2014年10月8日水曜日

FRANK



テアトル系でPUSHされていたので、見てみました。
あの強烈なお面のvisualが印象的ですが、
中身はインディーロックバンドのシットリした話でした。
バンドメンバーものと言えば、
Jersey Boysと似たような話だけど、
本作は2014年現在の若者によるバンドの栄枯盛衰を描く。
今ならではの設定(SNS等)を生かしているし、
なにより物語内で栄光を掴む瞬間は一瞬っていう…
主人公はサラリーマンとしても働きながら、
ミュージシャンを夢見るジョンという青年。
お面をかぶったFRANKが率いるバンドのキーボードが、
突然自殺未遂を起こしたことで、
その代役としてジョンがバンドに加わることになります。
メンバーとなったジョンはアルバム作りに参加。
その様子をYoutubeにアップロードしたことで、
バンドの人気が急上昇。
SXSWというフェスに参加できるようになるものの…という話。
エンドロールの冒頭にdedicated Chris Sieveyとなっていて、
誰かなーと思い、wikiっちゃったところ、
本作はSieveyのFrank Sidebottomに、
インスパイアされたとのこと。
バンドの登場シーンが強烈で、ドラム, ギター, テルミンという、
謎の構成で、奏でる音楽がかなり尖っている。
そこへボーカルのFRANKの歌詞が乗り、まさにケイオス。
ジョンがメンバーに加入してまもなく、
森の中でのアルバムを制作することになります。
ジョンはひたすら売れたいと思っていて、
POPな音をケイオスなバンドに取り込もうとする。
この対立およびFRANKのオモシロさが繰り広げられる。
特にオモシロいのはテルミンのクララ。
ジョンが「このメロディどうだろう?」と
FRANKに提案して、彼も気に入るんだけど、
「いや、ここは半音ずらして、音色も変えて…」
といった感じで邪悪なサウンドへ変換していく。
終始くだらないことばかりなんだけど、
もう、あのお面はズルくて、
日常における異物感がハンパじゃないから、
ちょっとしたギャップで笑ってしまう。
アルバムが完成すると、マネージャーが自殺という、
急にトーンダウンした話になる。
この辺から物語全体に何とも言えない不穏な空気が漂う。
ジョンが勝手にYou tubeへアップロードしていたことに、
メンバーは怒るものの、より多くの人に聞いてもらえることに
FRANKは喜びを感じ、フェスへの出演を決定する。
フェスのくだりからはバンド内紛物語へと大きくシフトしていく。
さながら三角関係のメロドラマを見ているかのよう。
ライブまでの間に空中分解しちゃうんだけど、
それをバネにお客さんが大挙して押し寄せる。
その栄光の瞬間にかき鳴らされる音が、
本当の意味での終わりの音となり、
そのときのFRANKのセリフは、
見ていた観客が思っていたことをまさに代弁。
ジョンは自分のエゴが間違っていたことを悟る。
この辺は確かになーと思いつつも切なかったです。
終盤はFRANKが何者かという点にフォーカスしていく。
その中身がマイケル・ファスベンダーという
衝撃の事実が明らかになりーの、
ラストの酒場でのシーンへと収束していく。
ここがまた切なさと愛しさと心強さを兼ね備えた、
何とも言えないシーンでかなりグッときました。
音楽好き、ロック好きにはオススメです。

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