2023年1月31日火曜日

とんこつQ&A

 

とんこつQ&A/今村夏子

 今村夏子を昨年から読み始めてついに最新作まで追いついた。本著もまた日常に潜む不穏性が際立つ小説でオモシロかった。毎回書いているけどよくこんなこと思いつくなっていう話ばかりだし独特のシュールさは著者の本でしか楽しめないので今後もリリースし続けてほしい。

 全部で4つの短編が入っていて、その中の一つがタイトル作。このタイトル見ただけで何事?となるし本屋で見たら絶対手に取りたくなるキャッチーさがある。家族で経営する老舗の中華料理屋で女性がバイトするだけの話なんだけど、めちゃくちゃオモシロい。テーマはAIや機械学習。お客さんとのやりとりが苦手な人が事前にやりとりをQA形式にしてメモを見ながら受け答えする。ここまでは理解できるのだけど、そこへもう1人のバイトが入ってくる。その彼女はまるで空っぽのロボットのような存在で自分で考えて動く素振りを見せず、ただ指示されたことは完璧にこなす。そんなQuestionに対して特定のAnswerを返すbotのような人間がいたら?そこからさらに進んでbotが応答だけではなく感情を込められるようになったら?そんなことを中華料理屋のバイトを通じて考えさせてくる著者の発想の豊かさにやられた。さらにレイヤーとしてヤングケアラーの話も用意されていて社会との接続点もきっちり用意されているのだから脱帽するしかなかった。

 また残りの3つの短編も当然オモシロくていずれも「善意と背徳感」がテーマになっている。良かれと思ってやることが生む地獄の帰結、その後ろめたさを抱えた人の話ばかり。そういった人間たちの悲喜こもごもは当人にとっては地獄だが側から見ると滑稽に思えてしまう。なかでも「良夫婦」は関係ない他人にいっちょがみする割に目の前の現実には対処できない皮肉がたっぷりと込められており最近のSNSのムードを反映しているように感じた。次の作品は久しぶりに長編読みたい。

2023年1月24日火曜日

じゃむパンの日

 

じゃむパンの日/赤染晶子

 方々で話題になっていたのでbbbで買って読んだ。芥川賞を受賞した小説家だというのは読み終わるまで知らず、シンプルにエッセイとして楽しめた。しかも2017年に若くしてお亡くなりになっていることを知り新しい作品は読めないのかと思うと寂しくなった。

 本著はエッセイ集で京都出身の彼女の身の回りのことが朴訥に語られている。特徴的なのは言い切りっぷりと一文の短さだと思う。子どもの口調のような短文、言い切りの連発で最初は面食らったけど、独特のリズムがあり、読み始めてすぐにそれが癖になり途中からはすっかり夢中になっていた。なおかつギャグセンスもハンパなくて声出して笑った箇所が何箇所もあった。本で声出して思わず笑うことはほとんどないけど、リズムとセンスの掛け算でオモシロさが爆発していると思う。ずっとふざけているのかマジなのか分からないテンションでエッセイが続き、ラストを飾る翻訳家の岸本佐知子との交換日記は2人が楽しくふざけている様が読めて楽しかった。小説も読んでみようと思う。

2023年1月23日月曜日

2023年1月 第3週

ALLDAY by 舐達麻

 昨年の”Blue In Beats”に続く新曲。変わらないことをプラスにしていくヒップホップのアティチュードを端的に示していてシンプルに「かっこいい…」という言葉しか出ない。GQのインタビューを読む限り、BADSAIのクオリティーコントロールに対する姿勢が相当厳しそうだし、実際出てくるものが全部かっこいいのだからたまらない。3人ともかっこいいが今回はBADSAIの最初のバースが優勝。日本のヒップホップここにあり。アルバム期待大!

Energy by HAAN X SHIRT

 最近Korean HIPHOP, R&Bを紹介するナイスなサイトを見つけてRSSで購読している。そこでGemsとして紹介されていたのはSHIRTというシンガー。完全にUnderratedだと思う。HAANというビートメイカーとのEPはかなりポップな仕上がりなものの好みだった。聞き始めたタイミングでシングルがリリースされて、そちらの方が断然好みなサウンド。歌めちゃくちゃ上手くてビートがかっこよくても、そこまで有名になりきれない韓国の層の厚さを感じた。
 あと数珠繋ぎでHAANのインストのEPも聞いたけど、めちゃくちゃウェルメイド。4曲入りでどれもゆったりしていて心地よいし1曲が長いのに全然飽きない。BGMにおすすめ。

SLAY HOUSE REMIX by Jay Park & Slom

 SMTM11はまだ終わらせへんで〜的なTeamslayによるEP。毎年イケてるビートがあれば大人数でマイクリレーするカルチャーがあるけど、今年はそれをEPとしてまとめてきた。誰のアイデアかわからないけど本当に最高だった…特に落選したメンバーのロストバースをきっちり作品で残す漢気よ。。。今回のSMTMで嫌だったのはマイクセレクションを筆頭に努力を踏みにじる系の演出の復活で、そういたネガティブさをEPで帳消しにしたJay Park とSlomにビガッ!
 人選も興味深くて”WE REMIX”は広い世代とジャンルのラッパーで彩り、”Blue Check REMIX”では若手中心に攻め攻め。今回は他チームの参加も目立ち、Team QiolinのQM、NSW YOONが締めのバースを派手に決めてたり、Team Grillzのメンバーは”Blue Check”でカマしまくりだしでSMTM11を締めるにふさわしい仕上がりだった。そして、やっぱりここにDON MALIKがいないことが全てを物語っている気がするのです…原曲の”Blue Check”のラストバースでも分かるようにJay Parkは誰よりもヒップホップに対してアツい思いを持っているゆえに今回の一連の空気を払拭したい気持ちを勝手に感じた。Youtubeだと雑だけど日本語訳も見れた。
 そしてDingoで”Blue Check REMIX”のビデオもきたー!!全員バイブス高くて見てるだけでニヤニヤしてしまうし、ラストとどめを指すJay Parkのラストバース。インスタで「Fck the charts!! You hear us in the streets!」 とポストしている。

 冷静に考えるとJYPをやめて韓国のヒップホップカルチャーを「リアル」なものであるとして、ここまで引っ張ってきたのに、そこへYGのプロデューサーが来て時代を逆戻りさせるかのようにSMTMをポップスで埋め尽くされたら怒るのも当たり前かと思った。とにかく今回の一連の流れは、エンターテイナー、策略家、ヒップホップアクティビストとしてのJay Parkにあらためて敬意を抱いた次第です。。。

WHITE GROOVE by KOREANGROOVE

 これから人気が出ると思っている、いや出てほしいラッパーKOREANGROOVEの新作EP。ロートーンで淡々とラップするスタイルだけど今回はいろんなタイプのビートでラップしているので聞きやすい。オーセンティックなスタイルとポップさのバランスがちょうどいいと思う。好きな曲は決意を語るエレピ、バイオリンが美しいラストトラック”Hold Me Tight”

Ground Zero Feat. punchnello by DJ Wegun

 来週AOMGツアーの東京場所に行くのだけども、ツアーDJを務めるDJ Wegunとツアーにエントリーしていないpunchnelloによるシングル。こんだけ大レーベルなのにローカルのクラブでのパフォーマンスをMVにしているのがかっこいいし、punchnelloの最近のハードモードとビートの相性は最高!日本近いねんからCoogieも含めて来てくれや。

Underground Film by MO¥P

 プレイリストで見つけたけど詳細一切不明のビートメイカーのEP。(名前に¥が入っている上にキーワードがすべて平凡なので何も引っ掛からなかった)内容はめっちゃ好きだった。マイルスを思わせる泣きのトランペットのループが印象的な”Chill”はOwenのしっとりしたラップがかっこいいし、アップカミングなGongGongGoo009がスピットしまくり他のトラックもクオリティが高い。好きな曲は”Wrath” It ain’t for the money still.

 セールしていたので3枚ともレコードでゲトった。Kehlaniは作品を経るごとにどんどん洗練されて行っている印象で最新作『blue water road』とかはSADEっぽいバイブスさえ感じた。今作はその過程にありながらR&B道にある好きな作品。Tom Mischは内容はもちろんだけどジャケ的にレコードで持っておきたく買った。一番ヤバかったのはChildren of Zeus『Balance』。UKはドリルを中心にハードコアなシーンが注目されているけど、2MCの彼らはメロウな歌とラップで名を馳せている。ネオソウルの系譜にありながら2020年代にアップデートされたサウンドとラップ、歌が素敵にマリアージュ。他は1LPだったこともあり、これだけ2LPだったこともあり出音がめちゃくちゃ良くてテンション上がった。

 これらは信頼のAlffo recordsにてレコードゲット。Steve Lacyの2ndは言わずもがなで2020年代を振り返る際に必ず名前は出るだろうマスターピース。レコードで所持しておきたかった。あとはDijonのデビューアルバム。以前に出ていたEPを聞いて好きになって満を持してのアルバムはしっとり感満載で最高。声質含めてFrank Oceanっぽさがあって、もう少しロッキッシュ。人の声やルームノイズなどが各曲に含まれているのでRawな雰囲気がふんだんにありレコードで聞くのが楽しい。

Haven by Big Animal Theory

ralph, C.O.S.Aを招いて曲をリリースしている謎のビートメイカーのアルバムが出た。ジャケがまず最高だし、2010年代を思わせるサンプリングベースのエレクトロニカな音楽が懐かしく感じた。(ドラムが比較的抑えめ?フィルターがかかっているから?)C.O.S.Aとの曲はASAP Rocky、Skeptaの”Praise The Lord”サンプリングで四つ打ちなところが好きだった。有名なトラックメイカーの変名な気がするねんけどな〜KMとか。勘ぐりすぎ?

On & On: Jose James Sings Badu by Jose James

1月に最も期待していたアルバム。Jose JamesのBaduカバーアルバムとか最高に決まっているし、実際聞いてみたらやっぱり最&高。こういうカバーってバンドのライブを見に行ったに聞けるご褒美曲的な要素が強いと思っていて、それがまとまって聞けてしかもBaduなのでめっちゃ良かった。
 『On&On』丸ごとカバーかと思いきや、他のアルバム含めて彼がセレクトしてカバーしている。ジャズバンドでのカバーしやすさかと思いきやMadlibがプロデュースした”The Healer”のような攻めた選曲もあって興味深い。アルバムの構成を見ると『Mama's gun』3曲が最多。元の”Bag lady”には"Xxplosive"と同ネタの泣きのギターリフが入っているんだけど、今回のカバーにはなし。クリアランスの問題なのか少し残念だった。
 どのアルバムもそれぞれ思い入れあるけど、リアルタイムで聞いていたNew Amerykah Part1&Part2は特に好きでアートワーク、サウンド含め、自分の好きなものを規定しているような気がしている。なので好きな曲は”Gone baby, Don’t be long”
 インタビューが Rolling Stoneから出てた。
Jose JamesによるBadu批評という感じでめちゃくちゃオモシロかった。https://rollingstonejapan.com/articles/detail/38992

Anything In Return(Instrumental) by Toro Y Moi

 リリースから10年(!)を記念してインストがリリースされたので聞いてみたら、これはマジでぶっとんだ…!!ボーカル入りと全く違う聞こえ方していてこのアルバムの楽曲の強度というかインストアルバムだったのでは?と思うくらいに複雑なサウンドテクスチャーがそこにある。
 ボーカル入りだと全然気付けていなかった良さが信じられないくらいに入っていて感動した。Toro y Moiのインスタのポストによると、初めてスタジオで作ったアルバムであり、西海岸でのクラブシーンでの体験をもとにデカい音で鳴らすことを意識していたそう。また単なるジャムセッションにならないように配慮していたとも言っている。実際、バンドサウンドとダンスミュージックのいいとこ取りの素晴らしいバランスで仕上がっていると思う。

Like…? by Ice Spice

 Youtubeでレコメンドされて、一度見たら忘れられない見た目とその曲のキャッチーさにやられた。ドリルメインでジャージーもありつつ。やっぱこのインスタント性がヒップホップの醍醐味だと思う。ウェルメイドなものを蹴散らしてしまう中毒性がある。”Munch”がバズったみたいだけど好きだったのは”Bikini Bottom” スポンジボブが住む街の名前らしい。リリックと1mmも関係ない…

Top Spitta by KAMBO

 SMTM11でTeamSlayに入り楽曲入り直前で落ちたKAMBOのニューアルバム。露出が上がるタイミングできっちりアルバムを用意しているのは素晴らしいことですね。2010年代っぽい勢いのあるビートが多くて懐かしさを感じる。もう10年前なのか…(遠い目)アルバム名のとおり、ひたすらスピットしている。Lean$mokeがプロデュースした”Go Hard”とかめっちゃMeek Millぽくて滾る。ただ一番好きだったのはHIPHOPへの愛をネームドロップしながらラップする”50 BARS FOR 50 CENT”

2023年1月19日木曜日

何もしない

何もしない/ジョニー・オデル

  以前から気になっており早川の年末セールで半額になっていたので読んだ。タイトルからすると「何もしない」ためのハウツー本かと思われるかもしれない。しかし、そうではなく「何もしない」ことはどういうことか?注意経済との付き合い方、それに対する論考などをガッツリ議論している1冊で興味深かった。

 本著における「何もしない」とは文字どおり「何もしない」わけではなく「生産性へ寄与するための何か」や「資本主義に巻き取られてしまう何か」を「しない」ということを大まかには言っている。著者が薔薇の咲く公園でバードウオッチングに勤しみながら思慮を深めていく導入はエッセイのようで読みやすかった。公共空間は企業から干渉されない貴重な空間であり公園を大切にしようという話は、最近公園によく行くようになってうっすら感じていたので、著書と公園の付き合い方は腑に落ちた。

 注意経済からの離脱は当然として、その結論に到達するまでの大量の論考が載っている。色んな角度から考えることで付け焼き刃ではなく根本治癒を目指しているような感じ。著者が繰り返し主張していたのは注意の向け方の重要性だった。注意を何かに向けることは時間をどのように使うかに直結し、その注意を広告で金にしていくのがソーシャルメディアを運営する企業である。私たちは自分の意志で何を見て、何を聞くのか決定することが重要であり、それはコンテクストの存在しないただの情報の羅列ではなくもっと根源的なもの(著者の場合は自然だったが)に注意を払うべきであると主張している。我々はそのランダム性に中毒になりつつ恩恵として高速で種々雑多な情報共有の手段を得ているわけだけど、そういった事実に対して意識的にならないと食い物にされているだけなんだなぁと思う。育児、本を読む、音楽を聞くなど自分の人生にとって大切なことに注意を払いたい。注意が散漫になっていることへの痛烈な一文が刺さった。

集団的主体が「注意を向ける」個人の能力を反映し、それに依拠するのであれば、行動が求められるこの時代に注意散漫でいたらどうやら(集団レベルでは)死活問題になりそうだ。意識を集中できず、自らとコミュニケーションがとれない社会的身体は、考えたり行動したりできない人間のようなものだ。

 ソーシャルメディアのコンテクストの失われ方や、時の経過と共に人間は変わるというのに変化が許容されないであるとか、従来の人間らしさが失われている現状を嘆いていた。なかでもSNS時代の到来を予見していたようなメロウィッツの思考実験が紹介されており、それが興味深かった。具体的には家族、友人のような特定のオーディエンスと個別にやり取りする際と、家族、友人などが一堂に介してオーディエンス全体でやり取りする際のコミュニケーションの差異に関する実験で、それが今のSNSにピッタリ当てはまっている。つまり全体を意識して当たりさわりないことを話すのか、特定のメンバーに向けて本音のようなことを話すのか。以前はSNSが囲われた世界だったのに対して今はパブリックな場所になった。それゆえの地獄は数多く見たのでかなり納得した。

 成長、進展することがすべてであると単純化し、その前提条件にある維持やケアについて顧みられていないことへの言及がありそれには納得した。(訳者あとがきにもあるようにケアの倫理とエンパワメントとシンクロする部分が大いにあった。)そういった雰囲気下で「何もしない」こと、逆に言えば停滞しているように見えても自分にとって意味がある、楽しいことを追求するために「何かをする」ことが注意経済全盛期の今もっとも大切なことなのだと思うので惑わされないように訓練したい。

注意を向けるのをやめるという営みは、本来は何よりも先に心のなかでなされるものだ。その場合、必要となるのは、何かときっぱり決別することではなく、継続的なトレーニングだ。それは、注意を向けるのをやめるだけでなく、注意を別の場所に向けて、拡大増幅させ、その鋭さに磨きをかける能力を身につけるためのトレーニングだ。

2023年1月17日火曜日

本屋で待つ

本屋で待つ/佐藤友則・島田潤一郎

  夏葉社の新作で本屋の話なら読むでしょ、ってことで読んだ。広島にある本屋の経営者が語る本屋再生物語で興味深かった。著者の実家が本屋を営んでおり、その支店として出店したウィー東城店をいかに再建してきたかが綴られている。本屋としてのストラグルの歴史が詳細に記録されておりサービス、経営と主に2つの観点があり両方ともかなり読み応えがあった。

 サービスの観点では本屋が街の中で担う機能に関する考察と実践が興味深かった。お客さんの需要を起点としてビジネスを考えるのは基本だと思うが、ここまでお客さんと向き合って需要を見定めていく作業を今行っているところはあるのだろうか?データをこねくり回しても出てこない、目の前のお客さんがいるからビジネスが成立するという当たり前の事実に気付かされること山の如し。本の低い原価率から利益を出すため、集客するために他のビジネスを兼ねていく、というのは近年のトレンドだが著者はその先がけで実績を出しており、その具体的な過程を知れてオモシロかった。兼業できるのが本屋の強みだと書かれていて、その視点はなかったので興味深かった。

 経営の観点では従業員のマネジメントの話が一番オモシロかった。不登校だった学生たちが徐々に社会に適合していく過程を本屋が担う。本著内で終盤に著者が言及しているとおり実績至上主義的な社会において、すぐに結果が出せない、もしくは適合できない場合に社会が切り捨てていく風潮が強くなっている。その中において待つこと、聞くことの必要性を著者が説いており、とても響いた。言うだけなら誰でもできるけど実際にそれをお店を経営しながら実践しているのがかっこいいと思う。本や本屋をテーマにした書籍は近年増えているが、読んだことのない角度だし特別なようで特別ではない、そんな街の本屋の話はまだまだ読みたい。

2023年1月16日月曜日

2023年1月 第2週

Beat Tape by Soulflex

 名前とは裏腹にバンドサウンドのインスト集。単純なワンループではなくきっちり展開があってかっこいい。もう一音目からして鳴りのダイナミックさが打ち込みとは違ってかっこいい。跋扈するローファイチルヒップホップ風インストとは全然違う。”Jerk”のウエッサイなノリも好きだし、王道ファンクな”Spinach”もいい。サックスやフルートが導入されているのはバンドならではだし「ビートテープ」としてフレッシュだった。

[Rising Verse] KHAN, NSW yoon, Fleeky Bang


 SMTM11で名を大きく上げた3人の韓国のドリルシーンを代表するラッパー。フロウが全員最高過ぎてめちゃくちゃ好き。。。3人とも声色が特徴的できちんとそれに合うようなビートでラップしていて若いのに聡明だなと思う。韓国はNY、UKよりも早くドリルの多様化が進んでおり、大喜利が上手いというか、1つのテーマや流行が発生したときにそれをアップデート、進化させていくのが本当に早いしかっこいい。ドリルは音楽の背景を考えるといわゆるストリートと不可分なのは理解しているが音楽として捉えれば楽しめるはず。2023年も言っていきたい、GANG GANG GANG! あとこの曲きっかけでFreeky BangとNOELによるビーフが開戦。(大元はBLASEだが…)NOELは素行が悪すぎて全然味方できないけどラップうまー!


Soulection All Day 2023

 仕事で長い時間集中するときにはよくSoulection radioを聞いている。Soulectionは青春の一つなので年月が経っても現行シーンをSoulection解釈でセレクションされており、何を聞いてもいつでもかっこいいので信頼している。新年一発目は毎年All Dayシリーズという形で複数名のミックスが公開されていて、今年は特にJeftuzのミックスがめちゃくちゃかっこいい。2000年代のR&Bなどを中心にエディット、リミックスのバンガーがこれでもかとパンパンに詰め込まれており、どれも高いクオリティなのでブチ上がった!まさに新年を祝うにふさわしい。

Rich Bourne NINE by RB NINE

 Daytona Recordsからのリリース。Koo Bon-gyeomとしてSMTM11にもエントリーしておりTeamSlayに加入してゲリラサイファーで脱落している。脱落したものの、そこまで到達するのも難しいのが最近の韓国ヒップホップのレベルであり、返り血を浴びている怖すぎるジャケ同様にハードコアなスタイルでかっこいいラッパー。ドリル中心の構成でPolordared, NSW yoonは世代の勢いをバチバチに感じるし、Los, Don Mills, northfacegawdといったベテランfeat勢は適材適所な配置、全体としていいバランスとなっている。好きな曲は”Benchpress feat. Don Mills”

The Emancipation of Mimi by Mariah Carey


Jeftuz のミックスでエディットながら”We Belong Together”を久しぶりに聞いたので、オリジナルを聞きたくなった。Mariah Careyでどのアルバムが好きと言われれば、間違いなくこれ。Jermaine Dupriを中心にThe Neptunes, Kanye Westといった最高のビートと彼女のポップなメロディの相性が好き。クレジット見てたら”Mine Again”がJames Poyserだと今更知って驚いた。抜け目のないアルバム。

Neighborhood by CENJU, YAHIKO & DJ HIGHSCHOOL

 CENJUとdoggear records所属のYAHIKOの2人のラッパーがDJ HIGHSCHOOLのビートを乗りこなすEP。気持ちいいシンセの音、パキッとしてる808のビートとイナたいラップの相性が良い。DJ HIGHSCHOOLのビートは聞くと彼のビートだと分かる独特なノリがある。好きな曲はCENJUの”Memories feat. Chiyori”

KANDYTOWN Billboard TOKYO LIVE

 Abemaで無料配信されていたのを生で見た。昨年の傑作アルバム”LAST ALBUM”が文字通り最後のアルバムとなり、アルバムツアーの一環のライブのよう。バンド編成によるライブで、こういうケースはいつもバンドメンバーが気になるところだけどめちゃくちゃ豪華。キーボード宮川純、ベース新井和輝(King Gnu)、ドラム荒田洸(WONK)は3人でライブする予定されており、その延長に今回のバンド編成があるっぽい。彼らに加えてバンドアレンジには不可欠なマルチプレイヤーのMELRAW、マニピュレーター檜原航介という編成だった。
 ライブはかなりかっこよかった。特に過去曲はサンプリングが多いので、その音がバンドで置換されると別のノリが生まれいた。 『LAST ALBUM』からだとドリルっぽいビートの“PROGRESS” を生でドラムで叩いていてかっけー!となった。各人のライブスキルも高く、なかでもKEIJUの声の通り方と安定感は圧倒的だった。本当に最高の状態で活動休止するのか…と何ともいえない気持ちに。とりあえずエアチェックしたので繰り返し聞きたい。

SANGO MIX PACK 2016-2023

 SANGOによるブートレグなマッシュアップ、REMIX集。相変わらずバンガーだらけでかっこいい。2022年のヒット曲はもちろんのこと、DillaとGunnaとか意外な組み合わせもあってオモシロい。
 マッシュアップ関連だとPUNPEEのがオモシロかった。今どきはRXでボーカルデータ抜くんですね。昔はインストを逆位相にして当てるとかあったけど。

 あとHFがマッシュアップしまくっているというFNMNLの記事も興味深かった。高等遊民の遊び。以下ラインが興味深かった。

J-POPに関していうと、今トップに並んでるような音楽は全然面白くないと思う。なんでかっていうと、大抵はトラックに緻密で難しいコードを使ってて、そこに寄り沿うメロディを当ててるから。僕からするとそれが機械的に思えちゃう。インターナショナルなポップスのトラックはひとつのベースラインなり、コードなりで作っているんです。その上でヴォーカルのメロディがどんどん変わっていくのが面白い。僕はそっちのほうがより人間的だと感じるんです。

https://fnmnl.tv/2023/01/08/150434

good1ife by J’Kyun & Marco


 SMTM11で改心した様を見せつけたJ'Kyunによるシングル。ベテランならではの安定したフローでラップ上手いなーと思うし、得意なメロウなビートの”good1ife”が特に好きだった。最後にドリルビートが入っており、もう韓国ではドリルは無視できないスタンダードとなっていることがよくわかる。

The vibe is a Chance by youra & Mandong

 韓国ではダンスミュージックが中心だけどもロックやジャズにもかっこいいものがある。youraは前作EPの『Gaussian』で知って好きだったのだけど、今作は大きくシフトチェンジしてMandongというバンドとのコラボEP。彼女のアンニュイな声と比較的マイナーなトーンのバンドサウンドがあいまってかっこいい。808ベースがトレンドの中でウッドベースの音が心地よかった。

Still Hurt by Airplane James

 Apple musicで新譜チェックしてたらジャケが目に止まったのと、featでRose Goldが参加していたので聞いてみた。LAのサウスセントラル出身でLAの先輩ラッパーProblemのレーベルからリリース。最近のLAっぽいサウンドでかっこいい。それこそRose Goldが懇意にしているTerrace Martinぽさもある。それはともかくRose Goldのソロアルバムを本当に待っています。

The Mind of A Saint by Skyzoo & The Other guys

 2dopeboyzで知って聞いた。コンセプトアルバムで『Snowfall』というドラマの主人公であるSaintの考えにラップで深く迫った作品らしい。ビートはThe Other guysが担当しておりオーセンティックなサンプリングビートの上にかっこいいラップが乗ってくる。トランペットが生音で色気たっぷりで最高。リリックを知りたいので早くGeniusにあがってほしい。好きな曲はMVにもなっている”Straight Drop” 
 ぶれずにひたすら自分のスタイルを貫いてスピットし続けているかっこいいラッパーという印象だし、実際2008年から毎年アルバムリリースしているの凄すぎる。
 ドラマの内容としてはクラック、コカインが蔓延した80年代のLAをストラグルする話らしいので見てみたい。Disney+で見れる。最近全然ドラマ見る気にならないのだが…

Couldn’t Wait to Tell you by Liv.e

 2月にアルバムが出るらしく、その先行シングルが出てProducerとしてMndsgn, で安易なローファイではなく、ダスティーかつメロウなサウンドプロダクションは唯一無二だし、ラップのような歌のような気だるいフロウもあいまってトロける系音楽だと思う。シングルも良かったのでアルバム楽しみ。

Soul Pop City by NAUL

 いつだってクオリティが高いKorean R&B。日本だとSoulflex周りなどはブラックミュージックオリエンテッドなメロウを追求していると思うけど、韓国はその追求を続けてきた歴史があり、歌もビートもその点でのクオリティは本当に高い。もともとBrown Eyed Soulというグループに所属していたNaul。今作は2018年以来のリリースらしい。ド直球シティポップの”1985”もいいけど、90sバイブス溢れるミッドチューンの”I still Love you”が好きだった。MVにも登場するアナログシンセによる後半のソロが激渋い。。。どの曲も今の基準だとめっちゃ長いんだけど、展開がきっちり用意されたマチュアっぷりはベテランだからこそ。

Dah Shinin’ by Smif-N-Wessun

 XXLの記事で取り上げられていたので聞いた。若い頃クラブで死ぬほど聞いているけど、実際にアルバムとして聞くのは初めてで今聞くと新鮮だった。ベース、ドラムのみ、もしくはそこにシンプルなウワモノで構成されたサンプリングスポーツの最たるもの、みたいなサウンドがかっこいい。言い回し、サンプリングソースなど初期〜中期日本語ラップへの影響がめちゃくちゃ大きいなとも思う。ブルックリンのグループなので”Home Sweet Home”が一番たぎります。


2023年1月9日月曜日

2023年1月 第1週

  ずっとTwitterで音楽のログを取っていたが最近のゴタゴタもあり不安定そうだし結局聞いたことしか分からないログだったので雑記として聞いた曲などについて書いていくことにした。どこまで続けられるか怪しいけど1年間頑張ってみたい。

Show Me The Money 11 Final by Various Artists


 年末のSMTM11 Finalから。大方の予想どおりのLee Young Ji優勝。勝ち負けはもちろん大事だが、ここまでくるとどんな曲をFinalで披露するかが各アーティストのアティチュードとしては重要でHIPHOP的にはBLASEが圧倒的正解。残りはポップサイドに振れてしまった。もともと9以降のFinalはアンセム感、エンディング感強めの曲が多いので必然的にPOPになるとはいえ、今回はR.Teeとそれを支持するオーディエンスにより、結果どの回よりもPOPなエンディングとあいなった。日本国内だとK-HIPHOPとK-POPは混同して語られがちだが、やはり別物だということが今回よく分かった。
 BLASEは2曲とも素晴らしく、特にLILBOI、DJ Sprayを招いた”DIAMONDS”は初期カニエを彷彿とさせるトラック、2人のタイトなラップ、スクラッチという、これをFinalで見せるBLASEのヒップホップ愛に胸を打たれた。SMTM11については改めて文章にしたい。

Empire State Motel - EP/ QM & Fredi Casso


 SMTMで結果を出したQMとビートメイカーFredi Casso によるEP。QMはリリックが素晴らしいことをSMTM11で思い知ったので、そこを知りたいけど、韓国語が分からないからそれが知りたい… 
 Fredi Cassoは近年のAlchemistのようにドラムレスもしくはドラムのアタックが弱いサンプリングサウンドを最近提示しているビートメイカー。(本作にも参加しているDSELとリリースしたアルバムはモロにバッファローサウンドへのオマージュだった。)今回もざらついた質感のサンプリングサウンドの上でQMがスピットしておりかっこいい。Wooが参加してるのが意外。タイトル作の“Empire State Motel”がドラムの鳴り含めて一番好きだった。QMはライブもクソやばい。レーベルとしての活動に終止符を打つVMCにBig shout out.

Live: Cookin' with Blue Note at Montreux by Donald Byrd


 Giles PetersonがBlue noteに問い合わせしてマスターが見つかってBirdの誕生日にリリースされた。このシリーズのMarlena Shawのレコードを持っていて好きな1枚なので期待大で聞いたら”Black byrd”, ”You've got it bad girl”の冒頭2曲で持ってかれた。10人編成の大所帯ジャズファンクバンドでリッチなサウンド。こんな昔の録音なのにとても綺麗で臨場感のある音で驚いた。

Parade/ Prince & The Revolution


 年末のセールでレコードで買った。最近はこういうマスターピースを手堅く買ってレコードで楽しむことが多い。“Kiss”はいつ聞いても新鮮でミニマルファンクの最高峰だと思う。あと”Somtimes It Snows in April”が歳をとるごとに良さが分かってきた感じがある。

Real Talk by Fabolous


 これも年末のセールでレコードで買った。基本状態確認なしで買うのだけど、これはSide A のチリノイズがきつくてしょぼん。それはともかく2000年代のHIPHOPの勢いを感じる作品でとても好きだった。The Neptunes, Just Blaze, Scott Storch が入っている時点でもう最高。DJ Khaledがプロデュースした曲も入っており、”We the best music!!!”と連呼するただのコミュ力高いおじさん、というわけではないのだなと知った。
 AK-69が一時期連呼していた「イエェメン」はFabolousが元ネタだと今更知った。最終的に2014年にコラボしているのだから、AK-69の実行力は馬鹿にできない。そしてついにCOSAとAK-69が邂逅。¥BにCOSAから秋波送っているのはSNSで感じてたけどAK-69とDJ RYOWがバイパスになるなんて!肝心の曲はカラシニコフ名義で王道って感じ。先日のライブではMaRIも含めてBUSSIN’のREMIXも披露されたみたいだし、こういう意味のあるユニティは歓迎したい。

Inner Ocean by さらさ



 Flip side planet で知り衝撃を受けて即チェックした。この音楽が日本のポップスの中心にあれば未来は暗くないのにと思うほど最高だった。声質が特徴的で耳を惹くしリリックも面白い。1曲目の”朝”にある「いい感じでいたい」という口語の日本語の面白さが詰まっている。
 Kota Matsukawaという方がほとんどのビートをプロデュースしているようで、サウンドはもう間違いなく1級品。アルバムとしての完成度がめちゃくちゃ高く聞き終わりの満足感がハンパない。アルバムの中にボーナストラックではなく合間にREMIXを入れてくる、しかもそれがMitsu the beats, Olive Oilだなんて…センスしかない。ネオソウル的なアプローチは過去にも多くのアーティストが行ってきたことだけど、このナチュラルさはとても好みだった。

Snow Dome by hyunis1000, caroline


 今年も新譜を追う生活が始まるわけだが年始最初のアルバムはこれ。carolineはビートメイカーで2人のタッグアルバムとなる。昨年のフルアルバムも良くて今作もまた良し。力感なく軽やかなフローとデザイン性の高いサウンドの相性が素晴らしい。feat には前作から引き続きCampanella, 神戸コネクションでandy toy storeが脇を固めてていい感じ。
 ヒップホップに限らず色んなジャンルの音楽をインプットしてるからのラップとサウンドであり、ヒップホップの雑食性を体現していてかっこいいと思う。好きな曲は”Kobe dope”

[AOMIX] EP.25 by Sina Hill

 韓国のヒップホップレーベルであるAOMGが定期的にアップロードしているミックスシリーズ。洒落てる場所なのはさることながら、毎回選曲がツボすぎてテレビでよく流している。(プロモーションを含むためCMが入らないのがいい)
 今回は2000年台ハウス、ブレイクビーツなミックスでめちゃくちゃ良かった。”The Revolution Will Not Be Televised” から始まり、Talc, Grooveman spot, Julien Dyne, Moodyman, Theo Palishあたりがかかって懐かしい気持ちに。AOMG mix聞いていると毎回自分達がDJしていたころのノリを思い出す。ヒップホップを軸にどういう風に横展開していくのか皆が考えていたし、このノリに共感できるのも韓国ヒップホップが好きな理由の一つかもしれない。

2023年1月7日土曜日

野原

 

野原/ローベルト・ゼータラー

 前作の「ある一生」がかなり好きだったので即買い、即読み。前作の方が好みだったもののオモシロかった。

 ある1つの街にある墓地を舞台に、そこに眠る死者たちの物語を短編形式で描いていくスタイル。前作も市井の1人の人生を追ったものだったが、本作もその系譜にあり死者たちの人生のワンシーンが各短編で切り出されており、なんてことない日々の積み重ね、その中にある小さな出来事が人生を構成することに気づかせてくれる。死者という設定なので、その人がいつを思い出すのか?がポイント。子どもの頃なのか、死ぬ間際なのか。そこに人生の味が滲み出していてオモシロかった。あと文体として体言止めの多用が特徴的でフレーズの連打で読み手に街の風景をイメージさせるのは詩に近いところがあった。

 同じ街の話なので、各人物の視点の違いを楽しむことができるのも良い点だと思う。とても近い存在同士、たとえば夫婦間の視点の違いもあるし、一方で街を通じて共に生きていた、というレベルの緩い繋がりも散見される。「この人どっかで見たな」というのが実際に街で生活していて人と遭遇する体験に近いのでリアリティを感じた。キーパーソンは昔の市長で当人のチャプターはもちろんあるし、他のチャプターでも悪そうなキャラで登場するのが好きだった。一番好きだったのは街一番の長寿の女性のチャプター。尊厳にまつわる以下ラインが刺さった。

尊厳がなければ、人は無だ。可能な限りは、尊厳を保てるよう自分で努力すべきだ。けれど終わりに近づくにつれて、尊厳はもう人から与えてもらうしかなくなる。尊厳は、ほかの人たちの視線の中にあるから。

2023年1月5日木曜日

世界は分けてもわからない

 

世界は分けてもわからない/福岡伸一

 新年1発目は積んでいた福岡伸一氏の著書。毎回恐ろしいほどの文章のうまさでビックリするけど、それに加えて本著は圧倒的な構成力も加わり、とてもオモシロかった。リリースされたのは2009年だが、このタイトルがこれほどまでに意味ありげに思えてしまうことに隔世の感あり。

 12章からなるエッセイなんだけども各章につながりがある。著者がイタリアの学会へ行くところから始まり、そこからの展開が上質なノンフィクションそのもの。(実際、絵画の切断の話と別件のスペクターによるデータ改竄の話は一級品!)生物学まわりのガン細胞とES細胞、食品添加物や絵画や写真といったアートなどさまざまなテーマを取り扱いながら、それらの共通点を見出してエッセイが紡がれている。しかも内容としては難しいにも関わらず、著者の圧倒的な文章のうまさで分かりやすく噛み砕いてくれており興味深く読めた。

 タイトルにある「分ける」というのは、全体から部分的に切り取ることに果たしてどれだけ意味があるのか?というテーマ。また視点に関する議論も多くマップヘイター、マップラバーというキャッチーなワードで主観と俯瞰について話していて、それも「分ける」の一種として捉えている。世界と相対するにはどちらか片方だけではなく両方大事という話は当たり前のように思えるが、生物学を通じてこの内容で著者から伝えられると納得感が違った。最近はあまりにも俯瞰の意見が多いから、主観の視点を大切にしたいと個人的に思っていたが、本著を読んで何事もバランスだなと思い直した。