2014年9月18日木曜日

驟雨/乱れる


久々に名画座シリーズ。
最近読んだ、塩田明彦監督著、
「映画術、その演出はなぜ心をつかむのか」っていう本の中で、
「乱れる」の動線に関する解説があって。
これが無類にオモシロくて、タイミングが合ったので、
フィルムで是非とも見ておきたい!と思い、池袋の新文芸坐にて。
成瀬巳喜男監督特集の一環で、名画座は2本立てが基本なので、
同時上映の「驟雨」もついでに鑑賞。
どっちも1950年〜60年代の映画なんですが、
こんなにオモシロいのか…と衝撃を受けました。
話自体はかなりミニマムなんだけど、
会話のテンポや細かい設定、演出が逐一効果的で全然飽きない!
日本人同士にある微妙な距離感や、
時代性をしっかり取り入れてるのが素晴らしいです。
驚いたのが、その時代性というのが、
最近問題になっていることと大差ないってこと。
半世紀経っても、根っこの部分では何も変わらない。
哀しいような、安らぐような…不思議な気持ちになりました。

「驟雨」はある夫婦が主人公で、
旦那はサラリーマン、奥さんは専業主婦。
近所や職場の人との関係を描きつつ、
2人の夫婦としての距離感を描いている映画です。
ホント何でもない話なんだけど、全体にファニーなんですよねー
最初若い奥さんに「結婚とは何たるか」を説くんだけど、
物語が進むにしたがって、その関係性のモロさが露呈する。
思っていることをダイレクトに言わない
日本人の気質を見事に映像で表現してると思います。
町内の会合のシーンとか最高だし、
ラストの紙風船の演出はかわいいなぁと思いました。

「乱れる」はメロドロマ。
若かりし加山雄三と高峰秀子が主演。
高峰秀子は嫁ぎ先の酒屋を切り盛りしていて、
旦那は戦争で亡くなっていて、
その弟である加山雄三と母親と同居している。
雄三は俗に言うパラサイトシングルで、
一度は就職したものの、すぐヤメてニートしてる。
この2人の結ばれてはいけない恋愛関係を描いています。
ベタといえばベタなんですが、塩田監督が本で書かれていた通り、
人の無意識に働きかける細かい演出の積み重ねで、
物語に没入してしまいました。
近所にスーパーができて、酒屋が繁盛しなくなるっていうのは、
イオンのようなモールとスーパーに置き換えれば、
現在にも十分通じるような話。
高峰秀子の演技が惚れ惚れする一方で、
加山雄三の演技の朴訥さもキャラに合ってて良い。
メロドラマかーと油断してたら、
最後にギョッとするような展開があって、
そっからの秀子の顔ドーン!までの流れが好きだったなぁ。

いずれも白黒映画で、色で表現できない分、
光の使い方がかなりsensitiveだなーという印象でした。
あと古いフィルムの独特の質感も楽しめて良かったです。

体調悪くて上映中に咳してたら、
合間の休憩中に後ろから何回も「ゴホゴホうるせーなー」と言われ、
東京怖いわー思ってたら、
同じ空間で橋本愛も見てたことが後で分かりました。
なんて街なんだ!TOKYO!

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