2021年4月27日火曜日

ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論

ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論/デヴィッド・グレーバー

 もうタイトルを見たときにこれは読まねばならないと覚悟を決めつつも超分厚い上に電子書籍なしのストロングスタイルだった。しかし気づくと電子書籍が発売されており即購入してチビチビ読んで遂に読了。日々著者が言うところのブルシットジョブに直面しながら、ブルシットジョブに関する話を延々と読まねばならないのは苦痛を伴いつつ読んで良かった。
 そもそも本になる前に小論を発表していて、それが反響を読んだことから本になったらしい。この本のすごいところは皆が心のどこかで思っていたけど、相対的な視点で考えられたことがなかった点を練り練りに練りまくった論考が提示されていて興味深かった。ブルシットジョブの定義から始まり、ブルシットジョブの種類、ブルシットジョブがなぜ増えているのか?、ブルシットジョブと政治の関係など。そもそもブルシットジョブとは何か?本文の定義を引用する。

ブルシットジョブとは、被雇用者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど、完璧に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用の形態である。とはいえ、その雇用条件の一環として、本人は、そうではないと取り繕わなければならないように感じている。

 単純に嫌な仕事やしんどい仕事ということではなく、仕事のための仕事や完全に無意味な仕事をさせられることを意味している。自分の仕事も広い視点で見れば社会に貢献しているが、目の前の仕事は完全にブルシット!と言いたくなることが多い。官僚システムに巻き取られれば巻き取られるほどブルシットに遭遇する確率が上がっていくのは自分の仕事人生に照らしてみて実感を持って理解できた。市場原理と仕事のあり方の話が一番興味深かった。「そんなブルシットジョブを市場が許すはずがない」という反論が著者の元に来るらしいが、それに対してオバマケアなどを引き合いに出しつつむしろ市場維持のために存在しているのであるとカウンターを決めるのは鮮やか。またもし市場原理がはたらいているのであればエッセンシャルワーカー(本著でいうところのケアラー)の給料が高くならないとおかしいという議論も確かにと思えた。そういったケアラーは仕事自体の満足度、充実度は高くて社会に貢献している実感が強い。そういった充実感と給料は両立しないのだから給料安くて当たり前。こんな議論は刺激的すぎるけど、事実として眼前に存在するからぐうの音も出ない。さらにそれをサドマゾヒズムと結びつけてみたり。議論の展開がアクロバティックで最後辿り着くのはベーシックインカムというのも興味深かった。読んでいる間にメンタル削られるけど、読む前と読む後で自分の仕事との付き合い方を見つめ直せる良書。 

2021年4月26日月曜日

2021年4月 第4週

4月19日
 午後ほぼ全部会議で疲弊…昨年度にはなかった疲労感。やってる感出したいなら一人でやってろや案件だった。cold_brew_us聞いて朝井リョウの最新刊がめっちゃオモシロそうなので読まないとなーと思う。相当クラシックっぽいので本でいくか電子書籍でいくか。。。
 引っ越しで物を詰めているのでデスク周りが簡素になっているのだけど、ちょうどイイ気がする。普段物多すぎて汚すぎるのだなと反省。
 AJ Tracyの新譜がテンションぶち上げ系で最高。UKは本当に独特のヒップホップカルチャーが形成されているのだなと思う。一聴して「これUKっしょ?」と分かる感じ。こないだのchipも然り。ダンスビートとの融合が本当に素敵。



 ポッドキャストをリリース。学びに関して色々教えてもらったので勉強へのモチベーションに困っている人は是非。Shownotes/Apple podcast/Spotify
 夜、ホタルイカを食す。春の味覚。あと奥さんがコウケンテツのテバニラを作ってくれてとても美味しかった。

4月20日
 5億年ぶりの出社。契約関係の書面はなかなか電子化が進まないので出社せざるを得ない。今年度初めてでの出社で、ついにフリーアドレス制になっていた。隔世の感。昼食は近くの公園で弁当を食べる。気分転換には最高だった。また家で仕事するよりもプロダクティビティが何倍にも向上したので、たまに行くのはいいのかもしれない。
 仕事終わりに寿司へ。せっかく出社するので久しぶりに行ったらとても美味しかった。お酒頼むときに「まん防でお酒は19時半ラストオーダーなんですよ」と言われた。「まん防」が日常に侵入してきている。

4月21日
 会議がめっちゃ多くてイヤホンで耳が痛くて骨伝導イヤホンを遂に導入。これはもっと早く買っておけば良かった。買ったのは2020 OpenMove AfterShokzで一番エントリーモデル。マイク内蔵はされているので、これで十分だった。
 Rudebwoy FaceのJAM DOWNというアルバムがChillくてめちゃくちゃ良かった。ローファイなビートとレゲエの組み合わせが想像を超える組み合わせでかっこいい。こうなるとGreen Assassin Dollarとのコンビネーション見てみたい。



 夜、職場の送別オンライン飲み会。(オンライン飲み会とか死語ですね。)こういうときは自分の話したがるおじさんの存在が大変ありがたい。ただし、なんとなくやり過ごすには2時間は長すぎた。

4月22日
 友人から色々と音楽を教えてもらう。J'KyunのEPがめちゃくちゃかっこよかった。タイトルは Cats, Coffee & Synthesizerというタイトルがおもろいなーと思ってたけど超グッドミュージック。今の季節にぴったりの音楽で無限リピートしながら仕事してた。
 Moment Joonが出演したいとうせいこうと渋谷陽一のポッドキャストを聞く。この3人で話しているのが信じられない。紙、映像の媒体では編集されてしまうだろう部分がボロッと生で出てるのがかなりオモシロかった。ゲートキーバーという言い方をしていたけど、そういうリアクションが少ないのは同じことを思っていたので、やっぱそうよなーという感じ。Jポップ化しているわけではなく、ストリクトにヒップホップを追求したら無視するんかい!という。

4月23日
 ハンコを押せる人が出社していると聞きつけてスクランブル出社してハンコだけもらう。出社すると道中で音楽や本に集中できるのがよい。今日はPENOMECOという韓国のシンガーのアルバム。めちゃくちゃイイ…昨日のJ'Kyun然り韓国におけるアーバン路線のR&B、ポップスの成熟度はもう日本の音楽とは天と地の差があり、毎回どの曲を聞いてもどれもハイクオリティで驚く。

 仕事帰りに歯医者。あと1週間で引っ越すと伝えたからか治療長めだった。来週で最終回。友人、家族の皆からヤブと言われているのでヤブにしか思えなくなっているプラシーボありつつ若干痛いんだけど!

4月24日
 引っ越しまでちょうど1週間なので準備もろもろ。部屋が段ボールで埋め尽くされていく感じからして寂しさ出てくる。夜、蕎麦屋へ。緊急事態宣言が明日から発令され酒が禁止になる。それもあって駆け込み需要で店はいっぱい。静かな店なのでギリギリセーフという感じ。道中のお店でマジか?的な賑わいと密なお店もあり。明日からは20時に消灯です。

4月25日
 朝食で台湾料理を食べに自転車でサイクリング。ここも見つけてから二度目でもっと来ておけば良かったなーと思う店の1つ。一昨年行った台湾へ思いをはせつつ、鹹豆漿、魯肉飯、豆花で大満足。その近くにあるスペシャリティコーヒーの店でchill.横で老婆のグータンヌーボが繰り広げられていて、なまなましい金の話と噂話をしていた。
 一旦帰宅して引っ越し準備を昨日に引き続きもろもろ。東京に来たときに買った机を手放すことにして今日粗大ゴミとして出した。DJセットを置いていた机を仕事デスクにしてオーディオはDJセットではなくアナログ聞くように設定する予定なので処分した。長い間使っていたので感慨深かった。
 夜、日比谷野音でGrapevineのライブへ。緊急事態宣言中なのでどうなることか思ったけど開催された。前のZORNのときよりは野外だし年齢層もだいぶ上なので大丈夫かと判断して行ったら、3/4ぐらいの客入れで見た目にはほぼ満員の状態。野外でデカい音で音楽を聞くのがこれだけ楽しいことだったのかーと思えるライブだった。雨の予報だったけど降ることなくちょうど良い気温で最高だった。先週Apple musicにある隠れた名曲のプレイリストを聞いていたのだけど、そこからの曲が多かったらしい。好きな曲はあるけどロックになると曲名と曲内容が紐づかない。これも年齢なのかもしれない。新曲も3曲ほどあってかなりギターバリバリ系で個人的には最近の三作くらいのオルタナ感が好きだったので、新作どうなのか。不安半分期待半分。というかこれだけ何に影響を受けてこうなったか分かりにくいバンドがいるのだろうか。メンバー各人が何を聞いているのかめちゃくちゃ知りたい。で深夜に出た新曲がとんでもなかった…隙間のファンク。UserのGood Kisserとか思い出した。アルバムが死ぬほど楽しみになりつつ就寝。

2021年4月19日月曜日

2021年4月 第3週

4月12日
 気の重たい仕事が多く疲れる。1つ1つが時間かかるし単独で完結できないことも多く辛い。隙間時間で少しずつ荷物を詰め始める。最初取り掛かるまでは本当に気が重かったけど始めたらサクサク進んでレコードを詰め終えた。そしてこんなにたくさんのレコードが必要なのか?という問いにぶつかる。結構整理したけどソウル系がなかなか思いれもあり売りにくい。
 BGMはBenny Singsの新譜。この当たり障りないBGMと化してイイ感じの空気になる音楽って誰でもできそうでなかなか難しいと思うんすよね。あとストリーミングに追加されたMind Combinedの昔のアルバムも聞いた。2010年でこのレベルというのは本当に信じられない。モノマネではない韓国のスタイルというか彼らが持つネオソウルが存分に発揮された傑作!


4月13日
 昼食で近所に新しくできたうどん・そば屋へ行ってみた。ちくわ天うどんをなんとなく頼んで食べるものの、とてもまずい。子どもの頃読んだ美味しんぼで、関西の人が東京のうどんを毛嫌いするのを見てたけど、初めてまずいうどんに出会った。やたらとしょっぱい。値段が安いので粛々と食べて退店。帰ってレビューみたら高評価になっていて東京ではあの味で正解なのかと驚いた。上京して8年だがまだまだ知らないことがある。
 今日は職場で自己紹介の日だった。髭のまま、パーカー着で基本仕事のことをコンパクトに伝えて終える。他の人が仕事場でプライベートのことを延々と語り倒せるのは本当にすごい。ずっと同じ会社にいるからホームだと思えるのだろうか。こんな風に思っていること自体がコミュニュケーション能力の欠如と言われるのだろう。

4月14日
 雨が降っているしとても寒い。サブリナとコリーナを読了。安定の新潮クレストクオリティでオモシロかった。見たことのない視点からの小説。こういうの読むと世界が豊かになる感覚を覚える。

4月15日
 近所の街中華で昼食。今日はチャーハンで安定のクオリティだった。
 今日見つけたIZYというバンドがめちゃくちゃかっこいい…ジャケットからしてただ事ではないと感じてもらえると思う。もろD'Angeloの系譜だけど良い意味で軽やかになっていてテレワークのBGMとしても優秀。Bandcampのサイトに略歴がありオーストラリアのバンドでこれがデビュー作品らしい。またギターのRyo Montgomeryは日系二世らしいのでコロナがなければライブに来てくれる可能性もあったかもなーと思ったりした。

4月16日
 近所に新しくできたテイクアウト専門店のルーロー飯を昼食で食べる。可もなく不可もなくという味の割には値段高かったので、もう1回行くことはないかな…引っ越すとなると毎日近所を探索して新しいものにトライしている。  今日の晩ご飯はカレー。バーミキュラの鍋で野菜と鶏肉の旨味を抽出してからルーを入れるスタイルが最近の家カレースタイル。この日はトマト缶入れてみたけど酸味強めで味が馴染むまでに時間かかった。日を置くと美味しくなりそうな気はする。
 又吉直樹のPerch読了。全部がちょうどいい作品で移動の道中に読みたかった。

4月17日
 午後久しぶりにPodcast収録。前回の収録から結構時間が空いたのだけども、友人と駄話できる貴重な機会になっているなーと実感。オンライン飲み会ではこのように継続はできないだろうし。  F1予選。角田がクラッシュで速攻リタイアしてしまったのが悲しかった。1秒以内に6,7台がひしめき合う稀に見る接戦で見応えがあった。前回のレースで浮上したトラックリミット問題が、今回かなり厳しく全チームに適用されているのか、タイム取り消しになるケースが多くノリスのラストアタックが本当にもったいなかった。
 夜聞いたFlipside Planetの最新回が皆でBlack Eyed Peasのアルバム(Monkey Business)を聞こうという回だった。リリース当時、すぐにCDを買って聞いた記憶があり、その蓋が開きつつもサウンド自体、今聞くと異常に新鮮に聞こえたしWill I Amの何でも屋としてのプロデュース能力がすごい。番組中でも言及されてたけど1曲が今の倍くらいの尺がある。その中でループではなく展開きっちりつけて飽きさせない工夫をしている。という当時は全く気づかなかったことを思ったり。そしてこのアルバムが16年と知り自分が年をとったことを痛感した。ストリーミングはこういうとき今すぐ聴けるのが便利なので同年代の好事家の皆様も是非騙されたと思って聞いてみて欲しい。

4月18日
 遅くに起床。サイクリング気分で遠くのうどん屋までうどんを食べに行くもののコロナのせいで閉店中…名残惜しい気持ちを抱えつつ切り替えて駅前のスリランカカレー屋へ行くと開いていたのでイン。混ぜるとウマくなる系で最&高。初めて来たけどもっと早く来たかった。一旦家に帰って買い出しなど済ませつつ、夜はもつ焼き屋へ。この味もあと少しかと思うとこちらも名残惜しい。
 夜、F1の決勝レース。雨のサーキットで波乱が連発。とくに今回はメルセデス勢が大変でハミルトンはスリップして一度リタイア寸前となったり、ボッタスとラッセルがかなり激しめのクラッシュを起こしたり。(ここでのいざこざは格好のNETFLIX案件)ハミルトンは結局2位までリカバリーして圧倒的な強さを見せた。そして1位はフェルスタッペン!今回は比較的盤石のレース。最初のスタートがかなり良くて、ペレスと2人でハミルトンにプレッシャーかけることができていたように見えた。これができるとレッドブルも今年はメルセデスと戦えそう。中位グループは本当に混戦で毎回どのチームの誰が上位に来るか分からないオモシロさがある。今回はノリスが得意なコースだったから頭一つ抜け出したけど、次のレースはどうなることか。今年は全体的にめちゃくちゃオモシロそう!

2021年4月18日日曜日

Perch

Perch/又吉直樹

 羽田空港の蔦屋書店限定で手に入る又吉のエッセイ。本当はそのお店限定だったはずがコロナの影響で通販で購入できるようになって買って読んだ。(今は品切れっぽい)アンソロジーなのでエッセイ、自由律俳句、小説など色々な詰め合わせになっていてオモシロかった。移動の道中に読み切れるくらいの分量と内容のいい意味での軽さ、どれもがちょうど良くて是非とも度の道中で読みたかった。コロナ禍の今は家で読むしかないなんて、発売が発表された2020年1月に誰が想像したでしょう?
 好きだった小説は「めふぃすと」甘酸っぱい恋愛小説から、「劇場」でも発揮されていてた恋愛における、ある種の暴力性に対して悪魔要素が組み合わさる。斜め上に展開していくのが好きだった。又吉氏の新作長編も早く読みたくなる1冊だった。

2021年4月14日水曜日

サブリナとコリーナ

サブリナとコリーナ/カリ ファハルド=アンスタイン 

 西加奈子の裏表紙コメントに惹かれて読んでみたら、とてもオモシロかった。著者はチカーノ系でデンバー在住らしい。多くのアメリカの小説や映画を見てきたけど、この組み合わせの風景を見たことがなく新鮮だった。デンバーと聞くとなんとなく山間部みたいなぼんやりしたイメージしかなかったけど、ここにもジェントリフィケーションの波が訪れていて、その風景が何度も出てきたので生まれ育った筆者としては相当思うところがあるのだろう。
 本作は短編集でどの話もハズレなしでかなり完成度が高い。そして本作の最大の特徴はどの短編も女性が主人公で、しかもそれが大体二人という点だと思う。友人、家族とさまざまな女性同士の関係性を描きながら、その結果として男性の不在を描き出し彼女たちが社会でストラグルする姿がカッコよくて魅了された。物語として大きな展開はそこまでないものの何気ない風景描写が多く、生活がそこにある感じがしてぐいぐい引き込まれる。個人的には「ここで終わるの?」みたいな断絶タイプのオチが好きなんだけど、この作品はドヤ感を抑えつつ良い雰囲気でしっかりオチがついていて好きだった。これは訳者の方の力だと思う。全体にかなり読みやすい訳でもあった。
 タイトルになっている「サブリナとコリーナ」は傍若無人だったあいつが自死してしまったその後と過去の関係を描いている作品。よくある設定だけど人物描写が丁寧でまるで映画を見ているようだった。好きだったのは「チーズマンパーク」という短編。カルフォルニアからデンバーへ出戻りした女性が階下の女性と仲良くなっていく過程が微笑ましいなと思っていたら思ってもないエンディングを迎える。愛されたり、愛したりの関係について短編でこれだけ考えさせられる点がオモシロかった。最後にその短編から引用しておく。

「世界が変わったのよ。あんまり差し迫った感じがしなくなって、なんとなく広がって、そしてあたしは、愛されてるのだろうかってことをあんまり気にしなくなったの」 

2021年4月12日月曜日

2021年4月 第2週

4月5日
 Geraldparmanのアルバムを聞く。去年インスト2枚を聞いていてついにラップ入りのアルバムがリリース。シングルで出たNF ZesshoとのUtopiaのメロウな感じがむしろ例外でわりかしハードコアチューンの割合高い。なかでもベゲfastman人とのfast fastがドリルでめちゃくちゃかっこいい…こないだのKOK2020でMaijiがかっこいいなーと思ってたけど、Maijiをはじめとしてベゲfastman人、音源めちゃくちゃかっこいいやん…その流れで同じ日に出た彼らのEPも聞いた。もう好事家の方々はチェック済みかと思いますが今年来そう。


 あとQNがfeatしてる流れで知ったRiku OSHIMAのEPがめっちゃいい。サンプリングサウンドで歌もラップもいける。歌の方が粘り気ありつつスタイリッシュなファンクって感じで超いい塩梅で聞き飽きない。宇宙をコンセプトにしたスキット含めた構成も見事でショートムービーを見ているような感覚だった。気になって去年出たアルバムも聞いたら、そちらのクオリティも高かった。過小評価すぎる。とはいえ他人の評価とか再生回数とか気にせず自分の好きな表現をしている雰囲気があって、こういうアーティストにたくさん出会いたい。


4月6日
 大所帯のチームになったこともあり自己紹介しましょうと3時間×3日の時間をかけるって正気の沙汰ではない。顔を出さないと大切なことは伝わらないので、ビデオ会議で画面いっぱいに映るおじさんの顔顔顔。全員内職してると思う。
 夜、ベトナム料理で外食。何を食べても美味しくてマジ最高。ただめちゃくちゃでかい声で話すおじさん3人組がいて、それが結構ストレスになっていてアフターコロナな感覚。

4月7日
 仕事終わりに超久しぶりに美容院。ボサボサの極みだったので、このままでは自己紹介の顔出しでまずい展開になることを忖度した。超短髪にしてスッキリ。あとはボーボーに伸びた髭をどうするのか?そのあとブックオフで15冊本を売ったら350円だった。メルカリで1冊300円で売れば最低100円は利益でるから、それみんなメルカリするわなという気持ち。
 SMTMで一躍有名になったmiraniの新曲がリリース。h1ghr musicからのリリースかと思いきやGroovyroomが作った新しいレーベルからのリリース。ダブルシングルで両方ともポジティブな感じでかっこいい。アルバムが今からとても楽しみ。

4月8日
 5lackの新譜がめちゃくちゃかっこいい。過去2作が助走で本作が完全なる決定打。USのヒップホップのオマージュが良くてPharsydeのRunnin'のイントロのリフっぽいメロディや完全にネプチューンズ/ファレルサウンドもあったりチャノ風のゴスペルもあったり。そして一聴して聞き取れるリリックのオモシロさ。USのヒップホップと断絶することなくなおかつ安易なモノマネではない日本のヒップホップで、ここまでかっこいいのは今までなかったのでは…?というくらい全曲ハズしなし。今のところ今年ぶっちぎりのベストだし、このアルバム超えるようなの出てくるのか?

4月9日
 日本のヒップホップにアワードやクリティックによるベストなどがないから、門外漢の評価に辟易とするわけで、カルチャーを作り上げる努力をプレイヤーではない人がしなきゃいけないフェーズなのかも。 とアジカンのゴッチの音楽アワード見てて思った。BIMのアルバムが受賞することはよく分かるというかヒップホップの枠組みでは評価しきれないところを救う意味では機能していると思う。ただMOMENTのアルバムは自分はこう思うと言わないと評価が難しいアルバムだし、日本人が「何も言わない」ことを批評しているアルバムなのに「何も言わない」コメントになっているから、これは怒りを買うのも分かる。単純にwokeの目配せなんじゃねーの?と勘繰る彼の気持ちも然り。

4月10日
 SIMONのTRYという曲のMVがエモすぎて…ここに日本のヒップホップの1つの歴史がパックされていると言っても過言ではないしリリックがそれを踏まえて次に行こうという内容なので胸が高まる。これこそ俺たちが大好きなワンスアゲインもの。ここ最近良いものに巡り会ってなかったけどこれは最高峰。ヒップホップがスワッグだけではなくて気持ちを鼓舞してくれる。


 不動産契約ではるばる埼玉へ再び馳せ参じる。いよいよかーという感じが高まる。周辺散歩していたらクラフトビールのお店があってこれはめちゃくちゃポイント高い。
 帰りにNO.1 Favroiteなもつ焼き屋をのぞいてみると、空いていて大きな声で話そうな人もいなかったので入店。久しぶりに極上レモンサワーとモツ料理で超満足…これが食べれなくなるのは名残惜しい。

4月11日
 家でだらだらしてたら奥さんが自転車をサクッと買って帰ってきた。人が買うのを見ると自分のも欲しくなる。しかし散財は禁物ということで前から欲しかった自転車のスタンドだけ通販で買って物欲霧散。夜はNO.1 Favroiteなスペイン料理屋へ。どれも死ぬほど美味しかった。そして横のOL2人のトークがバカリズムが演じるOLみたいで思わず聞き入った。「今までどんな恋してきた?」

2021年4月5日月曜日

2021年4月 第1週

4月1日
 新年度スタート!とはいえ何か新しいことは特段なく粛々と仕事していた。情報管理がめちゃくちゃ大事な仕事なのにそこがぐしゃぐしゃのまま進んでいくことが多いので、その辺を先導とって整えていきたい一年です。
 Guapdad 4000&!llmindの新譜が調子いい。 2人ともフィリピン系アメリカンでタイトルの1176はGuapdad 4000の育ったオークランドの番地らしい。今作は88risingとの合弁会社Paradise Risingからのリリースで、この会社はフィリピンのアーティストをサポートしていくらしい。英語圏で容易にUSへ持って来れるからというのもあると思うけど、こんな動きがあるのだなーと勉強になった。それはともかく最近のシンギンラップの中ではメロウで聞きやすいしトラックが好みなのも大きい。再生したことツイートしたら本人がRTするというUSのアーティストらしくない対応しててビビった。

4月2日
 C.O.S.Aの新譜で1日がスタート。ラップだけでここまで聞かせられるラッパー今どれだけいるだろうか?めちゃくちゃ最高だった。タイトル通りFeatが多くて、中でもhomarelanka, WELL-DONEというニューカマーが輝いていて感動。知らないかっこいいラッパーはまだまだいるのだなと。KMがここでも2曲提供で本当に縦横無尽の大活躍とはこのこと。クオリティも落ちないからすごい。一番FavoriteなのはDevin Morrisongがプロデュースした「Lyfestyle」という曲。
 

4月3日
 今年初めての野球観戦@東京ドーム。観客数は1万人に絞っており、席同士の間隔も担保されている。飲酒も解禁されていてほぼ通常営業だった。あいかわらず球場で野球を見るのは楽しい。勝ち負けではないところにオモシロさがあると健康的に見れる気がする。こんなこと言ったらスポーツファンの人に怒られそうだけど…かなりガチ勢がたくさんいる席だったようで、お客さん同士が挨拶しあっていて謎のコミュニティがそこにあった。その中でも目を引いたのは二人のおじいさん。飲みながらマスクを外して大きめのボリュームで会話してるものの、明らかにカタギではないので誰も注意しない。一度警備員の人がきて注意したら怒鳴り散らしていてやはりという感じ。で、チャンスのときに手を叩いているのをぼーっと見てたら中指、薬指がないことに気づく。本当に野球場は多様性の塊で1つの球団のファンであるという共通点をもとに集った人たち。こんなこともあるのかと驚いた。最後なんとか負けを逃れる同点タイムリーが出たとき、そのおじいさんはとてもチャーミングな顔で皆と喜んでいた。 ホントThat's life.
 夜、Drive to survive S3を見終えた。2020年のシーズンはコロナの影響もあるし、2021年に大幅なドライバーの入れ替えがあることもあって見どころ盛りだくさんだった。ほぼ全レース見ていたけど知らないことも多くて勉強になった。もともと人間関係に大きくフォーカスした内容でS2は特に意地の悪さが目立ったけど、今回はかなりいいバランスなのも好きなポイント。好きだったエピソードはペレス、ガスリーの優勝エピソード。メルセデス、レッドブルの二強が際立つ中でアンダードッグが勝ち上がる瞬間は最高に気持ちが盛り上がる。F1でいえばホンダ特集のBSで放送されたドキュメンタリーもオモシロかった。ホンダのエンジン開発の現場の雰囲気や当事者のインタビューがたくさんあって楽しめた。これぞエンジニアリングやなーって感じ。作った人はおじさんなんだろうなーと思わせるフォントなど、洗練されてない具合が逆に胸アツというかF1への愛に溢れていた。

4月4日
 奥さんが映画を見に行ったので家でひたすらダラダラ。怠惰の極み。迷走生活の方法を読了。小気味良いテンポで知的好奇心を満たしてくれるエッセイだった。とにかく並行で読んでいる本が重たいので、こういうので散らしつつ…というのが続く。
 MOMENT JOONのクラウドファンディングのリターンのデラックス版のCDが届く。元のオリジナルを無料でもらってしまった背徳感が解消されて良かった。獲得資金でMV撮るらしいので楽しみ。CDで再生してみたけど、やっぱりむちゃくちゃかっこいいし、アートとしてのヒップホップの完成度が超高い作品だなと思う。パーティーシットなヒップホップも好きだけど、このアルバムが評価される土壌がないことが日本のヒップホップの今の限界点な気がするとか言っておく。とにかくもっと評価されて欲しい。

2021年4月4日日曜日

迷走生活の方法

迷走生活の方法/福岡伸一

 福岡伸一の週刊文春での連載をまとめた1冊。「生物と無生物のあいだ」「動的平衡」というベストセラーがめちゃくちゃオモシロくて毎回期待を裏切らない好きな作家の1人。エッセイは初めて読んだけど、やはりオモシロかった。一人称が「ハカセ」でかなり軽妙なトーク調の文体なのが意外。これと文章が超上手いのもあいまってサクサク読める。連載を9章のテーマに分けているのだけども、やはり第一章の「コロナウイルスが問いかけたもの」が気になった。このコロナ禍において生物学者である著者が何を考えているのか知れてオモシロかった。大まかなスタンスとしては「このグローバル社会で広がってしまったのは仕方ないし、ウイルスとは付き合って生きていくしかない」というもの。動的平衡な価値観からすれば破壊と再生を繰り返すのが自然だからとハカセに言われると、この無限とも思えるウイルス対策に対する諦念のような気持ちも芽生えてくる。ただウイルスに対する過剰な防衛反応に疑義を唱える一方で、乗った電車にすごい咳をしている人がいて車両を移動したと正直に話しているところがバランス感覚の良さを感じる。つまり理性で判断できる部分と直感の違いをこのエピソードで示しているというか。「コロナはただの風邪!」みたいな強い言葉で断じるのではなく、それこそ思考は動的平衡だよなと思ったりした。
 エッセイは切り込む角度が大切なのは何度も言っているが、コロナ然りScienceの切り口で色々と語ってくれているのは貴重な話だと思う。知らないことを知る知的快楽もあるし、それがそう見えているのか!というアハ体験に近い感覚もある。この手の書籍はアーカイブの意味でも電子書籍として欲しいけれど著者の作品はいずれも電子化されておらず残念…(その理由も本著内で語られていて、本から電子書籍へ移行しつつあるユーザーとしてはごもっともな意見なのは分かりつつ…)勉強する理由を解説しているエッセイがあり、これまで色々聞いた勉強論で一番シンプルだけど芯をついていると思うので引用しておく。

生身のからだは一年も経てば、物質レベルでは、全くの別人になる。動的平衡が分解と合成を繰り返し、生命のあらゆる構成成分を入れ替えてしまうから。(中略)それと同時に自分自身の精神も作り変えていく必要がある。なぜなら私たちの心はすぐに、右とか左とか上とか下とか、日本とか米国とか、ありとあらゆる既成の言葉に絡め取られてしまうから。そこから脱却して新しい自分を作り出すことが人生で一番大切なことのはず。(中略)勉強するのは自由になるためだと。

2021年4月1日木曜日

2021年3月 第4週

3月22日
 年度末感のあるギリギリ進行の仕事があり頭を抱える。こうならないために自分なりのアラートを鳴らしていたのだけども結果しんどいスケジュールになったことは戒めとしたいところ。異動に伴う引き継ぎをしていると人がやめたときや自分がやめたときのことを思い出す。残された側はいつもしんどいのは世の常だろう。僕はあくまでサポートという立ち回りなんだけども、そうもいかない空気がそこかしこにある。 で久しぶりに忙しくなると難しい読書とか頭入ってこない感覚を久しぶりに味わう。あとテスト勉強もあるので何というか心底休んでいる感覚がない。

3月23日
 最近、家ではLateNightTalesというコンピシリーズをBGMにしている。今度はJordan Rakeiが出すのだけども、過去にさまざまなアーティストによりリリースされている。ソウルやエレクトロなど、いろんなジャンルの音楽があっていい感じのラジオ感が出てBGMにちょうどよい。よかったら使ってください。

 3月24日
 いつぶりか分からない出社。電車はそこまで混んでなかったけど会社に着くと結構人がいた。実際ほとんどメールや電話で仕事のやりとりしているけれど、会って秒で解決するということもあり、対面で仕事進めたい人がいるのも分かるようにはなった。午後、試験のため八重洲まで歩いて移動。オフィス街を音楽聞きながら歩くのはとても楽しいなーと久しぶりの感覚を味わった。テストはそこそこできたかな…という感じ。オフィスに戻ってPCアップデートしたりデスク整理したりした。そのあいだ、目の前でこれから飲み会に行くという話をしてて、しかも飲み屋はどこもいっぱいらしい。会社の帰りに飲みに行って感染して、家庭内感染広まっていくみたいなルートが容易に想像できるけど、こんなもんなんかーと思った。帰り奥さんと合流して蕎麦屋で食事。超久しぶりに外食したので蕎麦及び天ぷらの美味しさに感動…プロの仕事だなと気持ちよくお金を払えた。

3月25日
 通勤の余韻で疲労困憊。今日も午後テストがあり家から比較的近い試験会場へ。住宅街の中にあるなーと思ったら、そろばん教室みたいな会場で全然集中できず。とりあえず終わったので良かった。

3月26日
 年度末も年度末でとても忙しかった。打ち合わせ好きチームに片足を突っ込んでいるので、そこで結構時間取られて忙しくなってしまう。本当にタスク管理なんとかしないといけない。何となく忙殺されて1日が終わった。

3月27日
 内見。実はすでに申し込みは済んでいて、あとはOK出すかどうかだけという案件。立地120点、物件まぁまぁという感じなので見てから決めようということになった。ちょうど桜の開花タイミングで部屋から桜が一望できて最&高。広さも十分で「まぁOKでしょ」という内容だった。家の周りに何でもあるのも良いし緑道が近くにあるのも気分転換に良さそう。ということでほぼ確なんだけども、1日だけ時間くださいと言って帰宅。正直今の家自体はかなり気に入っているから離れるのは寂しい。周辺環境としてもご飯は何でもあるし、どの分野でも美味しいものがある。名残惜しい話もありつつ引っ越すことにした。
 夜、ついにF1開幕!今季はドライバーシャッフルも多いし若い新メンバーも多くて見どころがかなり多い。ゆえにとても楽しみにしていたのだけど、期待通りむちゃくちゃオモシロかった。新メンバーの中でも角田という日本人が参戦しているのが一番の見どころで、しかもQ1でいきなり2位のタイムを叩き出してブチ上がり。その後Q2でミドルタイヤをうまく扱いきれず結局Q2で落ちたけど明日のレースでは何か期待できるのでは?と思った。そしてフェルスタッペンがPP獲得してメルセデスを負かしてシーズンがスタートするという驚きの展開。(そして同じホンダのエンジンであるガスリーも5位!)ハミルトンは余裕のインタビューだったけど今シーズンはひょっとするかも?と思わせてくれるレースだった。

3月28日
 奥さんが外出していたのでゲームしたり本読んだり音楽聞いたりF1のドキュメンタリー見たり。一生ソファに座っていた。これが一番幸せだと思ってしまう人種なので引きこもり生活が推奨されている今、かなり生きやすい時代になっているとも思う。(いざとなったら、すぐに外に出れるからだとは分かっているが)だらだらしながら大阪を読了。面白かったのと同時にいろんなこと思い出し過ぎてエモだった。そして、なんやかんや話し合った結果、引っ越しすることに。埼玉に住むことにしました。さらば東京。
 Paloalto&JUSTHISの4 the youthのリリースから3年を記念してシングルがリリース。新曲が今この音で?という、かなりオーセンティックな調子で驚いた。というのもアルバムのトラックはかなり幅広く色々トライしていたから。世界が不安定だからこそなのか。あと2曲はリミックス。Wayneという曲がめちゃくちゃ好きでそれも入っていて嬉しい。てかこのトラック、JUSTHISがプロデュースしているの知らなかった…F1は深夜だったので明日見ることにして大人しく就寝。

3月29日
 朝からF1を斜めで見ながら仕事。初戦から見どころてんこ盛りでかなりオモシロかった。終盤のハミルトンとフェルスタッペンの耐久戦はハラハラした。ハミルトンのタイヤセーブしながら走る技術がハンパない。また今年は中盤争いがかなり熱くて、順位が頻繁に入れ替わるし色んな因縁が複雑に交差しているのでオモシロさがマシマシ。さらに日本人ドライバーの角田が初戦からポイントをゲット!という胸熱展開も最高だった。こんだけのメンバーいてホンダのエンジンで日本人ドライバーで勝てるというのは嬉しい気持ちになる。藤井聡太くんのように活躍する若者としてバズって欲しい。

3月30日
 スニーカーが届く。asicsをメインに履いていたのだけども、やはりadidasがないと落ち着かない。Forum 84というモデルでゴツい感じなのが良い。あんまり家を出ないので履く機会少ないけど、これでモチベあげて外出するようにしたい。
 大阪、読了。これはもう色んな記憶の蓋が開きすぎて大変だった。やはりホームタウンは大阪だった。並行で読んでいる本がかなり重たい系で全然進まないのでこういうエッセイ系を挟むことで読書ライフを回せるようになったのは大人にになった感じがある。好きなのだけ読めばいいやんという話だけど一定の負荷をかけるとその分伸びしろが出て読書の幅が広がるから頑張りたい。


3月31日
 2020年度最終日。会議とか入ってなかったのでサクサクと自分の仕事をこなして1日が終わった。来年度は組織も大きく変わるし、仕事の分担も変わるので楽しみ&不安である。  日本のヒップホップ、新譜を一気に聞く。それぞれみんなスタイルが違って楽しい。 Tohji×Lootaは攻めまくっているなーという感じでよい。Kid Fresinoと同じくヒップホップの枠を広げる作業をしているのだけど、それを無理なく軽やかにやっているところにかっこよさがある。JP THE WAVYのEPは既存曲の寄せ集めかーと思っていたけど、OZworld、LEXを迎えたWAVEBODYがめちゃくちゃかっこよかった。スタイルウォーズ炸裂!JPは声低いときが好きな派です。0nlyとLil Soft Tennisは同じラインで新世代ミクスチャー系でオモシロい。独特のエモーショナルなメロディをそれぞれ持っていて先が楽しみ。Lil Soft Tennisの方が聞いている音楽の幅広さを感じたのでおすすめ。