2013年9月29日日曜日

仁義なき戦い 広島死闘篇



第2弾ですよ。続けて見ました。
山守組の菅原文太は出てはいますが
あくまでサブストーリー扱いで
若かりし北大路欣也が演じる山中の話。
彼も前作の菅原文太同様、ある意味真面目だから
組の末端として、利用されまくる。
本作はそれだけじゃなくて、山中のラブストーリーでもある。
その相手が梶芽衣子。5億点です。超SEXY。

タイトルにも死闘篇とあるように
本作はモロに組同士の抗争の話なんですね。
山中の所属する村岡組の敵が大友組で、そのボスが千葉真一。
オレの知ってる千葉真一は「SAMURAI」を
外国人に対して体現してるオジさんというイメージ。
でも本作では血がほとばしるくらい下品w
そして、田我流の「Straight outta 138」という曲で
引用されてるのが大友のセリフなんですな〜

出てる俳優は1作目のほうが豪華ですが
個人的には2作目のほうが好きでした。

仁義なき戦い



地獄でなぜ悪いを劇場で2回目をきっちり見た帰りに
仁義なき戦いってちゃんと見たことないなぁと思い立ち、
そのままレンタルした次第。
これを参照していないヤクザ映画なんて無いんだろうし
ベースにした映画をこれまでたくさん見てきた訳ですが
とんでもなくオモロいやないかい!って感じでした。

これがヒットしたことをきっかけに
シリーズ化される訳ですが
皆様が知ってる俳優が一番多く出てるのが本作。
菅原文太、松方弘樹、梅宮辰夫、田中邦衛、渡瀬恒彦など。
漢の中の漢しか出ていないぜ!
そして、ほとんど死ぬけど、全員かっけー!
ヤクザ同士の抗争というよりも
内部の権力闘争という色合いが強かったです。
あとヤクザが形成される過程がこんな感じだったのね。
という勉強にもなりました。(勉強なのか…?
菅原文太が主役なんですが、
彼なりに仁義を通す形で、人殺しを重ねる姿は何とも切ない。
最初はチーム萌えで見てたんですが
徐々にそれぞれの欲が出てきて、組が内部から崩壊していく。
ラストが最高でした。
アウトレイジ・ビヨンドのラストは、本作のラストをふまえて、
あのエンディングになったと聞きました。
そのくらい強烈ということです。

オレみたいに何となく見れていない人は
これを機会に是非見てください。

2013年9月28日土曜日

そして父になる


特定の映画館で先攻公開されていたので、ソッコーで見ました。
是枝監督作品にやられまくっているので、期待値は相当高まってましたが
それははるかに上回る作品でした。。。
予告編は物語のあらすじと良い部分の切り貼りなので
感動作っぽく見えますが、それよりも「家族」とは?
「親」とは?「子」とは?というところを
非常に切り詰めて、描いています。
これまでも「誰も知らない」を筆頭に
「家族」をテーマにしてきた作品が多いですが
今回は言い訳、ロジックのきかない「血」の話。
まるで解けないパズルを2時間かけて解かされているような…
それを見ながら、一緒に考えさせられる映画でした。

福山×尾野とリリー×真木がそれぞれ夫婦で
その子どもが取り違えられていたという話。
福山はエリートサラリーマンで、父親としての威厳を保っている。
冒頭で幼稚園受験から始まり、都内の高層マンションに住んでいて
幸せそうな家族像が見せられる。
そこから出生時の子どもの取り違いが発覚する。
子どもはすでに6歳。明らかに意思がある年齢。
簡単に取り替えて、はい終わり。という訳にはならない。
血のつながりを優先しますか?
それとも、これまで過ごしてきた時間を優先しますか?
という問題になる。

この2つの家族は非常に対照的で
リリー×真木は街の電気屋で貧しい。
服装とかも福山×尾野がモノトーンなのに対して
リリー×真木は原色ガンガン。それは食事シーンも同様。
福山雅治目線で終始物語が進行しますが
彼は父として、さらにはヒトとして
自分の価値観を強烈に持っていて、子どもにも押しつけがち。
そして「血」のつながりに重きをおいている。
そのカウンターとしてのリリーはフラフラしてて
自分の確固たる価値観はないけど、子ども目線になれる。
どちらかといえば「時間」に重きをおいている。

それぞれの家族の色々な背景を見ていくうちに、
いったい子どもにとって
何が幸せなんだろうかという問いが頭の中を走り続ける。
大人になった今では高層マンションなりがstatusにも思えますが
子どもにとっては自分と遊んでくれるとか
目で見て明らかにわかる凄さ(オモチャ直すとか)を持っている
大人のほうが良く思えるのは当然な訳で。
どっちが正しいとかない訳ですよ。
それぞれの価値観にゆだねられてるから。
物語上では福山が人の気持ちの分からない役回りを担っているけど
それだって、いざ自分が彼の立場になったときに
どう振る舞えるのか?とずっと考えていました。
前述したとおり、親も対照的なんですが
その子どもも対照的。(それは当然といえば当然な話ですが)
福山雅治のバックボーンも明らかになり、辛い気持ちになり、
それぞれの子どもの行動をきっかけに「父になる」のです。
(カメラのギミックのところは号泣メーン!)
なんといってもクライマックスが本作の見所です。
福山雅治が道を挟んで子どもに語りかける。
あんだけ意固地なやつが初めて見せる「父」の姿。
「血」を超越する思い。ここも泣いてしまったよ。。。
個人的には最近見た共喰いに対するカウンターとして
救われたような気持ちになりました。
見終わったあと、語り合える良い映画!

2013年9月27日金曜日

高地戦



去年映画館で見逃していたので、DVDにて。
プライベート・ライアンよろしくなバキバキの戦争映画。
本気の戦争映画は本当の反戦映画となるのがよく分かる。
これ見れば、戦争に行きたいだなんて誰も思わないはず。
舞台は朝鮮戦争。当時は停戦協定の締結が難航し
38度線で戦いが拮抗している。
その中でも、ある高地は戦闘が激しく
毎日のように北と南で支配権が変わる。
その高地のある場所にお互いの国が持っている
嗜好品であったり、手紙であったりを埋めておいて
交換するんですね。普段はお互い殺し合っているのに。
前も書いたかもしれませんが
北朝鮮と韓国の戦争は
東京と大阪で戦争しているもんだという話があって。
それは極論すぎやろと思ってたんですが
この映画見ると、それも大げさじゃないのかもと思いました。
話す言語も同じだし。敵国に家族がいたりするし。
戦争で割を食うのは最前線の人間っていうのも分かる。
韓国側の視点から主に描かれる訳ですが
この韓国軍のやつらが最高なんすよね。皆イイ顔してる。
感情移入してしまうから、最後の戦いが辛い、、、
停戦は決まったにも関わらず、国としての領土争いのために
尊い命がガンガン失われていく。
心に響く戦争映画でした。

2013年9月25日水曜日

エリジウム



第9地区の監督最新作が、マット・デイモン主演の
ビッグバジェットで見れる!ということで鑑賞。
町山さんや宇多丸師匠が絶賛するほど
前作の第9地区が好きではなかったんですが
本作は間違いなく、今年トップ10に入る作品だと思いました。
めちゃくちゃオモシロかったです。
物語の設定は「アップサイドダウン 重力の恋人」 に近いですが
作り込みが雲泥の差。ツッコミどころが少ないから
自然にこの映画のもつ世界観に入り込めました。
21世紀末の話で、地球は環境汚染やら何やらで全世界がスラム状態。
一部の超富裕層が地球外のコロニー、エリジウムに移住している。
そこでは歳も取らなけりゃ、病気にもならないユートピア。
(病気になったとしてもスキャンして一瞬で治る)
主人公のマット・デイモンは元々銀行強盗で
今は真面目に工場で働いている青年。
不慮の事故で、余命5日になってしまう。
自分の命を救うために、エリジウムに向かうという物語です。
この物語がフィクションだと言い切れないところが
最近の怖い話でもありますよね。
まさに今のアメリカを象徴しているとも言えるでしょう。
スラムだからといって野放しな訳ではなく、
すべてロボットで管理されている。
富裕層は自分たちの手を汚すことなく地球を統治している。
しかも、主人公の働いている工場は
自分たちを取り締まるロボットの生産工場。
この抜けられない無限ループに絶望を感じるし
十分な負け犬設定だと思います。
前述したとおり、事故ってしまうんですが
それをきっかけに体にアーマーみたいなのを
装着してパワーアップする。
パシフィックリムみたいなゴツゴツしたのも良いですが
有機物×無機物の掛け合わせで、
ほどほどに強くなる設定に好感を持ちました。
エリジウム行きのチケットを得るため、
自分の会社のCEOを拉致って、頭のデータを引き抜く。
これが本作の一番の肝なんですが
世界をRebootするデータなんですね。
すべてが機械でコントロールされている社会で
そのヒエラルキーの末端の人間がルールを変える!
この設定でアガらない訳がない!
エリジウムに到着してからは、どっしゃんがっしゃんのバトル。
ラスボスとの対決も見せ所多くて良かったっす。
物語のおとしどころも非常に綺麗。
富の再分配というか、
これまで疎ましくも思っていた「システム」に救済される。
長々書いてきましたが、ロジックがしっかりしてるから
飽きないし、ツッコミどころも気にならない。
今年見たアクションではかなり良いほう!

2013年9月23日月曜日

共喰い



原作が芥川賞受賞したときに読みたいなぁと思っていたら
ときが流れるのは早く、映画化されたと聞き
原作を読んだ後、鑑賞しました。
監督が青山真治で、周りには結構好きな人多いんですが
オレは前作の東京公園がハマらなかったんですね。
で、本作はどうだったかといえば、最高というか
サッドヴァケイションのときに感じた
地方独特の閉塞表現はやっぱりすげえ!
それに加えて思春期の閉塞感のダブルパンチで強烈でした。

主人公は17歳の高校生で、親父と義母(内縁)と住んでいる。
親父役を光石研が演じてて、この人の問題点は
ヤリチンかつSEX中に女性に暴力をふるうことで快楽を得るということ。
本当の母親も同じ町に住んでいて、川の対岸で魚屋を営んでいる。
この人は戦争のときに片手を失い、義手。
そして、演じてるのが田中裕子。
TVドラマのWomanも満島ひかりと凄まじい演技合戦やってましたが
本作でも、その演技力を存分に見せつけてくれています。

これらの登場人物を通じて、何にもない田舎町における
SEXとバイオレンスが生む地獄をまざまざと見せつけられる。
本作はそこに対して、なんのブレーキもない。
おっぱいボロンはもちろんんこと、チ○コ、あげくは精液まで。
原作をすでに読んでいて、こういった描写を省いちゃうと
この小説の持つ良さが消えるかもと心配していたんですが
そんなものは取り越し苦労でした。
逃げの姿勢は皆無。攻めてます…
これに加えて、原作にある細かい風景描写までもが
結構忠実に再現されていました。

複雑な家庭環境で育った息子はSEXに夢中。
しかし、逃れられないカルマとでも言いましょうか。
息子も彼女に暴力をふるってしまうんですね。
親父のことは尊敬もしてなけりゃ、好きでもない。
でも、親父の子であることを自覚するのが
SEX中に暴力をふるい、快楽を得る瞬間というね。
血には抗えないのか…
息子の1人称ナレーションなのに
それを親父役の光石研が最初から最後までやってることに
すべてが象徴されていると思います。
映画版は原作に少し付け加えています。
母親の刑務所のところでは
そんなデリケートなところまでぶっ込むのかよと驚き、
2人の女性とのSEXではカルマを更に強調するもので。
この映画は父殺しの映画ではあるんですが
結局息子が乗り越えた訳ではないから
この結論で筋は通っているんですが…
辛いなぁって感じでした。

原作→映画がオススメです。

シリアル・ママ



したまちコメディ映画祭で上映されたんだけど
見逃してしまったんだけど、DVDにて。
TSUTAYAの名作復刻シリーズは本当に助かる。
コメディホラーともいうべき内容で、とてもオモシロかったです。
近年、モンスターペアレンツが問題になっていますが
そういう人達は本作を見て、我に帰って欲しいです。

ある4人家族の話で、最初見ると典型的に幸せなアメリカンファミリー
何が違うかといえば、母親が少し怒りやすいw
その怒った結果、どうなるかといえば殺しちゃうんですね〜
殺し方が一つ一つオモシロい!
息子の懇談会で先生にボロクソ言われたから
車で何回もひいて殺す。
娘の恋人が他の女といちゃいちゃしていたから
棒でブッ刺して殺す。そのときレバーが取れちゃったり。
歯科医の夫を休日出勤させた夫婦をぶっ殺す。
一番好きだったのは、警察から逃げてる最中に
息子のバイト先で悪態ついたババアを殺すところ。
一旦使おうとしたハサミをやめて、ラムの塊でぶん殴る。
ここまで読むと、どんなバイオレンスムービーやねん!
と思う方もいるかもしれませんが
すべてがファニーに見えるからいいんですね。

最後、息子の同級生をステージで火だるまにして逮捕されます。
そこからは法廷クライムものになるんですが
なんとセルフ弁護するというねw
真面目に見ればツッコミどころばかりですが
コメディだから笑えちゃう。
結局最後は無罪を勝ち取るんだけど
その判決の直後に陪審員をぶっ殺す。
理由が超笑えるので、是非見て確認してください。

凶悪



リリー・フランキー×ピエール瀧×山田孝之で映画。
しかもタイトルが凶悪!という最高の組み合わせの本作。
実際にあった事件をベースにしていて、そのルポも出版されています。
それを読んでから鑑賞したんですが、映画ならではの味付けがされていて
とても楽しんで鑑賞しました。

ピーエル瀧が死刑囚で、彼が世に出ていない余罪が3件あると
ジャーナリストの山田孝之に告白する。
その余罪の首謀者が「先生」と呼ばれるリリー・フランキー
それらを暴いていくクライムサスペンス。
この余罪っていうのが、土地転売や保険金搾取に伴う殺人。
ピエールは元ヤクザなんだけど、人を殺すことに全く躊躇がない。
リリーは自分の手は汚さないけど、人の死を金に換える錬金術師。
実行力のピエール、頭脳のリリー、 この2人のタッグがまさに「凶悪」
ジャーナリストの山田孝之の視点で物語が進んでいく。
ピエールの証言をベースに、取材を続けていくうちに
彼の言っていることがウソではないと分かり、事件の虜になっていく。
原作にはなかった要素として、山田孝之の家庭環境が描かれています。
彼は既婚者で、痴呆症の実母と同居中。
奥さんがその介護で疲れ果てているんだけど
山田孝之は事件に没頭しているため、相手にしないんですね。
このエピソードがのちにとてつもない重みを持って
こちらに問いかけてくるだなんて、見ている間は思いもしませんでした。
取材を続けているうちにリリーの昔の事務所に辿り着き
中を覗き込んだ瞬間から、ピエールとリリーの極悪タッグが
行ってきた数々の悪の所業がスクリーンに展開される。
これらの蛮行はほとんど原作に忠実。
つまり、現実にあんなことを行っていたということ。
すげー酷いけど、最高に楽しい。
特に借金まみれの家族に依頼されて行う保険金殺人での
じじいに酒を飲ませて殺すシークエンスは超怖い。
単純に殺すほうがどんだけマシか…見て感じてください。

山田孝之は一連の事件を記事にして、告発し
保険金殺人が立件されて、リリーは逮捕される。
ここからは山田孝之の物語。
この事件を暴くことに狂い、その暴いた結果が…というね。
人の持つ懲罰願望を見事に描いていると思うし
徐々に狂気を秘める山田孝之の顔よ!
あとのピエールのくだりは
「シークレット・サンシャイン」という映画を思い出しました。
そして、前述した痴呆の母を老人ホームに入れるんですが
これが保険金殺人とシンクロする。
つまり、預けた先が違うだけで、
面倒なものは排除してしまって
楽になりたい願望という点では同じなのでは?ということ。
やり方が違うだけで、誰もが持っている
人間の側面なんだという落とし方は震えました。

映画→原作で見るのがオススメです。

2013年9月21日土曜日

許されざる者



事前にイーストウッド版も見て、準備万端で鑑賞しました。
TLの評判とか見ると、
あまり良いこと聞いてませんでしたが、十分に楽しめました。
そもそも世界的にウルトラクラシックな作品を
日本でリメイクすること自体が相当無茶な試み。
その点は、あらかじめ考慮しないといけません。
そりゃ元のほうが良いに決まってますよ。
そこで思考停止してダメだという論は
この映画にはあてはまらないと思います。
十分頑張ってたよ!
とか言いつつも、相当原作に忠実な作りなのにはビックリしました。
物語の大筋で変えているところはあるんですが
細かいギミックはかなり忠実だな〜と感じました。
渡辺謙が伝説の人斬り侍で、昔の友人である柄本明と
途中で参加する若造の柳楽君と、ある村の賞金首を狙う話。
その村を取り仕切っているのが、警官の佐藤浩市。
ならずもの vs 警官のバトルが見物な作品。
原作は西部劇ですが、本作は江戸→明治の移行期という設定で
侍の駆逐が行われているし、アイヌがいる北海道への入植も始まっている。
アイヌの話が物語上、結構なウェイトを占めているのが
日本版ならではのところ。
アイヌの話は見ている間は必要なのかなぁと思いましたが
最後に家燃やすところで回収されたので、良しとしています。
そして、これらの舞台設定はうまく機能していたと思います。
日本を舞台にするなら
これしか正解ないんじゃないかなというくらい。

許されざる者を見て感じることは
原作のレビューでざっと書きましたので
興味ある人は前記事を参照くださいませ。

じゃあ、本作の何が良かったかといえば、俳優陣と暴力描写です。
この映画にはハンパな役者が1人も出ていない。
全員が日本トップクラスの人であるから、画面が成立してるなぁと
見ている間に何度も思いました。
これはキャスティングした人がめちゃくちゃエラい!
とくに柄本明が、、、
もうおじいちゃんなのに、そこまでやるんかよ!と思いました。
渡辺謙は言わずもがなです。もう最高ですよ、そりゃ。
唯一「なんだかなぁ」だったのが、佐藤浩市。
演技がダメとかじゃなくて、顔が男前過ぎる。
もっと悪い顔のやつにしないとダメ。
暴力描写はかなり攻めてましたね。
技術の発達もあるかと思いますが、
唯一原作超えたんじゃないかと思うところです。
しっかり「痛い」描写になっているし
自主規制で隠すことも少なかったです。
ここ頑張ったのも物語全体を引き締めることになったと思います。
ラストの落とし方は正直「えっ?!」と思いましたが
大ラスで「悪人」のときばりの顔芸も見れたので満足。

この出来で文句言われちゃうのは可哀想ですが
イーストウッド版を見てない人は
それを見て比較しながら見ると
十分楽しめるし、頑張ったな〜と思えるんじゃないでしょうか。

2013年9月19日木曜日

アップサイドダウン 重力の恋人



重力の異なる世界に住む2人の恋愛SF!
という設定が気になり、見ました。
設定一発!というか、それ以上にも以下にもならなかったという印象です。
決してダメとは思わないけど、もっと煮詰めて作れば
オモシロい映画になっただろうな〜と思いました。
どういう話かと言えば、太陽系に双子の惑星があって
上下の世界が空を挟んで、2つある。
(この説明だと分からないので、上の予告編を見てくださいw)
それぞれの惑星の重力で生活してるから、上下が逆になっている。
この2つの世界を繋ぐのは石油会社のビルのみで
下界の石油を上の世界が搾取しているという設定。
下界に住む男と上の世界に住む女の恋物語。
いわゆるロミオとジュリエット形式。
事前に設定知ってたけど、なかなか飲み込み辛い世界観w
けれど、それが物語に対する興味の持続となり
前半はオモシロく見れました。
細々したルール設定があって、それを使った
彼女に会いにいくギミックはおもしろかった。
基本的に下界の男が上の世界に乗り込むところはアガる。
あとオフィスのシーン。
大量でデスクが上下に並んでいるのはオモシロいし
普段の生活ではまさに天と地ほど離れているのに
その会社内が上下界が最も近接する。
近いのに、遠い。切ない。みたいな。
前半はこういったギミックを楽しく見てた訳ですが
後半になってくると、この世界の設定のほころびが目についてくる。
しかも前半以上の情報量がある訳でもないから
よく分かんない世界の底の浅〜いラブストーリーになっちゃってる。
後半で良かったのは、ある化学物質を使うことで
上下界の液体が混じり合い、宙に浮く。
つまり、ゼログラビティー化する。
(これは世界がflatになり、平和になるメタファーと思います。)
そのシーンのあとに、2人が思い出の山で抱き合っていたら
2人もゼログラビティー化してる。
物理的に考えたら、両方の惑星の重力と2人の体重が
奇跡的に釣り合ったということなのですがw
そういう野暮なことが言いたい訳ではなく
愛が世界をフラットにしますよという対比が良かったんです。
納得できなかったのはヒロインが
キルティン・ダンストンということ。
彼女はとても好きですが、このクソファンタジックな世界では
もっと人形みたいなカワイイ女の子じゃないと!
最後の落とし方もなー直前のおっさんの発明が無に返るような形だし
そんな簡単に世界は理解し合えるのかと…
2人の名前がアダムとエデンというのも何故イブじゃないのかも謎。
おっさん1人で見る映画ではなく、女性と家で見る映画です。

2013年9月17日火曜日

地獄でなぜ悪い



いとうせいこう氏 presents したまちコメディ映画祭にて。
映画秘宝まつりは外れてしまったけれど
これを最速で見れるTOKYOはやっぱり最高です。
アメリカのグラインドハウス型映画なので
この映画を映画祭で見れたことはとても幸せでした。
映画を見てるのは1人1人だけれど
会場全体で共有できたあの空間は今年一番の映画体験。
初期作品を除けば、ほとんどの園子温作品を見てきた訳ですが
ここにきて、また新たな境地というべきか。
それは今回が初めてのコメディだからとかではなくて
メーターの振り切り方がとにかくスゲぇ!
最初からトップギアで、そのまま約2時間走り抜ける感じ。
前作が希望の国で相当重い作品だったので、その反動なのかな〜と。
とてもオモシロかったし、映画愛の表現法としても最高でした。

敵対するヤクザの組と映画監督を志望する若者を巻き込んだ物語。
この抗争をそのまま映画にしちゃえ!という極めて乱暴だけど
とてもワクワクする映画に関する映画です。
今作については、とにもかくにも役者陣が全員最高です。
とくに堤真一は、出演作をこれまであまり見たことないですが
こんなにコメディいけんの?っていうぐらい
何回も笑わせてもらいました。
映画監督志望の役を長谷川博己が演じています。
これまで割と理性のある役柄が多かったと思うんですけど
今回は映画Crazyとして、暴れ回っている。
大人になりきれない大人。
端から見れば、単なるバカにしか見えないけど
いつか訪れるその刹那にかけて生きる姿は愛おしかった。
(俳優と揉めるところは相当グッときた)
そんな彼が本物のヤクザを俳優にして映画が撮れる!
この興奮がスクリーンを通じてビシビシ伝わってくる。
そして、星野源ね。この話のベースとして
園監督が若い頃にヤクザの娘とやっちゃって
拉致られたというエピソードがある。
つまり、星野源は若い頃の園監督自身なんですね。
あのぼやっとした感じもハマっているし、ポイントポイントで超オモシロい。
ゾンビか!っていう往生際の悪さも最高でした。
んで、國村隼は真面目なんだけど、それが笑えちゃう。裸の王様。

後半はそのヤクザの抗争が延々繰り広げられる訳なんですが
ここも血の量やら刀による戦いが壮絶。
二階堂ふみはここで一番輝いていたし
ある場面で会場全体から拍手が自然と沸き起こっていました。
今回とくに秀逸だなーと感じたのは
刀→銃に戦闘形態が変わる演出。
「ザ・レイド」とかはそこうまくいってなかったけど
本作はきっちりロジックがあるのは良かった。
そして、銃に切り替わったあとも
とんでもない熱量なので、見てて全く飽きない。
いや。むしろ、テンションは上がる一方。
表面だけなぞれば
トラックスーツとヤクザ的なものの掛け合わせなので
「キルビルじゃん」とか野暮なこと言う奴いるんだろーけど
そういうことじゃねぇ!
この映画はお前1人を感動させたがってんだよ!
映画最高!

2013年9月15日日曜日

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲



「はじまりのみち」が超名作だったのを受けて
監督、原恵一氏の代表作を見ねば!と思い、鑑賞。
そもそもアニメ自体も見ないというか苦手で。
さらに輪をかけて、もろ子ども向けの
クレヨンしんちゃんを見る機会は今までありませんでした。
私と同じ気持ちの人は多いと思います。
しかし、それは勘違いだったのでは…と思わせるくらい
完全に大人向けの映画でした。とてもオモシロかったです。
(すでに大人になってしまった僕は
子どもがどのレイヤーで見ているか分からないですが)

2001年公開ということで、21世紀になったばかりに公開された本作。
どういう話かといえば、単純な懐古主義に対するアンチテーゼ。
冒頭いきなり野原一家がもろにウルトラマンの話に入り込んだ形で
始まる訳ですが、これは懐かしいものを体感できるアトラクションの一つ。
大人たちは自分たちが子どもの頃に楽しんだものを
楽しめる施設に入り浸ってしまい
その懐かしい臭いで洗脳されちゃう。
世界に取り残された子どもたちは
懐かしさの虜になり無気力化した大人を助けにいくという話。

働き始めてからとくに思うのは
懐古して悦に浸る瞬間多いなあということです。
別に悪いことではないと思うけど
過去の記憶は美化されるし、それにすがって生きるのも寂しい話で。
この映画は「ホントに昔がいいんですか?」と問うてくる。
前半はクレヨンしんちゃんのお約束な流れで
ここは子どもと同じ目線で楽しめる。
肝となるのは後半。とくに父ヒロシが洗脳から解けるシーン。
ここはマジで号泣メーン!でした。是非見て欲しいです。
いつだって最高は更新されてんだよ!

『Always 三丁目の夕日』見て
「あぁ、Good old days…」とか言ってるおっさんは
まずコレ見ろや!

エンド・オブ・ウォッチ




仕事終わりに定時ダッシュで。
映画秘宝で軽く記事を読み、これは!と思い見ました。
めちゃくちゃおもしろかったです。
ハラハラ感という意味では今年一番。
LAのサウスセントラルという街に勤務する警官の物語。
この街はアメリカ内でも治安が特に悪い地域として有名です。
ギャング間の抗争も多く
劇中ではチカーノvs黒人という構図になっていました。
HIPHOPが好きなので、ぼやっとした知識はあったんですが
それを上回る迫力!興奮!
モキュメンタリー的な作りで
登場人物が持ってるカメラの映像や
主人公達の胸ポケットに付けている小型カメラの映像を
ないまぜにすることで迫力が倍増しています。
前半は2人の日々の業務を紹介する流れ。
言いがかりのような形で逮捕したりもする。
メインとなるのは2人の駄話で、これがまたオモシロい。
無邪気というか。ここで2人にグッと感情移入してしまいます。
そうなってから、それぞれの仕事以外の近況が出てくる後半。
1人は結婚してて、子どももいるし、奥さん妊娠している。
もう1人は最近良い人と出会い、結婚しようとしている。
私生活ではハッピーバイブス全開。
仕事でも順調なんですが、だんだん死の臭いが…
2人が幸せになればなるほど
のちに待っていると想起される辛い結果(死)が頭をよぎる。
この構成はホントに上手いなーと思います。
ラストも絶望感がハンパないし、
エンドロール前の2人の駄話をリフレインでされるのも
相当キツかったです。。
GTAの逆視点なので、そんな気持ちでみると
また趣深いかもしれません。

2013年9月4日水曜日

マン・オブ・スティール



ノーラン×ザック・スナイダーという
明らかに良さげな組み合わせでスーパーマンをリブート!
ということで気合い入れて、IMAXで鑑賞。
食い合わせが悪いタッグだったのか…という印象です。
あんまりオモシロくなかった。
映像はVFXバキバキだし、IMAXなので迫力は満点でした。
ただ、肝心のお話が結構ひどかった…
ガッチャマンほどではないけど、なかなかの荒さでした。
前半はノーラン節というかこれまでのアメコミ映画で
お約束の「なぜ戦うのか」 系の自意識の突き詰め。
スーパーマンは生まれながら、パワーを持っているので
それをどうコントロールして人間と共生するか?
っていうのが物語全体に通低するテーマ。
スーパーマンの生い立ちから話が始まる訳ですが
資源採掘をやりつくし、つぶれてしまう惑星で生まれたスーパーマン。
子どもも目的に応じて作られる世界で生まれた
久々の自然出産男児。父と母は彼の体内に
一族を復興させるDNAをぶち込み、彼だけを惑星から逃がす。
このDNAを求める生まれ故郷の反逆者との戦い。
地球で育った彼はそんなこと知らないから
持て余した力の使い方をどうすべきか?を考えるため
30歳で世界を放浪している。(自分探しの病はハリウッドにまでも蔓延)
この現代と子どもの頃を交互に描かれてて
子どものころのエピソードは父との対話がメイン。
おおむね良いんだけど、ハリケーンで父を亡くすシーンはダメだろ!
って本気で思いました。こんなキツいエピソードがあるのに
葛藤なく、スーツ着て空をビュンビュン飛ばれても困るよ!
後半は敵とのバトルシーン。
前述したとおり、VFX+IMAXという圧倒的な迫力は最高。
けれど、そこに甘えてというか単調なんですよね。
あとパワーインフレの度が過ぎてる。
オレは人間を代表するって言ってるのに
街をフィールドとしたバトルで気遣い無く破壊しまくる。
いや楽しいんだけどね。ロジックがないから
単なる力比べのように見える訳です。
唯一ギミックであったのは大気濃度ですが
ここも設定甘いから、なんだかなぁって感じでした。
あとヒロインの設定もな〜
記者という視点は語り部なんだから、それ生かして
スーパーマンのすごさを語るとかできたのでは?とか考えたり。
ヒロインとスーパーマンが引かれ合うのも急過ぎて…
ラスボスとのバトルもあんだけ派手にやってきたのに
地味な終わり方で、急に情がわくのも謎。
仮に同族ということなんだとしても…ねぇ?
期待には応えてくれなかった作品でした。

2013年9月2日月曜日

悪いやつら



映画の日ということで、一番観たいものを。
ハ・ジョンウ主演作にハズレなしという法則は
今回も成立し、おもしろかったです。
タイトルや予告から
もっとハードボイルドなものを予想してたんですが
かなりコメディ要素のあるヤクザ映画でした。
1985〜1990年代に実際に行われた暴力団への弾圧の中、
組長ハ・ジョンウが率いる暴力団の栄枯盛衰物語。
もう一人の主人公がチェ・イクション。
オールド・ボーイの人ですね。
(まだオールド・ボーイ見たことないとか言えない…)
この人は元税関職員で悪いことしまくってた。
たまたま覚せい剤を見つけて、ハ・ジョンウに転売することを
キッカケに知り合う。しかも、遠い親戚でもある。
彼のことをハ・ジョンウは「大叔父」と呼び、2人の関係が始まる。
前半はかなりファニーな場面が多くて
チェ・イクションが虎の威を借る狐状態で
裏社会にどんどん染まっていく。
もともと暴力的でもないんだけど
決して自分の手が汚れるようなことはしない。口は達者。
一方のハ・ジョンウは寡黙で不器用な昔ながらのヤクザ。
そして、こいつを怒らせたらThe end系男子。
ビール瓶での乱打、マイクでの乱打。どれも最高。
この2人の組み合わせで、
どんどんヤクザとしての規模が大きくなっていくのがオモシロい。
とくにチェ・イクションがこれまでヨレヨレの服から
スーツをバリっと決めて、ハ・ジョンウと若いやつ連れて歩く姿は
めちゃくちゃシビレタ。(ポスターにも使われてる)
この2人の関係が崩れていくのが後半。
ヤクザとしての存在意義を求めるハ・ジョンウ
ビジネスの拡大を望むチェ・イクション
徐々に歯車が狂いだして、血で血を洗う抗争が繰り広げられる。
前半は笑えてたチェ・イクションの行動が笑えなくなってくる。
不器用なハ・ジョンウの暴力 vs チェ・イクションのコネ力
落としどころとしては現実味のある終わり。
最高な幸せな空間で物語が終結するんだけど
なんでもないセリフがスゲー怖いという…
いつだって最高だぜ!韓国映画!

2013年9月1日日曜日

夏の終り



劇場予告編見て、満島ひかり meets 寂聴?!
と驚いた後、「オトナの!」に小林薫が出演してるのを見て。
ガッチャマンみたいな映画を開局60周年とかで作るなら
こういう映画にもっとバジェットつぎ込んで欲しいです。
要するに、とてもオモシロかったです。オトナの映画。
原作が瀬戸内寂聴。構造はミニマルで、主な登場人物は
作家役の小林薫(小杉)、浮気相手(?)の満島ひかり(相澤)
彼女と同郷の綾野剛(木下)のみ。
小杉には奥さんがいるけど
相澤のところに8年近く足繁く通ってる。
そこへ相澤が昔好きだった木下が現れて…という話。
ドロドロの三角関係の話かな〜と勝手に想像していましたが
全然そんなことなくて、女性の自立をテーマにした作品でした。
いかんせんですね、
満島ひかりの演技はとんでもないレベルにあると思います。
ドラマのWomanも話題ですが、トーシロが見ても
仕草なり、存在感なりが凄い!っていうのが
この映画を見るとよく分かります。間違いなく日本最高峰。
(赤の染料で暖簾をぶっ叩くシーンが最高)
小杉と相澤の日常風景から始まるんですが
この時点では長年連れ添った夫婦のように見える。
そっからのタイトルがいいんですね〜
満島ひかりの役は藍染めが仕事なので
藍染めでタイトルが出るんです。それが綺麗。
最初は仲睦まじい2人なんですが、
小杉には奥さんがいますから、帰るんですね。
しかも、大晦日で相澤が風邪引いてるときに。
1人×正月×風邪という寂しさMAXの状況で
木下を呼びつける。このときには特になにもないんですが
これをきっかけに、相澤と木下の関係が始まる。
一線を超える表現として、道というか坂をまたぐところは
非常に映画的でよかったなーと思います。
んで、まぁ情事を重ねる訳ですが、綾野剛ともべったりにもならない。
「愛」を上回る「習慣」
ということなんですが、この「習慣」にも限界がくる。
小杉のもとにいたって、彼は絶対に奥さんとは別れない。
じゃあ、私はなぜ彼といるの?という
綾野剛が来るまでは表に出て来なかった感情が溢れ出す。
そこから男性依存的だった相澤が自立していく流れ。
確かに誰かと一緒にいること自体はかけがいのないことだけど
主体的に生きてこその話ですよね。という着地は好きでした。
この映画では男の身勝手さ、女の身勝手さが両方見れるのも
良いことだなーと思います。
映像全体の質感もとても好きだし
昭和ノスタルジーに浸りたい人はどうぞ。