2012年11月28日水曜日

自殺サークル


園子温監督作品。やっとレンタルで見つけて、見ました。
紀子の食卓より以前の作品で、
今日の園監督の劇場用作品の基礎となるようなものでした。
かなり好きでした。

このタイトルはインパクトが凄まじいから
どこかで耳にしたことある人も多いかもしれません。
新宿駅での女子高生集団自殺から始まるこの映画。
しかも、ふわーっと飛び降りて死ぬシーン見せないとか
そんなぬるいことはしない。血がとびチリまくる。
正直、このシーン見るだけでも十分な価値があると思います。
この作品が製作されたのが、2001年。
ちょうどインターネットが普及して間もない頃。
ネット上に○印だけのサイトが存在し
自殺者が出るたびに○の数が増える。
その謎を捜査する警察側のストーリーが主にあって
随所に自殺する側のストーリー(特に若者)が差し込まれる。
主人公は石橋凌。刑事であり父親。
実態のつかめない事件の調査で疲れ、なおかつ若者の自殺者が多いことから
我が家のことも心配して帰宅するが
あたたかい幸せな家庭が迎えてくれて杞憂だと考える。
しかし、実際には家族のことを何も理解できてない父親だと
痛烈な形で証明される。
この作品でもっとも好きだったところは同調圧力、
もしくはアイデンティティの喪失に対する皮肉なスタンスです。
象徴的なのが、学校で突発的に起こる自殺。
軽ーいノリで「自殺しちゃおーぜ!」って校舎から飛び降りる。
皆が死ぬから私も僕も死ぬという思考回路。
また劇中で出てくるデザートというグループのパズルという曲。
詳しい歌詞は作品を見て確認していただければと思うけど
簡単に言えば、あてはまるところがなければ
ピース(自分)の形を変えなきゃね★って。
ホラーの要素もあるけど、こっちのほうが100倍怖いw
堅苦しいこと言いましたが、おもしろい描写もかなり多い。
特にローリーとローリーのいるボーリング場が半端ねぇ。

アイデンティティを失ってでも、社会に適合することに意味があるのか。
ということを映画見ながらずっと園監督に聞かれてるような感じでした。
耳が痛い話だけど。
よく子どもの頃に「みんな持ってるから買って」とか母親に言って
「みんなって誰やねん」って聞かれて答えれなかったことを思い出したり
いい歳こいて、まだ姿の見えない「みんな」にすがってる人もたまにいるなぁ。
とか思ったり。

勝手に生きろよ!

0 件のコメント: