宇多丸師匠が帯コメントを書いていますし、
伊賀大介氏もプッシュしていたので、
楽しみにしていました。
本作は映画を題材にした小説なんですが、
映画を撮るということをダイナミックに描いていて、
オモシロかったです。
映画を語る際に多くの場合は、
監督、俳優を切り口に語られると思います。
しかし、映画は総合芸術であり、
美術、照明、撮影、脚本、録音といった、
複数の要素が有機的に絡み合って
初めて作品として成立するのである。
という考えに基づいた異常なまでの映画愛に
満ちているのがオモシロいポイントだと思います。
小説の構成もそれぞれの職人が
どういった人物かの背景、
プロフェッショナル性を1章ごとに描いた後、
そのメンバーで撮影した映画の撮影記が描かれる作り。
とにかく各メンバーのキャラ立ちが抜群なんですが、
良くも悪くもジャンプのキャラクターのようでした。
というのも、それぞれの章はオモシロいんだけど、
終盤に皆で集まってからは、
皆が物語に酔っている印象を持ちました。
それは本作内で作られる映画の抽象性が原因だと思っていて、
もっと分かりやすいアクションだったら、
エモーションで押し切られたかもしれません。
僕が本作でもっともオモシロかったのは、
作中で引用される映画の数々です。
「〜のような」という例えで、
数多くの映画が作品内で引用されているんですが、
作品に没入しているので、
「こんな気持ち、状態になる映画ってどんなん?」
となり、映画レビュー本を読むよりも
コレ見てみたい!となった作品がたくさんありました。
映画好きな人は読むと、
映画への愛がより一層高まる気はします。
映画への愛がより一層高まる気はします。
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