2016年7月2日土曜日

エクス・マキナ



<あらすじ>
世界最大手の検索エンジンで知られるブルーブック社で
プログラマーとして働くケイレブは、
滅多に人前に姿を現さない社長のネイサンが所有する
山間の別荘に滞在するチャンスを得る。
しかし、人里離れた別荘を訪ねてみると、
そこで待っていたのは女性型ロボットのエヴァだった。
ケイレブはそこで、エヴァに搭載されるという
人工知能の不可思議な実験に協力することになるが…

アカデミー視覚効果賞を受賞。
という情報しか知らないまま飛び込みで見てきました。
SF脳が刺激される映画体験で楽しかったです。
ファムファタールと人工知能と人間。
単純に見ればSFサスペンスなんだけど、
様々な仕掛けが施されているので、
繰り返し見て楽しみたくなりました。


※ここからは盛大にネタバレして書きます。
PCのディスプレイに搭載されたカメラからのショットと
意味深な顔面スキャンが気になりながら映画はスタート。
ケイレブの滞在期間は7日間で、
初めは社長ネイサンに会うだけかと思いきや、
彼が開発している人工知能について
チューリングテストをして欲しいと頼まれます。
一般にチューリングテストは、
人間と機械の両方を置いて、
判定者がどちらが人間か当てるといったものですが、
本作では機械の意識について議論がなされ、
ケイレブは人工知能をもったエヴァと
1対1で会話することによって、
彼女が人工知能として機能しているかどうか
判定する役目を担います。
(機械の意識については、チェスマシーンの例えが秀逸で、
チェスマシーンはチェスをしている意識を持たない)
IBMのワトソンを筆頭に人工知能の開発は
最近のトレンドですが、
企業が最適化を達成するために活用されていて、
本作のように人間に近づけようとする意図はまた別の話。
人工知能の生みの親であるネイサンを演じるのは、
オスカー・アイザック。
最近ではスターウォーズ7での好演がありましたが、
本作ではとても太っていてビックリしました。
テストを依頼するときに自分の会社の社員なのに、
超強力なNDAにサインさせるところから、
こいつなんか怪しいって思わされるし、
体型、服装を含めてユルユルにも関わらず、
油断ならない雰囲気が常にありました。
それは彼の家兼研究所が持つ、
制御された空間設計も影響していると思います。
ものがほとんどなくて徹底的にミニマル。
前述したとおり、それと対照的なのが自然の雄大さ。
閉鎖された研究所と比べたときの、
雪山や渓谷の抜けの良さよ!
あとネイサンで忘れられないのはダンスのシーンですよね。
DrakeのHotline Bringを思い出さずにはいられない!



ケイレブはエヴァに毎日ガラス越しにインタビューし、
質問を繰り返すことでケイレブはエヴァの
人工知能としての精度を確かめようとします。
これまでのレベルを遥かに超越した彼女の
知能レベルに驚く一方で彼女に惹かれていきます。
この惹かれていく様に納得感を持たせる演出が
素晴らしかったと思います。
とくに服を着る/脱ぐのシーンですね。
もともと機械として全裸なので、
服を着ることになるんだけど、
妙に艶かしいんですよね。そこから服を脱ぐシーンも。
この演出に関係してくるのが見る/見られるの関係性。
本作ではこの関係性が物語を進める、
重要なファクターとなっています。
監視カメラ、停電という仕掛けを使って、
誰が、どこで、いつ、誰を見ているか?で
サスペンス要素が高められていました。
ネイサンは2人を見ているし、
ケイレブはエヴァを見ているし、
その見ていることをエヴァは知っていて、、みたいな。
誰かと簡単に仲良くなれるのは、
秘密を共有したときだよな〜と改めて思いました。
そのきっかけを作るのがAI側という時点で、
この結末は初めから決まっていたと
見終わってから思ったりしました。
AIの設定自体もオモシロくて、
WEB検索自体が脳として機能するというもの。
脳みそがハードじゃなくて、
細胞状のウェットな点に未来を感じましたねー
終盤にかけてドンデン返しの応酬が続くんですけど、
ここもうちょっと何とかして欲しかったです。
モロに後だしジャンケンにしか見えなくて、
一応フリはあるんだけど少し弱かったです。
ただし、これは人間同士の仕掛け合いであり、
本当に逆転していたのは機械と人間の関係性だ!
っていうのはオモシロかったです。
ラストの交差点のショットはとても好きだったし、
からのタイトルどーん!は響きました。
IMDBのTriviaがとても充実していて、
オモシロい考察だらけなので、
見終わったあとに読むと楽しかったです→リンク

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