2016年7月19日火曜日

赤めだか

赤めだか (扶桑社文庫)


去年の暮れに二宮くん主演でドラマになった作品で、
それが滅法オモシロかったので読んでみました。
ドラマが本作の映像化として100点!
と確信を深めつつドラマに入っていなかった、
エピソードもあって、とても楽しかったです!
本作は高校を中退し立川談志に弟子入りした談春が、
二つ目になるまでをメインに描いたエッセイ。
落語の世界は師匠絶対社会であり、
ときには矛盾に耐えなければならない過酷な修行、
それが落語の前座というもの。
輪をかけて辛いのは談春の師匠が
立川談志であるということです。
本作には談志の気分屋としての残酷な一面と、
弟子への愛、もっと大きくいえば落語への愛の両面が
談春の目線から描かれています。
これが青春物語として抜群にオモシロいんですよねー
落語家になるという漠然とした目標はあるものの、
日々の生活ではどこにゴールがあるか分からない、
何者でもないことへの葛藤を抱えながらも、
日々の雑務と修行をこなしていくしかありません。
ただその日常のエピソードが超オモシロいし、
たまに放たれる談志の圧倒的な正論には溜飲が下がる。
自分はどうだろうか?と自問自答してしまいました。
現状を分析して足りていないことをあぶり出し、
やるべきことをやるという極めて論理的な思考を持ちながらも、
弟子を築地に修行に行かせたり、
談春が風邪を引き師匠に移すまいと思い、
稽古を断ったら彼を無礼者扱いしたり。
この矛盾が談志という人の魅力なんだろうなぁと思いました。
立川流は他の一門とは異なり、
完全に実力主義で談志が認めればそれで一人前になれる世界。
談志に認められるかどうかはありますが、
基本的に「やる/やらない」は自分次第なわけです。
結果的に立川流には素晴らしい落語の才能が生まれる一方で、
無数の犠牲が生まれたと本作に書かれていました。
それを象徴する談秋のエピソードは相当グッときましたねー
落語を知っていれば、より理解が深まるだろうな
というエピソードも多いので落語を始めてから、
もう1度読んでみたいと思います。
(くれぐれも言っておきますが、
落語知らなくても十二分にオモシロいんですよ!)
あと僕は文庫本で買ったんですけど、
今年買った本の中でベスト装丁!と言ってもいいくらい、
モノとして素晴らしいんですよねーとくにカバーの質感。
そういう意味でも購入するのがオススメです。

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