2015年6月13日土曜日

だれも知らない建築のはなし



最近ドキュメンタリー見てないなーと思いつつ、
サラの状態で見たんですが、めちゃくちゃ興味深かったです!
日本の著名な建築家である安藤忠雄、伊東豊雄、磯崎新の
証言をメインに1970~1990年ごろまでの日本国内の建築に関する、
歴史、経緯を紐解いていくんですが、知らないことだらけで興奮。
監督は日本人なんだけど、
海外の建築家の証言をふんだんに盛り込んでいるので、
極めてドメスティックな内容を客観的な視点で見れる作り。
時間は70分ほどで映画としては短いんですが、
それぞれが当時の心境を語り、歴史を検証していく様子は、
濃厚な本を1冊読んだ感覚に近かったです。
今となっては、安藤、伊東は日本を代表する建築家だけど、
若いころは小規模住宅ばかり手がけていたと。
そんな中で磯崎が国際会議に若い2人を招聘したところから、
本作は始まっていきます。
雑誌の創刊等を含め、彼らを取り巻く状況が徐々に変化し、
彼らの建築家としてのポジションがどうなっていくか。
僕が本作を見て一番ビックリしたのは、
商業建築と公共建築に対する認識の違いです。
同じ建築だし、誰が金出すかの違いじゃんと思ってたんですが、
アウトサイダーな彼らにとっての公共建築は、
1つの認められた称号となりえるというねー
海外の人たちの日本の建築および建築家に対する、
批評性もオモシロくて、
特にレム・コールハースという人が好きでした。
割と日本に対して辛辣な意見を述べた上で、
彼が無機質な東京の建築に影響を受けたと述懐する。
その理由が全然自己主張はないけど、
決まった時間に光がキッチリ射すということっていう…
全体にシニカルな姿勢に好感を持ちました。
80年代のバブル期の建築の話も興味深くて、
金があふれまくった結果、海外の建築家が
日本各地の商業施設を作ったこと、
磯崎がキュレーターとなり、熊本県内の公共施設を
新進気鋭の建築家たちが作りまくったこと、
福岡の公共団地の話などなど。
街を彩る個性豊かな建築がある一方で、
バブル期は土地売買がフォーカスされ、
その上に建つものをないがしろにした時代でもあったと。
酔っぱらったおじさんにありがちな浅ーい、
バブル自慢ではなく建築を通じて時代を分析していく
スタンスはとても興味深かったです。
伊東豊雄の震災復興後の建築の話も共感することが多く、
311以前と変わらないシステムで、
あたりさわりないものを生み出していくことに
何の意味もないなーと思いました。
あと本作を見て強く思ったのは、建築に詳しくなれば、
街に対する解像度がグッと上がるんだろうなということです。
普段は気にしていない街の風景も、
これは誰々がいつに建てたものか~と
物思いにふけることだって可能になる。
(坂口恭平の唱えるところのレイヤーと言えるでしょう)
東京はビルだらけで何だかなぁと思う時もあるけど、
見方を変えればなんて豊かな街なんだ!
と思わせてくれた良き作品でした。

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