2013年10月20日日曜日

花よりもなほ



そして、父になる」が傑作だなぁと日々思いつつ、
是枝ワークスで見てないの見よう!と。
あとエッセイ(歩くような速さで )も
かなりオモシロくて、1人で祭り状態。
本作も偏見で、これまでは時代劇かー興味ないなー
とスルーしてました。
奇跡」のときも同様に偏見で避けてましたが…
めちゃくちゃオモシロいやないかーい!
ええ加減にしーや、ホンマ!(©小藪さん)
時代劇なのは見た目だけで本作も言わずもがな家族の話。

主人公は岡田君演じる武士。
と言っても下級武士だし、時代は江戸の中盤で、
争いごともほとんどなかったとき。
しかも岡田君は武士だけど、剣道下手クソ。
親父の仇討ちするために長屋に居候している。
その長屋には武士はほとんどいなくて、主に農民。
映画で武士が登場するときはチャンバラや
パワーゲームがメインになると思います。
でも本作はへたれ武士。そんなシチュエーションはない。
(なんなら百姓にボコられたりする)
むしろ、そのアイデンティティに苦しむ姿が描かれる。
世間の目と自己認識の差。
武士としては仇討ちしないといけないと分かっているけど
剣の腕もないし、非暴力的。
だから、寺子屋をやったりしている。
こういった状況から周囲の武士以外の人間と付き合いながら、
徐々に自分なりの生き方を模索する。
とくに父との関係性や向かいの家の子どもとの関係性の描き方は
「そして父になる」と近いものもあります。
父から託されたものは本当に仇討ちだけだったのか?
そうじゃないと気づくシーンはマジで最高でした。
一応形だけでは仇討ちするんだけど、そこの多幸感よ。。
物語が世界を救うんだよ!

最近は半沢直樹を筆頭に「やられたらやり返す」考え方が
跋扈する世の中ですが、そんな人こそ本作を見てほしい。
是枝監督のエッセイの言葉を引用すれば、こんな風。
「自分のコミュニケーション能力を棚に上げて、
相手を理解のない馬鹿だと思う。
他者への想像力の欠如したそのような下品な態度」
これは是枝監督のブッシュ評ですが、
最近の僕が感じる気持ち悪さとドンピシャで
こんなこともシンクロしながら、非常に楽しく見れました。

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