2013年9月23日月曜日

凶悪



リリー・フランキー×ピエール瀧×山田孝之で映画。
しかもタイトルが凶悪!という最高の組み合わせの本作。
実際にあった事件をベースにしていて、そのルポも出版されています。
それを読んでから鑑賞したんですが、映画ならではの味付けがされていて
とても楽しんで鑑賞しました。

ピーエル瀧が死刑囚で、彼が世に出ていない余罪が3件あると
ジャーナリストの山田孝之に告白する。
その余罪の首謀者が「先生」と呼ばれるリリー・フランキー
それらを暴いていくクライムサスペンス。
この余罪っていうのが、土地転売や保険金搾取に伴う殺人。
ピエールは元ヤクザなんだけど、人を殺すことに全く躊躇がない。
リリーは自分の手は汚さないけど、人の死を金に換える錬金術師。
実行力のピエール、頭脳のリリー、 この2人のタッグがまさに「凶悪」
ジャーナリストの山田孝之の視点で物語が進んでいく。
ピエールの証言をベースに、取材を続けていくうちに
彼の言っていることがウソではないと分かり、事件の虜になっていく。
原作にはなかった要素として、山田孝之の家庭環境が描かれています。
彼は既婚者で、痴呆症の実母と同居中。
奥さんがその介護で疲れ果てているんだけど
山田孝之は事件に没頭しているため、相手にしないんですね。
このエピソードがのちにとてつもない重みを持って
こちらに問いかけてくるだなんて、見ている間は思いもしませんでした。
取材を続けているうちにリリーの昔の事務所に辿り着き
中を覗き込んだ瞬間から、ピエールとリリーの極悪タッグが
行ってきた数々の悪の所業がスクリーンに展開される。
これらの蛮行はほとんど原作に忠実。
つまり、現実にあんなことを行っていたということ。
すげー酷いけど、最高に楽しい。
特に借金まみれの家族に依頼されて行う保険金殺人での
じじいに酒を飲ませて殺すシークエンスは超怖い。
単純に殺すほうがどんだけマシか…見て感じてください。

山田孝之は一連の事件を記事にして、告発し
保険金殺人が立件されて、リリーは逮捕される。
ここからは山田孝之の物語。
この事件を暴くことに狂い、その暴いた結果が…というね。
人の持つ懲罰願望を見事に描いていると思うし
徐々に狂気を秘める山田孝之の顔よ!
あとのピエールのくだりは
「シークレット・サンシャイン」という映画を思い出しました。
そして、前述した痴呆の母を老人ホームに入れるんですが
これが保険金殺人とシンクロする。
つまり、預けた先が違うだけで、
面倒なものは排除してしまって
楽になりたい願望という点では同じなのでは?ということ。
やり方が違うだけで、誰もが持っている
人間の側面なんだという落とし方は震えました。

映画→原作で見るのがオススメです。

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