2015年8月31日月曜日

テッド2



前作をしっかり予習して万全の状態で見てきました。
前作は瞬間風速が最大に吹く場面はあるものの、
物語自体にはそれほど乗れなかったんですが、
本作は前よりも物語自体を楽しむことができました。
それに加えて声を上げて、
爆笑せざるを得ない場面もあって満足しました。
かなり前作からの続きの作りになっているので、
予習してから見た方が楽しめるかと思います。
テッドが彼女と結婚するものの、新婚生活がうまくいかない。
それを解決するため、子どもを設けようと
精子ドナーや養子縁組で頑張るものの、
テッドが人間ではないことが問題となり、
テッドが人権を失ってしまい…という話。
前作同様ディズニーばりの昔々的な語り口で
テッドの結婚式から映画は始まっていきます。
ここで前作のキャラ(フラッシュ・ゴードン含め)が
ババッと出てミラ・クニスとは離婚してることが分かる。
前作がマーク・ウォルバーグ演じるジョンの話だったのに対して、
本作は固い言い方をすれば、テッド自身の主権回復という内容。
割と真面目なテーマなのが好きな部分でした。
何をもって人間もしくは所有物と定義するのか?
めっちゃ哲学的な内容とも取ることができるというね〜
さらにアメリカの奴隷制度の歴史を踏まえると、
日本人が思う以上にヘビーなテーマでもあります。
ROOTSの有名なキンタ・クンテの場面を入れてきてましたしね。
(ケンドリック・ラマー意識してるのかな?)
ただテーマは真面目なものだけど、
8割以上ふざけ倒している、Fuck politically correct!!な
攻めの姿勢はアメリカの懐の深さを見ました!
個人的な瞬間風速最大の場面は2つあって、
1つ目はスペルマ地獄のシーン。
前作はシャンプーで擬態化したギャグで、
それも最高だったんだけど、
本作はさらにその先のリアルを提示。
容赦ないエゲツナさが最高でした。
2つ目が街中を走るランナーにリンゴを投げつけるシーン。
ドヤ顔で街中走ってんじゃねーよ!
という病的な天の邪鬼を抱える僕にとって、
忘れられない最高のシーンとなりました。
あとテッドを語る上で外せないのはweedとオマージュの数々。
前者のweedについては吸ってる場面も当然ですが、
本作では最高品質のweedを見て、
感動のあまり泣いてしまうという最高にバカなシーンが好きでした。
(そこで流れるジュラシックパークのテーマのバカバカしさよ…)
後者のオマージュについては、
アメリカンカルチャーのリテラシーが相当高くないと
難しい場面が多かったように思います。
町山さんが字幕監修だけど、セリフよりも映像のシーンが多いので、
なかなか前作のような日本カルチャーへの変換による
フォローは難しいのかなと思います。
肝心のお話の展開はご都合主義な展開が多く、
特段オモシロいといえるものではないと思います。
けれど最後にモーガンが弁護してという展開は、
前述した黒人の話を踏まえると意義深いように感じました。
深読みし過ぎかなとは思いますが…
くだらないギャグをスクリーンで是非楽しんで欲しいです!

2015年8月27日木曜日

ナイトクローラー



ジェイク・ギレンホール主演映画にハズシ無し!
の法則に従って見てきました。
そして今回も見事にオモシロかったです!
(平日昼間に見たのにほぼ満席でした…)
彼のCrazyサイドをとことんまで楽しみ尽くす映画で、
ドンズバのハマりっぷりでした。
また、インフレするゴシップ(情報)への欲求という意味でも
今の時代にフィットしていて興味深かったです。
ジェイク演じる主人公の男は泥棒稼業で生計を立てているが、
事故現場のパパラッチを目撃し、
「これならオレにもできるやん!」ということで、
助手を雇ってパパラッチ稼業を始めるものの…という話。
夜のLAの街並を映し出しながらクレジットが流れて、
タイトルが出ーので映画は始まります。
夜の美しい街の映像から始まる映画はそれだけで愛しくて、
この時点でテンション高め。
金属盗難、売り飛ばしまでのシーンで
彼のillnessは十分伝わってきて、こいつはヤベ〜って分かる。
そして、パパラッチ活動を通じて、
そのillnessが更に増長していく。
まず何が気持ち悪いかといえば、
ネット上の知識を盲目的に信じ込み、
それを惜しげも無くドヤ顔で他人に披露してくる。
しかも、その内容がめちゃくちゃ抽象的で、
似非ベンチャー社長か!とツッコミたくなる。
(実際に物語内では社長なんだけどね…)
東京ポッド許可局のイベントで語られていた、
セカンド童貞論に近いものがあって、
社会と距離がある人が付け焼き刃の知識を
実体も知らないままひけらかすヤダ味とでもいいましょうか。
こういった資質にパパラッチという職業が加わることにより、
イイ意味でも悪い意味でも社会性を獲得していく。
それは過激な映像を求めるTV局、
ひいては視聴者の欲望に迎合した結果とも言えると思います。
社会との関係を最も象徴しているのが、
ビデオの買い手であるTV局の女性ディレクターとの関係。
初めはペーペーなので下手に出てるんだけど、
除々にパパラッチとして頭角を現し始めると、
そのネタを使って上から目線で彼女を揺さぶる。
とくに彼がディレクターに矢継ぎ早に要求するシーンは、
めっちゃ気持ち悪いし腹立ったな〜(褒め言葉)
夜の街を車で徘徊し、街の犯罪に首を突っ込むという点では、
タクシードライバーを想起しますが、
それとは似て非なるものと思っていて、
トラビスにあった純粋さ、可愛げが微塵も感じられない。
完全なるダークヒーローだと思います。
そして人間は少なからず彼のような側面を
持っているがゆえに引きつけられるのかな〜と思いました。
ラストの半分自作自演の大事件の一連の流れは
本当に緊張感があって大好きなシーン。
しかも逐一アイツが計画したどおりに
事が進むから余計に腹立つ!
行き着く先は考えられる限りの地獄だけれど、
人の犠牲で成り立つ社会ってこういうこと?
ってな具合に考えさせられたりもしました。
勧善懲悪でないラストも久々の体験でグッときました。
もし自分がイキリ始めたら自戒の意味を込めて、
折にふれて見返したい作品でした。

2015年8月25日火曜日

この国の空



今年はできる限り戦争映画を見よう!
ということで見てきました。
予告編は何回か見てたんですが、
市井の人に関する戦時描写とでも言いましょうか。
描かれていることは若い女の子の
淡い初恋および「女性」の目覚めの話なんだけど、
それが戦時下という特殊状況なのがオモシロかったです。
主人公は二階堂ふみ演じる里子で、
彼女は父を結核で亡くし工藤夕貴演じる母と2人暮らし。
その隣に住むのが長谷川博己演じる市毛。
彼は結婚していて妻、子どもがいるけれど、
彼らは疎開しているため1人暮らしをしている。
そんな2人が徐々に惹かれていき…という話。
ざんざん降りの雨から映画は始まり、
戦時下ということもあって終始陰鬱とした印象。
2人の関係および里子の家族の生活を中心に
物語は描かれていきます。
舞台が東京都の杉並区ということもあり、
露骨な戦争描写は少なく、警報鳴って避難するレベル。
僕が好きだったのは里子の母親と叔母のバトルです。
食料が限られている状況で、
親族、他人関係なくギスギスする空気よ。。
(それを打破する里子の気持ちもよく分かる)
戦争では人間の醜い部分が露呈するものと思っているので、
腑に落ちましたし、富田靖子は本当に最高だったなー
皮肉なおばさん演じさせたら、
右に出る人はいないと思います。
あと工藤夕貴も芯のある女性を見事に演じてるんですが、
とくに川辺で体拭くシーンはドキドキした!ガバッ!てね!
昔の日本映画を見てるような気持ちというべきか…
石橋蓮司演じるオジさんも悲哀を明るさで隠す感じで良かったです。
また、着物と米の物々交換を含めて、
戦時中は都会が田舎に助けを求めなきゃいけない。
今じゃ理解しにくい話ですが、その構造を改めて認識しました。
当時の生活の細々した点が興味ふかくて、
女性の下着ってトランクスみたいだったの?!とか。
一番考えさせられたのは原爆に対する対策として、
白い服を着ていれば何とかなるという話。
3.11当時を思い出して、
技術や科学が発展したとしても、
デマや嘘の情報は判断する主体(人間)の問題なんだなーと。
脇役や細かい描写はオモシロい一方で、
メインとなる2人のLOVEの部分がツマラなくて残念。。
確かに1人の女の子から女性へと変貌していく姿自体は
見ていて興味深いとは思いました。
ただ、本作の二階堂ふみの浮きっぷりは結構ノイズで、
シャイな性格がゆえに畏まっているという表現なのかもだけど、
1人だけセリフとその話し方が仰々しい。
しかも終始そんな調子なので乗りにくかったです。
あと2人の恋に至る模様も割と脈絡がないというか、
市毛側のアプローチが特に急かなぁと。
若い子の魅力云々っていう話は劇中のセリフでもあるんだけど、
里子に対してその若い魅力を
感じられなかったからかもしれません。
(長谷川博巳は進撃の巨人のリンゴに続きトマト食べてました!)
ラストの二階堂ふみの顔アップに対して、
あのテロップも不必要だったように思います。
テロップなくても恋の終わりのポエジーを感じられたのに…
エンドロールの茨木のりこの詩の朗読は
内容とリンクしていて素晴らしかったです。
夏の話なので是非夏が終わる前にどうぞ。

2015年8月20日木曜日

ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール



劇場で予告編を見た段階で、
とんでもない甘酸の気配を感じ取り見てきました。
その予想を裏切らない極上の甘酸っぱさで満足!
ミュージカルという形式を取ったせいか、
お話自体はそれほど…って感じでしたが、
それを補って余りある音楽・ヴィジュアルの素晴らしさ!
シネマカリテの平日昼間の回で見たんですが、
たくさん人が入っていたのには驚きました。
主人公はイブという女の子で演じるのは、
エミリー・ブラウニング。
(エンジェル・ウォーズの主人公ね)
彼女は精神病院に入院するメンヘラなんだけど、
音楽が好きでライブを見に行くために病院を抜け出す。
そこで出会ったジェームスと仲良くなり、
彼の家で居候を始めます。
ジェームスの教え子であるキャシーと
3人で音楽を作り始め、ライブを目指すものの…という話。
冒頭、病院をエスケープするシーンで
イブの歌声と共に映画が始まります。
露骨なミュージカルではなく、
ポイントポイントで音楽が挿入される作りなので、
ミュージカルが苦手な僕でも楽しめました。
本作はもともとBelle and sebastianの
フロントマンであるスチュアート・マードックの
ソロプロジェクトのアルバムを映画化したもの。
楽曲はApple musicにて聞けます→リンク
監督もスチュアート自身が担当しています。
こういった事情もあり、
いわゆるミュージカルっぽい大仰な音楽はなく、
goodでniceなpop musicが散りばめられている。
これが本作の甘酸成分を大いに高めています。
さらにvividな色使いや昔懐かしなファッション、質感も伴って、
全体にMusic Videoのような仕上がりに。
物語のメインとなるのは、
①イブを巡った三角関係、②3人の音楽活動。
①は正直うーんって感じで、
もじゃもじゃ眼鏡なジェームスに感情移入してたんだけど、
フリが少なくてあんまり乗れなかったです。
イブの小悪魔b*itch描写がもう少し必要に感じました。
ただ恋敵となるスイス人のバンドマンの
無敵イケメンっぷりは最高でした。
一方の②は甘酸ポイント多めで最高最高!
特に3人でkayakでDaytripするシーンは極上…
(キャシーが窓から降りてこようとするのキュートさよ!)
当然3人で音楽を奏でるシーンも素晴らしくて、
キャシーが作曲できなくて悩んでるところから始まり、
最後には皆で素晴らしい音楽を作るという流れが好きでした。
またジェームスに対してイブが喝破するシーンは
entertainmentで飯を食っていこうとしている人には
ぶち刺さる内容になっていると思います。
(大雑把にいえば「いつやるの?今でしょ!」)
いかんせん、本作の素晴らしさを担保しているのは
劇中で使われている音楽の数々ですので、
映画館で見ることをオススメいたします!
そして見終わった後はサントラで、
改めてその世界に浸るのはいかがでしょうか?
Apple musicはこちら→リンク

2015年8月14日金曜日

日本のいちばん長い日



先週ひめゆりの塔および資料館を訪れたこと、
戦後70年ということもあり個人的に
第2次大戦に対する興味が増している中での鑑賞。
先日見た野火が末端の人間の現実であった事に対して、
本作は日本のトップが決めた戦争の行方にまつわる話。
今も安保法案が話題ですが、この国のトップが決めたことで、
現実問題としてケツをふかされるのは末端の人間なのかー
という当り前なんだけど、改めて虚しくなったり。
結局、机上の空論でしか物事は語られない中で、
彼らが何のために戦争をしていたのか?
それはアメリカを含めた連合国ではなく、
自らのプライドや日本国としてのメンツを保つ、
これまで信じてきたもの(幻想)が崩されるのを
恐れたためだったのでは?と思わされる作品でした。
劇場は「おくりびと」以来、
おじいさんとおばあさんだらけでしたが、
本当に見なきゃいけないのは僕らの世代!
ってことは声を大にして言っておきたい。
本作は半藤一利が原作で1967年に1度映画化されていて、
今回2回目の映画化で監督は原田眞人。
メインで描かれるのはポツダム宣言を受諾し、
終戦を迎える8月13〜15日の日本中枢での出来事となります。
物語の語り口は前作の駆込み〜に近いものがあって、
専門用語をダーッとセリフで言って状況を説明する。
さらにテンポ、編集のキレがめちゃくちゃ良い!
この2つが合わさって映画にリズムが生まれていく。
このスタイルが個人敵に好きだなーと。癖になる感じ。
さらに本作は駆け込み〜よりもシリアスな内容ですが、
あいまあいまにギャグを挟んでくるのも良かったです。
とくに鈴木貫太郎役の山崎努がとにかく最高で、
金タマ&鉛玉のくだりや耳聞こえないギャグはキレてた!
本作では陸軍に大きくフォーカスされていて、
それを担うのは阿南陸軍相演じる役所広司と
クーデター未遂を起こす畑中演じる松坂桃李
この2人の演技は本当に凄まじかったです。
役所広司の中間管理職ばりの板挟みは、
それが戦争の行方を左右するんだから見ててハラハラする。
そして本作のMVPは間違いなく松坂桃李でしょう。
これまで見た彼の作品は見た目のかっこよさから
おもんない映画の2枚目役が多かったですが、
本作は「Best ever 松坂桃李」をたたき出しています!
とにかく自分の信条を盲目に信じる姿は
かっこ良くもありながら終戦する事を知っている
観客からすると虚しくもなる。
とくにポツダム宣言が受諾されることを知らされたときの
あの顔の演技は本当に忘れられないレベル。
クーデターへと突っ走り、冷酷に物事を進めていく姿も
自分の行く末を予期したような顔、所作が素晴らしかったな〜
対照的なのは昭和天皇を含めた宮内庁界隈で、
戦争中とは思えない雰囲気。
確かに昭和天皇が決断(聖断)していなければ、
もっとひどいことになっていたかもしれないけれど、
そんな英雄視すべき存在なのか…と疑問にも思いました。
ただモックンの昭和天皇はハマってました。
何と言えば良いのか分からないけど、
人としての奥行きを感じさせるというか…
あと不毛な会議シーンがたくさん描かれるんですが、
弾を浴びることのない人達が
多くの人命をコントロールする状況、
つまり戦争は本当にイヤなものだと感じました。
戦争の記憶がどんどん遠くなる中で、
一個人として過去にどういったことが起こったか?
という事実を知っておくことは必要と思います。
8月中に見ておくのがオススメです。

ジュラシック・ワールド



子どもの頃にロードショーで何回も見た記憶がある、
ジュラシックシリーズのリブート。
予告編で"Legendary"の文字を見た時点で、
期待は高まっていたんですがハンパなき仕上がりでした!
IMAX 3Dで見たこともあってライド性抜群。
USJのアトラクションさながらの迫力に加えて、
容赦のない自然界の弱肉強食の掟が
観客に突きつけられるんだから最高最高!
人間にとってuncontrolな巨大な生物が牙をむく
という点では進撃の巨人と似ていると思います。
CGスキルの差を棚に上げたとしても、
物語の構成や怖がらせ方は
明らかに本作が上手だと思いました!
(ネタバレするとアレな映画なので見た後に読んでね)

舞台はコスタリカの島にあるジュラシックパーク
そこでは遺伝子操作によって
様々な種類の恐竜が産み出されテーマパーク化している。
観客のインフレする欲望を満たすため、
めちゃ大きくて強そうな恐竜を産み出すが、
その恐竜の知能が高く暴走し…というお話。
冒頭、災厄を引き起こす恐竜が卵から孵化するんですが、
それがすげー気持ち悪くてナイス。
主人公である兄弟が両親から離れ、
研究者の叔母クレアを訪れ、ジュラシックパークを楽しむ。
彼らが訪れる事でパークの全体像を紹介していく。
ジュラシックパークといえば、
ジョン・ウィリアムズ謹製のテーマソング。
あれがかかった瞬間に世界がパーッと開ける瞬間の
開放感とワクワク感はたまんない!
恐竜によるパニックが起こるまでに
手早く全体像が前半で紹介されるんですが、
手際がいい上に
今回の恐竜は遺伝子によるハイブリッド型で、
知能は高いし擬態できるし赤外線もちょろまかす。
遺伝子というロジックに加えて、
色んな生物(イカ、カエル)の特徴っていうロジックも
興味深いな〜と思いました。
そして、とにかく強くて野蛮!
この圧倒的な存在から逃げ続け、なんとか打開策を展開していく。
2人の兄弟が教われるシーンは予告でも流れてましたが、
あんなもんは序の口でこのシークエンスの恐ろしさたるや。。
(ジミー・ファロンの音声案内は個人的にアガッた!)
怖さを増強しているのは見せ方だなぁと思っていて、
恐竜の全体像はあまり見せずに口だけ、足だけと
部分的に見せて溜めに溜めてガシャーッ!だから恐い!
パーク側の主人公はクリス・プラットで
ラプトルを飼育し調教している。
このラプトルを使ったシーンはどこもオモシロくて、
バイクで並走するシーンが好きでした。
また恐竜と人間の関係を象徴するのがラプトル。
100%服従でもないというフリが効いていて、
どっちつかずな不安定な存在で、
こちらの緊張感を煽ってくるし、
自然を制圧しようとする人間への警告のようにも見える。
クリス・プラットとクレア叔母さんの
謎のラブ関係も含めて後半は笑かしポイント多めなのも、
夏休み映画っぽくてナイス!
それと容赦のない自然の掟とのギャップが良くて、
特に怪鳥襲撃シーンでの怪鳥・人間まとめ食いは
食物連鎖の仕組みを一発で分からせてくれる。
無双状態だった凶悪恐竜を止めるのはT-REX!!
この首元を狙ったどつき合いシーンは眼福。
伏線もバッチリで超アガるバトルでした!
進撃の巨人にないものがすべてここにある!
なのでIMAX 3Dで夏休みに見てね!

2015年8月6日木曜日

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN (前篇)



邦画の中で色んな意味において
今年一番の注目作ということで見てきました。
大ヒット漫画の映画化という、
ありきたりな企画ではあるんですが、
本作が他と違うのは映画評論家の町山智浩氏が
脚本に参加している点です。
「映画のことを語る」という広義の意味で言えば、
町山さんの影響を受けていない人はいないと思います。
そんな町山さんが初めてプレイヤー側に…
ということで楽しみにしていました。
オモシロかったんですが、
何とも言えない気持ちになるのも事実。
巨人描写は圧巻なので是非映画館で見て欲しいんですが、
物語の進め方、語り方でいただけない点が結構ある。。
ただ原作と大幅に設定を変更しながらも、
違和感をほとんど抱かなかったのは
町山さんの力だと思います。
悪の元凶はもう1人の脚本である渡辺雄介さんかと…
近年見た彼の作品は以下の通り。

ガッチャマン
MONSTERZ
ジョーカー・ゲーム

ガッチャマンが大事故物件で、
これを見た後だと本作が破格の仕上がりだと分かります。
主人公はエレンという男の子。
ある日突然巨人が襲ってきて、
ステディのミカサが巨人に殺されてしまう。
そこから巨人への復讐を誓ったエレンは訓練を経て、
壁の穴を埋めるミッションに参加するものの…という話。
冒頭、巨人に襲われる前の街の様子から始まり、
イイ感じにユルーい空気。
原作を読んでいる人はエレンとミカサの関係に
違和感を抱くかもしれませんが、
そんなことは関係なくなるくらい、
巨人襲撃シーンがナイス!
とにかく巨人の造形が素晴らしくて、
それに立ち向かう人類のしょぼさと相まって、
阿鼻叫喚の地獄絵図がスクリーンに展開されます。
このシーンも然り、相当バイオレンス描写が攻めてて、
巨人が人間を千切ったり、食べたりで最高最高!
とくに教会に逃げ込んだ人達が食われまくって、
血が溢れてくるシーンが好きだったな〜
あと拳銃自殺を目撃するという、
AKBのタカミナの使い方もナイス!
時は流れ、穴埋め作戦が始まるんだけど、
ここのドラマ部分がとにかくウザったい。
演劇調の芝居というか、そんなこと声に出さねーよ!
っていう部分もセリフで言っちゃう。
あと言い方も嫌で、特にエレンはずっと叫んでる。。
原作の世界観としてエモい部分は多分にあるので、
一概に否定はできないんだけど、
濃淡つけないと響いてこない思いました。
ただそれぞれのキャラクター像は結構好きで、
水原希子のミカサ、石原さとみのハンジ、
桜庭ななみのサシャは、ほぼ原作どおりでアガるし、
原作にないシキシマというキャラクターも
長谷川博己がきっちりボケ倒しているのが最高!
とくにミカサにリンゴ食わせるシーンとか
アホだな〜と思いました。(褒め言葉)
そっからの誘惑SEX→巨人による強襲という
お色気シーンのつるべ打ちはボンクラ全開!
基本的に巨人が出ているシーンは
圧倒的な迫力があるから、それだけでオモシロいし、
エレンが巨人化して戦うシーンは
ウルトラマンやゴジラ等の昔ながらの特撮を
想起させる形で嫌が応にもテンションはアガる!
巨人の動作が遅いのも良かったと思います。
(ゾンビが速いと味気ないのと同じ理論)
映像的にもったいないなーと思ったのは、
立体機動のシーンで何かしょぼいんすよねー
スパイダーマンと比べるのは酷かもだけど、
今イチ迫力が伝わってこなかったです。
前篇は種まきの要素が強いと思うので、
後篇でどこまでぶち上がれるのか、
それを楽しみにしたいと思います!

2015年8月4日火曜日

野火



劇場で予告見たときから、これはとんでもないで…
と思っていた塚本晋也監督作品。
今年は戦後70年ということで、
8月にかけて様々な戦争映画が公開されますが、
本作は頭一つどころから身体一つ抜けてるのでは?!
そのぐらい圧倒的な作品でした。
戦争の残酷さを伝える方法としては、
大きく2つに分けるとすれば、
ヴィジュアルで分からせるものと、
戦争というシステムの無意味さを
伝えるものがあると思います。
本作は前者について徹底的に追求し、
これでもか!とエグミを見せてくる。
それがただ単に残酷な訳ではなく、
極限状態での人間関係にフォーカスし、
戦争が何を引き起こすものなのかを
観客に考えさせてくる。
映画史に残るレベルの傑作だと思います!
舞台は第二次大戦中のフィリピンの島で、
主人公は監督自身が演じる田村一等兵
彼は肺病を患いながらも島内を徘徊し、
何とか生き残ろうとするものの…という話。
田村が野戦病院と戦場を行き来するシーンから
映画が始まるんですが、ギャグか!
っていうたらい回しぶりに笑える。
そして、ここで提示される、
どこにも居場所がなく、戦場をひたすら徘徊することは、
物語を構成する大きな要素になっています。
田村一等兵が生き残れるかどうかという話なんですが、
とにかく生死ギリギリの表現が凄まじい…
当然の如く死体はゴロゴロ転がっているんですが、
単純に血が出てるだけじゃなくて、
虫が沸いていたり、欠損をモロに描いていたり、
容赦なくエグ味がスクリーン上に展開されます。
何よりも大きなテーマが「食事(食料)」
飽食時代である現在の日本だと考えにくいですが、
当時の戦場における「食べる」ことの
プライオリティの高さがビシバシ伝わってくる。
それをヴィジュアルと人間同士の関係性で見せてきます。
ヴィジュアルでいうと、土付きの芋をそのまま食べたり、
謎の草をしゃぶったり、文字通り泥をすすりながら、
何とか生き延びていく描写はグロよりもキツい。。
タロイモ(?)が主食で、それを巡っての争いは
敵、味方関係なくて生き地獄そのもの。
医療、タバコ、火など己の優位点を使ったディール、
ぶっ殺してでも食料をゲットするとか。
極限に置かれた人間同士の関係性の変化は
「自分がもしこの立場だったら…」という形で、
観客は間違いなく考えさせられます。
それを支えるのが間違いない俳優陣。
とくにリリーフランキー、中村達也が好きでしたね〜
悪者といえば悪者なんだけど、
一概に言い切れない側面もあって…というバランスを
見事に2人は体現していたと思います。
戦闘シーンもいくつかあるんですが、
本作を見た誰もが忘れられないシーンが、
パラボラ島へエスケープするための夜間大移動。
ここの銃撃シーンの凄まじさは
それこそプライベートライアンの冒頭レベル。
ライトついた瞬間の絶望は忘れられへんで…
終盤は前述した食料の話へとフォーカスしていきます。
田村、リリー、少年の三角関係は、
人は生きるためにどこまで野蛮になれるか?
という問いかけを体現している。
物語の積み重ねがあるから、カニバリズム展開も
ヴィジュアルを含め重く響いてくる。
さらに、その後の田村の食事シーンは
PTSDという言葉で片付けられない、
「何か」がスクリーン上に浮かび上がる。
戦争のエグ味を体感するのに、
これ以上の作品はないと思いますのでマスト!