2014年9月29日月曜日

Book (2014 August)



古本屋で白石一文作品を見たら買う習慣ができ、
タイトルの仰々しさに惹かれ、読んでみました。
主人公は週刊誌の編集長でガンという人間。
彼の会社内でのパワーゲームと、
家族との関係性などにまつわるお話。
白石さんの小説はサラリーマンの話が多く、
そのパワーゲームの部分がいつも通りオモシロいんだけど、
異様なまでの引用の多さが本作の特徴。
主人公の価値観、思想をここまで詳細に提示してるの
初めて読んだなーと思いました。
かなりボリューミーですが、意外にサクッと読めました。
初めて読む人は一瞬の光がオススメです。



いとうせいこう氏の過去作、レトロスペクティブシリーズの一環。
今年は個人的にいとうせいこう祭り!って感じで、
作品を読むごとに尊敬の念を高めるばかり。
2014年夏、とくに夏っぽいことをしなかった僕にとっての
夏の思い出は本作です。
(南国を舞台にした2作の作品が収められているからね)
とくに波の上の甲虫という作品がとんでもない!
先月も言いましたが、いとうせいこう氏の作品は、
小説という構造に対する挑戦が多く見られ、
この作品もまさにそれ。
メタ構造を多層に設けることで、
現実と虚構の境目が曖昧になる感じは、
電車で「うおー!」と言いそうになりました。笑
夏に読むのがオススメです。




映画版は愛憎入り乱れながらも結局好きなんですが、
装丁もかわいくなったし、読んでみるかということで。
これは短編集で、その中の一つがジョゼ虎となります。
いずれの短編も女性が主人公で、
恋愛や結婚に対する様々なスタンスが見れるんですが、
それがコテコテの京都弁で表現されてるのが好きでした。
ジョゼ虎は原作が幸せなまま終わるのを知りビックリ。
映画独自の味付けだと考えると、
映画版に対する愛情が芽生えたり…
他の田辺聖子作品も読んでみたいところです。



複製された男

映画版を先に見て、あまりの衝撃だったので原作も読んでみました。
モロに海外文学で、意訳もほとんどされてないような感じなので、
読み進めるのに、めちゃめちゃ時間かかって、
8月はずーっとこれ読んでた感じ。
結論としては、映画の方がより抽象度は高いし、
エンディングも原作はストレート。
あと、この作品が書かれたのはネット以前なので、
色々捜査を進める過程がモタモタしてて、
そこに懐かしさと苛立ちを感じました。
これ読んで、あの映画を作ったドゥニ・ヴィルヌーブ恐るべし。

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