2014年3月15日土曜日

Book (2014 February)

遅くなりましたが、2月分の本。
振れ幅大きめな感じでした。


存在しない小説
いとうせいこう氏の最新作。
短編集なんですが、彼が色んな国の作家になりきって、
海外文学タッチで物語を紡いでいます。
あの翻訳独特のニュアンスを取り入れてる
サンプリングセンスも然ることながら、
各物語に編者解説というのがある。
そこでは世界各地の小説の紹介を通じて、
「存在しない小説」とは何か?という論考が示される。
最後の論考はうおー!と鳥肌が立ちました。
小説好きだけじゃなくて、「論」好きにもオススメ。


魂(ソウル)のゆくえ
尊敬する音楽ライターである高橋芳朗氏が
ソウル入門編のオススメで紹介されていた本。
著者はピーター・バラカン氏。
途中まで読んで放置していたものをついに読了。
HIPOHOP経由でソウルを聞くようになったんですが、
体系的な知識は無く、好きなアーティストとか、
サンプリングされてる曲を主に聞いてきました。
その点と点が本作によって、
線で結ばれて、とても楽しかったです。
ピーター・バラカン氏の著書では、
「ラジオのこちら側で」も超名著なので、そちらもどうぞ!


東映ゲリラ戦記 (単行本)
「あかんやつら」に触発されまして。
映画監督の鈴木則文氏の東映時代の戦記です。
これがまぁオモシロい!
「あかんやつら」でも鈴木監督の話は
取り上げられていましたが、それを更に深いところまで。
主に当時の撮影エピソードをふまえつつ、
彼の映画に対するスタンスも書かれています。
東映ポルノ路線で頭角を現し、
コメディ、アクションの最前線を走り続けた漢の物語。
ジャケのインパクト込みで殿堂入り!


すべてのJ-POPはパクリである (~現代ポップス論考)
マキタスポーツとしての初著書。
彼がこれまで紹介してきた「ヒット曲の法則」を
あらためて丁寧にパッケージし直した本作。
音楽の構造の話もおもしろいんですが、
日本の音楽に対する論考も超秀逸。
パクリであることを前提に、
そこに加わるオリジナリティこそが大切であると。
「人格/規格」という考え方は音楽だけじゃなくて、
色んなことに当てはまるなーと思いました。


ケンブリッジ・クインテット 新潮クレストブックス
たまに古書店とか行って、
ジャケ買いするんですが、そのうちの一つ。
CREST BOOKSの海外文学にハズレなし。
CPスノウ、ヴィトゲンシュタイン、ホールデイン、
シュレディンガー、チューリングという
5人の知の巨人が、機械の可能性を議論したら…
というフィクションです。
この著者がそれぞれの人格を想定して書いているのが、
めちゃくちゃおもしろい。
とくに文系ヴィトゲンシュタインvs理系チューリングの議論に、
心を鷲掴みにされてしまいました!
映画「おとなのけんか」の学問verの様相を呈しています。
哲学や数学の話多めですが、相当分かりやすく書かれているので、
そういったジャンルへの興味の入口としてオススメです。

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