2015年6月4日木曜日

THE COCKPIT



SIMI LABのOMSBとTHE OTOGIBANASHI'SのBIMが、
2人で曲作りする様子が映画化!という情報を
以前から耳にしていて非常に楽しみにしていた作品。
公開初日に舞台挨拶付きで見てきました。
時間が60分と短いのですが、
HIPHOPのオモシロい部分がギュッと真空パックされていて、
めちゃくちゃオモシロかったです!
当たり前のことなんだけど、音楽を作るのに時間はかかるし、
産みの苦しみが当然ある訳です。
しかし、それが決して辛いものではなく、
遊び、日常の延長戦上で産み出されていく音楽のかっこよさ。
だからHIPHOPが好きなんだよ!と言いたくなるし、
門外漢の人にもHIPHOPがどういった音楽なのか、
よく分かる作りになっていて興味深く見れるはず。
予告編でも流れていましたが、
OMSBの家とおぼしき6畳間から話が始まります。
MPC、エフェクター、ターンテーブルが置かれた、
彼のCOCKPITと言うべきデスク、
そこに置かれた固定カメラを中心に前半は展開していきます。
基本画面がそのショットで固定されていて、
これが退屈だと思う人がいるかもしれませんが、
OMSBがストイックにビートを作っている後ろで、
BIMとHispecがユルく遊んでいる。
その対照的な様子が同じ画面内に収まることで、
彼らの音楽との距離感が分かる機能を果たしていると思います。
前半のビート制作ではHIPHOPの根幹を成す、
サンプリングの手法がよく分かる作りになっています。
僕ら世代だとKREVAの影響でMPC買った人多いと思うんですけど、
彼は「ほらこんなに簡単に音楽作れちゃうよ」
と提示であったのに対して、
本作ではイイ意味で泥臭いMPC使いが収められている。
丁寧にブレイクをチョップし、納得するまで
ひたすらパットを叩き続ける。
HIPHOPの醍醐味であるGrooveの再構築を
目撃できるんだから、こんな楽しいことはありません。
さらに上ネタも弾き無しでサンプリング。
もしかしたら音楽理論的には正解ではないかもしれないけど、
ひたすら彼自身がノレるGrooveを追い求める姿が、
めちゃめちゃかっこいいんだよなー!
ダラダラしてたBIMやHispecもビートに対して、
アドバイスしていき、結果完成するものは、
混じりっけなし、純度100%のHIPHOP!
後半はリリック制作なんですが、
テーマ決めの場面から押さえられていて、
本作最大の見所だと思います。
2人の思考回路のエキセントリックぶりに、
間違いなく驚くだろうし、およそ他の音楽では
あり得ない瞬間が収められています。
ここも彼らの音楽が日常の延長にあることを
強烈に表したシーンだと思います。
ビートとリリックが揃っていざレコーディング。
ここではOMSBが数多くのtakeを重ねる姿を
ひたすら押さえています。
つまり、OMSBがラップを身体化していく瞬間。
OMSBがtakeを重ねることに罪悪感(?)を感じて、
バース前にギャグを飛ばしていくんですが、
それがまたオモシロくてビヨンセのくだりは爆笑でした。
そして完成した曲がエンディングで流れるという、
これ以上ないスマートな仕上がり。
有るようで無かったHIPHOP映画なので、
HIPHOP好きはmustだし、そうでもない人にも
HIPHOPがどういった音楽なのか、
こんなに分かりやすい映画はないと思うので、
皆にオススメでございます!!

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