2014年9月2日火曜日

ホットロード



あまちゃん中毒で、能年玲奈=あきちゃんに洗脳されていた時期に、
次は映画で「ホットロード」と知り、楽しみにしていた作品。
なんですが、ポスターや予告編から漂うキナ臭さに、
ビビってしまい、後回しにしていました。
しかし!アキちゃんを大きなスクリーンで見れるなら!
ということで意を決して見てきました。
やっぱり見てみないと分からないもので、結構好きだった…
確かに主人公2人の恋物語がベースではあるけど、
もっと普遍的に他者を受け入れることの大切さ、
という話になっていました。
諸手をあげて、大推薦という訳ではないですが、
少なくとも「あまちゃん」を見ていた人は楽しめるんじゃないかと。
というのも明らかに意識した作りになっているからです。

能年玲奈が中学生の和希という役で、
母との2人暮らしで父は幼い頃に死別。
和希は父と母がお互い好きでもなく、結婚したことを知っている。
母には好きな人がいて、和希のことは二の次。
そんな中で、クラスメイトの紹介で暴走族と関わりを持つようになり、
そこで出会った春山という男に惹かれていき…というお話。
舞台が湘南 江ノ島あたりで、年代が80年代ということで、
全編にわたってノスタルジーに溢れている。
その理由としては光の使い方が挙げられると思います。
海での光の煌めきや夜の道路の美しさ。
これらを場面場面でインサートすることで、
些細な話ながらも、物語全体に厚みが出ていました。
あとは音楽もとても良くて、
予告編では尾崎豊の「Oh My little Girl」が使われていて、
あざといなーとか思ってましたが、劇中音楽は抑制が効いてて、
前述した映像と合っていて素晴らしい。
これらの要素により、
ノスタルジーを超えて、ファンタジックでさえ思える。
暴走族の描き方も、時代背景を考慮するのであれば、
もっとハードコアなはずなんだけど、
EXILE感のあるヤンキーで、今の若い子が見ても、
感情移入しやすい作りになっていました。
(一方で携帯電話が出てこないのは結構衝撃でした。)
暴走族がスクリーンに初めて映るシーンが好きで、
はじめはヘッドライトの光がボケてるんだけど、
徐々にフォーカスが合うとともに、
バイクの音が聞こえてきて〜みたいな。
とにかく演出が好きで、和希と母の距離感を示す、
家のダイニングの感じとかは、
説明しないで分からせるのが上手いなーと思いました。
(母親役を木村佳乃が演じているんですが、
そのMadっぷりは一見の価値あり。)
一方で脚本のせいだと思うんですけど、
絶対言わないよっていうキナ臭い台詞もあって、
全体のバランスとして歪な構造になってました。
和希の感情を本人のナレーションで
語らせるというギミックがあり、「うるせーな」
となりがちなんですが、青春ものでこの演出やると
日記を読んでるように見えて、嫌いじゃない!
あと春山役の登坂広臣も良くて、
予告編とかで見るとパッとせんなーと思ってたんですが、
時に見せる怖い表情、とくに眼力が素晴らしかったです。
2人の恋愛関係も綺麗な形で収めてて、アイドル映画っぽい。
特にビックリしたのが、初めてキスするシーンで、
カニによる下痢が原因って…笑
ぜひ自分の目で確かめてほしいところです。

あまちゃんとのパラレルワールドな関係性でいうと、
海が舞台で、白い灯台が印象的に使われていることや、
あきちゃんが三陸に行かずに、ずっと東京にいたとしたら、
和希のようになっていたのかも…というメタな楽しみ方まで。
また、和希の無垢性は明らかに能年玲奈として、
当て書きで映画が作られたのだろうなと。
その無垢性を逆手にとった、鬼畜演出も好きで、
自分が唯一の拠り所としていた記憶でさえも、
実は土台がもろくて、美化してしまっているというね…
大人にとっては耳が痛い話でしょう。
いかんせん、能年玲奈は超かわいいということに尽きるんですが。笑
終盤は割と綺麗ごとな印象が強いんですが、
ドヤ感、ヤダ味成分がほとんどないので、
あんまり気にならなかったです。
夏休み映画として素晴らしい作品だと思いますし、
これを見て他者を受け入れること、
ひいては自分を受け入れることの大切も、よく分かる映画でした。
半笑いの人こそ見てほしいと思う次第です。

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