2015年6月6日土曜日

ロスト・リバー



俳優業を休んでいるライアン・ゴズリングが
監督を務める作品ということで見てきました。
俳優の人がなんとなく監督しました〜
みたいな小○旬的なものではなく、
ガッツリとした作品で見応え十分でした。
上映中に地震があって一旦止まったけど、
本作の磁場の歪み具合とシンクロして、
忘れがたい映画体験となりました。
近年はニコラス・ウェンディング・レフン作品で、
活躍してきたゴズリングですが、
それらの作品群に近い印象です。
さらにホドロフスキーの影響下にあることは間違いなく、
(レフン+ホドロフスキー)÷2で
ちょうど良いバランスな気がしました。
舞台はアメリカ郊外で、住宅ローンを焦げ付かせてしまった、
シングルマザーとその息子が主人公となります。
周りの家もローン地獄でなくなく家を売り払って、
街はゴーストタウン状態。
彼らは家を売らずに家賃を払うため、
それぞれが画策するものの…というお話です。
冒頭、小さな子どもが遊んでいる牧歌的なシーンから始まり、
アメリカのカントリーな風景が映されます。
そこから繰り広げられるのが、
ディストピアと言っても過言ではない、
美しいと思われた街でのサバイブ
メインとなるのは息子なんですが、
人が居なくて仕事もない街だから、
廃墟となった街で銅を集めて廃品業者に売ろうとする。
けれど、街のボスである男に商売を妨害される。
一方の母はローン先の銀行員に紹介されて、
奇怪なレストランでショーの仕事を始める。
このショーがCrazyで人体破壊を主としたものっていう…
ここがホドロフスキーっぽくて、
虚構と現実の狭間にある「何か」とでも言うべきか。
焼かれた自転車とか街のボスのキャラ設定も
同様のことが言えるかなと思います。
このボスがとても好きでブッシュの奥地に、
拠点を構えているとか犬みたいに叫ぶところとか、
逆らったヤツの唇を切り落とすとか。
全部むちゃくちゃで最高最高!
レフンの影響ということで言うと光の使い方かな?
赤色を中心に不自然さも踏まえた原色使い。
主人公が仲良くなる女の子の家の明かりが
ピンクのフラミンゴ型ランプなんですが、
キッチュで可愛くて好きでした。
街全体が呪いにかかっていてという流れで、
主人公、仲良い女の子、母の3人が、
それぞれにとっての呪いを断ち切っていく。
母親は銀行員からの搾取という呪い。
ここが強烈でオッサンのダンスとカラオケという地獄…
一方で女の子の家は放火されて、
痴呆らしき彼女の祖母が逃げ切れず焼死。
女の子は救おうとするものの、
彼女にとって過去の遺物、重荷でしかない訳です。
それをセリフで説明する訳ではなく、
微妙な距離感や祖母の行動で示していくのが
素晴らしいなぁと思いました。
息子は街全体の呪いの元である、
恐竜の頭を川底からもぎ取る。
この頭の使い方がCrazyでビックリしました。。
能動的/受動的はともかく3人は
呪いからescapeし街を出ていく…
アヴァンギャルドではあるけれど、
物語のオモシロさもあるから楽しかったです。
ホドロフスキー、レフン好きにはオススメ!

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