2015年8月25日火曜日

この国の空



今年はできる限り戦争映画を見よう!
ということで見てきました。
予告編は何回か見てたんですが、
市井の人に関する戦時描写とでも言いましょうか。
描かれていることは若い女の子の
淡い初恋および「女性」の目覚めの話なんだけど、
それが戦時下という特殊状況なのがオモシロかったです。
主人公は二階堂ふみ演じる里子で、
彼女は父を結核で亡くし工藤夕貴演じる母と2人暮らし。
その隣に住むのが長谷川博己演じる市毛。
彼は結婚していて妻、子どもがいるけれど、
彼らは疎開しているため1人暮らしをしている。
そんな2人が徐々に惹かれていき…という話。
ざんざん降りの雨から映画は始まり、
戦時下ということもあって終始陰鬱とした印象。
2人の関係および里子の家族の生活を中心に
物語は描かれていきます。
舞台が東京都の杉並区ということもあり、
露骨な戦争描写は少なく、警報鳴って避難するレベル。
僕が好きだったのは里子の母親と叔母のバトルです。
食料が限られている状況で、
親族、他人関係なくギスギスする空気よ。。
(それを打破する里子の気持ちもよく分かる)
戦争では人間の醜い部分が露呈するものと思っているので、
腑に落ちましたし、富田靖子は本当に最高だったなー
皮肉なおばさん演じさせたら、
右に出る人はいないと思います。
あと工藤夕貴も芯のある女性を見事に演じてるんですが、
とくに川辺で体拭くシーンはドキドキした!ガバッ!てね!
昔の日本映画を見てるような気持ちというべきか…
石橋蓮司演じるオジさんも悲哀を明るさで隠す感じで良かったです。
また、着物と米の物々交換を含めて、
戦時中は都会が田舎に助けを求めなきゃいけない。
今じゃ理解しにくい話ですが、その構造を改めて認識しました。
当時の生活の細々した点が興味ふかくて、
女性の下着ってトランクスみたいだったの?!とか。
一番考えさせられたのは原爆に対する対策として、
白い服を着ていれば何とかなるという話。
3.11当時を思い出して、
技術や科学が発展したとしても、
デマや嘘の情報は判断する主体(人間)の問題なんだなーと。
脇役や細かい描写はオモシロい一方で、
メインとなる2人のLOVEの部分がツマラなくて残念。。
確かに1人の女の子から女性へと変貌していく姿自体は
見ていて興味深いとは思いました。
ただ、本作の二階堂ふみの浮きっぷりは結構ノイズで、
シャイな性格がゆえに畏まっているという表現なのかもだけど、
1人だけセリフとその話し方が仰々しい。
しかも終始そんな調子なので乗りにくかったです。
あと2人の恋に至る模様も割と脈絡がないというか、
市毛側のアプローチが特に急かなぁと。
若い子の魅力云々っていう話は劇中のセリフでもあるんだけど、
里子に対してその若い魅力を
感じられなかったからかもしれません。
(長谷川博巳は進撃の巨人のリンゴに続きトマト食べてました!)
ラストの二階堂ふみの顔アップに対して、
あのテロップも不必要だったように思います。
テロップなくても恋の終わりのポエジーを感じられたのに…
エンドロールの茨木のりこの詩の朗読は
内容とリンクしていて素晴らしかったです。
夏の話なので是非夏が終わる前にどうぞ。

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