2021年2月26日金曜日

幸福な監視国家・中国

幸福な監視国家・中国

  闇の自己啓発にて課題図書として挙げられていた1冊。中国の監視システムとそのあり方について勉強できてオモシロかった。ファクトフルネス的なアプローチで、「中国の監視システムが人民を縛り付けているジョージ・オーウェルの「1984年」を彷彿とさせるディストピアだ!」という固定観念が柔らかく解きほぐされていく感じだった。自分の個人情報と引き換えに利便さや安心を手に入れることは日本を含み先進国では既に起こっている。(たとえば街中にある監視カメラなど)中国ではあらゆる履歴をビッグデータとして活用した、信用スコアに代表されるような情報活用が広がっている。中国では活用の程度が他国に比べて大幅に広がっているだけ。なぜそんなことになるかと言えば中国ではテクノロジーへの信頼性が高く、その理由として功利主義を挙げており、市民社会、道徳といった議論にまでリーチしている。このようなテクノロジーの背景の話が興味深かった。今のコロナ時代はまさに功利主義が重要視されるのでテクノロジーによる統治が拡張する機会なのだろう。AIが結論に至る過程がブラックボックスであるがゆえに「自発的な服従」と言われる行動を取るようになったり、そもそも社会のアーキテクチャ自体を服従させる設計にしたり。監視にとどまらず全体幸福を追い求める社会の実現はすぐそこなのかもしれない。
 中盤くらいまでは中国での監視社会とテクノロジーの発展について解説してくれているものの終盤にかけては負の側面である監視による弾圧について。よくネットで話題になるウイグルの話だった。単純な暴力ではなく年密に弾圧しているところが想像の何倍もエグくて怖い。監視を通じて緩やかな罰も活用しつつ全体的には幸福で良い社会なのかもしれないが、こんな風に悪用して人を抑圧する可能性があるから人間はどこまでも信用できないなと思う。つまり人間の理性でブレーキかければいいと思ってもホロコーストと同様システム化されてしまうと止められない。単純な監視国家としての中国の状況に閉じないテクノロジーと人間のあり方を考えるにはうってつけの1冊。

2021年2月22日月曜日

2021年2月 第3週

2月15日
  slowthaiとSmokepurppの新譜を聞きながら仕事。slowthaiは先行でMVも出てたA$AP ROCKY, Skeptaとの曲が好きだったけどアルバムは二部構成になっていて後半のメロウサイドもかなり良かった。Smokepurppはめちゃくちゃ現行モードの流行りのヒップホップって感じでこういうの聞くと元気は出るのだけど繰り返し聞く感じではないのだよな。  Lil Boiのdingo freestyleがアップロードされてラップうまうまスキルがこれでもかと出てた。SMTM9の曲もふんだんにやってくれて満足。 On Air/Creditはやっぱり別格に好き。

2月16日
  何のスパイスも入れない家カレーを晩ご飯で作る。毎回スパイス入れて味変してたけど今回はそのまま。懐かしい味がしてそれはそれで美味しかった。
  
MushvenomのSMTM9での曲のMVがアップロード。MushvenomはVVSが最高風速でそれ以降がいまいちピンとこなくてビデオを見てもまだまだうーむという感じ。どこかでハマる日が来るのか。あとこの曲のビデオがIndigo musicから公開されてるのも謎。JUSTHISがfeatで参加しているからなのか?他のSMTM9の曲はgroovy roomが所属するH1ghr musicでアップロードされている。MUSHVENOMがIndigo入るのか?と勘繰っちゃうけどカラー的には無さそう。それはともかくSwingsのカメオ出演オモシロかった。

 Kindleで読書してSNS見ている時間を全部読書にブッ込めばめちゃくちゃ本を読める。U 相模原に現れた世界の憂鬱な断面ニューカルマ。ニューカルマは闇の自己啓発と併読するのがおすすめっぽい。たまたま同時期に読んだけどネット記事になってた。闇の自己啓発の影響でノンフィクション系を読みたい欲が高まっている。

2月17日
  マンダロリアンS2をついに見終える。ラストのラスト、驚天動地の展開があって、こんなことまでやってしまうのか!と叫びたくなった。テクノロジーは恐ろしいとさえ思った。あとディズニーはすでにジェンダーバランスにかなり気を使っていることが伺える登場人物の配置だと感じた。今までならマンダロリアンと中盤に登場したあるキャラクター(ネタバレなので誰か言えないけど男性)のバディものとして展開してたと思う。このシリーズで分かったことは実力ある人に「スターウォーズ」という題材を与えれば無限にオモシロいコンテンツを作れること。S3はどんな展開になるのか分からないけど楽しみ。

 レッドブルの日本のヒップホップシリーズでまさかのコンビネーション。BES, ISSUGI, Gottz, MUDでビートは C.O.S.Aという鉄壁の布陣。それぞれがユニットで活動していることもありコンビネーションは抜群。2×2で4以上になっていた。 C.O.S.Aのビートが超ドープで途中でスイッチするのも最近ぽくて良い。こういう垣根を超えるコラボを無限に見たい。

2月18日
 友人から韓国のmixtapeサイトを教えてもらったので聞きながら仕事。Ugly Duck, Loopy, Lil boiなど。ミクステはビートジャックを中心にラッパーの音楽の好みがモロに出るので聞くのが楽しい。昔、Datpiffでdigりまくった青春時代を思い出す。Loopyのは比較的新しいのでかっこいいのは分かるのだけど、Lil boiのミクステの出来がハンパない!2012年の時点で完成し過ぎ!全体にポップなんだけどドープなテイストも余裕で出せる。ヒップホップがしっかり凝縮しているとでも言えばいいのか。曲作りの天才。あとLoopyのミクステは比較的最近のリリースなので聞きやすかった。やはりGear 2は名曲。
 あとこの日リリースされたJust Fun!/Balmin Tigerがめっちゃ好きだった。前にYoutubeでライブ見たときにも披露してたけど、やっと正式リリース。ネプチューンズ的なバイブスの曲で最&高。ヒップホップに閉じていないコレクティブのようなのでアルバムが今から本当に楽しみ。

2月19日
  お昼にmenuという新しいデリバリーサービスを活用して近所のカレーをデリバリー。めちゃくちゃ美味しいカレーが30分ほどで届く。クーポンでかなり割安で利用できたしUber eats対象のお店ではなかったので嬉しかった。あとチップのシステムが導入されていて驚いた。社会全体にチップシステムが導入されてないから「直接配達員にお金が渡ります!」と言われてもチップする動機が沸かなかった。

2月20日
 今日から4連休。毎週4連休だと来週の反動がエグそうで心配…それはともかく今日も内見。今回の物件は東京の西の方。写真と情報からしてかなり良い気がしたのだけど実際行ってみるとイマイチ…な感じで残念だった。今の家と比べて良いところがないとなかなか引っ越すというモードになりにくいので地道に物件を探し続ける。
 物件に吉祥寺が近かったので久しぶりに寄ってみる。ピワンでカレーを食べた。コロナ対策で座席を間引きしていたけど、ほとんど待つことなく入れて良かった。もちろんカレーは美味。そのあと百年という古本屋へ。オモシロそうな本がたくさんあったけど黒沢清の映画本が置いてあって思わず購入。状態あんまり良くないけど絶版なので良しとする。カレー、古本屋などが揃っているとQOLが露骨に上がるので、この辺に引っ越すのも良いよな〜という気持ち。
 帰宅後、奥さんがスプラトゥーン2をするのを横目にマルジナリアでつかまえて読了。本を自分の手でアップデートするという概念が興味深かった。

2月21日
 天気がよくて暖かい。奥さんの用事に合わせて川崎まで出かけた。ほとんど家の周り以外に出かけていないので、昨日の吉祥寺含めて人の多いところに全く慣れておらずすぐに疲れてしまう。そそくさと退散して電車で美味しいコーヒー屋まで行って、そこから30分くらいかけて歩いて帰った。その道中に大きな公園があったのだけど区内中の子どもが全員集結しているのでは?と思わされるくらい集まっていた。あまり大きな公園がないので、子どものストレスが発散できるのはそこしかないのだと思う。公園不足という明らかな課題に対応することが行政の仕事なのではと思ってしまうものの、その意思を示して選挙に行ったり陳情したりしていない区民にも問題があるのでしょうか?
 TuneInというアプリにハマっていて家で流しっぱなしにしている。世界中のラジオ番組が聴けて聞きたい音楽のジャンルや有名なチャンネルを適当に選んでいる。NTS, WWFM, WREPなど。色んなラジオを同じアプリで並行して聴けるのが便利。 いつもApple musicでアルバムやプレイリストを選んで聞いているのだけど、ラジオだと次何聞こうとか考えなくて無限に再生されていく。あとセレンディピティもあるので知らなかった音楽と出会うこともあって楽しい。 

2021年2月21日日曜日

マルジナリアでつかまえて

マルジナリアでつかまえて/山本貴光

 本の余白への書き込みをマルジナリアと呼ぶらしい。たまに古本を買うと前の持ち主の書き込みに遭遇することがあるけれど、本著はそのマルジナリアに真摯に向き合った1冊。電子書籍の普及、メルカリの台頭などで紙の本に直接何かを書き込むことはほとんどない中で、そのオモシロさがかなり伝わってきた。
 著名な人の余白への書き込みがアーカイブ化されたり貴重なものとして取り扱われるカルチャーは愉快だし、本の読み方をある程度トレースできる点が興味深い。さまざまな実例が紹介されているが、翻訳家の石井桃子のマルジナリアがかなり気合い入ってて好きだった。何十版となっても毎回自ら読み直して余白に書き込みを入れて常に翻訳をアップデートし続けていたらしい。出版したら終わりではないプロフェッショナルの仕事。あと石井桃子の書斎の写真が巻頭に使われていて、それがまたいい感じで本好きはめちゃくちゃ上がると思う。(ググったら写真出てくるけど、この本の写真がベスト)
 個人的な話をすると紙の本を読むときは細い付箋を気になった部分に貼るという作業をしている。(電子書籍の場合はマーカーを引いている)ただ著者は「気になった」をさらに細分化して、どういう感情なのかを記載しているらしい。そうやって自分だけの本にカスタマイズしていく作業を大きな意味のマルジナリアと捉えて、細かく記録すればするほど読書メモを書くとき楽になりそう。可能な範囲で真似できればと思う。
 牽引と検索の違いの話がとても興味深かった。検索はあらかじめ何を調べるか自分で思いつかなければ使いようがない。それに対して牽引は本の内容を網羅的に把握できるツールで、リバースエンジニアリングだというのは目から鱗だった。技術書とか専門書だと牽引役立つなーと思ってたけど、著者が試したように小説で牽引を作ってみると作家のテーマや書き方が定量的に浮かび上がってくると思うので楽しそう。自分の脳みそのキャパには限界があるんでガンガン読書したことを色んな方法でアウトプットしていきたい。 

2021年2月17日水曜日

ニューカルマ/新庄耕

ニューカルマ/新庄耕

   マルチ商法を題材にした小説。久しぶりにまっすぐくなエンタメ小説を読んだけど、めちゃくちゃオモシロかった。今も昔も形を変えて存在し続けるマルチビジネス(またの名をネットワークビジネス)にはまってしまう1人の若者を主人公にして幸不幸を描いていく。おそらくめちゃくちゃ取材をしていることが文章から伺えてとてもリアルだった。会社でサラリーマンとして働いていて感じる何となくの虚無感が文章からにじみ出ている。マルチをネズミ講と同等と見なして、あきらかに胡散臭いと思っているのに自分の環境や立場が少し変わることでコロッとハマってしまう怖さ。そして一度壊れた人間関係は元に戻ることはなくて孤立を深めていく残酷さ。その結果、見ず知らずの人をどんどんマルチの渦に巻き込んでいく地獄さ。
 対比として圧倒的な「正しさ」を持った友人を登場させている点も興味深かった。文庫版の解説にもあったが、終盤にかけてマルチが主張する「正しさ」と社会が主張する「正しさ」が溶け合って結局何が正しいのか分からなくなってしまう。巻き込まれていって抜け出せない人が後を絶たないのは、善悪の区別が曖昧になるからなのだとよく分かった。先が不透明で夢の見れない国において若者たちが夢見て向かう先がマルチだなんて悲しすぎるけど、その気持ちが痛いほどによく分かるので余計に辛い…自分の努力が目に見えてお金に還元されて承認欲求も満たせるのだから。幸い今まで誘われたことは一度もないけど、もしやっている人がいればこれを読んでみて欲しい。

U 相模原に現れた世界の憂鬱な断面/森 達也

U 相模原に現れた世界の憂鬱な断面/森 達也

  森 達也による相模原障害者施設殺傷事件に関する取材/考察をまとめた1冊。以前にSessionで神奈川新聞の記者が出演されてた回を聞いたこともあり理解を深めようと思い読んでみた。事件のセンセーショナルな部分ばかりがフォーカスされがちだと思うけれど、その背景には日本の司法制度、マスコミ、福祉制度などの歪な部分が凝縮されていることに気付かされた。
 重度障害者施設で19人を刺殺した、こんな世紀の大犯罪をおかした人間は極刑で捌かれるべき!という反応は真っ当かもしれない。「なぜこんなことが起こってしまったのか?」を追及せず感情に身を任せて安易に死刑判決をつきつけてしまうことに著者は異論を唱えている。なぜなら同じことを繰り返さないためだ。しかしオウム事件以降、被害者感情が優先される社会が少しずつ醸成されてきた今の日本では事件を深堀りしていくことは「正論」が邪魔してそれを許さない。その空気に飲み込まれていく裁判員制度や精神鑑定のあり方など読んでてしんどくなるところが多かった。そして終盤にかけて、この事件が問いかけている境界線の議論、つまり命の重みを誰がどこで判断するのか?までリーチしている。健常者と障害者で区別して自分とは関係ないと社会がすまし顔を決めてスルーされる。
 事件を引き起こした植松が殺害の動機として「世の中の役に立つか?立たないか?」だった。それは今の社会に漂う空気そのものだと思う。「私」という主語ではなく「国家」という大きな主語を用いて社会の利益を重視せよという空気。そんな空気に中指を立てるために必要なことは多面的な情報を収集して自分で考えることなんだろう。分かりやすい図式の奥にある物事の本質をつかみ取るために。

2021年2月15日月曜日

2021年2月 第2週

2月8日
 Hardy/Babylon がめちゃくちゃいい。全然知らなかったけどfeat勢がJay Park, Kid Milli,Coogieとか豪華だなーというのとSMTM9関連の人がめっちゃ参加している。LayoneとLee Young Jiは決勝で披露した曲のコンビだし、Untellもファイナリストやし、さらには18分強のマイクリレー曲で多くのSMTM9参加者がしている。この10分超えのマイクリレーは韓国でよく行われていて、ラップ好きからすると最高に楽しい。同じトラックでどんなアプローチするのか。ただこういう作品性の高いアルバムでぶち込んでくるところがイカツイな〜と思う。Babylonは元々アイドルだったけど兵役終了後インデペンデントに音楽活動を始めたらしく一度レーベル契約してるものの今作も自主レーベルからリリースされている。

 The Weekndのスーパーボウルのハーフタイムショーを見る。オルタナR&B的な立ち位置で出てきて一気にスターダムまで駆け上がったところまで見ているので感慨深い。歌って踊るマイケル・ジャクソンっぽさまで感じさせる圧巻のステージングでかっこよかった。特にセルフィーモードに切り替わって仮面人間が大量乱入→フィールドへ放出のくだりが好き。ランダムに暴れているように見せかけつつもマスゲームとしての振る舞いを忘れないところにプロ意識を感じた。


2月9日
 Youtubeを開いたらDingo Freestyleのプレミア公開に遭遇。しかもColdeのKilling voice! 1曲目がoffonoffの曲だったのでブチ上がり。今のようにどハマりする前に何かをきっかけに聞いてめちゃくちゃ好きでCDも持っている。シンガーからアプローチしたシンギンラップって感じで生歌でもクオリティ死ぬほど高くて驚いた。いつかライブを見てみたい人の1人。というかコロナなかったら韓国まで見に行ったりもできたのかーと思うと気持ちがレイムになるけど今はひたすらディグりまくる日々を楽しんでいる。

2月10日
 やってられないので金曜日を意味なく休みにして4連休とする。韓国のヒップホップアワードでアルバムでノミネートされていたDetox/Bill Staxを聞いてみる。韓国のヒップホップで初めて真正面からweedについて描いたアルバムらしい。ジャケットからしてToo dope.大麻の種類であるSATVIAとINDICAでAサイドとBサイドに分ける構成になっていてSATIVAはトラップ、ドリルのハードな感じでINDICAはメロウサイドという感じ。40歳でかなりキャリアが長いラッパーがこうして最先端のトラックでゴリゴリやっているのがかっこよく思える。


2月11日
 天気も良いので少し遠目のスーパーまで買い出しへ。いつもと品揃えが違っていて楽しい。他に出かけることもないのでゲームしたり本読んだりして過ごす。FORTNITEでレベル100にならないとベイビーヨーダがゲットできないのでやり込むしかなくてまた時間が溶けていく。。。
 DRAMA/BLOOのBehind the scenesがリリースされて冒頭にLoopyとスタジオにいる姿が。コメント欄にもあったけどREMIX出たらアツい。BGMで流れているのが同曲別アレンジというアイデアは新鮮だった。あとLil Boi×MiraniというSMTM9な組み合わせのMVがYoutubeで公開。音楽ストリーミングサービスにはないみたいで早急にリリースして欲しいくらいめっちゃいい曲。
 かたや日本ではBad HopのFriendsという曲のMVが公開。JPとLEX迎えているところが胸熱。ZORNの全部取り込む勢いのfeatを見ての動きな気がしているのは勘ぐりすぎ?

2月12日
 有給休暇。Purity/GOODMOODGOKUから朝を始める。このアルバムでやっと2021年始まったなーというクオリティの高さで最高。クレジット見るとほとんど自分でトラックも作っていて驚いた。エモ系シンギンラップの聞いてられないクオリティーのものが多い中で、やはり一段ギアが違う。Got Jazzで ATCQサンプリングしつつメロディはEWFのブラジリアンリズム(ジブさんのパーティチェッカーでも使われてる)という組み合わせの妙がオモシロかった。


 マンダロリアンS2とFORTNITEで時間を溶かす。マンダロリアンまさかの展開で、しかもロバート・ロドリゲスを起用するだなんて、ほんとジョン・ファブローは悪いやつだな©️般若
 
2月13日
 某街へ内見へ。すぐに引っ越したい!という訳ではないがダラダラと物件を見てて良さげなところは見てみる、ということをしている。今日のところは立地的には良いのだけど物件自体の魅力が思ったよりも低く家賃に見合わないなーという感じだった。無限テレワーク環境なので郊外で物件自体のクオリティ高い家に住みたくなっているところもあり引き続き内見を進める。
 闇の自己啓発を読了。久しぶりに脳がスパークする系の読書体験で最高だった。ポッドキャストに近いところもありやはり人が駄弁っているのが好きなんだなと思えた。知的好奇心を満たす系読書をもう少しするようにしたい。
 ポッドキャストをリリース。森発言で感じたモヤモヤをモヤモヤしたまま吐き出しているのでモヤモヤした人は聞いてみてください。Apple podcast/Spotify/Show notes
 夜にとても大きな地震があってびびる。東京で体験した地震で一番大きかったかも。震源は福島県沖と聞いて津波がまた起こるのか?原発は?とか不安になった。何もアンダーコントロールされていないのではないのか?と思わされるそんな時代を生きている。

2月14日
 奥さんが買い物している間に本屋で色々本を物色。本屋はセレンディピティがあって楽しい。お気に入りの本屋は品揃えが充実しているのでそれも大きい。同じチェーンでも店によって全然違うからオモシロい。こんなんあるんかーとメモりつつAmazonで品切れしてた本や気になってた文庫本を衝動買いした。
 Khundi PandaとDSELが所属する30というクルーのアルバムがリリースされたので聞いてみたら、いわゆるノンクオンタイズ系後ろノリビートでめちゃくちゃ好きで毎日聞いている。Dilla,Madlib系のサウンドもあるし、Griseldaのような最近のNYっぽいサウンドもあって聞いてて飽きない。さらにこのタイプのビートで展開をちゃんと用意しているのが新鮮。そういったビートに対するラップのフロウの気持ちよさよ…ほとんど英語がないので完全に語感でしかないけど。一番好きだったのは”Sheer Hail”という曲。このタイプのビートでギターソロ展開って!という驚きがあった。KanyeのMBDTFの"Devil in a New Dress" を思い出した。底無しな韓国のHIPHOP All day.

2021年2月14日日曜日

闇の自己啓発

  

闇の自己啓発/江永 泉, 木澤 佐登志, ひでシス, 役所 暁

 noteで連載している読書会の様子を書籍化した1冊。ネットでたまたま見かけてタイトルに惹かれて読んでみたらめちゃくちゃオモシロかった。普段使わない脳みその部分がスパークするような感じで「まさに啓発されている!今!」と感じる瞬間が読んでいて何度もあった。佐々木中の人文系書籍に近い感覚。ただし著者らは人文/哲学的な議論に加えて最新のテクノロジーさらにはSFを中心としたフィクションまで、ここまで横断的に語ることができるのは圧巻だと思う。構成としては読書会なので1冊の本を読んで何を考えたのか、お互いに話し合っているのだけど、その本は当然のこと膨大な他の本の引用が出てくるところが特徴的だと思う。それらがとても興味深く思えて読書ガイドとしても抜群。まえがきにも書いてあったけど基本webで読めるものの、本版には膨大な注釈がついて、それによってさらに理解が深まった点が大いにあったのでkindleで読むとかなり読みやすかった。
 このタイプの本の苦手なところとして明らかに一読しても分からない議論の複雑な展開があったりして、実際特定の参加者が延々と語っている部分は読むのがしんどかった。(自分の読解力のなさは理解しています)しかし基本的には対話形式になっているので、他の参加者のコメントが理解の補助線になって読み進めることができる。興味深いなと思ったのは自由意志の議論で、国家/個人/社会を背景にAIを中心としたテクノロジーの介入とその未来。みたいな話を延々としていて読書会に参加しているような気持ちになった。
 本作でそこまで深く言及されていないけど「自己啓発本」についてはあんまり得意ではないというか、即効性が高いかもしれないが安易に回答を求めて自分で考えていない気がどうしてもしてしまう。(歳を取るにつれて、しんどい人が読むのは理解できるようになったけど)そういった気持ちを超エモーショナルな文章で代弁してくれていたので最後に引用しておく。

自分に与えられた課題、降りかかってきた悩みを分類し、「類題の解答例」を真似するためではなく、ひとつの謎になるために生きること。己にしか立てられぬ問いを身で以て示すように生きること。そのための「直観」を身に着けること。そのための読書。そのための物語。そのための思想。そのための、「闇の自己啓発」。無数の魔の手が覆い、無数の導きの光が射し込む中、この身体で感じとる、かすかな暗闇を、失わずにつかむための。

2021年2月8日月曜日

2021年2月 第1週

2月1日
 あまりにも部屋のエアコンの効きが悪いので、フィルター見てみたら使い始める前にしっかり掃除したにも関わらずホコリまみれ。まさかこれが原因なのでは?と思ってフィルターを洗ってセットしたらガンガンにエアコンが動いて部屋がとても暖かくなった。もっと早く気づけばよかった…
 ポッドキャスト公開しました。ガジェット、テック系を中心にだらだら話しておりますので、よろしくお願いいたします。Apple podcast/Spotify/Shownotes
 メモアプリとしてDropboxのPaperを2年くらい使っているのだけどもNotionなるものが盛り上がっているということで色々調べてみると見た目はかなり整理されてて良さげ。そういえば以前にpodcastで話したなーと思って過去回を聞いてみたら見事に話していた。こういう風に音声データで振り返るできるの便利。
 夜に読み始めた積読してたエッセイが思った以上の重たさでこれは真剣に読まなければならぬ…と襟を正す。

2月2日
 会社で試験があるので久しぶりに真剣に勉強することになった。いつ役に立つのか分からない知識だけど全く興味ないわけでもないので久しぶりに本と首っ引きで脳に情報を叩き込む。手で書いた方がいいのか。今日聞いていたのはMadlib、Arlo Parksなど。Madlibの新譜はFourtetが制作に大きく関与していて数年かかっているらしい。(MadlibのループにFourtetが手を加えているっぽい) 久しぶりにこの手のビート聞いたな〜と思う一方で小綺麗にまとまっていて聞きやすくなっているのはFourtetマジックなのか。あとArlo Parksは今のステイホーム環境ではかなり調子いい。Rhye/Homeとともに2021年のステイホームなアルバムだと思う。



 BigNaughtyの新曲がWonsteinをfeatに迎えるという最高の曲。メロウ系好きなので、この2人が一緒に曲やって嫌いになるわけがない。あとDingo FreestyleにSMTM9勢が登場。Rose De PennyのWinwinのバースめっちゃ好きなので嬉しかったしMunchmanがAchoo歌ったあとに「Go choo〜」と言っていてオモシロかった。


2月3日
 人から仕事を頼まれて「すみません、今余裕ないです」とだけ返答して、期限を設定できない管理職はどういう了見なのかと頭が痛くなる。上の人に相談したら面談では自らの仕事の状況について「全然大丈夫です」と言っているらしい。その二枚舌どうしてくれようか?
 夕飯、奥さんが会社帰りにバーガーキングでテイクアウトしてくれてハンバーガー。ワッパー食べるとハンバーガー欲がかなり満たされるのでマクドナルドよりも好きだ。
 ポッドキャストで話したとおりYoutubeのFORTNITE動画を色々見ているのだけどオレンジ君という人のチャンネルがかなりオモシロかった。「こうしたらどうなる?」という仮説検証型で、実現するにはどうすればいいかPDCAを回して試行錯誤していくのがめちゃくちゃクリエイティブで楽しい。
 KOJOEがlost tapeと銘打って「iLL Scott」というアルバムが出たのだけど、それが全然アウトテイクではない出来で良き。もしかすると今までの作品で一番好きかもしれない。illmoreのREMIXが多いのも影響しているだろうけど今までのアルバムでは聞いたことのないフロウとかもあって新鮮さがある。あとyouraという韓国のシンガーのGAUSSIANもステイホームな感じでよい。歌い上げなくてメロウなバイブスが出ている曲に最近はよく惹かれる。

2月4日
 レコードをだらだら聞きながら仕事。針を変えたので色々聞き応えがあるし2021年の今聞くと新鮮!みたいなこともあるので良い。今日はLord Echoのセカンドがめちゃくちゃ気持ち良い1日。
 デスク上にノートPC用の台を置いていたのだけど、そこになんとなくものを置いてしまうので思い切って台を撤去。クラムシェルモードで仕事するとデスク周りがとてもキレイになって快適になった。毎回起動するとき開けなきゃいけないのが手間だけどしばらくはこの運用にしたい。
 旧MKIT RAINのBLOOが新曲のDRAMAをリリース。かなりエモーショナルな曲で好き。 歌詞とMVの内容的にはラブソングなんだけど捉えようによっては、いやかなりの確率でnaflaに向けているのではないか?と思ってしまう。(過剰なキスシーンの量も照れ隠しな気がする)”We’re living in a drama”でこの超エモいトラックなので人生の刹那的サムシングを感じてウルルだった。どうやらレーベル名を鞍替え(?)してUNCUTPOINTという名前になった模様。LoopyやOwenもいる。これからどうなるのか。

 2月5日
  メルカリで本が一気に3冊も売れたので、まとめてセブンイレブンまで持っていく。メルカリの配送手配、レシートを入れて発送物に貼り付ける作業があって結構時間がかかる。それは分かるけど3冊レジに出したら露骨に嫌な態度でバーコードリーダーを持って無言のプレッシャーをかけてこられて困惑。ファミマの発送方法が改悪(レシート入れる部分が細くなって超入れにくい)されたからセブンイレブンまで行ったのに。。
  新譜デーなのでザーッとチェックする。韓国ではLil tachiのアルバムが良かった。SMTM8で存在を知って、いわゆる今っぽいラッパーでトラップ偏重主義なのかなと思っていたけどド直球ブーンバップ
も入っていてバランスのよいアルバム。FeatにBig Naughtyが入っていてSMTM8でのバトルのしこりは無いのだなと勝手に安心した。あとdboのEPも出ていて、もうこれはdbo!としか言いようがないフロウで最&高。最初声が苦手だったけど、どんどんクセになって最後には好きになっている。Awichとinstaでコメントのやりとりしているの見たのでコラボが見たい。USだとVanJessが安定の良さ。ナイジェリア系アメリカ人の姉妹ユニット。往年のディスコ・ブギーをオマージュしつつ、しっかり2021のモードにアップデートされている。ゲストもKaytranada, Phony pplと素敵なマリアージュが炸裂しているし大ネタShaft使いなどもあって飽きない。そんな中でも一番好きだったのはDevin Morrison参加の「Boo Thang」隙間のあるトラックが好物で、このもったりしたファンクネスがめちゃ癖になる。



2月6日
 奥さんが美容院に行っている間にDisney+で「ワンダヴィジョン」一気見。ほうぼうで話題になっていたしネタバレ厳禁系っぽかったので早めに見ておいて良かった。確かにこれは話の設定さえも言えねーって感じなのでMARVEL好きな人は早く見た方がいいかも。1つ言えるのは、これ見るとMARVELシリーズ見返したくなる仕掛けになっていてまんまと手のひらの上で転がされている気がする。
 
 暖かくなってきたので冬も終わってしまうと思っておでんを仕込みまくる。子どものころはおでんって好きじゃなかったけど日本酒と一緒にいただくおでんの美味しさに気づいてからかなり好きな料理になった。
 「海をあげる」読了。友人のブックランキングで1位だったので心して読んだ。表紙の絵の鮮やかさに比べると閉塞感のある内容だったし、このままでよい訳がないなと改めて。

2月7日
 今日はとても暖かい。もう春なのか。デスク周りの環境整備していて書類ボックスが欲しくなったので歩いて無印良品まで行く。そんなに人はいないのだけどマスクしていない人がいてギョッとした。そしてこのギョッとする感覚にギョッとするみたいなメタな気持ちにもなった。お昼は中華を適当に食べてタリーズでテイクアウトしてさっと帰宅。こういう短時間の外出でも気晴らしになって良かった。あとゲームやり込んだのと、たまたま見つけた本がめちゃくちゃオモシロくてそれをひたすら読んで1日が終わった。

 

2021年2月6日土曜日

海をあげる/上間陽子


海をあげる/上間陽子

 「裸足で逃げる」で沖縄の少女たちが生きる過酷な環境についてレポートしていた著者のエッセイ。前作よりも自分の生活/境遇について語っている内容が多く、現代の沖縄に生きることがどういう意味を持っているのかが丁寧に書かれていた。
 国道沿いに延々と基地が続いているのは、旅行へ行ったときに誰しも見ているはずだが、沖縄のパブリックなイメージはキレイな海と温暖な気候、島独自の美味しい料理などだろう。「観光業が主力産業だから当然だろう」というのは重々理解しているが、この負担の不公平性に目をつむり続けてしまっているのは日本に生きる一市民として胸が痛い。とくに辺野古への基地移転問題は合理的な理由では到底納得できないのに説明もなく進められており、市民と政治権力の非対称性が辛い。この横暴さが自分たちに振りかからない保証はなく全く他人事ではない。現にここ5年近くの政治は説明しないで進めていくことがあまりにも多く、それに対して声を上げるハンガーストライキのシーンはとても印象的だった。単純に肯定しているわけではなく、政治との距離感の話になっているところが好きだった。あと本著においては子どもの存在が非常に大きくて、彼女に説明できないことがあまりにも多い今の世の中は本当にポイズンなんだなと思わされる。選挙行ってない人はこれ読んで、このままでいいのか自分の胸に手をあてて聞いて欲しい。

2021年2月1日月曜日

2021年1月 第5週

 1月25日
 給料日なのでまだ少しはやる気が出るかな月曜日。最近はモチベーションが地の底なので、どうしたものか…なんか仕事ハック的なオートメーションとかツールの整備とかそういう細々した部分で自分を啓発するしかないのか。
 SMTM777をやっと見終えた。naflaが優勝するのは知っていたので驚きはなかったけど、その過程を楽しんだ。SMTM9が最高傑作と言われてるけど777も十分オモシロかった。この時点でそれほど有名ではなかったMKIT RAINのnaflaとLoopyがワンツーフィニッシュするのは凄いと思う。ラップスキルや楽曲でお客さんがしっかり見ているのだなーと思う。(人気投票やんと思える場面がなくはなかったけど…)このあと友人に教えてもらったKHILAというドキュメンタリーをYoutubeで見た。naflaやLoopyがまだLAにいて、そこで韓国語のラップをしていた頃に密着している。優勝した2人がまだまだストラグルしているところで彼らの考えるヒップホップのアティチュードが素晴らしくて自分の襟を正さねばと思った。年を重ねるほどに「こういうもんじゃん?」みたいな同調圧力がある中で、初心の部分が映像にくっきりと残っている。日本語字幕ついていて見やすかったので興味ある人はぜひ見てみて欲しい。


 
1月26日
 Coldeの新譜が出たので聞いてみたら1曲目が斜め上すぎるパンクでびびった。残りの曲はいつものとおりメロウなテイストの音楽で安定路線。今回もグッとくるメロディ多めで家聞きにピッタリ。でもこの1曲目あるなしではEPの印象がまるで違うというか、何考えているのか分からないアーティストな側面が存分に発揮されていると思えた。


 あと楽しみにしていたsogumm (소금) & DJ Wegun (DJ 웨건) - 'Imagine (Feat. Hoody)' も公開された。sogummとHoodyは韓国のR&Bを象徴するような2人だと思っていて、全然違う方向だけど両方に良さがあってこの曲はそれがパックされている。日本の歌ものではこのノリがないのはなんでなのか?もしくはいるけど知られてないだけなのか?

 
1月27日
 MASS-HOLEの漢気溢れるアルバムで朝からぶち上がる。単純なブーンバップではなくてアップデートされたサウンドとハードなリリック。これこれ~となるアルバムは最近少ないので嬉しい。あと同じラインでDusty Huskyのアルバムもブームバップのその先な感じで好きだった。
 
 一方で若手コンピのようなものを聞いて、どれもメロディが似たような感じで一体全体何をリファレンスにしているのか謎。という話を友人としていたら、それはLyrical lemonadeにあるのでは?と聞いてYoutubeでざっと見てたらなるほどーという感じだった。ここから引っ張ってくるのはいいとしてアウトプットそれかい!な曲が多すぎて切ない。

1月28日
 お昼に焼肉ランチ。いつもは夜しかやっていない店が緊急事態宣言を受けてランチ営業を始めていたのでそこに行った。完全にワンオペで客は我々のみ。これでやっていけるのか心配なりつつもカルビとハラミとタンを食べて満足した。
 毎日退屈なので物欲発散するかーと思いレコード針とWifi中継器を購入した。レコード針はDJ始めてからSHURE M44Gをずっと使っていた。けれど生産終了になっていてどうしたものか?と思ったのと最近はリスニングベースになっている、それほど高いものは買えない。この状況を満たすのが100SOUNDSというメーカーのレコード針だと思い即購入。Wifi中継器は5.0Hgz対応のものを新調。とどめにAlffo recordsで買い逃していたレコードも購入。外食もできないしステイホームなので散財も良しとする。
 友人からClubhouseのインビをもらってアカウント作ってみた。アーリーアダプターが多く、それがきな臭い感じするけど、ポッドキャスト的な雑談サービスとしてこれから流行るのだろうか。K-HIPHOPのこと話すルームがあれば即聞いてみたい&話してみたい。インビ2枠あるけど電話帳にアクセスさせないといけないところがちょっとクリーピーで嫌な感じ。

1月29日
 昨日ネットで買ったものが即届く。レコード針に感動…出力がデカいのもあると思うけど音のインパクトが全然違ってスピーカーで音を出すとかなり気持ちの良い鳴りをしている。そりゃ10年オーバーの使い古された針に比べたら違うよなという当たり前の話だけど。昨日注文したレコードをこれで聞くの楽しみだし手持ちのレコードもどんな感じに鳴るのか楽しみ。

 Wifiの中継器は5.0GHZを中継できるということもあり家の隅々までwifiが行き渡ってよかったんだけど、そもそもの夜の回線の遅さが致命的…体感的には問題なくもないけど測定していると朝昼の5分の1くらいになっている。ソフトバンク光から変えるべきなのか。

1月30日
 レコード到着。SHINICHI ATOBE, Whitneyという去年好きだった新譜2枚。いずれもレコードで聞いてこその味わいがあるので良い。とくにSHINICHI ATOBEは音の気持ちよさがデータで聞くよりも段違いだった。(プラシーボもあるのは重々承知の上で)


 夜は外食できないので昼間にどっか食べ行くかとなり、行ったことがなかったいきなりステーキへ行ってみた。お店は満席で屈強な男たちの巣窟と化していた。ガッツリと肉肉しいステーキを食べるのが久しぶりでとても美味しくいただけた。何か月かに1回くらいの頻度で行きたい。

1月31日
 ポッドキャスト収録。テック系を中心に色んな話ができてオモシロかった。ほとんど友人とと会えない環境でポッドキャストは精神衛生的にも良い。
 スローターハウス5を読了。カート・ヴォネガッドは2冊目でこれまで読んだSFとは全く異なるタッチでオモシロかった。これだけオリジナリティあるから後世まで語り継がれているのだろうなとよく分かる。次に何を読むのか悩んでいる。気分的にはハードなノンフィクション読みたいけどあんまり思いつかず。とりあえず積読読むかー。

スローターハウス5/ カート・ヴォネガット・ジュニア

スローターハウス5/ カート・ヴォネガット・ジュニア

 和田誠による表紙がキャッチ―さで気になりつつ、5巻しか本屋とか古本屋で見ないなーと思ったら「No.5」という意味で5巻という意味ではないことを最初にお伝えしておきたい。読むのは2作目でジャンル分けするならSFなんだろうけどかなり独特の作風。これだけオリジナリティの高い作風があるからこそ死後何年経っても有名なのだろうなーと思わされる作品だった。
 ざっくり説明すると私小説+時間空間横断SFという構造。著者が第二次大戦でドイツのドレスデンという街で体験した空襲をベースにしていて、1人の主人公が生きた様々な年代を並行して描いていく。この並行というのが第三者視点で並行という訳ではなく主人公が自覚しているところがポイントで、要するに主人公はタイムスリップを当たり前に受け入れている。なぜなら異星人に誘拐されたから。ぶっ飛んだ設定なものの各時代ごとに描いている内容は真面目というか人類が戦争にいか振り回されているか描いているのでオモシロかった。ドレスデンにおける爆撃の壮絶さを主張するために広島の原爆よりも酷かったと書かれている点が日本人的には引っかかると思うけど、その辺りは訳者あとがきで細かく解説されてい納得した。
 厭世観が全体に漂っているのも特徴的で過去も現在も未来もすべて等価だと考えているので1つ1つの事象に執着しておらず「そういうことだ(So it goes)」と受け入れていく。これは辛い思いをしたときに行うある種の処世術のようにも思えた。思考停止とニアミスだけども…ただそんなときこそフィクション(嘘)こそ必要なんだと以下ラインから著者の思いを感じた。

(語尾の感じも訳者の人の感情が入っていて好き)

「思うんだがね、あんたたちはそろそろ、すてきな新しい嘘をたくさんこしらえなきゃいけないんじゃないか。でないとみんな生きていくのがいやんなっちまうぜ」

フィクションを読んでいると現実と向き合ってないような気がするときがたまにあるけど、そのときはこの言葉を金科玉条にゆるりと生きていきたい。