2017年12月2日土曜日

2017年11月

日記を書いてみた。

11月1日
寝坊したものの、打ち合わせ先に直行だったので
ことなきを得て午前中いっぱい打ち合わせ。
定時で退社し1日なので
映画でも見ようかしらんと思うものの時間が合わず断念。
後輩の結婚式でDJすることになった都合で、
5億年ぶりにCD-Rを買って帰宅。
フリースタイルダンジョン見ながら、
中華風ポトフ、マカロニサラダで晩ご飯。
FDはもうFORKだけ見れればいいと思っている。
洗濯物を干しながらハライチのラジオ、
岩井のフリートークをひたすら聞く。
ここ最近で一番オモシロいコンテンツな気がする。
騙されたと思って最初の「電車」だけでも聞いて欲しい。




11月2日
ECDの本を読み始めたので、
仕事中はひたすらECDのアルバムを聴きまくる。
リリース当時はぴんときていなかったけれど、
著作の影響や自分が年をとったこともあり、
良いなぁと思える曲が多い。
午後の大半が会議だったので残業し、
その流れで職場の人と飲んだ。
同年代だけど結婚/子どもという
ライフイベントを消化していて、
見ている景色の違いに驚く。11時すぎまで。
電車で寝てしまい乗り過ごし、タクシーでUターンする、
この世でもっとも無駄なお金の使い方をしてしまった。

11月3日
体にむち打って早めに起床し
radikoでハライチのターンをタイムシフトで聞きながら
家事をこなしたのちに東京駅から新大阪へ移動。
3連休ということもあり激混み。
マインドハンター見ながら隣のおじさんと肘掛け争奪戦を繰り広げた。
このおじさんは本を読んでて京都で降りたんだけど
読み終わった本を置いていった。
海外の旅先ならまだしも、東京→京都間でそんなに旅情感じてんのかよ、
粋だなと思った。新大阪のスタバに立ち寄り
アイスコーヒーを飲みながら実家に帰宅。#隙あらば実家に帰りたい。
夕方、大学の後輩の結婚式へ。
ホームパーティーへ行くようなカジュアルな雰囲気でお越しください
と招待状にあったのでシャツにカーディガンで行ったら、
ほとんどスーツで浮きまくる。就職試験なら間違いなく落ちてるタイプ。
2次会では久々にDJした。日本のヒップホップばっかりかけて
内輪ノリになってしまった。
僕の周りの友人後輩は楽しんでくれてたけど
知らない人からしたらツマらないと思っただろうなと帰ってから反省した。
その証拠にDJの最中にアヴィーチーないですか?と聞かれたし。
(あとクリーピーナッツ!ブーム!)
改めておめでとうございました。
結構酔っていたので12時過ぎには退散。

11月4日
早く起きれたので昼に友人と会う前に
「ブレードランナー2049」をTOHOシネマズ梅田で鑑賞。



めちゃくちゃ小さいスクリーン+軽い二日酔い
+横のおばちゃんの独り言で、そこまで没入できず。
とにかくゴズリングがかわいそうな話で
オンリーワン幻想を打ち砕かれながらも
自分の使命を全うする姿が切ない。
展開がとてもゆっくりで、
画面や音を楽しんで初めてオモシロくなることが分かったから
時間あれば再見したいところ。
中崎町のカフェで友人に荷物渡しがてらお茶。
本の話、ラップの話で盛り上がる。
フリースタイルブームは良くない風に
捉えがちだけど初めて流行ることの意味を痛感した。
もっと当たり前にラップの話ができる世界になれば…
本屋をブラブラするも特に買わず散会。
朝の消化不良を取り戻すためにステーションシネマで
「ノクターナル・アニマル」鑑賞。



「シングルマン」に続くトム・フォードの監督2作目。
前作に通ずる静謐さとsavageな部分のバランスが素晴らしかった。
目先の利益に捉われて将来のヴィジョンを失い
芸術性をダメにしてしまうことは恐ろしい。
主役も小説家をギレンホールが演じていて、
ギレンホール主演映画にハズレなしの法則は健在。
ルクアの地下の旧ヤム鐵道でカレー決めて帰宅し死んだように眠った。

11月5日
10時半の新幹線で帰京。駅に結構早く着いてしまって、
待合室で座ってたら横に子どもが座りその前で母親が立っている。
周りから見ると僕は席を譲らないクズにしか見えない構図なので席を譲った。
子どもを使ったお母さんの作戦じゃないか?
と疑った僕を許してください、神様。
串カツ食べ放題が安くなっていたので夕食は串カツ田中へ。
半年は要らないくらい食べた。
関東で串カツといえば田中みたいになっているけれど、
大阪の人からすれば少し前まで全然知らない存在だった。
なので大阪のアメリカ村にデカデカと鎮座していることへの
違和感は未だに拭えない。
帰りにTSUTAYAで漫画をたくさん借りて帰った。

11月6日
連休明けで体が重く全くやる気の出ない1日。
帰宅後はNETFLIXでひたすら「マインドハンター」を見続ける。
フィンチャー案件なので当然超オモシロい。



11月7日
「降伏の記録」がオモシロ過ぎて通勤時間が毎日の楽しみになっている。
今回も心にグサグサ刺さってしまう名文だらけで付箋貼りまくり。
駅から降りるときに見たマルコメの広告、
「ミランダ・カーがお味噌を知ったのは18歳で初めて来日したとき」
というのが流れてて、その情報のバリューはなんやねんと思わずにいられない。
帰宅して「マインドハンター」を見終わってしまった。
かなりの分量の余白を残して終わったので
次シーズンを早く配信してほしい。70sの音楽の使い方が出色。
一部のエピソードをフィンチャーが監督していて、
その世界観を他の監督が壊さないようにしている気がして、
それが結果良い方向に作用していた。

11月8日
ノー残業デーで会社の同い年のメンバーと飲みに焼鳥屋へ。
先週とほぼ同じメンバーだけど、
それぞれ立場が違うし普段はそんな話さないので色々話し込んだ。
帰りの電車で再び寝てしまうものの、
起きたら最寄駅でダッシュで下車してセーフ。

11月9日
帰ってから倒れ込むように寝たため早く目が醒めた。
シャワー浴びて弁当作って出社。もうかれこれ2年弱弁当を作り続けている。
「男性なのに偉いね」と女性に言われることがあるけれど、
それは性差別だと思ってしまうくらいにはひねくれている。
そういった発言が「家事は女性のもの」という先入観を
男に抱かせるのではと思う。
あと「弁当作ってる=貧乏」みたいな考えも煩わしい。
自分で食べものを加工して食べることができるのは人間の特権で、
与えられたものを食べるのは家畜と変わらない。そこんとこよろ。
打ち合わせ先に直行で昼過ぎまで打ち合わせ。
昨日の疲れが残りつつも仕事終わらなくて残業。
仕事中はMaroon5「Red Pill Blues」をチェック。



feat陣からしてかなりヒップホップに寄せていることもあり好みな作品。
この作品にも参加しているSZAは今年1番好きくらいなアーティストで
今後に超期待している。帰路はひたすら「降伏の記録」を読む。
オモシロ過ぎてどうにかなりそう。
帰宅後はネギトロ丼を食べながら帰省のタイミングで
少しずつ見ていたグザヴィエ・ドランの「胸騒ぎの恋人」を見終わる。



アート系女子に好きな映画監督は?と聞いて、
10人が10人、ドランの名前を挙げると誰かが言っていた(偏見)
相変わらずセンス炸裂しまくりで、とくに色使いと音楽が素晴らしい。
ヒップホップ(Jump Around!)とクラシックを
等価に成立させる豪腕と同性愛を含めた
愛全般へのセンシティブな姿勢が好きだった。

11月10日
朝の電車で「降伏の記録」を読了。

降伏の記録
降伏の記録
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植本一子
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著者のこれまでの作品の中でぶっちぎり。
皆の心のうちにあるものの、日常生活で秘めているもの。
それが超かっこいいラインのつるべ打ちで書かれていて震えた…
とくに書き下ろし部分は思い当たることがあり過ぎた。
発売日に開催された下北沢でのサイン会でゲットしたんだけど、
サインの上に書かれた言葉がとてつもなく重い問いに思えてしょうがない。
自分がどうやって生きていくのか?真剣に考えないといけないと思う。
仕事中はIvan Ave「Every Eye」を無限リピート。



LeftoのWWFMのmix showで知ったラッパー。
ゆるいフローがくせになるし、なによりもプロデューサーが豪華。
Kaytranada、DAM-FUNK、DJ Harrison、Mndsgnなど。
金曜の夜に遅くまで働く気になれず、
青山ブックセンターまで「降伏の記録」の写真展へ。
が、その前にHave more curryで晩ご飯。
東京のカレー色々食べたけどかなり好きなカレーで、
最近ディナーも始めたようだった。
写真展は思いのほか、小ぶりだったけど読んだばかりなので、
あの日常を脳内補完して楽しめたし、
ECDの写真の少なさが作品を凝縮しているようだった。
それよりも初めて訪れた青山ブックセンターの
素晴らしさに恐れおののいた。扱っている本の種類は多いし、
お店がとても見やすくて久々に通いたくなる本屋に出会った。
前から気になっていた本を2冊購入して帰宅。
ハライチのターンをタイムシフトで聞きながら、
この日記を書いている。

11月11日
10時半に起きて近所の星乃珈琲でブランチ。
夕方から新宿へ行き映画を2本鑑賞。
TOHOシネマズは会員ならいつでも1100円で見れる1週間なのだ。
1本目は「ゲットアウト」



前評判の高さから期待してたけどそれ以上だった。
レイシズムにホラーサスペンスで鮮やかにカウンターを叩きつけている。
アフリカ系アメリカンへの歪んだ羨望と白人の優勢思想の掛け合わせで、
よくこんなこと思い付くなぁと感心した。
Childish Gambinoの「Red Born」がオープニングでかかって改めて名曲だなぁと。
映像の演出もフレッシュで洗脳された瞬間に宇宙へ放り出され、
現実世界が小窓になるシーンにかなりアガった。上田岳弘の世界観。
2本目は「ザ・サークル」



原作が前から気になってたけれど先に映画から。
だってエマ・ワトソンが主演なのだもの。
彼女のことを何とも思っていないという人は、
ウォールフラワー」を見て欲しい。僕の人生で10本に入る映画。
それはともかく、ますます加速するであろう、SNS、
ビッグデータが生み出す今後の世界の外観を
これだけ鮮明に描いた作品はないと思う。
すべてが可視化されることは民主的かと思いきや、
一歩間違えば全体主義へと陥ってしまう。
データに基づけば最短距離で正確に目的へ
たどり着くことは可能な世界は人間にとって果たして
快適な世界なのだろうか?なんてことを考えさせられる。
権力を持った人間が恣意的に監視するだけが問題なのではなく、
大衆側の承認願望に基づく情報の「シェア」も監視社会を
加速させていることがよく分かるエンディングで秀逸。
さらにテクノロジーの進化も止めることはできない。
便利さと引き換えに失うプライバシーに対しての自覚は
これからますます失われていくだろうし、そ
もそもこの日記をwebで公開している
僕の言っていることには何の説得力もない。
今日から読み始めた中村文則最新作「R帝国」も近い未来を描いていて、
そのディストピア表現と今の社会が繫がっているところに
興奮しながらページをめくる手が止まらない。
ジョージ・オーウェル「1984」は
今年読んでおきたい思いを改めて(絶対間に合わない気がする)
深夜にノア・バームバックの「人生は最悪だ!」を見る。



邦題タイトルがミスリードする問題は
映画好きの人はもはや「あるある」として
処理しているかもしれないが、
この邦題はかなり厳しい部類に入るだろう。
(Youtubeは原題のグリーンバーグになってる!)
精神に病を持つ主人公をベン・スティラーが演じていて、
彼が地元に帰って来て世間と対峙するものの、
なかなかうまくいかない話。
かなり悲観的なたたずまいではあるものの、
中身を見てこのタイトル付けるのはナンセンスだと思った。
だって、人生に対して前を向く映画なのだから。
それはともかく、この作品はノア・バームバック史において
キーになっているなぁと。女性の主演である
グレタ・ガーウィグの「フランシス・ハ」、
ベン・スティラーの「ヤング・アダルト・ニューヨーク
と続く訳だが、まるでこの映画の登場人物のその後に見える。
それは生き遅れた中年と未来に不安な女性がそれぞれ主人公だから。
その2作品を踏まえると、若いうちに自分の好きなものを
見つけておくと人生が豊かになるってことだと思う。
RHYMSTERの「ダンサブル。」に収録されている
「Diamonds Feat.KIRINJI」のMummy-Dバースに通じる話でもある。


11月12日
お昼に下北沢へ。今年できた旧ヤム邸でランチ。
東京でもこのカレーが食べれる喜びに浸る。
相席で横にいた女の子2人組がPUNPEEの良さについて
語っているのを聞いて、下北沢を一番強く感じた。
サブカル至上主義。
もともとSTUTSのフリーライブ目的だったんだけど
時間があったので駒場公園まで散歩。
ハライチ岩井のフリートークで登場した公園で、
そのトーク聞いて行ってみたんだけど、
この公園訪れてあのトーク思い付くのホント天才かよと思う。
リターンto下北沢でSTUTSのライブ。
高架下のフリースペースみたいなところで満員。
一番後ろだったので手元が見えなかったけど、
ドラムの鳴りとノリが体感できて楽しかった。
普段聞いてるのとドラムパターンが少し違うだけで、
いきなり生な感じになってアガるんだけど、
もっとドラムの抜き差しあってもいいのかなと思ったり。
それこそアカペラで聞かせてからのドーンみたいな。
ライブ終わりはそそくさと退散。
家でシンゴジラを流し見つつ漫画読みつつ。

11月13日
VIDEOTAPEMUSIC「ON THE AIR」を聴きながら粛々と仕事。
前作のワールドワイドな感じも好きだけど、
日常と地続きな部分が多い今回の方が好き。
モーションブルーでのライブが今から楽しみ。
遠い先のスケジュールの仕事の話をされると、
やめてしまおうかと思ってしまう。
結局未だ答え出ず。そして辞めるとなれば、
どのくらいで辞めさせてくれるのか?
バッドな気持ちになったので定時で帰宅。
浅野忠信×神木隆之介という最高のコンビネーションに
期待して録画してる「ゆがみ」を見るものの全くピンと来ず。
テレビ東京の深夜枠で見たかった。
気持ちを切り替えてドラマ版を見終えている
「ディア・ホワイト・ピープル」の映画版を見た。



時系列でいえば映画が先の話で、
登場人物は同じものの役者が微妙に異なっている。
ドラマ版でも感じたけれど差別の構造は複雑で一概に語りきれない。
このことを理解しないと前に進めない。
人種差別、性差別、職業差別といった様々なレイヤーが重なりあって
今の社会があることをまざまざと見せつけられるので
学校の教材にすべきだと思う。
ただ映画版に比べるとドラマ版の方が好きだった。
ドラマ版の第5話は「ムーンライト」のバリー・ジェンキンスが監督していて、
差別感情の緊張の頂点が映像で表現されているので、
それだけでも見て欲しい。現実社会が残酷になればなるほど芸術が豊かになる。
この矛盾を楽しみつつ、気付いたことを1人でも少しでも
変えていかねば世界は変わらない。

11月14日
目覚ましが鳴らなくて寝坊し超ギリギリ出社。
昼に別部署の先輩とランチ。いかの天ぷらそばを食べた。
今の会社に入って良かったのは映画や音楽の話をできる人がたくさんいることで、
今日も諸々情報交換できて良かった。
定時で帰宅して野菜炒め、レンコンと人参のきんぴら、トマト、豚汁で夕飯。
ノア・バームバックの「マイヤーウィッツ家の人々」を見る。



NYを舞台にした家族もので、
家族の面倒くささがオモシロいし、会話のテンポが早く、
まるでピンポンのよう。カットバックの多用がさらにそれを加速させる。
ベン・スティラー×ノア・バームバックは安定のコンビネーションで
僕は彼に感情移入して見ていた。家族の形はそれぞれ異なり、
型にハマらなくていいことがよく分かる優れたドラマだと思う。
ニヒリズム全開の前作も好きだったけど、
シンプルにグッとくる系も好き。寝落ちしてた。

11月15日
朝に最近聴けてなかった東京ポッド許可局をまとめて聞く。
身銭論が特に刺さった。
https://radiocloud.jp/archive/tokyopod/?content_id=22691
ある対象に対してお金もしくは時間をかけてこそ
見えてくるものがあるという話。
レコメンドが充実していけば偶然は欠如し、
世界はその人に最適なものを最短距離で提案してくるし、
人間もそれを求める。インターネットの普及による
相対的価値観の跋扈は本当にめんどくさい。
物事に対する間口が広がったという多大な功績を差し引いたとしても。
そそくさと仕事を終えて帰宅。油淋鶏を食べながら惰性のFDを見る。
ハライチのターン、過去回を適当に見繕って家事。無限にオモシロい。
中村文則「R帝国」を読了。

R帝国
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中村 文則
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中村さんが渾身の力を振り絞って描く
ディストピアって感じで、とてもオモシロかった反面、
描かれた世界が遠くない未来に思えてしまう今の社会が怖くなる。
ある独裁国家の話なんだけど、ここ数年で成立した法律と
台頭した技術が結託し国民を統制する方向へ流れていけば日本も…という世界。
それに加えて今の時代で僕が嫌だなーと思うことが風刺として描かれている。
(たとえば朝の通勤電車を戦場から逃げる人々で描いたり)
何か悪いこと、feel badなことが起こったときに
人のせいにしがちだけど知らず知らずに自らも加担していることに
気付かされることが本作の醍醐味だと思う。
あと発明だなと思ったのは「冷笑」の笑い方を
「くぷぅくぷぷ」にしているところ。
なにかと厭世主義でマウント取って人を蔑みたい気持ちに
冷や水をぶっかけて目を醒まさせたい。その態度はだせぇんだよと。
逆にこの作品が陰謀論の塊と笑える時代がくればいいなと思う。
読み終わったあと、お先真っ暗な気持ちと
少しだけ見える光にすがる気持ちが綯い交ぜになった中での
「共に生きましょう」はこれまで読んできた作品の中で一番刺さった。
ちなみに、この作品は読売新聞で連載されてから出版されており、
強烈なアイロニーを感じた。

11月16日
朝から打ち合わせ。帰ってからも打ち合わせで一日が終わる。
渋谷シネパレスで「彼女がその名を知らない鳥たち」を鑑賞。



「凶悪」「日本でいちばん悪いやつら」の
白石和彌監督作品なので期待大だったけどバッチリだった。
正直、前半はこれといった展開もなくて少し退屈に感じたんだけど、
徐々にギアが上がっていき最後の最後までギアが上がり続けて
駆け抜けていく映画体験で久々に号泣した。
明確に記憶してる個人的な転換点が2つあって、
1つ目は阿部サダヲがバイオレンスを剥き出しにする瞬間。
彼女である蒼井優にぶつかった男を電車から追い出すシーンで、
追い出した後の阿部サダヲの顔の撮り方が素晴らしかった。
電車越しの街灯の光が彼の顔にオーバーラップし、
底なし沼のような彼の内面が画で伝わってくる。
2つ目は蒼井優の元彼の叔父の登場シーン。
そもそも登場人物はロクでもない大人ばかりなんだけど、
スクリーンで発揮される異物感が超濃厚。
凡百の監督であれば有名俳優を当てちゃいそうなところだけど
過去作の経験がモロに生きてる素晴らしいキャスティングだった。
蒼井優はいつも通りに不安定な女性を演じさせれば
右に出る者がいないレベルなんだけどMVPは松坂桃李。
「日本のいちばん長い日」での好演も記憶に新しい中、
今回は最低な男を見事に体現していた。
この映画はラストを前提にしてすべて逆算された設計で、
前半の退屈も最後まで見ると浄化される。
孤独、絶望、嘘を包み込む無償の愛に打ちひしがれてしまった。
ヘイトが目につく世の中で、ここまで純度の高い愛を見せられると
「愛が世界を救う」なんていう
24時間テレビの青臭い言葉でさえも信じてしまいそう。
来年「凶悪」のリリーフランキー×ピエール瀧のコンビが
白石監督のもとで復活するようなので楽しみ。

11月17日
駅から会社までバスに乗っていたけど、
ここ2日間ほど歩いている。帰りはいつも歩いているんだけど、
同じ道を逆から歩くだけで全然違う様に見えるのがとても新鮮。
朝の渋谷のケイオスな具合を感じて出社すると
少しフレッシュな気持ちで仕事ができる。気がする。
仕事中に聞いたyaeji「EP2」がとても心地よい。


ローファイなハウスと本人の声のマリアージュがくせになる感じ。
「After That」という曲では韓国語で歌ってい心地よいし、
Drakeの「Passionfruit」のリエディットカバーが最高。
iPhone側からの恫喝に屈して、とうとうiOSを11にアップデートした。
iPhone6なんだけど、新しい携帯を触っているような気持ちで楽しい。
使いこなせているかと言われればそれは別問題なのだけども。
気付けば7,8とんでXと完全に置いてけぼりだが、
動くうちは6を丁寧に使いたい所存(単に契約の問題)
是枝監督が撮った「ゴーイングマイホーム」を見る。
撮り方が普通のテレビドラマと全く異なるし、
出てる俳優陣のレベルがめちゃ高いので超オモシロい。
是枝監督が描く家族の物語はいつだって最高。
是枝作品で毎回さえない夫を演じる阿部寛はたまらないし、
山口智子の子どもを1人間として尊重しすぎるあまりに
ドライな関係になっている点とかリアル。
彼女の仕事が料理研究家で、
それを活かしたフード演出が優れてて
ダイニングテーブルが家にあるけど、
そこで家族は決して食事しない。
なぜなら、そこは山口智子の仕事場だから。
娘や家族との関係をさりげなく表現していく手腕は
是枝監督やっぱ好きだわーと幸せな時間を過ごした。

11月18日
朝起きて会社!と思ったけど休みだわ、で二度寝の11時半起床。
フレンチトーストを食べてハライチ岩井の
フリートーク集を聞きながら家事をこなす。
家事におっくうな人はラジオが本当にオススメ。
気付いたら終わっているから。
「ゴーイング・マイ・ホーム」を少し見進めて
日記をまとめて書く。出かけるまでに
デヴィッド・リンチ「ロスト・ハイウェイ」をなんとなく鑑賞。



ストーリーがぐちゃぐちゃがゆえに音楽と映像のショットが
頭からこびりついて離れない。
「心因性遁走(サイコジェニック・フーガ)」が
キーワードらしく、極度のストレスなどから
自分が誰なのかが分からなくなり、
過去の出来事が思い出せなくなり、
周囲の人には全くの別人として振る舞ってしまう症状だそう。
この症状が心の中だけではなく現実社会に露呈してしまっているわけで、
映像だからできる表現だなと思う。
リンチの過去作はあまり見ていないし、
今年新シーズンが始まったツインピークスも
まだ見てないので色々見ていきたい。
夜は角川シネマ新宿で「アトミック・ブロンド」を鑑賞。



行くのが久々過ぎてシネマート新宿と間違ってしまった。
公開されてしばらく経っているけれど
東京は場所を変えて長い間上映してくれるのは都市の幸だ。
シャーリーズ・セロン無双で、アクションと80'S音楽の
素敵なマリアージュでオモシロかった。
ずたずたになったシャーリーズ・セロンが
氷だらけの水風呂に入り、震えながらウォッカを飲むという、
異様なオープニングで始まり、
ずたずたになった理由を解きほぐしていくストーリー展開。
1989年のベルリンが舞台となっていて、
東西戦争最前線でのスパイ同士の命の取り合いが
スリリングだった物語の謎解きを最後の最後まで
引っ張るところが少し冗長に思えるけれど、
ずっとアクションが放り込まれているので退屈はしない。
前述したとおり音楽は80’sポップスで終始ご機嫌なんだけど
ヴィジュアルがソリッドで、そのギャップがクールだと思う。
とくにカラーリングが特徴的で、レフンの「ドライブ」以降に
顕著な赤と青のライティングのヴィジュアルが超かっこいい。
室内はバキバキなのに屋外はずっと曇りでモノクロなトーンで
このギャップもクールだった。
圧巻は終盤の東ドイツでのKGBとの戦い。
そこまで音楽と共に比較的軽快なアクションだったのに対して、
音楽なしのワンカット(おそらく疑似だけど)で
ボコボコに殴り合う超重いアクションが痺れた。
(殴り合い→銃撃戦への切り替えもスムーズで良かった。)
映画館で見ないと良さが伝わらないタイプの映画だと思う。
帰りにセブンイレブン寄ると
中学生のヤンキーカップルがめちゃくちゃ狭い
イートインスペースでダベっててグッときた。

11月19日
早起きして新宿武蔵野館で「南瓜とマヨネーズ」鑑賞。



朝の回だったので早起きできるおじさんと女子しかいなかった。
身もふたもないダメンズに翻弄される女子の物語。
共依存とそこからのエスケープの類型的な話なんだけど
俳優陣の演技から産み出される映画全体の空気がとても良かった。
臼田あさ美はバイプレイヤーで見ることが多い中、
めちゃくちゃ哀愁感じる演技で、自分を必要としてくれる人間を
追い求める姿が儚い。しかも、その追い求めた先にいるのが、
オダギリ・ジョーなんだからたまんないものがある。
光石研との愛人行為のくだりが最高で、
彼の「着てみないと分かんないよね?」は笑ってしまった。
最近の光石研のキレ味は本当に好き。
彼女の演技で色んな感情が十分に伝わってきたのに
ナレーションが入っていて、そこだけが少し残念だった。
そして、もう1人の主演である太賀が、
今までの彼が出演した作品で一番好きなくらいに素晴らしい。
最初は彼女に依存するヒモ野郎で口だけは達者で何にも行動しない。
けれど、彼女が愛人行為に手を染めたことを
きっかけに自立への道を模索し始める。
何とかもがきながら「言葉より行動」を体現していて、
自立しようとしている一方で過剰なまでに忙しくすることで
臼田あさ美のことを忘れようとしている姿には胸が痛くなる。
なんといっても本作はラストが最大の肝。
これまで言い訳つけて全然曲を作ってこなかった太賀が
最後に臼田あさ美に曲を披露するシーン。
太賀の歌いだしの最初の声で女子は全員ノックアウトされるはず。
メンズの僕でもノックアウトされた。
とにかくめちゃくちゃ歌が上手いし曲も最高。
(監修はやくしまるえつこ)
しかもコンガと声だけという演出がとニクい。
2人が違う方向へと歩いていく姿は
自立することの必要性を雄弁に語っていた。
展開は少ないけれど沁みるタイプの映画。
見終えて新宿のガンジーでトマトチーズカレー。
初めて食べたけど辛めの欧風カレーで美味。
小田急地下の墨繪でパンと夜に食べるもつ鍋用のホルモン買って帰宅。
帰ってからは冨永監督の「パンドラの匣」を鑑賞。



太宰治原作の結核診療所の話ということで全体に暗いトーン。
ここでもナレーションがんがんなんだけど、
この作品では太宰治が描く自意識の塊が
映像に補足される形になっているので上手く機能していた。
あと病院内での呼び名が本名ではないところに、
戦後すぐの段階でハンドルネームの概念があったのかと驚く。
作家の川上未映子の妖艶さも魅力的で、
そのあと俳優業をほとんどやっていないのがもったいないくらい。
ラストの窪塚君との2ショットは卒業オマージュで素晴らしかった。
「透き通るほど無欲な美しさを手放してはならない」
というセリフがとても印象に残っている。
ABCで買ったアメリア・グレイ「AM/PM」読了。

AM/PM
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アメリア・グレイ
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装丁が震えるほどかっこ良く久々にジャケ買いした1冊。
内容も装丁に見合ったアバンギャルド具合で楽しかった。
超短編が120編収められていて、
それらが飛び飛びに緩やかに繋がっている。
瞬間風速が吹くときは凄まじく、
逆にピンとこない凪の状態が混然としている作品で
今まで読んだことがない感覚だった。
バラバラに解体して登場人物の名前から整合性を確認しても
オモシロいのかもしれないけれど、このノリは出ないんだろうな。
2009年の作品なのでtwitterを始めとした
マイクロブログ勃興期と重なっていて短い文が持つ瞬発力が
必要とされオモシロかった時代があったのだなと
牧歌的な気持ちにもなった。
もつ鍋食べてTSUTAYAまで漫画を返しにいって
DVD借りてストロングゼロ飲んで寝た。
死ぬやついるんじゃね、そろそろ。

11月20日
休み明けはやる気が出ない。
先日の結婚式で酔っぱらった勢いで
むちゃくちゃ言っていたことを後輩が律儀に仕上げてくれた。
昨日の夜そして通勤時に聞いてテンション上がる。
今年の日本語ラップは良作だらけ。
自分でも作ろうと思い立ったけど、どうなるか。
そそくさと帰宅し菊地成孔「粋な夜電波」を聞きながらご飯。
ガンダムのOST特集で、サンダーボルトの音楽を
菊地さんが監修したジャズでめちゃくちゃかっこ良かった。
ガンダムは全く通って来ていないけど、
この音楽が劇場で聞けるなら行ってみようかなと思う。
(とか言って結局行かないんだろうけど)
NYでコンサートされるらしく、
ちょうど今日読み始めた本(NY地下経済への潜入ルポ)
とのシンクロに驚いた。
レンタルしたドゥニ・ヴィルヌーブ監督の「静かなる叫び」を鑑賞。



今年見た映画の中でトップクラスに圧倒された。
映像/ストーリーのどちらも恐ろしくソリッドでグイグイ引き込まれる。
最初から映画に愛された監督だ。
カナダのモントリオールで実際に起こった銃乱射事件を題材にした作品で、
男尊女卑世界の地獄のメタファーとしてこれほど残酷なものはない。ネ
タバレしてしまうとオモシロさが減ってしまうので
詳しいことは書かないけれど、女性の社会進出が進まないことは、
殺害していることと同義なのであるという主張が強烈過ぎた。
とくに男側の描写が秀逸で、現状を理解しているのに見て見ぬふりをして、
助けない/変えないようとしないことを
「女性が殺さたにも関わらず、音楽爆音の部屋へ逃避、寝過ごす」
という形で表現していた。興奮したまま就寝。

11月21日
仕事をシュッと終えてテアトル新宿で「全員死刑」を鑑賞。


「孤高の遠吠」の小林勇貴監督作品。
よくできた映画とは言い難いけれど瞬間風速がとんでもないし、
バイオレンスの重みを愚直に表現していると感じた。
僕が一番ぶち上がったのは高速道路のシーン。
リンチのロスト・ハイウェイなショット、
ゴテゴテの音楽、主演2人の顔がごちゃ混ぜになった
日本のどこかにあった夜。本当にカッコよかった。
そして間宮、毎熊の主演2人のギャグとバイオレンスの境目を
たゆたう演技が本作を特別なものにしているのは間違いない。
序盤、明らかに毎熊の方がデンジャラスに見えるけれど
中盤から理性がないピュアなバイオレンスを秘めた
間宮のマッドネスが映画を覆い尽くす。それは彼が殺害方法として
絞殺を選んだところからだと思う。人を殺すには体力がいること、
絞殺死体のディテールといったリアリティの追求が
マッドネスを増幅しているように思えた。
見てるこっちが恥ずかしくなるようなギャグ/セリフもあるんだけど、
毎熊のノリですべて「あり」になっていたと思う。

11月22日
朝乗り換えの駅で電車待ってたら横に老夫婦が座っていた。
すると奥さんがおもむろに立ち上がり駅員のことを
柱の影からiPhoneで撮影し始めた。一体何事!
と思ったけど駅員が比較的若い男の子だったので、
駅員の両親が息子の仕事姿を見に来たんだなと思った。
自分の仕事姿を親に見られるってどんな気持ちなのだろう。
自分に置き換えるとなかなか辛い。
でも撮った動画を田舎にいるおばあちゃんが見るのかなと
妄想すると少し涙腺が緩んだ。
電車に乗っても夫婦はそのままホームに座っていたので、
まだまだ撮影するのかもしれない。
午後から外出、打ち合わせ→直帰。
日記文学を映像で表現したと勝手に思っている
「家ついていっていいですか?」が
いつもどおり最高の仕上がりで満足して就寝。

11月23日
明日が有給取れたので4連休初日。
VIDEOTAPEMUSICのワンマンライブ@モーションブルーのため横浜へ。
中華街でベビースターラーメンのできたてを食べて、
いつもの店で五目やきそば、炒飯など。どれも激ウマで満足。
いざモーションブルーへ。着席スタイルで美味しいお酒を
飲みながらまったり楽しめた。これで見るのは3回目だったけど
VHSのループ映像と5人編成の音楽のセッションはいつ見てもオモシロい。
ライブで見るまでに音楽を聴いて想像する情景と、
現場のスクリーンで展開される映像のギャップで
1曲1曲がさらに特別になっていく感覚は唯一無二。
子どものころ、音楽の授業であんなに嫌だったピアニカの音色が心地よかった。
MCで言っていた、横浜という街と対バンする感覚の話が興味深かった。
あとceroの高城晶平が客入れと1部と2部の合間にDJしていて、
ISSUGI Feat. 仙人掌「Midnight Move」をかけていてぶち上がった。
横浜の夜景を横目に帰路。

11月24日
休み。後輩が今年のまとめプレイリストをuploadしていたので
聞きながら日記を書く。こんな曲もあったなーと
日本のヒップホップの超細分化に思いを馳せた。
髪の毛ぼさぼさだったので髪を切った。
雑誌をいつも置いてくれるんだけど、
そのチョイスで自分がどう見られているかが投影されるなといつも思う。
(ちなみに今日はMENS FUDGEと日系エンタメみたいなやつ)
そして、その雑誌を読むべきか、どうかいつも迷うけれど今日は読んでみた。
Mick Boogie改めMICKのJAY-Z vs DJ Premierのミックスを聞きながら
ユナイテッドとしまえんへ。このmixめちゃくちゃ渋い。



プリモのインストとJAY-Zのバースを使ったブレンドが
タイトにミックスされている。
しかも、プリモのインストはブルックリンのMCのインストに
絞っているというこだわりっぷり。最高のブレンド職人なので要注目。
んで「ローガン・ラッキー」鑑賞。



スティーブン・ソダーバーグ監督祝復帰!
もろにオーシャンズ・イレブンの焼き直しといえばそれまでなんだけど、
時代が反映されていてゴロツキのパーティーウェイウェイ〜な感じではなく、
主人公たちが背負う物語はビターだ。
足が不自由、手が失われているといった、
「ローガンの呪い」に取り憑かれたホワイトトラッシュな兄弟2人の
逆転劇は痛快なのだけど従来のアメリカ映画とは少し異なるエンディングを迎える。
それは誰も損をしない世界、シェアの概念。
ソダーバーグが考える再分配政策とでも言えるだろう。
必要なところに必要なだけのものがあり、誰も損をしない世界。
1%の超富裕が多大な富を得ているアメリカ社会において、
この終わり方はフレッシュだと思う。
新自由主義が蔓延し過ぎた世界の限界を示しているように感じた。
俳優陣がとんでもなく豪華な点はイレブンの系譜にある証左。
マジックマイクで最高のコンビネーションを見せた
チャニング・テイタムを筆頭にアダム・ドライバー、
ダニエル・クレイグを揃えているのでオモシロくない訳がない。
ダニエル・クレイグが悪い感じなのかなり良かったし、
好きだったのは爆弾のくだり。化学式を壁に書き出す理系演出にアガった。
あと好きだったのはテイタムの娘の発表会のシーン。
2017年にカントリーロードで泣くとは思いもしなかった。。
種明かしが冗長に思えたけれど、
それも含めてイレブンの系譜と思えば良しでしょう。
次の作品はあるのだろうか?久々に普通の平日休みだったので
街全体の平日モード(子どもやおじいさん、おばあさんの出現率の高さ)に
新鮮な気持ちを抱きつつ帰った。
回鍋肉食べながら「湯を沸かすほどの熱い愛」を鑑賞。



去年の話題の邦画で見逃していたので。
凡百のクソ邦画より何倍もマシだけどテーマの扱いに対して
あまり納得できず消化不良だった。捨てる側と捨てられる側の生き様の話で、
強く生きねばならないというメッセージは理解できる。
ただ、「逃げてはダメ」という退路の断ち方に違和感を抱いた。
本当に辛いときに逃げて救われることだってあるはずなのに、
その部分が少しも描写されないバランスだから。
両論併記せよとまでは思わないけれどバッファーを持たせて欲しい。
強い1本のメッセージの方が単純かつ分かりやすく刺さりやすいのだろうけど。
病気の私だってこんなに逃げてないのだから…
という無言のプレッシャーを感じた。
好きだったのは家族の在り方の描き方。
ちょっとした演出で関係性を表現していて、
セリフの説明がほとんどないし、
血が繋がっていることが重要なのではなく、
一緒に生きることで家族になるのであるというメッセージを
ど真ん中に投げ込んでいて好感を持った。
見終わった人と色々話せそうな映画。
もうソファから一歩も動けない体になったなので
7inch Treeのアーカイブをまとめて視聴。
ISSUGIのバンドセットがやっぱりかっこ良い。
以前にRefugeeで見たセットとほぼ同じだったけど、
PUNPEEの「Pride」やってて首ふりまくり。
ISSUGIのボーカリストとしての
マイク1本の強度が如実に出てて神がかかり的だった。
Aaron Churaiとのビートメイキングも興味深くて、
彼が弾いたフレーズをあえて16FLIPがチョップするところに
HIPHOPを感じたし、その後は逆にAaron Churaiが弾きで
ベース入れて音楽の強度が増すという
超かっこいいトラックになってた。
bandcampでOkzharp & Manthe Ribane「Dumella113」と
Moodprrint「Oasi EP」を買う。
前者に収録されている「Dear Ribane」は
2015年の曲だけど今年優勝曲。
この間がめちゃめちゃくせになるし、
PVかっこいいし呪文みたいなボーカルも最高。



どちらもLeftoのミックスで知った。
彼は耳の広さ/早さ/確かさの3拍子揃った
世界一のオールジャンルスタイラーではないか?とミックス聞く度に
その思いを強くしている。ミックスを作ろうとして
曲選んでテーマは決まるものの、あれもこれも落とすのかと
捨てきれない思いと格闘し煮詰まって寝た。

11月25日
11時半ごろに起床。外の天気はいいけれど
全く外に出る気がしなかったので借りていた「君の名は。」鑑賞。



公開当時に天の邪鬼を全力で発揮して見なかったけれどオモシロかった。
時間軸いじくりまくりなので真剣にツッコミを入れ始めると
色々あれ?と思うことはあるかもしれない。
でも田舎と都市の対比、311を想起させる隕石災害といった
街の記憶というテーマにグッときた。
その時代、その街で生きること、物語が紡がれていくことに
気付かされるし主人公2人が日記で互いを知る設定も好き。
僕はそれほどアニメを見ていないので分からないですが、
アニメで見たことがないカメラワークの多様化と
それを可能にしているアニメーティング技術は
スクリーンで見ておけばよかったと後悔した。
食わず嫌いは損することもあることを痛いほど思い知らされる。
性別の違う2人が入れ替わって周りが
少し変だなと思っても許容していくところは
ジェンダー論にリーチしているのかなと思ったり。
「君の名は。」と「シンゴジラ」が
ほぼ同時期に公開されていた2016年は
311を受け止め考えると言う意味で重要な年だったのかもしれない。
立て続けに「セトウツミ」鑑賞。
劇場で見てかなり好きだったので2回目。
今、TV東京で主演2人を変えてドラマ版が放映されているが、
あまりにひどかったので口直しの意味で見た。
2人芝居みたいな内容なので、ごまかし効かないから
相当力量がいる題材なんだなと改めて思ったし、
映画版の間の取り方に惚れ惚れする。
この作品の菅田将暉は僕のベスト・オブ・菅田将暉の1つだ。
(皆がそれぞれマイ・ベスト・オブ・菅田将暉を
心の中に秘めていると信じて疑わない)
あまりにダラダラし過ぎたのでレンタルビデオを
歩いて返しに行って、またダラダラしてたらいつのまにか寝ていた。

11月26日
新宿ピカデリーで「火花」鑑賞。



原作を読みNETFLIXでドラマを見て、
いずれもめちゃくちゃ好きなので心配半分、
楽しみ半分で見ましたがピンとこなかった。。
NETFLIXドラマ版が日本ドラマ史上に残るレベルの傑作だし、
連ドラの強みである尺の長さを活かし人物を
丁寧に掘り下げていたのに対して、
映画版はなにもかもが足りないように見えた。
まず大前提としてキャスティングに問題があったように思う。
映画を見るまでは桐谷×菅田コンビは
素晴らしい組み合わせに思えたけれど、
登場人物たちが持つ影の部分が見えない。
それは2人が陰陽でいえば「陽」の人だから。
確かに肯定の物語ではあるけれど、
それまでの葛藤がドラマ版を見ている身としては
どうしても足りないと思えて仕方がなかった。
さらに菅田の相方として2丁拳銃の川谷が
配置されているのも違和感。
彼の演技云々ではなく単純に年の差があり過ぎる。
(薄目で見ても不可避なレベルで)
ドラマ版は日本を代表する監督が集結して作ったもので、
それに対して芸人板尾創路が監督、脚本で立ち向かうという
企画自体に無理があったのかもしれない。
もはやドラマ版を見る前には戻れないので
全くフラットな感想は持てないのだけど、
もしこれから見る人がいるなら映画→ドラマの方がオススメ。
間違っても逆で見ないように。何が良かったかと言われれば
エンドロールで流れる主演2人による「浅草キッド」のカバー。
歌手もこなす2人なので味わいあるし、
東西が結びつくお笑いサーガを感じることができた。
帰りにビックロ寄るもののセールで激混みのため何も買わずに帰る。
ユニクロといえば週刊文春で特集された
潜入ルポが発売されていたので早急に読みたい。

11月27日
連休明けで空前絶後のブルーマンデー。
マッドな気持ちだけど今読んでいる
「社会学者がニューヨークの地下経済に潜入してみた」が
超オモシロくて読み応えありまくりなので通勤は楽しい。
NYでのアンダーグラウンド経済のグローバリゼーション。
帰ってからはハライチのラジオ過去回を聞きまくって笑いまくった。
ゴロリさんのコーナーが最高。

11月28日
feedlyでニュースをチェックしてると、
Frank Oceanの「Endless」のフィジカルリリースの一報が。
あれよあれよと思わず購入してしまった。
CD+VHSに惹かれるもののアナログにした。果たして無事に届くのか?!
お昼に職場の人とランチ。
tofubeatsの今年出たアルバムの良さに最近気付いた
超遅耳ですが彼の特大クラシック「水星」に元ネタがあることを知る。
しかも割とモロサンプリング。
(この曲にもさらに元ネタがあるのかもしれない)


帰宅して「人のセックスを笑うな」を鑑賞。


先輩から数年前からずっと押されていて、
理由も納得の素晴らしさだった。
監督は井口奈己で「ニシノユキヒコの恋と冒険」を
過去に見たていたけれど、こっちの方が好き。
ロングショット/ワンカットを
多用したシーンだらけなのに加えて、
本作では明らかにアドリブであろう展開も多く含まれていて、
映画が持つ覗き見の感覚がとても強くてオモシロい。
撮り方でいえば橋口監督に近いものの伝わってくるニュアンスは異なる。
物語として不幸に見える場面だとしても、
生活すること/生きることを祝福しているかのように見える。
退屈の代名詞のような日本の田舎にも関わらず。
それはスクリーンに何を映すか、深く思慮しているからだろう。
お話だけ切り取れば、当たり障りない連ドラになっても
おかしくない題材だけど強烈に「映画」を感じた作品が久々で興奮した。

11月29日
イイ肉の日。だから何ということもなくノー残業デーで一路新宿へ。
草枕でなすチキンカレーを食べた。
新宿はカレー色々あるけれど一番行くカレー屋。
美味しいし店が広々していて落ち着くから。
店員の人が杏に似ていた気がする。
そして新宿武蔵野館で「光」を鑑賞。


「南瓜とマヨネーズ」を見たときに予告編が
ヤバい混ぜ物みたいでとても期待していた作品だ。
だって三浦しをん原作×大森立嗣監督×ジェフ・ミルズ音楽で、
井浦新/瑛太主演という組み合わせ見て行かない理由ないでしょ。
バキバキにキマリまくる内容で、
混沌をそのまま観客に投げてくるような映画だった。
誰がどんな暴力衝動を備えているか分からない世界で、
それが暴発するまでの過程をジェフ・ミルズの音楽と
主演2人の演技で見せる。
いきなり大音量のテクノと島の断片的風景のショットの連なりで
始まるところから度肝抜かれ、
子ども時代に起こった事の発端となる事件
(島のロングショットが美しい)、
橋本マナミのほぼ全裸という情報の洪水が起こるけど、
そんなことはつゆ知らず物語は淡々と死へ向かっていくところがかっこいい。
なにしろ井浦新の演技がめちゃくちゃ好きだった。メ
カ井浦新なのかもしれないと思うぐらい
抑制した部分と暴力を解放したときのギャップがたまらない。
(もしも…のシーンで台所で暴れ散らすシーンが一番好き)
井浦新の弟役を瑛太が演じていて、
こちらはずっと感情を解放していて
暴れん坊なやんちゃ小僧といった感じで対照的。
父からの暴力に怯え孤独に生きてきたがゆえの強がりなんだけど、
2人の対照的なスタンスが物語が進むにつれて逆転していく。
つまり井浦新の暴力が顕在化し、瑛太が抑制していく。
この2人のやり取りがひたすらスリリングで見てて飽きない一方で
女性2人が出てきて、それが前述した橋本マナミと
長谷川京子という配役なので微妙な塩梅だった。。
決して悪くないんだけど良くもない。
橋本マナミが子どもに暴力をふるってしまうシーンには
誰もが暴力衝動を抱えているのであるというメッセージが
託されていると思うので女性は必須なんだけど、
男性陣とのギャップが大き過ぎたかも。
安藤サクラぐらい懐が深く受け止めきれる人が良かったと思う。
いわゆる「よくできた」と言われるタイプの映画ではないので
皆に進められる訳ではない。でもこの映画でしか得られない
体験、感覚は必ずあると思う。
(子どもがパパと呼ぶ声→
居間に巣食う樹木というエンディングの豪速球っぷりとか)
久々に速度制限くらってFUCK!と言いながらで帰宅。

11月30日
わりかし残業してラーメン食べて帰宅。
菊地成孔「粋な夜電波」をタイムシフト視聴。
NY講演の話と80年代の音楽。日本のアーティストで、
とてもかっこ良かったけど、
それをトレースする元気も時間の余裕もない。
新しい人はどんどん出てくるし知らない過去の人もたくさんいる。限
られた時間で何をするかという話。
帰るとCDが届いていた。APPLE MUSIC登場以降、
ほとんどCD買わなくなったけど年末に今年よく聞いたなー
と思うものを買ったりする。
今回はJOEY BADA$$「ALL-AMERIKKKAN BADA$$」、
SZA「Ctrl」、GOODMOODGOKU & 荒井優作「色」の3枚。
JOEY BADA$$は年明けのバンドセットでの
ライブに行くので買った。外カバー付きで歌詞もついている親切設計。GOODMOODGOKU &荒井優作は
CDだけでなくデータCDがついているオモシロい仕掛けになっていて、
インスト音源だけでなく写真も入っていてCDで買って良かった。
SZAは…グラミーノミニーおめでとう!
(友達みたいなノリで言ってみたかっただけ)

2017年11月1日水曜日

高架線

高架線

滝口悠生最新作。
短編集がこのあいだ発売されたばかりですが、
立て続けのリリースで今回は長編。
なんともいえない感覚と読了感がありつつ、
かなりピースな内容で平穏な気持ちになりました。
本作も過去作から一貫した記憶と土地の話で、
前作が記憶に軸足を置いているとすれば、
本作は土地に軸足を置いた物語でした。
東京の東長崎にあるボロボロの木造アパート、
かたばみ荘を中心として、
そこに歴代住んだ人達が登場人物で、
それぞれの日常が丁寧に描かれています。
賃貸の場合、新築でなければ
自分の前に住んでいた人がいるわけですが、
その人に会う可能性は現実にはほとんどないと思います。
つまり、ファクトとしての繋がりとしてはユルい。
けれど同じ空間を共有しているメモリーとしての繋がりは
かなりタイトという奇妙な関係が描かれているゆえに
読んでいるときに独特の感覚がありました。
あと毎回滝口さんの作品で思うのは文体への新しい挑戦。
今回はパラグラフごとに主人公が名前を宣言する。
それは物語の語り部が変わることを意味し、
登場人物が思い出を語りかける形になっていました。
芥川賞を取った死んでいないものは
映画でいうところのカットが長かったのに対して、
本作はカットの切り替えがパッと変わっていくので、
同じ人の話だけど他人のような、
他人だけど同じ人のような、という
境界が曖昧になっていくところもオモシロかったです。
個人的には、東京に初めてきたときに
西武池袋沿線に住んでいたので、
あの高架線が懐かしい気持ちになりました。
住んでいた頃は何も思わなかったけど、
今は地下鉄で通勤していて電車で風景を一切見ないので、
読んでいるあいだレミニスしまくり。
東京ではかなり地味な街かもだけど、
どの街にもストーリーがあるのである。
と強く実感した1冊でした。

2017年10月28日土曜日

あゝ荒野 後篇



<あらすじ>

ボクシングのプロデビュー戦を終え、
トレーニングに励む毎日を送る新次とバリカン。
宿敵である裕二との対戦に闘志を燃やす新次は、
自分の父親の死にまつわる
バリカンとの宿命を知ってしまう。
一方、バリカンは図書館で出会った
京子に初めての恋をするが、
彼の孤独が満たされることはない。
やがてバリカンは自身の殻を打ち破るべく、
兄弟のように過ごしてきた
新次との日常を捨てることを決意。
戦うことでしか繋がることのできない
2人の死闘の日々がはじまる。
映画.comより)

前篇を見終わったあとに流れた予告編で

期待高まりまくりの中、見てきました。
文句をつけたくなるシーンも
いくつか散見されたのですが、
それらをすべて吹き飛ばす主演2人の演技力で、
僕は涙を流さずにはいられませんでした…

※ここからは盛大にネタバレして書きます。


後篇で描かれるのは主に2つで、

新次の復讐試合と新次と健二の試合。
復讐試合は前篇でフリがあったように、
自分の兄貴分を下半身不随に追い込んだ裕二との
因縁をリング上で清算するというもの。
憎しみを糧とし、憎んで憎んで憎み切ったものだけが
リング上の勝者なのであると考える、
新次の1つの到達点とも言えるのがこの試合。
この試合の痛みと苦みは凄まじかった。。。
あれだけの憎しみにさらされた、
僕を含め観客の多くが期待するのは
憎しみからの解放であり、明確なカタルシス、
勧善懲悪なストーリーなんだけど、
そんな簡単に解放してくれないんですね。
みっちりと作戦を練ってきた裕二が
序盤優勢なんだけども、反則行為を含めて
何度も挑発することでボクシングではない、
殴り合いへと展開していく。
裕二はボコボコにされるものの、
最後までダウンすることなく
判定で新次が勝利するんだけど、そこにカタルシスはない。
つまり、憎しみの果てには
何も待っていないということが露呈してしまうんですね。
当たり前と言われれば、それまでなんですけど、
あまりに痛々しく生々しいボクシングシーンがゆえに、
こちらの心にグサグサ刺さってきました。
そしてメインとなるのは新次と健二の試合。
そもそも前篇では2人は兄弟分として、
1つ屋根の下でトレーニングを積み、
仲良くプロボクサーになった訳ですが、
最終的には拳を交えることになる。
仲良かった2人が殴り合わざるを得ない系映画といえば、
クライング・フィストウォーリアーといった
個人的傑作が多いのですが、
それらの作品では殴り合わねばならない理由が
明快に示されていました。
ゆえに2人が争うまでの持って行き方に注目してたんですけど、
とても曖昧な形のままで、明確に示さないところが
日本の映画っぽいなーと初めは感じました。
健二の新次への愛(ラブの方ね)や
それぞれの父親が実は繋がっている因縁など、
要因として考えられることはいくつか見られました。
しかし、ラストのラストで、
そこをこれでもくらえな勢いで
ファジーであることの意味を回収していくんですよね。。
ボクシングの試合にリアリティがないという
意見があるかもしれませんが、
そんなリアリティ求めるならボクシング見とけって話で。
リアリティを超越したボクシングが描かれているからこそ、
この映画は輝いて見えるんだと思います。
そのビヨンドを可能にしたのが主演2人の演技でしょう。
後篇のヤン・イクチュンの切なさ、エモさは今年屈指。
そして、それを受け止める菅田将暉の度量。
互いが孤独を深めていった先にぶつかり合い、
すべてがパーフェクトにかみ合う最後の試合。
あの健二のモノローグで泣かないやつなんているのかよ!
腐った社会だとしても、自分がここで生きているんだ
ってあんな形で示されたら泣くに決まってるやろ!
少し熱っぽくなりましたが見てもらえれば分かると思います。
今回は前篇ほどサイドストーリーの時間がなく、
2人の時間が多くを占めていることも良かった。
そのサイドストーリーで前フリしていたことは
一応本編に絡んでくるんだけど、
結局蛇足にしか見えなかったです。
もともとU-NEXTの配信ドラマを映画化したそうで、
確かにドラマだと耐えれるけど、
映画だとあまりに冗長過ぎるなーと感じました。
(あと最後の試合で新次が意識トバしたときに
出てくる映像は本当に最悪なので消して欲しい。)
計300分5時間ある訳ですが、その時間を通過してこその
感動があると思うので見て欲しい作品です。

ゼロヴィル

ゼロヴィル

長年本を読む生活を続けていますが、
久々に震えるほどの圧倒的な読書体験でした。
主人公はシネフィルというレベルでは語りきれないほどの
映画に狂った男で帯の言葉を借りれば映画自閉症。
もし人間が生まれてからずっと映画のことだけ
考え続けていれば、こんな人間になるのかも?
という映画好きの心をくすぐる設定。
さらに彼は「陽のあたる場所」という映画に心酔するあまり、
頭の左右に主人公2人のタトゥーを左右に入れている。
(本の表紙の2人です)
彼がハリウッドにやってきて映画の仕事に携わり、
そこからどんどんステップアップしていく過程を描いています。
読んでいるときの感覚としては、
チャック・パラニュークのファイトクラブに
かなり近いものがあって。
本の世界に取り込まれるというか、
TVドラマに後ろ姿を見つけられなかったやつらの
神話を読んでいるような感覚がありました。©RHYMESTER
作品中で大量の映画が引用されていて、
それは見たことがない古典が多いんですが、
どれも無性に見たくなる作品ばかり。
しかも、ただ引用するだけではなくて、
物語内のシチュエーションに混ぜ込み、
有機的に物語と強く結びついていて、
推進力に繋がっているがゆえにスルスルと読める。
(安定の柴田元幸による翻訳)
登場する映画を知らないから読めないではなく、
知らない映画を見たくさせる力を持ちながら、
物語自体がめっちゃオモシロいというバランスの良さが
本当に最高だなーと思いました。
(巻末に映画の索引が付いているのも超便利!)
主人公はハリウッドに来て美術の仕事から始めて、
最終的に映画の編集者になります。
ここが凡百の小説だと監督のパターンが多いと思うんですが、
編集者というのが渋いし、
これもまた物語の構造と繋がっている。
本作はパラグラフが細かく別れていて番号がふられています。
それはまるでカットの断片を並べているかのようで、
つまり物語をブツ切りにして繋ぎ合わせる、
編集の仕事を表現しているんですなー
しかも、その番号がある瞬間から変化していく
仕掛けとタイトルの結びつきがもう。。最高最高!
登場する映画を見てから読み直したいし、
映画好きの友人すべてにオススメしたい1冊。

アフロ・ディズニー2 MJ没後の世界

アフロ・ディズニー2 MJ没後の世界

今年出たJAZZDOMMUNISTERSの
アルバムがとても好きなのですが、
そんな2人の大学での講義録をまとめた1冊。
ずーっと前に大学の近くで音楽イベントを
友達とやっていた頃、そこに来た年下の後輩に
「めっちゃオモシロいので是非」
と薦められてから約5年越しに読みました。
毎回講義にゲストを迎えて、
その人が専門分野を語った後に、
菊地さん、大谷さんがセッションしていく形で、
久々に脳みそ使ったー!という内容でした。
カルチャー、哲学、思想まで
あらゆるジャンルを横断しながら、
様々な論考が提示されていきます。
正直、全部理解できたとは到底いえない。。
オモシロかった見立ては、
オタクカルチャーと60年代ブラックミュージックの
構造的な類似性。マジョリティにも関わらず、
当人たちの意識および実態が
被差別対象にあるという点で結びつけてるんですが、
圧倒的な逆サイドが実は隣同士なのかも?
という話はいつもオモシロいと思ってしまう。
登場するゲストでいえば、
村上隆と松尾潔というHIPHOP、R&Bに関係する人達と
2人のセッションがオモシロかったです。
とくにファレル、カニエがどういった人物なのか?を語る、
村上さんの話はめちゃくちゃ貴重だし超オモシロい。
(カニエはとにかく巨乳。とか最高すぎ。)
2から読み始めてしまったけど、1に戻っていきたいです。

2017年10月26日木曜日

B-A-B-Y AT DINER



少し前ですがミックスを作りました。
映画ベイビー・ドライバーに捧ぐ内容で、
劇中で主人公ベイビーとヒロインのデボラとの
やり取りから着想した「BABY」縛りになっています。
本編のSOUL/FUNKな感じに寄せつつ、
HIPHOP/R&Bも多めにといった感じ。
ベイビー・ドライバーは音楽が好きな人は
必見の映画なので、まだの人は是非に。

2017年10月24日火曜日

猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)


<あらすじ>
高度な知能を得た猿と人類が
全面戦争に突入してから2年。
猿たちを率いるシーザーは森の奥深くの
砦に身を潜めていたが、
ある晩、人間たちの奇襲を受けて
妻と長男の命を奪われてしまう。
敵の冷酷非道なリーダー、大佐への復讐を誓ったシーザーは
仲間たちを新しい隠れ場所へ向かわせ、
自らは3匹の仲間を連れて大佐を倒す旅に出る。
道中で出会った口のきけない人間の少女ノバや
動物園出身のチンパンジー、バッド・エイプも加わり、
一行はついに大佐のいる人間たちの基地にたどり着くが…
映画.comより)

前作を劇場で見たこともあり、
なんとなく映画館で見てみました。
近年、色々とリブート系がたくさんありますが、
猿の惑星シリーズはクオリティが本当に高く、
本作も例に漏れずオモシロかったです。
今回は特に時代の空気をモロに反映していて、
排外主義の行き着く先は破滅でしかないことを
鮮やかに描き切っていました。

※ここから盛大にネタバレして書きます。

前作の続きからで人類はおおかた死滅し、
猿と人類の戦争が続いている世界です。
冒頭から戦闘モード炸裂でテクノロジーに
長けているにも関わらず猿に迎撃されてしまう人類。
銃 vs 槍の戦いは迫力満点でした。
前作でも提示されていたとおり、
シーザーは戦争を好まないんだけど
人類は猿を排除しようとするので戦わざるを得ない中、
あらすじにあるように妻と長男を殺されてしまう。
シリーズを通じて人類との橋渡しの可能性を
持った唯一の猿だった彼がこの事件をきっかけに
憎しみに支配されてしまう。
あゝ荒野でも憎しみがテーマになっていましたが、
時代は憎しみを巡る物語を希求しているのかもしれません。
それがグッドエンド/バッドエンドに問わず。
前作まで憎しみのパートを担っていたのは
コバという猿で前作でシーザー自身の手で倒しています。
彼のことを蔑んでいたにも関わらず、
自分があちら側へと簡単に転んでしまっていることに
葛藤しながらも大佐への憎しみは捨てきれない。
このアンビバレントな状態は終盤までずっと続き、
物語の大きな推進力となっています。
それは私たちが現実社会で抱えうる感情を映し出す。
今回の敵はアメリカ軍の残党のような軍隊なんですが、
もろにネオナチな見た目とスタンス。
猿たちは彼らに捉えられて強制労働させられることに。
このネオナチ集団は猿を倒そうとしているけれど、
同じ人類からも攻撃されそうになっているから、
壁を作ろうとしています。
その労働というのが壁の構築で、
これはおそらくメキシコとの国境に壁を作るという
トランプの施策を示していると思われます。
さらに本作がオモシロいのはノバという
女の子を含めて人間が罹患する口が聞けない病の扱い。
ネオナチ集団は口が聞けない人間を
「人間ではない」と定義していて、
猿と同様、排除する対象と見なしているんですね。
身体的特徴から排除の対象と見なす、
これも現状の人種差別問題を描いているんだと思います。
そして、もっと突っ込んで言えば、
人間を人間たらしめているのは何なのか?というテーマでもある。
このテーマに対する回答としては、自分を犠牲にしてまでも
利他的行動を取ることなのだと僕は受け取りました。
口の聞けない人間、話すことのできる猿、
難しい禅問答のような話をこんなアクション映画で見せていく、
アメリカの映画に対するスタンスがやっぱりかっこいいなと思いました。
終盤までほとんどドンパチがない分、
ラストのたたみかけるような戦いのシーンは迫力満点!
あとから考えると色々ツッコミ入れたくなったりするけど、
見ている間はあまりの火薬量にそれさえ忘れさせる。
エンディングでは約束の地に辿り着くものの、
シーザーの時代に終わりが告げられる。
次作は息子の物語になりそうで、それも見てみたいところです。