昨年の”Blue In
Beats”に続く新曲。変わらないことをプラスにしていくヒップホップのアティチュードを端的に示していてシンプルに「かっこいい…」という言葉しか出ない。GQのインタビューを読む限り、BADSAIのクオリティーコントロールに対する姿勢が相当厳しそうだし、実際出てくるものが全部かっこいいのだからたまらない。3人ともかっこいいが今回はBADSAIの最初のバースが優勝。日本のヒップホップここにあり。アルバム期待大!
SMTM11はまだ終わらせへんで〜的なTeamslayによるEP。毎年イケてるビートがあれば大人数でマイクリレーするカルチャーがあるけど、今年はそれをEPとしてまとめてきた。誰のアイデアかわからないけど本当に最高だった…特に落選したメンバーのロストバースをきっちり作品で残す漢気よ。。。今回のSMTMで嫌だったのはマイクセレクションを筆頭に努力を踏みにじる系の演出の復活で、そういたネガティブさをEPで帳消しにしたJay
Park とSlomにビガッ! 人選も興味深くて”WE
REMIX”は広い世代とジャンルのラッパーで彩り、”Blue Check
REMIX”では若手中心に攻め攻め。今回は他チームの参加も目立ち、Team
QiolinのQM、NSW YOONが締めのバースを派手に決めてたり、Team
Grillzのメンバーは”Blue
Check”でカマしまくりだしでSMTM11を締めるにふさわしい仕上がりだった。そして、やっぱりここにDON
MALIKがいないことが全てを物語っている気がするのです…原曲の”Blue
Check”のラストバースでも分かるようにJay
Parkは誰よりもヒップホップに対してアツい思いを持っているゆえに今回の一連の空気を払拭したい気持ちを勝手に感じた。Youtubeだと雑だけど日本語訳も見れた。 そしてDingoで”Blue
Check
REMIX”のビデオもきたー!!全員バイブス高くて見てるだけでニヤニヤしてしまうし、ラストとどめを指すJay
Parkのラストバース。インスタで「Fck the charts!! You hear us in the
streets!」 とポストしている。
これから人気が出ると思っている、いや出てほしいラッパーKOREANGROOVEの新作EP。ロートーンで淡々とラップするスタイルだけど今回はいろんなタイプのビートでラップしているので聞きやすい。オーセンティックなスタイルとポップさのバランスがちょうどいいと思う。好きな曲は決意を語るエレピ、バイオリンが美しいラストトラック”Hold
Me Tight”
プレイリストで見つけたけど詳細一切不明のビートメイカーのEP。(名前に¥が入っている上にキーワードがすべて平凡なので何も引っ掛からなかった)内容はめっちゃ好きだった。マイルスを思わせる泣きのトランペットのループが印象的な”Chill”はOwenのしっとりしたラップがかっこいいし、アップカミングなGongGongGoo009がスピットしまくり他のトラックもクオリティが高い。好きな曲は”Wrath”
It ain’t for the money still.
セールしていたので3枚ともレコードでゲトった。Kehlaniは作品を経るごとにどんどん洗練されて行っている印象で最新作『blue
water
road』とかはSADEっぽいバイブスさえ感じた。今作はその過程にありながらR&B道にある好きな作品。Tom
Mischは内容はもちろんだけどジャケ的にレコードで持っておきたく買った。一番ヤバかったのはChildren
of
Zeus『Balance』。UKはドリルを中心にハードコアなシーンが注目されているけど、2MCの彼らはメロウな歌とラップで名を馳せている。ネオソウルの系譜にありながら2020年代にアップデートされたサウンドとラップ、歌が素敵にマリアージュ。他は1LPだったこともあり、これだけ2LPだったこともあり出音がめちゃくちゃ良くてテンション上がった。
ralph,
C.O.S.Aを招いて曲をリリースしている謎のビートメイカーのアルバムが出た。ジャケがまず最高だし、2010年代を思わせるサンプリングベースのエレクトロニカな音楽が懐かしく感じた。(ドラムが比較的抑えめ?フィルターがかかっているから?)C.O.S.Aとの曲はASAP
Rocky、Skeptaの”Praise The
Lord”サンプリングで四つ打ちなところが好きだった。有名なトラックメイカーの変名な気がするねんけどな〜KMとか。勘ぐりすぎ?
On & On: Jose James Sings Badu by Jose James
1月に最も期待していたアルバム。Jose
JamesのBaduカバーアルバムとか最高に決まっているし、実際聞いてみたらやっぱり最&高。こういうカバーってバンドのライブを見に行ったに聞けるご褒美曲的な要素が強いと思っていて、それがまとまって聞けてしかもBaduなのでめっちゃ良かった。 『On&On』丸ごとカバーかと思いきや、他のアルバム含めて彼がセレクトしてカバーしている。ジャズバンドでのカバーしやすさかと思いきやMadlibがプロデュースした”The
Healer”のような攻めた選曲もあって興味深い。アルバムの構成を見ると『Mama's
gun』3曲が最多。元の”Bag
lady”には"Xxplosive"と同ネタの泣きのギターリフが入っているんだけど、今回のカバーにはなし。クリアランスの問題なのか少し残念だった。 どのアルバムもそれぞれ思い入れあるけど、リアルタイムで聞いていたNew
Amerykah
Part1&Part2は特に好きでアートワーク、サウンド含め、自分の好きなものを規定しているような気がしている。なので好きな曲は”Gone
baby, Don’t be long” インタビューが Rolling Stoneから出てた。Jose JamesによるBadu批評という感じでめちゃくちゃオモシロかった。https://rollingstonejapan.com/articles/detail/38992
Anything In Return(Instrumental) by Toro Y Moi
リリースから10年(!)を記念してインストがリリースされたので聞いてみたら、これはマジでぶっとんだ…!!ボーカル入りと全く違う聞こえ方していてこのアルバムの楽曲の強度というかインストアルバムだったのでは?と思うくらいに複雑なサウンドテクスチャーがそこにある。 ボーカル入りだと全然気付けていなかった良さが信じられないくらいに入っていて感動した。Toro y Moiのインスタのポストによると、初めてスタジオで作ったアルバムであり、西海岸でのクラブシーンでの体験をもとにデカい音で鳴らすことを意識していたそう。また単なるジャムセッションにならないように配慮していたとも言っている。実際、バンドサウンドとダンスミュージックのいいとこ取りの素晴らしいバランスで仕上がっていると思う。
SMTM11で名を大きく上げた3人の韓国のドリルシーンを代表するラッパー。フロウが全員最高過ぎてめちゃくちゃ好き。。。3人とも声色が特徴的できちんとそれに合うようなビートでラップしていて若いのに聡明だなと思う。韓国はNY、UKよりも早くドリルの多様化が進んでおり、大喜利が上手いというか、1つのテーマや流行が発生したときにそれをアップデート、進化させていくのが本当に早いしかっこいい。ドリルは音楽の背景を考えるといわゆるストリートと不可分なのは理解しているが音楽として捉えれば楽しめるはず。2023年も言っていきたい、GANG GANG GANG! あとこの曲きっかけでFreeky BangとNOELによるビーフが開戦。(大元はBLASEだが…)NOELは素行が悪すぎて全然味方できないけどラップうまー!
いつだってクオリティが高いKorean R&B。日本だとSoulflex周りなどはブラックミュージックオリエンテッドなメロウを追求していると思うけど、韓国はその追求を続けてきた歴史があり、歌もビートもその点でのクオリティは本当に高い。もともとBrown Eyed Soulというグループに所属していたNaul。今作は2018年以来のリリースらしい。ド直球シティポップの”1985”もいいけど、90sバイブス溢れるミッドチューンの”I still Love you”が好きだった。MVにも登場するアナログシンセによる後半のソロが激渋い。。。どの曲も今の基準だとめっちゃ長いんだけど、展開がきっちり用意されたマチュアっぷりはベテランだからこそ。
年末のSMTM11 Finalから。大方の予想どおりのLee Young
Ji優勝。勝ち負けはもちろん大事だが、ここまでくるとどんな曲をFinalで披露するかが各アーティストのアティチュードとしては重要でHIPHOP的にはBLASEが圧倒的正解。残りはポップサイドに振れてしまった。もともと9以降のFinalはアンセム感、エンディング感強めの曲が多いので必然的にPOPになるとはいえ、今回はR.Teeとそれを支持するオーディエンスにより、結果どの回よりもPOPなエンディングとあいなった。日本国内だとK-HIPHOPとK-POPは混同して語られがちだが、やはり別物だということが今回よく分かった。 BLASEは2曲とも素晴らしく、特にLILBOI、DJ
Sprayを招いた”DIAMONDS”は初期カニエを彷彿とさせるトラック、2人のタイトなラップ、スクラッチという、これをFinalで見せるBLASEのヒップホップ愛に胸を打たれた。SMTM11については改めて文章にしたい。
Empire State Motel - EP/ QM & Fredi Casso
SMTMで結果を出したQMとビートメイカーFredi Casso
によるEP。QMはリリックが素晴らしいことをSMTM11で思い知ったので、そこを知りたいけど、韓国語が分からないからそれが知りたい… Fredi
Cassoは近年のAlchemistのようにドラムレスもしくはドラムのアタックが弱いサンプリングサウンドを最近提示しているビートメイカー。(本作にも参加しているDSELとリリースしたアルバムはモロにバッファローサウンドへのオマージュだった。)今回もざらついた質感のサンプリングサウンドの上でQMがスピットしておりかっこいい。Wooが参加してるのが意外。タイトル作の“Empire
State Motel”がドラムの鳴り含めて一番好きだった。QMはライブもクソやばい。レーベルとしての活動に終止符を打つVMCにBig shout out.
Live: Cookin' with Blue Note at Montreux by Donald Byrd
Giles PetersonがBlue
noteに問い合わせしてマスターが見つかってBirdの誕生日にリリースされた。このシリーズのMarlena
Shawのレコードを持っていて好きな1枚なので期待大で聞いたら”Black byrd”, ”You've
got it bad
girl”の冒頭2曲で持ってかれた。10人編成の大所帯ジャズファンクバンドでリッチなサウンド。こんな昔の録音なのにとても綺麗で臨場感のある音で驚いた。
Parade/ Prince & The Revolution
年末のセールでレコードで買った。最近はこういうマスターピースを手堅く買ってレコードで楽しむことが多い。“Kiss”はいつ聞いても新鮮でミニマルファンクの最高峰だと思う。あと”Somtimes
It Snows in April”が歳をとるごとに良さが分かってきた感じがある。
Real Talk by Fabolous
これも年末のセールでレコードで買った。基本状態確認なしで買うのだけど、これはSide
A
のチリノイズがきつくてしょぼん。それはともかく2000年代のHIPHOPの勢いを感じる作品でとても好きだった。The
Neptunes, Just Blaze, Scott Storch が入っている時点でもう最高。DJ
Khaledがプロデュースした曲も入っており、”We the best
music!!!”と連呼するただのコミュ力高いおじさん、というわけではないのだなと知った。 AK-69が一時期連呼していた「イエェメン」はFabolousが元ネタだと今更知った。最終的に2014年にコラボしているのだから、AK-69の実行力は馬鹿にできない。そしてついにCOSAとAK-69が邂逅。¥BにCOSAから秋波送っているのはSNSで感じてたけどAK-69とDJ
RYOWがバイパスになるなんて!肝心の曲はカラシニコフ名義で王道って感じ。先日のライブではMaRIも含めてBUSSIN’のREMIXも披露されたみたいだし、こういう意味のあるユニティは歓迎したい。
Inner Ocean by さらさ
Flip side planet
で知り衝撃を受けて即チェックした。この音楽が日本のポップスの中心にあれば未来は暗くないのにと思うほど最高だった。声質が特徴的で耳を惹くしリリックも面白い。1曲目の”朝”にある「いい感じでいたい」という口語の日本語の面白さが詰まっている。 Kota Matsukawaという方がほとんどのビートをプロデュースしているようで、サウンドはもう間違いなく1級品。アルバムとしての完成度がめちゃくちゃ高く聞き終わりの満足感がハンパない。アルバムの中にボーナストラックではなく合間にREMIXを入れてくる、しかもそれがMitsu
the beats, Olive
Oilだなんて…センスしかない。ネオソウル的なアプローチは過去にも多くのアーティストが行ってきたことだけど、このナチュラルさはとても好みだった。
Snow Dome by hyunis1000, caroline
今年も新譜を追う生活が始まるわけだが年始最初のアルバムはこれ。carolineはビートメイカーで2人のタッグアルバムとなる。昨年のフルアルバムも良くて今作もまた良し。力感なく軽やかなフローとデザイン性の高いサウンドの相性が素晴らしい。feat
には前作から引き続きCampanella, 神戸コネクションでandy toy
storeが脇を固めてていい感じ。 ヒップホップに限らず色んなジャンルの音楽をインプットしてるからのラップとサウンドであり、ヒップホップの雑食性を体現していてかっこいいと思う。好きな曲は”Kobe
dope”
[AOMIX] EP.25 by Sina Hill
韓国のヒップホップレーベルであるAOMGが定期的にアップロードしているミックスシリーズ。洒落てる場所なのはさることながら、毎回選曲がツボすぎてテレビでよく流している。(プロモーションを含むためCMが入らないのがいい) 今回は2000年台ハウス、ブレイクビーツなミックスでめちゃくちゃ良かった。”The
Revolution Will Not Be Televised” から始まり、Talc, Grooveman spot, Julien
Dyne, Moodyman, Theo Palishあたりがかかって懐かしい気持ちに。AOMG
mix聞いていると毎回自分達がDJしていたころのノリを思い出す。ヒップホップを軸にどういう風に横展開していくのか皆が考えていたし、このノリに共感できるのも韓国ヒップホップが好きな理由の一つかもしれない。