2014年10月21日火曜日

Book (2014 September)


教養としてのプロレス
今、すべてのエンタメの中でもっともオススメしたいのは、
東京ポッド許可局です。
マキタスポーツ、サンキュータツオ、プチ鹿島という
芸人3人があーでもない、こーでもないと、
屁理屈をこね倒すポッドキャストなんですが、
まーそれが無類にオモシロくて色んな人に薦めております。
その一員であるプチ鹿島さんの新書。
プロレスの考え方を通じて見る世の中は、
こんなにオモシロいのか!と改めて思いました。
実は僕もかつてプロレス野郎でして、
適当に部活をやっていた中学時代に、
親父が録画していた親日本プロレス、ノアのTV放送を
血眼で見ていた時代がありました。
そんな頃もレミニスしつつ、
半信半疑のスタンスによる見立ての数々に興奮。
唐揚げを食べる人生を僕は選びたいと思いました。


短夜明かし
佐々木中さんの本は出れば必ず買うようにしており、
今回は小説でした。まず装丁が鬼カワイイ。
中身は短編集で、恋愛ものが収録されています。
彼の文章はかなり詩的というか、
情景描写がこれでもかと続くし、その文体もかなり独特。
プロットじゃなくて、表現を楽しむことを知ったのも、
彼の小説のおかげかなと思っています。
前置きは長くなりましたが、
これまでの小説の中でも、格段に読みやすくなっています。
とくに好きだったのは「親知らぬ」という話。
佐々木中の小説入門編としてぜひ!


日本人は民主主義を捨てたがっているのか? 
映画監督である想田監督の著書。
想田さんの映画はどれも非常におもしろいので、
まずそっち見て欲しいんですが、本も興味深かったです。
政治について考えて、能動的に行動しないと、
これまで享受してきた自由を失うかもしれないよ、
という提言が多く見られました。
「気分だけは一家言持ったコンシューマー」が、
あまりにも溢れ過ぎて、政治に対しても同様のスタンスになっている、
その気持ち悪さや危険性は共感しました。
ただ、この本の内容を鵜呑みにするのではなく、
しっかり自分で考えるきっかけにすれば良いと思います。



毛深い闇
園子温監督の書き下ろし小説で、
女子高生と殺人事件を絡めたホラーサスペンス青春物語。
最近はTVにも結構出てるし、
TOKYO TRIBEや新宿スワンといったメジャー作品が多い中で、
これまでの園さんの世界観が限りなく表現されています。
かなり青春要素が強いのが印象的で、
がむしゃらに走り続けるんだよ、バカヤロー!
っていうメッセージ性が好きでした。
「非道に生きる」は名著なので、未読の方はそちらも是非。


映画術 その演出はなぜ心をつかむのか

今月、もっともプッシュしたい本です。
映画監督の塩田明彦さんの講義を書籍化したもので、
以前、タマフルの本特集でも紹介されていました。
本作では、映画を見ていて、
そこまで気にしない動線、視線、顔などに関する、
演出について塩田監督なりの分析が書かれています。
そのすべてが目から鱗でした。
計算され尽くされた演出の数々が紹介されていて、
そのどれもが興味深かったです。
見たことない映画が多かったんですが、
読むとどうしても見て確認したくなるやーつ。笑
これきっかけで成瀬監督の「乱れる」も新文芸坐で見ました。
講義を文章化しているので、とても読みやすいので、
映画好きには超おすすめ!


映画も見たので、原作も読んでみました。
岩波と新潮の両方から訳書が出てるんですが、
新潮の方を読んでみました。
映画とほとんど変わらない内容で、とても好きでした。
児童文学とカテゴライズされてますが、
十分大人向けの内容だなぁと。
しかも、これをあの形で映画に落とし込んだ、
ジブリスタジオはやっぱスゲーと改めて思いました。



「あかんやつら」「天才 勝新太郎」でハマって、
著作を読み進めてる中で、新作が出たので読みました。
かなり痛烈な時代劇評で、そういう状況なのか…
と非常に勉強になりました。
ただ、過去のハードな時代劇が良いという前提なので、
そこに乗れない人はいるかも。
時代劇に関わらず、クリエイティブな産業にまつわる、
構造欠陥の話に置き換えれるので、
時代劇好きじゃない人にもオススメです。

0 件のコメント: