2017年5月23日火曜日

ボーイズインザフッド



ストレイト・アウト・ザ・コンプトン見た後に、
とても見たかったのだけれど、
なかなかレンタル在庫に巡り会えず苦労してました。
しかし!NETFLIXに入っていたので見ました。
ICE CUBEが出てるくらいしか知らずに見たんですが、
思った以上にヘビーな話で驚きました。
黒人同士が殺し合って、お互いにいがみ合い、
足を引っ張りあっていいのだろうか?というメッセージが
終盤の最悪の悲劇によってビシバシ伝わってくる。
冒頭に主人公たちの幼少期が描かれるんですが、
同じ場所でも育った環境が違うと、
モロにその後の人生に影響するよなー
なんて当たり前のことを考えさせられました。
(好き嫌いは否めない〜♪なんて呑気なことは
ストリートでは通用しないのです。)
このタイトルはN.W.Aのメンバーであった、
EAZY-Eがソロ初めて出したシングルと同じタイトル。
しかし、出演しているラッパーは
EAZY-EではなくICE CUBE。
この時点でICE CUBEはN.W.Aを脱退しているという
歪なバランスになっています。
劇中ではWE WANT EAZYという
Tシャツを着たドロボーをICE CUBEが
ボコるなんてシーンもありました。
IMDBによるとICE CUBEの取り巻きは
N.W.Aの面々をキャスティングしようとしていたそうで、
そうなっていたら…なんていう、
たられば話もしたくなりますね→リンク
次はフライデーが見たい!

2017年5月21日日曜日

カフェ・ソサエティ



<あらすじ>
映画業界で働くことを夢見る
ニューヨーク生まれの青年ボビーは、
業界の有力者である叔父フィルを頼って
ハリウッドにやってくる。
フィルの秘書を務める美女ヴォニーに
心を奪われたボビーは、
映画スターやセレブリティを相手に、
フィルの下で働きながらヴォニーと親密になっていくが、
彼女には思いがけない恋人の存在があった。
映画.comより)

ウディ・アレン監督最新作。
過去作は全然追いきれていませんが、
新作が公開されれば必ず見るようにしてます。
特に今回はジェシー・アイゼンバーグと
クリステン・スチュワートという最高の組み合わせが
ウディ・アレン監督とどんなケミストリーが
起こるのか楽しみにしていました。
結果として皮肉さは薄まりつつも、
遠い目をしたくなるラブストーリーとして
オモシロかったです。

※ここからは盛大にネタバレして書きます。

1930年代のハリウッドとNYが舞台になっていて、
前半ハリウッド、後半NYという構成になっています。
主人公のボビーは有名になりたくて
ハリウッドでエージェントを務める叔父の元で
下働きを始めることになります。
1人も知り合いがいない彼にとって、
ヴォニーは友人であり、愛する女性となっていく。
その手前でデリヘル呼ぶところが最高にオモシロくて、
呼ばれた女性とボビーの双方が自己嫌悪に陥って、
まったく話が噛み合わない。
アイゼンバーグの早口とウディ・アレンの会話劇は
すこぶる相性が良いことを序盤から見せつけてくれます。
ジェシー×クリステンの組み合わせが最高だと
前述したのは僕の人生トップ10に入る、
「アドベンチャーランドへようこそ」という映画で
主役を担ったのも、この2人だからです。
(以前にエージェント・ウルトラという映画でも、
このコンビが主役だったんですが、
そちらは残念な仕上がりでした…)
今回も2人のタッグの眩しさは健在で、
デートしている姿の甘酸指数が相当高かったです。
お互い好きな気持ちはあるのだけれど、
自分たちの周りの環境に押し流されて、
それぞれが別の道を歩み始める。
何が切ないってヴォニーが選ぶ相手が
自分より金も地位も持っている叔父さんというところ。
血も涙もないですね、世間というのは。
Cash Rules Everything Around Me!!
(ヴォニーはお金じゃなくて、
叔父さんのことが好きだったんだよ!
という反論は受け付けていません。)
失意の青年ボビーは地元NYへ戻り、
兄が経営するナイトクラブの手伝いを始めることに。
ハリウッドで身につけた社交力のおかげか、
彼は繁盛店を仕切るオーナーとなり、
そこで奥さんを見つけて幸せな生活を手にします。
この間にお兄さんを巡るトラブルのエピソードも
投げ込まれているんですが、特に必要なかったかな…
ボビーはNYで成功し街の有力者たちが集う
ナイトクラブを作り上げ、そこへヴォニーが叔父さんとやってくる。
ここでのボビーのリアクションと、
ヴォニーのリアクションのギャップがオモシロかったなー
たとえヴォニーがかつて嫌悪していた
ハリウッドにいた噂好きのセレブとなっていたとしても、
美化されたあの思い出を忘れることはできず、
儚い夢を見続ける、これが男の性。
それに呼応するヴォニー。
2人が違う場所で年越しを迎えながら、
お互いを思い合うシーンは余計なセリフなく、
2人の顔で描いていくラストは素晴らしかったです。
ストーリーの骨格はラ・ラ・ランドと同じなんだけど、
味わいが全く異なることに映画のオモシロさも感じました。

メッセージ



<あらすじ>
ある日、突如として地球上に降り立った巨大な球体型宇宙船。
言語学者のルイーズは、謎の知的生命体との
意思疎通をはかる役目を担うこととなり、
“彼ら”が人類に何を伝えようとしているのかを探っていくのだが…
映画.comより)

ドゥニ・ヴィルヌーブ監督最新作。
今、一番信用できる監督の1人な訳ですが、
これまでの作品と打って変わってSFということで、
どうなんだろうと期待と不安が入り交じった気持ちで見ました。
だがしかし!不安は完全に杞憂でとんでもない映画でした。
ほとばしる作家性を失うことなく、
作品の完成度が異様に高いという奇跡。
今年ナンバーワンクラスの傑作!

※ここから盛大にネタバレして書きます。
(今回は特にネタバレしたまま見ると
全然ツマらなくなる可能性大なので取り扱い要注意)

日本語タイトルが出ないことに安心しつつ、
天井なめの意味深な部屋のショットからスタート。
(この画角は繰り返し劇中で用いられることに)
そして、そこで言及される時間の不可逆性。
このオープニングシーンに
実はすべてが詰まっていることが見終わった後に分かる。
こういった作りは映画ではよくある話ですが、
とにかく余韻の重みがハンパないんですよね。
エンディングでも同じカット割りなんだけど、
その奥には…っていうね〜。
ポスタービジュアルでも使われていた、
500m超えの巨石が世界各地に出現し、
彼らエイリアンが何の目的で地球に来たのか、
世界各国がリサーチしていく過程が前半で描かれます。
このシーンが言語学、暗号解読の観点で見て、
抜群にオモシロ過ぎて鳥肌ものでした。。
(サイモン・シンの暗号解読読んでて良かった)
そもそも予告編で巨石でやってきた
エイリアンの実態は明らかになっていなくて、
ドゥ二先輩のことだから、
概念としてのエイリアン像かと思いきや、
がっつりとしたB級感溢れるモンスター像でビックリ。
複製された男に登場した蜘蛛を彷彿とさせる姿でした。
(カットの切り替えでドーン!という見せ方が最高)
人間側が名付けた名前はヘプタポッドで、
2体出てくる彼らの個別名称はアボットとコステロ
(アメリカの昔のお笑い芸人なんですね→リンク
見た目はタコみたいなんだけど、
そこから放たれる謎の象形文字の
謎めいたセンスが抜群にカッコ良くてGAPにやられました。
全く謎な文字を使ってコミュニケーションが
始まっていく過程に学問の重みを感じました。
ドゥニ先輩作品といえば特徴的なのは音なのですが、
それは本作でも健在。どこで誰が何を聞いているのか、
TPOを踏まえた音の使い方は
映画への没入感が高まって良かったです。
また、ボリュームのデカいおなじみの重低音も
あの巨石内空間とマッチして素晴らしかったなー
後半にかけては、アメリカが一生懸命対話しようとする中、
危険だと判断した中国、ロシアは攻撃に踏み切ろうとするし、
アメリカ内部でも造反が起こったり、
混沌が深まっていきます。
とくに爆弾仕掛けられてたシーンの緊迫感が凄まじかった…
(あの大量の文字が壁に張り付いたときの迫力よ!)
終盤にかけては時間の不可逆性の謎が明らかになってくる。
作品を通じて終始ルイーズと娘のやり取りが
インサートされているんですが、
そのすべての謎がラスト15分で繋がってくるんですなぁ。
伏線の置き方と時間の不可逆性というテーマが
有機的に絡まり合って、あー!あー!あーそういうこと!
と心の中で言いまくりでした。
(上から読んでも下から読んでも”HANNAH”…泣)
先の分かっている人生だとしても
「生きねば」ということであり、
最終的に愛の話へと着地するという
想像もしていなかったエンディングにサムアップ!
ドゥニ先輩はブレードランナーの続編の監督な訳ですが、
俄然楽しみになってきました。

2017年5月20日土曜日

スプリット



シャマラン最新作ということで見ました。
前作のヴィジットが相当好きだったので、
期待していましたがスリラーとしてのエンタメ性と
シャマラン独特のニュアンスがあいまって楽しかったです。

※ここから盛大にネタバレして書きます。

モールのレストランらしきところで、
女の子たちで誕生日会を開いているシーンから始まるんですが、
そこで1人ものうげな表情を浮かべる女の子がいて非常に意味深。
最後まで見ると彼女の表情の理由が分かる作りになってました。
誕生日会の主役の女の子の父親に
皆で家に送ってもらうことになり駐車場へ行くんですが、
そこで車を乗っ取られ女子高生3人が誘拐されてしまいます。
この犯人が今回の主役で、ジェームス・マカボイ演じるケビン。
マカボイは好きな俳優の1人で、
フィルス、トランスといった近年の出演作はなるべく見てますし、
なんといっても個人的恋愛映画クラシック、
ラブストーリーズは大好きでDVDまで買いました。
本作で彼が演じるのは多重人格者。
冒頭でシャツをズボンにイン、ボタンを1番上まで止めて、
几帳面のヤバいヤツとして登場。
猟奇犯vs女子高生かーという浅はかな見通しを
ぶち壊すのがシャマランスタイル。
ケビンが先ほどと服装も変わり、
明らかに別の人格として登場する。
彼の担当医であるフレッチャーとのエピソードから
彼が多重人格者であることが明らかになり、
計23の人格を有していて、その中での争いも描かれます。
とにかくマカボイの演技力に度肝抜かれました。。
(会社の先輩と話していたときに、
ガキ使の七変化という例えが出て笑ってしまったけど)
本当に同じ人と思えないというか、
役者って凄いなぁと単純に思いました。
性別、年齢を超えた様々な人間が矢継ぎ早に出てきて、
それぞれが女子高生3人と対峙。
彼女たちは何とか隙のある人格を見つけ出して、
軟禁状態からエスケープしようとします。
バレる/バレないサスペンスに加えて、
ケビンの人格がどの状態なのか?という要素もあるので、
スリリングさが増す作りになっていました。
あと本当かどうかは分からないんですが、
多重人格者のフィジカルの変化も興味深くて、
人格だけではなく体質も変化するのであるという話が展開
それが最後に登場する
ビーストという24番目の人格に繋がっていく流れ。
基本マカボイの話ではあるものの、
冒頭でものうげな表情をしていた少女の話でもある。
少女の抱えるショッキングなトラウマが、
物語が進むにつれて明らかになっていきます。
(おじさんとの動物ごっこ…)
24番目の人格であるビーストが終盤についに登場!
上裸のマカボイが夜の街を走り抜けるシーンが最高だし、
我が家へ辿り着くやいなや生け贄の女子高生たちに
むさぼりつくという悪夢的光景。
そしてラストの主人公との戦いは
前述したトラウマのくだりが効いてきて、
痛みを巡る話へと帰結していく。
人と違うことが生きにくさと直結してしまうことに対する、
シャマランが物語を通じて風穴を空けたい気持ちなのかなー
と見終わってから考えたりしました。
エンディングで、シャマランの過去作の
アンブレイカブルとの繋がりが示唆され、
次の作品はアンブレイカブルと本作が絡み合うっぽいので、
早急にアンブレイカブル復習したいです。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス



MARVELシリーズの中でぶっちぎりに
大好きなGOGの最新作ということで
IMAX3Dにて見てきました。
最近はNETFLIX依存症が深刻化していて、
映画館へ行くのが食傷気味だったんですが、
そんな気持ちを吹き飛ばす快作でした。
いつだって最高最高なスペースオペラ!

※ここからは盛大にネタバレして書きます。

1作目でGOGが他のMARVELと大きな違いを
見せたところとして音楽の使い方があると思います。
本作も前作と同じ流れにあることを
宣言するかのような素晴らしいオープニング。
引きのショットから車にクローズしていき、
そこで車でかかっている曲がこれ!



歌詞の内容を含めて本作で重要なポジションを担う曲。
IMAXの最高の音響で、この曲が鳴り響くだけで
異常な多幸感がありました。
からのクレジット紹介をふまえた最初の戦闘シーン。
そこでAwesome Mix Vol.2のテープからかかるのはこの曲!



最近だとラッパーのCommonがBlue Skyという曲で
サンプリングしていましたね。
ド派手な戦闘シーンであるにも関わらず、
それはあくまで背景でベイビーグルートが
ちょこちょこ動き回る鬼カワイイ姿をひたすら映し出す
というツッコミ要素満載の演出も最高最高!
前半は1作目のラストで少し明かされた、
スターロードの父親との関係性と、
最初のバトルの発端となったバッテリー盗難を巡るいざこざで
物語が進んでいきます。
父親が神で分子レベルでコントロールして
様々なものをゼロから作れるという、
そこそこぶっ飛んだ話なんですが、
ヒューマンスケールの家族の話に帰結していくところが
DC系アメコミの駄作と異なるところ。
父親が「惑星」であるという、
後半にかけてスケールはさらに大きくなるんだけど、
全知全能の力と仲間、どちらが欲しいのか?
ここでのスターロードの決断が
血縁主義/権威主義からの決別といった内容で好きでした。
もともと根無し草でハグレ組な5人がGOG。
衝突はするけれど大事にしなきゃいけないものを
本作の中で確認していくかのように
話を展開させていくので飲み込みやすくなっていると思います。
終盤のエモーショナルの高まり方は尋常ではなく、
本作はなんといってもヨンドゥですよねぇ。
前半で描かれるスタローン演じる頭領との確執がフリで効いてるし、
スターロードを救ったのは彼であり、
父親はヨンドゥなのであるという持っていき方に涙腺決壊。
(オープニングでMr.Blue Skyがなぜかかるのか知ってさらに泣く)
1作目は最高だった訳ですが、その更に上、
つまり最高の上の上へと到達した作品。
サントラはテープを予約したので今から到着が待ち遠しいです。

ビビビ・ビ・バップ

ビビビ・ビ・バップ

しばらく本の更新が滞っていましたが、
それはNETFLIXオフライン再生で、
海外ドラマ見まくりということに加えて、
本作を読んでいたことがあります。
中村文則の教団Xを超える全661ページの長編SF!
とても読みやすいんだけど分量が多いので、
読み終わるまでに時間がかかってしまいました。
人間と超高度化したテクノロジーを巡る話で、
機械側が人間を支配しようとしたら…
というSFではおなじみの展開ではあります。
しかし、そこにジャズ、落語、将棋といったインプロ系の
エンターテイメントをからめてくるところがオモシロかったです。
なにしろSFなのに表紙に配置されているのは、
ジャズミュージシャンのエリック・ドルフィーの姿。
(アルバム「Last Date」のジャケを反転?)
作品内にはドルフィーを含めて
往年のジャズミュージシャンや、
落語家が登場するんですが、すべてがアンドロイド。
最近ノンフィクションばかり読んでいたので、
小説って自由なんだよなーなんてことを改めて思いました。
ジャズサイドでいえばドルフィーと
ピアニストの主人公が共演したり、
マイルス・デイビス、ジョン・コルトレーンといった、
ジャズジャイアンツとビッグバンドな共演を果たしたり。
一方、落語家では古今亭志ん生、立川談志のアンドロイドが
人間を滅ぼすウイルスを作っているという
シュールな設定もオモシロかったです。
生体ウイルスとコンピューターウイルスを並行して描き、
人間と機械、どっちが先にウイルスでヤラれるか?
言葉にすると重そうな内容なんですが、
語り口が軽やかだし、主人公が事態を正確に把握しないまま、
のらりくらりとなんとなーく事態を乗りこなしていく。
小説の語り手が猫という「吾輩は猫である」オマージュと、
猫という第三者が主人公を見守る形の文体も、
本作の風通しのよさに貢献しているでしょう。
発展したテクノロジーが行きつく先が、
人間臭さやノスタルジーというのは逆説的なんだけど、
すでにその時代は到来している気もします。
(フィルムカメラ、アナログレコード、カセットなど)
奥泉さんは今回初めて読んだので、
他の作品も読んでみようと思います。

2017年5月19日金曜日

メイク・アップ 狂気の3P



人の心を失った先輩が大阪でレコード屋をやっていて、
先日遊びに行ったときに貸してもらいました。
(新譜が充実しているレコード屋さん→リンク
1年前にイーライ・ロス監督の
ノックノックという作品がありましたが、その元ネタです。
モロにB級感丸出しの映画を久々に見たので、
とても楽しかった!
本作を見るとノックノックは限りなく、
元ネタである本作に忠実であることが分かります。
21世紀版としてアップデートされており、
イーライ・ロス監督の手腕と本作への愛を感じるので、
ノックノックを見た人は是非見たほうが良いです。
日本でも最近、浮気・不倫が大きく注目されている中、
教則DVDとして機能する内容で、たった1回の過ちが
本当に取り返しのつかないことがよく分かる。
「人を好きになる気持ちは止められないのっ」
という安いドラマみたいなセリフを吐く人にオススメ!
(上に貼ったYoutubeは予告じゃなくてフル尺です)