2015年6月30日火曜日

新宿スワン



公開から少し経ちましたが、園子温監督ってことで見ました。
脚本が園子温ではなく、
鈴木おさむ、水島力也ということもあり、
全体を見ると結構キツかったです。。
ただ随所に園印は入っていて、
ポイントポイントでは見所がキッチリありました。
(他の監督だったら、大事故になっていたかも。。)
あと俳優パワーも大きくて、
主演の綾野剛、山田孝之、沢尻エリカ、
「みんなエスパーだよ」の園組などなど、
しっかりキャラ立ちしてて良かったです。
物語がギリ破綻する寸前で彼らの力で
なんとか持ちこたえている気がしました。
お話としては綾野剛演じる龍彦が
新宿でキャバクラ、風俗のスカウトマンを仕事で始め、
歌舞伎町を舞台に様々なことに巻き込まれるというもの。
冒頭ダサめのフォントでいきなりタイトルどーん!
と出て、大丈夫なのか…と心配するのも束の間、
どつき合いから始まるので少し安心。
伊勢谷友介に拾われ、彼のスカウトマン人生が始まります。
街で見かけるけど、どういった仕事なのか、
あんまり理解していなかったので、
そのシステムが分かったのは良かったです。
あと「風俗で働く子は幸せじゃない」という
価値観に対して喝破するのも
カマシとして良かったと思います。
龍彦はスカウトマンとして日々修行していくと同時に、
ライバルであるスカウト会社との抗争に巻き込まれる。
不良のパワーゲームが個人的に好きで、
クローズZEROに近い感覚がありました。
園監督ということで暴力描写は攻めてて、
ペットボトルを使った指折り、
ボーリングを使ったバイオレンス等、
しかもこれを山田孝之が担っているのが最高過ぎた!
みんなエスパーだよの布陣もよくて、
安田顕、深水元基が最高だったな〜
とくに深水元基のオーバーアクトは好きでした。
あとは沢尻エリカですよね。
ここも園監督の手腕というべきか、
とにかくエロく撮られているし、
シャブ中の演技までこなしつつ、
ピュアな部分の表現はスイート!っていうバランス感覚。
彼女主演の園監督作品が見たい!と心底思いました。
ただ、この龍彦周りの女性の話が全体的にイマイチ。。。
前述したパワーゲームとの絡みもあるんだけど、
中途半端な形になり、無駄に上映時間が長い。
さらに終盤のパワーゲームの片付け方も下手くそ過ぎるし、
蛇足展開があまりにも多かったかな?
ラブ&ピースを早く見たいと思います。

2015年6月29日月曜日

グローリー /明日への行進



グラミーおよびアカデミーにおける、
主題歌Gloryのパフォーマンスが話題だった本作。
ブラックミュージック好きとして、
黒人のルーツやこれまでの歩みを描いた作品は
積極的に見るようにしているんですが、
本作は後世に語り継がれるだろう素晴らしき作品でした。
キング牧師を正面切って描いたものなんですが、
ファーガソンでの事件を皮切りに
丸腰の黒人が白人警官に殺される事件が続いている、
今だからこそ刺さる内容だと思います。
(ボルチモアの暴動も記憶に新しいと思います。)
脈々と続く「権利」の話は
深く考えさせられること山の如しでした。
原題はSELMAで、これはアメリカ南部アラバマの街の名前。
そこで起こった血の日曜日事件を題材にした映画です。
キング牧師というと「I have a dream」で始まる演説が
あまりにも有名な訳ですが、彼が実際にどういった形で
黒人に権利を取り戻したのかというのは、
僕は不勉強ながら知らず…
しかし本作を見れば、彼の活動の一部かもですが、
大いに勉強になりました。
冒頭に物語のキーポイントがテンポ良く入ってきて、
ノーベル平和賞受賞、公人ではないキング牧師の姿、
有権者登録の当時の実態、教会での爆破事件。
これたすべてがSELMAに繋がっていく。
特に爆破事件がかなりの衝撃で、
作り手の相当な覚悟をビシバシと感じました。
物語は大きく分けて2つで構成されていて、
ジミー・リー・ジャクソン射殺とセルマでの行進妨害。
ジミーの方は夜中に行進してたら、
警察の暴力による制圧が行われ彼は射殺されてしまう。
彼のおじいさんとキング牧師が
病院で対面するシーンがあるんですが、
おじいさんの無念さがあまりにも辛すぎて、
泣いてしまいました…あまりにも理不尽過ぎる!
この事件を受けてセルマでの行進が企画され、
実行されていくんですが、この1回目の行進で、
またしても白人による暴力がふるわれる。
ここのバイオレンス具合はハンパじゃなくて、
本当に目を覆いたくなる地獄絵図。
同じ人間なのに肌の色が違うというだけで、
ここまで非人間的な行動を取らせる、
排外主義というシステムの怖さを改めて感じました。
あとキング牧師の人間性というか、
私人/公人のバランス問題もとても興味深くて。
マクロに見れば絶対に必要なことだけど、
ミクロに見れば分からなくなるというか、
自分がやらなくても…という気持ちになる。
どこにフォーカスを合わせるかの話。
凡人スケールに落とし込むと、
選挙に行く/行かないっていう問題になるなー
と考えたりもしました。
根本的な話だけど選挙権を得るために
ここまで多くの人間が蜂起するという状況も
日本に生まれ予め権利が保証された時代を
生きてきた僕のような人間にとっては
映画でしか体験できないことだなと思います。
ただ2015年現在、その権利も声をあげないと
守れない状況になりつつあるのは確かで、
その辺りも踏まえると今見るべき作品なのは間違いないです。
そして何かを変えるときには声をあげるだけではなく、
具体的な行動が必要となることもよく理解できました。
当然キング牧師の強烈なリーダーシップを感じる
スピーチの数々も劇中で描かれていて、
パンチラインメーカーだなと思うし、
ゆえに議会でのジョンソン大統領の引用がグッとくる。
そして、エンディングで流れる、
Common&John LegendのGloryで大団円!
見るタイミングで感じ方は異なるだろうけど、
時代を超えて残っていくだろうマスターピース!

2015年6月27日土曜日

マッドマックス 怒りのデス・ロード



予告編が公開された段階でめちゃくちゃ高まって、
マッドマックス1,2,3をすべて見直し、
映画秘宝の特集も読んだりして、
IMAX 3Dにて気合入れて見てきました。
先日見た海街diaryで言語化できない多幸空間が
描かれているということを書きましたが、
本作はもう言葉なんていらねー!
Don't think feel!!とブルース・リーばりに言いたくなる、
圧倒的すぎる映画体験!!
アタマからケツまでアドレナリン出っ放しで、
抑揚なんてクソくらえ!というレベルで、
終始テンションを上げさせられる。
本作をリアルタイムで見れる幸せを何度も噛み締めてました。
お話としては3に近くて、流れ者のマックスが
女性たちと共闘しながら街の権力者を
ブチのめすというシンプルなもの。
冒頭ナレーションから始まり、
髪、ヒゲボーボーのマックスが
奇形のカメレオンを喰っちゃうところから始まる。
この時点で最高に決まってんじゃん!とサムアップ。
興奮そのままに捕まってからのesape、タイトルどーん!
フォー!と思わず声を上げたくなっちゃう!
ここからはエゲツないテンポでカーアクションのつるべ打ち。
IMAXで見てることも伴い、圧倒的ライド感!
しかも、このアクションの多くがいわゆるリアルガチ。
VFX全盛の2015年だからこその尊さ。
本当に感覚的な話だけど、VFXでは出ない味、匂い
といったものを感じました。
あとセリフがかなり少なくて、
画面の力でひたすら押していくパワーゲームスタイルも
IMAXとの相性グンバツで素晴らしかったです。
ディテールを語り始めるとキリがないんですが、
砂嵐が明けたあとはすべてが見所!
バイク集団による谷でのアクション、
火をふくギター野郎、髭男爵等、
敵がめちゃくちゃ魅力的なのが好きでした。
その最たる例が敵ボスのイモータン・ジョー
ビジュアル、言動どれを取っても悪!
って感じで大好きだったな〜
彼の子どもを産むための5人娘が
マクガフィンとなっているのも
21世紀の今だからこそな内容だなと。
つまり、マチズモ全開の荒廃した世界において、
希望の光となり得るのは女性であり、
それをget backする物語な訳です。
女性がかっこいいことを体現するのが、
シャーリーズ・セロン演じるフュリオサ。
隻腕の女戦士という設定に上がらざるを得ないし、
マックスよりも彼女の存在が際立っていると思います。
またエスケープした先に待つのが
おばあさんたちっていうのもオモシロくて、
しかも暴れまわるんだもの!最高じゃん!
マックス&女性集団の必死の逃走劇が繰り広げられ、
ラストのフュリオサvsジョーのところで
完全にサムアップ!
さらにニュークスの利他的行動に号泣メーン!
この物語でもっとも成長・変化したのが、
彼なんだから言うことなし!
いかんせん、映画館で見て映画の圧倒的なパワーに
耽溺することをオススメします!

2015年6月22日月曜日

ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男



タマフルでもジェームス・ブラウンが特集され、
相当オモシロそうだったので見てきました。
山下達郎に言わして世界でもっとも一番歌がうまい男。
そんなジェームス・ブラウンの自伝な訳ですが、
圧倒的なファンクネスにヤラレっぱなしでした!
彼が一番輝いていた70〜80年代を中心に、
どういった形でFUNKの王となったのかが
よく分かって勉強にもなりました。
冒頭、JBの事務所のようなところで、
保険の講演?にJBが銃片手に乱入するという
とんでもないシーンでびっくり!
「オレの音楽の影響を受けていない音楽は存在しない!」
とカメラ目線で高らかに宣言し映画は始まります。
時間軸はシャッフルされるものの、
おおむね幼少期からスターになるまでを
年代ごとに描いていきます。
幼少期が想像以上にハードな環境だったのが衝撃でした…
そこから成り上がっていくのは、
HIPHOPと変わりないなーと思ったり。
特に好きだったのは盟友ボビー・バードとの邂逅シーン。
JBの歌唱力に驚嘆し、まさに運命が決まる瞬間な訳です。
運命という点でいえば、カルト性さえ感じさせる、
教会でのゴスペルシーンも好きで、
彼のFUNKの原点を目撃できる素晴らしいシーンだと思います。
何と言っても本作最大の見所は圧巻のライブシーン!
ホントこれに尽きると思います。
自伝映画の場合、この辺を逃げて本人の内面を
深く描いていく場合があったりしますが、
本作では一切逃げず、むしろ攻めの姿勢で、
主演のチャドウィック・ボーズマンが
見事にJBを演じきっていると思います。
JBのライブパフォーマンスを
ちゃんと見たことない僕のような若い世代にとっては、
彼の動きでさえ衝撃だったことを考えると、
本物のエネルギーはいかほどだったのか…
と遠い目をしてしまうのでした。
そして改めてFUNKという音楽がもつ、
ほとばしるエネルギーに畏敬の念を抱きました。
JBが単なる天才ではなく、
努力を惜しまない天才であったことも劇中で描かれています。
その最たる例がバカンス中の練習シーン。
メイシオ・パーカーとの不毛な「ドラム」のやり取りや、
1拍目の重要性など、どれも彼にしか言えない言葉の数々。
しかし、才能があるがゆえの孤独が彼を襲っていきます。
どんなことがあっても彼を見守ってきたボビーさえも
離れていってしまう瞬間は切なかったなー
ただ、他人に対してジェラスを抱いたり、
自分と同じレベルを他人に要求しなければ、
JBがここまで偉大な音楽家足り得たのだろうか?
と思ったりもしました。
一旦袂を分けたボビーをコンサートに誘う、
JBの健気さとコンサートでのバラードは
これまでの2人の関係を見ているがゆえにグッとくる。
まさにIt's a Man's Man's Man's World!!
自伝ものってどこにフォーカスするかで
印象がガラッと変わるものだと思いますが、
本作はJBフリークにもJBビギナーにもオススメできる
最高のバランスの音楽映画でした!

2015年6月17日水曜日

海街diary



是枝監督最新作ということで絶対見なきゃいけない訳で、
帰省中の大阪で見てきました。
これがもうハンパやない仕上がりで、本当に素晴らしかった!
昨年1位だった6才の僕が大人になるまでに近くて、
何気ない日常を切り取る力とそれを物語に落とし込む力は
さすが是枝監督!と思います。
生きてる中で感じる違和感や一瞬の幸福とでも言いましょうか。
それらが江の島あたりの圧倒的にフォトジェニックなロケーション、
日本最高峰の俳優陣で見れたことに圧倒的多幸感を
胸に抱えつつ劇場を後にしました。最高すぎるだろっ!
主人公は長女:綾瀬はるか、次女:長澤まさみ、三女:夏帆
という3人姉妹。鎌倉の昔ながらの日本の一軒家で
3人で共同生活を営んでいる。
そこへ家を出て行った父の訃報が届き、
葬式へ行ったところ、異母姉妹の広瀬すずの存在を知り、
彼女たちはすずを鎌倉の家へ迎えることを決め、
共同生活がはじまるものの…というお話です。
映画の冒頭、何から始まるって長澤まさみの
足のクローズアップからっていうんだから、
この時点でもう最高最高!な訳です。(not 変態
父の訃報を聞きつけて3姉妹は葬式へ向かいます。
ここの葬式のくだりで印象的なのは、
長女の綾瀬はるかの行動です。
葬式での挨拶をめぐった微妙な距離感の
親せき関係独特のギスギスした感じが好きでした。
この辺りは過去の是枝監督作品でも好きな部分です。
(「歩いても歩いても」で存分に体験できるので
未見の方は是非!)
こうして4人での共同生活が始まっていくんですが、
その様子を見ているだけでも超楽しい!
別に大したことはなく、学校、仕事へ行き、
帰ってきてご飯食べてお風呂に入る。
特別なことは何もないんだけど、たまらなく愛おしい。
彼女たちの生活する姿をずっと見ていたい、
そんな気持ちにさせてくれます。
この辺りが6才〜と似ていて、何気ない日常が
いかに愛おしい瞬間に溢れているか気づかされる。
その中心にいるのが広瀬すず。
こんだけ大物俳優がいる中で、
ほぼ新人の彼女を中心に据えて、
ここまでの物語を構築できるのは、
子役マスターの是枝監督にしかできないこと。
あげたらキリがないくらい、
甘酸っぱさと切なさが散りばめられています。
特に好きだったのは、花火帰りの駅のホームのシーン。
広瀬すずとまえだまえだ弟が
家族について話すんですが、
そこでのまえだまえだ弟の気遣い!
からの浴衣を褒めるところ!
最高最高に決まってんじゃん!
こういった甘酸やユルい生活の中で、
それぞれが抱える問題が描かれていくんですが、
ダイレクトにどーん!っていう訳ではなく、
丁寧な描写を積み重ね、各自のパーソナリティーを
浮きだたせたのち、じわじわと展開していく。
3姉妹と広瀬すずの関係性に萌えまくり。
その一方で葬式で始まり、葬式で終わる本作には
人の生死が濃厚に漂っている。
残された側を繋ぐのは死者の思い出なんだけど、
複雑な関係がゆえに素直には話せない。
それが様々な出来事を通じて、
徐々にほぐれていくのは心が締め付けられました。
(夏帆の竹輪カレーのくだりよ!!)
また、「ここにいていいのか?」
というテーマも刺さる内容で、
本作のような複雑な家庭背景はなくても
皆が人生で考え続けることだと思う訳です。
とくに東京に住んでると、そんな瞬間は多い訳で、
加瀬亮の言葉は重く響いたなー
さらに綾瀬はるかの決断や、
彼女と広瀬すずで迎えるラストシーンは、
胸にグッとこみあげるものがありました。
家族の形は様々で血縁主義な人もいますが、
それよりも互いをリスペクトする姿勢が大切だなー
と思ったりもしました。
言葉で表現するのが野暮な瞬間が
あまりに多すぎるので自分の目で確かめてください!

2015年6月13日土曜日

だれも知らない建築のはなし



最近ドキュメンタリー見てないなーと思いつつ、
サラの状態で見たんですが、めちゃくちゃ興味深かったです!
日本の著名な建築家である安藤忠雄、伊東豊雄、磯崎新の
証言をメインに1970~1990年ごろまでの日本国内の建築に関する、
歴史、経緯を紐解いていくんですが、知らないことだらけで興奮。
監督は日本人なんだけど、
海外の建築家の証言をふんだんに盛り込んでいるので、
極めてドメスティックな内容を客観的な視点で見れる作り。
時間は70分ほどで映画としては短いんですが、
それぞれが当時の心境を語り、歴史を検証していく様子は、
濃厚な本を1冊読んだ感覚に近かったです。
今となっては、安藤、伊東は日本を代表する建築家だけど、
若いころは小規模住宅ばかり手がけていたと。
そんな中で磯崎が国際会議に若い2人を招聘したところから、
本作は始まっていきます。
雑誌の創刊等を含め、彼らを取り巻く状況が徐々に変化し、
彼らの建築家としてのポジションがどうなっていくか。
僕が本作を見て一番ビックリしたのは、
商業建築と公共建築に対する認識の違いです。
同じ建築だし、誰が金出すかの違いじゃんと思ってたんですが、
アウトサイダーな彼らにとっての公共建築は、
1つの認められた称号となりえるというねー
海外の人たちの日本の建築および建築家に対する、
批評性もオモシロくて、
特にレム・コールハースという人が好きでした。
割と日本に対して辛辣な意見を述べた上で、
彼が無機質な東京の建築に影響を受けたと述懐する。
その理由が全然自己主張はないけど、
決まった時間に光がキッチリ射すということっていう…
全体にシニカルな姿勢に好感を持ちました。
80年代のバブル期の建築の話も興味深くて、
金があふれまくった結果、海外の建築家が
日本各地の商業施設を作ったこと、
磯崎がキュレーターとなり、熊本県内の公共施設を
新進気鋭の建築家たちが作りまくったこと、
福岡の公共団地の話などなど。
街を彩る個性豊かな建築がある一方で、
バブル期は土地売買がフォーカスされ、
その上に建つものをないがしろにした時代でもあったと。
酔っぱらったおじさんにありがちな浅ーい、
バブル自慢ではなく建築を通じて時代を分析していく
スタンスはとても興味深かったです。
伊東豊雄の震災復興後の建築の話も共感することが多く、
311以前と変わらないシステムで、
あたりさわりないものを生み出していくことに
何の意味もないなーと思いました。
あと本作を見て強く思ったのは、建築に詳しくなれば、
街に対する解像度がグッと上がるんだろうなということです。
普段は気にしていない街の風景も、
これは誰々がいつに建てたものか~と
物思いにふけることだって可能になる。
(坂口恭平の唱えるところのレイヤーと言えるでしょう)
東京はビルだらけで何だかなぁと思う時もあるけど、
見方を変えればなんて豊かな街なんだ!
と思わせてくれた良き作品でした。

2015年6月10日水曜日

ピッチ・パーフェクト



公開前後に色んなところで
話題になっていたので見てきました。
ド直球アメリカ青春物語だったので、
こんなもん最高に決まってるって話 like D.O
2012年の映画なんだけど、2作目の公開に合わせて、
このタイミングでの公開とのこと。
DVDスルーさえもなってないという…
結果的に見れたのでよかったけど、
カスみたいな邦画毎日何回も上映するくらいなら、
良質な作品を1日1回でもいいから
上映するような映画館あってもいいと思う。
Gleeと比べるとイマイチということも
目にしましたが見ていないので素直にENJOYしました。
舞台はアメリカの大学で、
アナ・ケンドリック演じる大学1年生が主人公。
音楽が好きでDTMで音楽を作ったり、
大学内のコミュニティラジオで働いたり。
そんな彼女がアカペラサークルに入ることになり…
というお話です。
冒頭、大学のアカペラ大会から始まります。
日本だとハモネプの印象が強いと思うんですが、
さすがエンタメ王国アメリカ!って感じで、
強烈なショーとしてのアカペラが炸裂していて、
ここでグッと心を鷲掴みにされました。
あと盛大にゲロが登場する映画に悪いものはない、
という法則も適用できるでしょう。笑
アナケンが入部するアカペラサークルは、
由緒正しきというべきか、強烈なフェミニズム、
女性はこうあるべき!という固定観念が存在する。
それはもろにCAな衣装であったりとか、
痩せているべきとか、品行方正な古い曲ばかり歌うとか、
画一化された女性像といえばいいのかな?
そういったものと新入生の個性豊かさの対比で、
いかにして旧態然としたものを打破していくか、
という話になっていて、とてもオモシロいのです。
徐々に彼女たちなりのスタンスを見つけていくのが
映画の主な内容になるんですが、
とにかくキャラクターが超強烈で最高!
特にレベル・ウィルソン演じるファットエイミーが最高で、
女性版ジョナ・ヒルと言って差し支えない怪演っぷり。
物語の展開でいうと、Riff Offのくだりが好き。
これはアカペラのバトル?って感じのもので、
相手の歌にフレーズで割り込んでいく。
ここでアナケンがThe Black StreetのNo Diggity
Dr.Dreバースをアカペラでキックして、
皆でNo Diggityを歌うっていう、、最高最高!!
しかし、リーダーの凝り固まった考えは変わらないまま、
チームは空中分解してしまいます。
さらにアナケンは恋仲になりそうだった、
アカペラチームの男の子との関係も悪化。
このどん底孤独状態から己の過失を認めOnce Again!!
という非常に類型的な物語なんですが、
そこに音楽と映画があるんだから、
否応無しに上がらざるを得ないわけです。
(ただ練習シーンが少ないのは、
ちょっといただけなかったかな?)
とにかくラストの大学選手権決勝の
エモーショナル具合がハンパじゃない!!
このカタルシスは映画館で体験して欲しい類のもの。
衣装、曲、ダンス、すべてが変わり、
それぞれの個性を生かした構成になっているのが、
前述した物語のテーマと合致していて、
本当に素晴らしいと思います。
(ブレックファスト・クラブの使い方もしかり)
2作目も早く見たいし楽しみ!

2015年6月8日月曜日

グッド・ストライプス



予告編見てオモシロそーだなと思って見ました。

有名な俳優が出てる訳ではないけれど、
とてもグッと来るジワジワ系の素晴らしい映画でした。
監督は岨手由貴子さんという人で、
脚本もオリジナルで担当されています。
雨後の筍ごとく周りが結婚しまくりで、
僕自身も結婚って何だろなーと考えることが多い中で、
自分の考えに非常にfitする内容で、
イイ余韻とともに劇場を後にした次第です。
主人公はあるカップルで、交際は4年に渡りマンネリ状態。
そんな中で子どもができたことが発覚し、
結婚することになるものの…という話。
冒頭インド料理屋での食事シーンから始まるんですが、
空気作りが上手いというべきか、
マンネリ感がビシバシと伝わってくる。
そしてタイトルが出るんですが、
水彩画のアニメーションがかわいらしく、
なおかつ彼らの出会いからお付き合いの様子を
スマートに見せてくれます。
それぞれがゆっくりと結婚へと歩み始めるんだけど、
取り立てて劇的なことは起こらず、
結婚までの約半年を丁寧に描かれていました。
描写の積み重ねで主人公および観客にとって、
結婚がどういうものか立体化していく。
一番大きなファクターとなるのは
家族内の関係再構築と互いの家族との関係構築。
当たり前と言えば当たり前のことだけど、
互いの家族が一癖あることで、
とてもオモシロくなっていると思います。
夫の方は両親が幼い頃に離婚していて、
医者である母親に育てられた母子家庭。
結婚を機に父と会い、上手く話せないものの、
失った時間をゆっくり取り戻していくのが好きでしたねー
万年筆を巡る父への隠しきれない憧れも然り、
デスク周りのレイアウトがそっくりという、
さりげない演出も好感を持ちました。
しかし終盤にかけて、心がヒヤッとする展開が
待っていてそれもねーお父さんが悪いのかと言われれば、
そんなことないけど、自分の父親だったら絶対耐えれない!
夫を演じているのは中島歩という人で、
東出タイプというべきか朴訥な演技が
芯はあるけど表にはあまり出さないという役に
ハマってて素晴らしかったです。
(流されちゃう感じが好きでビッチとの一夜も最高)
一方の妻の方は家族と超仲悪い訳じゃないけど、
あまり上手くいっていない。
実際、妊娠のことも家族に打ち明けない。
特に妻の姉のキャラがパンチ効いてて最高最高!
あと、いくら4年の関係があっても知らないことは
当然あるっていう展開も好きでした。
(そもそも100%理解し合える関係を求めるから、
破綻を迎えるのかもしれないとさえ思う)
妻の方では友人関係の変化も興味深くて、
住む世界が分断されていく切なさというべきか。
身体的な変化はこういうことも起こるのなー
と思ったりもしました。
妻を演じるのは菊池亜希子で勿論5億点。
(彼女出演の作品だと森崎書店の日々がオススメです。)
この2015年にデキ婚どうこう言う人がいるのか
分からないけれど、妊娠がギアとなって、
2人で幸せを見つけたっていいじゃない!
という提示は非常に重要だと思います。
他者を必然的に巻き込む結婚というイベントに
懐疑的な僕のような人間でも本作を見ると、
誰かと生きていく面倒さも含めて、
それが楽しいのかも!と思えるんだから、
本当に素晴らしい作品。オススメ!

2015年6月6日土曜日

ロスト・リバー



俳優業を休んでいるライアン・ゴズリングが
監督を務める作品ということで見てきました。
俳優の人がなんとなく監督しました〜
みたいな小○旬的なものではなく、
ガッツリとした作品で見応え十分でした。
上映中に地震があって一旦止まったけど、
本作の磁場の歪み具合とシンクロして、
忘れがたい映画体験となりました。
近年はニコラス・ウェンディング・レフン作品で、
活躍してきたゴズリングですが、
それらの作品群に近い印象です。
さらにホドロフスキーの影響下にあることは間違いなく、
(レフン+ホドロフスキー)÷2で
ちょうど良いバランスな気がしました。
舞台はアメリカ郊外で、住宅ローンを焦げ付かせてしまった、
シングルマザーとその息子が主人公となります。
周りの家もローン地獄でなくなく家を売り払って、
街はゴーストタウン状態。
彼らは家を売らずに家賃を払うため、
それぞれが画策するものの…というお話です。
冒頭、小さな子どもが遊んでいる牧歌的なシーンから始まり、
アメリカのカントリーな風景が映されます。
そこから繰り広げられるのが、
ディストピアと言っても過言ではない、
美しいと思われた街でのサバイブ
メインとなるのは息子なんですが、
人が居なくて仕事もない街だから、
廃墟となった街で銅を集めて廃品業者に売ろうとする。
けれど、街のボスである男に商売を妨害される。
一方の母はローン先の銀行員に紹介されて、
奇怪なレストランでショーの仕事を始める。
このショーがCrazyで人体破壊を主としたものっていう…
ここがホドロフスキーっぽくて、
虚構と現実の狭間にある「何か」とでも言うべきか。
焼かれた自転車とか街のボスのキャラ設定も
同様のことが言えるかなと思います。
このボスがとても好きでブッシュの奥地に、
拠点を構えているとか犬みたいに叫ぶところとか、
逆らったヤツの唇を切り落とすとか。
全部むちゃくちゃで最高最高!
レフンの影響ということで言うと光の使い方かな?
赤色を中心に不自然さも踏まえた原色使い。
主人公が仲良くなる女の子の家の明かりが
ピンクのフラミンゴ型ランプなんですが、
キッチュで可愛くて好きでした。
街全体が呪いにかかっていてという流れで、
主人公、仲良い女の子、母の3人が、
それぞれにとっての呪いを断ち切っていく。
母親は銀行員からの搾取という呪い。
ここが強烈でオッサンのダンスとカラオケという地獄…
一方で女の子の家は放火されて、
痴呆らしき彼女の祖母が逃げ切れず焼死。
女の子は救おうとするものの、
彼女にとって過去の遺物、重荷でしかない訳です。
それをセリフで説明する訳ではなく、
微妙な距離感や祖母の行動で示していくのが
素晴らしいなぁと思いました。
息子は街全体の呪いの元である、
恐竜の頭を川底からもぎ取る。
この頭の使い方がCrazyでビックリしました。。
能動的/受動的はともかく3人は
呪いからescapeし街を出ていく…
アヴァンギャルドではあるけれど、
物語のオモシロさもあるから楽しかったです。
ホドロフスキー、レフン好きにはオススメ!

2015年6月4日木曜日

THE COCKPIT



SIMI LABのOMSBとTHE OTOGIBANASHI'SのBIMが、
2人で曲作りする様子が映画化!という情報を
以前から耳にしていて非常に楽しみにしていた作品。
公開初日に舞台挨拶付きで見てきました。
時間が60分と短いのですが、
HIPHOPのオモシロい部分がギュッと真空パックされていて、
めちゃくちゃオモシロかったです!
当たり前のことなんだけど、音楽を作るのに時間はかかるし、
産みの苦しみが当然ある訳です。
しかし、それが決して辛いものではなく、
遊び、日常の延長戦上で産み出されていく音楽のかっこよさ。
だからHIPHOPが好きなんだよ!と言いたくなるし、
門外漢の人にもHIPHOPがどういった音楽なのか、
よく分かる作りになっていて興味深く見れるはず。
予告編でも流れていましたが、
OMSBの家とおぼしき6畳間から話が始まります。
MPC、エフェクター、ターンテーブルが置かれた、
彼のCOCKPITと言うべきデスク、
そこに置かれた固定カメラを中心に前半は展開していきます。
基本画面がそのショットで固定されていて、
これが退屈だと思う人がいるかもしれませんが、
OMSBがストイックにビートを作っている後ろで、
BIMとHispecがユルく遊んでいる。
その対照的な様子が同じ画面内に収まることで、
彼らの音楽との距離感が分かる機能を果たしていると思います。
前半のビート制作ではHIPHOPの根幹を成す、
サンプリングの手法がよく分かる作りになっています。
僕ら世代だとKREVAの影響でMPC買った人多いと思うんですけど、
彼は「ほらこんなに簡単に音楽作れちゃうよ」
と提示であったのに対して、
本作ではイイ意味で泥臭いMPC使いが収められている。
丁寧にブレイクをチョップし、納得するまで
ひたすらパットを叩き続ける。
HIPHOPの醍醐味であるGrooveの再構築を
目撃できるんだから、こんな楽しいことはありません。
さらに上ネタも弾き無しでサンプリング。
もしかしたら音楽理論的には正解ではないかもしれないけど、
ひたすら彼自身がノレるGrooveを追い求める姿が、
めちゃめちゃかっこいいんだよなー!
ダラダラしてたBIMやHispecもビートに対して、
アドバイスしていき、結果完成するものは、
混じりっけなし、純度100%のHIPHOP!
後半はリリック制作なんですが、
テーマ決めの場面から押さえられていて、
本作最大の見所だと思います。
2人の思考回路のエキセントリックぶりに、
間違いなく驚くだろうし、およそ他の音楽では
あり得ない瞬間が収められています。
ここも彼らの音楽が日常の延長にあることを
強烈に表したシーンだと思います。
ビートとリリックが揃っていざレコーディング。
ここではOMSBが数多くのtakeを重ねる姿を
ひたすら押さえています。
つまり、OMSBがラップを身体化していく瞬間。
OMSBがtakeを重ねることに罪悪感(?)を感じて、
バース前にギャグを飛ばしていくんですが、
それがまたオモシロくてビヨンセのくだりは爆笑でした。
そして完成した曲がエンディングで流れるという、
これ以上ないスマートな仕上がり。
有るようで無かったHIPHOP映画なので、
HIPHOP好きはmustだし、そうでもない人にも
HIPHOPがどういった音楽なのか、
こんなに分かりやすい映画はないと思うので、
皆にオススメでございます!!

2015年6月2日火曜日

チャッピー



ニール・ブロムカンプ監督最新作。
前作のエリジウムがかなり好きだったので、
とても楽しみにしておりました。
結果、同監督作で一番好きな作品となりました。
AI(人口知能)を搭載したロボットである
チャッピーの話なんですが、
こんなにロボットのことを愛おしく思ったのは初めて!
ロボットを通じて人間の弱く情けない部分を見せつけられ、
それに立ち向かうチャッピーの姿が健気過ぎて、
何度も泣いてしまいました…
公開前に日本公開版のeditが問題になっていましたが、
確かに勝手に改ざんすることは良くない。
けれど、これでレイティングが下がり、
子どもが劇場で見れるようになるならOKかなと思います。
(グロ描写は本作の本質ではない訳だし)
舞台は2016年の南アフリカ、ヨハネスブルク。
犯罪大国の南アフリカへロボット警官が導入される。
それによって犯罪は激減した社会において、
このロボットの開発者が新たに産み出したAIは、
まるで子どものように様々なことを学んでいく成長型。
そのロボット、チャッピーがギャングの手に渡り…という話。
ギャング同士のいざこざから始まるんですが、
彼らの描写の恐ろしさからして、
並みの映画ではないことがよく分かります。
全身にくまなく入ったタトゥーと
市井の人間が持ってる訳がない武器の数々。
ならず者たちがスクリーンで暴れるの見れるだけで最高。
(ちなみに南アフリカマジ危ない系映画としては、
ケープタウンがとてもオススメです)
ひょんなキッカケからギャングが、
チャッピーを育てることになるんですが、
起動した瞬間から発生するカワイイ…という感情。
チャッピーの小動物のような動きがそれを引き起こす。
これが母性ってやつなのか!とか思いました。
チャッピーはギャングたちと共同生活するんですが、
このギャングたちが最高でキャラ立ち抜群!
男女2人はDie Antwoordという
南アフリカのラップグループで、
劇中で使われるHIPHOPの曲は彼らのもの。
銃の撃ち方とかバイオレンスを仕込むくだりは
オモシロかったな〜特に車強盗が可愛さ込みで好きでした。
一方で辛い場面もあって、修行させるために、
チャッピーをギャングがタムロするところへ放置。
まさにカワイイ子には旅をさせろ状態なんですが、
遠慮のない暴力に晒されてしまう。
これに加えてメーカーに対する不信感から、
子どもでいう反抗期を迎えるのが後半。
チャッピーは人間の鏡のように思えて、
人間の善意も悪意も清濁併せ呑むスタンス。
生まれたときからの悪なんていないことがよく分かります。
終盤はロボット警官使っている会社で、
別のロボットを作っている人間による悪巧みで、
ギャングとチャッピーをぶっ殺しにきます。
(editはこのシーンの一瞬だけとのウワサ。。)
阿鼻叫喚の地獄絵図の中で、
チャッピーが覚悟を決めるシーンは号泣メーン!
自らの命は少ないけれど、
大切な人達を守りたいという利他意識。
暴力はダメなことって分かっているのに、
ヒュージャックマンをボコボコに知るシーンも切ない…
むき出しの暴力の恐ろしさを体感しました。
ラストの終わり方も結構衝撃で、
病院行ったら助かるんちゃうかなと一瞬思ったけど、
チャッピーが思いつく救出としては説得力あり。
持たざるものが懸命に生きる術を見つけ出し、
精一杯生きていくというのは、
同監督の特徴と言って言いと思うし、
本作もオススメでございます!

2015年6月1日月曜日

ラン・オールナイト



フライト・ゲームと同監督で、
同じく主演がリーアム・ニーソンということで見てきました。
ジャンルムービーなんだろうなぁと思っていたら、
予想を遥かに超える良作。
ニーソンがめっちゃ強いお父さんという、
新しいジャンルムービーと言えるんだろうけど、
かなり僕は好きでした。
それこそ96時間1作目を見たときに近い感覚。
マイケル・マンの映画群を分かりやすく、
体温高めで作ったと言ってもいいと思います。
昔仲よかったおじさん同士が息子の命を巡って、
NYの街で殺し合うだなんてオモシロくない訳ないじゃん!
主人公はニーソンで、酒場に入り浸るダメ親父。
しかし、彼は昔殺し屋でボスのエド・ハリスに、
長年忠誠を尽くしてきたこともあり、
エドだけがニーソンのことを気にかけてる。
同じ死線をくぐり抜けてきた盟友。
そんな中で息子同士でいざこざがあり、
それを仲裁したニーソンが偶発的に
エドの息子を射殺してしまう。
その結果ニーソン親子はNYを仕切るエド軍団に
命を狙われてしまい…といお話。
冒頭土手っ腹を打たれたニーソンが
森の中で苦しんでいるところから始まり、
今回は弱い系?と思ってたら夢オチで
酒場で寝ているところから物語は始まります。
はじめにいかにリーソンが落ちぶれた、
ダメな男かというのが徹底的に描かれる。
エドの息子に金借りるところや、
金借りる対価としてサンタを演じさせられたり。
とても切なくなるシーンが多い。
そんな彼に優しいのがエドで、
昔使っていたベッドで2人で思い出を語り合うところは
完全にホモソーシャルなイチャイチャ。
仲良いところを散々見せつけたあとに、
どうしようもない現実が彼らを襲い、
殺し合いを始めるがゆえに、
切なさがぶっ刺さる作りになっています。
しかも、その現実っていうのが、
20歳overの息子の銃撃戦っていうのが笑える。
ただ、この息子同士の殺し合いシーンは
迫力満点で大好きでした!
かっけー!と思わず言いたくなる。
(ガキがNasのNastyを全かぶせで自撮りしてるのカワイイし)
舞台がNYなのでいわゆる摩天楼の美しさもさることながら、
フレッシュなのはプロジェクトを舞台にしたシーン。
そこを舞台にする必然性も用意されてるのでNice!!
しかも、追っかけてくる殺し屋を演じるのが
ラッパーのCommon!!
ヒップホップ好きとしては上がらざるを得ない構成。
でも、このCommonの殺し屋の存在がノイズなんですよね…
それこそイコライザーばりのギミックとかあればいいんだけど、
ニーソンとの過去の因縁を匂わしつつも、そこは未回収だし。
特にラストで出てきたときは「マジで死んどけよ!」
と心の中で叫んでしまいました。。
ニーソンははじめ何とかエドと手打ちにしようと画策するものの、
エドは息子を失った悲しみから、
「テメーの息子をぶっ殺して同じ気持ち味わせる!」
と言ってニーソンとの交渉に応じない。
我慢の限界を迎えたニーソンが、
「アンタのやり方で一線越えさせてもらいますさかいに、
よろしゅう頼んますわ」といってからの
ミ・ナ・ゴ・ロ・シは最高最高!
とくにエドと電車置き場でのタイマンは、
もろにマイケル・マンっぽい作りで好感大。
ぶっ殺したあとのニーソンの切ない顔よ!
It's A Man's Man's World!!
ラスト手前の息子とニーソンの和解シーンも素晴らしくて、
感傷的になり過ぎない絶妙の温度。
ここが素晴らしい分、前述したCommonの登場が
蛇足に見えてしまうんですなー
ただ、それをリカバーするエンディングで、
日常に戻った息子の鏡のもとには…っていうねー
そこのキレ味も素晴らしかったと思います。
「ニーソンまたか。笑」みたいな人は
騙されたと思って見て欲しい作品でございます!