2015年8月14日金曜日

日本のいちばん長い日



先週ひめゆりの塔および資料館を訪れたこと、
戦後70年ということもあり個人的に
第2次大戦に対する興味が増している中での鑑賞。
先日見た野火が末端の人間の現実であった事に対して、
本作は日本のトップが決めた戦争の行方にまつわる話。
今も安保法案が話題ですが、この国のトップが決めたことで、
現実問題としてケツをふかされるのは末端の人間なのかー
という当り前なんだけど、改めて虚しくなったり。
結局、机上の空論でしか物事は語られない中で、
彼らが何のために戦争をしていたのか?
それはアメリカを含めた連合国ではなく、
自らのプライドや日本国としてのメンツを保つ、
これまで信じてきたもの(幻想)が崩されるのを
恐れたためだったのでは?と思わされる作品でした。
劇場は「おくりびと」以来、
おじいさんとおばあさんだらけでしたが、
本当に見なきゃいけないのは僕らの世代!
ってことは声を大にして言っておきたい。
本作は半藤一利が原作で1967年に1度映画化されていて、
今回2回目の映画化で監督は原田眞人。
メインで描かれるのはポツダム宣言を受諾し、
終戦を迎える8月13〜15日の日本中枢での出来事となります。
物語の語り口は前作の駆込み〜に近いものがあって、
専門用語をダーッとセリフで言って状況を説明する。
さらにテンポ、編集のキレがめちゃくちゃ良い!
この2つが合わさって映画にリズムが生まれていく。
このスタイルが個人敵に好きだなーと。癖になる感じ。
さらに本作は駆け込み〜よりもシリアスな内容ですが、
あいまあいまにギャグを挟んでくるのも良かったです。
とくに鈴木貫太郎役の山崎努がとにかく最高で、
金タマ&鉛玉のくだりや耳聞こえないギャグはキレてた!
本作では陸軍に大きくフォーカスされていて、
それを担うのは阿南陸軍相演じる役所広司と
クーデター未遂を起こす畑中演じる松坂桃李
この2人の演技は本当に凄まじかったです。
役所広司の中間管理職ばりの板挟みは、
それが戦争の行方を左右するんだから見ててハラハラする。
そして本作のMVPは間違いなく松坂桃李でしょう。
これまで見た彼の作品は見た目のかっこよさから
おもんない映画の2枚目役が多かったですが、
本作は「Best ever 松坂桃李」をたたき出しています!
とにかく自分の信条を盲目に信じる姿は
かっこ良くもありながら終戦する事を知っている
観客からすると虚しくもなる。
とくにポツダム宣言が受諾されることを知らされたときの
あの顔の演技は本当に忘れられないレベル。
クーデターへと突っ走り、冷酷に物事を進めていく姿も
自分の行く末を予期したような顔、所作が素晴らしかったな〜
対照的なのは昭和天皇を含めた宮内庁界隈で、
戦争中とは思えない雰囲気。
確かに昭和天皇が決断(聖断)していなければ、
もっとひどいことになっていたかもしれないけれど、
そんな英雄視すべき存在なのか…と疑問にも思いました。
ただモックンの昭和天皇はハマってました。
何と言えば良いのか分からないけど、
人としての奥行きを感じさせるというか…
あと不毛な会議シーンがたくさん描かれるんですが、
弾を浴びることのない人達が
多くの人命をコントロールする状況、
つまり戦争は本当にイヤなものだと感じました。
戦争の記憶がどんどん遠くなる中で、
一個人として過去にどういったことが起こったか?
という事実を知っておくことは必要と思います。
8月中に見ておくのがオススメです。

0 件のコメント: