2016年7月19日火曜日

ファインディング・ドリー



<あらすじ>
カクレクマノミのマーリンが、ナンヨウハギのドリーと共に
愛する息子のニモを人間の世界から救出した冒険から1年。
3匹は平穏な日々を過ごしていたが、
ある晩、ドリーは忘れていた両親との思い出を夢に見る。
昔のことはおろか、ついさっき起きたことも忘れてしまう
忘れん坊のドリーだが、この夢をきっかけに、
忘れてしまったはずの両親を探すことを決意。
「カリフォルニア州モロ・ベイの宝石」という唯一の手がかりから、
人間たちが海の生物を保護している施設・海洋生物研究所に、
両親やドリーの出生の秘密があるとを突き止めるが…
映画.comより)

先日初めてニモを見たので、その勢いで見てきました。
ドリーというポンコツが主人公で大丈夫?
と思っていましたが、そんな心配は杞憂であり、
本当に素晴らしい作品でございました。
前作のドリーの立ち位置を逆手に活かした、
ハンディキャップを持つ人に向けた
賛歌とでも言うべきでしょうか。
ズートピアにおいて多様さを受け入れることを
鮮やかに描いていましたが、
本作もそれに並ぶものと言えるかもしれません。

※ここからは盛大にネタバレして書きます。

前作から1年後に忘れん坊のドリーが、
急に自分自身の両親のことを思い出して、
彼らを捜しに行くというお話なわけですが、
少し急なことのようにも思えるかもしれません。
ただ、そんなことを気にさせないくらいに、
ドリーの忘れん坊という特性による、
アイデンティティクライシスの残酷さが多く露呈します。
前作ではコメディリリーフの役割だった
忘れやすいことの裏面を描いていくところに
ディズニーの覚悟を感じました。
一体オレがどこの誰か?その根源である両親を
幼少時の断片的な記憶を基にニモ達とカルフォルニアへ。
両親がいたのは海洋生物研究所と呼ばれるところで、
水族館のような展示もしつつ、
傷ついた海洋生物を治して海に帰すことを行っています。
それゆえここに登場する海洋生物は
皆ハンディキャップを抱えています。
目の悪いジンベイザメ、エコーが使えないジュゴン、
足が7本しかないタコ。
ドリーと彼らと時々ニモ親子が協力しながら両親を探すのが
とてもオモシロかったです。
僕はアクション要素の部分が好きで、
たとえばイカに追いかけられるシーンは
とても迫力がありましたし、
研究所からドリーが排水溝を通じて流されていくのを
ドリーの主観ショットで見せたり。
タコのカメレオン的な特徴を活かした演出もオモシロかったなー
前作から13年経っていることもあり、
ヴィジュアルの圧倒的な進化も素晴らしかったです。
細かい質感が物語に説得力をもたらすのは言わずもがな。
ルックもしっかり派手でオモシロい上に
親子物語、成長物語としてのオモシロさも抜群。
本作が伝えるのは「自分が自分であることを誇る」
(K DUB SHINEにピース!)
前述した通り、ハンディキャップを抱える生物たちが、
自分の長所を活かしながら、
なんとかしようと懸命に頑張る姿はそれだけで感動的。
自分がやれることを精一杯やるしかない訳です。
とくに僕はドリーの言っていた偶然や直感の大切さが
心にとても響きました。
大人になればなるほど蓄積したメモリーに依存して
生活、行動することが多い中で、
彼女にはそれがありません。
経験にすがることができない彼女だからこそ
持つことのできる直感の鋭さ、豊かさ。
それを彼女自身が体現しているし、
窮地に陥ったニモ親子も見習って、
直感に基づいて行動を起こすシーンがあって良かったです。
(ニモの父親が固定観念の象徴となっているのは、
少しかわいそうに思えたけど。)
終盤の"What A Wonderful World"は
これを映画的カタルシスと言わずして何と言おう!
って感じで完全にサムアップ。
エンディング曲がNat King Coleの"Unforgettable"
というのも渋くて良かったです。
八代亜紀の日本版も素晴らしかったし、
SIAが歌う中で海底を見せてくれるエンドロールも
本当に素晴らしい仕事だったと思います。
同じ監督のWALL・E見ていないので、
早く見たいなーと思います。

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