2015年12月29日火曜日

2015 Movie Ranking


  1. マッドマックス 怒りのデス・ロード
  2. ザ・トライブ
  3. きみはいい子
  4. はじまりのうた
  5. 恋人たち
  6. スターウォーズ / フォースの覚醒
  7. ラブストーリーズ エリナーの愛情(Her) / コナーの涙(Him)
  8. 岸辺の旅
  9. フレンチアルプスで起きたこと
  10. ストレイト・アウタ・コンプトン
  11. 海街diary
  12. 野火
  13. シェフ 三ツ星フードトラック始めました
  14. インサイド・ヘッド
  15. THE COCKPIT
  16. 私の少女
  17. バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
  18. ヴィジット
  19. 最後まで行く
  20. グローリー /明日への行進
  21. グッド・ストライプス
  22. キングスマン
  23. マジック・イン・ムーンライト
  24. フォックスキャッチャー
  25. イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密
  26. グリーン・インフェルノ
  27. ナイトクローラー
  28. セッション
  29. バクマン。
  30. ジュラシック・ワールド
  31. Mommy
  32. ソロモンの偽証 前篇・事件
  33. アントマン
  34. 博士と彼女のセオリー
  35. マジック・マイクXXL
  36. アメリカン・スナイパー
  37. 海にかかる霧
  38. チャッピー
  39. クリード チャンプを継ぐ男
  40. バケモノの子
  41. 群盗
  42. 劇場版プロレスキャノンボール2014
  43. 薄氷の殺人
  44. ピッチ・パーフェクト
  45. ビッグ・アイズ
  46. ソロモンの偽証 後篇・裁判
  47. ハッピーエンドが書けるまで
  48. ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男
  49. 007 スペクター
  50. 味園ユニバース
  51. 日本のいちばん長い日
  52. フォーカス
  53. わたしに会うまでの1600キロ
  54. きっと星のせいじゃない。
  55. ロスト・リバー
  56. エベレスト3D
  57. 駆込み女と駆出し男
  58. ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール
  59. ルック・オブ・サイレンス
  60. アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン
  61. コングレス未来会議
  62. シグナル
  63. カフェ・ド・フロール
  64. テッド2
  65. 皆殺しのバラッド メキシコ麻薬戦争の光と闇
  66. アリスのままで
  67. インヒアレント・ヴァイス
  68. ピッチ・パーフェクト2
  69. 龍三と七人の子分たち
  70. ネイバーズ
  71. ロマンス
  72. ブラックハット
  73. ワイルド・スタイル
  74. We Are Perfume World Tour 3rd Document
  75. ジョン・ウィック
  76. JIMI:栄光への軌跡
  77. タチャ 神の手
  78. ゼロの未来
  79. さようなら
  80. メイド・イン・アメリカ
  81. この国の空
  82. だれも知らない建築のはなし
  83. ANNIE/アニー
  84. シン・シティ 復讐の女神
  85. ラン・オールナイト
  86. ラブ&ピース
  87. ハンナだけど、生きていく!
  88. ブルックリンの恋人たち
  89. さよなら歌舞伎町
  90. ジュピター
  91. リアル鬼ごっこ
  92. ファンタスティック・フォー
  93. ジヌよさらば かむろば村へ
  94. フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ
  95. カリフォルニア・ダウン
  96. ミュータント・タートルズ
  97. 映画みんなエスパーだよ!
  98. 新宿スワン
  99. 96時間 レクイエム
  100. ラスト5イヤーズ
  101. 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN (前篇)
  102. GONIN サーガ
  103. 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ワールド
  104. ジョーカー・ゲーム
  105. 神は死んだのか
  106. 寄生獣 完結編

今年も恒例の映画ランキングです。
去年が130本だったのに対して、
106本と本数は減ってしまいましたが、
その分、密度の濃い映画体験を得たと信じています。
(後半はHulu導入により失速したのは事実…)
TOP40は間違いなくオモシロい作品しかないので、
何から見れば…という人は参考にしてください。
鑑賞前後に当ブログを見て、
楽しんでいただければ幸いです。
来年はもう少し文章の語り口を変えるかもしれません。
あとはいわゆるクラシックな作品を
たくさん見たいと思っています。
来年もどうぞよろしくお願いいたします!

クリード チャンプを継ぐ男


ロッキーの続編(?)をマイケル・B・ジョーダン主演で?!
という情報を聞きつけて見てきました。
しかも監督がフルートベール駅でと同じ、
ライアン・クーグラーで期待は高まっておりました。
正直ロッキーはボンヤリしか見たことが無く、
ほとんど思い入れが無かったんですが、
あらためてロッキーも見ないと思わされましたし、
2015年に提示できるかっこ良さが同居する、
本作には伝統と革新が絶妙なバランスで
収まっていることが痛烈に伝わってきて最高最高でした!
スターウォーズ然りですが、
単なる追憶に終わらないことはリメイク、リブートには
大切な要素だなーと感じました。
お話としてはロッキーの宿敵アポロの息子が主人公で、
それをジョーダンが演じています。
アポロの愛人の子として産まれ、
暴力と共に幼少時代を過ごした彼を
アポロの本妻が養子に受け入れ全うな社会人になります。
しかし、彼はボクサーになる夢を捨てきれず、
メキシコのアングラで戦ったりしつつ
プロボクサーになることを決意。
そこでロッキーに弟子入りを志願し…というもの。
冒頭、少年院で暴れるシーンから始まるんですが、
子どもなのにエゲつないパンチを馬乗りで放つ。
これはイイ映画だ!と直感的に思いました。
そこからロッキーに弟子入りするまでの
過程が描かれていくんですが、
今回の舞台がフィラデルフィアということで、
フィリー音楽に大きくフォーカスしてる点が好きですね~
(オリジナルスコア自体もエモさ全開で最高なんですが)
ジョーダンがフィリーに着いたときには
The RootsのThe Fireが流れ、
彼がロッキーのジムを訪れるとMeek Millが流れてる。
さらにロッキーの家での目覚まし音楽は
Harold Melvin & The Blue NotesのWake Up Everybody!!
過去→現在を踏まえた本作の構造に合致した選曲に惚れ惚れ。
ロッキーは初めコーチングを嫌がるんですが、
ジョーダンの熱意に打たれコーチとなる。
ボクサーとして未熟ながらも
セコンドにロッキー、
アポロの息子という肩書きがあるため、
かませ犬として試合に抜擢されます。
そして第一戦を迎えるんですが、
ここの画が凄くてカットを割らずにワンショット!
(擬似ワンショットかもしれませんが…)
観客がレフリーとして試合を見ている感覚を味わえる
素晴らしい演出だと思います。
後半は2戦目のチャンピオン戦に向かってのトレーニングと
試合そのものを描いていきます。
正直起こることは概ね予想つく感じなので、
そのプロセスにおける演出を楽しむ側面が強いんですが、
退屈せずに楽しむことができました。
(彼女がトラップ系のシンガーという設定も攻めていて好き)
一番好きだったのはジョーダンが
フィリーの街のバイクキッズたちを引き連れて
街中を走るシーンですねー本当にかっこよすぎる!
親の七光りと言われることを拒み続け、
己のidentityを獲得しよう必死にもがいた結果、
クリードと名乗る覚悟をもった男の背中の雄弁さよ!
泣くだろ!日本の二世政治家は全員見ろ!
(ちなみにMeek Millがここでも流れるんですが、
まさかMeek Millで泣くとは思いませんでした。)
お膳立てバッチリからの、
もうブチ上がるしかないチャンピオン戦。
ここも分かりきった型を楽しむだけなんですが、
1戦目と異なりキレのよい編集、ストップモーション等で
試合を盛り上げてくれる。
男同士が命を削って殴り合う姿はいつだって燃える!
あのテーマが鳴り響くタイミングも絶妙だと思いました。
新シリーズということで、今後どうなるかは分かりませんが、
I’m not mistakeと言い放ったクリードの
これからの戦いを劇場で是非見せて欲しいです!

2015年12月26日土曜日

ストレイト・アウタ・コンプトン


本作にインスパイアされ16年ぶりにドロップされた、
DR.DREのニューアルバム「Compton」が
ハンパなきアルバムだったがゆえに
俄然見たい!と思いクリスマスイブに見てきました。
もともと90年代のヒップホップはかなり好きなんですが、
あまりWest sideものは聞いていなくて、
それよりもNY産のハードで煙たいサウンドが好みだったので、
どこまで乗れるかな〜と思っていましたが、
そんな心配をすべて吹き飛ばす快作!
むしろ映画を見たことでWest Sideものが好きになり、
映画見て以来、毎日のように聞いていますし、
「Strait Outta Compton」を聞きながら、
クリスマスイブのを闊歩するのは最高にグッときました。
お話としては前述のDr.DREも所属した
アメリカ西海岸を代表するHIPHOPグループである
N.W.Aについて結成からメンバーのEAZY-Eが
亡くなるまでを描いたものです。
EAZY-Eがまだギャングとして
ドラッグディールを生業にしているところから始まり、
そこで放たれる
You're now about to witness the strength of street knowledge.
タイトルにもなっているStraight Outta Comptonという曲の
冒頭でDREが放つ金言でガン上がり!
前半は各メンバー(主にDre,EAZY-E,ICE CUBE)の背景と
N.W.A結成〜人気が出るあたりまでを描いていきます。
メンバーのうち、本当にギャングだったのは、
EAZY-EとMC RENだけで他は貧しい音楽を愛する若者だったと。
才能とお金が結集しN.W.Aが形成されていく過程が
とても興味深いし勉強になりました。
特にICE CUBEはインテリってことは知ってたんですが、
1枚目のアルバムの歌詞を
彼が担当していたことは知らずビックリしました。
EAZY-EがBOYZ IN THE HOODで初めてラップを録音するところは、
自分のリリックではないにせよ、
それを体得していく様、プレイヤーになる瞬間が
丸ごと収まっていてオモシロかったです。
N.W.Aはハードなリリックが共感を呼び人気者となり、
全米を巡るツアーを行うまでに成り上がります。
ツアー中のどんちゃん騒ぎ、デトロイトでの逮捕、
FBIからの警告、DREの弟の死と見所山盛り。
デトロイトでの逮捕は
ファーガソン、ボルチモアと21世紀とは思えない事態が
続々と起こっている中では響くものだし、
Protest SongとしてのFuck the Policeはめちゃかっこいい!
後半はN.W.Aがお金や権利を巡って
崩壊していく過程が描かれています。
ICE CUBEはソロで成功するし、
DREはシュグ・ナイトと組んでDeath Rawを立ち上げ、
屈指の名盤The Chronicを産み出す。
(ビギーの自伝映画でも怖かったけど、
本作のシュグ・ナイトのサグっぷりも超怖い)
一方のN.W.Aは2人の音楽的才能を失い失速していく。
本作の最大の魅力は崩壊していく過程の中での、
ICE CUBE、DRE、EAZY-Eのキャラの魅力でしょう。
とにかくEAZY-Eの不器用さが本当に愛おしくて。。。
一番好きだったのは、街をドライブしているときに
The Chronicのポスターを見かけるシーン。
彼のやっちまったなーという顔と、
夜の街の美しさの対比が超かっこよかったです!
またICE CUBE役を彼の息子が演じているのポイントで
あまりに似過ぎていて笑えてくるし、
インテリかと思いきやバイオレンスな側面も。
DREは超イイやつとして描かれていて、
音楽と常に接し、愛しているのがビンビン伝わってきました。
キャスティングでいうと
見た目の似てる似てないに結構隔たりがあって、
Snoop Dogは似てないけど、2Pacは激似過ぎ!
こういったキャラクターの魅力とともに
N.W.Aの変遷と社会状況を知ることができる作りで、
一概にかっこいいだけではないのも良かったです。
またラストがWest Sideの過去から現在への流れと、
Straight Outta ComptonのPVが流れてサムズアップ!
何者でもなかった若者たちが、
音と言葉で世界を変えてしまうヒップホップの魅力が
120%詰まった最高の作品でございました!

2015年12月20日日曜日

スターウォーズ / フォースの覚醒



最近あまり映画が見れてないのは、
Huluでのカーネーション鑑賞に加え、
本作に向けて4,5,6を計2回ずつ見ていたためでした。
僕にとっての最初スターウォーズ体験は、
エピソード1を父親に連れて行ってもらい劇場で見たことです。
そのときはとても気に入って、
レゴのおもちゃを買ってもらったりしつつ、
エピソード2,3も見たという感じ。
エピソード4,5,6は年をとってから見たものの、
何を大人たちが興奮してるか分からなかった
というのが正直なところでした。
でも本作をマックスで楽しみたいと思い、
4,5,6を繰り返し見た訳です。
その結果は実り超満足で最高最高な作品でした!
おそらく4を初めて見たおじさん達は、
この高揚感をリアルタイムで味わったがゆえに、
騒ぎまくっているんだろうということに
心底納得した次第です。
字幕2Dで見たのでIMAX3Dでもう1回見ようと思います。
エピソード6から十数年後の世界が舞台で、
帝国軍はいなくなったものの、
ファーストオーダーと呼ばれる新たな脅威と
レイア将軍率いるレジスタンスとの争いが勃発。
そのファーストオーダーは、
ルークが次世代のジェダイを育てていた中の1人が
ダークサイドに転がってしまい、
彼が戦闘部隊の中心にいる。
ルークは行方不明になっていて、
両軍ともにルークを探している中で
レイという少女がその渦中に巻き込まれていき…という話。
イントロでジョン・ウィリアムズの
あのテーマが流れた瞬間に映画の世界へ突入する、
その瞬間を劇場で体感できることにテンションマックス!
物語の構造としては新たなジェダイが生まれるということもあり、
限りなくエピソード4に近いものになっています。
持たざるものが己のidentityを獲得していくという、
普遍的な物語の素晴らしさを、
主演2人が見事に体現していました。
レイとフィンが本当に魅力的で、
レイに関してはアナ雪以降のディズニー価値観で
本当に21世紀の到来を感じるスターウォーズ。
(荻上チキさんの言い方を借りればディズニーコード3.0ですね)
本作はタイトルにもあるように、
フォースが覚醒するまでを描いた作品なので、
「War」の部分が中心で楽しい!
タイファイターでの脱出、
タコダナでのレジスタンスvsファーストオーダーが好きでしたね〜
レジスタンスのX Wingが駆けつけたときの高揚感よ!
また敵の設定も魅力的で新たな親子物語が付与されてるし、
劣等感を抱く悪ゆえの残酷さも今の時代に合っていてピッタリ。
あとストームトルーパーの残虐っぷりも秀逸で、
冒頭のバトルシーンでのカマシが最高でした。
このサーガがこれからどういった結末を迎えるのか、
それをリアルタイムで目撃できるのが
今から楽しみでなりません。
スターウォーズに興味なくても
本作を見れば間違いなくあなたのフォースは覚醒する!

2015 Book Ranking


友人と毎年やってる今年読んだ本ベスト10座談会。
僕のベスト10は以下の通りです。

1. 紋切型社会――言葉で固まる現代を解きほぐす
2. 火花
3. 永い言い訳
4. ぼくらの民主主義なんだぜ
5. ディズニープリンセスと幸せの法則
6. 保育園義務教育化
7. アゲインスト・リテラシー グラフィティ文化論
8. 偽詩人の世にも奇妙な栄光
9. ストーナー
10. ひめゆりの塔をめぐる人々の手記

映画とは異なり、あくまで今年読んだというものなので、
今年が自分にとって、どういった年だったのか?
というのを特徴づけるランキングです。
その観点で言うと今年は政治や社会システムへの
興味が増したなーと感じました。
(Session 22というラジオの影響がとても大きい)
2人で共通して「今年はコレ!」となったのは、
「火花」と「断片的なものの社会学」ですので、
何から読んだらいいか分からない人は
是非読んでみて欲しいです。

2015年12月18日金曜日

ストーナー



タマフルでもプッシュされていたし、
日本翻訳大賞の読者賞にも選ばれた作品。
アメリカの大学教員の平凡な人生を描いた
っていうだけなんですが、これがめちゃオモシロい!
彼は農村の貧しい家の出身なんですが、
そこから大学に行くようになり、
文学と運命の出会いを果たし教授となる。
教授となってからは仕事に精を出し、
結婚し、子どもを授かるという既定路線。
前半はやや退屈なんですが、
後半の大学内での闘争や家族内の不和、
さらに文字どおり本当の愛を見つける過程は
海外文学では珍しい読ませる力を持っている。
平凡と思える人生の中にも
ダイナミックな瞬間、感動する瞬間は必ず存在するよなー
と小説から教えてもらうことができた、
それ自体が最高最高なことだと思います。
また、あとがきが物語を地でいくような話で、
読了後の後味もひと塩でございました。

2015年12月17日木曜日

国家がよみがえるとき 持たざる国であるフィンランドが何度も再生できた理由


フィンランドでベーシックインカム導入?!
なんてニュースが流れましたが、
古市さんの著書ということで読みました。
フィンランドと聞いて何を思いますか?
マリメッコ?手厚い福祉大国?
人によってイメージが異なるかと思いますが、
本著はフィンランドの学者の意見から、
国の実体を考察しようという本です。
(古市さんは各章の解説と脚注を担当)
フィンランドの教育、若者論、起業といった横軸と
国家間、社会システムの歴史という縦軸で
フィンランドがどういった国なのか、
体系的に理解することができました。
日本ではユートピアのような扱いになるときが多いですが、
実際には当然のことながら問題がある訳で、
若者の章では日本と共通する点が多かったです。
ただタイトルにもあるように
「持たざる国」であるにも関わらず、
日本よりも優れた点が多いので、
日本でもできることはたくさんあるように思います。
(特に男女平等社会の構築とか)
学者の意見とはいえ、かなり平易で読みやすいので、
フィンランドに興味のある方は是非に。

2015年12月9日水曜日

芸人と俳人



火花がスーパーベストセラーとなっている
又吉さんの俳句入門本。
せきしろさんと自由律俳句の本を2冊出していますが、
本作では堀本裕樹さんという俳人の人に、
かっちりした俳句を彼が教えてもらう講義形式になっています。
俳句なんて高校の国語以来、
一切触れてこなかった俳句弱者な僕にも
俳句の楽しみ方がよく分かる良著でございました。
季語を含むという俳句のルールや、
切れ字の使い方で感情を表現していくといった、
俳句独特のギミックがよく理解できたし、
自分でも作りたい!という気持ちになります。
俳句は基本的に575の組み合わせな訳ですが、
17文字と情報が極めて少ないがゆえに、
行間を読む作業がとても楽しい。
普段よく聞いている情報量てんこ盛りのラップとは真逆だし、
歌よりも更に世界観が深いなーと感じました。
2人の季語にまつわるエッセイも収録されており、
その中の「灯火楽しむ」は孤独にまつわる内容で
1人でいることの豊かさを逆説の寂しさを含めつつ
スパッと書いているのが素晴らしかったので、
それだけでも読んでみて欲しいところです。

独りでいるより優しくて





イーユン・リー最新作。
タマフルで紹介され初めて存在を知り、
読んでみたらとてもオモシロくて、
海外文学を積極的に読むきっかけになった、
思い入れの強い小説家の1人です。
(読んだことない人には千年の祈りをオススメ)
そんな彼女の新作長編ってことで読みました。
TVや新聞のニュースからは伺い知れない、
中国の方の生活、風俗、考え方を肌で感じられるのが
彼女の小説を読む楽しみの1つなんですが、
本作でもそれは健在でした。
本人がアメリカに住んでいることもあり、
主人公3人のうち2人がアメリカに住んでいる中国人。
ゆえに相対的に中国が見えてくる。
原題はKinder Than Solitudeで、
邦訳が本当に見事だなぁと惚れ惚れ。
幼馴染3人にとって姉御のような存在の女性がいて、
彼女が毒にやられてしまう。
その3人の仲よかった子どもの頃と、
現在の生活をクロスオーバーしながら描かれています。
僕自身、1人でいることが好きなので、
彼、彼女達が「積極的孤独主義」とでもいうべき
言動を取ることにとても共感しましたし、
皆で仲良くできることが絶対的正義なのか?
ってことも考えさせられました。
(日本でサラリーマンしてる人間にとっては
ダメな思考回路でしょうけど。笑)
年を取ったときにも読み返したくなる1冊でした。

2015年12月8日火曜日

紋切型社会――言葉で固まる現代を解きほぐす




Session22というラジオで知って読みました。
グレイを認めない黒白の二項対立に
物事が押し込まれていくのって、
気持ち悪くないですか?という点にとても共感しました。
ラジオの際にはオモシロおかしく
揚げ足を取っているだけかなーと思っていましたが、
それは大きな間違いで、異常なまでにロジカルに、
そして愚直に言葉と向き合った結果、
オモシロくなっちゃうんですよね。といった、
皮肉2億%の満タン状態。
目次見てるだけでニヤニヤしちゃうし、
近年加速度的に広まっている
単一的な物言いに立ち向かう1冊として、
本当に素晴らしい完成度だと思います。
屁理屈と片付けることは簡単だけど、
本著に対抗できる言葉の使い手はなかなかいないよ!

どこまでも自由であるべき言葉を紋切型で拘束する害毒は、
正しい・正しくないを超えて駆除すべきだと思っている。
つまり、あらゆる「こうでなければならない」から、
言葉は颯爽と逃れていかなければならないと思う。

2015年12月7日月曜日

007 スペクター



スタイリッシュな予告編がとてもかっこ良くて、
非常に楽しみにしていた作品。
スカイフォールはブルーレイで見て
とても好きだったので果たして?と思っていましたが、
イイ意味でも悪い意味でも普通の007な印象です。
娯楽作品として文句なく楽しい作品なのは間違いない。
しかし、スカイフォールの後だと、
それ以上のものを求めてしまうのが人間の性な訳で。。
個人的にはそこまではリーチできていないかと思います。
お話としてはスカイフォールの後で、
世界各地でテロ事件が頻発し、ボンドが孤軍奮闘し阻止する中、
MI6が解散させられ、世界各国を繋ぐ
機密情報管理システムaka監視システムが整っていきます。
一方でこれまでボンドが戦ってきた敵がに
共通の組織、ボスの存在が明らかとなり…という話。
メキシコの死人の祭から始まって、
バードマンばりの滑らかなワンショットからの〜
ドンパチで期待が高まりまくり!
そしてアヴァンタイトルという流れはお約束。
今回は組織のシンボルであるタコを
モチーフにしたエキセントリックな映像で、
なによりサム・スミスの曲が最高最高!
本作ではメカニックのQが大きくフィーチャー。
ナードな彼とマッチョなボンドとの対比がナイスでした。
ローマ、オーストリア、北アフリカと
世界をまたにかけてボンドが暴れまくるんですが、
ローマでボスとの遭遇から物語が動き出す。
そのボスを演じているのが、
クリストフ・ヴァルツっていうんだからたまんない!
ただ登場したときが最大瞬間風速で、
ヴァルツ節が見られないのが残念…
アストンマーチンによるカーチェイスは
カーチェイスそのものの迫力よりも
車のギミック展開が好きでした。
後半はヴァルツを捜索していく過程でオーストリアへ。
予告編で一番高まった、
「You are a kite dancing in a hurricane, Mr.Bond 」は
やっぱりパンチライン!と改めて。
ただこのシーンを活かしたシーンが終盤にあるんですが、
そこは乗り切れなかったな〜カメラ壊していくでしょ?
という野暮なツッコミをしたくなってしまう。
その後は女子とヴァルツの居場所である、
北アフリカへ2人で行くんですが、
ここの電車のシーンがかなり好きでした。
甘ーいデートからのザンギエフみたいな敵との
壮絶な殴り合いからのSEX!これぞボンド!
彼女のセクシーさも
何とも言えない案配で素晴らしかったです。
そして北アフリカシークエンスに突入。
ここが一気にスケールダウンした感じが否めなくて、
せっかくだだっ広い何でもできそうなところなのに、
ラストのギネスに認定された巨大爆発までは
間延びした展開が多く何だかなぁと思いました。
本作のテーマである「監視社会」っていう部分も
凄く興味深いし好きな話なんだけど、
この北アフリカのシーンで
矮小化してしまったように見えました。。。
大ラスのビルのくだりはベタ展開ですが、
それはそれで結構楽しむことができました!
ボンドが人間に戻っていくという展開を踏まえると
これからどういったシリーズになるのか、
そこも楽しみなあたりですなー

2015年12月3日木曜日

グリーン・インフェルノ



したまちコメディ映画祭の先行上映が見れず、
今か今かと待ちわびたヤツ like JUSWANNA
ホステルなどでおなじみのイーライ・ロス監督による
食人族リメイクとなります。
(オリジナルの食人族は結局見れずじまい…)
「人を食う」描写のヴィジュルアルの強烈さは
当然のことながら、笑えて楽しい映画になっていました!
主人公は大学に入学したばかりの女子大生。
父は国連の弁護士で社会問題に関心を持ち、
大学内の活動家集団に合流し、
アマゾンの密林伐採を阻止しようとする。
その帰り道にセスナが墜落し、
そこで遭遇したのは食人族だった…という話。
分かりやすーい文明vs文明のショットからの
密林空撮をバックにクレジットが流れ映画が始まる。
主人公はNYの大学に通っているんですが、
寮のルームメイトがスカイ・フェレイラでビックリ!
明らかに不健康なヤサグレフェレイラと
意識高い系の主人公の対比が好きでした。
社会的正しさを人食いで駆逐していくのが
とにかく最高に痛快過ぎる!
こいつらを食ってくれ!という
あらぬ欲求を駆り立てるぐらいに
活動家集団がすげー嫌みで姑息なやつらなんすよねー
(とくにリーダーは近年稀に見る外道でした)
高橋ヨシキさんの出演しているラジオによると、
監督自身もSocial Justice Warriorにウンザリしているらしく、
こいつらを食わせたいという明確な意図があったみたい。
セスナが墜落し食人族に捉えられてからは
阿鼻叫喚の地獄絵図。。
全身赤に塗りたくった食人族のヴィジュアル、
群れをなして人を囲む姿は超怖い。
とくに村の長とNo.2のヴィジュアル
および行動の数々はひぃっ!と何度も思いました。
どっから食うんだろう?と思ったら、
ノーモーションで目から食っちゃうし、
そこから皆で塩かけて美味しく食べてる
牧歌的な様子とのギャップに笑いました。
ここまで読むと残酷なだけに思うかもしれませんが、
ギャグセンスが高く、ウンチ、マスかき等の下ネタを始め、
笑わせる場面の間が秀逸だと思いました。
(ガンジャのくだりは仕込みから焚くところまで全部好き)
人の場所に勝手に上がり込んで、
好き勝手やるというのはアメリカの得意技ですが、
ナメてると痛い目合うで!ってことを
食人族の無邪気な残酷さで描くというね〜
性器切除やエスケープの前フリの回収も見事で、
大声での「Camera!」は笑いました。
ラストの含みを持たせた終わり方は
続編あるのか。。。と思ったりしましたが、
人を食うか、己のエゴをまき散らして生きるか、
どちらが野蛮か自分の目と耳で確かめろ!

2015年11月30日月曜日

さようなら



年末にかけて色々公開が控えていますが、
ほとりの朔子の深田監督最新作
という情報を聞きつけて見てきました。
原作は平田オリザ氏と
アンドロイド研究の第一人者である
石黒教授との阪大タッグによる演劇で、
映画にもアンドロイドが役者として出ています。
静かな優しさと狂気が同居している印象で、
固定長回しワンショットによる絵画のようなショットは
ほとりの朔子でも見られましたが更に先鋭化しています。
またメインテーマがタイムリーな難民の話。
差別/被差別(被害/加害)の構図が
縦横無尽に張り巡らされており、
観客がどこの国の誰であろうとも
自分の身の振り方を考えさせざるを得ない。
さらにアンドロイドを使うことで
文明論にまでリーチしていて興味深かったです。
お話としては日本全国の原発が爆発し、
もう日本に住めなくなり日本人が難民となってしまい、
その中で様々な立場の人間が
避難しようとするものの…というもの。
主人公はターニャという南アフリカ出身の外国人。
かつては南アフリカの難民だった彼女は
原発事故後の日本でアンドロイドと共に暮らしています。
原発事故の様子とそれを伝えるニュースが映り、
本作の象徴となる主人公のソファの
ワンショットから映画は動き出していきます。
これがすべての始まりで終わりでもあることが
見終わってから分かりグッときました。
どういった状況なのかは細かい説明はないものの、
主人公と彼女の友人との会話で理解できる作りはナイス。
難民と化した日本人は国外に避難するため、
避難番号を割り振られ、その順番を待っている。
番号で選別される対象となった日本人は
選ばれる順番が自分たちの出自や過去によって
決まるのではと疑心暗鬼の状態。
この疑心暗鬼こそが差別や戦争を
引き起こすトリガーであることが
本作を見るとよく分かります。
ただし劇中では露骨な差別や戦争は見せずに、
そういった話題になったときの
微妙な感情変化の描写のみで、
基本的には恐ろしいほど静かな時間が流れている。
今となってはヘイトスピーチやネットで
差別の言動が露骨に目につきますが、
何気ない会話の中で、
ふっと差別意識が出てきて微妙な空気になるときが
結構あるよなーと思ったりしました。
差別する人も被差別の対象になるし、
被差別の人も差別することがあるんだという、
フラットな立場に好感を持ちました。
これがもっとも象徴的なのは、
ターニャと新井博文演じる彼氏の関係ですが、
だから差別してもしょうがないって
言っている訳じゃなくて、
人のフリみて我がフリ直せるのは人間だけですよ。ということ。
放射能で汚染され逃げるしかない状況の中で、
形骸化する「結婚」というシステムの描き方も
そこに意味を見つける人/見つけない人という
描き方がオモシロくて好きでした。
あとはターニャの友人の女性の過去には
心底ビックリしました。
あの過去があることで、
「絶対差別なんてしません!」
と真顔で言い切る人の喉元に刃を突きつけているような…
また前述したとおりアンドロイドが出てくるんですが、
牧歌的な情景とアンドロイドの取り合わせが
本当に近い未来を想起させてくれる効果がありました。
ソーラーバッテリーを持ち、
半永久に生きることができるアンドロイドがいることで、
生きること、死ぬことがとても際立ちます。
その最たる例がラスト間際の衝撃の時間経過描写。
そしてラストのアンドロイドと、
威風堂々と言いたくなる自然の雄大さの対比に
生きねば。と感じました。
こんな未来は来て欲しくないけれど、
本作を見て今の状況を考える必要もあると思いますので、
興味ある人は見て欲しいです。

2015年11月26日木曜日

ヒップホップはアメリカを変えたか?―もうひとつのカルチュラル・スタディーズ


ヒップホップに関する本を読みたいなーと思い、
手に取ったのが本書。
特徴は社会との結びつきにフォーカスしている点。
その論点はヒップホップの勃興と共に語られがちですが、
勃興時の話も含めつつ、出版された2005年までを
解説してくれているのがありがたくオモシロかったです。
白人と黒人の逆差別と、
そこから生まれたエミネムというラッパー、
プロデューサーのドレが起こした奇跡の話が
実は知らないことだらけで、読んでて楽しかったですね。
ヒップホップについて語っているのが前半で、
ヒップホップが与えた社会的インパクトについて
語られているのが後半なんですが、興味深いこと山の如し。
政治参画という点では大きく寄与しているけれど、
女性差別を助長してしまったという負の側面もあったり。
アメリカでは人種差別が現在進行形の問題であることが
露呈した2015年現在ですが、
そこをtake overし、move the crowdできるのが
ヒップホップなのかもなーと思ったりしました。
日本で起こった先日の安保デモとも通じる部分が
非常に大きい部分もあるので、
社会へのカウンターとして機能する
ヒップホップを理解する本としては最適だと思います。

世界と今を考える1


現状、日本最高峰の映画監督である、
是枝監督の対談をまとめた本で、
是枝さんとゆかりのある俳優や、
脚本家、海外の監督と語っていて、
めちゃくちゃオモシロかったです。
以前にエッセイも読んだのですが、
世界を捉えるビビットかつ繊細な視点が
とても印象的だったんですが、
本作はその視点が映画作りの際に
どのように意識され、活かされているのかが
他者と語る中で明かされていきます。
海外の監督の話が興味深くて、
彼らの是枝監督に対するリスペクトの高さに驚きました。
スパイク・リーやミシェル・ゴンドリーが
ワンダフルライフの素晴らしさを嬉々と語っているんですが、
監督のフィルモグラフィーの中であれば、
日本ではそこまで有名ではない作品ですよね。
改めて見直して、彼らの感想を読むと
なるほど!と思うことも多く勉強になりました。
どこか遠くの分かりやすい話ではなく、
身の回りの生活を丹念に観察することが
是枝監督の映画を源であることもよく分かります。
次の作品は団地が舞台らしいので、
そちらも今から楽しみでございます。

2015年11月20日金曜日

恋人たち



以前に先輩と映画飲みした際に、今年は邦画がアツい!
って話で盛り上がった中で一番期待していたのが本作。
「ぐるりのこと」という大傑作を手掛けた橋口監督が
7年ぶりに長編ということで楽しみにしておりました。
これがまーハンパなき仕上がりで、
大したことは起こらない市井の「恋人たち」を
描いただけといえばそうなんだけど、
とても重厚な作品で見てから2日経った今も
上手く消化できていない、そんな素晴らしい映画です。
3つのストーリーが存在し、それぞれの主人公が無名の新人。
監督がワークショップで見つけてきて、
彼らを想定しアテ書きしたとは言え、
「そこにいる」という強烈な実在感から放たれる、
過酷な環境の中でも「生きる」しかないという人間の凄みを
目の当たりにできる希有な映画体験でした。
派手でかっこいい映画も当然好きなんですが、
僕がひたすら映画を見ているのは
本作のような言葉で表現しにくい体験を
得ることができるからかもなーと思ったりしました。
(それを言語で表現し、
少しでも身体化するためにブログは書いています。)
前述したとおり、主に3つのストーリーで構成されています。
一番メインとなっているのは、
建設作業員で奥さんを通り魔に殺されたアツシ。
もう1人は弁当屋でパートとして働きながら、
ここではないどこかに憧れる主婦の瞳子。
最後の1人は弁護士でゲイの良。
冒頭、アツシのインタビューシーンから始まり、
彼ら3人の生活を追っかけるような感覚で見ることになります。
全体で140分と長めなんですが、
いずれのエピソードも要素がテンコ盛り。
そして、どのエピソードにも
最近考えていることにリンクする点があって、
あっという間に終わったという印象です。
アツシのエピソードでは、
奥さんを亡くすという巨大な喪失に向かい合う訳ですが、
そこに一切の綺麗事はなく、ただひたすら日常が流れていく。
自暴自棄に陥ることもあるし、いっそのこと死のうともする。
けれど、結局は「生きる」しかなくて、
その生死ギリギリのところでストッパーになるのは
少しの他人の優しさじゃないですか?ってところを
映像でビシビシ伝わってきてグッときました。
とくに食べ物を使った演出が好きで、
あめちゃん、弁当、差し入れと、
「生きる」ことの根源は食うことだと言わんばかり。
(僕は会社の先輩が弁当を持ってくるシーンで号泣しました)
とにかく主演の篠原篤さんの演技がハンパじゃない!
1人で部屋でいるシーンの実在感は
おいそれと出せるものじゃないし、
ワンショットで思わずズームになるシーンが使われてるんですが、
その刹那を捉える感覚を観客と共有したいという
監督の気持ちなのかな〜と思いました。
他人の気持ちを想像する力が欠如していることが
ネットで可視化され、加速化していく社会の中で、
「生きる」ことがしんどい人は一定数いる。
そこに対して己の都合のみで、
たち振る舞う存在として弁護士の良がいます。
しかし、彼自身はゲイであり、
マイノリティゆえの差別を受けるという、
矛盾を抱えたキャラクターだと思うんですね。
つまり、自分が他人にされたらイヤなことを
他人に対して自分がしてしまう。
加害と被害は表裏一体で、被害にのみ肩入れし、
加害を徹底的に叩くということは何も解決しない。
両方の視点で物事を見れることが大事だなと思う訳です。
2人の男性のエピソードが比較的重めなのに対して、
女性の瞳子のエピソードは笑っちゃうシーンが多くて、
ただ重いだけじゃないというバランスが好きでした。
瞳子がいる世界は閉塞した日本の地方描写として、
共喰いやそこのみにて光り輝くに近いものがあります。
そこから抜け出したいという潜在的欲求を
具現化しようとするんですが、そんなに上手くいかない。
(光石研のシャブ打ちシーンは最高最高!)
いずれのエピソードにおいても、
明確な打開策が描かれる訳ではないけれど、
時間をかけて素直に他人と向き合うことで、
状況が少しでも好転していくというのが、
あーこういうもんだよな人生。と思うこと山の如しでした。
どこか散文的なエピソードの数々が、
明星のUsual Lifeという曲ですべて繋がり、
タイトルが出るという作りもめちゃ好きでした!
日々生きる中で思い出さずにはいられない傑作でした。

2015年11月16日月曜日

エベレスト3D



予告編からして超楽しそうだったので、
IMAX3Dにて堪能してきました。
映画を見る効能として、水道橋博士もよく言っていますが、
映画は人生の予習であると。
もしエベレストに登ることになり、遭難してしまったら?
そんな地獄のようなシチュエーションを
追体験させるレベルの迫力で大変満足いたしました。
超リアル遭難ものだとライフ・オブ・パイか、
本作かというレベルにあると思います。
実話ベースなので、ご都合主義な展開もなく、
見ている間ヒリヒリしまくりで最高でしたね。
お話としては、エベレスト登らせツアーと、
それに参加する人々の登頂を描いたもので、
過酷な環境の中、自然の猛威が彼らを容赦なく襲っていきます。
冒頭、エベレスト登頂の歴史が紹介され、
エベレストを「登らせる」ことをビジネスにした、
その後に起こったことを描いていきます。
登場人物が多く、それぞれ役割も異なるので、
人物像を把握するのに少し時間がかかるかもしれません。
補足として人物名がテロップで出ていましたが、
スノーウェアを来ていることもあり、
中盤ぐらいまで識別が難しかったです。。。
前半はエベレスト登頂の準備、
エベレストを登るということがどういうことか?
また、この後の惨事が起こる伏線を含めて、
登頂に至るまでの過程を丁寧に描いていきます。
どうして山に登るのか?という問いを
クルーの中で意見し合うシーンがあって、
「なぜならそこに山があるから!」
と笑いながら回答するんですが、
それぞれの理由はそこで明示されない。
しかし、「ほら登りたくないですか?」ということを
圧倒的な映像によって提示してくるのが
素晴らしかったなーと思います。
この後、大惨事が起こっていく訳ですが、
決定的な判断ミスはあるものの、
結局は小さな不運の積み重ねで
事故が拡張していくことがよく分かります。
誰が悪いという原因探しをする前に、
自然は容赦なく人間を追い込んでいくのがエゲツない。
また、普段生活しているときには考えにくいことですが、
生きる/死ぬが極めて属人的なことである
ということも痛感しました。死ぬヤツは死ぬ。
これらすべてに説得力を持たせているが、
圧倒的な3D映像でしょう!
IMAXで見たこともあり、
文字で書くのは野暮としか言いようが無いレベルの映像の数々。
そのままエベレストにクルーと一緒に
放り込まれた気持ちになりました。
実話ベースということもあり、あっけない幕切れなのも好印象。
この手の映画はDVDで見てもしょうがないし、
タイトルに3Dって入ってるし映画館がオススメ!