2014年9月28日日曜日

ジャージーボーイズ



クリント・イーストウッド監督最新作で、
題材がThe Four Seasonsってことで初日に見てきました。
レイトショーで見たんですが、かなり人が居て、
映画終了後には拍手がそこかしこから。
初めての体験でテンション上がりました。
内容は当然素晴らしくて、多幸感と悲哀の両方に満ちあふれた、
本当に大好きな映画でございました。
元々はミュージカルで上演されていた内容を映画化。
歌の素晴らしさは然ることながら、
それにイーストウッドのストーリーテリング力が合わさり、
これ以上ないという仕上がり。
彼の近年の作品で言うと、伝記物ということで、
J・エドガーが近いんですが、描く対象がエンタメになり、
受け入れやすく、楽しい映画となっています。
The Four Seasonsというソウルグループの栄枯盛衰物語で、
音楽の話をすると、ソウルの中でもDoo-Wopと呼ばれるものです。
僕はHIPOHOP入りで、サンプリングソースとしてのソウルに惹かれ、
そこからソウルをたくさん聞くようになったんですが、
Doo-Wopは他のソウルとリズムやテンポが異なるため、
そこまで聞いてこなかったです。
今年にリリースされたされたJINTANA & EMERALDSが、
2014年型Doo-Wopを提示してくれたので、
前よりは抵抗感は無くなったところでの本作。
前置きが長くなりましたが、Doo-Wopの良さが
スクリーンで全面に展開されたことで、
めちゃくちゃ勉強になったし、もっとdigしようと思わされました。

タイトル通り、The Four Seasonsのメンバーは
1人を除いて、ニュージャージー出身。
劇中でも語られていますが、当時街から出ようとすれば、
「①軍隊に入る、②ギャングになる、③有名になる」
このいずれかしか無かった時代。
若い頃のメンバーは②の選択肢を選びつつあったところで、
音楽と出会い、リードボーカルのフランキーのファルセット
という天の恵みのもと、音楽で有名になるという選択肢を取る。
ここまでの話はUSのHIPHOPの構造に近くて、
先日紹介したNasの生い立ちと変わらない部分。
この事実さえ全然知らなかったし、勉強になりました。
日本で言うところの昭和芸能史にあたる内容が、
丁寧に描かれているところがオモシロくて、
今やマフィアや暴力団と関係あるだけで叩かれてしまう世の中。
エンタメと反社会勢力が蜜月関係にあったことを
何のてらいもなく、2014年に正面切ってやる度胸たるや。
(その象徴となるのが、フランキーとウォーケン演じる、
マフィアのボスとの関係性ですよね、泣ける!)
あと、トミーを中心に主人公に狂言回しさせるところも、
彼らの人物像を掴むのに一役買っています。
ボブ・ゴーディオと出会ってから、4人での活動が始まる訳ですが、
この出会いのシーンがメチャクチャ好きでした。
リーダーのトミーが「あいつ、あんま好きじゃねーなー」
とダダをこねるところをフランキーとニックで説得し、
ゴーディオの曲を聞いてみることに。
その曲が良くて、最初はゴーディオしか歌ってないんだけど、
そこへフランキーがコーラスを入れ、ニックがベースを入れ、
トミーが渋々ギターを入れ、音楽が形成されていく。
このグルーブの萌芽とでも言うべき瞬間を見せてくれて、
その上、曲が素晴らしいんだから最高!
(ちなみにボブ・ゴーディオは
タモリ倶楽部でおなじみのアノ曲を作った人で、
フランキーらに彼を紹介したのがジョー・ペシ(!)
というのも劇中で分かります。)
The Four Seasonsとして活動するまでの
泥水すすり期間を経て、「シェリー」という曲で黄金時代へ。
この映画の素晴らしいところは、当時の音源を使う訳じゃなくて、
主演のJohn Lloyd Young を筆頭にしっかり焼き直しているところ。
当時の音源が録音環境の影響もあり、古くさい音像なんですが、
2014年の音像になっているのがスゲー良いです。
ノイズが無くなって、音楽の良さが全面に出てくる感じ。
彼はもともとミュージカル版でも主演を務めていたので、
歌うことに何の問題も無く、劇中の歌もアテレコではなく、
その場で録音したものを使用しているとのこと。
売れに売れてからの衰退期はトミーの借金が発端。
ここのジャージー流のくだりは胸が熱くなる気持ちと、
こんなどうしようもないヤツを…という
非常にアンビバレントな気持ちになります。
フランキーは身を粉にして働きまくる訳ですが、
追い打ちをかけるように家族に悲劇が訪れる。
その前のダイナーのシーンが効いてきて切なさ倍増。
絶望を彷徨うフランキーを救ったのは、やっぱり音楽な訳で、
その曲がCan't take my eyes off of you
っていうんだからさーもはや神懸かっているよね。
日本ではBOYS TOWN GANGのカバーが一番有名ですが、
国内外問わず、無数のミュージシャンにカバーされている、
クラシック中のクラシック曲。
なんですが、劇中で披露される曲の多幸感たるや…
初めは抑制されて始まるんですが、そこから幕が開き、
ホーンセクション、ストリングスセクションが加わり、
それに合わせたフランキーのファルセット。これぞ極上体験。
ロックの殿堂入りのくだりをはさみ、
Oh,What a nightのミュージカルエンディングでサムアップ!!
音楽好きな人に限らず、皆にお勧めしたい快作!

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