2014年3月31日月曜日

ザ・ファイター


デビッド・O・ラッセル監督作品。
世界に一つのプレイブック、アメリカン・ハッスルと、
大好きな作品ばかりな訳ですが、やっと本作を見ました。
これまで見たものより、段違いにストレートで、
とてもオモシロかったです。
ボクシング映画なんですが、ただの感動映画ではなく、
デビッド・O・ラッセル節炸裂っ!といった感じでした。

マーク・ウォールバーグとクリスチャン・ベイルが
主人公で、2人は歳の離れた兄弟。
ベイルは昔ボクサーだったんだけど、
ジャンキーに成り下がってしまっている。
ウォールバーグは仕事をしつつ、
ボクサーとして現役で戦っている。
ジャンキーの兄貴と、
タバコ吸いまくりの母親がプロモーターで、
ウォールバーグを支えているんですが、成績は鳴かず飛ばず。
しかも、家族はウォールバーグのファイトマネーに依存しまくり。
劇中で何度も「あなたのため」「お前のため」という台詞が
家族から放たれるんですが。この欺瞞感がハンパ無い。
その家族に対して、ウォールバーグは疑問を抱き、
彼女であるエイミーアダムスの助言に従って、
家族と関係を絶ち、ボクシングに集中することで、
成績が徐々に上向いてきます。
実話ベースで、最後はザ・ボクシングな終わり方なんですが、
この映画のメインは家族にまつわる話。
それをデビッド・O・ラッセル特有の会話劇で描いていました。
ベイルのダメっぷり、母親のヤダ味とか大好きだったな〜
母と周りの姉妹や姑がエイミーアダムスの家に
殴り込みかけるシーンが最高沸点でしたw
ボクシングシーンの映像の感じも当時のTV加工な感じで良かった。
見る人を選ばない素晴らしい映画でございました。

2014年3月30日日曜日

トロピック・サンダー/史上最低の作戦



LIFE!を最近見たところで、ベン・スティラー監督作品の
見れてない作品を見ていこうということで。
映画好きにはたまらない作品でした。
ベン・スティラー、マジで映画好きなんやなーと。
冒頭、グラインドハウスよろしく、Fake 予告編が流れる。
そのクオリティが高過ぎて、始まってから何事や!
と思うこと山のごとし。
戦争映画を撮影している俳優たちが主人公なんだけど、
撮影が難航。そこで、よりリアルに撮影するため、
ジャングルにカメラを仕掛けて、
そこへ俳優を放り込み、映画の撮影を進めることに。
しかし、そこはベトナムではなく、
東南アジアの本当の麻薬生産エリアで、
リアルな戦闘に巻き込まれていくという物語。
メタ構造を存分にいかした展開がてんこ盛りで、
映画好きにはたまらないものがありました。
ジャングルでのベンとロバートの演技論のくだりは、
アホだなーと思いつつも映画愛に溢れている。
出てる俳優も超豪華。
ジャック・ブラック、ロバート・ダウニーJr、
トム・クルーズ、マシュー・マコノヒーなどなど。
(個人的にビル・ヘイダーが超アガッた!)
トム・クルーズがとにかく超最高!
映画のスポンサー会社の社長を演じているんだけど、
口の悪さも最高だし、あのダンスね!
エンドロールでもまさか使われるだなんて。
マコノヒーもさすがのクレイジーっぷりだし、
ダウニーJrのデニーロアプローチを、
逆手に取った役柄もオモシロかったな〜
映画の映画だから、役者の魅力が大切なんだけど、
十分にそれが発揮されていたと思います。
コメディアクションとして楽しみました。

2014年3月29日土曜日

フルートベール駅で



予告編を映画館で見て、かなり気になっていた本作。
昨年、トレイボーン・マーティンという黒人青年が
白人自警団のジョージ・ジマーマンに
殺された事件も記憶に新しい訳ですが、
インターネットで探すと、
そこそこの頻度で似たような事件がアメリカで起こっている。
そして、どれもが黒人が被害者で、白人が加害者。
「それでも夜は明ける」で描かれていた奴隷制から、
脈々と続く人種差別は現在進行形の問題なのか…
と思わされた次第でございます。
主人公はオスカー・グラントという黒人青年。
奥さんと娘が1人いる一般的な家庭。
ただし、オスカーは前科一犯。
出所後スーパーで働いていたものの、
遅刻でクビになってしまい、無職状態。
そんな彼が1月1日に殺されてしまう
前日からの様子を描いた実話ベースの物語。
いきなり冒頭で、電車の乗客が撮影した
殺されるまでの実際の映像が流されて、
どういった事態が起こったかがボンヤリと分かる。
そこからは前日の彼の行動を通じて、
人間性や置かれている状況が明らかになってくる。
ここで重要なのが、彼は決して特別な人間ではなく、
ごくごく普通の青年であること。
家族、仲間を大切にし、前科一犯であるものの、
なんとか今の状況を打開しようと必死にもがいている。
イイ人なだけではなく、彼の短所も描かれていて、
結局はそれが悲劇を生むことになってしまう。
これらのバランスの良さ、なにげなさが
迎える結末の重みを増幅させていく感じ。
オスカーを演じているのが、マイケル・B・ジョーダン。
(クロニクルでイケテル男子を演じていた)
この彼の演技も本当に素晴らしくて。
スーパーでのくだりや、海を眺めていたときの
フォトジェニックさといい。
本来であれば、退屈になりやすい単純な日常描写なんだけど、
彼の役者パワーで、興味の持続が保てました。
そして、1月1日。彼は駅のホームで警察官に撃たれて殺される。
時間にしたら、15分くらいのシーンなんですが、
前半〜中盤のユルい描写と異なり、
ここでの緊迫感は本当に凄まじい!
冒頭で結末自体は知っていたとしても、
この状況で撃たれるの?っていう、
信じられない思いが頭の中をよぎり続ける。
そして、最悪の結果を迎え、映画は終わる。。。
死は突然訪れる者で、ドラマティックでもなんでもない。
引き金をひけば、簡単に亡くなってしまう命。
ドキュメンタリーにしちゃうと決して味わえない
「追体験性」が存分にあって、
映画館で見てよかったなと思いました。

2014年3月27日木曜日

デス・レース2000年



高橋ヨシキ氏がTVで紹介していたのを見て、
非常に気になって、見てみました。
狂気に満ちあふれていて最高。
ロジャー・コーマンは押さえていかなあかんなぁと。

西暦2000年が舞台で、アメリカが世界を征服している。
そのアメリカ国内で大人気の横断レースが開催。
車5台でレースをするんですが、単なる競争じゃなくて、
車で轢き殺した人間の数がポイントになる。
細かくルールが決まっていて、
老人や子ども、赤ちゃんを殺すとポイントが高い。
この残酷ショーが進みつつ、一方でレジスタンスもいて…という話。
いかに狂っているか、分かっていただけましたかw
車のレースは男女ペアで乗り、
一人は運転、もう一人はナビゲーターを担う。
そこはいいんだけど、夜になると男女の関係になる。
レーサーとSEXできるのが、ある種のステータスとなる世界。
1日目のレース終了後のマッサージのくだりとか、
もう何がなんやら、頭がクラクラすることばかり。

(ちなみに、ロッキー直前のスタローンが出演してまして、
単細胞バカを熱演していました。)
まともな人間が一人もいないので、どんなに真面目でも
「ボケ」のように見えるB級映画のいいところが見れました。
おっぱいが一杯見れるので、イイ映画だと思います。

2014年3月26日水曜日

セレステ∞ジェシー



大阪帰りの新幹線でiPadにて鑑賞。
初めてiPad映画×新幹線を試しましたが、悪くないかも。
(ちょっとiTunesのレンタル料金高いけど…)
高橋芳朗氏も昨年押していた本作。
例に漏れず、最高でした!
でも、結構なダメージを負いました。
ブルーバレンタイン的な部分もあるんですが、
全体のトーンが割と軽やかな分、
GAPが大きくて辛かったです…

ある結婚している夫婦が主人公で、
女性がセレステ、男性がジェシー。
2人は離婚すると決めた上で、良き友人として、
端から見れば、まるで恋人のような関係。
この2人が離婚に至るまでの過程を
キッチュでポップなタッチで描き出す。
基本的にゲラゲラ笑いながら見てるんだけど、
終盤にかけての追い込みが凄まじい。
セレステがどんどんボロボロになるのに対して、
ジェシーは家族を抱えるという不安を見せつつも、
基本は幸せに向かっているように見える。
とくにセレステが歩み寄ったところのシーンね。。
セレステはプライドが高くて、
自分のことは顧みず、人のことばかり。
この辺は先日見たドン・ジョンに近いところも。
あとは音楽の素晴らしさね!サントラ購入したぜ。
(DAM-FUNK使いにはビックリした)
現実を受け止めて、生きていこうと思いました。

2014年3月20日木曜日

LIFE!



ベン・スティラー監督主演作品。
「虹を掴む男」という1941年の作品のリメイクらしい(未見)
予告編を見たときから楽しみにしていて、公開初日に鑑賞。
期待を裏切らない素晴らしい作品でした。
Live your own lifeってことだなぁとつくづく感じました。
仕事に不満ある訳でもないけど、
見終わったあとに猛烈にやめたくなりましたw

主人公はウォルターというサラリーマン。
彼が勤めるのは「LIFE」という雑誌を扱う出版会社。
そこでネガ管理を仕事にしている。
その会社が買収され、雑誌は廃刊、Web事業へ移行することに。
最終号の表紙を飾る写真がショーン・ペン演じる写真家から
送られてくるんだけど、そのネガが見つからない。
平凡なリーマン生活を送っていた彼が、
世界を飛び回っているショーンにネガの在処を聞くために、
色んなところへ旅に出るロードムービー型物語。
予告編でも少し流れてましたが、彼には妄想癖があり、
ものすごいボンヤリしてて、奥手な男性。
冒頭、婚活サイトで会社の同僚の女性に
Web上でActionをかけるくだりや、
彼に対する同僚の反応から、彼の人間性が浮き彫り。
前半はウォルターの妄想が炸裂しまくる。
初めはそれが「ありえない」こととして笑ってるんだけど、
物語のあるところで、それが反転する瞬間。
笑い事ではなく、 これマジだ!ってなる驚きと同時に、
自分が生きている人生の視界の狭さに気付かされます。
中盤から後半にかけて、これまでの憂さを晴らすかのごとく、
自分の直感、躊躇無しに様々なことにtryしていく。
ショーン探しで訪れる
グリーンランド、アイスランド、アフガニスタンの美しさ。
そこをスケボーで滑降したり、火山の噴火に遭遇したり、
雪山を現地の人と登山したり。
これまで彼がNYでしていた妄想をはるかに超えた
現実の体験が人生に加わっていく。
特に好きだったのは、
泥酔したパイロットの運転するヘリに乗るところ。
予告編とは違うイメージだったんだけど、
妄想で勇気づけられるだなんて!
David BowieのSpace Oddityがかかる、
このシーンはまさしく神シーンでしょう。
あと、思いを寄せる彼女の家へ訪問したときに、
何の迷いも無く、インターホンを押す。
前述した冒頭との比較で明らかに、
彼の中でなにかが変わっていることが分かって、よくできてるなーと。
映画パロディもいくつか入っていて、
それは「Life is a Movie」であり、
監督兼役者のベン・スティラーにとっては、
「A Movie is Life」でもある。この辺はグッときました。
 ウォルターの過去および家族の話は、
物語が進むにつれ、 徐々に明らかになってくるんですが、
幼い頃に父を亡くした家族をウォルターが若い頃から支えてきた。
そんな彼が人生に積極的に関わる能動性を手に入れた喜びは、
見ていて愛おしかったし、憧れも抱きました。
すべてのきっかけであるショーンと、
初めて出会うシーンもとても好き。
ショーンはウォルターとは逆で刹那に生きる男。
写真家にも関わらず、被写体が現れたときに
シャッターを切らないときがある。
それは、その瞬間を独り占めしたいとき。
今となっては携帯に必ずカメラがついてて、
webにアップして一瞬で世界中とシェアできる時代。
それはそれで楽しいんだけど、その一瞬を脳に焼き付ける!
みたいな考えも大切にしたいなと思いました。
自分の中で無意識にlimit決めて生きるんじゃなくて、
選択肢は無限大なんだということを気付かせてくれる
素晴らしい映画です。悩んでる方は是非!

2014年3月19日水曜日

アナと雪の女王



ディズニーランドTOKYOに行ったこと無いけど、
ディズニーが生み出している映画は好きなので、見てきました。
昨年はシュガーラッシュという作品に出会い、
とんでもなく好きだったんですが、本作も例にもれず、
メチャクチャ好きになってしまったー!
そもそもミュージカル苦手で、少し心配してたけど、
むしろこの作品きっかけで、ミュージカルが好きになりそう。
というくらい、ハマってしまいました。
ストーリー自体は、それこそ古典的なんだけど、
それを表現するアニメーションが、とんでもないレベル。
普段そんなにアニメ見ないから、終始その映像美に圧倒されてました。
(はじめに流れるミッキーの短編アニメは
「今、うちはこのレベルなんで(ドヤ)」っていう宣言にも見えた)

アナとエルサは姉妹で、エルサには子どものころから、
魔法の雪の力を生まれつき持っていました。
ある日、2人で彼女の能力で遊んでいたら、
事故ってしまい、アナを凍らせてしまう。
それ以来、ある国の王である両親はエルサを部屋に閉じ込め、
力がコントロールできるようにしつける。
それと同時に妹のアンも城に幽閉されてしまう。
両親が船舶事故で亡くなってしまったことで、
姉であるエルサの載冠式が開催され、久々に開城するものの、
エルサの力が暴走し、街が凍りついてしまい…というお話。
話としてはディズニーが作り倒してきたような感じなんだけど、
色々考えさせられる作りなのが、まず好きだし、
なんといってもミュージカルパワーが炸裂しまくり!
正直お話の作りとしてはツッコミどころ結構あるんですが、
それがスノーストームで吹き飛ばされるかの如く、
すべてを凌駕しちゃう。
そして、そのハイライトは前半に集約されています。
僕が好きなのは、「For the first time」と「Let It GO」
前者はアナとエルサのデュエットなんだけど、
幽閉されていたアンが初めて外の世界と接するシーンで流れる曲。
曲の歌詞、そのシーンともに、
知らない世界に足を踏み入れるワクワク感MAXで、
本当に素晴らしかった。
曲の後半でエルサがデュエットで入ってくるんだけど、
こっちは対照的に不安、恐怖で満たされている。
この対比も見事しか言いようがない!
そっからの 「Let It GO」ね。
この曲の「愛しさと切なさと心強さ」感が好き過ぎて。
誰にも気を使わず、1人で生きていく!という
力強い宣言でもありつつ、寂しさが見え隠れするこのバランス。
この前半を見るためだけに映画館行くべき!

エルサは自分の力で人を傷つけるのが怖いから、
誰も寄せ付けないがゆえに事態は後半にかけて悪化していきます。
そんな姉を救おうとするアンと、
氷屋のクリストフの冒険シークエンスはベタな安定感。
アナは子どもの頃の事故と同じように、
エルサに心臓を凍らされてしまい、
それは真実の愛でしか溶かせないと。
この時点では、アナを取り巻く男子が2人いて、
あーこいつらのどっちかかーにしたら説得力弱いな〜と思ってたら、
そこは見事に裏切られた。今までのディズニーとはひと味ちゃうで!
という気概を感じました。
物理的に凍っているのはアナの方だけど、
本当に凍っているのはエルサの心そのものであり、
この凍った両方を溶かすことができるのは、真実の愛。
これまで自分の能力に縛られ、
誰かのことを大切に思うのを躊躇していたエルサが、
初めて本気で大切に思うその愛が、世界に「生」を与える。
人との関係はあくまで双方向という部分では
こないだ見たドン・ジョンとも本質的な部分では似てるなー
とか考えつつ。

ディズニーで見れてないの結構あるから、
いつかローラーかけて主要作品全部見な!
と改めて思わされた作品でした。

2014年3月18日火曜日

ドン・ジョン



俳優として輝かしいキャリアを歩んでいる
ジョセフ・ゴードン・レヴィットの初監督作品。
映画秘宝の町山さんのコラムで取り上げられてたけれど、
なるべく前情報をシャットして見てきました。
とんでもなくおもろいやないか〜い!
ちょっと女性には勧めにくいけれど、
全男性は必見といっても過言ではないくらい。
まさかイケメンの彼がこんな映画を撮るだなんて…
間違いなく、ボンクラだぜ!(褒め言葉)

ジョンという男が主人公で、彼が大切にしているのが、
家、車、筋トレ、女、家族という、
ある種ヤンキー的な価値観で生きているシングル男子。
ジョンを演じるのはジョセフ自身。
夜な夜なクラブに行って、女性をナンパして、
一夜限りの関係を結ぶ生活を繰り返している。
SEXしまくって、100点のSEXを追い求める彼ですが、
実物の女性を超える快感を得れるもの。それがポルノ!
SEX addictな彼が2人の女性との出会いをきっかけに
成長するというラブコメディです。
ここまで読んで分かったかと思いますが、
500日のサマーの彼はもうここにはいませんw
冒頭、彼のポルノへのアツい思いが語られるところで、
完全にサムアップ!
(Macの起動音が何より興奮するというセリフよ…)
スカーレット・ヨハンソン演じる極上の女性と出会い、
何とか、その日にSEXまで持ち込もうとするものの失敗。
そっからFBで連絡し、2人の交際がSTARTする。
ヨハンソンは慎重な女性で、なかなか彼とSEXすることはせず、
自分にふさわしい男かどうか、値踏みする。
ジョンはべた惚れで、彼女にふさわしい男になろうと
夜間学校行ったり、家族同士で食事したり。
これまでやってなかったことにトライする。
 その難関を無事突破し、やっとの思いで、
SEXに漕ぎ着けるんだけど…
やっぱポルノ!ってなるんですな〜
その日に彼女に見てるのバレて、そこはウソでごまかす。
でも、SEX抜きで好きになった=恋だ!と思い、
彼女との関係は続きつつ、ポルノ鑑賞は継続。
結局は見てることがばれてしまい、破局。
そのちょっと前に、
夜間学校で出会ったジュリアン・ムーア演じるおばさんと出会う。
最初は「なんだババア」ぐらいのスタンスだったジョンなんだけど、
別れてから彼女と親密な関係になっていきます。
そこで、自分本位でのSEXを指摘され、
彼女と向き合うようになり、ジョンが変わっていく。
ホント悪意あるなーと思ったのは、(良い意味で)
男性がポルノでイク瞬間を描いた映像と、
女性が恋愛映画見て、感動する映像を、同じ方法で描いてるところ。
まさに「ヌク」=「泣く」理論。
(映画館のシーンでの恋愛映画に出演してるのが、
チャニング・テイタムとアン・ハサウェイなのは笑ったw)
物語全体のテーマとしては男女関係における「客体化」 の話。
つまり、人をモノのように考えるということ。
自分の要求を満たしてくれる人が、そりゃあ居心地いいけど、
あくまで男女関係は双方向なもんじゃん!っていうテーマは、
全体がコメディな流れでもグッときました。相手ありきな訳です。
あと映画の構造もおもしろくて、
彼の1週間のルーティンを同じカットで撮ったのが、
1セットになってて、それが繰り返される。
繰り返しの美学でのギャグも最高なんだけど、
終盤にかけて、ジョンの心情変化に合わせて、
撮影方法や彼のちょっとした行動が変わるのは、
上手いし、おもしろいなーと思いました、
下手したら別れてしまうかもしれませんが、
カップルで見に行くのが超オススメです!

2014年3月16日日曜日

マチェーテ・キルズ



まさかの続編!ということで見てきました。
近所の映画館でも上映してたけど、
朝8時半からという鬼畜上映だったので、渋谷にて。
予習で前作を見直して万全の状態にて鑑賞した訳ですが、
前作のキャラもいっぱい出てきたし、比較して見ると、
今作がいかにtoo muchなのか、よく分かりましたw
もう色々とんでも無さ過ぎて、どこから語ろうかと思うくらい。
ストーリーの整合性と映画としての
出来どうこうはどうでもよくて、この世界観に乗れる/乗れないか?
今回の過剰さは大好きな部類でした。

冒頭、いきなり次作のCMから始まるところで、もう「えーっ!」
もとがプラネットテラーとデスプルーフのグラインドハウスから
派生したのがマチェーテなんですが、ある種原点回帰した形。
この予告編がすべてを物語っているだなんて、
見終わるまで全く想像していませんでした…
前作の続きから始まり、
ジェシカ・アルバ演じる移民捜査局の捜査官と働きつつ、
彼女と恋仲になっているマチェーテ。
米軍とメキシコの麻薬カルテルの取引を摘発したところ、
ジェシカ・アルバが殺されちゃう。
んでいきなり、アメリカ大統領から直で電話かかってきて、
メキシコのミサイルによるアメリカ襲撃を食い止めてくれと
頼まれて、マチェーテはそれを引き受ける。
ミサイル探しにいったら、それが首謀者の革命家の心臓と
リンクしてて、殺さずに解除しなきゃ!ってなる。
そして、このミサイルがアメリカ製で、
巨大な陰謀に気づくのであった…
もう前半だけで情報量が多いし、
画面内でのアクションもてんこ盛り。
マチェーテの命狙ってるやつ、
なんぼほどおんねん!っていうねw
陰謀の首謀者がメル・ギブソンで、軍事会社兼宇宙開発の社長。
彼の目的は、宇宙に逃げる→地球を滅ぼす→新世界の創造
後半は彼を倒すのが主なストーリー
孤立無援かと思いきや、
前作で出てきたメキシカンネットワークが登場。
隻眼の"she"も現れ、大活躍してました。
(彼女が盲目になって繰り出す、プッシーパンチ最高)
本作は因果関係が分かりにくいものの、
出てくるキャラがあまりにも強烈過ぎて、そこ忘れちゃう.
謎の殺し屋カメレオンが特に最高やったなー
レディーガガ、アントニオ・バンデラスが同一人物という
とんでも展開は無駄にアガりました。
娼婦軍団のボスのオッパイガトリングもバカで好きでした。
本作のなにが一番良かったかって、人の殺し方ですよね。
前作に引き続き、刀のマチェーテによる
首チョンパは当然見せ場なんですが、
色んなバリエーションがあるのが本当に最高。
ヘリやボートのフィンなど回転するもので殺すのがFRESH!
宇宙武器もくだらなかった。
ロドリゲスが楽しそうに、こんなことばっかり考えてるのが
目に浮かぶよう。これも映画でこそ味わえる醍醐味。
終盤になると無茶苦茶具合はさらにエスカレート!
「あー」と思いながら、ただただ受け止めるしかないw
メルギブソンの顔が焼かれるくらいからもしや…
と思ってたら、想像どおりの終わり方して衝撃。
Machete Kills Again... In Space!が今から楽しみだなぁ。

それでも夜は明ける



アカデミーで作品賞を受賞したことで、話題の本作。
12 years a Slaveっていう原題で、町山さんが押していたので、
予告編見たときに違うやつかな〜とか思ったり。
(まぎらわしいから、もう原題ママにして欲しい…)
12年間の奴隷生活の映画なんやろうなとタイトルを見て、
ある程度の覚悟はしてけれど、
その想像を超えた超絶な映画体験でした。
黒人問題を取り上げたものだと、
最近見た「大統領の執事の涙」も同系統ですが、
あれも相当でしたが、救われてる部分が多分にありましたが、
本作は相当厳しい姿勢で攻め倒しています。
しんどかったな〜と思いましたが、
それは映画に存分に没入した証拠。素晴らしい映画でした。

ソロモン・ノーサップという黒人が主人公で、

NYで自由黒人のバイオリストとして、家族と幸せに暮らしていた。
ある日、ワシントンでのサーカスに演奏しに行った帰りに、
仲間と食事し、泥酔してしまう。
そして、目が覚めると手足に鎖がつけられ、奴隷になっている…
そこから12年間の奴隷生活の物語です。
(実話ベースで、原作が1800年代というのに驚愕)
はじめはカンバーバッジに買われて、奴隷生活がスタート。
この人は人格者で、能力のあるソロモンを重用する。
それに対して、ジェラシー全開なのが、
ポール・ダノ演じる白人大工。
何とか因縁つけて、ソロモンしばこうとするものの、
ソロモンは仕返しで、しばき返してしまう。
その結果、首を吊られて復讐されてしまいます。
このシーンのつま先立ちのギリギリさ。
そして、ソロモンが首吊られてるんだけど、
周りの人間がまるで何も無いかのごとく、
日常を生きているのがロングショットで残酷に映し出される。
あの居心地の悪さはホント辛かったな〜
この映画で初めて知ったんですが、奴隷は手形のような扱いで、
金が無くなったら、仕える主人が変わる。
そして、カンバーバッジ→ファスベンダーへと、
チェンジしてからが本当の地獄のスタート。
ファスベンダーは奴隷のことを家畜程度にしか見ていない。
ちょっとでも自分が気に入らなかったら、
容赦がなくムチ打ちし倒す。
ソロモンはその利口さが仇となり、目を付けられてしまう。
それと同じく目を付けられるのが、パッツィーという女の子。
(彼女はアカデミー助演女優賞を受賞)
この2人のいびられ方がホンマにエゲつなかった、、、
とくにムチの暴力性。あの背中の傷が語る壮絶さよ…
漫画バキでも語られてましたが、銃殺された方がマシかもと
見ている間に何度も思わされました。
ファスベンダーは綿花畑を営んでいる訳だけど、
綿の収穫キロ数で、ムチ打ちの有無が決まる。
こんな頃からノルマ制度始まってんの?と驚きました。
(いや、むしろこれがルーツなのか?)
なにしろファスベンダーが本当に狂気の沙汰!
アカデミー蛮行男優賞あれば、間違いなく彼でしょう。
ソロモン演じたチュイテル・エジオフォーの超体当たり演技も秀逸。
顔がドアップになって、こちらを見るシーンの顔面力よ!
あと、仲間の死を追悼して「Roll Jordan Roll」を
歌うシーンも、徐々に歌っていくところに胸を打たれました。
厳しい描写を立て続けに見ると、
人間って怖いし、モロい生き物やなーと痛感しました。
誰かを排他的に扱うことでしか、気持ちよくなれない思考回路。
この辺は最近問題になっているレイシズムにも繋がる話かと。
右肩下がりに状況はどんどん悪くなっていくから、
最後のカタルシスは少なめ。
前半に似たような状況が重しになっていて、
なにも解決していないことがよく分かる作り。
あとブラピがね〜本作の製作に携わってて、
この作品を世に産み出していた偉さは賞賛すべきなんですが、
あの役目はちょっとズルいと思います。
(ファスベンダーとブラピは入れ替えで良かった)
自分の手を汚さないという点で考えると、
ソロモンにムチ打ちさせたのと
本質的に変わらんやんって思ってしまいました。
いかんせん、勉強になる映画でしたし、
これきっかけに関連本読み進めようかなと思わされました。

2014年3月15日土曜日

Book (2014 February)

遅くなりましたが、2月分の本。
振れ幅大きめな感じでした。


存在しない小説
いとうせいこう氏の最新作。
短編集なんですが、彼が色んな国の作家になりきって、
海外文学タッチで物語を紡いでいます。
あの翻訳独特のニュアンスを取り入れてる
サンプリングセンスも然ることながら、
各物語に編者解説というのがある。
そこでは世界各地の小説の紹介を通じて、
「存在しない小説」とは何か?という論考が示される。
最後の論考はうおー!と鳥肌が立ちました。
小説好きだけじゃなくて、「論」好きにもオススメ。


魂(ソウル)のゆくえ
尊敬する音楽ライターである高橋芳朗氏が
ソウル入門編のオススメで紹介されていた本。
著者はピーター・バラカン氏。
途中まで読んで放置していたものをついに読了。
HIPOHOP経由でソウルを聞くようになったんですが、
体系的な知識は無く、好きなアーティストとか、
サンプリングされてる曲を主に聞いてきました。
その点と点が本作によって、
線で結ばれて、とても楽しかったです。
ピーター・バラカン氏の著書では、
「ラジオのこちら側で」も超名著なので、そちらもどうぞ!


東映ゲリラ戦記 (単行本)
「あかんやつら」に触発されまして。
映画監督の鈴木則文氏の東映時代の戦記です。
これがまぁオモシロい!
「あかんやつら」でも鈴木監督の話は
取り上げられていましたが、それを更に深いところまで。
主に当時の撮影エピソードをふまえつつ、
彼の映画に対するスタンスも書かれています。
東映ポルノ路線で頭角を現し、
コメディ、アクションの最前線を走り続けた漢の物語。
ジャケのインパクト込みで殿堂入り!


すべてのJ-POPはパクリである (~現代ポップス論考)
マキタスポーツとしての初著書。
彼がこれまで紹介してきた「ヒット曲の法則」を
あらためて丁寧にパッケージし直した本作。
音楽の構造の話もおもしろいんですが、
日本の音楽に対する論考も超秀逸。
パクリであることを前提に、
そこに加わるオリジナリティこそが大切であると。
「人格/規格」という考え方は音楽だけじゃなくて、
色んなことに当てはまるなーと思いました。


ケンブリッジ・クインテット 新潮クレストブックス
たまに古書店とか行って、
ジャケ買いするんですが、そのうちの一つ。
CREST BOOKSの海外文学にハズレなし。
CPスノウ、ヴィトゲンシュタイン、ホールデイン、
シュレディンガー、チューリングという
5人の知の巨人が、機械の可能性を議論したら…
というフィクションです。
この著者がそれぞれの人格を想定して書いているのが、
めちゃくちゃおもしろい。
とくに文系ヴィトゲンシュタインvs理系チューリングの議論に、
心を鷲掴みにされてしまいました!
映画「おとなのけんか」の学問verの様相を呈しています。
哲学や数学の話多めですが、相当分かりやすく書かれているので、
そういったジャンルへの興味の入口としてオススメです。

2014年3月13日木曜日

銀の匙 Silver Spoon



吉田恵輔監督最新作。
ここ半年くらいで3本公開と、
撮りためてたものが一気に公開されているのでしょうか。
何にせよ、大好きな監督の1人なので、
立て続けに見れる幸せを噛み締めつつ、鑑賞いたしました。
最近の2作よりもさらにバジェットが大きくて、TV資本。
しかも原作は漫画(アニメ)という最近のトレンド全開で、
おもしろくない日本映画の特徴を兼ね備えていますが…
そんなのは杞憂で十分に楽しめたよ!
結局、原作とかTVシリーズの続きとか関係なくて、
作り手の心意気次第なんだなーと改めて思いました。

主人公は八軒という高校1年生の男の子。
彼は中学受験で難関の中高一貫に入るものの、
周りのレベルについていけなくて落第。
すべてから逃げ出すために、全寮制の農業高校に入学。
周りは実家が1次産業に携わる同級生ばかりの中で、
都会っ子の彼がそこで奮闘するという青春物語です。
最初、顔も映らない高校生同士の会話から始まるんですが、
この時点で本作に登場する高校生が世間一般で、
ステレオタイプに語られるものとは異なり、
異常なくらい将来へのビジョンが
しっかりしていることが分かります。
そして、クラス内の自己紹介が始まり、それぞれが
「実家を継いで〜」という夢を語る中、
明確な夢を持たない八軒が珍しいという状態。
そこからは異文化交流ものな流れで、
知ってるようで知らない畜産業や酪農業の現実が
八軒に突きつけられる。
スーパーに並んでる食品は当然、映画で示されるように、
加工されて陳列されている訳ですが、
あらためて見ると、驚きの連続。
普段接しているものに横たわっている現実を直視させてくれる。
八軒君と観客は同じスタンスだから、映画へのライド性は抜群。
彼は中高一貫を離脱したことをルサンチマンとして抱えていて、
しかも、これから取り組むことは全く知らない世界。
このダブルパンチで非常に悩む。
これらを踏まえて、友人との関係性や高校での生活を通じて、
彼が成長していく様が描かれる訳ですが、
Once Againものとしての完成度が本当に素晴らしいと思います。
(ちょっとセリフで説明し過ぎ感は否めないけれど)
ルサンチマンを抱えてるがゆえに、その境遇を動物と重ね合わせたり。
競争社会に負け、逃げたことをとても気にしている彼が、
目の前にある現実と向き合うことで成長していく訳です。
中村獅童演じる先生のセリフは露骨過ぎるかもしれないけど、
そういうことも言えるよねーとシミジミ。

なんといっても実習で世話することになった豚の話が、
とても好きでした。生きとし生ける物同士が支え合うことで、
世界は成立していて、give & takeが世の常。
その向き合い方も良かったな〜
この点でいうと、豚の屠殺シーンも衝撃。
海外だとAnimal Welfareがとても厳しいから、
絶対にこのシーンは見れなかったと思います。
そして、高校において外様である彼の成長が
周りにも影響を与えていくのが後半。
特に好きだったのは同級生の駒場君のシークエンス。
最初はやる気が無くて、ナメた態度を取る八軒に、
厳しく当たっているんだけど、
彼の背景が判明したときに分かる、その覚悟たるや…
ここでも農業や畜産業の知られざる現実が露呈されます。
高校もやめなければならなくなるんですが、
引っ越しする際に自分の母親へ宣言するセリフで、
涙腺決壊!号泣メーン!それも八軒君の影響な訳です。
あと本作はメインキャストに有名な俳優を使わず、
若手中心なのも好感大。
その代わり、脇を固めるオトナは実力派を配置。
とりま、有名なやつ出しとけや的なニュアンスは皆無。
(哀川翔と竹内力が兄弟という設定はヤバかったw)
ただ、終盤のレースのくだりとか、感動をゴリ押ししてくるのとかは、
好きじゃないという人がいるのかも…とは思います。
一番アレだなーと思ったのは音楽の使い方。
ポイントとなるところで、「どや〜!」みたいな音楽が
何度も鳴ると、冷めちゃうんだよね…
でも、そんなことは些細なことで、取り上げられた題材と、
そこから見えてくるテーマ性にヤラレタ!
「食」を大切にしている人は是非!

2014年3月10日月曜日

愛の渦



昨年見た恋の渦が超絶にオモシロかったので、見に行ってきました。
恋の渦も愛の渦も元々は舞台で、
ポツドールの三浦大輔氏が脚本を手がけた。
恋の渦はモテキの大根仁氏が監督を担当し、
映画化された訳ですが、今回は元の脚本を手がけた
三浦氏自身が監督を担当しています。
正直、恋の渦に比べると少し食い足りない部分はあったものの、
十二分にオモシロかったです!

東京にある乱交クラブに集まった、
男女8人の乱交を通じた密室空間ドラマ。
男が2万円、女が2千円払えば、
誰彼かまわずSEXをすることができるクラブ。
日常生活においてはSEXに至るまでに、
それ相応の時間と金がかかるけど、
このクラブに集まるのはSEXを目的にした人間のみ。
ゆえに無駄なコミュニケーションは排除されると。
男女8人は職種も年齢もバラバラ。
見ず知らずの人間がバスタオルいっちょで出会い、
はい、SEXしてください。で話が始まる。
さぁ始まる!と思いきや、そんな訳もなく。
日常にも存在する初対面の人同士の
あの独特の空気、距離感を絶妙なタッチで描いてくる。
間の取り方とかが笑っちゃうくらいエゲつない…
性だけに限られないけど、
あの独特の欺瞞の空間って、
日本独特の文化なんかな〜と考えたり。
性生活のことは普段そこまで明け透けに話さないだけに、
それが一回決壊したときには、イクところまでイッちゃう。
主人公は池松 壮亮演じる男の子と、門脇 麦演じる女の子。
この2人はコミュニケーション取るのが下手クソで、
案の定カップリングで最後まで余っちゃう。
けれど、一旦SEXが始まると抑えてたタガが外れ、
周りがビックリするくらいSEXに没入する。
そして、池松君が麦子ちゃんのことを好きになる。
でも、この場所はあくまで風俗でしかない。
その辺のアンビバレントさというか。
突き詰めると、「愛」とはなんぞや?というところまで。
これはラストショットも含めて
男女はSEXという目的で共有できていても、
徒党を組んで、仲がいい/悪いって言うのが出てきて、
密室の会話劇としても素晴らしい完成度でした。
そこに下世話さが加わっているんだから言うことなし!
あと役者たちの演技はラブシーンを含めて、マキシマムリスペクト!
それぞれしっかりキャラ立ちしてて、
味があるし、てらいの無さたるや。
このクラブの終わりを示すカーテンを開けたときの
朝日の眩しさがまた辛いというか…
さんざん色んなことやってきたけど、
それが白日の下に晒されらときの恥ずかしさの発露。
この瞬間が一番エロかったりね。
SEXを通じたコミュニケーションの映画として最高でした。

2014年3月9日日曜日

ダラス・バイヤーズ・クラブ



祝!マコノヒー兄貴、アカデミー主演男優賞受賞!
ということで見てきました。
当ブログでも最近のマコノヒー兄貴の怪演っぷりを、
お伝えしてきましたが、ついにアカデミー!
実際に見てみると、それに十分値する熱演でした。
ハリウッドの役作りへの努力っぷりは凄まじく、
最近見た中だと、アメリカンハッスルのクリスチャン・ベイルや
トランスのジェームス・マカボイなどがありましたが、
彼らは足し算、つまりデブになった。
一方で、今回のマコノヒーは引き算。
しかも、もともとは超マッチョなのに、跡形も無くガリガリ。
この漢気でヤラれちゃいました。(もちろん話もとてもオモシロかった)

1985年のダラスで電気修理業をしつつ、
ロデオボーイとしても働いているマコノヒー
彼がHIV陽性となり、なんとか生きようとするため、
未承認の薬をアメリカに密輸入し、自分に使うだけではなく、
ダラス・バイヤーズ・クラブを設立し、
病気や既存のシステムと戦う話。
冒頭からアクセル全開で、死の危険性を伴うロデオと
マコノヒーのFuckシーンのカットバックで始まり、
濃厚な生死の臭いがプンプンする。
仕事で事故って病院で運ばれて、初めてHIV感染が発覚。
はじめはこの事実を受け入れられない。
(カウボーイが死ぬ訳無いだろうが!のくだりは最高)
死を受け入れられないマコノヒーは
ドラッグ、酒、女にこれまで以上に溺れていく。
特効薬として当時開発されたAZTも飲むが、
一向に体調は回復しないし、結局手に入れられなくなる。
そんな自暴自棄の生活の中で、メキシコ人の野良医師と出会い、
状況が好転。彼の処方するビタミン剤とペプチドTという薬で、
体調が良くなる。でもペプチドTはアメリカでは未承認。
それを持ち込んで、自分の延命もしつつ、商売を始める。
ダラス・バイヤーズ・クラブと呼び、
会費だけ徴収し、薬の金額は取らないSteelo。
そこでタッグを組むのが、ジャレッド・レト演じるレイヨン。
(助演男優賞は彼が受賞!)
彼はゲイでマコノヒーと同じくHIV感染者。
この2人のバディ映画としても見れて楽しかった。
何しろテーマとしては重くなりがちなんだけど、
マコノヒーの見せる茶目っ気に、逐一ヤラれちゃいました。
単なるエイズ題材の難病ものじゃないってところが大好き。
密輸入の際に絶対する様々なコスプレもそうだし、
HIVから救ってくれと祈るシーンがあって、
てっきり教会と思いきや、ストリップ小屋だったり。
日本も舞台になっていて、
出てくる人の名前が「山田」なのも親近感ビンビンw
当時エイズは同性愛者がなるものと考えられてて。
しかも1985年のダラスだなんて、超保守で差別ガンガン。
エイズ⇔ゲイという命題が成立してしまっているような社会。
マコノヒーも例に漏れず、ホモフォビアなんだけど、
クラブの活動を通じて、理解を示すようになる。
それが顕著なのが、スーパーでのシーンですよね〜あの痛快さたるや!
エイズという病気と徐々に向き合い始め、
ドンドン知恵をつけていくのも好きなポイント。
今はインターネットがあるから、いくらでも情報を入手できるけど、
当時にあれだけ情報を入手して、なんとか生きようとする姿は見てて、
心を打たれない訳が無い!
あと医師の葛藤も描かれていて、
システムと現実の狭間で苦しむ姿は色んなことに当てはまると思います。
マコノヒーと女医がディナーをともにするシーンは甘酸としても、
最高に愛おしいし、マコノヒーが大事にしていた
母の画を笑顔で彼女に託すところとか号泣メーン!
こういう「死」を正面から描いた映画を見るたびに、
今、自分が何となく生きてるなーと痛感する訳です。
「死」の存在が身近になった瞬間に
「生」に対して能動的になると言いますか。
「死なないために生きるのは生きてる気がしない」
という台詞がメチャクチャ沁みたな〜
この男の生きた人生を目撃する映画としてもオモシロいし、
その上笑えるんだから言うことなし!間違いなくクラシック!

2014年3月8日土曜日

早熟のアイオワ



クロエ・モレッツ×ジェニファー・ローレンス?!と聞きつけて。
クロエはキック・アス、ジェニファーはアメリカン・ハッスルと、
現在スクリーンで躍動している2人。
この映画はアメリカで2008年に公開された作品です。
つまり、2人がブレイクする直前の映画。
クロエはあくまで端役で、ジェニファーが主役。
1976年のアメリカ、アイオワが舞台で、
ジェニファーは14歳の中学生を演じています。
妹2人と母親と暮らしている。
母は売春婦で、しかも商売場所が自宅。
ゆえに彼女の家はpoker houseと呼ばれている(原題です)
ジェニファーの1人語りで始まるんですが、
前半人物関係の説明は少なく、わりとミニマルな作り。
貧困で、こういったタフな状況の中でも
ジェニファーは前向きに生きていて、
勉強、スポーツ、バイトに頑張っている。
でも、14歳の彼女に出自を変えることはできなくて、
母親の存在を含めて、家庭環境にウンザリ。
冒頭では朝起きたら、母親を買いにきた男はいるし、
勉強してたら、邪魔してくるし。
基本的にうわぁ…という描写が多い。
これを緩和するのが妹2人のシークエンス。
2人は自分たちがどういった状況に置かれているかを
認識していないから、かわいらしいシーンが多い。
とくにクロエのファーストショットね!
クロエのシークエンスは完全にオマケなんだけど、
こましゃくれたガキっぷりはナイスでした。
これらのシーンで一息つけるけど、
これは家族が付帯する不幸をすべて、
ジェニファーが背負っているという裏返しでもある。
Pimpも家を出入りしていて、
ジェニファーはいつも自分に優しい彼のことを好きになってしまう。
このPimpが牙を剥くシーンからの母親のクズっぷりまでの
一連の流れは最悪だったな〜
彼女が唯一母親に甘えるところなのに、
酒とドラッグに依存している母が
全く取り合わないときの絶望感よ…
そんな状況の中で彼女は自立することを選択する。
バスケの試合に行くと、そこには彼女の友人達がいて、
孤独の極地から、「1人じゃない!」となるときの
彼女の顔の何とも言えない感じ。
ここでジェニファー・ローレンスという役者の凄さを感じました。
そして、本作で何よりも素晴らしいのが音楽!
1970年代のgood soulやDisco,ブルースなどがガンガンかかる。
しかも、レコードプレイヤーを使った演出なのもニクい!
あとはラストのAin't no mountain high enough使いね。
これは間違いなく5億点。いわゆる神シーン!
歌詞も字幕で出てたんですが、ストーリーを踏まえると、
ハンパなく心に沁みて、号泣メーン!
(神シーンのみYou tubeにアップされているので、
興味ある方はこちらをどうぞ→リンク
最後にある仕掛けがあるんですが、それもビックリしました。
もっと早く公開されて欲しかったけど、映画館で見れて良かった!