それが滅法オモシロかったので読んでみました。
ドラマが本作の映像化として100点!
と確信を深めつつドラマに入っていなかった、
エピソードもあって、とても楽しかったです!
本作は高校を中退し立川談志に弟子入りした談春が、
二つ目になるまでをメインに描いたエッセイ。
落語の世界は師匠絶対社会であり、
ときには矛盾に耐えなければならない過酷な修行、
それが落語の前座というもの。
輪をかけて辛いのは談春の師匠が
立川談志であるということです。
本作には談志の気分屋としての残酷な一面と、
弟子への愛、もっと大きくいえば落語への愛の両面が
談春の目線から描かれています。
これが青春物語として抜群にオモシロいんですよねー
落語家になるという漠然とした目標はあるものの、
日々の生活ではどこにゴールがあるか分からない、
何者でもないことへの葛藤を抱えながらも、
日々の雑務と修行をこなしていくしかありません。
ただその日常のエピソードが超オモシロいし、
たまに放たれる談志の圧倒的な正論には溜飲が下がる。
自分はどうだろうか?と自問自答してしまいました。
現状を分析して足りていないことをあぶり出し、
やるべきことをやるという極めて論理的な思考を持ちながらも、
弟子を築地に修行に行かせたり、
談春が風邪を引き師匠に移すまいと思い、
稽古を断ったら彼を無礼者扱いしたり。
この矛盾が談志という人の魅力なんだろうなぁと思いました。
立川流は他の一門とは異なり、
完全に実力主義で談志が認めればそれで一人前になれる世界。
談志に認められるかどうかはありますが、
基本的に「やる/やらない」は自分次第なわけです。
結果的に立川流には素晴らしい落語の才能が生まれる一方で、
無数の犠牲が生まれたと本作に書かれていました。
それを象徴する談秋のエピソードは相当グッときましたねー
落語を知っていれば、より理解が深まるだろうな
というエピソードも多いので落語を始めてから、
もう1度読んでみたいと思います。
(くれぐれも言っておきますが、
落語知らなくても十二分にオモシロいんですよ!)
あと僕は文庫本で買ったんですけど、
今年買った本の中でベスト装丁!と言ってもいいくらい、
モノとして素晴らしいんですよねーとくにカバーの質感。
そういう意味でも購入するのがオススメです。
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