2017年8月22日火曜日

エンパイア・レコード



今、フリークス学園を
ひたすらビンジウォッチングしているんですが、
別の切り口でアメリカン青春映画を。と思って見ました。
久々にこんなに散らかっている映画見たな!
と逆にその散らかり方が愛おしい気持ちになりました。
地元のCDショップが大手会社に買収されることを
知ってしまったバイト君が
何とかそれを阻止しようとして、
売上金をラスベガスでぶっ込むものの全部失ってしまい、
さぁ、どうなる?といったお話。
95年の映画なんですが、
実際にアメリカからCDショップが無くなるという
笑えない事態が発生してしまったのを知っている
2017年の我々からすると、
牧歌的な空気さえ感じてしまう。
CDショップの学生バイトたちが主人公で、
それぞれキャラは立っているから
見ていて退屈はしないんだけど、
1人1人の行動理由が見えにくいために、
前述したような散漫な印象になったのかなと思います。
本もCDもネットで買った方が安かったり、
便利だったりしますが、
やっぱり大量にディスプレイされている中から、
自分の好みのものや偶然出会うものを
大切にする精神は忘れたくないですね。
それがとくにローカルなものだと尚更。
POPEYEの本屋特集を買わなくちゃ。

2017年8月21日月曜日

わるいやつら



松本清張原作で近年TVドラマで
当てこすりされまくっているんですが、
野村芳太郎監督版の映画を見ました (1980年公開)
野村監督の映画で見た作品は鬼畜、八つ墓村で
どれも狂気炸裂しまくりだったので期待してたけど、
本作はグッと大人な仕上がりでした。
冒頭、ファッションショーから始まるところで
流れるディスコのチープ具合に
2017年の今見るとやられちゃう。
主人公は親が医者の二代目ボンボンの医者。
金持ちの道楽と言うべきか、
色んな女性をはべらかすプレイボーイとして
「わるいやつ」として描かれるんですが、
物語が進むにつれて、
そんな彼が逆にどんどん追い込まれていく。
タイトル通り、わるいやつは1人ではなく複数、
いや全員なのか?ということが
明らかになっていくところがオモシロかったです。
松坂慶子がファムファタールを演じていて、
熟女になられた後しか知らなかったので、
あーこれは80年代に皆が夢中になったのも分かるなーと。
(宮下順子の不穏さは最高最高!)
人間みな腹黒なんです。

渚のシンドバッド



橋口亮輔監督作品。
どんどん過去に遡る形で
フィルモグラフィを追いかけてきました。
(残るは二十才の微熱だけ…)
橋口監督の作品の中で考えると、
僕は新しい作品である、
ぐるりのこと。や恋人たちが好きですが、
橋口監督の作品は他の監督と
数段グレードが異なることを本作で改めて痛感。
この人がたくさん映画を撮れるような環境が
なぜ日本で作りにくいのか、不思議でしょうがない。
本作の一番ビックリするトピックとしては、
役者時代の浜崎あゆみが出演している点ですよね。
レイプされた経験を持つ影のある少女を演じています。
自分が経験したことをダイレクトに語る場面は少ない中で、
彼女の抱える闇の部分が滲み出ていて、
歌手ではなく役者を選んでいたら…
というパラレルワールドを夢想してしまう。
彼女も素晴らしいんですが、
本作はなんといっても岡田義徳!
彼が演じるのは中学生で
同級生の親友に思いを寄せるゲイであると。
橋口監督の映画の最大の特徴として、
ワンカットで撮り切るところが挙げられますが、
これによって観客側に何か決定的なものを
目撃した感触を痛烈に与えてくる。
彼がゲイであることを告げる教室のショットは
息が詰まるほどの緊張感…
予告編でも少し出てるけど、
本当にこれだけでもいいから見て欲しい!
(あと海岸での切なさマックスのシーンも)
性春のワンカット。

キングス・オブ・サマー



<あらすじ>
高校生のジョーとパトリックは、
それぞれ親に対する不満から家出を計画し、
一風変わった少年ビアジオとともに
森に隠れ家を作って自立した生活を始める。
しかしそこへ、ジョーが思いを寄せるクラスメイトの
少女ケリーがやってきたことから、
少年たちの友情に亀裂が生じ……。
映画.comより)

アメリカでの公開は2013年で
当時オモシロそーと思っていたものが
時を経てやっと劇場公開されたので見ました。
監督のジョーダン・ヴォート=ロバーツは
キングコングのリブートも監督していて、
そちらが先に有名になってますが、
まだキングコングは未見…涙
それはともかく、本作はアメリカ青春映画史に
名を刻むだろう素晴らしい作品でうっとりしました。
大人になるということは
孤独と苦みを噛み締めることだということが
よく伝わってくるところが好きでした。

※ここからは盛大にネタバレして書きます。

冒頭のシーンが物語のキーとなる、
イニシエーションの象徴のような、
トライバルなリズムサウンドで非常に印象的。
本作のテーマは過干渉な親からの自立。
親からの解放を宣言するかの如く、
森の中の配管を木で叩きまくってるのが
とても微笑ましいんですよねー
前半はきっかけとなる各少年の親との確執、
そして家出して森で自給自足するまでを描きます。
同じ過干渉でも色合いが異なっている点がオモシロくて、
主人公ジョーは母親を早くに亡くし、
父親と2人の生活に辟易している。
シャワーの奪い合いとか実家あるあるだなーと
懐かしい気持ちで見ていました。
父親は1人でジョーを育てる責任を感じるあまりに、
彼を子どもとして縛り付けようと管理して、
そこで決定的な仲違いが発生してしまう。
一方で、パトリックの方は1人っ子で、
親が子どものことを信じきって甘やかしまくり。
その過干渉に辟易としているんですが、
彼が親はストリートファイターのブランカ並みに
何を言っているのか分からないという
パンチラインが最高にオモシロかったです。
親からの解放ということであれば、
2人のロードムービーになりそうなものですが、
本作では2人+ビアジオという少年の3人で
森の秘密のスポットに自分たちで
家を建てるということを計画します。
ここが本作の「自立」というテーマをより
強固にしている設定だと感じました。
自分のことを自分でやる、
という大人もできているかどうか分からない、
人として必要なことをやり切ろうとする
DIY精神がなんとも尊い訳です。
(チキン買うチートもありましたが…)
後半はあらすじにもあるように
ケリーがやってくることで友情に亀裂が入る。
彼女は学校で決してイケてる側ではないジョーに対して、
かなり好意的な態度で、しかもケリーは彼氏と別れたときた!
そうなると僕とうまくいくのでは…
むふふ。的なジョーの煩悩を打ち砕く展開が待っている。
要するにケリーはパトリックが好きなんですねぇ。
それが決定的に発覚するシーンの破壊力よ!
ジョーの辛さがビシビシ伝わってきました。
ここからは地獄で最悪の気分となったジョーは
全員を秘密基地から追い出し
1人で自給自足の生活を始めて行く訳ですが、
ここのシークエンスの孤独感が素晴らしくて…
3人でやっていたことを1人でやらなきゃなので、
当然大変だしうまくいかないことも多い。
けれど、孤独を受け入れてこそ真の大人なのである。
というメッセージが言葉で言わずとも伝わってきました。
あと思春期の友情の在り方の描き方もフレッシュ。
ビアジオの堅い友情とパトリックの少しドライな友情によって、
友情の多様性を描いているようにも感じました。
喧嘩したあと河川敷で寝転がりながら仲良くなる
という日本の漫画的展開と距離を置いた部分が興味深かったです。
スパイダーマンとセットで
2017年夏を彩る素晴らしい青春映画!

2017年8月12日土曜日

スパイダーマン ホームカミング



<あらすじ>
ベルリンでのアベンジャーズ同士の戦いに参加し、
キャプテン・アメリカのシールドを奪ったことに興奮する
スパイダーマンこと15歳の高校生ピーター・パーカーは、
ニューヨークに戻ったあとも、トニー・スタークからもらった
特製スーツを駆使し、放課後の部活のノリで
街を救う活動にいそしんでいた。
そんなニューヨークの街に、
トニー・スタークに恨みを抱く謎の敵バルチャーが出現。
ヒーローとして認めてもらい、
アベンジャーズの仲間入りをしたいピーターは、
トニーの忠告を無視してひとりで戦いに挑むのだが…
映画.comより)

家から出たくない+魅力的な映画がない、
ここ数年の中で一番映画見てない期間が
続いていたのですが本作で映画ライフを再スタート!
スパイダーマンの映画シリーズは
全作一応見ていますが一番好きな作品でした。
アメリカンティーンのほとばしるエネルギーが
スクリーンに漲っていて
夏バテ全開の体に喝を入れてもらったような気持ちです。
MCUがますます楽しみになってきました。

※ここからは盛大にネタバレして書きます。

本作はシビル・ウォー以後のお話で、
ウルトロンのパワーを悪用している
武器商人が悪役として設定されていて、
それを演じるのはマイケル・キートン。
しかも、その敵キャラは装着型マシーンで、
まるで鳥のごとく空を飛び回るっていう、
バードマンを意識したメタ設定にアガりました。
はじめにキートンが悪の道に邁進する動機を
さくっと紹介したのちに
スパイダーマンであるピーター・パーカーが登場。
この導入部分がホントに最高で、
どうなっているかといえば、
ピーターパーカーのセルフィー動画、
VLOGで構成されているんですね。
しかも、その中にはシビルウォーでの
バトルロイヤルの場面も含まれているっていう、
最高のサービスショットを提供してくれています。
(重厚なオーケストラverの
スパイダーマンのテーマも良かったなぁ。)
本作の抜けの良さは、今回のピーター・パーカーの
キャラ設定に大きく依存していると思いました。
過去2シリーズはどこか影があり、
自分が持った力について葛藤する
自意識過剰タイプでしたが、
本作ではスパイダーマン最高!という
全力の肯定で物語が始まっていく。
要するに無邪気で、
とにかくアベンジャーズに入りたい一心で、
街中で人を助けようと活動するんだけど、
若さゆえの勢いが空回りする。
これをトム・ホランドが躍動感いっぱいで
スクリーンで演技してくれるのだからたまらない。
過去シリーズは基本1人で行動していましたが、
今回はパートナーの存在が
物語の中で大きな役割を果たしています。
1人はネッドというピーターの親友。
彼がコメディパートを一手に引き受けていて、
それがとてもオモシロかったです。
とくに2人の握手のルーティンが
ヒップホップっぽくて印象的。
最高のguy in the chair!
今回のスパイダーマンが特に好きなのは、
ネッドを中心としてパーカーの学生生活が
大きくフィーチャーされているから。
アメリカンティーンの生活の中に
スパイダーマンがいる感じ。
ジョン・ヒューズの映画を
キャストに見せていたそうでなるほどなーと。(1)
もう1人のパートナーは
スパイダースーツのボイスコマンド。
これはスパイダースーツを
トニー・スタークが作った事実を
モロに出せる状態になったことで実現したギミックかな?
初め全然使いこなせなくて、
倉庫に閉じ込められているときに
学んでいくところも良かったし、
キスのタイミング指示は爆笑しました。
(総じてハイテクガジェットはどれもテンション上がる)
小ネタでいえば、ドナルド・グローバーの
出演はアガりましたね〜
見たときは全然分かっていなかったんですが、
彼はアーロン・デイビス(Prowler)というビランで、
彼が劇中で言及している甥がマイルズ・モラレスで、
新作アニメシリーズのスパイダーマンであるという。。(2)
僕が好きだったのはキャプテンアメリカの使い方。
こないだのシビルウォーまで超シビアな話だったのに、
本作ではただの品行方正オジさん扱い。
計3回あったけど補修の場面が一番好き。
ビランであるキートンとの戦いは
正直煮え切らない部分がありました。とくに終盤。
ただし、キートンがピーターの好きな女の子の父親!
というまさかの展開が発覚してから、
ホームカミングの会場までの一連のシーンが最高最高!
ピーター役のトム・ホランドの露骨な硬い表情、
車内でのキートンの表情。どれも見逃し厳禁。
一方で人助けシーンは屈指の仕上がりでした。
とくにワシントン記念塔での救出劇は本当に素晴らしかった!
(船のシーンは予告編で見過ぎて興ざめ)
過去のスパイダーマンは自分の力が大き過ぎることに
不安を抱いて葛藤していたのに対して、
本作ではまず自分自身がスパイダーマンにふさわしい男になる、
ある種の通過儀礼となっている設定が良かったと思います。
自分の力で乗り越えた先に栄光の未来が待っているということ。
夏休みの子どもたちが見るべき映画!

2017年8月6日日曜日

REFUGEE MARKET / WISDOM @Liquid Room


DOGEAR10周年を記念した、
REFUGEE MARKETに遊びに行ってきました。
今回はライブ中心で仙人掌 BACK TO MAC TOUR FINAL、
ISSUGIのSPECIAL BAND SHOWCASE WITH BUDAMONK、
DOWN NORTH CAMPのSHOWCASEの3部構成でした。

仙人掌 BACK TO MAC TOUR FINAL
アルバム「VOICE」の曲を中心とした構成。
世界はゲットーだ、とっくに!という
悲観的な見方とは裏腹に仙人掌のバイブスは高く、
ライムを叩き付けるようにスピットする姿がかっこ良かった。
最大のサプライズはSEEDA、BESを呼び込んでのFACT
仙人掌のCCGへのシャウトアウトから、
上記の2人が出てきて3人がステージに揃い踏み。
めちゃくちゃ盛り上がった。
そして、SEEDAが1人ステージに残り花と雨を披露。
途中でビートが差し代わって16FLIP REMIXに!
しかもISSUGIがステージに登場、2人が握手を交わす。
こんな歴史的な瞬間が他にあるのか!
(照明が本当に最高の仕事をしていた)
アルバム収録曲について
BRON-K以外のFeaturing勢がすべて登場する豪華さで、
とくにVOICEのSAXが生演奏で
アルバムとはまた違った味わいで好きでした。

ISSUGI SPECIAL BAND SHOWCASE WITH BUDAMUNK
この日一番楽しみにしていたライブ。
もともとサンプリングベースのループミュージックで
音楽的理論とは離れた場所にあるISSUGIの楽曲たちが
どんな風にアレンジされるのか楽しみにしていたのです。
DAY AND NITEの楽曲が中心だったんですが、
本当に最高だった!!
(PAアウトの録音でもいいから売って欲しい)
とくにWATER POINT REMIX、MIDNIGHT MOVE、5ELEMENTSは
バンドアレンジとの相性が抜群!
リズム隊をWONKのメンバーが担っていたことが
重要なポイントだった気がします。
もたったビートのノリをきっちり再現しつつ、
展開つけるところはきっちり展開つける、
メリハリが効いていて曲たちが進化していました。
DNCとWONKの繋がりは必然かと思うので、
今後にも期待したいです。てか見たいです。

ちなみに幕間ではCRAMのビートライブとPUNPEEのDJ。
CRAMのビートライブがめちゃくちゃカッコ良かった!
「何も言わずに首が振れるやーつ」の代表例。
踊れるグルーブをもったHIPHOPのビートは
いつ聞いてもグッとくる。
TRAPも聞くけどやっぱこれだなと再認識。
PUNPEEのDJは分かってらっしゃる選曲で、
最後のSLACK、CAKEの大合唱が気持ちよかった。

DOWN NORTH CAMP SHOWCASE
前2つのライブの完成度があまりにも高過ぎて、
このシークエンスのワヤ感が凄まじかった!
あぁ、HIPHOPってこういうところもあるよなと。
DOGEARRのカタログを振り返るように
入れ替わり立ち代わりでラッパーが登場して、
様々な楽曲が披露されていく。
大石始さんの言葉を借りるなら
ここで際立ったのはMONJUのメンバーの「ラップ筋力」
とくにISSUGIと仙人掌はリリック全然飛ばさないし、
声のボリュームもまったく衰えない。
屋台骨の2人がいるから、ここまで大きくなったんだなーと。
(ここにSLACKがいればという思いは否めなかったけど)
10周年という晴れ舞台に加えて、
TAMUへの追悼も今回のライブのハイライト。
ISSUGIが「SICK」でTAMUのバースまでキックして、
DNCのアルバムの収録曲「Gingira」へ。
(TAMUのバースといえば、
「But  This Is Way」のバースが1番印象的。)
色んなHIPHOPがありますが時代に流されることなく、
自分達の好きなものをストロングスタイルでやり続けること。
その漢気のカッコ良さに惚れ惚れした夜でした。

環ROY なぎ ワンマンツアー 2017 @WWW

環ROYの最近アルバム「なぎ」が好きだったので、
リリースライブに行ってきました。
アルバム自体も素晴らしいんですけど、
僕はそれよりも今回のアルバムについての
インタビューがどれも読み応えあって、
とてもオモシロくて興味を持っていました。

CDJ2台と照明しかないミニマルなステージと
客演なしで環ROYのラップのみという
ストイックなステージで見応え十分。
日本語でラップをするという表現の幅は
ここ数年で非常に細分化していると思うんですが、
芸術と最も密接な関係にあるのが
環ROYのラップなのかもしれません。
(ライブというよりインスタレーションに近かった)
アルバムの曲を順番にやっていく感じで、
過去曲はアンコールでまとめて、という構成。
入場時にオリガミが配られて、
そこに文字を書いてステージに置くという
システムが用意されていて、
その言葉をもとに環ROYがフリースタイルを披露。
最近のフリースタイルブームとは異なる、
散文型のフリースタイルがとてもフレッシュでした。
つまり、言葉を置いていって言葉同士の狭間を
観客に想像させるフリースタイル。
もともと「日本語ラップ」なるものへの
愛憎が入り乱れたラッパーかつ
HIPHOPの構造と日本語の関係を
論理的に真剣に突き詰めてた数少ないラッパーの1人だった訳で、
そんな彼がこの境地に辿り着いたことが興味深かったです。
(過去の一番オモシロいインタビュー→リンク
表現としてのラップの可能性を拡張するようなライブでした。