黒沢清監督作品。
何者にもなりきれない若者が社会を彷徨うというお話。
タイトルに「アカルイ」と入っていますが、
息が詰まるようような鈍重さ、閉塞感と、
たまにみえる開放感のバランスがオモシロかったです。
若かりしオダギリ・ジョー、浅野忠信を中心とした青春もので、
浅野忠信の父役が藤竜也という布陣。
表面上はそこまで大きな事件が起こるわけじゃないんですが、
抽象的な内容で読み解き方次第で、様々な見方ができると思います。
本作ではクラゲがモチーフとして扱われており、
クラゲが見た目の美しさと裏腹に毒を持つこと、
クラゲが海水から真水に順応して東京の河川に紛れ込むことなど、
色々と見立てたくなる〜という映画好きの心をくすぐります。
浅野忠信が結果的に犯罪者となっていますが、
それはもしかしたらオダギリ・ジョーだったかもしれない、
という展開まで踏まえるとクラゲは彼の内面なのかなぁとか思いました。
浅野忠信の演技がとにかくカッコよくて、
スプリングぐるぐる巻きにする演出が最高最高!
(何言ってるか分からないと思うから見てください。)
本作は家族の物語でもあり、
藤竜也が失われた家族と過ごす時間を取り戻そうとする、
その姿勢が重た過ぎず、軽過ぎずのちょうど良いバランスでしたし、
彼の仕事がリサイクルというのも何をか言わんやって話。
また黒沢監督特有の映像の魅力は本作でも炸裂。
刑務所のセット(?)の禍々しさは好きでしたし、
なかでも僕はどうしても忘れられないショットがあって、
それは藤竜也とオダギリ・ジョーがゴミ捨て場で弁当を食べるシーン。
この色彩がたまんなくカッコ良い!部屋に飾りたいくらい。
本作はフィルムではなくビデオで撮影されたそうですが、
道具に応じてその魅力を最大限に発揮させることが
大事なんだなーとしみじみ思いました。
(あと車のスプリットスクリーンもフレッシュでした)
終盤の少年ギャングとの強盗シーンは開放感あってカッコ良かった!
そしてラストに練り歩きーのでタイトルどーん。
あの少年たちに待つミライは果たして…と思いをはせつつ、
大人になった僕はどうするんだ?と自問自答した。
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