2012年11月28日水曜日

自殺サークル


園子温監督作品。やっとレンタルで見つけて、見ました。
紀子の食卓より以前の作品で、
今日の園監督の劇場用作品の基礎となるようなものでした。
かなり好きでした。

このタイトルはインパクトが凄まじいから
どこかで耳にしたことある人も多いかもしれません。
新宿駅での女子高生集団自殺から始まるこの映画。
しかも、ふわーっと飛び降りて死ぬシーン見せないとか
そんなぬるいことはしない。血がとびチリまくる。
正直、このシーン見るだけでも十分な価値があると思います。
この作品が製作されたのが、2001年。
ちょうどインターネットが普及して間もない頃。
ネット上に○印だけのサイトが存在し
自殺者が出るたびに○の数が増える。
その謎を捜査する警察側のストーリーが主にあって
随所に自殺する側のストーリー(特に若者)が差し込まれる。
主人公は石橋凌。刑事であり父親。
実態のつかめない事件の調査で疲れ、なおかつ若者の自殺者が多いことから
我が家のことも心配して帰宅するが
あたたかい幸せな家庭が迎えてくれて杞憂だと考える。
しかし、実際には家族のことを何も理解できてない父親だと
痛烈な形で証明される。
この作品でもっとも好きだったところは同調圧力、
もしくはアイデンティティの喪失に対する皮肉なスタンスです。
象徴的なのが、学校で突発的に起こる自殺。
軽ーいノリで「自殺しちゃおーぜ!」って校舎から飛び降りる。
皆が死ぬから私も僕も死ぬという思考回路。
また劇中で出てくるデザートというグループのパズルという曲。
詳しい歌詞は作品を見て確認していただければと思うけど
簡単に言えば、あてはまるところがなければ
ピース(自分)の形を変えなきゃね★って。
ホラーの要素もあるけど、こっちのほうが100倍怖いw
堅苦しいこと言いましたが、おもしろい描写もかなり多い。
特にローリーとローリーのいるボーリング場が半端ねぇ。

アイデンティティを失ってでも、社会に適合することに意味があるのか。
ということを映画見ながらずっと園監督に聞かれてるような感じでした。
耳が痛い話だけど。
よく子どもの頃に「みんな持ってるから買って」とか母親に言って
「みんなって誰やねん」って聞かれて答えれなかったことを思い出したり
いい歳こいて、まだ姿の見えない「みんな」にすがってる人もたまにいるなぁ。
とか思ったり。

勝手に生きろよ!

2012年11月25日日曜日

ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー



マン師!ヒートに引き続き2作目。
TSUTAYAの発掘シリーズで出てます。
ケイパーもので、これまで見てきたクラシック系の中では
ダントツで好きでした。それが何故なのか…
もうね、とにかくカッコイイ。
主人公は別に超イケメンっていうわけでもないし
ハゲかかっているけどカッコいい。
これが何故なのかを言葉にするのは野暮ってもんだけど
映画全体を通じて、悪いやつっていう印象がないからかも。
短気だけど、根は良い奴なんだろうなと思わせる。
劇中では2回強盗を行うけど、被害者が出ない。
Get awayとか突破口は強盗に巻き込まれた人とか
実行した奴がバンバン死ぬ。
でも、本作は計画が周到に練られたものとして描かれ
強盗シーンはあくまでサラッと。
ヒートでもそうだったけど、強盗シーン、
つまりアクションにしっかりこだわるのは勿論のこと
人間ドラマもしっかりしてるのがマン師。って思います。
主人公は強盗を生業にしてるけど、早く足を洗って
コーラジュで作った自分の未来を描きたいと考えている。
奥さんも見つけ、あとは幸せな生活だけだと考え
犯罪組織の大ボスと手を組み、大きなヤマに挑む。
そこからはもう逃れられない連鎖で、どんどん物語が進んで行く。
とくに印象に残っているのは養子をもらいにいくシーン。
ここは「ハッ!」としました。しょうがない側面もあるけど。
終盤の怒濤の展開は個人的にはヒート超えかな。。
まるでジェットコースターに乗ってるかのように進むので。
男なら誰でもアガル!! あとマン師の撮る夜の美しさも最高!
超オススメ!

2012年11月24日土曜日

BAD FILM


東京フィルメックスにて。
園子温監督が95年に撮影した素材を今年完成させた作品。

前売り買い逃したから、当日券買いに並んでたら
前の人どこかで見たことあるなーとかボヤーっとしてたら
僕の後ろに並んでたマレーシア人と話し始めた。
その会話を聞いてると、その人は自分もマレーシア人で映画監督だと。
早稲田で映画の勉強してると。iPhoneでググってみたら…
エドモンド楊監督でした。詳細
ヴェネチア国際映画祭に招待されてるだなんて、凄い…
さすがTOKYO FILMeX。

東京ガガガという園監督が先導してたムーブメント。
出演している人の多くはそれに参加してた人で
園監督自身も「自転車吐息」の主人公と同じ名前の北史朗で参加。
ストーリーは高円寺を巡った日本の自警団である「神風」と
中国自警団である白虎隊との抗争。
撮影当時はこんなことありえないと思っていたけど
この2012年には起こってもおかしくない。
と上映後のQ&Aで本人が述べられていました。
抗争なので全体的にはハードボイルドな感じで
物語は進むけど、時折コメディタッチな部分もあって
そこがかなりぶっとんでてて面白かったです。
(豚の顔の下りと神風のボスが部下をいたぶるシーンが最高)
最初は日本vs中国の構図で、血で血を洗う争いがいつまでも続く。
んで、一旦収束するけど、今度は同性愛という問題に徐々に
フォーカスしていく。この同性愛者というのは
日本人にもいるし、中国人にもいるから対立構造が変化していく。
これまで「人種」というフィルターで排斥してたけど
今度は「性別」というフィルターで排斥が始まる。
痛烈なアイロニーだと思いました。
結局、自分と異なるアイデンティティを持つ人間を認めないというのは
非常に幼稚な考えであるということだと。
映画の舞台となるのは主に高円寺の街中だけど
新宿での決闘や渋谷での街頭演説などのゲリラ撮影も本作の大きな魅力と言える。
とくに新宿アルタ前での抗争シーンはもう2度と見れないシーンだと思うし
hi8で撮ってるから、実際に起こったことのように見える。
BAD FILMというタイトルは
当時いい子ちゃんだらけの日本映画界に対してのカウンターだったそうで
"悪い"映画を作ろうという意味だそうです。
その通り超バッドな映画でした。

今出てる園監督の初期worksのDVD集に収録されているので
一応見れますが、来年以降映画館で上映されれば是非見てほしいっす。

とか思いながら劇場をあとにしたら、安倍晋三を首相に!
みたいなプチ右翼のデモに遭遇。
いったいいつになったら、変わるのだろう。とか思いながら帰宅しました。

悪の教典



「ヤバい」
この言葉は何か物事を評価する際には適切ではないと
水道橋博士が言っていましたが、これは「ヤバい」
それしか言いようがない。
海外映画ではシリアルキラーもの見てきたけど
日本の作品では初めての経験でした。
大型バジェットを身にまとい、
これだけの映画を撮れる三池監督にマキシマムリスペクト!
見終わったあとに思ったのは、園子温監督へのアンサーなのかなと。
(とくに冷たい熱帯魚への)
ヒミズの主演コンビ、吹石満と出演している俳優もですが
オレがスプラッターを撮ればこうだ!
って感じがスクリーンから伝わってきました。
ただ本作はシリアルキラーという要素があるから、
単純な比較はできないとは思います。
冷たい熱帯魚は金とか家族関係とか動機になるような要素があるけれど
こっちは純粋な殺しの美学に徹底している。
だから、見終わった後に何かを考えるとかなかった。
(人がそれぞれ何を考えて生きてるか分かんないとか当然の事実としてね)
でも、映画見た!っていう感覚は両作に通じます。
なんといっても伊藤英明。これに尽きる。
これまでドラマとか映画でしっかり見たことなくて
ちょろっと見て、しゃばいなーって思ってた自分が恥ずかしくなりました。
最高過ぎた。表の顔、つまり爽やか英語教師をこなせるのは予測できたけど
裏の顔をあそこまでやりきる覚悟。おみそれしました…
(○ジックマ○ッシュルーム、キメてたんかな)
日本映画の場合、演技が下手な訳じゃなくて
脚本や演出がしょーもないから、
俳優もしょーもなく見えるだけなんだという思いを強くしました。

じわじわと裏の顔が現れてきて、最後の校舎で行われる殺戮行為。
前半も好きだけど、やっぱここで最高にあがる!
銃もマシンガンとかじゃなくて、日本で合法的に入手可能な猟銃(散弾銃)で
弾が2発ずつしか入らない。
毎回けだるそうに、でも確実に弾を込める。
そして一切の躊躇なく、ぶっ放す!
この一連の動作を何十回と見れるだけでクソ楽しい。
とくにかっぱを着て、Mac the KnifeのBig Band Ver.をBGMに
集まった生徒たちを一人残らず殺ってしまうシーンはまさに三池節。
あと山田孝之ね。最高のサービスシーンでした。
嫌なところはエンディング曲。ガクー!て音が鳴った。笑
原作読んでないから、最後の展開がどういう意味をなしているのかは
分からないけれど、この映画を一言で言えば「magnificent」

2012年11月23日金曜日

人生の特等席


公開初日に観てきました。
クリント・イーストウッドは年始のJ・エドガーに引き続き
今年2作目。おんとし82歳。。。
今作は監督してないけど、
この人の携わった作品をあと何作観れるのだろうかと思うと
もはや100%見に行くしかないでしょ。
結果、かなり好きでした。

グラン・トリノ同様、孤高の老人の話で
イーストウッドは名野球スカウトであるガスを演じている。
現役バリバリの弁護士である一人娘との物語で、2人を中心に物語が進んでいく。
冒頭から机ぶっ壊したり、じじいの持つ暴力性全開で
イーストウッドがやると無性にアガル。(グラントリノ後遺症)
ガスの奥さんは娘が小さい頃になくなっていて
ガスと娘は基本的に親子関係がうまくいっていない。
頑固じじいとその血を継ぐ頑固娘。
でも、ガスのある病気をきっかけに関係性が変化を迎える。
ガスは娘へ申し訳ないという気持ちを抱えつつも
今さら謝れないというアンビバレントな状態。
一方、娘は仕事が死ぬほど忙しいけど
父を心配する気持ちを隠しきれず、父のことを優先する。
そしてガスへ歩み寄ろうとするけど、ガスはまったく聞き入れない。
だから娘もあきらめてしまう。。
しかし、そこをブレークスルーするのが
父娘の唯一の共通言語「野球」である。
小さなすれ違いは多々あるけど、このおかげで徐々に親子関係が修復していく。
といった感じのストーリーです。超長くなってしまった。。
終止両方ともの気持ち分かる〜っ思ってました。
派手さはないけど、人間味溢れるストーリーテーリング。
上で述べた親子関係に加えて、アナログvsデジタルも興味深かったです。
デジタルによる徹底した効率主義の結果、見えなくなるもの。
長年の経験に加えて「現場」で見ることの大切さね。まさにGroove。
マネーボールは確かデータ野球の話だった気がするので
(まだ観てないけど)対比で見れば楽しいかもしれない。
本作はかなりデフォルメきかしてるけど
言いたいことが伝わってきて良かったと思う。
予告編で何度も流れている「私の人生の特等席だった」ってところでは
とくに涙腺刺激することなかったけど、
最後ブレーブスのスカウトが集まったときに放たれる
ガスの台詞で号泣メーン!でした。
正直、予定調和で多少物足りなく感じるところもあるし
ガスが娘を遠ざけてきた理由も
物語全体のトーンから少し浮いてしまっているのが気になったかな…
あと見方によれば、昔は良かったという懐古物語に見えないでもないかな…

でも!でも!オレは好きでした!是非。

アフターアワーズ



携帯のメモに残っていて…誰のレコメンドだったろうか。
マーティン・スコセッシ作のコメディ。
日々の生活に退屈したサラリーマンが
アフタアワーズに、ちょっと女の子を引っ掛けるつもりが
とんでもない状況にドンドン追い込まれていく。
最初は一癖、次は二癖、その次は三癖、
といふうに面倒くささが増幅していく。
さらに、そいつらが蓄積していくという地獄。
その一人、一人のキャラ説明したいけど
めんどくさいから、観てくださいw
あとエンディングもおもしろかったです。
あのオチがあるから、あんだけamazingな夜も日常の延長でしかない。
偶然なのか、必然なのか。
(偶然)^n = 必然
もっとスコセッシの作品を見よう。

2012年11月22日木曜日

Hello, "NO SNS WORLD"


こんにちわ、もしくはこんばんわ。
大したことないと言えば、そうなんですが
今まで利用していたSNSをすべて停止してみました。
iPhone、PCからアプリ、Bookmarkを無くして一切見てません。

(2012年11月19日以降。)
きっかけはこのblogをふと見かけて。⇒リンク
さらにこのblogも読んで。⇒リンク
Google Readerは止めてません。
だからブログとかNews Siteは引き続き見てます。

最初のSNSはmixiで、そっからTwitter、FB 、4sq、Tumblrと
無制限に増えて行きました。
とくにTwitterはウルトラリアルタイムなので、いつ見ても
FRESHな情報が溢れている。 
実際に会ったことが無い人だって、ある共通の話題でジャムって
その後、現実世界で会うことだってできる。
かたやFBは疎遠なかたから身近な方まで
現在、どういう状況に居るのかが分かったり。
さぞかし便利です。
最新の状況を知らない友達に向かって「アンテナばきばきやなー」
とか言ったりしてました。
いいところもたくさんあるから、全力で利用してたんですけど
でも嫌なところ、メンドクサイところもあるのは事実だし
皆様それに折り合いつけて使っているんだと思います。

前から心の中でうっすーら思ってたことが
やっぱり同様に考えてる人いるんだなと上のブログを読んで思いつつ。
上記のリンク先を仕事場の喫煙所で読んで
帰りの電車で周りの人を観察していると、ほとんどの人が携帯見ていて
だいたいFBかTwitter、もしくはソーシャルゲーム。
そこで色んな歯車がガシっと合ってやめてみようと思い立ちました。
ある種の人体実験への好奇心。 過度の情報依存からの脱却。
欲しい情報を自分で採取する力。

KREVA氏の歌詞を借りて端的に言えばこういうことです。

それでもまた画面見つめて 下手すりゃもう一つ 画面
で 下手すりゃもう一つ 画面
で 見逃しちゃってる 場面

人が生きてる限り、接することの出来る情報量に限界があって
世の中には、ボクが経験したことない音楽、映画、本など
まとまった形を持ったものが持つ「場面」
これが世界にはまだまだたくさんある。
SNSのもたらす個人の「場面」も大好きだけど
今はそのモードじゃない。もっと色んな世界を知りたい。
あと考える時間ね。もう25歳だし。

まー長々書いてみましたが、とりあえず今年中までは、この生活続ける予定。
このブログもほとんど映画レビューみたいになってるけど
もうちょっと色んなこと書いていこうかしら。なんて。
続きは現実社会で。

ー写真解説ー
@Musée Marmottan Monet

2012年11月21日水曜日

イカとクジラ


ジェシー・アイゼンバーク(ソーシャル・ネットワークのザッカーバーグ役ね)
がフォーカスされるきっかけとなった作品。

ある夫婦と子ども2人にまつわる話。
夫婦が離婚することになって、子ども達が共同監護のもと
両親達とどう向き合うかというお話。

タイトルとの意味不明さとはほど遠いきわめて
リアリティの高い作品だと感じました。
この夫婦は2人とも作家なんですけど
子どもに対して誠実といえばそうなんだけど
あまりに正直過ぎて、そのせいで子ども2人が
少し変わった人格を持ってしまう。
とくに性的なものに対して、ものすごいあっぴろげ。
(たとえば、誰々と不倫してたとか。1人の女性に執着するなとか)
弟のほうがひどくて、かなり倒錯した性への目覚め方、接し方をする。
その割に、この弟役の子がかなりかわいくて、それがまたせつない。
鏡に向かって、裸でビール飲んでるところは
「あぁ…」 って思わずいいたくなるぐらい。
あと図書館のカドとロッカー事件ね。(見たら分かる)

んで、ジェシー・アイゼンバークのほうが
ぶっ飛んでいない分、もっと哀しくなる。
ピンク・フロイドの歌を自作の歌だと言ったり
文学に詳しい振りして、実は何にも読んでない文学クソ野郎だったり。
でも、ボクも若いときはこんな風に背伸びして
何でも知ってるふりしてたなーとかレミニスしました。

なんでこの2人が上記で述べたような行動を取ったかと考えると
基本的にはどちらか片方にせよ両親を愛していて
両親の注意をひきつけたい、その一心ゆえの行動だからこそ切ないのである。

ボク自身はそんなこと思ったこと無いから共感とかじゃなかったけど
見る人が見ればすげーハマる。そんな映画。

2012年11月20日火曜日

バス男


邦題が残念なシリーズ。
音楽ではよくある話だけど、映画でもありますね。
原題は「Napoleon Dynamite」
主人公の名前。ではなぜこんなタイトルがついたかというと
主人公の通学手段がバスで、いわゆるnerd(オタク)の恋愛ものっていうだけ。
このタイトルで日本で人気が出ると思えるマーケティング力よ…

舞台がアメリカの高校で、主人公がもう何をやってもダメ。
唯一自分でスキルフルと思っている絵もてんでダメ。
おまけに家も貧乏で車もないから小学生のスクールバスで通学。
お兄さんもチャット野郎で、
そこに加えて自分が栄華を極めた'82年を忘れられない叔父まで
押し掛けてきて、もはや全く何も良いことが無い。
映画の約8割がこの話。コメディなので、チャームさを加えながら。
もう徹底的にダメ過ぎて、見てるこっちが
「もう分かったから…」って言いたくなりました。
特にこの曲が流れるシーン



個人的に結構思い入れある曲なんですけど
この曲ってアメリカの高校の卒業式アンセムになってるということを
本読んで知りました。(歌詞見ると納得)
この映画ではプロムのシーンで流れるんですけど
皆はパートナーとダンスしていて、このときが永遠に続いて欲しい
つまりforever youngでいたいと思っている。
でも主人公にとっては、この地獄がforeverになるのか…
といったような音楽の使い方がおもしろかったです。

この映画を見た誰も忘れられないシーンは本当に最後の最後。
主人公が生徒会選挙の出し物としてダンスを披露するシーン。
正直、このダンスをするきっかけになる話とか
公衆の面前でダンスすることへの苦悩とか一切なく
披露されるんですね。しかも特別かっこいいとかじゃないし。
でもJamiroquaiの曲とあいまって、ただただイケテル!
込み上げる何かがある! かっこいい!
ダサくたって、一生懸命やれば伝わる「何か」
何事も中途半端な自分にカツ入れられました。
タイトルでhesitateしないで、見てみて。

2012年11月18日日曜日

クローサー



聴くシネマ×観るロックに載ってる映画を観る作業を進める一環。
出てる俳優がジュード・ロウ、ジュリア・ロバーツ、
ナタリー・ポートマン、クライヴ・オーウェンというエゲツない豪華さ。
はぁ、分からないでもないけど。。。って感じでした。

2組のカップルが主人公で、上記がペアになってて
ある種スワッピングみたいなことが起こると。
それがねーものすごい展開力で進んでいくw
とくにジュード・ロウとジュリア・ロバーツについては
「お前マジどうすんねん?!」って見ながら、何回か言いました。
同時にそれがこの映画の醍醐味ではあるかな。
人が何考えてるのかを100%理解するのは無理なんですよ。
なんか愛とか恋とか言うても、それをTakeoverすることあるんですよーって。
自分以外の人間は、The others ではなくthe strangers。
なんにせよ、ナタリーポートマンのかわいさがMudererレベルなので
それ見るだけでも見た方がいいかも。

その夜の侍


映画の予告見てて、おもしろそうな雰囲気だったのでサクっと。
と思っていたら、なかなかにヘビーでした。
ていうか今年見た中で一番のクレイジーシットかと思います。
勿論良い意味で。

お話としては、山田孝之と堺雅人の間にまつわる復讐もの。
堺雅人の奥さんが山田孝之がひき逃げたせいで亡くなって
堺雅人が復讐鬼と化し…といったものです。

この2人の演技がとにかく静と動という
対照的な描かれしてて超強烈。
堺雅人が静で、山田孝之が動。
堺雅人はたまーに街で見かけるいわゆる
「ヤバイ」人を見事に演じてると思いました。
フィクションにおける復讐鬼は、激しい感情があらわになると思うんですけど
これは全く逆。ほとんどといっていいほど喋らないし
復讐への感情を言葉では説明せず、彼のよく分からない
基地外としかいいようがない言動で示していく手法はホント好きです。

そして、山田孝之は言わずもがな。
近年の山田孝之の最高沸点じゃないかな。 暴力の権化。
暴力への動機とかが見えないし、理不尽の極み。
このよく分からない暴力の怖さをこれでもかと見せつけられるんですよね。
んで、他の役者だと「そんなことあるかなー?」とか
引っかかると思うんですけど、そこは山田孝之パワー
こいつには誰もかなわないっていう印象を持った時点で勝負あり。
もうその世界観が正と思えてくる。

映画全体でこの2人が会う日までを描き、最後に邂逅すると。
ラストシーンも美しさと暴力を兼ね備えたもので
ぽかーんとしてました。そこで終わりかと思うけど
最後の最後にね。ぶっ飛んだ演出がるんやけど
その解釈をどうとるかとかもオモシロい。

この監督は元々舞台畑の人で、これが1作目とのこと。
もっと見たいですね。
あと安藤さくらが出てくるシーンが
今年一番の悪意全開シーンと認定させていただきます。笑

全部込みでオススメ!

2012年11月11日日曜日

終の信託


周防監督作品なので。
前作の「それでもボクはやってない」を見て、
あまりに衝撃を受け過ぎて
「Shall We Dance ?の監督でしょーえー」 とか
考えてた自分を猛省したことを思い出しながら。
劇場に着くと、若者は誰一人おらず
平均年齢50歳~60歳くらいかな?とくに夫婦が多かったです。
まさに近々「終の信託」をするのかもしれませんね…
前置きが長くなりましたが、良かったです。
というか、色々考えさせられるヤーツでした。

あらすじは非常に単純で
草刈民代が医師で、役所広司が患者で終末医療に関するお話。
前半は年を重ねた未婚女性の抱える問題と
役所広司と家族の関係の説明で、
前者について、とくに共感とかはなかったけど
前半の30分間くらいかな?
草刈民代の体当たり演技が矢継ぎ早に出てきて
そこはずっとマキシマムリスペクトしてました。
これ見るだけでも行く価値あんじゃねって思います。
でも見終わったあと、もっと前半削れんじゃね!って思いましたが
監督は草刈民代の旦那だし見せたかったのかもね。
んで、後半にかけて役所広司が瀕死の状態になって
草刈民代が尊厳死させると。。
このシーンもかなりショッキングなんですよね…
んで、本映画の最大の山場。
大沢たかお扮する検事と草刈民代のバトル!
これたぶん30分ちかくあるんですけど
考えながら見るから全然飽きないし
大沢たかおの検事としての手段の汚さはあるけど
言ってることまぁまぁ正論やし
でも、草刈民代の医師的な見解もかなり妥当やし…
ってやってるうちに最後はあっけない
日本の司法の汚いやり口で終わるというね。
舞台となってるのが1997年で
日本でまだまだ尊厳死という考え方が
普及してない頃というのもありますが、
(最高裁での判例は出てるけどね)
今の時代になっても
この線引きへの明確な回答っていうのは出ていないように思います。
基本的には本人の同意、もしくは家族の同意が大前提だけど
いざ、そのときになって、過去に示した本人の意思が
そのときの感情とは思えない。
なぜなら人間誰しも死ぬ直前になったら、もっと生きたいと思うと
ボクは考えているからです。(エンディングノート見て以来)
しかも、家族の判断っていうけど
んなもん医師の誘導尋問的な要素は少なからず含まれているし。
その点が最後のバトルで死ぬほど議論される。
かなりデリケートな問題だけど、人間は必ず「終」を迎えるし
それを家族、それとも違う誰かに「信託」するのか。もしくは自分で決めるのか。
人生のどこかのタイミングで必ず考える話なので見て損はないと思います。

予告見たらラブストーリーとかなってますけど
そんなに甘いもんじゃねーよ、人間の生死。

突破口


井筒監督推薦のケイパーもの。
しびれる!映画でした。
監督はドン・シーゲルという人で、「ダーティー・ハリー」の監督。
この映画も前回紹介したゲッタウェイ同じく
銀行強盗して、そっからどうやって逃げ切るか。
もしくは迎え撃つかというお話。
ゲッタウェイよりも全体的にかなりタイトな印象でした。
いかんせん主役のウォルター・マッソーが渋い…ダンディズム全開。
いかに先を読み合うかっていうゲームが練られてる。
最初はうかつだなーバカだなーとか思っていたら
ウワーやられたっていう展開がたくさんあるし、
今見ても古くさいっていう印象はないですね。
最後の終わり方が、もう終わり?!
もっと見たかった!ってなったので、良い映画だと思います。

2012年11月8日木曜日

黄金を抱いて翔べ


井筒監督最新作。
かなりオモシロかったです。
いわゆるケイパーもの(金庫やぶりの映画)で
妻夫木、浅野忠信、桐谷健太が中心となって
大阪の銀行に強盗を仕掛けるという話です。
それに付随して色々サイドストーリーがあるような構成。
なにが良かったって、映画全体ににじみ出る男らしさ!

特に浅野忠信はピじゃなかったなーこの映画に出てくる人間で一番好きでした。
主役の妻夫木君は中盤ぐらいまで、もっと適役おったやろーとか
思ってましたが、ラスト見たときに
「これは妻夫木!」って感じで納得しました。
実際に銀行強盗を起こすまでは
前作のヒーローショーのノリとかなり似ているので
あのヒリヒリさも最高だし、ところどころで
盛り上がりポイント用意されてるから
前のときに感じた無駄に長いなーと思うところなく楽しめました。
(ただ、え?って思うようなところも少なからずあった)
んで、このタメがあるから 肝心の強盗シーンが物凄くオモシロく見える!
リアリズムあるかと問われれば、それには首をかしげざるを得ないけど
圧倒的な勢いと同時にスリルがあるから超楽しめました。
この時代に、こんな方法で銀行強盗するだなんて。
Pow Pow!(ガンフィンガーしながら)
これは映画館で見るべき映画。

2012年11月4日日曜日

園子温、非道のオールナイト祭り

11月3日は色んなイベントあったけど
このタイミングでしか一生ない!と思ってテアトル新宿で見てきました。
上映内容は「自転車吐息」「うつしみ」「奇妙なサーカス」
それに加えて、園子温監督、松江哲明監督、ライターのモルモット吉田氏による
トークショーも一緒にありました。

それでは各作品の感想をば。

①自転車吐息
園監督がつくる青春映画の原点だなーと思いました。
正直、おもしろいかと言われれば微妙…
1980年代には、この形、内容がFRESHだったんだろうけど
そこまで共感できなかったかな。
冒頭がナレーションで始まって、これでもかと繰り返すところとかは
今の作品にも通じるところがあると思います。
あとフィルムの質感を初めて体感しました。
ボクが映画館で映画を見始めたときには
すでにデジタルが主流だったし、見たことがなかったので
そういう意味でも貴重な経験でした。
個人的には、この映画にまつわる話のほうがオモシロいので
「非道に生きる」を読む方をお勧めしたいですw

②うつしみ


上の動画でフルで見れます。
愛知県の美術センター(?)が
身体をテーマにした映画の作成を依頼してできた作品。
アラーキーと舞踏家の麿赤児、ファッションデザイナーの荒川眞一郎が
ドキュメント形式で出演してて、それに加えて
ひとつ物語が存在するという相当狂った構造の映画。
その物語っていうのがオモシロかったす。
愛のむき出しの要素が、もっとむき出しで出ている感じ。
園監督曰く、これを作っているときはTVやAVで
テロップが流行り始めたときで、映画も負けらんねー!てことで
テロップが多用されています。「監督失格」みたいな感じ。
カメラもハンディカムになってて、ものすごい画面揺れるけど
その感じも映画の内容と合ってると思いました。
時間ある人は見てみて。

③奇妙なサーカス


近年の園子温監督作品にもっとも近くて
この日見た中では一番好きでした。
「恋の罪」好きな人は、間違いなく好きだと思います。
女性目線の映画で近親相姦とか諸々ていうまぁまぁキツめな内容ですが。。
コントラバス、チェロを入れるケースが物語上、
重要な役目を果たすんですけど
街中で見たら、震え上がるレベルになりましたw
夢と現実が激しくクロスオーバーするので
一体どれが現実?って考えるのも楽しい。
(結局一番酷いのが現実だったりするけど)
なによりもいしだ壱成!最初出てきたときは
気持ちわりーなーと思ったけど、ラストは凄まじい!
よく分からないけど、カタルシスを感じました。

以上!

2012年11月3日土曜日

アメリカン・グラフィティ


クラッシック見ていこうやシリーズ。
好きでした。
原題が"Where were you in '62?"で
1962年のアメリカの地方都市を舞台とした青春群像もの。
監督がジョージ・ルーカスで、製作がフランシス・フォード・コッポラ。
という今では考えられない布陣。
ここ1、2年アメリカ青春ものとかラブストーリーとか
見るようになってますが、ティーンを主人公にしたもので
この作品の影響無しに作られたものは皆無ではないでしょうか。

自分が高校生のときに、ここまで悩んでたかと言われれば全然で
ほぼ思考停止で大学になんとなく入ってしまったので
その頃の自分と重ね合わせるというよりは
「悩む」っていうことにフォーカスして見てました。
あとボクはずっと大阪にいて
地方都市の抱えるジレンマみたいなのを感じたことがないから
そこも特に感情移入する訳ではなかったかな。
でも、1つ1つのシーンでは「あぁ、あるある。」ってところも。
特にファラオ団のくだりは、品の良くない中学で育った
ボクにとっては、かなりfeelしましたw
取り巻きで見てたクチだけど。

あと、この映画は音楽がかなりfeatureされてて
そのシーンに合わせた内容で、曲がチョイスされています。
字幕で歌詞の和訳もでるし、その辺も楽しめました。