2018年4月16日月曜日

2018年4月 第2週

4月9日
いきなり後ろから「これ落としましたよ」
と有無を言わさず紙を渡された。
リパークの駐車券だった。
この駐車券に毒がつけられていたら、
もしこれが爆弾だったらなんて、
しょーもない夢想をしながら出社。
仕事を粛々とこなし、帰りの電車で
「黒沢清の全貌」読了。


世界最恐の映画監督 黒沢清の全貌

文藝春秋
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ここ数年の作品を中心に文學界が
監督自身のインタビューやレビューをまとめたムック本。
いきなり冒頭でインタビューは適当なこと、
作品の思い出しか語れないんだよな、
という宣言をかましていて黒沢清っぽいなーと。
言葉の上ではとても謙虚だけど、
映画自体から異常な熱量が伝わってくる。
このギャップがかっこいいといつも思う。
いろんなインタビュワーが登場する中で、
蓮實重彦があまりに圧巻すぎた。
映画1本への読み込み具合が、
そこいらのレビュワーなんてレベルじゃない。
こういう人を本当に評論家と呼ぶのだろう。
当たり前なのだけど、1つ1つのシーンに
監督の込めた意図があるわけで、
それはセリフ、照明、衣装など
すべてを含めたトータル芸術のコントロールであり、
そこに対して自覚を持てているかで、
素晴らしい映画監督かどうかが決まるのかもしれない。
(コントやドラマの延長で映画撮るのではなく)
僕が本格的に過去作をフォローし始めたのは、
「クリーピー」以降だったけど、
その前に見た岸辺の旅が相当好きだったわ、
と読みながら思い出したし、もう1回見たくなった。
何か1本おすすめは?と聞かれれば、
トウキョウソナタを薦めたい。
監督のフィルモグラフィーでは特殊な作品だけど、
最初のとっつきとしては良いかもと思う。
(黒沢性をところん味わいたいなら「CURE」かな?)

4月10日
朝、準備しながらPUNPEEのラジオ「Sofa king」と
MURO & MACKA-CHINのラジオ「King Of Diggin'」を
立て続けに聞きながら朝の準備。
PUNPEEの方は30分だと物足りない感があった。
いつもより作り込みが少ない分、
ラフな感じでいろいろトークが聞けるのはオモシロかった。
MUROのほうは圧巻というか、
基本ミックスがメインなんだけど、
1曲ごとの説得力が強いし、
サンプリグソース多めだったこともあり楽しかった。
午前中は適当に仕事をこなし、
午後は休み取ってTOHOシネマズ新宿で
「ウィンストン・チャーチル」鑑賞。



原題はTHE DARKEST HOURで、
ダンケルクの戦いを中心に、
ナチスの勢いグイグイの頃の
チャーチルの言動を描いている作品。
日本の戦争映画でいえば、
「日本のいちばん長い日」に近くて、
具体的な戦闘場面を描かずに、
そのとき国のトップがどういう判断していたのか、
権力闘争の部分にフォーカスを当てている。
なかでも本作はチャーチルの
言葉の力がいかに強かったのか?
しつこく徹底的に描いていく。
それは彼の発する言葉を書き留めるタイピストに
大きくフォーカスすることでなし得ている。
明らかに滑舌の悪い彼が必死に
自分の思い、考えを言葉に落としていくところや、
政治家たちが言葉を大切にしている場面の描写、
どれもが今の時代に欠けているように感じるものばかり。
言葉が説得力を持って観客に迫ってくるのは、
チャーチルを演じたゲイリー・オールドマンの演技力。
これに尽きると思う。
僕たちが知っているゲイリー・オールドマンの
片鱗はほとんど見受けられないんだけど、
あの目力と顔へのクロースアップショットの
コンビネーションは映画館で目撃すべき案件。
ちなみに一番好きだったシーンは、
終盤に国王とチャーチルがチャーチルの家で話すシーン。
ベッドにたたずむチャーチルを引きで撮っていて、
唯一油断している瞬間だと思うのだけど、
その汚い部屋で国王と腹割って話すのが印象的だった。
帰宅するとAlffo Recordsで発注した
Tom Mischの2LPが届いていた。
改めて針を落として聞いてみると、
やっぱりええわぁと感動した。
ストリーミングで音楽聞くのが主体だけど、
アナログで持っておきたい音楽はあって、
それを研ぎ澄まして買っていく。

4月11日
Cardi Bの新譜を聞きながら打ち合わせ先に向かう。



特大ヒットした「Bodak Yellow」に
寄せたアルバムかと思いきや、
とてもバランスの良い内容で、
Chance The Rapper, SZAが参加した2曲が好き。
とくに「I do」の"I do what I like"が刺さった。
粋な夜電波は市川愛のアルバム特集。
1曲目からガッチリ心掴まれてしまった。
ライナーノーツ風のレコーディング解説もオモシロかった。
個人的にはラッパーのICIが好きなので、
ICIとしてアルバム作って欲しい。
今週リリースなので楽しみ。

4月12日
有給休暇でゆったり起床。
起きてから不動産屋に片っ端から電話して、
内見の予定を取り付ける。
引越しは面倒なのだけど間取り見ているのは楽しい。
途中まで見ていた「ロクサーヌ・ロクサーヌ」を見終える。



正直、ロクサーヌ・シャンテという
このラッパーのことは知らなくて、
何故彼女をこのタイミングで取り上げているのか、
見る前はよくわからなかったけど、
自立する女性というテーマはいかにも現代的なもの。
NYのクイーンズのプロジェクトを舞台に
ラップをすること、女性として生きることの
狭間でストラグルしている姿がかっこよくもあり、
一方で痛々しさもあって心が痛む。
あくまで彼女を中心に描いてて、
さりげなく有名なラッパー、プロデューサーが
登場する演出もニクい。
マーリー・マール、ビズ・マーキー、そしてナズ。
ナズに至っては彼が火を吹く前の話。
彼女がクイーンズの真のクイーンでありながら、
1人の女性でもあったのであるという話は、
今の時代にぴったりなものだし、
ファレルがこの作品のプロデューサーとして、
関わっていることも納得できる。
NETFLIXのヒップホップ映画、ドキュメンタリーの
充実度は他の追随を許さないので、
好きな人は絶対入会した方が得だと思う。
そのあと、友人と六本木で飲む。
とくに店を決めていなくて、
なんとなく串カツ食べるという話になり、
セレンディピティを信じて目の前にあった串カツ屋へ。
なんてことない普通の串カツだったけど、
店員の女の子がかわいかったことで、
セレンディピティ信じてよかった。
彼がアメリカ在住なので、アメリカに行けるのか?
という旅行プランを真剣に考えたら、
金額、日程的に全然行けるなーとなったので、
本当に行ってしまおうかと考え中。
2件目でBrewdogのIPAを飲めて満足し帰宅。

4月13日
午前休み。NETFLIXでJAY-Zのインタビューを見た。



とても興味深くてラッパーというより、
ビリオネアとしての風格が強かった。
もちらんラッパーとしての話も多く、
歌詞を書かないスタイル、ラップの作り方、
どうやって自分のキャラをクリエイトするのか?
声が特徴的なのか、リズムなのか、
(声ならスヌープ、リズムならエミネムといったように)
知らない話も多く、カニエが昔から変わらないこと、
彼がJAZ-Oのレコーディングでロンドンに
帯同していたときに一斉摘発があり、
もしそのとき捕まっていたら今はないことなど。
また彼が手がけたカリーフ・ブラウダーの
ドキュメンタリーも見たくなった。
結構ヒリヒリしたのはnワードを巡るやりとり。
司会の白人男性がnワードは
不快だ云々の話をしていたときに、
JAY-Zが「言うなよ」って言ったときの目が印象的だった。
そのあと7inch Treeで5lackと16FLIPの
ビートメイキングを見る。




5lackがドラムを組み、16FLIPが上ネタを組む構成で、
お互いを信用している様から歴戦の盟友感が漂っていた。
2人の対談もオモシロかった。
そのあと出社し21時前まで残業。
帰ってきたらやっとライブラリの全ての曲が
iCloudと同期されてローカルの
すべてのデータがどこでも聞けるようになった。
教えてもらって助かったー革命!
映画見ながら物件を色々確認して就寝。

4月14日
昨日途中まで見た「ハッピーアニバーサリー」を見終える。



けん怠期のカップルを描く甘酸系映画でおもしろかった。
けん怠期のカップルもので思い出すのは
セレステ&ジェシー」な訳だけど、
それとは異なる甘い終わり方が心地よかった。
(見てる途中は思い当たりすぎて苦しかった)
「育った環境が違うから好き嫌いは否めない」とは
本当によく言ったもので、そこのすり合わせできるか、
あとはタイミングの話なのだなと感じた。
そのタイミングのメタファーとして、
自宅の駐車場のシャッターを使った演出が
とても素晴らしかったと思う。
早すぎてもダメだし、遅すぎてもダメ。
忘れんなよ思いやりって話。
さらに「宮本から君へ」を見る。
このドラマのクオリティ、本当にハンパなき。
映画レベルの布陣で、
一営業マンの日常を描いているところがとても贅沢だし、
原作にある熱量をクールに解釈しているところも好き。
(暑苦しさが足りないと怒る人もいるかもだけど、
今の時代の宮本の姿はこれが正解な気がしている)
役者のたたずまい、そこから生まれるアンサンブル、
ショットのここしかない感含めて最高最高。
これを楽しみに毎週生きれるよ。
午後は物件内見。とても良い物件だったけど、
明日も見に行くので色々考えることにする。
そのまま新宿に立ち寄ってピカデリーで、
「さよなら、僕のマンハッタン」を鑑賞。



マーク・ウェブ最新作ということで楽しみしていた。
とても歪なのだけど、都市と思春期を上手く絡めて、
葛藤と愛憎を描いていてめちゃおもしろかった。
ニヒル要素が500日のサマーよりも強いので、
個人的にはマーク・ウェブ最高沸点かもしれない。
原題のThe Only Living Boy in New Yorkは
サイモン&ガーファンクルの曲から取られたもので、
さらに登場人物の1人であるジョアンナは
ボブディランからの引用。
2つの歌を発想の起点にして物語を立ち上げるというのが
センスよすぎるし、かっこよいなーと。
あとで歌詞を読み、そこでまた映画のことを思い出して、
二度美味しい後効きシットだった。
自分が何者でもないモラトリアム期の話で、
前半の中身だけ取って出すとボンボンの暇つぶしって感じで、
大して中身がないように見えるけど、
NYの街並みと作品内に詰め込まれた
パンチラインの数々でまったく退屈しなかった。
このパンチラインメーカーが
ジェフ・ブリッジス演じる作家なんだけど、
彼が本当に素晴らしくて大好きなキャラになった。
メンター的ポジションからの終盤のある展開まで、
これは泣いてしまうで。。。
こないだ見たワンダーストラックも本作も
アマゾンスタジオ製作の作品で、
両作品ともクオリティめちゃ高いので、
NETFLIX、アマゾンの仁義なきコンテンツ戦争は
ユーザーにとって歓迎すべきことだと思う。
とりあえずNY行ってロケ地巡りして〜
帰ってからふるさと納税のうなぎをいただく。
今年初めてふるさと納税を活用したけど、
やってみると簡単で美味しいものを食べれるので、
トライして本当によかった。
久々に食べたうなぎは死ぬほど美味しく、
満足感とともに知らぬ間に寝ていた。

4月15日
早めの起床。まず選挙に行くところから朝を始める。
補欠選挙と区長選挙。
選挙行くのは人間として最低限の義務だ。
行かねーやつはただの肉だ。と言っておく。
そのまま今日も物件内覧へ。
場所柄は少しアレだけど物件内容いわゆる5億点出た。
東京は街のカラーがそれぞれ異なるので、
どこに住んでいるのか、という話になった場合、
その街の全体像でその人の背景を
読み取る文化があるようにいつも思う。
どこでもある話だろうけど東京は特に。
そんな他人の目線より日々の生活のリアリティを重視しつつ
午後にも色々見たけど結局5億点の物件で決めた。
帰り道にiPhoneのアプリで見たら、
12km近く歩いたことを知り驚愕。そら疲れるわ。
つまみ的なものを作り適当に食べて比較的早めに寝た。

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