2013年7月9日火曜日

Peace



まだ「選挙」しか見れてない想田監督の作品。
近くのレンタル店で見つけて、やっと見れました。
想田監督の「観察映画」という手法については
下記の本に綺麗にまとまっていますので、読んでみてください。
現在、あらためて読み返し中。




本作は76分と短い作品ですが、心じわーっとなりました。
この作品は想田監督の奥さんの実家が舞台。
義父が飼ってる猫と義父・義母がしている
高齢者・障害者向けの有償タクシーの仕事を通じて知り合った人々の物語。

とにかく、橋本さんというお爺さんが格好良過ぎた。。
正直、街で老人を見かけると
「あーこいつらの年金払ってるんかー」とか思ってしまう
性根腐った人間ですけれども、この映画見ていろいろと考えさせられた。
この橋本さんはものすごい気使う人。
ヘルパーさんやデイサービス、病院の人に対して
「迷惑かけてすみません」とことあるごとに言うんです。
でも、周りの皆は「そんなことないですよ」と言う。
これが台詞だけであれば、偽善的に見える側面もあるんだけど
加藤さんが出てくるまでに、有償タクシーの運営のキビシさが描かれる。
だから説得力がまるで違う訳です。
しかも、当時民主党が政権交代を実現した衆院選後。
ラジオから鳩山代表の夢のような国会演説が語られる中で
全く相反する現実が横たわっていると。
これが偶然撮れちゃう観察映画のすごみ。
あと橋本さんが人と会うときに
スーツにネクタイという正装なのも、むちゃくちゃグッときた。
自分が死ぬ間際に、見た目を整えて人を迎える気持ちとか持てるのか…と。
同情とかじゃなくて、100%尊敬の念。

あと猫の話ですよね。お父さんの人柄の一貫性を見ました。
自分が大切にしたいと思ったものを大切にする。
そして泥棒猫が共生する瞬間がまさにpeace。

文句なしに面白い作品。

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