感じで好きだったっすねー
あとポテトヘッドがペラペラのトルティーヤみたいなのに、
パーツ付けて動いているのは爆笑しました。
1、2も久々に見返してみようと思います。

2015年1月11日日曜日

シン・シティ 復讐の女神



正月に前作を予習して準備万端で鑑賞しました。
前作からかなり時間が経っていることもあり、
上映前に前作のまとめが流れる親切な作り。
本作は作りが特殊なので、好き嫌い分かれると思います。
僕は断然好き派です!
前作はブルース・ウィルス演じるハーディガンと、
ジェシカ・アルバが演じるナンシーの関係性を
主に描いていましたが、本作はオムニバスに近くて、
ロアークという悪の権化を中心に、
豪華スターによる複数のストーリーが語られていきます。
前作から引き続きのミッキー・ロークや、
ジョセフ・ゴードン・レヴィット、エヴァ・グリーン、
ジョシュ・ブローリン、レイ・リオッタなどなど。
はっきり言って何か新しいことがある訳でもないですが、
前作に比べて物語に厚みがあるので、
ずっと見てても飽きないなーと思いました。
本作は以下の3つのストーリーから構成されています。

①レヴィットとロアークの親子愛憎劇
②エヴァとジョシュの愛憎劇
③ナンシーのロアークへの復讐劇

③は物語全体を通して描かれて、
途中②にフォーカスしつつ、①はその合間に描かれる感じ。
これらのストーリーの媒介となるのが、
場末の飲み屋とマーヴという無敵超人。
前作のレビュー時にも書きましたが、
本シリーズの特徴はモノクロ画面+ビビッドな色使い。
目の色や血の色をポイントポイントで、
鮮やかな原色で彩るスタイルであり、
今回は赤、青、緑と様々な色が使われていて面白い。
ロドリゲス監督なのでバイオレンス描写は厳しめですが、
基本的に白黒で血の色が白いので、あまり残酷に見えません。
バイオレンス描写が苦手な人でも大丈夫だし、
好きな人も十分楽しめると思います。
もう1つの特徴が物語の大部分が、
ナレーションによって進んでいく作り。
ここが好き嫌い分かれるポイントで、
説明的過ぎると感じてしまうかもしれません。
僕のように本を読むのが好きな人は、
代わりに朗読してもらってる感覚になるので、
すんなりと受け入れられました。
すべてのストーリーに通底するのが血で血を洗う復讐。
今回は邦題にもあるよう、女性の復讐にフォーカス
劇中で出てくるオールドタウンという街も、
娼婦たちが統治する警察不介入な赤線スタイル。
女なめんなよ!と声高に宣言するかの如く、
己の暴力や謀略で男たちへ復讐を敢行していく。
とくに②で出てくるエヴァ・グリーンは、
300のときと同様女神ビッチスタイルで最高でした。
脱ぎっぷりも遠慮が一切ないし、
ジョシュ・ブローリンが振り回されまくりなんですが、
まさに男の性を体現!って感じでナイス。
このシークエンスにはレイ・リオッタも
マチズモの権化として登場し、
完膚なきまでに叩きのめされるのは見てて痛快でした。
(あのセックスシーンは脳裏に焼き付くヤーツ)
①はゴードンがロアークが捨てた娼婦の息子で、
いかさまギャンブルの天才として登場。
ロアークをポーカーで叩きのめすけれど、
容赦ない報復が彼を待ち受けています。
とくにペンチで指ぐしゃぐしゃにするシーンは
見てるだけでも超痛いナイスバイオレンス描写。
ボロ雑巾と化した彼を救う女神が、
レディ・ガガっていうのは笑えました。
③がメインストーリーなんですが、
前作で自殺したハーディガンが
シックスセンスよろしくゴーストとして彼女を見守っていて、
「復讐の連鎖を断ち切るために自殺したのに…」と
もの悲しい目つきでナンシーを見つめているのは、
ジワジワ面白く思えてきます。
ナンシーは場末の飲み屋で踊り子として働いてるんですが、
ハーディガンのことを気にして常に自暴自棄。
何回鏡に頭ぶつけてんねんと思いつつ、
ダンスが超セクシーなので、それを見るためだけに
映画館で見ることを強くオススメします!
物語全体で活躍するのが、ミッキーローク演じるマヌーブ。
超強くて喧嘩となれば登場する。
一番上がったのはエヴァの用心棒とバトルするシーン。
横からのショットがスト2っぽくてアガりました!
マチェーテ・キルズでガッカリした人も是非。

2015年1月10日土曜日

96時間 レクイエム



景気よく2015年の映画鑑賞を始めようということで、

96時間シリーズの3作目を見てきました。(原題はTaken3)
リーアム・ニーソン無双は相変わらずだったんですが、
正直3部作の中で一番好きじゃない作品でした。
1はミルズという家族を愛す無敵超人キャラの誕生、
2は家族以外全員死んでよしという究極のヴィジランテ精神、
とそれぞれ楽しめる要素があった訳ですが、
本作はネタが尽きたのか、
単なるジャンルムービーと化してしまったことは否めません。
(もとからそうやろ!という人もいると思いますが)
あと今回の敵役がロシアンマフィアということもあり、
昨年公開の傑作イコライザーと比べてしまい、
その瞬間になんだかなぁと思うことも多々ありました。
ただ、アクションの過剰さや96時間シリーズのギャグか!
という演出はとても楽しむことはできました。
リーアム・ニーソン演じるミルズは
家族と離れて暮らすものの奥さん、娘と
良い関係を築き幸せに暮らしています。
ある日、奥さんと会うことになり、
自分の家に戻ると血の付いたナイフと奥さんの死体が…
警察から犯人として追われながら、
真犯人を探し出しブッ殺そうとする話。
冒頭、顔構え5億点の謎のマフィアが出てきて、
金を巡った殺しが描かれたのちに、
夜の都会の街を空撮で抑えたタイトルクレジットが流れます。
この映像の質感がアナログな感じで好きでした。
それがふっと終わると、
でっかいパンダのぬいぐるみも抱いたミルズが登場。
娘用のプレゼントとして購入するんですが、
ミスマッチ感が96時間シリーズは楽しいです。
この点でいうと今回娘はデキちゃうんですが、
それを父に告げるシーンは笑いました。
序盤は平穏に生きる彼の生活を描いていて、
そこで使われている音楽の陽気さも楽しい。
奥さんが殺されたところから本格的に始まっていく訳ですが、
ここで僕はもう映画に乗りきることができなかった。
96時間シリーズは家族が誘拐されるけれど、
必ずミルズが奪い返すというget backな部分が好きで、
はじめから死んでたら単なる復讐劇ですやん。
そんなん96時間に求めてませんやん。
というのが僕の気持ちです。
要するにハラハラする気持ちが沸いて来ない訳です。
あと前2作に見られたギミックの妙の部分が
本作は少ないなーと。
せっかくミルズの愉快な仲間達との共同作戦を
描いているのに、そこも中途半端なのがもったいない。
警察側の視点でフォレスト・ウィテカーが
警部役で出てくるんだけどノイズにしか感じられなくて、
1作目ならまだしも、今更ミルズの危険キャラを補強する必要はない。
(ラスト手前のシーンも要らなかったです)
じゃあアクションがいいのかと言われると、
それも微妙で確かに迫力はあるんだけど、
あまりにカットが多くてガシャガシャしてるだけっていう…
前述したとおり敵のロシアンマフィアはよくて、
ブリーフ一丁で銃を振り回すのはアガった!
ラストのポルシェvs飛行機も予告編で見てたので、
そこまでテンションも上がらず…
エンディングはお決まりの海辺のダイナー
好きにしたらいいよって、牙抜かれとるやないか!
娘を奪う奴は何人たりとも許さんスタンス見せんかい!
という下衆い気持ちのまま鑑賞を終えました。
僕は2作目が一番好きです!

2015年1月6日火曜日

小さいおうち



iTunesのレンタルセールで見ました。
山田洋次監督作品。
本作は現時点での最新作で
膨大なフィルモグラフィーがある中、
おとうとや東京家族などの近年の作品から見ています。
大正から第2次大戦前までの時代設定で、
ある家で奉公をした女中を中心としたラブサスペンス。
古い時代の話のように思えるかもしれないですが、
これがまー今の日本の空気と似ているんですね。
何も変わっていないのかもしれないという寂しさと、
過去から学び変えていくのは残される世代なのかと
現在から過去を振り返る物語構成からも感じました。
少し冗長すぎる部分もあるんですが、
終盤のジオラマによる戦争表現や、
倍賞千恵子の嗚咽と日本の田舎の風景を交えたショット。
これらが物語る映画的な雄弁さに圧倒されました。
俳優陣の素晴らしさは言わずもがな。
松たか子、黒木華、倍賞千恵子は本当に素晴らしくて、
終盤に用意されてるサスペンス的な展開における
三者の割り振りは最高でしたねー
上の予告編のショットはまんま劇中でも使われてるんですが、
ここだけ手持ちでグッと臨場感を煽ってくるし、
他のショットは固定できっちり見せてきます。
(映画術の言葉でいえば、確実に「動線」を意識している)
時間を見つけて過去作も色々見たいです。

2015年1月3日土曜日

シン・シティ



続編が1月に公開されるので
iTunesレンタルの正月セールで鑑賞。
以前に見たときは、うーんって感じやったけど、
近年のアメコミとは違うアプローチで新鮮で楽しかったです。
そもそも原作がウォッチメン同様のグラフィックノベル。
刑事と乱暴者と殺し屋の主に3つのストーリーが描かれます。
最大の特徴は部分的に色が残っている白黒画面。
漫画っぽくて楽しいし、血の色が鮮明で美しくさえ見える。
語り口もグラフィックノベルそのままで、
メインの登場人物の心情をナレーションでガンガン説明してくる。
冗長な部分もありますが、タクシードライバーの
トラビスの日記朗読感があって好きでしたねー
監督はロバート・ロドリゲスなので、
バイオレンス描写は笑えるくらいの残忍さでナイス!
続編はナンシーの復讐劇みたいなので、
そちらを楽しみに待ちたいと思います。

2015年1月2日金曜日

リンダリンダリンダ



確かちょうどこの時期の深夜映画で見たんですが、
改めて見てみました。山下敦弘監督作品。
甘酸という神の視点を導入したことで、
青春映画を楽しく見ることができるようになって、
何年か経ちますが、これが日本の甘酸クラシックや!
と断言してもよいでしょう。
当時見たときは「キラキラしやがって!」と
はすに構えて見ていましたが、
おっさんと化した今、
この空気を吸うことは二度とないという
追憶の気持ちとくすぐったい気持ちで
胸がいっぱいになりました。
よくアメリカの青春映画で古典ロックが
懐かしさ煽り+心情描写で使用されるんですが、
本作はその方法を日本的な解釈で活用しています。
高校生のとき初めて1人でハイロウズのライブを
見に行ったんですが、その記憶の蓋をこじ開けられましたね。
あと文化祭でクラブごっこしてるシーンがあるんですが、
まさしく僕が大学時代に所属していた
DJサークルのパーティーそのままで震えました。
ラストのライブシーンも大好きだし、
その前にペドゥナが1人で学校徘徊するシーンも好きです。
深夜に皆で集まって練習するシーンも
背徳感の共有で盛り上がるし、
女子高生が好きなことにトライしている姿は、
それだけで愛おしく感じてしまいました。
甘酸という観点では、ドラマーの恋の描写は5億点!
実家での家電による会話、文化祭での距離感、
雨の中で傘を差し出す彼。最高最高だと思うよ!
こんな風に見るタイミングで鑑賞後の気持ちが
全く異なるんだから映画見るのはやめられない。

2015年1月1日木曜日

ファーストフード・ネイション



リチャード・リンクレイター監督作品。
原作が「ファースト・フードが世界を食いつくす」
というノンフィクションなんですが、
本作はそれをベースにしたフィクションでした。
ファースト・フードものでいうと、
スーパーサイズ・ミーが提唱した健康問題とは別に、
もっと複雑な政治的、経済的な問題にフォーカスしています。
広く言えば資本主義という構造がもたらす悲劇。
ミッキーズという架空のファーストフード 店の、
ハンバーガーのパティに大量の大腸菌が検出されて…という話。
そこから移民問題、環境問題、都市問題と
近年話題になっている問題のつるべ打ちでした。
メキシコ人、ミッキーズの幹部、
ミッキーズでバイトする高校生など、
様々な立ち場の人物が登場することで、
上記問題が立体的に描かれています。
(ちなみにイーサン・ホークも出てるんですが、
彼のメンター的ポジションは、
6才のボクが、大人になるまでの原型かと思います)
問題に対してアクションする人が必ずしも、
幸せにならないし、搾取されているように見えても
本人たちは居心地が良かったりする訳です。
システムを作ったのは人間なのに、
そこに隷属していき、何が原因か判明しないまま。
でも、システムがあるから社会は回っていくんだ…
というような禅問答を頭の中で繰り返していました。
フィクションだからこそできる、
突っ込んだ描写も見どころだと思いますので、
ファーストフード好きの人はぜひ!

スクール・オブ・ロック



新年1作目は景気良く!ということで鑑賞。
リチャード・リンクレイター×ジャック・ブラック!
若い頃に一度見ていたんですが、
この年齢で見ると心にグッとくるものがありました。
夢 a.k.a 呪いに胸が痛くなる系であり、
ラストに素晴らしいカタルシスを用意されていて、
子どもたちのロック魂に溢れたかっこいい曲。
ボロ泣きしてしまいました。。。
何かを覚えたり、教養を身につけることは必要だと思います。
それよりも主体的に好きになれるものを見つけて、
取り組むという経験が一番大切かもなーと。
脚本はマイク・ホワイトという人なので、
リンクレイター節はそこまで感じませんでした。
真面目に書いてみましたが、
こんなことはどうでもいいくらい、
本作のジャック・ブラックの演技は、
つまらない大人になった自覚が芽生えた時に、
童心を取り戻すにはもってこい!
折を見て何度も見返したいマスターピース。

ない世界


あるものを渋谷某所に買いに行った時、
店員の方から本屋を紹介され、そこで勢いで買った本。
それがUTRECHTというお店です。
読み終わってから著者のことを調べていると、
著者が経営者でした…見事に掌の上で踊らされてるで!
本の内容としては、ケータイ、酒、毛、行きつけetc
それらが「ない世界」を1ヶ月ごとに体験して
感じたことを綴ったエッセイです。

これまで「ある」ものをなくしたときに
どういったことになるか?というルポとして、
もちろん面白いんですが、その先の論考が豊か。
ロハス 的、ライフハック的な視点の本は、
たくさんあるかと思いますが、
著 者の地に足がついた文章が読者の思考を促してくれます。
「ある世界」の中で1人だけ「ない世界」へ。
周りのレスポンスから見える、
「ある」ことの素晴らしさと弊害。
初めから存在しなければ考えもしないんだけど、
「ある」→「ない」へと変化することで、
「ない」ことについて深く考えてしまうという話が、
逆説的に興味深いし、哲学だなーと感じました。

年末に大学の友人と遅くまで飲んでタクシーで帰り、
降りてから携帯がないことに気づきました。
PCやiPadがあれば、SMS、SNS、LINEも使えるし、
連絡は取れるし、情報も取ることができます。
けれど得体のしれない不安に襲われる自分がいました。
「ある」方がいいんだけど、
「ない」ときに自分は何ができるのか?ということは
頭の隅において生きていきたいと思います。

(追記) ふと思い出したけど、551の豚まんや!

2014→2015

あけましておめでとございます。
今年もどうぞよろしくお願いします。
2015年の目標は以下の通りです。

1. 英語を死ぬ気で頑張る(読み、書き、べしゃり)

2.「1人で南の島へ行き、何もしない」という旅行をする

映画は去年どおりの熱量で紹介いたします。

音楽、本は少しでもメモっていきたいと思っています。
今後とも変わらぬご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。