2016年4月2日土曜日

孤高の遠吠え


様々な媒体で評判を兼ねてから聞いていて、
見逃したことを悔やんでいたら、
夕張の映画祭でグランプリを獲得し、
再上映ということで見てきました。
自主映画なので商業映画と比べてしまうと、
クオリティーが低い部分はあるにせよ、
商業映画を蹴散らさんばかりの映画から滲み出る熱量。
その一点突破で持ってかれました。
上映終了後にトークショーもあって、
本作の理解が深まりました。

※ここからは盛大にネタバレして書きます。

本作は不良、とくに暴走族のお話なんですが、
ホラーのようなシーンからスタート。
この時点で自主制作感バリバリで、
この感じの画面で2時間って、
果たしてオモシロくなるのだろうかと不安に思いました。
しかし、そんなことは全くの杞憂でした。
お話の流れとしては、
原付を買おうとした若者たちが
不良とのトラブルに巻き込まれいくというもの。
とにかく本作はキャラクターの魅力に尽きると思います。
実際の不良をキャスティングしていますし、
お話も不良の実話+彼らからインスパイアされた話で
構成されているため実在感がハンパないです。
(本作に出演した不良は軒並み逮捕され1人は失踪)
クローズ、ろくでなしブルース等の
日本の中に脈々とある不良のロマンではなく、
これがリアルな不良の姿だ!と言わんばかり。
僕が好きだったキャラクターは
メインヴィジュアルにも使われている、あっちゃん。
ライターをカチカチする仕草とか、
謎の質問を重ねる姿の狂いっぷりが最高最高!
ロケ地は静岡県の富士宮らしいんですが、
今の地方の国道沿い感もたまらなく香ばしかったです。
そして、街の話にも関係するんですが、
原チャによる街の走行シーンが本作最大の見所。
ノーヘルで街中を軽やかに走り抜ける疾走感、
道路を逆走してしまう背徳感、
どれもが映画館で見てこそ味わえる感触だと思います。
同時に無駄なコンプラ意識が高い今の商業映画を見ても、
この快感は得られないことが、
本作を特別な1本たらしめているという逆説性も
2010年代という時代を感じさせてくれます。
また暴力シーンも手作り感満載なのが楽しくて、
現場で不良がオモシロいと思ってくれるものを
一緒に作っていったという監督の話があったんですが、
それが作品にそのまま表れていたと思います。
ストーリーとしては流れがないようであるというか、
バイク・原付で走ることがストーリーに通底していて、
それに対して愚直であるやつがカッコよく見えました。
どこでも見れるタイプの映画ではないけれど、
今見とくべき作品なのは間違いないと思います。

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