2012年12月27日木曜日

ミッドナイト・イン・パリ



初めてのウディ・アレン。
正直作品数が多過ぎて、他は何から見ていいか分からず、食わず嫌いでした。
でも、この作品に対する周りの評価の高さが異常だったので見ました。
結果なるほどなーという感じで楽しみました。
タイトルにもあるようパリが舞台で主人公はアメリカ人。
このアメリカ人は脚本家→小説家志望で、パリに憧れまくっている。
そんな彼があることをきっかけに、彼の考えるGolden Ageである
1920年代のパリへトリップする。
そこにはヘミングウェイ、ピカソ、フィッツジェラルド、ダリなどなど
彼のあこがれの人物が次々と現れる。
そんな中で、ある女性に恋をし、過去への思いはドンドン強くなる。

ドンズバで映画のテーマを台詞で言うシーンがあるけど

これは最近読み進めている古市憲寿氏の主張と近いものがありました。
(単なる懐古主義は今の利便性を前提としてないとかね)
いつの時代だって過去は美化されて語られるものだし
その時代を生きることに対して不足感を常に感じ、過去を美化するのが人間。
直前に見た「サニー」に対するカウンターだと感じた。
これがウディ・アレン節なのか…

これに加えて、今年の3月にパリへ行ったことも
この映画を楽しめた要因の一つかも。
確かにパリの街は超魅力的なんですよねー
だから主人公のパリへの気持ち、
つまり異邦人が無意味に持つパリ幻想への共感が半端じゃなかった。

偉人の取り扱いが何とも言えない塩梅。。。ダリのくだりは笑った。
最後は500日のサマーみたいな終わり方だったので、好きでした。

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。

サニー 永遠の仲間たち



2012年見れなかったものをDVDで今年のうちに。
とんでもない作品見逃してたで…
何から話そうか迷うぐらい、最高でした。

高校時代仲の良かったメンバーが、
そのうちの1人の死期が近づいていることをきっかけに集まる。
その高校時代と現在がクロスフェードしながら、物語は進行していく。
まずねーこのメンバーが全員いとおしすぎる!
サニーっていうのは、このクルーの呼称なんすけど
このへんのHIPHOP感にやられたし、クルー萌えといえば
今年のボクのNo.1であるアタック・ザ・ブロックと近い感覚。
彼女たちのエピソードなら、いくらだって見れる。
現在は、それぞれ何とでもない日常を過ごす
彼女たちが再会することで、自分たちの人生を取り戻す。
つまり、自分が人生の主役だという感覚を取り戻し
「生きる」ことに対して受動→能動になる瞬間を目撃できる。
これを高校時代のエピソードをトレースしながら
それが徐々に現実にフィードする手法はいいなぁと思いました。
さらに最近体得した「甘酸」eyeで見ると、悶絶シーンのつるべ打ち。
例えばヘッドホンを耳にあてるくだりで、酸いも甘いも見せる鬼畜演出。
この映画の主人公は女性だし、もっとも深く突き刺さるのは
25〜40歳の女性かもしれないですね。
でも、多くの人が持つ過去の良き思い出をくすぐる作品なので
万人に受けると思います。
過去に囚われず、今を生きる!という人が結構いるけど
うっせーバカと。思い出の中に生きることもあるし
それがきっかけで今が変わることだってあるんだよ!
という誰に向けたか分かんない気持ちになった。笑
今年の音楽演出では「最強のふたり」のEWF使いが1位でしたが
本作は同率1位くらいで終盤の「Sunny」→「Time After Time」は刺さった。





ただラストが少しねぇ、ご都合主義かなと。金かと。
そこじゃなくね。とは思いました。
でも、アイツらには皆幸せになって欲しいからよいけどね!
(現実と虚実の混同)
いかんせん超好き!

プッシャー


ドライブで一躍時の人となったニコラス・ウィンディング・レフン監督。
デンマーク出身の彼が監督を務めたプッシャーシリーズ(1〜3)の
アメリカ版リメイク。監督じゃないけど、製作総指揮を担当。
そして本作品も最高!でした。
とにもかくにも映像美が凄まじい…
ドライブのときも徹底した色使いが話題になっていたけど
この作品もめちゃくちゃ綺麗。
ボクがとくに好きなのは暖色系。夜の街中のライトが秀逸。
ストーリー自体はドライブ同様きわめてシンプル。
プッシャー(麻薬密売人)があることをきっかけにトラブルに巻き込まれて…
ホントこれだけ。でも映像が死ぬほどスタイリッシュだから全然飽きない。
音楽もオービタルのテクノ音楽が中心だし、
オープニング含めた曜日のフォントもイケてる。
話の中身も十分面白いけど、
そこはドライブのほうが洗練されてるなーという印象。
でも、一度転げ落ちたレールへどうにかして
何度も戻ろうとするけど、どーにもならない袋小路。人間不信。
最近読んだウシジマ君に近いなと思いました。
(トーンが全く異なるけどw)
あとエンディングね。プッシャーものは世の中にたくさんあるけど
この終わり方はかなり斬新でした。納得しない人もいるかもしれない。
プッシャーものは主人公が破滅するか、敵を駆逐するタイプしか見たことなかった。
個人的には相当好きでした。
ドライブでヤラれた人は必見ですYO!

2012年12月23日日曜日

SUSHI GIRL


ホントは明日見に行って「打ち」にいこうかと思ったけど
時間見つけて今日見ました。
銀座シネパトスっていう映画館にて。
名前聞いたときは銀座の小洒落た映画館かなーとか思って
Violence Christmas 全開の銀座をすり抜け、到着してびっくり。
い、い、いなたい!大阪ハードコアエリアの映画館みたいでした。
映画の内容がある種「Grind house」な感じだったので
あとから考えればピッタリかも。
と見終わったあとの喫煙所で感慨に耽った。

水道橋博士の番組でも取り上げられてたし
予告でタランティーノ臭がビンビンだったので
見たんですが、案の定それでした。
ストーリーとしては、過去にダイアモンド強盗を行った面々が
唯一その在処を知る仲間の出所を機に集まり、すったもんだ。
といった感じです。
舞台となる場面が、過去の強盗シーンと現在の会食シーンだけなので
セリフのシーンが相当多い。
ここを楽しめないと結構キツいかもしれませんが
タイトルから想起されるように偏った日本のイメージだけで
ボクは相当オモシロく見れました。
それに加えて、ホステルよろしくな拷問シーンですよねー
拷問シーン好きとしては、ある縛りが相当キテマシタ。
これがあることで恐怖が倍増する。
しかも、その縛りに関するエピソードもイイ意味でくだらなくて最高。
個人的には箸と瓶+靴下がやばかった。
この2つの掛け合わせで、中盤ぐらいまで
ひゃふー!最高!と思っていました 。
さぁ、ここまで読んで気付きましたでしょうか。
肝心の「SUSHI GIRL」の話が出ていないということに。笑
物語の冒頭で、千葉真一演じる料理人に女体盛りされてから、
物語の終盤までほとんどなにも絡まない。。。
最後の最後に、この映画がSUSHI GIRLのものであると分かるつくり。
ここの部分が結構淡白だから、物語が結構あっさりしてるように思いました。

タランティーノ好きなら見といて損無し。

2012年12月13日木曜日

映画ランキング 2012年編

こんなことしながら、暫定的に決めました。
どーん!

    1.    アタック・ザ・ブロック
    2.    おとなのけんか
    3.    トガニ
    4.    おおかみこどもの雨と雪
    5.    哀しき獣
    6.    ドライブ
    7.    ふがいない僕は空を見た
    8.    終の信託
    9.    希望の国
    10.    桐島、部活やめるってよ
    11.    最強のふたり
    12.    Documentary of AKB48 Show must go on
    13.    ヘルプ
    14.    ファミリーツリー
    15.    Take This Waltz
    16.    サウダーヂ
    17.    人生の特等席
    18.    ヤングアダルト
    19.    SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者
    20.    アウトレイジ ビヨンド
    21.    その夜の侍
    22.    夢売る2人
    23.    ヒミズ
    24.    BAD FILM
    25.    ザ・レイド
    26.    SUSHI GIRL
    27.    悪の教典
    28.    ドラゴンタトゥーの女
    29.    宇宙人ポール
    30.    アルゴ
    31.    Hick ルリ13歳の旅
    32.    ダークナイトライジング
    33.    黄金を抱いて翔べ
    34.    ディクテーター 身元不明でNY
    35.    ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン
    36.    アメイジング・スパイダーマン(IMAX)
    37.    僕達急行 ーA列車で行こうー
    38.    J.エドガー
    39.    裏切りのサーカス
    40.    アヴェンジャーズ
    41.    TIME
    42.    東京プレイボーイクラブ
    43.    ヘルタースケルター



今年中はちょこちょこいじりますが、とりあえず。

2012年12月9日日曜日

水道橋博士「藝人春秋」サイン会


新宿のBOOK1stにて。この顔の引きつり方から色々察してください。
あとDJの志水貴志さんがいて、ビックリした。
今読んでる古市氏の本が終われば、読みはじめる予定。

ドッグヴィル



peko君にオススメされたもの、第2弾。
ずっと「ドッグウィル」と勘違いしてて
レンタルで検索かけても出てこないなーと思っていたら
タイトルを聞き間違いしてたというねw
以前は韓国映画のoasisで、なかなかの作品でしたが
こちらの作品も鬼ぶっとんでました。

監督はラース・フォン・トリアー。
ダンサー・イン・ザ・ダークで有名ですね。
最近だとアンチクライストも。(未見です)
この人の映画は、
世の中は救いのないものという映画が多いから
好き嫌い激しいけど
この世界、人間というもののある種の残酷さを
いつも見せてくれるので結構好きです。

この作品の何がぶっ飛んでるって、まずは物語が展開される場所ですよね。
どういうことかと言えば、ある広い空間(倉庫みたいな)があって、
そこが一つの街なんですよね。
んで、白線で街の作りが描かれていて、セットも最低限しかない。
舞台みたいな感じで、そこに映画カメラが入って
映画的な手法で見せてくれるという作り。
最初はなかなか入っていきづらいんだけど
徐々に自分の脳内で補填するようになって
いつのまにか物語に没頭してました。

ストーリーとしては、ある小さな村にニコール・キッドマンが逃げてきて
そこで彼女が果たす役割を巡ってのお話。
彼女はギャング、警察に終われている身で、これまで働いたことがない。
村の人々の日々の生活を助けることで身をかくまってもらうが
徐々に軋轢が生まれ…
という非常に抽象的な表現になったけど、まーキツいんですよ。
彼女が街に来るまでは、このドッグヴィルという村は
外の世界からは完全に孤立している。
そこへ彼女が来たことで、人の欲望が露になる。
最初は異物として取り扱うんだけど、
人が持つほんの少しの欲望を満たす存在として彼女を利用する。
彼女は働いたこともないから、労働の喜びを初めて知るし
街の人からすれば、これまで行き届いてなかったことが満たされるようになる。
まさにWin-Winの関係だから、非常にうまくいく。
でも、人間の欲望というのは際限がない。
あることが満たされると、次は…って感じでドンドン出てくる。
しかも、それを満たしてくれる人間の弱みをこちらが握っている。
こうなると、もうunstoppable.
ここまでの流れをジワーっと長い時間かけて、
人間の嫌なところを含めながら物語が進むと。
善悪の区別がグラグラさせられる映画で、
エンディングをどうとるかっていうのは議論の余地があると思います。
僕は彼女が最後の最後に取る行動に対して、
「き、き、鬼畜!」と思いましたが、見終わって
しばらく考えると鬼畜なのはお互い様で
どちらかと言えば、ドッグヴィルの住人のほうがたちが悪いのかも。
なぜなら、その鬼畜さに対して無意識だから。
ニコール・キッドマンは一旦acceptした訳だし。
あと村人の中ではトムって男が一番嫌いでした。
自分はこの街を相対化して見ていると思い込んでいるけど
結局は自分の欲望に負けてしまう。
あげく、それを彼女に指摘されて、彼女を排除しようとする。
性根腐っているで!こんなやつ世の中にいっぱいおるけど。

暗いけど、映画見て色々考えたい人にはオススメ。

2012年12月8日土曜日

Hick ルリ13歳の旅


キック・アスで一躍有名となり
BRUTUSの女優神7に選ばれ、しかもセンターを射止めた
クロエ・グレース・モレッツ初の単独主演作。
予告のときは楽しそうなロードムービーかなーって思ってたら
思いのほか、物語全体のトーンは暗めでした。
わりかし好きでした。

タイトルのHickは田舎者という意味でクロエ扮するルリは
文字通りアメリカの田舎に住んでいる。
両親ともに飲んだくれでアメリカ映画に出てくる典型的なダメな家で
育った彼女は、その運命に逆らうこと無く惰性的に生きていたところ
誕生日の翌日に父は出て行き、母は恋人とどこかへ行ってしまう。
そのタイミングで、TVで見かけた夢に溢れるラスベガスに行こう!
と決心し、ヒッチハイクで向かう道中で、様々なことに巻き込まれて…
といったストーリーです。

序盤はストーリーは伏線を張るための流れなんだけど
クロエのかわいさがスクリーン全開に展開されることで
映画としてのルックは抜群。
特に誕生日にもらった拳銃を持って、
鏡の前でポーズをとるシーンはMurderer感ビンビン。
家を出たときには、夢を持ち、
1人でなんでもできると思っていた彼女が
数々の出来事を経て、人に助けてもらうことは単純ではない。
つまり、「give & take」が伴うことを学ぶ姿は
見ていてオモシロかった。 (結果的は悲劇を生むけど…)

あと、この映画はラストシーンがかなり好き。
ここからはネタばれを含むボクなりの解釈なので
これから見る人はスルーしてね。
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最後、これまで行動をともにしてきた男に
監禁されてしまうんだけど、そこへ監禁先である別荘の管理人が訪ねてくる。
ここで、助けを求めればいいのに、ルリは助けを求めない。
その代わり、別荘においてあるパンフレットの中身について尋ねる。
そのパンフレットには「How to kill your own chicken」の文字が。
中身は鶏のさばき方なんだけど、ここはダブルミーニングだと考えました。
己のチキンハートをkillする方法。ではないかと。
最初は何でもできると思っていた自分が
結局自分では何も打開できないチキン野郎と
旅を通じて痛感しているように思えました。
だから、女性が助けに来たときも最初は拒む。
その後、銃を巡って一悶着あり、ルリは男を銃で殺してしまう。
ある種チキン野郎を卒業したとも言える。

別荘の管理人に助けられ、家に帰ろうとするけど
父はいないままで、母は家を売り払い、再婚することを知る。
帰ったところで何も変わらないことを分かりながら
帰りのバスに乗る。その道中である画を見たことで
バスを降りて、靴を脱ぎ、来た道を自分の足で逆走する。
(このシーンが綺麗でスゴい好き) 
そして、LA行きのバスへ乗り、希望に満ちたエンディングで終わる。
人に頼っているという点では
何も成長してないって言う人がいるかもしれないけど
今度こそ、彼女はあらゆることを踏まえて自分で選んだのである。
あきらかに最初のラスベガス行きとは表情も異なる。
ここまで説明したことは死ぬほどベタかもしんないけど
そのベタ感込みで好きだなぁと思いました。
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クロエタソが死ぬほど見れるから劇場で見た方がいいよ。

2012年12月4日火曜日

ふがいない僕は空を見た


山内マリコさんの「ここは退屈 迎えに来て」を読んで最高!となり
女による女のためのR-18文学賞の存在を知り
そこから窪美澄さんの存在を知りました。
映画化かーとか思いながら文庫読んで
ついでに映画も見ちゃいました。

映画もおもしろかったです。ちょっと長いけど…
基本的に原作と同じ内容で、セリフも一緒。
ところどころ抜粋したり、ちょっと見せ方変えたり。
原作は短編集で、それぞれ繋がっている形なんですけど
映画はその短編の順番をところどころ入れ替えてます。

じゃあ、肝心のあらすじはというと
高校生が主人公で、あることをきっかけに
コスプレセックスに興じるようになる。
しかも、その相手は人妻で…
この話に加えて
団地住まいの友人、主人公の母親のストーリーがあるという作りです。

この映画はR-18でこれでもか!っていうくらいSEX描写がある。
そんな巷の映画やドラマのレベルではない。
しっかりと、しつこく。
そして、主人公のお母さんの仕事が助産婦。
簡単に言えば、この映画は「性」と「生」についての映画なんですね。
普段生活している中で「性」の話ってあんまり直接しないですよね。
とくに人前で、その話をしようものなら
「下品」と言われることだってあるでしょう。
でも今、生きている人全員、SEXの産物です。
あの日、あのときのSEXがなければ、ここにいません。
という日常では、ある種タブーとされているようなことに
よりツッコんで話が展開しているところが好きでした。
映画になって、ストーリー構成を入れ替えたことで
それが一層際立っている。究極的に象徴しているのがラスト。
ここでの画は今年見た中で一番美しかったかも。
セリフは原作のままなんですが、文庫についている
重松清さんの解説が秀逸なので、興味のあるかたは要チェック。

「性」と「生」の結びつきの話もおもしろかったけど
ボクは団地暮らしの友人のストーリーがかなり好きでした。
Anarchyっていう京都のラッパーがいて、彼を何度も連想しました。
誰が日本にゲトーはないと言った?っていう感じで
生活が物凄く厳しくて、食べることさえままならないような状況で
サバイブする状況が淡々と描かれていく。
原作よりも嫌な奴っていう描写が多い分、
そのカウンターの強度が上がってて良かったです。
この彼が「生きる」ということに対して能動的になり、自分で人生を選ぶ。 
これ見れただけで、ホントよかった。

映画としての作りが桐島に似てる分、比較されることも多いと思います。
映画の出来で言えば負けてるかもしれませんが
桐島とは別ベクトルのリアルが盛り込まれている点では
もっと評価されていいと思います。

タイトルで辟易している人もいると思いますが
それはもったいない。
田畑智子のおっぱいも見れるし、是非。

2012年11月28日水曜日

自殺サークル


園子温監督作品。やっとレンタルで見つけて、見ました。
紀子の食卓より以前の作品で、
今日の園監督の劇場用作品の基礎となるようなものでした。
かなり好きでした。

このタイトルはインパクトが凄まじいから
どこかで耳にしたことある人も多いかもしれません。
新宿駅での女子高生集団自殺から始まるこの映画。
しかも、ふわーっと飛び降りて死ぬシーン見せないとか
そんなぬるいことはしない。血がとびチリまくる。
正直、このシーン見るだけでも十分な価値があると思います。
この作品が製作されたのが、2001年。
ちょうどインターネットが普及して間もない頃。
ネット上に○印だけのサイトが存在し
自殺者が出るたびに○の数が増える。
その謎を捜査する警察側のストーリーが主にあって
随所に自殺する側のストーリー(特に若者)が差し込まれる。
主人公は石橋凌。刑事であり父親。
実態のつかめない事件の調査で疲れ、なおかつ若者の自殺者が多いことから
我が家のことも心配して帰宅するが
あたたかい幸せな家庭が迎えてくれて杞憂だと考える。
しかし、実際には家族のことを何も理解できてない父親だと
痛烈な形で証明される。
この作品でもっとも好きだったところは同調圧力、
もしくはアイデンティティの喪失に対する皮肉なスタンスです。
象徴的なのが、学校で突発的に起こる自殺。
軽ーいノリで「自殺しちゃおーぜ!」って校舎から飛び降りる。
皆が死ぬから私も僕も死ぬという思考回路。
また劇中で出てくるデザートというグループのパズルという曲。
詳しい歌詞は作品を見て確認していただければと思うけど
簡単に言えば、あてはまるところがなければ
ピース(自分)の形を変えなきゃね★って。
ホラーの要素もあるけど、こっちのほうが100倍怖いw
堅苦しいこと言いましたが、おもしろい描写もかなり多い。
特にローリーとローリーのいるボーリング場が半端ねぇ。

アイデンティティを失ってでも、社会に適合することに意味があるのか。
ということを映画見ながらずっと園監督に聞かれてるような感じでした。
耳が痛い話だけど。
よく子どもの頃に「みんな持ってるから買って」とか母親に言って
「みんなって誰やねん」って聞かれて答えれなかったことを思い出したり
いい歳こいて、まだ姿の見えない「みんな」にすがってる人もたまにいるなぁ。
とか思ったり。

勝手に生きろよ!

2012年11月25日日曜日

ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー



マン師!ヒートに引き続き2作目。
TSUTAYAの発掘シリーズで出てます。
ケイパーもので、これまで見てきたクラシック系の中では
ダントツで好きでした。それが何故なのか…
もうね、とにかくカッコイイ。
主人公は別に超イケメンっていうわけでもないし
ハゲかかっているけどカッコいい。
これが何故なのかを言葉にするのは野暮ってもんだけど
映画全体を通じて、悪いやつっていう印象がないからかも。
短気だけど、根は良い奴なんだろうなと思わせる。
劇中では2回強盗を行うけど、被害者が出ない。
Get awayとか突破口は強盗に巻き込まれた人とか
実行した奴がバンバン死ぬ。
でも、本作は計画が周到に練られたものとして描かれ
強盗シーンはあくまでサラッと。
ヒートでもそうだったけど、強盗シーン、
つまりアクションにしっかりこだわるのは勿論のこと
人間ドラマもしっかりしてるのがマン師。って思います。
主人公は強盗を生業にしてるけど、早く足を洗って
コーラジュで作った自分の未来を描きたいと考えている。
奥さんも見つけ、あとは幸せな生活だけだと考え
犯罪組織の大ボスと手を組み、大きなヤマに挑む。
そこからはもう逃れられない連鎖で、どんどん物語が進んで行く。
とくに印象に残っているのは養子をもらいにいくシーン。
ここは「ハッ!」としました。しょうがない側面もあるけど。
終盤の怒濤の展開は個人的にはヒート超えかな。。
まるでジェットコースターに乗ってるかのように進むので。
男なら誰でもアガル!! あとマン師の撮る夜の美しさも最高!
超オススメ!

2012年11月24日土曜日

BAD FILM


東京フィルメックスにて。
園子温監督が95年に撮影した素材を今年完成させた作品。

前売り買い逃したから、当日券買いに並んでたら
前の人どこかで見たことあるなーとかボヤーっとしてたら
僕の後ろに並んでたマレーシア人と話し始めた。
その会話を聞いてると、その人は自分もマレーシア人で映画監督だと。
早稲田で映画の勉強してると。iPhoneでググってみたら…
エドモンド楊監督でした。詳細
ヴェネチア国際映画祭に招待されてるだなんて、凄い…
さすがTOKYO FILMeX。

東京ガガガという園監督が先導してたムーブメント。
出演している人の多くはそれに参加してた人で
園監督自身も「自転車吐息」の主人公と同じ名前の北史朗で参加。
ストーリーは高円寺を巡った日本の自警団である「神風」と
中国自警団である白虎隊との抗争。
撮影当時はこんなことありえないと思っていたけど
この2012年には起こってもおかしくない。
と上映後のQ&Aで本人が述べられていました。
抗争なので全体的にはハードボイルドな感じで
物語は進むけど、時折コメディタッチな部分もあって
そこがかなりぶっとんでてて面白かったです。
(豚の顔の下りと神風のボスが部下をいたぶるシーンが最高)
最初は日本vs中国の構図で、血で血を洗う争いがいつまでも続く。
んで、一旦収束するけど、今度は同性愛という問題に徐々に
フォーカスしていく。この同性愛者というのは
日本人にもいるし、中国人にもいるから対立構造が変化していく。
これまで「人種」というフィルターで排斥してたけど
今度は「性別」というフィルターで排斥が始まる。
痛烈なアイロニーだと思いました。
結局、自分と異なるアイデンティティを持つ人間を認めないというのは
非常に幼稚な考えであるということだと。
映画の舞台となるのは主に高円寺の街中だけど
新宿での決闘や渋谷での街頭演説などのゲリラ撮影も本作の大きな魅力と言える。
とくに新宿アルタ前での抗争シーンはもう2度と見れないシーンだと思うし
hi8で撮ってるから、実際に起こったことのように見える。
BAD FILMというタイトルは
当時いい子ちゃんだらけの日本映画界に対してのカウンターだったそうで
"悪い"映画を作ろうという意味だそうです。
その通り超バッドな映画でした。

今出てる園監督の初期worksのDVD集に収録されているので
一応見れますが、来年以降映画館で上映されれば是非見てほしいっす。

とか思いながら劇場をあとにしたら、安倍晋三を首相に!
みたいなプチ右翼のデモに遭遇。
いったいいつになったら、変わるのだろう。とか思いながら帰宅しました。

悪の教典



「ヤバい」
この言葉は何か物事を評価する際には適切ではないと
水道橋博士が言っていましたが、これは「ヤバい」
それしか言いようがない。
海外映画ではシリアルキラーもの見てきたけど
日本の作品では初めての経験でした。
大型バジェットを身にまとい、
これだけの映画を撮れる三池監督にマキシマムリスペクト!
見終わったあとに思ったのは、園子温監督へのアンサーなのかなと。
(とくに冷たい熱帯魚への)
ヒミズの主演コンビ、吹石満と出演している俳優もですが
オレがスプラッターを撮ればこうだ!
って感じがスクリーンから伝わってきました。
ただ本作はシリアルキラーという要素があるから、
単純な比較はできないとは思います。
冷たい熱帯魚は金とか家族関係とか動機になるような要素があるけれど
こっちは純粋な殺しの美学に徹底している。
だから、見終わった後に何かを考えるとかなかった。
(人がそれぞれ何を考えて生きてるか分かんないとか当然の事実としてね)
でも、映画見た!っていう感覚は両作に通じます。
なんといっても伊藤英明。これに尽きる。
これまでドラマとか映画でしっかり見たことなくて
ちょろっと見て、しゃばいなーって思ってた自分が恥ずかしくなりました。
最高過ぎた。表の顔、つまり爽やか英語教師をこなせるのは予測できたけど
裏の顔をあそこまでやりきる覚悟。おみそれしました…
(○ジックマ○ッシュルーム、キメてたんかな)
日本映画の場合、演技が下手な訳じゃなくて
脚本や演出がしょーもないから、
俳優もしょーもなく見えるだけなんだという思いを強くしました。

じわじわと裏の顔が現れてきて、最後の校舎で行われる殺戮行為。
前半も好きだけど、やっぱここで最高にあがる!
銃もマシンガンとかじゃなくて、日本で合法的に入手可能な猟銃(散弾銃)で
弾が2発ずつしか入らない。
毎回けだるそうに、でも確実に弾を込める。
そして一切の躊躇なく、ぶっ放す!
この一連の動作を何十回と見れるだけでクソ楽しい。
とくにかっぱを着て、Mac the KnifeのBig Band Ver.をBGMに
集まった生徒たちを一人残らず殺ってしまうシーンはまさに三池節。
あと山田孝之ね。最高のサービスシーンでした。
嫌なところはエンディング曲。ガクー!て音が鳴った。笑
原作読んでないから、最後の展開がどういう意味をなしているのかは
分からないけれど、この映画を一言で言えば「magnificent」

2012年11月23日金曜日

人生の特等席


公開初日に観てきました。
クリント・イーストウッドは年始のJ・エドガーに引き続き
今年2作目。おんとし82歳。。。
今作は監督してないけど、
この人の携わった作品をあと何作観れるのだろうかと思うと
もはや100%見に行くしかないでしょ。
結果、かなり好きでした。

グラン・トリノ同様、孤高の老人の話で
イーストウッドは名野球スカウトであるガスを演じている。
現役バリバリの弁護士である一人娘との物語で、2人を中心に物語が進んでいく。
冒頭から机ぶっ壊したり、じじいの持つ暴力性全開で
イーストウッドがやると無性にアガル。(グラントリノ後遺症)
ガスの奥さんは娘が小さい頃になくなっていて
ガスと娘は基本的に親子関係がうまくいっていない。
頑固じじいとその血を継ぐ頑固娘。
でも、ガスのある病気をきっかけに関係性が変化を迎える。
ガスは娘へ申し訳ないという気持ちを抱えつつも
今さら謝れないというアンビバレントな状態。
一方、娘は仕事が死ぬほど忙しいけど
父を心配する気持ちを隠しきれず、父のことを優先する。
そしてガスへ歩み寄ろうとするけど、ガスはまったく聞き入れない。
だから娘もあきらめてしまう。。
しかし、そこをブレークスルーするのが
父娘の唯一の共通言語「野球」である。
小さなすれ違いは多々あるけど、このおかげで徐々に親子関係が修復していく。
といった感じのストーリーです。超長くなってしまった。。
終止両方ともの気持ち分かる〜っ思ってました。
派手さはないけど、人間味溢れるストーリーテーリング。
上で述べた親子関係に加えて、アナログvsデジタルも興味深かったです。
デジタルによる徹底した効率主義の結果、見えなくなるもの。
長年の経験に加えて「現場」で見ることの大切さね。まさにGroove。
マネーボールは確かデータ野球の話だった気がするので
(まだ観てないけど)対比で見れば楽しいかもしれない。
本作はかなりデフォルメきかしてるけど
言いたいことが伝わってきて良かったと思う。
予告編で何度も流れている「私の人生の特等席だった」ってところでは
とくに涙腺刺激することなかったけど、
最後ブレーブスのスカウトが集まったときに放たれる
ガスの台詞で号泣メーン!でした。
正直、予定調和で多少物足りなく感じるところもあるし
ガスが娘を遠ざけてきた理由も
物語全体のトーンから少し浮いてしまっているのが気になったかな…
あと見方によれば、昔は良かったという懐古物語に見えないでもないかな…

でも!でも!オレは好きでした!是非。

アフターアワーズ



携帯のメモに残っていて…誰のレコメンドだったろうか。
マーティン・スコセッシ作のコメディ。
日々の生活に退屈したサラリーマンが
アフタアワーズに、ちょっと女の子を引っ掛けるつもりが
とんでもない状況にドンドン追い込まれていく。
最初は一癖、次は二癖、その次は三癖、
といふうに面倒くささが増幅していく。
さらに、そいつらが蓄積していくという地獄。
その一人、一人のキャラ説明したいけど
めんどくさいから、観てくださいw
あとエンディングもおもしろかったです。
あのオチがあるから、あんだけamazingな夜も日常の延長でしかない。
偶然なのか、必然なのか。
(偶然)^n = 必然
もっとスコセッシの作品を見よう。

2012年11月22日木曜日

Hello, "NO SNS WORLD"


こんにちわ、もしくはこんばんわ。
大したことないと言えば、そうなんですが
今まで利用していたSNSをすべて停止してみました。
iPhone、PCからアプリ、Bookmarkを無くして一切見てません。

(2012年11月19日以降。)
きっかけはこのblogをふと見かけて。⇒リンク
さらにこのblogも読んで。⇒リンク
Google Readerは止めてません。
だからブログとかNews Siteは引き続き見てます。

最初のSNSはmixiで、そっからTwitter、FB 、4sq、Tumblrと
無制限に増えて行きました。
とくにTwitterはウルトラリアルタイムなので、いつ見ても
FRESHな情報が溢れている。 
実際に会ったことが無い人だって、ある共通の話題でジャムって
その後、現実世界で会うことだってできる。
かたやFBは疎遠なかたから身近な方まで
現在、どういう状況に居るのかが分かったり。
さぞかし便利です。
最新の状況を知らない友達に向かって「アンテナばきばきやなー」
とか言ったりしてました。
いいところもたくさんあるから、全力で利用してたんですけど
でも嫌なところ、メンドクサイところもあるのは事実だし
皆様それに折り合いつけて使っているんだと思います。

前から心の中でうっすーら思ってたことが
やっぱり同様に考えてる人いるんだなと上のブログを読んで思いつつ。
上記のリンク先を仕事場の喫煙所で読んで
帰りの電車で周りの人を観察していると、ほとんどの人が携帯見ていて
だいたいFBかTwitter、もしくはソーシャルゲーム。
そこで色んな歯車がガシっと合ってやめてみようと思い立ちました。
ある種の人体実験への好奇心。 過度の情報依存からの脱却。
欲しい情報を自分で採取する力。

KREVA氏の歌詞を借りて端的に言えばこういうことです。

それでもまた画面見つめて 下手すりゃもう一つ 画面
で 下手すりゃもう一つ 画面
で 見逃しちゃってる 場面

人が生きてる限り、接することの出来る情報量に限界があって
世の中には、ボクが経験したことない音楽、映画、本など
まとまった形を持ったものが持つ「場面」
これが世界にはまだまだたくさんある。
SNSのもたらす個人の「場面」も大好きだけど
今はそのモードじゃない。もっと色んな世界を知りたい。
あと考える時間ね。もう25歳だし。

まー長々書いてみましたが、とりあえず今年中までは、この生活続ける予定。
このブログもほとんど映画レビューみたいになってるけど
もうちょっと色んなこと書いていこうかしら。なんて。
続きは現実社会で。

ー写真解説ー
@Musée Marmottan Monet

2012年11月21日水曜日

イカとクジラ


ジェシー・アイゼンバーク(ソーシャル・ネットワークのザッカーバーグ役ね)
がフォーカスされるきっかけとなった作品。

ある夫婦と子ども2人にまつわる話。
夫婦が離婚することになって、子ども達が共同監護のもと
両親達とどう向き合うかというお話。

タイトルとの意味不明さとはほど遠いきわめて
リアリティの高い作品だと感じました。
この夫婦は2人とも作家なんですけど
子どもに対して誠実といえばそうなんだけど
あまりに正直過ぎて、そのせいで子ども2人が
少し変わった人格を持ってしまう。
とくに性的なものに対して、ものすごいあっぴろげ。
(たとえば、誰々と不倫してたとか。1人の女性に執着するなとか)
弟のほうがひどくて、かなり倒錯した性への目覚め方、接し方をする。
その割に、この弟役の子がかなりかわいくて、それがまたせつない。
鏡に向かって、裸でビール飲んでるところは
「あぁ…」 って思わずいいたくなるぐらい。
あと図書館のカドとロッカー事件ね。(見たら分かる)

んで、ジェシー・アイゼンバークのほうが
ぶっ飛んでいない分、もっと哀しくなる。
ピンク・フロイドの歌を自作の歌だと言ったり
文学に詳しい振りして、実は何にも読んでない文学クソ野郎だったり。
でも、ボクも若いときはこんな風に背伸びして
何でも知ってるふりしてたなーとかレミニスしました。

なんでこの2人が上記で述べたような行動を取ったかと考えると
基本的にはどちらか片方にせよ両親を愛していて
両親の注意をひきつけたい、その一心ゆえの行動だからこそ切ないのである。

ボク自身はそんなこと思ったこと無いから共感とかじゃなかったけど
見る人が見ればすげーハマる。そんな映画。

2012年11月20日火曜日

バス男


邦題が残念なシリーズ。
音楽ではよくある話だけど、映画でもありますね。
原題は「Napoleon Dynamite」
主人公の名前。ではなぜこんなタイトルがついたかというと
主人公の通学手段がバスで、いわゆるnerd(オタク)の恋愛ものっていうだけ。
このタイトルで日本で人気が出ると思えるマーケティング力よ…

舞台がアメリカの高校で、主人公がもう何をやってもダメ。
唯一自分でスキルフルと思っている絵もてんでダメ。
おまけに家も貧乏で車もないから小学生のスクールバスで通学。
お兄さんもチャット野郎で、
そこに加えて自分が栄華を極めた'82年を忘れられない叔父まで
押し掛けてきて、もはや全く何も良いことが無い。
映画の約8割がこの話。コメディなので、チャームさを加えながら。
もう徹底的にダメ過ぎて、見てるこっちが
「もう分かったから…」って言いたくなりました。
特にこの曲が流れるシーン



個人的に結構思い入れある曲なんですけど
この曲ってアメリカの高校の卒業式アンセムになってるということを
本読んで知りました。(歌詞見ると納得)
この映画ではプロムのシーンで流れるんですけど
皆はパートナーとダンスしていて、このときが永遠に続いて欲しい
つまりforever youngでいたいと思っている。
でも主人公にとっては、この地獄がforeverになるのか…
といったような音楽の使い方がおもしろかったです。

この映画を見た誰も忘れられないシーンは本当に最後の最後。
主人公が生徒会選挙の出し物としてダンスを披露するシーン。
正直、このダンスをするきっかけになる話とか
公衆の面前でダンスすることへの苦悩とか一切なく
披露されるんですね。しかも特別かっこいいとかじゃないし。
でもJamiroquaiの曲とあいまって、ただただイケテル!
込み上げる何かがある! かっこいい!
ダサくたって、一生懸命やれば伝わる「何か」
何事も中途半端な自分にカツ入れられました。
タイトルでhesitateしないで、見てみて。

2012年11月18日日曜日

クローサー



聴くシネマ×観るロックに載ってる映画を観る作業を進める一環。
出てる俳優がジュード・ロウ、ジュリア・ロバーツ、
ナタリー・ポートマン、クライヴ・オーウェンというエゲツない豪華さ。
はぁ、分からないでもないけど。。。って感じでした。

2組のカップルが主人公で、上記がペアになってて
ある種スワッピングみたいなことが起こると。
それがねーものすごい展開力で進んでいくw
とくにジュード・ロウとジュリア・ロバーツについては
「お前マジどうすんねん?!」って見ながら、何回か言いました。
同時にそれがこの映画の醍醐味ではあるかな。
人が何考えてるのかを100%理解するのは無理なんですよ。
なんか愛とか恋とか言うても、それをTakeoverすることあるんですよーって。
自分以外の人間は、The others ではなくthe strangers。
なんにせよ、ナタリーポートマンのかわいさがMudererレベルなので
それ見るだけでも見た方がいいかも。

その夜の侍


映画の予告見てて、おもしろそうな雰囲気だったのでサクっと。
と思っていたら、なかなかにヘビーでした。
ていうか今年見た中で一番のクレイジーシットかと思います。
勿論良い意味で。

お話としては、山田孝之と堺雅人の間にまつわる復讐もの。
堺雅人の奥さんが山田孝之がひき逃げたせいで亡くなって
堺雅人が復讐鬼と化し…といったものです。

この2人の演技がとにかく静と動という
対照的な描かれしてて超強烈。
堺雅人が静で、山田孝之が動。
堺雅人はたまーに街で見かけるいわゆる
「ヤバイ」人を見事に演じてると思いました。
フィクションにおける復讐鬼は、激しい感情があらわになると思うんですけど
これは全く逆。ほとんどといっていいほど喋らないし
復讐への感情を言葉では説明せず、彼のよく分からない
基地外としかいいようがない言動で示していく手法はホント好きです。

そして、山田孝之は言わずもがな。
近年の山田孝之の最高沸点じゃないかな。 暴力の権化。
暴力への動機とかが見えないし、理不尽の極み。
このよく分からない暴力の怖さをこれでもかと見せつけられるんですよね。
んで、他の役者だと「そんなことあるかなー?」とか
引っかかると思うんですけど、そこは山田孝之パワー
こいつには誰もかなわないっていう印象を持った時点で勝負あり。
もうその世界観が正と思えてくる。

映画全体でこの2人が会う日までを描き、最後に邂逅すると。
ラストシーンも美しさと暴力を兼ね備えたもので
ぽかーんとしてました。そこで終わりかと思うけど
最後の最後にね。ぶっ飛んだ演出がるんやけど
その解釈をどうとるかとかもオモシロい。

この監督は元々舞台畑の人で、これが1作目とのこと。
もっと見たいですね。
あと安藤さくらが出てくるシーンが
今年一番の悪意全開シーンと認定させていただきます。笑

全部込みでオススメ!

2012年11月11日日曜日

終の信託


周防監督作品なので。
前作の「それでもボクはやってない」を見て、
あまりに衝撃を受け過ぎて
「Shall We Dance ?の監督でしょーえー」 とか
考えてた自分を猛省したことを思い出しながら。
劇場に着くと、若者は誰一人おらず
平均年齢50歳~60歳くらいかな?とくに夫婦が多かったです。
まさに近々「終の信託」をするのかもしれませんね…
前置きが長くなりましたが、良かったです。
というか、色々考えさせられるヤーツでした。

あらすじは非常に単純で
草刈民代が医師で、役所広司が患者で終末医療に関するお話。
前半は年を重ねた未婚女性の抱える問題と
役所広司と家族の関係の説明で、
前者について、とくに共感とかはなかったけど
前半の30分間くらいかな?
草刈民代の体当たり演技が矢継ぎ早に出てきて
そこはずっとマキシマムリスペクトしてました。
これ見るだけでも行く価値あんじゃねって思います。
でも見終わったあと、もっと前半削れんじゃね!って思いましたが
監督は草刈民代の旦那だし見せたかったのかもね。
んで、後半にかけて役所広司が瀕死の状態になって
草刈民代が尊厳死させると。。
このシーンもかなりショッキングなんですよね…
んで、本映画の最大の山場。
大沢たかお扮する検事と草刈民代のバトル!
これたぶん30分ちかくあるんですけど
考えながら見るから全然飽きないし
大沢たかおの検事としての手段の汚さはあるけど
言ってることまぁまぁ正論やし
でも、草刈民代の医師的な見解もかなり妥当やし…
ってやってるうちに最後はあっけない
日本の司法の汚いやり口で終わるというね。
舞台となってるのが1997年で
日本でまだまだ尊厳死という考え方が
普及してない頃というのもありますが、
(最高裁での判例は出てるけどね)
今の時代になっても
この線引きへの明確な回答っていうのは出ていないように思います。
基本的には本人の同意、もしくは家族の同意が大前提だけど
いざ、そのときになって、過去に示した本人の意思が
そのときの感情とは思えない。
なぜなら人間誰しも死ぬ直前になったら、もっと生きたいと思うと
ボクは考えているからです。(エンディングノート見て以来)
しかも、家族の判断っていうけど
んなもん医師の誘導尋問的な要素は少なからず含まれているし。
その点が最後のバトルで死ぬほど議論される。
かなりデリケートな問題だけど、人間は必ず「終」を迎えるし
それを家族、それとも違う誰かに「信託」するのか。もしくは自分で決めるのか。
人生のどこかのタイミングで必ず考える話なので見て損はないと思います。

予告見たらラブストーリーとかなってますけど
そんなに甘いもんじゃねーよ、人間の生死。

突破口


井筒監督推薦のケイパーもの。
しびれる!映画でした。
監督はドン・シーゲルという人で、「ダーティー・ハリー」の監督。
この映画も前回紹介したゲッタウェイ同じく
銀行強盗して、そっからどうやって逃げ切るか。
もしくは迎え撃つかというお話。
ゲッタウェイよりも全体的にかなりタイトな印象でした。
いかんせん主役のウォルター・マッソーが渋い…ダンディズム全開。
いかに先を読み合うかっていうゲームが練られてる。
最初はうかつだなーバカだなーとか思っていたら
ウワーやられたっていう展開がたくさんあるし、
今見ても古くさいっていう印象はないですね。
最後の終わり方が、もう終わり?!
もっと見たかった!ってなったので、良い映画だと思います。

2012年11月8日木曜日

黄金を抱いて翔べ


井筒監督最新作。
かなりオモシロかったです。
いわゆるケイパーもの(金庫やぶりの映画)で
妻夫木、浅野忠信、桐谷健太が中心となって
大阪の銀行に強盗を仕掛けるという話です。
それに付随して色々サイドストーリーがあるような構成。
なにが良かったって、映画全体ににじみ出る男らしさ!

特に浅野忠信はピじゃなかったなーこの映画に出てくる人間で一番好きでした。
主役の妻夫木君は中盤ぐらいまで、もっと適役おったやろーとか
思ってましたが、ラスト見たときに
「これは妻夫木!」って感じで納得しました。
実際に銀行強盗を起こすまでは
前作のヒーローショーのノリとかなり似ているので
あのヒリヒリさも最高だし、ところどころで
盛り上がりポイント用意されてるから
前のときに感じた無駄に長いなーと思うところなく楽しめました。
(ただ、え?って思うようなところも少なからずあった)
んで、このタメがあるから 肝心の強盗シーンが物凄くオモシロく見える!
リアリズムあるかと問われれば、それには首をかしげざるを得ないけど
圧倒的な勢いと同時にスリルがあるから超楽しめました。
この時代に、こんな方法で銀行強盗するだなんて。
Pow Pow!(ガンフィンガーしながら)
これは映画館で見るべき映画。

2012年11月4日日曜日

園子温、非道のオールナイト祭り

11月3日は色んなイベントあったけど
このタイミングでしか一生ない!と思ってテアトル新宿で見てきました。
上映内容は「自転車吐息」「うつしみ」「奇妙なサーカス」
それに加えて、園子温監督、松江哲明監督、ライターのモルモット吉田氏による
トークショーも一緒にありました。

それでは各作品の感想をば。

①自転車吐息
園監督がつくる青春映画の原点だなーと思いました。
正直、おもしろいかと言われれば微妙…
1980年代には、この形、内容がFRESHだったんだろうけど
そこまで共感できなかったかな。
冒頭がナレーションで始まって、これでもかと繰り返すところとかは
今の作品にも通じるところがあると思います。
あとフィルムの質感を初めて体感しました。
ボクが映画館で映画を見始めたときには
すでにデジタルが主流だったし、見たことがなかったので
そういう意味でも貴重な経験でした。
個人的には、この映画にまつわる話のほうがオモシロいので
「非道に生きる」を読む方をお勧めしたいですw

②うつしみ


上の動画でフルで見れます。
愛知県の美術センター(?)が
身体をテーマにした映画の作成を依頼してできた作品。
アラーキーと舞踏家の麿赤児、ファッションデザイナーの荒川眞一郎が
ドキュメント形式で出演してて、それに加えて
ひとつ物語が存在するという相当狂った構造の映画。
その物語っていうのがオモシロかったす。
愛のむき出しの要素が、もっとむき出しで出ている感じ。
園監督曰く、これを作っているときはTVやAVで
テロップが流行り始めたときで、映画も負けらんねー!てことで
テロップが多用されています。「監督失格」みたいな感じ。
カメラもハンディカムになってて、ものすごい画面揺れるけど
その感じも映画の内容と合ってると思いました。
時間ある人は見てみて。

③奇妙なサーカス


近年の園子温監督作品にもっとも近くて
この日見た中では一番好きでした。
「恋の罪」好きな人は、間違いなく好きだと思います。
女性目線の映画で近親相姦とか諸々ていうまぁまぁキツめな内容ですが。。
コントラバス、チェロを入れるケースが物語上、
重要な役目を果たすんですけど
街中で見たら、震え上がるレベルになりましたw
夢と現実が激しくクロスオーバーするので
一体どれが現実?って考えるのも楽しい。
(結局一番酷いのが現実だったりするけど)
なによりもいしだ壱成!最初出てきたときは
気持ちわりーなーと思ったけど、ラストは凄まじい!
よく分からないけど、カタルシスを感じました。

以上!

2012年11月3日土曜日

アメリカン・グラフィティ


クラッシック見ていこうやシリーズ。
好きでした。
原題が"Where were you in '62?"で
1962年のアメリカの地方都市を舞台とした青春群像もの。
監督がジョージ・ルーカスで、製作がフランシス・フォード・コッポラ。
という今では考えられない布陣。
ここ1、2年アメリカ青春ものとかラブストーリーとか
見るようになってますが、ティーンを主人公にしたもので
この作品の影響無しに作られたものは皆無ではないでしょうか。

自分が高校生のときに、ここまで悩んでたかと言われれば全然で
ほぼ思考停止で大学になんとなく入ってしまったので
その頃の自分と重ね合わせるというよりは
「悩む」っていうことにフォーカスして見てました。
あとボクはずっと大阪にいて
地方都市の抱えるジレンマみたいなのを感じたことがないから
そこも特に感情移入する訳ではなかったかな。
でも、1つ1つのシーンでは「あぁ、あるある。」ってところも。
特にファラオ団のくだりは、品の良くない中学で育った
ボクにとっては、かなりfeelしましたw
取り巻きで見てたクチだけど。

あと、この映画は音楽がかなりfeatureされてて
そのシーンに合わせた内容で、曲がチョイスされています。
字幕で歌詞の和訳もでるし、その辺も楽しめました。 

2012年10月31日水曜日

ザ・レイド


ハスラー当たったし、その前に先輩から評判を聞いていたので。
なんか客層のillnessがすごかった。

ボクは楽しんで見ました。
諸手上げてサイコー!ってなる訳じゃないけど
アクション映画としてハラハラしたし、フュー!
って言いたくなるシーンもありました。
アジョシが計算されつくされたアクションだとすれば
この映画はアクション映画としての初期衝動が盛り込まれてるなー
と思いました。ここは各人で好みで別れるかと思います。
少なくともボクは血がしっかり出るし、
格闘シーンの数々は映画館で見て良かったと
思えるようなところがたくさんありました。
でも、肝心のストーリーが。。。
設定自体は物凄くオモシロくて、
マフィアの巣窟となっているマンションに
インドネシアのSWAT的なものが突入するというもの。
閉鎖された空間でチェイスしたりされたりするので
序盤は、その設定でかなりアガリマシタ。
でも中盤から後半にかけて、何のために戦ってるのか分からなくなるんですね。
逃げんの?ボスぶっ倒したいの?っていう。
まー裏切ったり、裏切られたりがあるんですけど
そこのストーリーも取って付けた感が否めない。
あと最後の収束の仕方もうーん。。。っていう。
これでもっとストーリーしっかりしてたら
かなり最高の映画になった気がします。
ポイントポイントでは上がるところあるし。

アクション好きならオススメす。

2012年10月30日火曜日

ゲッタウェイ


いわゆるクラシックと呼ばれるもの強化月間。
スゲーおもしろかったです。
新しいものをついつい見がちですけど
こういうDigはやってなかいとね。

銀行強盗を引き受けて、そこからの逃亡劇をめぐる物語。
 主演はスティーブ・マックイーン。
いやーこの人は本気でかっこいいと思いました。
服の着こなしから身のこなしまで。ホント「今更かい!」って話ですが…
(銀行強盗で使う防弾チョッキはダサいけどw)
特に銃を散弾銃に切り替えてからの勢いは最高。
一応ケイパーもの(チームで金庫破り)に扱われてるけど
そこのトリックは今見るとチープでしょう。
でも。この話の大部分を占める追手から逃げるパートが
超スリリングなので見てて飽きない。
個人的にはゴミ収集車のシーンがピークでした。
それに加えて、夫婦で強盗して逃亡してるので
恋愛要素も含まれているのです。裏切ったり、裏切られたり。

あとサイドストーリー的にある獣医夫婦と
銀行強盗のメンバーのシーンも好きです。
とくに奥さんのアホ感はたまりません。

THE 映画って感じで楽しかったです。


2012年10月28日日曜日

ニューヨーク1997


クラシックを見返していこうぜキャンペーン。

1981年に公開された映画なんすけど
犯罪大国となった1997年のアメリカNYが舞台。
なんとNY全体を塀で囲んで刑務所にしてるんですね。
そこへ飛行機事故で大統領が放り込まれて人質となる。
24時間以内に助ければ恩赦が貰えることを条件に
通称"スネーク" が活躍するというもの。

この当時の最大限の未来感を出してたんだろなーと思うし
今見たらチープだなぁとバカにする人もいるかもしれないけど
なにか趣深いとボクは思いました。画面の色調とかかな。
質感はブレードランナーに限りなく近い印象でした。
ストーリーは奪還もので、なんと敵役がアイザック・ヘイズw
ブラックミュージック好きはニヤリとするし
しかも、この映画で出てくるの黒人が彼一人なのも
色々勘ぐっちゃうところではある。
あと、スネーク役のカート・ラッセルね!
ただ者ではない感出まくり。

この映画に影響を受けて生まれたものは
数知れずということで見といて損無し。
特にメタルギアとかバイオハザード好きな人は好きだよ。絶対。

ランボー 怒りの脱出


アイロンしながら見る映画。すなわちアイロン映画。
ってことでランボー2を見ました。

ベトナム戦争は終戦してるが、まだ捕虜はいるのかどうかを
チェックしにいく仕事を任せられたランボー
あくまで"チェック"するだけで、助けなくていいという
指揮官の命令を無視し、捕虜を救出するというお話。
ジェットコースター型映画なので
「ランボー強ぇ!爆発イエーイ!」としかならないw
CGが無い時代にこれだけボカボカ爆発してるのがスゲーな
と思いました。
あとはシビれるシーンがいくつかあって
なかでも、電気ショックから逃れて指揮官に
「お前の命を奪いにいく」と無線で言うところは
ランボーかっけーな!ってなりました。

この映画で"expendables"というセリフがすでに出てて
スタローンは常にそういった考えを持っていたのかなーとか
もの思いに耽る日曜日の午後。