2020年5月25日月曜日

2020年5月 第3週

5月18日
仕事に対するモチベーション0%のまま始まる1週間。もともとやる気ないのに休み明けはエンジンかかるまでめっちゃ時間かかる。結局、検察庁改正法案は今国会での成立が断念された。これまで何回も強行採決されてきたけど初めて世論を気にして断念したところを見た。最初からそうしとけやというか、あきらめるんじゃなくて理解が得られるような説明してくれやと思う。昼休みに「停電の夜に」を読了。ラヒリのデビュー作で個人的には2冊目。短編だと「続き読みたい」となる具合でオモシロかった。夜、今日Amazonから届いたイーユン・リーの最新作を読み始めたら2、3ページ捲っただけで「これは…」という仕上がりっぷりで真剣に読まないといけない気がしている。

5月19日
仕事しながら小袋成彬、野村訓市と立て続けに聞く。この2つを聞くと新譜と旧譜がいい感じのバランスで楽しめる。野村訓市のラジオで紹介されていたOnce upon a time in AmericaをPrime videoで見始めた。3時間50分。ドラマのように切りのいいところで少しずつカットしながら見進めようと思う。

5月20日
午後休みとって映画鑑賞。恋恋風塵をPrime videoで見た。これが家で手軽に見れるだなんて良い時代。話自体は大人の階段を登る切ないラブストーリー。とてもシンプルな話だけど、とにかくめっちゃ絵が綺麗。あのロングショットはテクノロジーの発展で鮮やかには撮れるかもしれない。でもあの色味と質感はやはりフィルムならではの美しさだと思う。素人でも分かる。台湾映画の艶っぽさは独特で好きだ、ノスタルジーがとても刺激される。あとはジミー・O・ヤン:人生はお買い得も見た。ドラマのシリコン・バレーで謎の中国人役でブレイクした俳優のスタンダップコメディ。アジア人ジョークてんこ盛りでめちゃくちゃオモシロかった。 ちょうど読んでいるイーユン・リーのABCの話とシンクロ。やっぱり英語を勉強せねばという思いを新たに。
夕食はテイクアウトで天丼を食べた。黒川検事への賭け麻雀スクープ。まさかのオチでびっくりした。これで辞めることになるだろうけど、そんな隙だらけな行動を取ってしまうほど権力は人を鈍らせてしまうのかと怖くなった。余人をもって変えがたいという閣議決定をどうするのかが見もの。

5月21日
緊急事態宣言が関西圏で解除されるそうでTVはいろめきだっている。午後は ciscoのwebexで会議。こんだけ色々会議システムを会社で抱えているのマジ無駄なコストだなと思うけど、どうなんだろうか。夜、イーユン・リー「理由のない場所」読了。本当にハンパなさ過ぎて…一生において大事な1冊となった。

5月22日
近所の駅にバーガーキングができたので初めて訪問。よく考えてみると日本で食べたことなかったけど美味しかった。(ヨーロッパへの卒業旅行でドバイの乗り継ぎで食べて以来だった。)ご飯食べてから謎に体調が悪くなり熱はかったけど平熱。しばらく横になっていたら回復。関西で緊急事態宣言が解除されたので両親が祖母のもとを訪れたらしくビデオ電話をした。僕も父もヒゲを生やしていて2人とも生やした顔を互いに見たことがなかったので顔見て笑ってしまった。

5月23日
午後にポッドキャスト収録。無線LAN変えてから初めての収録で色々トラブった…反省。そのあと、テラスハウスの出演者である木村花が亡くなったニュースを知り驚いた。ヘイトが本人に対して炸裂しまった結果の自殺のようで、うーむ…という気持ち。なんでこんなことになってしまうのか…共同生活してる上で言ってしまえば「どこでもありそうなトラブル」について、自分はこう思うとか、あの人の行動は良い/悪い、と言えるところがオモシロかったと思う。ただそれはディベートの議題のようなもので、あくまで外様に限っての話であり、外様が本人に直接己のジャスティスを炸裂させてしまう、さらに一歩進んでヘイトをぶちまけてしまうという事態が今回顕在化したこと。とはいえ「ポッドキャストでだべったことは片棒担いでんじゃねーの?」と胸倉つかまれて言われたら「申し訳ないです…」としか言いようがないので複雑な気持ちになる。ただ鬼の首を狩ったかのごとくテラスハウスひいてはリアリティーショー全体まで批判が及んでいてうーんという気持ち。少なくとも日本ではワイドショーで延々と芸能人のスキャンダルをやってる訳で、その辺を全部すっ飛ばして「リアリティーショーよくない!」と正義感を発揮されても、という思いにはなった。そもそもなんでこんなことになるのかっていえばSNSが示すフォロワーやいいねの数が価値を持つ社会となっている自体が元凶なのでは?という議論までリーチする気もする。とここまで書いたところで、すべてが時すでに遅しなんだと思うと虚しい。

5月24日
久しぶりにスタバへ行きコーヒーフラペチーノを飲んだ。普段はコーヒーしか注文しないんだけど暑かったのと甘い飲み物を飲みたい欲が抑えられず。お昼ご飯には最近お気に入りのお店でキューバサンドを。前まで横浜にあるお店しか食べられるところ知らなかった。近くにあることを知ってヘビロテしている。午後は収録したポッドキャストを編集したりYoutube見たりしてだらだらしていた。ポッドキャストの更新も終えた。
切れ切れで見ていたOnce upon a time in Americaを見終えた。合計4時間弱。めちゃくちゃオモシロかった…ギャング映画の個人的好みにおいて、かなり上位に食い込んできた。今の基準に合わせるとクズい描写もかなり多いものの(特に女性の扱い)これぞギャングの友情物語という仕上がり。ロバート・デニーロはギャング映画の申し子なんだなと改めて感じた。グッドフェローズでの鉄砲玉も好きだし今回のようにしっとりした演技も最高最高。ほとんど同じような話なのにアイリッシュマンが全然刺さらなかったのだけど今見たら、もっと好きになれるのだろうか。

2020年5月18日月曜日

2020年5月 第2週

noteのアカウントを作ったりしたのだけど、久々に戻ってきたら5億年ぶりくらいにUIのアップデートがあったので、再びBloggerに降臨。やっぱりSNSでは物足りない。

5月11日
もう何ヶ月も日記を書いていないのだけどリハビリも兼ねて少しずつ綴っていきたい。
テレワークライフももう慣れたものでディスプレイとオフィスチェアを導入してからは何の問題もなく仕事自体はできている。ただ少し聞いたりとか雑談できないのが何となく不便な感じ。テレワークに関する諸々はPodcastで話しているのでチェックしてみてください。少しは参考になるかも。もう自粛生活は終わりそうだけど。
昼休みに友達にオススメされたアドルフに告ぐを読み終えた。ナチスとユダヤの関係に日本を混ぜ込んだ手塚治虫の作品でめちゃくちゃオモシロかった。
今の漫画だと絶対に出てこない振り切った表現があるので、読んでいるとビックリするところもある。今までナチスとユダヤを題材にした映画、小説をしこたま読んだり見たりしてるけど、どこか遠い出来事に感じていた。でも本著のように日本を舞台に絡めることで、これだけ身近に感じるようになるのは新しい感覚だった。Kindleだと5冊で1500円という良心的な値段設定なのでオススメ。でも国会図書館が発行している箱入りの22000円のやつ、めっちゃかっこいいからいつか紙で欲しい。あと最近は中村文則の新作を読んでいる。そしてジュンパ・ラヒリブームが到来。「低地」がとにかく圧倒的にオモシロくてここ何年かでベスト級だったのでメルカリで過去作を収集している。

  

  野村訓市のラジオ番組で聞いたI feel for you(Acoustic demo)/Princeがあまりにも衝撃だった。もとはChaka KhanにPrinceが提供した曲だけど、その前に録音されたとされるdemo。Rawな感じがたまらない…当時20歳でこんなに歌ってアコギ弾けるのは天才としか言いようがない。ラジオでも言ってたけど、この自粛期間にディスコグラフィが膨大なアーティストについてDIGするのも楽しいかもしれない。
 明日のPodcast収録用に検察定年延長関連の諸々をネットで見て、おえーという気持ちになる。経緯が複雑なので色々聞いたり見たりしないと全体像をつかむのは難しいなと思う。とくにTwitterはケイオス。「問題ない」と言う人たちは過去の経緯を全部すっ飛ばして法律を斜め読みしているからタチ悪い。寝る前にインスタライブでpekoくんのDJを見ていた。リリック繋ぎとか時勢とか意味ありまくりな繋ぎで最高だった。ラスト、久々に聞いたあるまのハワイの曲が沁みた。そしてNORIKIYOの新曲を聞いて、こういうときは頼もしいなと思えた。この日同じくアップロードされた般若の曲も久々に好きな感じで世の中がクソなとき、それを代弁するのはラッパーなんだと思う。


5月12日
午後Zoomでwebinar。とても快適だった。初めてZoom使ったけど他のサービスに比べて音声クリアで遅延も少ないように思う。(そもそもの回線の問題もあるが)
ご飯を食べてからテラスハウスの最新回を見た。もうストックないかと思いきや、まだ少し残っているようで今週から何週か続いていく模様。だいぶcreepyだった…
夜、Podcast収録。床屋の政治談議の域を出ないとしても話すことに意味がある気はしている。このレベルで政治のことを日常で話せる環境が必要だなと思う。それはSNSではなく。今回はリビングで録音したのでコモらない音になった。ボーカル処理道は奥が深い。

5月13日
ネットで肩こり解消の動画が紹介されているのを見て、やってみたらだいぶ楽になった。毎日続けることが大事っぽいので続けたい。テレワーク当初していたランニングもマスク必須になったから全くやる気にならない。
今日聞いたemi eharaの新しいアルバムがどストライクで、いい感じに風が吹いている夕方に家で聞くのが最&高だった。ちなみにアルバムタイトルは「&」の英語での呼び名。声はポップスなんだけど音、特にリズム隊はブラックミュージックど真ん中のノリ。このぐらいシンプルなのが今はいい。それにしてもカクバリズムはタレント豊富。これはレコードでしょ!と勢いで発注した。
Podcastをアップロード。シンプルな違和感を表明しています。政治なんて!という人はスキップして焼きそばの話を聞いてください。 Apple podcast / Spotify
奥さんが仕事の帰りに買ってきてくれたハンバーグ、しゅうまいで外食気分を味わった。

5月14日
お昼にマクドナルドをモバイルオーダーして、気分転換がてら取りに行ってみるとUBER EatsとTake out勢で密密密。チキンタツタ効果なのか。時流に乗ることなくBLTを食べた。
お昼に思い出して、応募していたNintendo Switchの抽選を見たけど外れてた。
MUROのStevie Wonder mixが超ダンサブルで好きだった。マッカチンも言っていたけど30分は短いんで1時間にして欲しい。仕事終わってから中村文則「逃亡者」を読了。またネクストステージといった趣で好き嫌いはパックリ分かれそう。新聞連載なので無駄に長くなっている気もする。夜、Youtube徘徊してたらテラスハウス地獄の三本立てでお腹いっぱいになった。スタッフがニヤニヤしまくってアップロードしている姿が見える。「10万まだかよ?」と詰めていく姿勢がたくましいなと思いつつ、カイは今回の特別給付金ぜんぶ取られ流と思うと不憫。お口直しにハナコの Youtube見て笑って浄化してから就寝。

5月15日
なんだかんだ1週間過ぎるのが光速。午前中、YoutubeでPrinceのライブストリーミングやっててそれ見ながら作業。もろにVHSっぽい動画をYoutubeで見るの不思議な感覚だった。2冊目のジュンパ・ラヒリが到着。メルカリで買ったんだけどメッセージ付きの過剰包装で戸惑う。見ず知らずの人への販売品にコメントとトリートメント付けるのはどういう気持ちなのか。今日は東京9人でコロナも収束ムード。会社の人との連絡の中でも出社したいという話が散見されるようになった。来週解除されたとしてどのように日常へ戻っていくのだろう。もう二度と早く起きれない気がしている。
夜はiTunesの整理。日本語ラップのジャンルとBPMを整える。新譜チェッカーではあるものの自身のHDDについてこれを機会に改めて見直すのもありなのではと思い色々やっている。MixtapeやBoot Remix 全盛時代の申し子なので管理がグチャグチャでさらにmixもあったりでケイオス。少しずつ綺麗にしたい。

5月16日
  今日を終えれば週末。感染者数がかなり減ってにわかに終了ムードが漂っている。さすがにもう自粛生活はお腹いっぱいかなと思うけど、家にいることが肯定されるインドア派にとっては天国のような状況なので終わるとなるとそれはそれで寂しい。検察庁法改正案の国会審議見ようかと思ったけど、どうせむかつきまくるだけなのでスルー。今日は可決が見送られた。本当に舐められてるんだなと痛感する。無音で読書してたら隣の家から、一本締めの声が聞こえた。闇宴会。

5月17日
   天気が悪い上に寒かったのでどこにも出かけることはなかった。HDDの整理が完了したので今度はDJで使いたいやつだけポータブルHDDへ移行。一気に移行しようとすると落ちてしまうので分割しつつ粛々と行った。合間に本を読みながら。あと凪のお暇のドラマを見た。今週来週で再放送してくれる模様。漫画は読んだのだけど映像になると妙にナマナマしい。とくに冒頭の会社の描写が秀逸だった。
夜にHDD移行が完了して、ようしDJしよーと思ったらscratch live のソフトがSL2を認識しなくなっており立往生。調べてみるとserato DJ Proというソフトに変わったらしくインストールしてファームウェア入れたら認識した!というかUI がかなりモダンになっていて新鮮やなーと思いつつ、勢いで配信しつつ録音しつつDJしてみた。日本語ラップオンリー。昔、友達とUstreamやってた頃を思い出した。そのときよりめっちゃ簡単にできるようになっていて隔世の感。久々にDJすると超楽しい。自分の好きな音楽だけだから当たり前なんだけど。そのあとも色々いじってたら遅い時間に。(キー変えずにテンポ上がる機能にめっちゃ感動した…)タイミングよく後輩もミックスをアップロードしてて聞いてたら懐かしすぎてハゲるかと思いながらビール飲んで日記を書いている。

5月18日
  今日は快晴。ハンバーガーをテイクアウトで買いに行ったら1時間待ちといわれて商店街をぶらぶら。自粛のモードは完全に終了している雰囲気。それは自分も含めて。ステーキバーガーなるものを初めて食べた。かなり美味しかったので定期的に利用したいな。次は事前にちゃんと電話しよう。
  帰ってきたらYellow Dragon BandのCDが届いてた。ストリーミングで聞いてたけどお布施の意味も込めてCDで。というかダウンロード購入がiTunes storeくらいしか選択肢ないのはちょっとなーBandcampで320kbpsでダウンロードできるのが売り手も買い手も幸せになるのでは?もともと知っているMCが集団化することで魅力が増す好例。クレジットも見れて好きだった曲がいずれもmoneyjahのトラックだった。そのうち1曲はMVにもなっている「三連服」もう1曲は「Mellow Yellow」DJできるようにしたので小1時間盛り上がってやってしまった…久々にDJすると楽しい(昨日ぶり二回目)何らかミックス作りたいな。という気持ち。

2020年5月9日土曜日

低地

 

低地/ジュンパ・ラヒリ

 400ページ強の長い小説で設定もシンプルなのに信じられないくらいオモシロくてグイグイ読んだ。インドのある2人兄弟と弟の奥さんおよび弟夫妻の子どもを中心として計4世代について描いており、インドからアメリカへの移住もあるし、時間的にも距離的にもダイナミックなレンジで物語を描いていてオモシロかった。共に生きることの難しさをこんこんと突きつけられるような感覚が残る。
 弟が殺されることで、その責任を背負い込むような生き方をした兄と弟の奥さん。そういう意味では同じ立場なんだけど、それぞれが一方は利他的もう片方は利己的に生きる道を選ぶ。この両方の立場を描いているところがめちゃくちゃオモシロくて簡単に割り切れないことがよく分かる。利己的選択をした登場人物がヒールになるのだけど、その選択を否定しきれないくらいに重い過去がある。なにしろ子は鎹という幻想が打ち破るのだから。しかもその娘が関心を寄せてもらえないことの寂しさや虚しさを感じ取って自暴自棄な人生を送ることになるため余計に読んでいて辛かった。この重い過去で硬直する人間関係をじっくり時間をかけて解きほぐしていくから、設定自体はとてもシンプルなんだけど奥深い味わいになっていた。飽きずに読ませてくれるのは、それぞれの置かれた立場の微妙なバランス感をラヒリの言葉で丁寧に紡いでいるからだと思う。また生まれたインド/育ったアメリカのどちらにも帰属していない移民の苦悩も存分に出ている。2人とも亡くなった弟から逃げたつもりだけど、ずっと彼の存在を意識しながら生きるしかないという共通点はあるのだけど、娘にその過去を伏しているため共通点に気づくことなく(もしくは気づいていてもスルーして)それぞれ別の方向を見てしまうことになってしまう切なさ。結局、移民/家族いずれの関係性の中でも相互理解が進まない話なのでこれまた辛い話。
 また舞台となるロングアイランドやインドの風景の描写も好きだった。時間の経過が大事な話の中で季節のうつりかわりを細かくかっこよく書いていてた。早く続きを読みたいという気持ちと、終わってくれるなという矛盾する気持ちが同居するとき、それが最高の読書体験だと思っている。そして本著はそんな読書体験をもたらしてくれた。(ちなみに西加奈子の「サラバ!」は本著をリファレンスにしている気がする。)